説明

配線の作製方法

スピン塗布によりレジストの被膜を形成する場合、無駄となってしまうレジスト材料が存在し、さらに、必要に応じて端面洗浄の工程が増えてしまう。また、真空装置を用いて、基板上に薄膜を成膜する際には、チャンバー内を真空にする特別な装置や設備が必要で、製造コストが高くなってしまう。本発明は、絶縁表面を有する基板上に、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により選択的に導電層を形成するステップと、前記導電層に接するように、組成物を吐出してレジストマスクを形成するステップと、前記レジストマスクを用いて、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段により前記導電層をエッチングするステップと、大気圧又は大気圧近傍下で、前記プラズマ発生手段により前記レジストマスクをアッシングするステップを有することを特徴とする。上記特徴により、材料の利用効率を向上させて、製造コストの低減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法に関し、より詳しくは液滴噴射法(インクジェット法、液滴吐出法)を用いたレジストパターンなどの薄膜の作製方法、CVD(化学気相成長)法、蒸着法又はスパッタ法による薄膜の作製方法、大気圧又は大気圧近傍下で行う局所的なエッチング処理方法、アッシング処理方法のいずれかの方法を用いた配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法に関する。また、薄膜を成膜する半導体製造装置に関する。
【背景技術】
絶縁表面上の薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は集積回路等に広く応用され、多くの場合スイッチング素子として用いられる。そのうち、TFTを使用した表示パネルは、特に大型の表示装置に用途が拡大していることから、更に、画面サイズの高精細化、高開口率化、高信頼性、大型化の要求が高まっている。
このような薄膜トランジスタにおける配線の作製方法としては、基板の全面に導電層の被膜を形成し、その後マスクを用いてエッチング処理を行う方法がある。また、基板上に感光性樹脂(フォトレジスト)の被膜を形成し、パターンが描かれたマスクと紫外線を用いて露光現像するリソグラフイ技術が用いられる。この技術により形成したレジストパターンはエッチング処理の際にマスクとして用いられる(特許文献1参照。)。
(特許文献1) 特開2002−359246号公報
また近年、CRTテレビにはない、薄型・軽量を実現する液晶テレビの普及が進んでいる。液晶テレビに高付加価値化を図る上で、画面サイズは重要な要素となっており、現状のインチ別台数構成比では20インチ未満がほぼ70%を占めているが、一方では20インチ以上で例えば40インチのような大型の液晶テレビが出現している。
このような画面サイズの拡大は、基板サイズの拡大を加速しており、第四世代(680×880、730×920)、第五世代(1000×1200)にまで変遷が進行し、またその解像度もVGA(640×RGB×480)、SVGA(800×RGB×600)、XGA(1024×RGB×768)、SXGA(1280×RGB×1024)と高精細化が進んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
レジストの被膜は、レジストの液を滴下し、基板を回転(スピン)させてその遠心力で被膜を作製するスピンコータを用いて形成される場合が多い。この場合、スピン塗布のときに滴下したレジストの95%程度は飛び散ってしまう。そこで、レジストの材料、スピンの回転速度、回転の仕方に工夫が試みられているが、それでもレジストの90%程度は無駄になってしまう。大型基板を用いる場合には、このような問題は、特に深刻な問題となる。
また、スピン塗布を行うと、基板周辺の端部にまでレジストが塗布される。そうすると基板のハンドリング時に端部のレジストが削れて基板に付着し、パターン欠陥となってしまう。そのため、有機溶剤などにより端部のレジストを除去する端面洗浄の工程が必要となる。つまり、スピン塗布によりレジストの被膜を形成する場合、無駄となってしまうレジスト材料が存在し、さらに、必要に応じて端面洗浄の工程が増えてしまう。
また、真空装置を用いて、基板上に薄膜を成膜する際には、チャンバー内を真空にする特別な装置や設備が必要で、製造コストが高くなってしまう。大型基板を用いる場合には、必然的にチャンバーも大型化するため、チャンバー内を真空にすると処理時間がかかってしまい、さらに成膜ガスも大量に必要となってしまう。
