ディーゼルエンジンの排気浄化装置並びに制御手段
【課題】より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながらパティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持するディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供する。
【解決手段】エンジンの吸気工程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングと、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ44と、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り24と、エンジンの排気の流量を調節する排気絞り26と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力してマップを参照して外部EGRバルブ44、吸気絞り24及び排気絞り26を制御する情報を出力する制御手段20とを備えた。
【解決手段】エンジンの吸気工程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングと、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ44と、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り24と、エンジンの排気の流量を調節する排気絞り26と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力してマップを参照して外部EGRバルブ44、吸気絞り24及び排気絞り26を制御する情報を出力する制御手段20とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置に係り、特にカーボンを主成分とするパティキュレートの排出と窒素酸化物の排出を低減するディーゼルエンジンの排気浄化装置並びに制御手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、シリンダにコンプレッサハウジング11aを介してエアを供給する吸気通路15が吸気ポート14に接続され、シリンダ内の排ガスをタービンハウジング11bを介して大気に排出する排気通路17が排気ポート16に接続されているターボ過給機付エンジンの排ガス再循環装置が示されている。またこの発明では、排気通路及び吸気通路を接続するEGR通路21aに吸気通路に還流される排ガスの流量を調整可能なEGRバルブ21bが設けられ、上記EGR通路及びEGRバルブにより外部EGR装置21が構成されている。またエンジン12にはシリンダの吸気行程時に排気弁を開いて排気通路からシリンダに排ガスを導入する内部EGR装置が設けられる。そして、回転センサ43及び負荷センサ44の各検出出力に基づいてコントローラ46がEGRバルブを制御する旨の記載がある(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献2には、吸気弁の弁リフト特性の切換時、該切換作動遅れ時間TD2 (TD4) とEGR弁の作動遅れ時間TD3 (TD5)との差分TD1だけEGR弁の作動開始を遅らせ、かつ、EGR弁の開度を徐々に変化させて、変化する外部EGR量と弁リフト特性切換により変化する内部EGR量との合計値が略一定に保持されるようにした内燃機関のEGR制御装置が示されている(特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献3には、単一の気筒P1に設けられたプライマリおよびセカンダリ吸気ポートP2,P3と、セカンダリ吸気ポートP3に設けられた筒内流動強化用のシャッタ弁P4と、吸気過給用過給機P5と、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段P6の出力に基づいて低負荷側ではエンジンに供給される空燃比がリーンとなるように制御する空燃比制御手段P7と、低負荷側ではシャッタ弁P4を閉成し、高負荷側では開成する第1の制御手段P8とを備え、シャッタ弁P4閉領域では高温のEGRガスを還流するホットEGR手段P9と、シャッタ弁P4開領域では低温のEGRガスを還流するコールドEGR手段P10とを備える過給機付エンジンの排気還流装置が示されている(特許文献3参照。)。
【0005】
特許文献4には、排気通路16に配置されるタービン6bと吸気通路3に配置されるコンプレッサ6aとを有する過給機6と、タービン6b下流の排気通路16と吸気通路3とを接続して排気ガスの一部を内燃機関の吸気系に再循環せしめる排気再循環装置23,24,25とを備え、コンプレッサ上流側の吸気通路3に、前記排気ガスの一部を再循環せしめるための導入口23a と、吸気通路3を開閉自在とするスロットル弁20とを順に配置した内燃機関の排気浄化装置であって、スロットル弁20が全閉動作した時、コンプレッサ6aに対し所定流量の吸気を流して負荷を与えるフェイルセーフ手段21をコンプレッサ6a上流側の吸気通路3に設けた過給機付き内燃機関の排気浄化装置が示されている(特許文献4参照。)。
【0006】
特許文献5には、排気通路に配設された排気タービンと吸気通路に配設された吸気コンプレッサとを有するターボチャージャーと、該排気タービンより上流側の排気通路と該吸気コンプレッサより下流側の吸気通路とを連絡する第1のEGR通路と、該第1のEGR通路に配設された第1のEGRバルブと、該排気タービンより下流側の排気通路に配設された酸化触媒およびパティキュレート・フィルタとを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、エンジンの排気温度領域が該酸化触媒の活性温度領域より高温領域となる場合に該第1のEGRバルブを絞る制御を行い、エンジンの排気温度領域が該酸化触媒の活性温度領域よりも低温領域となる場合には該吸気シャッタと該排気シャッタのいずれか一方または双方を絞る制御を行うディーゼルエンジンの排気浄化装置が示されている(特許文献5参照。)。
【0007】
特許文献6には、過給機6よりも上流側に接続されたEGR通路14には、ガスの流れ方向に順に、逆止弁15、触媒で構成されたフィルタ16、冷却器17、コントロ−ルバルブ18が介設されている過給機付エンジンの排気ガス還流装置が示されている。当該文献では、EGRガスは、先ずフィルタ16を通過して固形成分が除去され、その後冷却器17によって冷された後に吸気通路2(過給機6よりも上流側)に還流されており、フィルタ16は触媒で構成されているため、フィルタ16に付着したカ−ボン等は触媒作用によってその燃焼が促進され、フィルタ16は自浄機能を持つことになる旨の記載がなされている(特許文献6参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−107810号公報 (第1−2ページ、第1−6図)
【特許文献2】
特開平8−158954号公報 (第1−2ページ、第1−6図)
【特許文献3】
特開平7−224726号公報 (第1−2ページ、第1図)
【特許文献4】
特開2002−106398号公報 (第1−2ページ、第1−9図)
【特許文献5】
特開2002−276405号公報 (第1−3ページ、第1−7図)
【特許文献6】
特開平5−187329号公報 (第1−2ページ、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に記載のターボ過給機付エンジンの排ガス再循環装置では、特許文献1の図4及び図6に示されているように、エンジンの高トルク側(高負荷側)において高温の排気をシリンダ内に戻す内部EGRを用いているために、EGRを行なわなくても排気温度が高温の領域で内部EGRを行なうことによって更に排気温度が高温になってしまう。
【0010】
エンジンの高トルク側において高温の排気をシリンダ内に大量に戻す内部EGRを用いると、吸入酸素量が減少するのでPM(スモーク)の排出量が大幅に増大するという不具合を生ずる。
【0011】
また、特許文献1に記載の発明は、ターボ過給機付エンジンの吸排気圧力特性は過給機の性能に依存していることに基づく不具合を解決する発明である。ターボ過給機付エンジンの軽負荷時には、排気温度が低く排気の量も少ないために過給機の性能が悪く、排気圧力(排気タービン入口圧)に対してコンプレッサ出口圧は低い。したがって給気マニホールド圧も低く、排ガスを給気マニホールドを通じて筒内に環流させることは可能である。しかし、高負荷側では、排ガス温度が高く排気の量が多くなり、その結果過給圧が上昇して給気マニホールド内の圧力も高くなるので、排気を給気マニホールドに戻して筒内に環流させることが困難になる場合がある。
【0012】
過給付きエンジンのEGRにはこのような特性があるために、高負荷側ではEGRが導入しにくくなるという状態になっている。特許文献1に記載の発明は、このような状況を解決するためのものであり、過給機付きエンジンの低負荷から中負荷運転時のみならず中負荷から高負荷運転時の全ての運転領域でシリンダに排気を還流するために排気2段カムを使用している。
【0013】
したがって特許文献1の発明では、軽負荷領域に於いてEGR量を多く設定する際に、内部EGRに加えて外部EGRを併用することによってしかEGR量を多くすることができないという欠点がある。
【0014】
特許文献2に記載の内燃機関のEGR制御装置では、弁リフト特性の切り替え時にEGR率をなめらかに変化するようにして、トルク変化とNOxの排出量の変化とをともに制御することを目的とするものであり、排気温度及びNOxの排出量を制御することができないという不具合を生じている。
【0015】
特許文献3に記載されているホットEGR、並びに特許文献5に記載されている第1のEGRは、排気ポート、排気マニホールド、又は排気管から、吸気ポート、吸気マニホールド内部又は吸気管内に排気を戻す外部EGR方式である。この外部EGR方式では、高温の排気を低温の吸気マニホールド等に戻してしまうためにEGRの排気が冷却されてしまうという不具合を生じる。
【0016】
特に特許文献3並びに特許文献5に紹介されているクロスフロー型の燃焼室を持つエンジンの場合には、EGRの経路が長くなるのでEGR用の排気が急激に冷却されてしまい、低負荷又は低回転時にEGRの量を増やしても、排気の温度はDOC(Diesel Oxidation Catalyst)やDPF(Diesel Particulate Filter)が有効に機能する温度に達しないという不具合を生ずる。
【0017】
また、特許文献3の請求項12に記載の発明では、ホットEGRとして排気弁オーバーラップにより内部残留ガスを吸気側へ還流する内部EGRに設定する旨の記載があるが、排気弁のオーバーラップが多い場合には低回転時の新気の量が不安定になり易く低回転時の燃焼が不安定となる傾向にある。
【0018】
一般に低回転型のエンジンの場合にも、バルブのオーバーラップは存在している。しかし、低回転型のエンジンのバルブオーバーラップでは、筒内に残留する排気の量はそれ程多くなく3〜5%程度である。この残留する排気の量を更に増大するためにオーバーラップを増大すると、新気が十分に吸入できないために、特に低速域かつ高負荷域で多くのPM(パティキュレート・マター)が排出される。
【0019】
したがって、NOxについて低減効果を出そうとすると、PMの増大を防止するために燃料噴射量を少なくせざるを得ず、低回転時におけるトルク、出力の低下を招くことになるという不具合が発生する。したがって、低回転時において大トルクを発生する必要があるエンジンには不適切であるという不具合を生じていた。
【0020】
また特許文献4に記載の過給機付き内燃機関の排気浄化装置では、過給機の過回転を防止することが可能であるが、広範囲の運転領域でNOxの排出を低減しつつPMの排出を低減することができないという不具合を生じていた。
【0021】
特許文献5に記載の発明では、図4(a)に示されているとおり、負荷が低くてエンジン回転数が高回転の場合であっても吸気シャッタの開度を1/4〜2/4と絞る制御を行なっている。この負荷領域で吸気を絞る制御を行なうと、エンジン回転数が高回転の時に吸気する空気量が減少するために、排気にPMが多く含まれるという不具合や、吸気流量の減少により燃費が悪化するという不具合を生じる。
【0022】
そこで本発明は上記従来の不具合に鑑みてなされたもので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0023】
また本発明は、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒が排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。また本発明は、酸化触媒に対して、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることを可能とするとともに、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0024】
また本発明は、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0025】
また本発明は、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することをと目的としている。また本発明は、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0026】
また本発明は、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることを可能とし、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0027】
また本発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設け、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0028】
また本発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することを可能とするとともに、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0029】
また本発明は、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることによって、旧車種であっても厳しくなる排ガス規制に対応することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0031】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0032】
また上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0033】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて実施する内部EGR用の排気バルブタイミング又はバルブリフトを切り替える排気バルブタイミング切替手段と外部EGRバルブと吸気絞りと排気絞りとを、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0034】
また上記課題を解決するために請求項3に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒を排気経路に備えたことを特徴としている。
【0035】
本発明によれば、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒は排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能となる。また酸化触媒は、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることが可能となるので、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能となる。
【0036】
また上記課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、制御手段は、排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴としている。
【0037】
本発明によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、該排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0038】
また上記課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0039】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、外部EGRバルブと、吸気絞りと、排気絞りとを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0040】
また上記課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、制御手段は吸気温度センサから入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力することを特徴としている。
【0041】
本発明によれば、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0042】
また上記課題を解決するために請求項16に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0043】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段からターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能となる。また、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能となる。
【0044】
また上記課題を解決するために請求項19に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、外部EGR配管の経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたことを特徴としている。
【0045】
本発明によれば、外部EGRの配管経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたので、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることが可能となり、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0046】
また上記課題を解決するために、請求項20に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたことを特徴としている。
【0047】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたので、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0048】
また上記課題を解決するために、請求項21に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたことを特徴としている。
【0049】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたので、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。また、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能となる。
【0050】
また本発明に係るディーゼルエンジンのディーゼルエンジンの排気浄化装置では、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることが可能であるので、旧車種であっても、厳しくなる排ガス規制に対応することが可能となる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の全体構成を示す図である。
【0052】
同図に示すように、ディーゼルエンジンの排気浄化システムには、排気を浄化する対象となるディーゼルエンジン10と、ディーゼルエンジンの各シリンダに新気を導入する吸気マニホールド12と、各シリンダから排出される燃焼後の排気を通す排気マニホールド14と、運転手がディーゼルエンジンの出力を制御する情報を入力するためのアクセルペタルの踏み込み量を検出して制御手段20等に伝達するアクセルポジションセンサ16と、ディーゼルエンジンのクランクシャフトの回転角などを読み取って制御手段20に対して回転角信号(エンジンの回転数信号を含む)を出力する回転センサ18とが設けられている。
【0053】
なお、アクセルペダルの踏み込み量は、図示しない燃料噴射装置に伝達され、エンジンの出力を制御することが可能となっている。
【0054】
またディーゼルエンジンの排気浄化システムには、エンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22と、エンジンの吸気を絞ることによってシリンダに吸入される新気の量を調節する吸気絞り24と、エンジンの排気を絞ることによって排圧を高くしてシリンダに戻す排気のガス量を増やす制御を行なう排気絞り26とが設けられている。
【0055】
またディーゼルエンジンの排気浄化装置には、ディーゼルエンジンの排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒DOCと、排気中に含まれるPM(パティキュレート・マター)を捕集して処理するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)とを1つの容器に納めたCR−DPF41と、CR−DPF41に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ42とが設けられている。
【0056】
連続再生型の排気浄化装置として、上記のように前段のディーゼル用酸化触媒DOCとPM捕集フィルターとを設けてもよいし、触媒担持型の単独PM捕集フィルターを用いても本発明の目的を達成することが可能である。
【0057】
吸気絞り24には、吸気絞り弁のアクチュエータが備えられており、制御手段20から出力される制御情報に基づいて吸気絞り弁を任意の開度に設定可能となっている。また吸気絞り24に、吸気の絞り弁開度を検出するiTP開度センサを設け、iTP開度フィードバック用の開度信号を制御手段20に出力するようにしてもよい。また同図では、吸気絞り24を吸気マニホールド12の集合管路に1つ設けた実施例で説明しているが、本発明は吸気絞り24の取付位置等を図1に示したように限定するものではなく、吸気マニホールド12内の各シリンダへの枝内に独立して設けるようにしてもよい。
【0058】
また図1に示すディーゼルエンジンの排気浄化装置には、排気マニホールド14等から取得した排気を冷却して吸気マニホールド12等に還流する際に、再循環させる排気の流量を調節する外部EGRバルブ44が設けられている。この外部EGRバルブ44は、アクセル踏み込み量とエンジンの回転数等のパラメータに基づいて、開閉のタイミングや開度を適宜設定することが可能となっている。
【0059】
なお、図1に示す外部EGRの例では、排気マニホールド14から再循環する排気を取得しているが、本発明は排気マニホールド14から排気を取得する例に限定されるものではなく、CR−DPF41の後段から浄化された排気を取得し、排気の温度を積極的に下げるEGRクーラを介して吸気マニホールド12又は吸気絞り24の前段に戻すように構成してもよい。EGRクーラの冷媒は、エンジン冷却水を用いてもよいし、車両の走行風を用いるものであってもよい。
【0060】
更に本発明では、排気温度が特に低い低回転の運転領域及び低負荷の運転領域において、高温の排気を燃焼前の燃焼室に直接再循環させるために、以下の図2及び図3に示す特殊な排気カムを用いた内部EGR機構を用いて高温の排気を燃焼前のシリンダに供給するようにしている。
【0061】
図2は、燃焼前のシリンダに排気を直接戻す内部EGR機構を備えたディーゼルエンジンの燃焼室部分の断面図である。
【0062】
同図に示すように、ディーゼルエンジンの燃焼室部分には、吸気バルブ52、排気バルブ54及び噴射ノズル62を備えるとともに燃焼室を形成するシリンダヘッド50と、燃焼圧力を受け止めてクランクシャフトに回転力を伝達するピストン60と、ピストン60の摺動面となるシリンダ58とが設けられている。
【0063】
排気バルブ54の排気タイミングとリフト量を定めている排気カム56には、通常の排気行程を行なうために排気バルブ54を開く第1のカム山と、吸気行程の終了時期付近で排気バルブ54を少し開く第2のカム山との2つのカム山が設けられている。
【0064】
このように排気カム56に2つのカム山を形成することにより、通常の燃焼後の排気行程で排気バルブ54を開いて燃焼後の排気を排気マニホールドに流出する機能と、吸気行程の終了付近で再び排気バルブ54を適量開いて排気を燃焼室に戻す機能とを備えることが可能となっている。
【0065】
図3は、ピストン60の位置と吸気バルブ52のリフト量及び排気バルブ54のリフト量との関係を示す図である。
【0066】
通常のディーゼルエンジンの給排気のタイミングと同様に、燃焼後ピストン60が下死点に到達する前から排気バルブ54が開き始め、燃焼ガスの排気を開始する。クランクシャフトが約半回転してピストン60が上死点に近づくと、その排気行程の終了付近で吸気バルブを開き始めて次の燃焼のための新気の導入を開始する。
【0067】
ピストンが再び下死点に近づき、吸気行程が終了する近傍では、一般のエンジンでもシリンダ58内の圧力よりも排気マニホールド14内の圧力の方が高いので、ここで再度排気バルブ54を開いた場合には、排気マニホールド14より上流の排気ポートから直接高温の排気が直接シリンダ内に逆流して、吸入した新気とともに排気がシリンダ内に充填される。
【0068】
ピストンが下死点を通過した後から圧縮行程を開始する。一般に圧縮前のシリンダ内の気体の温度T1及び圧力P1と、圧縮行程終了後の気体温度T2及びP2との関係は以下の式で表される。
T2=T1(P2/P1)(κ−1)/κ…(式1)
k:気体の比熱比(空気の場合1.4)
【0069】
ディーゼルエンジンの圧縮比を、P2/P1=16とした場合には、(P2/P1)(κ−1)/κ=2.208となる。したがって、圧縮前の空気に燃焼後の高温の排気を混入して、圧縮前の気体の温度が10℃上昇した場合には、圧縮後の温度は22.08℃上昇することになり、過剰空気が少ないこともあいまって燃焼後の排気温度も上昇するので、CR−DPF41内に捕集したPM(スート、煤などを含むスモーク)を連続再生しやすくすることが可能となる。また、排気をNOx還元触媒に通す場合にも、触媒を有効に機能させるために、広範囲な運転状況における排気温度維持のための制御は必須である。
【0070】
ただ単に排気温度を上昇させるのであれば、排気カムの第2のカム山のリフトを高く、又は動作角度を広く設定し、シリンダ内に逆流する排気の量を増大させて、低負荷時の排気温度を高く維持しつつNOxの排出量を低減させることが可能である。
【0071】
ところが、同図に示す第2のカム山による排気バルブ54のリフトは、エンジン運転領域全域でリフトするため、高負荷時のように燃料供給量と比較して空気量が少なくなる領域では、排圧が高くなるので排気の逆流も多くなる。また、燃焼温度が高く燃焼室が高温になることにより、吸入する新気の量が減少して更に酸素濃度が低下して不完全燃焼となりやすく、所定の出力が得られないことになるとともに、PMがCR−DPF41における再生可能量を超えて大量に発生することになる。また、高負荷運転時において高温の排気を再循環する内部EGRの量が多くなると、EGR無しの場合と比較して更に酸素量が減少するために、PM(スモーク)が多量に発生するという不具合を生じる。
【0072】
PMがCR−DPF41の再生可能量を超えて大量に発生すると、CR−DPF41内部においてPMが堆積して排圧の急増を招き、燃費を大幅に悪化させることとなる。また、運転状況の変動により排気温度が上昇した場合には、堆積している大量のPMが連鎖的に燃焼を開始し、CR−DPF41を熔損に至らしめる可能性もある。
【0073】
PMの連続再生に十分な排気温度が得られる中負荷時においても、NOxの排出量を減少させる観点から不活性ガスの排気を再循環する必要性があるが、高温の排気を燃焼前のシリンダに戻すと酸素量が減少するために、PM(スモーク)が増加してしまうので、比較的低温の排気を外部EGRを用いて再循環する必要がある。
【0074】
また逆に、第2のカム山による排気バルブ54のリフトを低く、又は動作角度を狭く設定すると、シリンダ58内への排気の逆流量が少なくなり、低負荷時においてPMの連続再生に必要な排気温度が得られなくなるなど、所定の排気温度を維持することが可能なエンジン運転領域が狭くなってしまう。また、低負荷時において排気の再循環量が少ない場合には、新気に含まれる酸素の量が比較的多く、燃焼中にNOxが多く発生し易いという不具合を生じる。したがって低負荷時では、燃焼温度を維持しつつ多めにEGRをかけたいという要望がある。
【0075】
後述するように、排気バルブのリフト量を可変する技術(可変バルブタイミング機構など)を本発明に適用することも可能であるが、現在走行中のディーゼルエンジン車両に対してレトロフィットの形で本願発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置を装着し、排出されるPMを減少させようとする場合には、固定のカム山を備えていた方が改造作業を行なうにあたってのコストが安価となるので好都合な側面がある。
【0076】
冷却された排気をエンジン10の吸気マニホールド12に戻す外部EGRでは、再循環する排気の温度を低くできれば新気量は冷却されない排気を戻した場合よりも多くなるので、シリンダ内に吸入される酸素の量も多く維持できる。そのため中負荷の運転領域ではNOxの発生を抑制するために外部EGRを多くしつつ、PMの発生を低減することが可能である。
【0077】
図4は、内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
外部EGRを用いると、内部EGRを用いた場合と比較して燃焼室の温度が低下するので、新気の量が多くなりPM(スモーク)の発生度合いは少ない。したがって、中負荷運転時や高負荷運転時において、NOx排出量の低減を図るために所定のPM排出レベルまで多くのEGRをかけたい場合には、外部EGRが有効である。
【0078】
図5は、内部EGRと外部EGRの対EGR率と排気ガス温度との特性比較を示す図である。
内部EGRを用いると、外部EGRを用いた場合と比較して排気温度が高くなるので、特に低負荷側で排気温度を高めたい場合には有効である。また逆に、NOxの排出量を少なくしたい場合などのように、燃焼温度を押さえつつEGR率を多くしたい場合には外部EGRが有効である。
【0079】
図6は、内部EGRと外部EGRの対EGR率とNOxの排出量との特性比較を示す図である。
排出されるNOxの排出量を減少させたい場合には、EGR率を多くすることが有効である。また同図に示すように、外部EGR方式を用いると新気の量が多いぶん酸素濃度が高いので、若干ではあるが外部EGRを用いた方がNOxの排出量が多くなるが、図4に示したように所定のPMの排出レベルまで大量のEGRをかけることが可能であるので、結果的に外部EGRを用いた方がNOxの排出を減少させることが可能となる。
【0080】
図7は、各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
同図に示すように、全負荷及び高負荷の運転領域においてNOx排出量を低減するために、多くのEGRをかけたい場合には、内部EGRを用いると排出されるPM(スモーク)が増加してしまうので、外部EGRが有効である。
【0081】
図8は、各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率と排ガス温度との特性比較を示す図である。
同図に示すように、全負荷及び高負荷の運転領域では、内部EGRを用いなくともPMを連続再生可能な下限温度以上の排気温度が得られているので、NOx排出量を低減するためにPM(スモーク)が発生しない範囲で最大限の外部EGRをかけることが可能である。
【0082】
ところが軽負荷時(低負荷時)においては、排気温度がPMを連続再生可能な排気温度に到達していないので、PM(スモーク)に対して余裕のある範囲内で内部EGRを用いて排気の温度を高くすることが有効である。
【0083】
本発明では、まずシリンダ内に高温の排気を直接再循環させる内部EGR機構を設け、エンジンの回転数や負荷の状態に応じて排気の再循環量を細かく調節するために吸気絞り24を備え、更にアイドリング時や低負荷低回転の運転領域では吸気絞り24を絞る制御を行なっても排気温度が所定の温度に到達しない領域が存在するので、この領域では更に排気絞り26を絞ることによって排圧を高め、シリンダに戻す高温の排気の量を多くして燃焼後の排気温度を確保している。このようにして、NOxの排出量を低減しつつ、より広い運転領域で排気に含まれるPMを連続再生する処理を行なうことが可能となっている。
【0084】
更に本発明では、エンジンから排出されるNOxの量が多い高負荷時、中負荷時、又は中回転域においても低温の排気を適量燃焼前のシリンダ内に再循環する外部EGRを併用して、NOxの排出量を減少させている。
【0085】
図9は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されており、制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(エンジン負荷割合APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(エンジン回転数割合Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26とを制御する情報を出力する。なおiTPマップを記録する記録手段は、制御手段20の内部に設けてもよいし、制御手段20の外部に独立して設けて制御手段20と通信可能に接続してもよい。
【0086】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを40%踏み込んでいる中負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20は吸気絞り24に対して100%の開度(iTP=100%)となるように制御する情報を出力している。また、外部EGRバルブ44に対しては閉じる指令を出力しており、内部EGRのみで運転するよう制御信号を出力する。
【0087】
前記のエンジン回転数割合が40%の中負荷の運転状態であって、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を40%から20%まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を30%まで絞る制御情報を出力する。
【0088】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて、シャッタ又はバタフライバルブ等によって吸気経路を30%まで絞り、吸気の流量を減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0089】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を10%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約10%まで絞る制御情報を出力する。
【0090】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約10%まで絞り、吸気の流量を更に減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が更に下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0091】
なお、制御手段20が出力する吸気絞り24の絞り量の制御情報は、同図に示すiTP100%の線とiTP30%の線の間は直線補間を行なってもよいし、二次曲線以上の曲線補間を行なうようにして、細かい制御を行なうようにしてもよい。
【0092】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を更に8%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力する。そして、更に排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0093】
吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約5%まで絞り、吸気の流量を減少させる。また、排気絞り26も所定の開度まで絞るので、排気マニホールド14内の排圧が維持されるか、又は排圧が上昇する。
【0094】
すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。そして圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0095】
このとき、排気絞り26の絞り量も、アクセルペダルの踏み込み量又はエンジンの回転数に応じて絞り量を制御するようにしてもよい。その場合にはiTP制御マップに、エンジンの回転数が所定の回転数よりも低く、かつ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の踏み込み量よりも少ない場合に、排気絞り26を絞るように情報を入力しておき、制御手段20はアクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して前記iTP制御マップを参照し、排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。
【0096】
また、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。
【0097】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、吸気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0098】
また、同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又は及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0099】
また、図1に示すようにディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22を吸気マニホールド12等に備え、制御手段20は、吸気温度センサ22から入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ44、吸気絞り24、又は排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、吸気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、外部EGRバルブ44、吸気絞り24、又は排気絞り26に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0100】
このように、制御手段20が排気温度又は吸気温度を入力して排気温度を制御することによって、安定した使用条件から逸脱して排気の温度が変化した場合であっても、所定の排気温度を維持することが可能となる。更に、排気温度がDPF等にて連続再生可能な所定の温度以上である場合には、外部EGRによる比較的低温の排気を再循環する割合を増やすようにすることによって、エンジンから排出されるNOxを減少させることが可能となる。
【0101】
図10は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の第2の実施の形態を示す図である。
同図に示す排気浄化装置では、図1に示した排気浄化装置におけるCR−DPF41に対して、小型のμCR−DPF30と大型のmCR−DPFの2つのCR−DPFを設け、切替弁28を動作させて排気の流路を切り替えることが可能となっている。
【0102】
以下に、図10に示すディーゼルエンジンの排気浄化装置の構成について説明する。なお、図1の構成と重複する部分については、説明を省略する。
【0103】
ディーゼルエンジンの排気に含まれるPMを捕集して処理する2種類のCR−DPFのうちのmCR−DPF40は、ディーゼルエンジンの高負荷時および高速時に排出される多量の排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する大型のCR−DPFである。
【0104】
一方のμCR−DPF30は、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する小型のCR−DPFである。切替弁28は、制御手段20の指示に基づいて、mCR−DPF40とμCR−DPF30とに排気の流路を切り替える機能を備えている。
【0105】
例えば上記の各CR−DPFは、エンジンの排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒DOCと、排気中に含まれるPM(パティキュレート・マター)を捕集して処理するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)とを1つの容器に納めたものである。
【0106】
また、ディーゼルエンジンの排気浄化装置には、μCR−DPF30に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ32と、メイン排気管34と、μCR−DPFを通る排気の流路となるマイクロ排気管36と、mCR−DPF40に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ42とが設けられている。
【0107】
また同図に示すように、切替弁28は、ディーゼルエンジン10の排気マニホールド14とmCR−DPF40との間に設けられ、μCR−DPF30はmCR−DPF40よりも切替弁28に近い位置に設けられている。この切替弁28に、mCR−DPF40側に排気の流路を切り替えている際にもμCR−DPF30側に少量の排気を流すための隙間(機構)を切替弁28内に備えてもよいし、μCR−DPF30へ常に排気が流れるようにバイパス流路(機構)を備えるようにしてもよい。また、μCR−DPF30に少量の排気を流す際の流量を調節するアジャストスクリューを設けてもよい。
【0108】
排気絞り26は、μCR−DPF30の下流(排気絞り26B)に設けてもよいし、mCR−DPF40の上流(排気絞り26C)、又は下流(排気絞り26D)に設けてもよい。また、μCR−DPF30を経由した排気を、mCR−DPF40を経由せずに直接大気に放出する構造としてもよい。
【0109】
なお、多気筒の排気管が集合している場合であっても、排気の脈動を利用することによって排気効率を高める寸法に排気管を設定するのが常であるが、mCR−DPF40に流入する排気の温度を所定の温度以上に確保するためにμCR−DPF30を排気ポートの近くに置くと排気干渉を生じたり、ポンピング損失が増大して排気効率が悪化するという不具合を生じるので、mCR−DPF40に到達する排気の温度が高い運転領域では、なるべくmCR−DPF40を使用するのが望ましい。
【0110】
また一般に、排気の量が少ない低負荷の運転領域では、吸気絞り24及び排気絞り26を制御しても十分に排気温度が上昇しない場合が多い。したがって、排気効率を良くする目的等のため長く延ばした排気管の先にのみCR−DPFを設けると、排気がCR−DPFに到達するまでに排気のガス温度が低下してしまうので、排気に含まれるPMをCR−DPFで連続再生できないと言う不具合を生ずる。
【0111】
そこで本発明では、まずシリンダ内に逆流する排気の流量を細かく調節するために吸気絞り24を備え、低負荷運転時のように排気温度の低くなりがちな領域においては、排気マニホールド14の直下に設けたμCR−DPF30に排気を流すようにして、より広範囲な負荷範囲で排気温度を維持して捕集したPMを連続再生するようにしている。一方の高負荷運転時のように十分な排気温度が得られる領域では、mCR−DPF40を主に用いることによって従来のディーゼルエンジンと同様な排気効率を確保して、燃費や出力を維持することが可能となっている。
【0112】
また、アイドリング時や低負荷低回転の運転領域では、吸気絞り24を絞っても排気温度が所定の温度に到達しない領域が一般に存在する。この場合には、吸気絞り24を絞ると同時に排気絞り26を絞ることによって排圧を高め、シリンダに戻す排気の量を多くして排気温度を確保することが可能となっている。また、このようにして、より広い運転領域で排気に含まれるPMを連続再生する処理を行なうことが可能となっている。
【0113】
図11は、図10に示したディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されており、制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26と、切替弁28とを制御する情報を出力する。なおiTPマップを記録する記録手段は、制御手段20の内部に設けてもよいし、制御手段20の外部に独立して設けて制御手段20と通信可能に接続してもよい。
【0114】