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、液滴噴射法を用いることで、スループットや材料の利用効率を向上させて、作製コストの削減を目的とした配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。また大気圧又は大気圧近傍下におけるプラズマ処理方法を用いることで、基板の大型化に対応できる配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。
また、上記の課題を解決する配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法を実現することが可能な半導体製造装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じる。
本発明は、絶縁表面を有する基板上にCVD法、蒸着法又はスパッタ法により導電層を形成し、感光剤を含む組成物を噴射するヘッドを用いて、前記導電層に接するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記導電層にエッチング処理を行った後、前記レジストパターンにアッシング処理を行う配線の作製方法であって、前記レジストパターンは前記ヘッド又は前記基板を走査して形成し、前記エッチング処理又は前記アッシング処理は、大気圧又は大気圧近傍下で、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を走査して行うことを特徴とする。
本発明は、絶縁表面を有する基板上にCVD法、蒸着法又はスパッタ法により半導体層又は導電層を形成し、前記半導体層又は前記導電層上に絶縁層を形成し、前記絶縁層にエッチング処理を行って、前記半導体層又は前記導電層に達するコンタクトホールを形成するコンタクトホールの作製方法であって、前記エッチング処理は、大気圧又は大気圧近傍下で、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を走査して行うことを特徴とする。
本発明は、上記の配線の作製方法及びコンタクトホールの作製方法の一方又は両者を用いて、表示装置を作製することを特徴とする。表示装置としては、薄膜技術を用いた全ての表示装置が挙げられ、例えば液晶素子を用いた液晶表示装置、自発光素子を用いた発光装置が挙げられる。
本発明は、絶縁表面を有する基板上にCVD法、蒸着法又はスパッタ法により導電層を形成する形成手段と、感光剤を含む組成物を噴射するヘッドを用いてレジストパターンを形成する液滴噴射手段と、前記基板又は前記ヘッドを移動する移動手段と、大気圧又は大気圧近傍下で、エッチング処理又はアッシング処理を行う複数のプラズマ発生手段とを有する半導体製造装置であって、前記複数のプラズマ発生手段は線状に配置されていることを特徴とする。
導電層又は半導体層は、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により形成し、好ましくは選択的に形成することを特徴とする。詳しくは、マスク(メタルマスク)を用いることで、基板全面に成膜せず、所望の箇所のみに選択的に形成する。また例えば蒸着法であれば、蒸着源を供給する供給口を細口にして走査することで、基板全面に成膜せず、所望の箇所のみに選択的に形成する。
レジストパターンの形成は、感光剤を含む組成物を噴射するヘッドを用いて行うことを特徴とする。これは、いわゆる液滴噴射法(インクジェット法)を用いたものであり、ヘッド又は基板を走査することにより行う。本構成により、スピン塗布を用いてレジストパターンを作製する場合に比べて、レジスト材料の利用効率が格段に向上し、作製費用の低減につながる。また、ヘッド又は基板の一方又は両者を走査することが可能であるため、精度が向上して、所望の箇所のみに成膜することができる。
エッチング処理又はアッシング処理は、大気圧又は大気圧近傍下で、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を走査して行うことを特徴とする。本処理には、真空設備を必要としないために、生産性の向上や、作製費用の低減を可能とする。また、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を用いることで、タクトタイムの点で有利となり、好ましくは、基板の一辺と同じ長さとなるように線状に複数のプラズマ発生手段を配置すると、一回の走査で処理を終わらせることができる。なお走査方向は、基板の一辺と平行な方向に限らず、斜め方向に走査してもよい。
また線状に配置された複数のプラズマ発生手段のうち、全てのプラズマ発生手段から反応ガスを供給する必要はなく、目的のポイントのみに所定のガス流を供給すれば処理を行うことができる。従って、反応ガスを常に供給する必要がない本発明は、ガスの節約につながり、作製費用の低減を可能とする。