なお、iTPマップのうち吸気絞り24、排気絞り26及び外部EGRバルブ44の制御に関しては図9にて説明したので省略する。
【0115】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを60%踏み込んでいる中負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20は吸気絞り24に対して100%の開度(iTP=100%)となるように制御する情報を出力している。また、切替弁28に対しては、mCR−DPF40に排気を流すように制御信号を出力する。
【0116】
なお,このようにmCR−DPF40に排気を流している場合に、全ての排気をmCR−DPF40のみに流すのではなく、μCR−DPF30にも少量の排気が流れるように切替弁28等を構成してもよい。mCR−DPF40使用時にもμCR−DPF30に少量の排気を流し続けることによって、μCR−DPF30の温度を所定の温度に維持することが可能となり、運転状況によって負荷が減少し、μCR−DPF30に排気の流れを切り替えた場合であっても、切替直後からμCR−DPF30はPMを連続処理することが可能となる。したがって、運転状況が急に変化した場合であってもPMを連続再生することが可能となる。
【0117】
前記のエンジン回転数割合が40%の中負荷の運転状態であって、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を60%から50%まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を100%開度から30%の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0118】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて、シャッタ又はバタフライバルブ等によって吸気経路を30%まで絞り、吸気の流量を減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、mCR−DPF40に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0119】
なお、制御手段20が出力する吸気絞り24の絞り量の制御情報は、同図に示すiTP100%の線とiTP30%の線の間について直線補間を行なってもよいし、二次曲線以上の曲線補間を行なうようにして、細かい制御を行なうようにしてもよい。
【0120】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に45%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約10%まで絞る制御情報を出力する。
【0121】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約10%まで絞り、吸気の流量を更に減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が更に下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、mCR−DPF40に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0122】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に43%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、切替弁28を制御して排気をμCR−DPF30に流すように制御信号を出力するとともに、吸気絞り24を100%まで開く制御情報を出力する。
【0123】
この状態では、吸気絞り24を開くので排気温度は低下するが、排気を通すCR−DPFを大型のmCR−DPF40から小型で排気マニホールド直下に設けた小型のμCR−DPF30に切り替えるので、排気抵抗が増大してエンジン排気圧力がmCR−DPF40の場合よりも高くなるので、排気の逆流が増大して排気温度が上がりμCR−DPF30に流れ込む排気の温度はPMを連続再生可能な温度となっている。なお、負荷が低い運転状態では排気の流量が少ないので、小型のCR−DPFであっても十分処理可能であるとともに、吸気を絞らないので燃費の悪化や出力の低下を防止することが可能となる。
【0124】
また、設計段階でμCR−DPF30の容量(大きさ)を決定する場合には、排気を処理するディーゼルエンジンの排気温度特性と排気の流量に応じて決定するとよい。また、mCR−DPF40の容量(大きさ)や、各CR−DPFまでの排気管の長さ、切替弁28の取付位置なども、対象となる車種やエンジンの構成などによって適宜決定する。
【0125】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に10%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力する。そして、更に排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0126】
吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約5%まで絞り、吸気の流量を減少させる。また、排気絞り26も所定の開度まで絞るので、排気マニホールド14内の排圧が維持されるか、又は排圧が上昇する。
【0127】
すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。そして圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、μCR−DPF30に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0128】
このとき、排気絞り26の絞り量も、アクセルペダルの踏み込み量又はエンジンの回転数に応じて絞り量を制御するようにしてもよい。その場合にはiTP制御マップに、エンジンの回転数が所定の回転数よりも低く、かつ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の踏み込み量よりも少ない場合に、排気絞り26を絞るように情報を入力しておき、制御手段20はアクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して前記iTP制御マップを参照し、排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。
【0129】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、吸気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0130】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気をmCR−DPF40からμCR−DPF30に切り替える制御を行なう領域を備えている。
【0131】
また、同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0132】
また制御手段20は、μCR−DPF30又はmCR−DPF40に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ32から入力した排気温度に基づいて、油圧バルブ64、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28を制御する情報を出力し、排気温度を所定の温度範囲に制御するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、排気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0133】
一般的な傾向としては、排気温度が低い場合には油圧バルブ64を制御して内部EGRを増加する情報、吸気絞り24を絞る制御情報、排気絞り26を絞る制御情報等を出力するが、ディーゼルエンジン10の運転状況に応じて切替弁28をμCR−DPF30側に切り替える制御情報を出力するようにしてもよい。
【0134】
また、図10に示すようにディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22を吸気マニホールド12等に備え、制御手段20は、吸気温度センサ22から入力した吸気温度に基づいて、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28を制御する情報を出力するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、吸気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0135】
このように、制御手段20が排気温度又は吸気温度を入力して排気温度を制御することによって、安定した使用条件から逸脱して排気の温度が変化した場合であっても、所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0136】
また本発明では、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。
【0137】
図1及び図10に示したディーゼルエンジンの排気浄化装置では、共に排気2段カムを用いた内部EGRによる高温の排気の再循環を行なっている。また本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置では外部EGRを設けているので、CR−DPFにてPMの連続再生をするのに十分な排気温度が得られている場合には、排気2段目リフトによる内部EGRを減少又は停止させて、外部EGRによる排気の再循環を多くして、NOxの排出量を低減することが可能である。
【0138】
排気2段カムのリフト量や作用角を固定としてもよいが、より広い運転範囲でNOx排出量の低減制御を行なう場合には、排気2段目のカムリフト量をエンジンの運転状況に応じて可変にすることも考えられる。
【0139】
図12に、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示す。
同図に示すように排気カムシャフト57には、通常の排気行程を行なうにあたって、エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排気せしめるために、排気バルブ54を開く第1の排気バルブタイミングを設けた排気第1カム70(図12には排気1段目カムと記載)が設けられている。
また、排気カムシャフト57には、第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程の終了時期付近で排気バルブ54を開けて、多量の排気を燃焼前のシリンダに戻す第2のバルブタイミングを加えた第2排気カム72(図12では排気2段目カムと記載)が設けられている。なお、前記第1の排気カム70には、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブ54を少量開ける低リフトの排気バルブタイミングを備えていてもよいし、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブ54を開かない通常のカム形状としてもよい。
【0140】
通常の排気行程を行なうための第1排気カム70は、排気ロッカーアームのタペット部に当接する。排気ロッカーアームは、ロッカシャフトを支点としてカムシャフト57の回転角度とカム形状に対応した揺動運動を行なう。2つの排気ロッカーアームの先端には排気バルブに当接する隙間調整ねじが備えられており、該隙間調整ねじを介して排気バルブ54を駆動することが可能となっている。
【0141】
前述のように第1排気カム70には、低リフトの内部EGR用のカム山が設けられていてもよい。中負荷又は高負荷運転時にも高温の排気を再循環させて、所定の排気温度を維持する必要がある場合には、第1排気カム70に低リフトの内部EGR用のカム山を設けておく。
また、中負荷又は高負荷運転領域において、内部EGR無しでも排気温度が十分得られる場合には、第1排気カム70に内部EGR用のカム山を設ける必要は無い。
【0142】
中負荷又は高負荷の運転時において、第2排気カム72を用いた内部EGRによる排気の再循環量を減らしたい場合、又は中止したい場合には、同図に示す制御油圧を抜いておく。この状態では、排気ロッカアームは各々の第1排気カム70のリフトに従って揺動する。
【0143】
第2排気カム72には、低負荷時に高温の排気を再循環させる内部EGR用の第2のカム山が設けられている。排気2段目ロッカアームも第2排気カム72のリフトに従って揺動しているが、第1ピン及び第2ピンは戻しバネの機能によってそれぞれ排気ロッカアーム及び排気2段目ロッカアーム内に収納されているので、制御油圧が抜かれている状態では排気2段目ロッカアームは空振りしている。
【0144】
低負荷運転領域において、高温の排気を多量に再循環させるための内部EGRを機能させる場合には、制御手段20は内部EGR用の油圧バルブ64(バルブタイミング切替手段の機能を含む)を制御する情報を出力して、制御油圧をロッカシャフト内に圧送する。すると排気ロッカアーム内の第1ピンが戻しバネの押圧力に対抗して図12に示す右側に移動し、当接している第2ピンも共に右側に移動する。
【0145】
すると2つの排気ロッカアームと排気2段目ロッカアームとが連動して動揺するので、第2排気カム72のリフトカーブに従って排気ロッカアームが揺動し、2つの排気バルブ54は吸気行程の終了付近でリフトして、排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する。
【0146】
なお図12に示す例では、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構として、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示したが、本発明は図12に示す例に限定されるものではなく、他の機械的、油圧式、又は電気制御式の排気バルブ駆動機構を備えた内部EGR機構を用いても、本発明の目的を達成することが可能である。
【0147】
図13は、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構を備えた場合のiTP制御マップを示す図である。
同図に示す例では、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構として、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段を用いたiTP制御マップの例を示している。以下に図13に基づいてiTP制御マップの説明を行なうが、図9にて行なった説明と重複する部分については説明を省略する。
【0148】
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されている。制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(エンジン負荷割合APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(エンジン回転数割合Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、油圧バルブ64、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26とを制御する情報を出力する。
【0149】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを70%以上踏み込んでいる中負荷又は高負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧の供給を停止する指令を出力している。この状態ではロッカシャフトに対して制御油圧の供給は停止されるので、前述のとおり排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行なわない。したがって内部EGRによる排気の再循環量は少ないか、全く行なわれない状態となる。
【0150】
この運転状態で高温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環させると燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加してしまう。また、高負荷時においてEGRを行なうと相対的に新気が減少するので、出力の低下やPMの排出量の増大を招くことになる。
【0151】
エンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを65%まで戻すと、燃料の供給量の減少に伴って燃焼温度及び排気温度が低下するので、制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧を供給する旨の指令を出力する。すると前述のとおり排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行ない、内部EGRによる排気の再循環量は増大する。
【0152】
この状態では、燃焼前のシリンダ内に高温の排気が再循環されるので燃焼温度が上昇し、排気温度もPMの連続再生に必要な所定の温度を維持することが可能となる。同図に示すiTPマップによれば、アクセルペダルの踏み込み量が65%でも排気の再循環を行なっているが、吸気絞り24の開度は100%であるために、燃焼前のシリンダに戻す排気の再循環量は低負荷の場合と比較して少量である。この状態で多量の排気を再循環させると、燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加してしまう。したがって、この運転状態における排気の再循環量は、CR−DPFにおいてPMの連続再生可能な排気温度が得られる程度、又はDOC(酸化触媒)が有効に機能するための排気温度が得られる程度に設定しておくと良い。
【0153】
エンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを20%まで戻すと、燃料の供給量の減少に伴って更に燃焼温度及び排気温度が更に低下するので、図9に示した制御と同様に制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を30%まで絞る制御情報を出力する。吸気絞り24が吸気経路を30%まで絞ると、吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると、圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気温度が上昇し、CR−DPFにおいてPMの連続再生可能な排気温度を維持できる。
【0154】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を更に8%付近まで戻した場合には、図9に示した実施例と同様に、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力し、排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力して、排気温度を所定の温度に維持する制御を行なっている。
【0155】
また同図に示すように、たとえばアクセルペダルの踏み込み量が20%であって、エンジン回転数割合が80%から90%に増加した場合運転状態では、単位時間あたりの燃焼、排気のサイクルが増加するので排気温度が所定の温度に上昇する。制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧の供給を停止する指令を出力する。すると排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行なわなくなるので、内部EGRによる排気の再循環量は少ないか、全く行なわれない状態となる。
【0156】
この運転状態でも燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加する傾向があるので、内部EGRによる高温の排気の再循環を抑制する。
【0157】
また、図9に示したiTPマップの実施例と同様に、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。図13に示すように、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置では、低温の排気を再循環する外部EGRと高温の排気を再循環する内部EGRとを組み合わせることによって、燃焼温度と排気温度を所定の範囲に制御するようにしているので、CR−DPFにおいてPMを連続再生可能な排気温度を維持しつつ、NOxの排出量を抑制することが可能となる。
【0158】
図14は、内部EGR付且つターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置を示す図である。
本発明に係る内部EGR付ディーゼルエンジンの排気浄化装置をターボ過給機付のディーゼルエンジンに適用する場合において、外部EGRによる排気の再循環を効果的に行なうためには、ターボ過給機の配置と外部EGR配管の配置等の位置関係が問題になる。
【0159】
過給機付のディーゼルエンジンの外部EGRについてはすでに知られているように、高負荷運転領域の一部等にてターボ過給機コンプレッサ出口側の圧力が、過給機の排気タービン入り口側の排気管内圧力に近づく場合がある。この場合には、外部EGRをインタークーラ出口側などの吸気側に効果的に導入することができなくなる。
【0160】
そこで本発明に係る内部EGR付ディーゼルエンジンの排気浄化装置をターボ過給機付のディーゼルエンジンに適用する場合には、図14に示すようにEGR配管66をターボ過給機68の前段に接続して、大気圧又は負圧となっている吸気管内に排気を戻すようにすれば、過給圧に関係なく効果的に外部EGRを行なうことが可能となる。
【0161】
排気の採取場所は、排気ポートに近い方が排圧が高いのでEGRを行なうには有利であるが、ディーゼルエンジンの排気にはPMやHC、潤滑油の蒸気などを含む場合があり、この排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させると、コンプレッサの翼やインタークーラを汚損することになる。
【0162】
PM等を含む排気をコンプレッサの前段に再循環させると、PM等がコンプレッサの翼面に付着して翼の形状を変化させるとともに翼通路幅を狭くしてしまい、コンプレッサ効率の低下を招くことになる。また、PM等が吸気の経路に設けられているインタークーラの冷却フィンに付着することにより、吸気の冷却性能の低下を招くことになる。これらはいずれも燃焼の不具合を引き起し、エンジンの出力の低下や性能劣化を引き起こすことになる。
【0163】
また、大気の温度よりも高温の排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させると、コンプレッサの翼の温度が上昇し、コンプレッサ翼の熱応力限界を超えてしまう可能性もある。
【0164】
図14に示すターボ過給機付のディーゼルエンジン10の吸気経路には、吸気を濾過するエアクリーナと、新気の流量を調節する吸気絞り24Aと、排気を再循環するEGR配管66の接続部と、排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機68のコンプレッサと、加圧により高温になった吸気の温度を下げて空気の密度を上げるインタークーラ(I/C)と、吸気の流量を制限して内部EGRによる排気の再循環量を調節する吸気絞り24と、吸気を各シリンダの吸気ポートに供給する吸気マニホールド12とが設けられている。
【0165】
ターボ過給機付のディーゼルエンジン10の排気経路には、各シリンダの排気ポートから排出される燃焼後の排気を通す排気マニホールド14と、エンジンの排気を絞ることによって排圧を高くしてシリンダに戻す排気のガス量を増やす制御を行なう排気絞り26と、排気に含まれるネルギーを用いて吸気を加圧するためのターボ過給機68のタービンと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する小型のμCR−DPF30と、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2に転化させるとともにPMを連続再生処理する大型のmCR−DPF40と、ディーゼルエンジン10の運転状況に応じて排気の流路をμCR−DPF30又は大型のmCR−DPFに切り替える切替弁28とが設けられている。
【0166】
また、ディーゼルエンジン10の外部EGR経路には、CR−DPFの後段から排気を吸気側に再循環する際のEGR配管66と、再循環する排気を冷却するEGRクーラと、排気を再循環する流量を制御する外部EGRバルブ44とが設けられている。
排気絞りは、mCR−DPF40の前段に排気絞り26Cとして設けられていてもよいし、mCR−DPF40の後段に排気絞り26Dとして設けられていてもよい。
【0167】
同図に示すように、吸気絞り24Aを吸気管とEGR配管66の接続部以前に設けた場合には、吸気絞り24Aを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0168】
また、吸気絞り24をターボ過給機のコンプレッサの後段且つ吸気ポートの前段に設けることによって、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。ターボ過給機68の前段に設けた吸気絞り24Aのみを動作させて内部EGRによる排気の再循環量を制御することも可能であるが、ターボ過給機の回転数が上昇している高負荷運転時において吸気絞り24Aを用いて吸気流量を大きく絞った場合にはタービンが過回転となって、最悪の場合ターボ過給機68を破損する可能性がある。
また、ターボ過給機68のコンプレッサ吸入側圧力と吐出圧力との差が大きくなるとともに流量が減少した場合などには、コンプレッサがサージ現象を起こし、コンプレッサとしての安定作動領域からはずれることもある。この場合も吸気が逆流するなどして最悪ターボ過給機68を破損する可能性がある。
本発明によれば、吸気絞り24A及び吸気絞り24を適宜調節することによって、ターボ過給機68を安全な運転領域に置きながらEGR量を調節することが可能である。
【0169】
また、CR−DPFの後段からターボ過給機68のコンプレッサ前段まで排気を再循環するEGR配管66は、経路長が長いために排気が冷却され易く好都合である。外部EGRによる排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させても、再循環する排気の温度が比較的低温になっているので、熱によるコンプレッサの翼の破損を抑制することが可能となる。またEGR配管66の途中に、排気を冷却するEGRクーラを設けることによって、更に再循環する排気を低温にしてコンプレッサ翼の破損を抑制することが可能となる。
【0170】
また、大量のEGRを燃焼前のシリンダに再循環させた場合であっても、CR−DPF通過後の排気はPMやHC、潤滑油の蒸気などが捕集除去されたり、既にH2OやCO2に転化されているので、PMによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能であるとともに、ターボ過給機68のコンプレッサ翼面にPM等が付着して不具合を生ずることはない。したがって、外部EGRを行なった場合であっても、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を引き起こすことはない。
【0171】
図15は、ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置の他の実施例を示す図である。
同図に示す排気浄化装置は、図14に示した過給機付のディーゼルエンジン10の排気浄化装置において、μCR−DPF30及び切替弁28を省いた場合の実施例である。ディーゼルエンジンの特性上、又は排気経路の取り回し上、μCR−DPFを独立して設けなくても、CR−DPF41に到達する排気温度をPMを連続再生可能な温度に設定可能な場合には、同図に示す構成としても、本発明の目的を達成することが可能である。
【0172】
図16は、ベースエンジン、内部EGRを使用した場合、外部EGRを使用した場合、内部EGRと外部EGRとを併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
また図17は、各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
図16及び図17に示すように、内部EGRと外部EGRとを併用する場合には、外部EGRのみを使用する場合と比較してNOxの排出量は多くなるが、CR−DPFにおけるPMの連続再生の必要性を考慮すると、内部EGRと外部EGRとの併用が必要となる。
【0173】
図18は、ベースエンジン、全域動作する内部EGRを使用した場合、全域動作する内部EGRと外部EGRとを併用した場合、排気バルブタイミングを切り替えて2段式の内部EGRを実現して外部EGRと併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
また図19は、各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【0174】
エンジンの運転領域全域で固定の排気2段カムで内部EGRを実現する場合には、高負荷時のPM排出量が増大する制約があるために、軽負荷で必要なEGRを十分に導入することができない。
そこで本発明のように、第1排気カム70と第2排気72を別々に設けて、エンジンの運転状況に応じて両者を切り替えて使用することによって、NOxの排出量を低減しつつ、CR−DPFにてPMを連続再生可能な排気温度を維持することが可能となる。
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0176】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて実施する内部EGR用の排気バルブタイミング又はバルブリフトを切り替える排気バルブタイミング切替手段と外部EGRバルブと吸気絞りと排気絞りとを、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0177】
また他の発明によれば、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒は排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能となる。また酸化触媒は、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることが可能となるので、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能となる。
【0178】
また他の発明によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、該排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0179】
また他の発明の形態によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、外部EGRバルブと、吸気絞りと、排気絞りとを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0180】
また他の発明によれば、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0181】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段からターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能となる。また、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能となる。
【0182】
また他の発明によれば、外部EGRの配管経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたので、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることが可能となり、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0183】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたので、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0184】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたので、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。また、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能となる。
【0185】
また本発明に係るディーゼルエンジンのディーゼルエンジンの排気浄化装置では、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることが可能であるので、旧車種であっても、厳しくなる排ガス規制に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の全体構成を示す図である。
【図2】 燃焼前のシリンダに排気を直接戻す内部EGR機構を備えたディーゼルエンジンの燃焼室部分の断面図である。
【図3】 ピストン60の位置と吸気バルブ52のリフト量及び排気バルブ54のリフト量との関係を示す図である。
【図4】 内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
【図5】 内部EGRと外部EGRの対EGR率と排気ガス温度との特性比較を示す図である。
【図6】 内部EGRと外部EGRの対EGR率とNOxの排出量との特性比較を示す図である。
【図7】 各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
【図8】 各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率と排ガス温度との特性比較を示す図である。
【図9】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
【図10】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図11】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
【図12】 エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示す図である。
【図13】 排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構を備えた場合のiTP制御マップを示す図である。
【図14】 ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置を示す図である。
【図15】 ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置の他の実施例を示す図である。
【図16】 ベースエンジン、内部EGRを使用した場合、外部EGRを使用した場合、内部EGRと外部EGRとを併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
【図17】 各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【図18】 ベースエンジン、全域動作する内部EGRを使用した場合、全域動作する内部EGRと外部EGRとを併用した場合、排気バルブタイミングを切り替えて2段式の内部EGRを実現して外部EGRと併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
【図19】 各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【符号の説明】
10…ディーゼルエンジン
12…吸気マニホールド
14…排気マニホールド
16…アクセルポジションセンサ
18…回転センサ
20…制御手段
22…吸気温度センサ
24…吸気絞り
26…排気絞り
28…切替弁
30…μCR−DPF
32…排気温度センサ
34…メイン排気管
36…マイクロ排気管
40…mCR−DPF
41…CR−DPF
42…排気温度センサ
44…外部EGRバルブ
50…シリンダヘッド
52…吸気バルブ
54…排気バルブ
56…排気カム
57…排気カムシャフト
58…シリンダ
60…ピストン
62…噴射ノズル
64…油圧バルブ
66…EGR配管
68…ターボ過給機
70…第1排気カム
72…第2排気カム
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置に係り、特にカーボンを主成分とするパティキュレートの排出と窒素酸化物の排出を低減するディーゼルエンジンの排気浄化装置並びに制御手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、シリンダにコンプレッサハウジング11aを介してエアを供給する吸気通路15が吸気ポート14に接続され、シリンダ内の排ガスをタービンハウジング11bを介して大気に排出する排気通路17が排気ポート16に接続されているターボ過給機付エンジンの排ガス再循環装置が示されている。またこの発明では、排気通路及び吸気通路を接続するEGR通路21aに吸気通路に還流される排ガスの流量を調整可能なEGRバルブ21bが設けられ、上記EGR通路及びEGRバルブにより外部EGR装置21が構成されている。またエンジン12にはシリンダの吸気行程時に排気弁を開いて排気通路からシリンダに排ガスを導入する内部EGR装置が設けられる。そして、回転センサ43及び負荷センサ44の各検出出力に基づいてコントローラ46がEGRバルブを制御する旨の記載がある(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献2には、吸気弁の弁リフト特性の切換時、該切換作動遅れ時間TD2 (TD4) とEGR弁の作動遅れ時間TD3 (TD5)との差分TD1だけEGR弁の作動開始を遅らせ、かつ、EGR弁の開度を徐々に変化させて、変化する外部EGR量と弁リフト特性切換により変化する内部EGR量との合計値が略一定に保持されるようにした内燃機関のEGR制御装置が示されている(特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献3には、単一の気筒P1に設けられたプライマリおよびセカンダリ吸気ポートP2,P3と、セカンダリ吸気ポートP3に設けられた筒内流動強化用のシャッタ弁P4と、吸気過給用過給機P5と、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段P6の出力に基づいて低負荷側ではエンジンに供給される空燃比がリーンとなるように制御する空燃比制御手段P7と、低負荷側ではシャッタ弁P4を閉成し、高負荷側では開成する第1の制御手段P8とを備え、シャッタ弁P4閉領域では高温のEGRガスを還流するホットEGR手段P9と、シャッタ弁P4開領域では低温のEGRガスを還流するコールドEGR手段P10とを備える過給機付エンジンの排気還流装置が示されている(特許文献3参照。)。
【0005】
特許文献4には、排気通路16に配置されるタービン6bと吸気通路3に配置されるコンプレッサ6aとを有する過給機6と、タービン6b下流の排気通路16と吸気通路3とを接続して排気ガスの一部を内燃機関の吸気系に再循環せしめる排気再循環装置23,24,25とを備え、コンプレッサ上流側の吸気通路3に、前記排気ガスの一部を再循環せしめるための導入口23a と、吸気通路3を開閉自在とするスロットル弁20とを順に配置した内燃機関の排気浄化装置であって、スロットル弁20が全閉動作した時、コンプレッサ6aに対し所定流量の吸気を流して負荷を与えるフェイルセーフ手段21をコンプレッサ6a上流側の吸気通路3に設けた過給機付き内燃機関の排気浄化装置が示されている(特許文献4参照。)。
【0006】
特許文献5には、排気通路に配設された排気タービンと吸気通路に配設された吸気コンプレッサとを有するターボチャージャーと、該排気タービンより上流側の排気通路と該吸気コンプレッサより下流側の吸気通路とを連絡する第1のEGR通路と、該第1のEGR通路に配設された第1のEGRバルブと、該排気タービンより下流側の排気通路に配設された酸化触媒およびパティキュレート・フィルタとを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、エンジンの排気温度領域が該酸化触媒の活性温度領域より高温領域となる場合に該第1のEGRバルブを絞る制御を行い、エンジンの排気温度領域が該酸化触媒の活性温度領域よりも低温領域となる場合には該吸気シャッタと該排気シャッタのいずれか一方または双方を絞る制御を行うディーゼルエンジンの排気浄化装置が示されている(特許文献5参照。)。
【0007】
特許文献6には、過給機6よりも上流側に接続されたEGR通路14には、ガスの流れ方向に順に、逆止弁15、触媒で構成されたフィルタ16、冷却器17、コントロ−ルバルブ18が介設されている過給機付エンジンの排気ガス還流装置が示されている。当該文献では、EGRガスは、先ずフィルタ16を通過して固形成分が除去され、その後冷却器17によって冷された後に吸気通路2(過給機6よりも上流側)に還流されており、フィルタ16は触媒で構成されているため、フィルタ16に付着したカ−ボン等は触媒作用によってその燃焼が促進され、フィルタ16は自浄機能を持つことになる旨の記載がなされている(特許文献6参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−107810号公報 (第1−2ページ、第1−6図)
【特許文献2】
特開平8−158954号公報 (第1−2ページ、第1−6図)
【特許文献3】
特開平7−224726号公報 (第1−2ページ、第1図)
【特許文献4】
特開2002−106398号公報 (第1−2ページ、第1−9図)
【特許文献5】
特開2002−276405号公報 (第1−3ページ、第1−7図)
【特許文献6】
特開平5−187329号公報 (第1−2ページ、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に記載のターボ過給機付エンジンの排ガス再循環装置では、特許文献1の図4及び図6に示されているように、エンジンの高トルク側(高負荷側)において高温の排気をシリンダ内に戻す内部EGRを用いているために、EGRを行なわなくても排気温度が高温の領域で内部EGRを行なうことによって更に排気温度が高温になってしまう。
【0010】
エンジンの高トルク側において高温の排気をシリンダ内に大量に戻す内部EGRを用いると、吸入酸素量が減少するのでPM(スモーク)の排出量が大幅に増大するという不具合を生ずる。
【0011】
また、特許文献1に記載の発明は、ターボ過給機付エンジンの吸排気圧力特性は過給機の性能に依存していることに基づく不具合を解決する発明である。ターボ過給機付エンジンの軽負荷時には、排気温度が低く排気の量も少ないために過給機の性能が悪く、排気圧力(排気タービン入口圧)に対してコンプレッサ出口圧は低い。したがって給気マニホールド圧も低く、排ガスを給気マニホールドを通じて筒内に環流させることは可能である。しかし、高負荷側では、排ガス温度が高く排気の量が多くなり、その結果過給圧が上昇して給気マニホールド内の圧力も高くなるので、排気を給気マニホールドに戻して筒内に環流させることが困難になる場合がある。
【0012】
過給付きエンジンのEGRにはこのような特性があるために、高負荷側ではEGRが導入しにくくなるという状態になっている。特許文献1に記載の発明は、このような状況を解決するためのものであり、過給機付きエンジンの低負荷から中負荷運転時のみならず中負荷から高負荷運転時の全ての運転領域でシリンダに排気を還流するために排気2段カムを使用している。
【0013】
したがって特許文献1の発明では、軽負荷領域に於いてEGR量を多く設定する際に、内部EGRに加えて外部EGRを併用することによってしかEGR量を多くすることができないという欠点がある。
【0014】
特許文献2に記載の内燃機関のEGR制御装置では、弁リフト特性の切り替え時にEGR率をなめらかに変化するようにして、トルク変化とNOxの排出量の変化とをともに制御することを目的とするものであり、排気温度及びNOxの排出量を制御することができないという不具合を生じている。
【0015】
特許文献3に記載されているホットEGR、並びに特許文献5に記載されている第1のEGRは、排気ポート、排気マニホールド、又は排気管から、吸気ポート、吸気マニホールド内部又は吸気管内に排気を戻す外部EGR方式である。この外部EGR方式では、高温の排気を低温の吸気マニホールド等に戻してしまうためにEGRの排気が冷却されてしまうという不具合を生じる。
【0016】
特に特許文献3並びに特許文献5に紹介されているクロスフロー型の燃焼室を持つエンジンの場合には、EGRの経路が長くなるのでEGR用の排気が急激に冷却されてしまい、低負荷又は低回転時にEGRの量を増やしても、排気の温度はDOC(Diesel Oxidation Catalyst)やDPF(Diesel Particulate Filter)が有効に機能する温度に達しないという不具合を生ずる。
【0017】