また、コンタクトホールの作製方法においては、前記複数のプラズマ供給手段から選択された一つ又は複数にのみプラズマが発生することを特徴とする。つまり、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を前記基板と相対的に走査して、コンタクトホールを形成したい所望の箇所のみに反応ガスを供給するように設定する。このような構成を有する本発明は、全面に反応ガスを供給する場合に比較して、ガスの利用効率が向上し、作成費用の低減につながる。
上記構成を有する本発明は、製造ラインの省スペース化、効率化が図れ、表示パネルの製造で大幅な品質向上、生産性向上、製造コスト低減に貢献し、地球環境に適応した配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法を提供することができる。また、生産に連結したインライン処理が可能な大気圧方式のため、高速、連続処理が可能である。さらに、所望の箇所に必要な量の材料のみを用いればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには作製費用の削減を実現する。
本発明は、感光剤を含む組成物を噴射するヘッドを用いて、基板上の導電層に接するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記導電層にエッチング処理を行った後、前記レジストパターンにアッシング処理を行う配線の作製方法であって、前記導電層は、CVD法、スパッタ法又は蒸着法により形成し、前記レジストパターンは、前記ヘッド又は前記基板を移動して形成し、前記エッチング処理又は前記アッシング処理は、大気圧又は大気圧近傍下でプラズマ発生手段を用いて行うことを特徴とする。
本発明は、上記の配線の作製方法を用いて、表示装置を作製することを特徴とする。表示装置としては、薄膜技術を用いた全ての表示装置が挙げられ、例えば液晶素子を用いた液晶表示装置、自発光素子を用いた発光装置が挙げられる。
【発明の効果】
上記構成を有する本発明は、製造ラインの省スペース化、効率化が図れ、表示パネルの製造で大幅な品質向上、生産性向上、製造コスト低減に貢献し、地球環境に適応した配線、コンタクトホール及び表示装置の作製方法を提供することができる。また、生産に連結したインライン処理が可能な大気圧方式のため、高速、連続処理が可能である。さらに、所望の箇所に必要な量の材料のみを用いればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには作製費用の削減を実現する。
【図面の簡単な説明】
図1は、プラズマ処理装置を示す図である。
図2は、プラズマ処理装置を示す図である。
図3は、液滴噴射法を説明する図である。
図4は、配線の作製方法を説明する図である。
図5は、配線の作製方法を説明する図である。
図6は、コンタクトホールの作製方法を説明する図である。
図7は、液滴噴射装置を説明する図である。
図8は、作製フローを説明する図である。
図9は、スパッタ装置を説明する図である。
図10は、蒸着装置を説明する図である。
図11は、液晶表示装置を示す図である。
図12は、電子機器を示す図である。
図13は、薄膜トランジスタの作製方法を示す図である。
図14は、薄膜トランジスタの断面構造を示す図である。
図15は、薄膜トランジスタの上面図である。
図16は、表示装置の作製方法を示す図である。
図17は、プラズマ処理装置を示す図である。
図18は、プラズマ処理装置を示す図である。
図19は、プラズマ処理装置を示す図である。
図20は、プラズマ処理装置を示す図である。
図21は、薄膜トランジスタの作製方法を示す図である。
図22は、薄膜トランジスタの作製方法を示す図である。
図23は、薄膜トランジスタの作製方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。
(実施の形態1)
まず本発明の特徴として、複数の電極が線状に配置されたプラズマ発生手段を走査して、大気圧又は大気圧近傍下(6.6×10〜1.1×10Pa)でエッチング処理又はアッシング処理を行うことが挙げられる。そこで、図1、2を用いて、本発明において用いるプラズマ処理装置の一例として、第1の電極が第2の電極を取り囲み、その先端にノズル状の細口を有する、複数の円筒状の電極を有する装置について説明する。
図2(A)は前記装置の上面図であり、図2(B)は前記装置の断面図である。同図において、カセット室16には、所望のサイズのガラス基板、プラスチック基板に代表される樹脂基板等の被処理物13がセットされる。代表的な被処理物13の搬送方式としては、水平搬送が挙げられるが、代表的な被処理物13である第5世代以降の基板を用いる場合には、搬送機の占有面積の低減を目的として、基板を縦置きにした縦形搬送を行ってもよい。