また、特許文献3の請求項12に記載の発明では、ホットEGRとして排気弁オーバーラップにより内部残留ガスを吸気側へ還流する内部EGRに設定する旨の記載があるが、排気弁のオーバーラップが多い場合には低回転時の新気の量が不安定になり易く低回転時の燃焼が不安定となる傾向にある。
【0018】
一般に低回転型のエンジンの場合にも、バルブのオーバーラップは存在している。しかし、低回転型のエンジンのバルブオーバーラップでは、筒内に残留する排気の量はそれ程多くなく3〜5%程度である。この残留する排気の量を更に増大するためにオーバーラップを増大すると、新気が十分に吸入できないために、特に低速域かつ高負荷域で多くのPM(パティキュレート・マター)が排出される。
【0019】
したがって、NOxについて低減効果を出そうとすると、PMの増大を防止するために燃料噴射量を少なくせざるを得ず、低回転時におけるトルク、出力の低下を招くことになるという不具合が発生する。したがって、低回転時において大トルクを発生する必要があるエンジンには不適切であるという不具合を生じていた。
【0020】
また特許文献4に記載の過給機付き内燃機関の排気浄化装置では、過給機の過回転を防止することが可能であるが、広範囲の運転領域でNOxの排出を低減しつつPMの排出を低減することができないという不具合を生じていた。
【0021】
特許文献5に記載の発明では、図4(a)に示されているとおり、負荷が低くてエンジン回転数が高回転の場合であっても吸気シャッタの開度を1/4〜2/4と絞る制御を行なっている。この負荷領域で吸気を絞る制御を行なうと、エンジン回転数が高回転の時に吸気する空気量が減少するために、排気にPMが多く含まれるという不具合や、吸気流量の減少により燃費が悪化するという不具合を生じる。
【0022】
そこで本発明は上記従来の不具合に鑑みてなされたもので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0023】
また本発明は、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒が排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。また本発明は、酸化触媒に対して、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることを可能とするとともに、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0024】
また本発明は、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0025】
また本発明は、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することをと目的としている。また本発明は、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0026】
また本発明は、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることを可能とし、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0027】
また本発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設け、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0028】
また本発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することを可能とするとともに、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0029】
また本発明は、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることによって、旧車種であっても厳しくなる排ガス規制に対応することが可能なディーゼルエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0031】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0032】
また上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0033】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて実施する内部EGR用の排気バルブタイミング又はバルブリフトを切り替える排気バルブタイミング切替手段と外部EGRバルブと吸気絞りと排気絞りとを、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0034】
また上記課題を解決するために請求項3に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒を排気経路に備えたことを特徴としている。
【0035】
本発明によれば、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒は排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能となる。また酸化触媒は、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることが可能となるので、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能となる。
【0036】
また上記課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、制御手段は、排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴としている。
【0037】
本発明によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、該排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0038】
また上記課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0039】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、外部EGRバルブと、吸気絞りと、排気絞りとを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0040】
また上記課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、制御手段は吸気温度センサから入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力することを特徴としている。
【0041】
本発明によれば、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0042】
また上記課題を解決するために請求項16に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0043】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段からターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能となる。また、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能となる。
【0044】
また上記課題を解決するために請求項19に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、外部EGR配管の経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたことを特徴としている。
【0045】
本発明によれば、外部EGRの配管経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたので、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることが可能となり、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0046】
また上記課題を解決するために、請求項20に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたことを特徴としている。
【0047】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたので、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0048】
また上記課題を解決するために、請求項21に記載の発明は、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたことを特徴としている。
【0049】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたので、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。また、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能となる。
【0050】
また本発明に係るディーゼルエンジンのディーゼルエンジンの排気浄化装置では、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることが可能であるので、旧車種であっても、厳しくなる排ガス規制に対応することが可能となる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の全体構成を示す図である。
【0052】
同図に示すように、ディーゼルエンジンの排気浄化システムには、排気を浄化する対象となるディーゼルエンジン10と、ディーゼルエンジンの各シリンダに新気を導入する吸気マニホールド12と、各シリンダから排出される燃焼後の排気を通す排気マニホールド14と、運転手がディーゼルエンジンの出力を制御する情報を入力するためのアクセルペタルの踏み込み量を検出して制御手段20等に伝達するアクセルポジションセンサ16と、ディーゼルエンジンのクランクシャフトの回転角などを読み取って制御手段20に対して回転角信号(エンジンの回転数信号を含む)を出力する回転センサ18とが設けられている。
【0053】
なお、アクセルペダルの踏み込み量は、図示しない燃料噴射装置に伝達され、エンジンの出力を制御することが可能となっている。
【0054】
またディーゼルエンジンの排気浄化システムには、エンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22と、エンジンの吸気を絞ることによってシリンダに吸入される新気の量を調節する吸気絞り24と、エンジンの排気を絞ることによって排圧を高くしてシリンダに戻す排気のガス量を増やす制御を行なう排気絞り26とが設けられている。
【0055】
またディーゼルエンジンの排気浄化装置には、ディーゼルエンジンの排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒DOCと、排気中に含まれるPM(パティキュレート・マター)を捕集して処理するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)とを1つの容器に納めたCR−DPF41と、CR−DPF41に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ42とが設けられている。
【0056】
連続再生型の排気浄化装置として、上記のように前段のディーゼル用酸化触媒DOCとPM捕集フィルターとを設けてもよいし、触媒担持型の単独PM捕集フィルターを用いても本発明の目的を達成することが可能である。
【0057】
吸気絞り24には、吸気絞り弁のアクチュエータが備えられており、制御手段20から出力される制御情報に基づいて吸気絞り弁を任意の開度に設定可能となっている。また吸気絞り24に、吸気の絞り弁開度を検出するiTP開度センサを設け、iTP開度フィードバック用の開度信号を制御手段20に出力するようにしてもよい。また同図では、吸気絞り24を吸気マニホールド12の集合管路に1つ設けた実施例で説明しているが、本発明は吸気絞り24の取付位置等を図1に示したように限定するものではなく、吸気マニホールド12内の各シリンダへの枝内に独立して設けるようにしてもよい。
【0058】
また図1に示すディーゼルエンジンの排気浄化装置には、排気マニホールド14等から取得した排気を冷却して吸気マニホールド12等に還流する際に、再循環させる排気の流量を調節する外部EGRバルブ44が設けられている。この外部EGRバルブ44は、アクセル踏み込み量とエンジンの回転数等のパラメータに基づいて、開閉のタイミングや開度を適宜設定することが可能となっている。
【0059】
なお、図1に示す外部EGRの例では、排気マニホールド14から再循環する排気を取得しているが、本発明は排気マニホールド14から排気を取得する例に限定されるものではなく、CR−DPF41の後段から浄化された排気を取得し、排気の温度を積極的に下げるEGRクーラを介して吸気マニホールド12又は吸気絞り24の前段に戻すように構成してもよい。EGRクーラの冷媒は、エンジン冷却水を用いてもよいし、車両の走行風を用いるものであってもよい。
【0060】
更に本発明では、排気温度が特に低い低回転の運転領域及び低負荷の運転領域において、高温の排気を燃焼前の燃焼室に直接再循環させるために、以下の図2及び図3に示す特殊な排気カムを用いた内部EGR機構を用いて高温の排気を燃焼前のシリンダに供給するようにしている。
【0061】
図2は、燃焼前のシリンダに排気を直接戻す内部EGR機構を備えたディーゼルエンジンの燃焼室部分の断面図である。
【0062】
同図に示すように、ディーゼルエンジンの燃焼室部分には、吸気バルブ52、排気バルブ54及び噴射ノズル62を備えるとともに燃焼室を形成するシリンダヘッド50と、燃焼圧力を受け止めてクランクシャフトに回転力を伝達するピストン60と、ピストン60の摺動面となるシリンダ58とが設けられている。
【0063】
排気バルブ54の排気タイミングとリフト量を定めている排気カム56には、通常の排気行程を行なうために排気バルブ54を開く第1のカム山と、吸気行程の終了時期付近で排気バルブ54を少し開く第2のカム山との2つのカム山が設けられている。
【0064】
このように排気カム56に2つのカム山を形成することにより、通常の燃焼後の排気行程で排気バルブ54を開いて燃焼後の排気を排気マニホールドに流出する機能と、吸気行程の終了付近で再び排気バルブ54を適量開いて排気を燃焼室に戻す機能とを備えることが可能となっている。
【0065】
図3は、ピストン60の位置と吸気バルブ52のリフト量及び排気バルブ54のリフト量との関係を示す図である。
【0066】
通常のディーゼルエンジンの給排気のタイミングと同様に、燃焼後ピストン60が下死点に到達する前から排気バルブ54が開き始め、燃焼ガスの排気を開始する。クランクシャフトが約半回転してピストン60が上死点に近づくと、その排気行程の終了付近で吸気バルブを開き始めて次の燃焼のための新気の導入を開始する。
【0067】
ピストンが再び下死点に近づき、吸気行程が終了する近傍では、一般のエンジンでもシリンダ58内の圧力よりも排気マニホールド14内の圧力の方が高いので、ここで再度排気バルブ54を開いた場合には、排気マニホールド14より上流の排気ポートから直接高温の排気が直接シリンダ内に逆流して、吸入した新気とともに排気がシリンダ内に充填される。
【0068】
ピストンが下死点を通過した後から圧縮行程を開始する。一般に圧縮前のシリンダ内の気体の温度T1及び圧力P1と、圧縮行程終了後の気体温度T2及びP2との関係は以下の式で表される。
T2=T1(P2/P1)(κ−1)/κ…(式1)
k:気体の比熱比(空気の場合1.4)
【0069】
ディーゼルエンジンの圧縮比を、P2/P1=16とした場合には、(P2/P1)(κ−1)/κ=2.208となる。したがって、圧縮前の空気に燃焼後の高温の排気を混入して、圧縮前の気体の温度が10℃上昇した場合には、圧縮後の温度は22.08℃上昇することになり、過剰空気が少ないこともあいまって燃焼後の排気温度も上昇するので、CR−DPF41内に捕集したPM(スート、煤などを含むスモーク)を連続再生しやすくすることが可能となる。また、排気をNOx還元触媒に通す場合にも、触媒を有効に機能させるために、広範囲な運転状況における排気温度維持のための制御は必須である。
【0070】
ただ単に排気温度を上昇させるのであれば、排気カムの第2のカム山のリフトを高く、又は動作角度を広く設定し、シリンダ内に逆流する排気の量を増大させて、低負荷時の排気温度を高く維持しつつNOxの排出量を低減させることが可能である。
【0071】
ところが、同図に示す第2のカム山による排気バルブ54のリフトは、エンジン運転領域全域でリフトするため、高負荷時のように燃料供給量と比較して空気量が少なくなる領域では、排圧が高くなるので排気の逆流も多くなる。また、燃焼温度が高く燃焼室が高温になることにより、吸入する新気の量が減少して更に酸素濃度が低下して不完全燃焼となりやすく、所定の出力が得られないことになるとともに、PMがCR−DPF41における再生可能量を超えて大量に発生することになる。また、高負荷運転時において高温の排気を再循環する内部EGRの量が多くなると、EGR無しの場合と比較して更に酸素量が減少するために、PM(スモーク)が多量に発生するという不具合を生じる。
【0072】
PMがCR−DPF41の再生可能量を超えて大量に発生すると、CR−DPF41内部においてPMが堆積して排圧の急増を招き、燃費を大幅に悪化させることとなる。また、運転状況の変動により排気温度が上昇した場合には、堆積している大量のPMが連鎖的に燃焼を開始し、CR−DPF41を熔損に至らしめる可能性もある。
【0073】
PMの連続再生に十分な排気温度が得られる中負荷時においても、NOxの排出量を減少させる観点から不活性ガスの排気を再循環する必要性があるが、高温の排気を燃焼前のシリンダに戻すと酸素量が減少するために、PM(スモーク)が増加してしまうので、比較的低温の排気を外部EGRを用いて再循環する必要がある。
【0074】
また逆に、第2のカム山による排気バルブ54のリフトを低く、又は動作角度を狭く設定すると、シリンダ58内への排気の逆流量が少なくなり、低負荷時においてPMの連続再生に必要な排気温度が得られなくなるなど、所定の排気温度を維持することが可能なエンジン運転領域が狭くなってしまう。また、低負荷時において排気の再循環量が少ない場合には、新気に含まれる酸素の量が比較的多く、燃焼中にNOxが多く発生し易いという不具合を生じる。したがって低負荷時では、燃焼温度を維持しつつ多めにEGRをかけたいという要望がある。
【0075】
後述するように、排気バルブのリフト量を可変する技術(可変バルブタイミング機構など)を本発明に適用することも可能であるが、現在走行中のディーゼルエンジン車両に対してレトロフィットの形で本願発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置を装着し、排出されるPMを減少させようとする場合には、固定のカム山を備えていた方が改造作業を行なうにあたってのコストが安価となるので好都合な側面がある。
【0076】
冷却された排気をエンジン10の吸気マニホールド12に戻す外部EGRでは、再循環する排気の温度を低くできれば新気量は冷却されない排気を戻した場合よりも多くなるので、シリンダ内に吸入される酸素の量も多く維持できる。そのため中負荷の運転領域ではNOxの発生を抑制するために外部EGRを多くしつつ、PMの発生を低減することが可能である。
【0077】
図4は、内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
外部EGRを用いると、内部EGRを用いた場合と比較して燃焼室の温度が低下するので、新気の量が多くなりPM(スモーク)の発生度合いは少ない。したがって、中負荷運転時や高負荷運転時において、NOx排出量の低減を図るために所定のPM排出レベルまで多くのEGRをかけたい場合には、外部EGRが有効である。
【0078】
図5は、内部EGRと外部EGRの対EGR率と排気ガス温度との特性比較を示す図である。
内部EGRを用いると、外部EGRを用いた場合と比較して排気温度が高くなるので、特に低負荷側で排気温度を高めたい場合には有効である。また逆に、NOxの排出量を少なくしたい場合などのように、燃焼温度を押さえつつEGR率を多くしたい場合には外部EGRが有効である。
【0079】
図6は、内部EGRと外部EGRの対EGR率とNOxの排出量との特性比較を示す図である。
排出されるNOxの排出量を減少させたい場合には、EGR率を多くすることが有効である。また同図に示すように、外部EGR方式を用いると新気の量が多いぶん酸素濃度が高いので、若干ではあるが外部EGRを用いた方がNOxの排出量が多くなるが、図4に示したように所定のPMの排出レベルまで大量のEGRをかけることが可能であるので、結果的に外部EGRを用いた方がNOxの排出を減少させることが可能となる。
【0080】
図7は、各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
同図に示すように、全負荷及び高負荷の運転領域においてNOx排出量を低減するために、多くのEGRをかけたい場合には、内部EGRを用いると排出されるPM(スモーク)が増加してしまうので、外部EGRが有効である。
【0081】
図8は、各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率と排ガス温度との特性比較を示す図である。
同図に示すように、全負荷及び高負荷の運転領域では、内部EGRを用いなくともPMを連続再生可能な下限温度以上の排気温度が得られているので、NOx排出量を低減するためにPM(スモーク)が発生しない範囲で最大限の外部EGRをかけることが可能である。
【0082】
ところが軽負荷時(低負荷時)においては、排気温度がPMを連続再生可能な排気温度に到達していないので、PM(スモーク)に対して余裕のある範囲内で内部EGRを用いて排気の温度を高くすることが有効である。
【0083】
本発明では、まずシリンダ内に高温の排気を直接再循環させる内部EGR機構を設け、エンジンの回転数や負荷の状態に応じて排気の再循環量を細かく調節するために吸気絞り24を備え、更にアイドリング時や低負荷低回転の運転領域では吸気絞り24を絞る制御を行なっても排気温度が所定の温度に到達しない領域が存在するので、この領域では更に排気絞り26を絞ることによって排圧を高め、シリンダに戻す高温の排気の量を多くして燃焼後の排気温度を確保している。このようにして、NOxの排出量を低減しつつ、より広い運転領域で排気に含まれるPMを連続再生する処理を行なうことが可能となっている。
【0084】
更に本発明では、エンジンから排出されるNOxの量が多い高負荷時、中負荷時、又は中回転域においても低温の排気を適量燃焼前のシリンダ内に再循環する外部EGRを併用して、NOxの排出量を減少させている。
【0085】
図9は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されており、制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(エンジン負荷割合APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(エンジン回転数割合Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26とを制御する情報を出力する。なおiTPマップを記録する記録手段は、制御手段20の内部に設けてもよいし、制御手段20の外部に独立して設けて制御手段20と通信可能に接続してもよい。
【0086】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを40%踏み込んでいる中負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20は吸気絞り24に対して100%の開度(iTP=100%)となるように制御する情報を出力している。また、外部EGRバルブ44に対しては閉じる指令を出力しており、内部EGRのみで運転するよう制御信号を出力する。
【0087】
前記のエンジン回転数割合が40%の中負荷の運転状態であって、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を40%から20%まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を30%まで絞る制御情報を出力する。
【0088】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて、シャッタ又はバタフライバルブ等によって吸気経路を30%まで絞り、吸気の流量を減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0089】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を10%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約10%まで絞る制御情報を出力する。
【0090】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約10%まで絞り、吸気の流量を更に減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が更に下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0091】
なお、制御手段20が出力する吸気絞り24の絞り量の制御情報は、同図に示すiTP100%の線とiTP30%の線の間は直線補間を行なってもよいし、二次曲線以上の曲線補間を行なうようにして、細かい制御を行なうようにしてもよい。
【0092】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を更に8%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力する。そして、更に排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0093】
吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約5%まで絞り、吸気の流量を減少させる。また、排気絞り26も所定の開度まで絞るので、排気マニホールド14内の排圧が維持されるか、又は排圧が上昇する。
【0094】
すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。そして圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、CR−DPF41に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0095】
このとき、排気絞り26の絞り量も、アクセルペダルの踏み込み量又はエンジンの回転数に応じて絞り量を制御するようにしてもよい。その場合にはiTP制御マップに、エンジンの回転数が所定の回転数よりも低く、かつ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の踏み込み量よりも少ない場合に、排気絞り26を絞るように情報を入力しておき、制御手段20はアクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して前記iTP制御マップを参照し、排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。
【0096】
また、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。
【0097】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、吸気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0098】
また、同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又は及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0099】
また、図1に示すようにディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22を吸気マニホールド12等に備え、制御手段20は、吸気温度センサ22から入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ44、吸気絞り24、又は排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、吸気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、外部EGRバルブ44、吸気絞り24、又は排気絞り26に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0100】
このように、制御手段20が排気温度又は吸気温度を入力して排気温度を制御することによって、安定した使用条件から逸脱して排気の温度が変化した場合であっても、所定の排気温度を維持することが可能となる。更に、排気温度がDPF等にて連続再生可能な所定の温度以上である場合には、外部EGRによる比較的低温の排気を再循環する割合を増やすようにすることによって、エンジンから排出されるNOxを減少させることが可能となる。
【0101】
図10は、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の第2の実施の形態を示す図である。
同図に示す排気浄化装置では、図1に示した排気浄化装置におけるCR−DPF41に対して、小型のμCR−DPF30と大型のmCR−DPFの2つのCR−DPFを設け、切替弁28を動作させて排気の流路を切り替えることが可能となっている。
【0102】
以下に、図10に示すディーゼルエンジンの排気浄化装置の構成について説明する。なお、図1の構成と重複する部分については、説明を省略する。
【0103】
ディーゼルエンジンの排気に含まれるPMを捕集して処理する2種類のCR−DPFのうちのmCR−DPF40は、ディーゼルエンジンの高負荷時および高速時に排出される多量の排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する大型のCR−DPFである。
【0104】
一方のμCR−DPF30は、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する小型のCR−DPFである。切替弁28は、制御手段20の指示に基づいて、mCR−DPF40とμCR−DPF30とに排気の流路を切り替える機能を備えている。
【0105】
例えば上記の各CR−DPFは、エンジンの排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒DOCと、排気中に含まれるPM(パティキュレート・マター)を捕集して処理するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)とを1つの容器に納めたものである。
【0106】
また、ディーゼルエンジンの排気浄化装置には、μCR−DPF30に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ32と、メイン排気管34と、μCR−DPFを通る排気の流路となるマイクロ排気管36と、mCR−DPF40に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ42とが設けられている。
【0107】
また同図に示すように、切替弁28は、ディーゼルエンジン10の排気マニホールド14とmCR−DPF40との間に設けられ、μCR−DPF30はmCR−DPF40よりも切替弁28に近い位置に設けられている。この切替弁28に、mCR−DPF40側に排気の流路を切り替えている際にもμCR−DPF30側に少量の排気を流すための隙間(機構)を切替弁28内に備えてもよいし、μCR−DPF30へ常に排気が流れるようにバイパス流路(機構)を備えるようにしてもよい。また、μCR−DPF30に少量の排気を流す際の流量を調節するアジャストスクリューを設けてもよい。
【0108】
排気絞り26は、μCR−DPF30の下流(排気絞り26B)に設けてもよいし、mCR−DPF40の上流(排気絞り26C)、又は下流(排気絞り26D)に設けてもよい。また、μCR−DPF30を経由した排気を、mCR−DPF40を経由せずに直接大気に放出する構造としてもよい。
【0109】
なお、多気筒の排気管が集合している場合であっても、排気の脈動を利用することによって排気効率を高める寸法に排気管を設定するのが常であるが、mCR−DPF40に流入する排気の温度を所定の温度以上に確保するためにμCR−DPF30を排気ポートの近くに置くと排気干渉を生じたり、ポンピング損失が増大して排気効率が悪化するという不具合を生じるので、mCR−DPF40に到達する排気の温度が高い運転領域では、なるべくmCR−DPF40を使用するのが望ましい。
【0110】
また一般に、排気の量が少ない低負荷の運転領域では、吸気絞り24及び排気絞り26を制御しても十分に排気温度が上昇しない場合が多い。したがって、排気効率を良くする目的等のため長く延ばした排気管の先にのみCR−DPFを設けると、排気がCR−DPFに到達するまでに排気のガス温度が低下してしまうので、排気に含まれるPMをCR−DPFで連続再生できないと言う不具合を生ずる。
【0111】
そこで本発明では、まずシリンダ内に逆流する排気の流量を細かく調節するために吸気絞り24を備え、低負荷運転時のように排気温度の低くなりがちな領域においては、排気マニホールド14の直下に設けたμCR−DPF30に排気を流すようにして、より広範囲な負荷範囲で排気温度を維持して捕集したPMを連続再生するようにしている。一方の高負荷運転時のように十分な排気温度が得られる領域では、mCR−DPF40を主に用いることによって従来のディーゼルエンジンと同様な排気効率を確保して、燃費や出力を維持することが可能となっている。
【0112】
また、アイドリング時や低負荷低回転の運転領域では、吸気絞り24を絞っても排気温度が所定の温度に到達しない領域が一般に存在する。この場合には、吸気絞り24を絞ると同時に排気絞り26を絞ることによって排圧を高め、シリンダに戻す排気の量を多くして排気温度を確保することが可能となっている。また、このようにして、より広い運転領域で排気に含まれるPMを連続再生する処理を行なうことが可能となっている。
【0113】
図11は、図10に示したディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されており、制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26と、切替弁28とを制御する情報を出力する。なおiTPマップを記録する記録手段は、制御手段20の内部に設けてもよいし、制御手段20の外部に独立して設けて制御手段20と通信可能に接続してもよい。
【0114】
なお、iTPマップのうち吸気絞り24、排気絞り26及び外部EGRバルブ44の制御に関しては図9にて説明したので省略する。
【0115】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを60%踏み込んでいる中負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20は吸気絞り24に対して100%の開度(iTP=100%)となるように制御する情報を出力している。また、切替弁28に対しては、mCR−DPF40に排気を流すように制御信号を出力する。
【0116】
なお,このようにmCR−DPF40に排気を流している場合に、全ての排気をmCR−DPF40のみに流すのではなく、μCR−DPF30にも少量の排気が流れるように切替弁28等を構成してもよい。mCR−DPF40使用時にもμCR−DPF30に少量の排気を流し続けることによって、μCR−DPF30の温度を所定の温度に維持することが可能となり、運転状況によって負荷が減少し、μCR−DPF30に排気の流れを切り替えた場合であっても、切替直後からμCR−DPF30はPMを連続処理することが可能となる。したがって、運転状況が急に変化した場合であってもPMを連続再生することが可能となる。
【0117】
前記のエンジン回転数割合が40%の中負荷の運転状態であって、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を60%から50%まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を100%開度から30%の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0118】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて、シャッタ又はバタフライバルブ等によって吸気経路を30%まで絞り、吸気の流量を減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、mCR−DPF40に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0119】
なお、制御手段20が出力する吸気絞り24の絞り量の制御情報は、同図に示すiTP100%の線とiTP30%の線の間について直線補間を行なってもよいし、二次曲線以上の曲線補間を行なうようにして、細かい制御を行なうようにしてもよい。
【0120】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に45%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約10%まで絞る制御情報を出力する。
【0121】
すると吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約10%まで絞り、吸気の流量を更に減少させる。すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が更に下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると圧縮前の気体温度が上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、mCR−DPF40に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0122】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に43%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、切替弁28を制御して排気をμCR−DPF30に流すように制御信号を出力するとともに、吸気絞り24を100%まで開く制御情報を出力する。
【0123】
この状態では、吸気絞り24を開くので排気温度は低下するが、排気を通すCR−DPFを大型のmCR−DPF40から小型で排気マニホールド直下に設けた小型のμCR−DPF30に切り替えるので、排気抵抗が増大してエンジン排気圧力がmCR−DPF40の場合よりも高くなるので、排気の逆流が増大して排気温度が上がりμCR−DPF30に流れ込む排気の温度はPMを連続再生可能な温度となっている。なお、負荷が低い運転状態では排気の流量が少ないので、小型のCR−DPFであっても十分処理可能であるとともに、吸気を絞らないので燃費の悪化や出力の低下を防止することが可能となる。
【0124】
また、設計段階でμCR−DPF30の容量(大きさ)を決定する場合には、排気を処理するディーゼルエンジンの排気温度特性と排気の流量に応じて決定するとよい。また、mCR−DPF40の容量(大きさ)や、各CR−DPFまでの排気管の長さ、切替弁28の取付位置なども、対象となる車種やエンジンの構成などによって適宜決定する。
【0125】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量を更に10%付近まで戻した場合には、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力する。そして、更に排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力する。
【0126】
吸気絞り24は、制御手段20から取得した制御情報に基づいて吸気経路を約5%まで絞り、吸気の流量を減少させる。また、排気絞り26も所定の開度まで絞るので、排気マニホールド14内の排圧が維持されるか、又は排圧が上昇する。
【0127】
すると吸気行程のシリンダに吸入される空気量は更に減少するので、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。そして圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気の温度が上昇し、μCR−DPF30に流入する排気の温度をPMを連続再生可能な温度に維持することが可能となる。
【0128】
このとき、排気絞り26の絞り量も、アクセルペダルの踏み込み量又はエンジンの回転数に応じて絞り量を制御するようにしてもよい。その場合にはiTP制御マップに、エンジンの回転数が所定の回転数よりも低く、かつ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の踏み込み量よりも少ない場合に、排気絞り26を絞るように情報を入力しておき、制御手段20はアクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して前記iTP制御マップを参照し、排気絞り26を制御する情報を出力するようにしてもよい。
【0129】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、吸気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0130】
また同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気をmCR−DPF40からμCR−DPF30に切り替える制御を行なう領域を備えている。
【0131】
また、同図に示すようにiTP制御マップは、エンジンの回転数の減少又はアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えている。
【0132】
また制御手段20は、μCR−DPF30又はmCR−DPF40に流入する排気の温度を測定する排気温度センサ32から入力した排気温度に基づいて、油圧バルブ64、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28を制御する情報を出力し、排気温度を所定の温度範囲に制御するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、排気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0133】
一般的な傾向としては、排気温度が低い場合には油圧バルブ64を制御して内部EGRを増加する情報、吸気絞り24を絞る制御情報、排気絞り26を絞る制御情報等を出力するが、ディーゼルエンジン10の運転状況に応じて切替弁28をμCR−DPF30側に切り替える制御情報を出力するようにしてもよい。
【0134】
また、図10に示すようにディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサ22を吸気マニホールド12等に備え、制御手段20は、吸気温度センサ22から入力した吸気温度に基づいて、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28を制御する情報を出力するようにしてもよい。この場合に制御手段20は、吸気温度に応じてiTP制御マップをずらす処理を行なってもよいし、吸気絞り24、排気絞り26、又は切替弁28に出力する制御情報に対して所定の係数を加算又は乗算する処理を行なってもよい。
【0135】
このように、制御手段20が排気温度又は吸気温度を入力して排気温度を制御することによって、安定した使用条件から逸脱して排気の温度が変化した場合であっても、所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0136】
また本発明では、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。
【0137】
図1及び図10に示したディーゼルエンジンの排気浄化装置では、共に排気2段カムを用いた内部EGRによる高温の排気の再循環を行なっている。また本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置では外部EGRを設けているので、CR−DPFにてPMの連続再生をするのに十分な排気温度が得られている場合には、排気2段目リフトによる内部EGRを減少又は停止させて、外部EGRによる排気の再循環を多くして、NOxの排出量を低減することが可能である。
【0138】
排気2段カムのリフト量や作用角を固定としてもよいが、より広い運転範囲でNOx排出量の低減制御を行なう場合には、排気2段目のカムリフト量をエンジンの運転状況に応じて可変にすることも考えられる。
【0139】
図12に、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示す。
同図に示すように排気カムシャフト57には、通常の排気行程を行なうにあたって、エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排気せしめるために、排気バルブ54を開く第1の排気バルブタイミングを設けた排気第1カム70(図12には排気1段目カムと記載)が設けられている。
また、排気カムシャフト57には、第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程の終了時期付近で排気バルブ54を開けて、多量の排気を燃焼前のシリンダに戻す第2のバルブタイミングを加えた第2排気カム72(図12では排気2段目カムと記載)が設けられている。なお、前記第1の排気カム70には、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブ54を少量開ける低リフトの排気バルブタイミングを備えていてもよいし、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブ54を開かない通常のカム形状としてもよい。
【0140】
通常の排気行程を行なうための第1排気カム70は、排気ロッカーアームのタペット部に当接する。排気ロッカーアームは、ロッカシャフトを支点としてカムシャフト57の回転角度とカム形状に対応した揺動運動を行なう。2つの排気ロッカーアームの先端には排気バルブに当接する隙間調整ねじが備えられており、該隙間調整ねじを介して排気バルブ54を駆動することが可能となっている。
【0141】
前述のように第1排気カム70には、低リフトの内部EGR用のカム山が設けられていてもよい。中負荷又は高負荷運転時にも高温の排気を再循環させて、所定の排気温度を維持する必要がある場合には、第1排気カム70に低リフトの内部EGR用のカム山を設けておく。
また、中負荷又は高負荷運転領域において、内部EGR無しでも排気温度が十分得られる場合には、第1排気カム70に内部EGR用のカム山を設ける必要は無い。
【0142】
中負荷又は高負荷の運転時において、第2排気カム72を用いた内部EGRによる排気の再循環量を減らしたい場合、又は中止したい場合には、同図に示す制御油圧を抜いておく。この状態では、排気ロッカアームは各々の第1排気カム70のリフトに従って揺動する。
【0143】
第2排気カム72には、低負荷時に高温の排気を再循環させる内部EGR用の第2のカム山が設けられている。排気2段目ロッカアームも第2排気カム72のリフトに従って揺動しているが、第1ピン及び第2ピンは戻しバネの機能によってそれぞれ排気ロッカアーム及び排気2段目ロッカアーム内に収納されているので、制御油圧が抜かれている状態では排気2段目ロッカアームは空振りしている。
【0144】
低負荷運転領域において、高温の排気を多量に再循環させるための内部EGRを機能させる場合には、制御手段20は内部EGR用の油圧バルブ64(バルブタイミング切替手段の機能を含む)を制御する情報を出力して、制御油圧をロッカシャフト内に圧送する。すると排気ロッカアーム内の第1ピンが戻しバネの押圧力に対抗して図12に示す右側に移動し、当接している第2ピンも共に右側に移動する。
【0145】
すると2つの排気ロッカアームと排気2段目ロッカアームとが連動して動揺するので、第2排気カム72のリフトカーブに従って排気ロッカアームが揺動し、2つの排気バルブ54は吸気行程の終了付近でリフトして、排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する。
【0146】
なお図12に示す例では、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構として、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示したが、本発明は図12に示す例に限定されるものではなく、他の機械的、油圧式、又は電気制御式の排気バルブ駆動機構を備えた内部EGR機構を用いても、本発明の目的を達成することが可能である。
【0147】
図13は、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構を備えた場合のiTP制御マップを示す図である。
同図に示す例では、排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構として、エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段を用いたiTP制御マップの例を示している。以下に図13に基づいてiTP制御マップの説明を行なうが、図9にて行なった説明と重複する部分については説明を省略する。
【0148】
同図に示すiTPマップは制御手段20内に設けられた記憶手段に記憶されている。制御手段20は、アクセルポジションセンサ16から入力したアクセルペダル踏み込み量(エンジン負荷割合APP)と、回転センサ18から入力したエンジンの回転数(エンジン回転数割合Ne)とに基づいて、前記記録手段に記録されているiTPマップを参照し、油圧バルブ64、外部EGRバルブ44、吸気絞り24(iTP開度)と、排気絞り26とを制御する情報を出力する。
【0149】
同図に示すように、たとえばエンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを70%以上踏み込んでいる中負荷又は高負荷の運転状態では、排気温度が所定の温度に上昇しているので、制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧の供給を停止する指令を出力している。この状態ではロッカシャフトに対して制御油圧の供給は停止されるので、前述のとおり排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行なわない。したがって内部EGRによる排気の再循環量は少ないか、全く行なわれない状態となる。
【0150】
この運転状態で高温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環させると燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加してしまう。また、高負荷時においてEGRを行なうと相対的に新気が減少するので、出力の低下やPMの排出量の増大を招くことになる。
【0151】
エンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを65%まで戻すと、燃料の供給量の減少に伴って燃焼温度及び排気温度が低下するので、制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧を供給する旨の指令を出力する。すると前述のとおり排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行ない、内部EGRによる排気の再循環量は増大する。
【0152】
この状態では、燃焼前のシリンダ内に高温の排気が再循環されるので燃焼温度が上昇し、排気温度もPMの連続再生に必要な所定の温度を維持することが可能となる。同図に示すiTPマップによれば、アクセルペダルの踏み込み量が65%でも排気の再循環を行なっているが、吸気絞り24の開度は100%であるために、燃焼前のシリンダに戻す排気の再循環量は低負荷の場合と比較して少量である。この状態で多量の排気を再循環させると、燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加してしまう。したがって、この運転状態における排気の再循環量は、CR−DPFにおいてPMの連続再生可能な排気温度が得られる程度、又はDOC(酸化触媒)が有効に機能するための排気温度が得られる程度に設定しておくと良い。
【0153】
エンジン回転数割合が40%の場合であって、運転手がアクセルペダルを20%まで戻すと、燃料の供給量の減少に伴って更に燃焼温度及び排気温度が更に低下するので、図9に示した制御と同様に制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を30%まで絞る制御情報を出力する。吸気絞り24が吸気経路を30%まで絞ると、吸気行程のシリンダに吸入される空気量は減少するので、吸入行程終了付近でシリンダ内の圧力が下がり、シリンダ内に逆流する排気の量が増加する。すると、圧縮前の気体温度が更に上昇するので、圧縮、燃焼後の排気温度が上昇し、CR−DPFにおいてPMの連続再生可能な排気温度を維持できる。
【0154】
エンジン回転数割合が40%の運転状態で、運転手がアクセルペダルの踏み込み量(APP)を更に8%付近まで戻した場合には、図9に示した実施例と同様に、制御手段20はiTP制御マップを参照して、吸気絞り24を約5%まで絞る制御情報を出力し、排気絞り26に対しても所定の開度まで絞る制御情報を出力して、排気温度を所定の温度に維持する制御を行なっている。
【0155】
また同図に示すように、たとえばアクセルペダルの踏み込み量が20%であって、エンジン回転数割合が80%から90%に増加した場合運転状態では、単位時間あたりの燃焼、排気のサイクルが増加するので排気温度が所定の温度に上昇する。制御手段20はiTPマップを参照して、油圧バルブ64に対してロッカシャフトに制御油圧の供給を停止する指令を出力する。すると排気バルブ54は第2のカム山に基づいた排気2段目リフトの動作を行なわなくなるので、内部EGRによる排気の再循環量は少ないか、全く行なわれない状態となる。
【0156】
この運転状態でも燃焼温度が上昇してNOxの発生量が増加する傾向があるので、内部EGRによる高温の排気の再循環を抑制する。
【0157】
また、図9に示したiTPマップの実施例と同様に、エンジンから排出されるNOxの量が比較的多い高負荷時(高エンジン負荷割合時)、中負荷時(中エンジン負荷割合時)、又は中回転域(中エンジン回転数割合域)においてもNOxの排出量を減少させるために、これらの運転領域において適量の低温の排気を燃焼前のシリンダ内に再循環する指令を外部EGRバルブ44に出力するようにしている。図13に示すように、本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置では、低温の排気を再循環する外部EGRと高温の排気を再循環する内部EGRとを組み合わせることによって、燃焼温度と排気温度を所定の範囲に制御するようにしているので、CR−DPFにおいてPMを連続再生可能な排気温度を維持しつつ、NOxの排出量を抑制することが可能となる。
【0158】
図14は、内部EGR付且つターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置を示す図である。
本発明に係る内部EGR付ディーゼルエンジンの排気浄化装置をターボ過給機付のディーゼルエンジンに適用する場合において、外部EGRによる排気の再循環を効果的に行なうためには、ターボ過給機の配置と外部EGR配管の配置等の位置関係が問題になる。
【0159】
過給機付のディーゼルエンジンの外部EGRについてはすでに知られているように、高負荷運転領域の一部等にてターボ過給機コンプレッサ出口側の圧力が、過給機の排気タービン入り口側の排気管内圧力に近づく場合がある。この場合には、外部EGRをインタークーラ出口側などの吸気側に効果的に導入することができなくなる。
【0160】
そこで本発明に係る内部EGR付ディーゼルエンジンの排気浄化装置をターボ過給機付のディーゼルエンジンに適用する場合には、図14に示すようにEGR配管66をターボ過給機68の前段に接続して、大気圧又は負圧となっている吸気管内に排気を戻すようにすれば、過給圧に関係なく効果的に外部EGRを行なうことが可能となる。
【0161】
排気の採取場所は、排気ポートに近い方が排圧が高いのでEGRを行なうには有利であるが、ディーゼルエンジンの排気にはPMやHC、潤滑油の蒸気などを含む場合があり、この排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させると、コンプレッサの翼やインタークーラを汚損することになる。
【0162】
PM等を含む排気をコンプレッサの前段に再循環させると、PM等がコンプレッサの翼面に付着して翼の形状を変化させるとともに翼通路幅を狭くしてしまい、コンプレッサ効率の低下を招くことになる。また、PM等が吸気の経路に設けられているインタークーラの冷却フィンに付着することにより、吸気の冷却性能の低下を招くことになる。これらはいずれも燃焼の不具合を引き起し、エンジンの出力の低下や性能劣化を引き起こすことになる。
【0163】
また、大気の温度よりも高温の排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させると、コンプレッサの翼の温度が上昇し、コンプレッサ翼の熱応力限界を超えてしまう可能性もある。
【0164】
図14に示すターボ過給機付のディーゼルエンジン10の吸気経路には、吸気を濾過するエアクリーナと、新気の流量を調節する吸気絞り24Aと、排気を再循環するEGR配管66の接続部と、排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機68のコンプレッサと、加圧により高温になった吸気の温度を下げて空気の密度を上げるインタークーラ(I/C)と、吸気の流量を制限して内部EGRによる排気の再循環量を調節する吸気絞り24と、吸気を各シリンダの吸気ポートに供給する吸気マニホールド12とが設けられている。
【0165】
ターボ過給機付のディーゼルエンジン10の排気経路には、各シリンダの排気ポートから排出される燃焼後の排気を通す排気マニホールド14と、エンジンの排気を絞ることによって排圧を高くしてシリンダに戻す排気のガス量を増やす制御を行なう排気絞り26と、排気に含まれるネルギーを用いて吸気を加圧するためのターボ過給機68のタービンと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともにPMを連続再生処理する小型のμCR−DPF30と、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2に転化させるとともにPMを連続再生処理する大型のmCR−DPF40と、ディーゼルエンジン10の運転状況に応じて排気の流路をμCR−DPF30又は大型のmCR−DPFに切り替える切替弁28とが設けられている。
【0166】
また、ディーゼルエンジン10の外部EGR経路には、CR−DPFの後段から排気を吸気側に再循環する際のEGR配管66と、再循環する排気を冷却するEGRクーラと、排気を再循環する流量を制御する外部EGRバルブ44とが設けられている。
排気絞りは、mCR−DPF40の前段に排気絞り26Cとして設けられていてもよいし、mCR−DPF40の後段に排気絞り26Dとして設けられていてもよい。
【0167】
同図に示すように、吸気絞り24Aを吸気管とEGR配管66の接続部以前に設けた場合には、吸気絞り24Aを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0168】
また、吸気絞り24をターボ過給機のコンプレッサの後段且つ吸気ポートの前段に設けることによって、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。ターボ過給機68の前段に設けた吸気絞り24Aのみを動作させて内部EGRによる排気の再循環量を制御することも可能であるが、ターボ過給機の回転数が上昇している高負荷運転時において吸気絞り24Aを用いて吸気流量を大きく絞った場合にはタービンが過回転となって、最悪の場合ターボ過給機68を破損する可能性がある。
また、ターボ過給機68のコンプレッサ吸入側圧力と吐出圧力との差が大きくなるとともに流量が減少した場合などには、コンプレッサがサージ現象を起こし、コンプレッサとしての安定作動領域からはずれることもある。この場合も吸気が逆流するなどして最悪ターボ過給機68を破損する可能性がある。
本発明によれば、吸気絞り24A及び吸気絞り24を適宜調節することによって、ターボ過給機68を安全な運転領域に置きながらEGR量を調節することが可能である。
【0169】
また、CR−DPFの後段からターボ過給機68のコンプレッサ前段まで排気を再循環するEGR配管66は、経路長が長いために排気が冷却され易く好都合である。外部EGRによる排気をターボ過給機68のコンプレッサ前段に再循環させても、再循環する排気の温度が比較的低温になっているので、熱によるコンプレッサの翼の破損を抑制することが可能となる。またEGR配管66の途中に、排気を冷却するEGRクーラを設けることによって、更に再循環する排気を低温にしてコンプレッサ翼の破損を抑制することが可能となる。
【0170】
また、大量のEGRを燃焼前のシリンダに再循環させた場合であっても、CR−DPF通過後の排気はPMやHC、潤滑油の蒸気などが捕集除去されたり、既にH2OやCO2に転化されているので、PMによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能であるとともに、ターボ過給機68のコンプレッサ翼面にPM等が付着して不具合を生ずることはない。したがって、外部EGRを行なった場合であっても、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を引き起こすことはない。
【0171】
図15は、ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置の他の実施例を示す図である。
同図に示す排気浄化装置は、図14に示した過給機付のディーゼルエンジン10の排気浄化装置において、μCR−DPF30及び切替弁28を省いた場合の実施例である。ディーゼルエンジンの特性上、又は排気経路の取り回し上、μCR−DPFを独立して設けなくても、CR−DPF41に到達する排気温度をPMを連続再生可能な温度に設定可能な場合には、同図に示す構成としても、本発明の目的を達成することが可能である。
【0172】
図16は、ベースエンジン、内部EGRを使用した場合、外部EGRを使用した場合、内部EGRと外部EGRとを併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
また図17は、各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
図16及び図17に示すように、内部EGRと外部EGRとを併用する場合には、外部EGRのみを使用する場合と比較してNOxの排出量は多くなるが、CR−DPFにおけるPMの連続再生の必要性を考慮すると、内部EGRと外部EGRとの併用が必要となる。
【0173】
図18は、ベースエンジン、全域動作する内部EGRを使用した場合、全域動作する内部EGRと外部EGRとを併用した場合、排気バルブタイミングを切り替えて2段式の内部EGRを実現して外部EGRと併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
また図19は、各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【0174】
エンジンの運転領域全域で固定の排気2段カムで内部EGRを実現する場合には、高負荷時のPM排出量が増大する制約があるために、軽負荷で必要なEGRを十分に導入することができない。
そこで本発明のように、第1排気カム70と第2排気72を別々に設けて、エンジンの運転状況に応じて両者を切り替えて使用することによって、NOxの排出量を低減しつつ、CR−DPFにてPMを連続再生可能な排気温度を維持することが可能となる。
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0176】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて実施する内部EGR用の排気バルブタイミング又はバルブリフトを切り替える排気バルブタイミング切替手段と外部EGRバルブと吸気絞りと排気絞りとを、アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0177】
また他の発明によれば、排気温度を所定の温度に維持することにより、酸化触媒は排気中に含まれるCO及びHCを効率よく酸化させてCO2及びH2Oに転化させることが可能となる。また酸化触媒は、エンジンから排出されるNOxのうち一酸化窒素を効率よく二酸化窒素に変化させることが可能となるので、後段のディーゼル・パティキュレート・フィルタにて補足したパティキュレート・マターを250℃〜350℃程度の比較的低温で連続燃焼させ、排気を浄化することが可能となる。
【0178】
また他の発明によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、該排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0179】
また他の発明の形態によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンにおいて、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、外部EGRバルブと、吸気絞りと、排気絞りとを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0180】
また他の発明によれば、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力するようにしたので、外気温度や環境が変化した場合であっても、排気の温度をパティキュレート・マターの連続再生に十分な温度、又は酸化触媒を有効に機能させるのに十分な温度に制御することが可能となる。
【0181】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段からターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とに応じて、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御するようにしたので、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となるとともに、パティキュレート・マターによる配管並びにその経路の詰まりや、筒内のライナー、ピストンリングの磨耗を防ぐことが可能となる。また、ターボ過給機のコンプレッサ翼面にパティキュレート・マター等の付着を防止して、コンプレッサ効率の低下やエンジンの性能劣化を防ぐことが可能となる。
【0182】
また他の発明によれば、外部EGRの配管経路に排気を冷却するEGRクーラを設けたので、燃焼温度の上昇を押さえつつ大量の排気をシリンダ内に再循環させることが可能となり、より広い運転領域でNOxの排出量を低減しながら、パティキュレート・マターを連続再生可能な所定の排気温度を維持することが可能となる。
【0183】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りを吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けたので、吸気絞りを絞ることによって外部EGRによる排気の再循環量を多くして、排気に含まれるNOxの排出量を減少させることが可能となる。
【0184】
また他の発明によれば、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングとターボ過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、吸気絞りをターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けたので、内部EGRによる排気の再循環量を効果的に調節することが可能となる。また、ターボ過給機コンプレッサのサージ現象を防止して、ターボ過給機の破損を防ぐことが可能となる。
【0185】
また本発明に係るディーゼルエンジンのディーゼルエンジンの排気浄化装置では、従来のディーゼルエンジンに対してレトロフィットの形で排気浄化装置を後付けすることが可能であるので、旧車種であっても、厳しくなる排ガス規制に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の全体構成を示す図である。
【図2】 燃焼前のシリンダに排気を直接戻す内部EGR機構を備えたディーゼルエンジンの燃焼室部分の断面図である。
【図3】 ピストン60の位置と吸気バルブ52のリフト量及び排気バルブ54のリフト量との関係を示す図である。
【図4】 内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
【図5】 内部EGRと外部EGRの対EGR率と排気ガス温度との特性比較を示す図である。
【図6】 内部EGRと外部EGRの対EGR率とNOxの排出量との特性比較を示す図である。
【図7】 各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率とスモーク(PM)の発生特性比較を示す図である。
【図8】 各運転負荷における内部EGRと外部EGRの対EGR率と排ガス温度との特性比較を示す図である。
【図9】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
【図10】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図11】 本発明に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いるiTP制御マップを示す図である。
【図12】 エンジンの運転状況に応じて排気2段目のカムのリフト量を切り替えるバルブタイミング切替手段の例を示す図である。
【図13】 排気の再循環量を変更可能な内部EGR機構を備えた場合のiTP制御マップを示す図である。
【図14】 ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置を示す図である。
【図15】 ターボ過給機付のディーゼルエンジンの排気浄化装置の他の実施例を示す図である。
【図16】 ベースエンジン、内部EGRを使用した場合、外部EGRを使用した場合、内部EGRと外部EGRとを併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
【図17】 各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【図18】 ベースエンジン、全域動作する内部EGRを使用した場合、全域動作する内部EGRと外部EGRとを併用した場合、排気バルブタイミングを切り替えて2段式の内部EGRを実現して外部EGRと併用した各場合におけるD13モード運転状態のNOx低減割合例を示す図である。
【図19】 各EGR方式による総NOxの低減割合を示す図である。
【符号の説明】
10…ディーゼルエンジン
12…吸気マニホールド
14…排気マニホールド
16…アクセルポジションセンサ
18…回転センサ
20…制御手段
22…吸気温度センサ
24…吸気絞り
26…排気絞り
28…切替弁
30…μCR−DPF
32…排気温度センサ
34…メイン排気管
36…マイクロ排気管
40…mCR−DPF
41…CR−DPF
42…排気温度センサ
44…外部EGRバルブ
50…シリンダヘッド
52…吸気バルブ
54…排気バルブ
56…排気カム
57…排気カムシャフト
58…シリンダ
60…ピストン
62…噴射ノズル
64…油圧バルブ
66…EGR配管
68…ターボ過給機
70…第1排気カム
72…第2排気カム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項2】
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、
第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、
前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は2のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒を排気経路に備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項4】
請求項3のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタを排気経路に備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項5】
請求項4のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項6】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項7】
請求項6のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、双方のディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記吸気温度センサから入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項9】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備え、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
低温の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項10】
ディーゼルエンジンの排気をEGR機構を用いて燃焼前のシリンダ内に戻すことによって、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御する排気を浄化するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段、低温の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項11】
請求項10の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジン負荷が低負荷側且つエンジン回転数が低回転側で、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2排気カムに切り替える制御をバルブタイミング切替手段に対して行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項12】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備え、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁を制御する情報を出力し、排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて切替弁、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記切替弁、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項13】
請求項12の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジンの回転数の減少及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気をマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタに切り替える制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項14】
請求項9乃至13の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジン負荷が中負荷若しくは高負荷の運転状態且つエンジン回転数が中域の運転状態において低温の排気の再循環量を増やすために外部EGRバルブを開く制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項15】
請求項9乃至13の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジンの回転数の減少及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項16】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項17】
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、
第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、
前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項18】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項19】
請求項16乃至18のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記EGR配管の経路には、排気を冷却するEGRクーラが設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項20】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項21】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、前記ターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項22】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、吸気経路とEGR配管が合流する位置の前段と、ターボ過給機のコンプレッサの後段とに設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項1】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項2】
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、
第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、
前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は2のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
排気中に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させる酸化触媒を排気経路に備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項4】
請求項3のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタを排気経路に備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項5】
請求項4のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項6】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置において、
冷却後の排気を吸気側に再循環する際の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項7】
請求項6のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、双方のディーゼル・パティキュレート・フィルタに流入する排気の温度を測定する排気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記排気温度センサから入力した排気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、ディーゼルエンジンの吸気温度を測定する吸気温度センサを備え、
前記制御手段は、前記吸気温度センサから入力した吸気温度に基づいて、外部EGRバルブ、吸気絞り、又は排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項9】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備え、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
低温の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項10】
ディーゼルエンジンの排気をEGR機構を用いて燃焼前のシリンダ内に戻すことによって、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御する排気を浄化するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段、低温の排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項11】
請求項10の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジン負荷が低負荷側且つエンジン回転数が低回転側で、エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2排気カムに切り替える制御をバルブタイミング切替手段に対して行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項12】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備え、NOxの排出量を低減しつつ排気の温度を所定の温度範囲に制御するディーゼルエンジンの排気浄化装置に用いられ、
ディーゼルエンジンの出力を制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからアクセルペダルの踏み込み量を入力し、ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転センサからエンジンの回転数を入力し、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁を制御する情報を出力し、排気の再循環量を制御する外部EGRバルブ、エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞り、及びエンジンの排気の流量を調節する排気絞りを制御する情報を出力する制御手段であって、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて切替弁、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段を備え、アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記切替弁、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力することを特徴とする制御手段。
【請求項13】
請求項12の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジンの回転数の減少及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気をマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタに切り替える制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項14】
請求項9乃至13の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジン負荷が中負荷若しくは高負荷の運転状態且つエンジン回転数が中域の運転状態において低温の排気の再循環量を増やすために外部EGRバルブを開く制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項15】
請求項9乃至13の制御手段において、前記記録手段が記録するマップは、エンジンの回転数の減少及びアクセルペダルの踏み込み量の減少に伴って、排気を絞る制御を行なう領域を備えていることを特徴とする制御手段。
【請求項16】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項17】
エンジンの排気行程にて排気バルブを開けて筒内の排気ガスを排出せしめる通常使用される第1の排気バルブタイミングを設けた第1排気カムと、
第1の排気バルブタイミングに対してエンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて多量の排気を燃焼前のシリンダ内に戻す第2の排気バルブタイミングを加えた第2排気カムと、
前記第1排気カムと第2排気カムとを切り替える排気バルブタイミング切替手段と、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
排気中に含まれるパティキュレート・マターを捕集して処理するディーゼル・パティキュレート・フィルタと、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記排気バルブタイミング切替手段、外部EGRバルブ、吸気絞り及び排気絞りを制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項18】
エンジンの吸気行程終了付近にて排気バルブを開けて排気を燃焼前のシリンダ内に戻す排気バルブタイミングを備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置であって、
エンジンの吸気の流量を調節する吸気絞りと、
エンジンの排気の流量を調節する排気絞りと、
ディーゼルエンジンの排気に含まれるCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに転化させるとともに、パティキュレート・マターを捕集して処理する2種類の連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタであって、ディーゼルエンジンの高負荷時及び高速時に排出される多量の排気を処理するメイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタと、ディーゼルエンジンの中低速低負荷時又は中負荷時に排出される少量の排気を処理するマイクロ連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタとに排気の流路を切り替える切替弁と、
排気エネルギーを用いて吸気を加圧するターボ過給機と、
前記メイン連続再生式ディーゼル・パティキュレート・フィルタの後段から前記ターボ過給機の前段に排気を戻すEGR配管と、
前記EGR配管の経路に設けられるとともに排気の再循環量を制御する外部EGRバルブと、
アクセルペダルの踏み込み量及びエンジン回転数に応じて外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報をマップとして記録する記録手段と、
アクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転数とを入力して、前記記録手段に記録されているマップを参照し、前記外部EGRバルブ、吸気絞り、排気絞り及び切替弁を制御する情報を出力する制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項19】
請求項16乃至18のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記EGR配管の経路には、排気を冷却するEGRクーラが設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項20】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、吸気経路とEGR配管が合流する位置よりも前段に設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項21】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、前記ターボ過給機のコンプレッサよりも後段に設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【請求項22】
請求項16乃至19のディーゼルエンジンの排気浄化装置において、前記吸気絞りは、吸気経路とEGR配管が合流する位置の前段と、ターボ過給機のコンプレッサの後段とに設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−2668(P2007−2668A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−189758(P2003−189758)
【出願日】平成15年7月1日(2003.7.1)
【出願人】(501239608)株式会社徳大寺自動車文化研究所 (7)
【出願人】(503181738)株式会社デプロ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年7月1日(2003.7.1)
【出願人】(501239608)株式会社徳大寺自動車文化研究所 (7)
【出願人】(503181738)株式会社デプロ (4)
【Fターム(参考)】
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