搬送室17では、カセット室16に配置された被処理物13を、搬送機構(ロボットアーム)20によりプラズマ処理室18に搬送する。搬送室17に隣接するプラズマ処理室18には、気流制御手段10、円筒状の複数の電極が線状に配置されたプラズマ発生手段12、前記プラズマ発生手段12を移動させるレール14a、14b等が設けられる。また、必要に応じて、ランプなどの公知の加熱手段(図示せず)が設けられる。
気流制御手段10は、防塵を目的としたものであり、ガスの吹き出し口23から噴射される不活性ガスを用いて、外気から遮断されるように気流の制御を行う。プラズマ発生手段12は、被処理物13の搬送方向に配置されたレール14a、また該搬送方向に垂直な方向に配置されたレール14bにより、所定の位置に移動する。
次いで、プラズマ発生手段12の詳細について図1を用いて説明する。図1(A)は、複数の円筒状の電極が線状に配置されたプラズマ発生手段12の斜視図を示し、図1(B)〜(D)には円筒状の電極の断面図を示す。
図1(B)において、点線はガスの経路を示し、21、22はアルミニウム、銅などの導電性を有する金属からなる電極であり、第1の電極21は電源(高周波電源)29に接続する。なお第1の電極21には、冷却水を循環させるための冷却系(図示せず)が接続されていてもよい。冷却系を設けると、冷却水の循環により連続的に表面処理を行う場合の加熱を防止して、連続処理による効率の向上が可能となる。第2の電極22は、第1の電極21の周囲を取り囲む形状を有し、電気的に接地されている。そして、第1の電極21と第2の電極22は、その先端にノズル状のガスの細口を有する円筒状を有する。
なお、第1の電極21及び第2の電極22の一方又は両方は、固体誘電体で覆うとよい。固体誘電体としては、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム及び二酸化チタン等の金属酸化物、ポリエチレンテレフタラート及びポリテトラフルオロエチレン等の有機物、酸化珪素、ガラス及びチタン酸バリウム等の酸化物等が挙げられる。固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであることが好ましい。これは、放電プラズマを発生するのに高電圧を要するため、固体誘電体が薄すぎると、電圧印可時に絶縁破壊が起こって、アーク放電が発生してしまうからである。
この第1の電極21と第2の電極22の両電極間の空間には、バルブ27を介してガス供給手段(ガスボンベ)31よりプロセス用ガスが供給される。そうすると、この空間の雰囲気は置換され、この状態で高周波電源29により第1の電極21に高周波電圧(例えば、10〜500MHz)が印加されると、前記空間内にプラズマが発生する。そして、このプラズマにより生成されるイオン、ラジカルなどの化学的に活性な励起種を含む反応性ガス流を被処理物13の表面に向けて照射すると、該被処理物13の表面において所定の表面処理を行うことができる。なおガス供給手段(ガスボンベ)31に充填されるプロセス用ガスは、処理室内で行う表面処理の種類に合わせて適宜設定する。また、排気ガスは、バルブ27を介して排気系31に導入される。なおこの排気ガスは、フィルタを介することで、混入したゴミを除去して精製し、再利用を図ってもよい。このように再利用を行うことによって、ガスの利用効率をさらに向上させることができる。
次に、断面が異なる円筒状のプラズマ発生手段12について、図1(C)(D)を用いて説明する。図1(C)には、第1の電極21の方が第2の電極22よりも長く、且つ第1の電極21が鋭角形状を有するプラズマ発生手段12を示す。また、図1(D)には、第1の電極21及び第2の電極22の間で発生したイオン化したガス流を外部に噴射する形状を有するプラズマ発生手段12を示す。このように、プラズマ発生手段の形状は特に限定されず、どのような形状を有していてもよい。
大気圧又は大気圧近傍下で動作するプラズマ処理装置を用いる本発明は、減圧装置に必要である真空引きや大気開放の時間が必要なく、複雑な真空系を配置する必要がない。特に大型基板を用いる場合には、必然的にチャンバーも大型化し、チャンバー内を減圧状態にすると処理時間もかかってしまう。従って、大気圧又は大気圧近傍下で動作させる本装置を用いる本発明は有効であり、製造コストの低減が可能となる。
また、円筒状の複数の電極が線状に配置されたプラズマ発生手段12を用いることに特徴を有する本装置は、一度だけの走査でプラズマ処理を行うことができるため、大型基板に特に有効である。さらに、プラズマ発生手段12を走査することで、必要箇所のみに処理を行えばよく、不必要な箇所ではガスの供給を停止すればよいため、用いるガスの利用効率が向上し、作製費用の低減が可能となる。
つまり、本発明において用いるプラズマ処理装置は、被処理物13とプラズマ発生手段12との間の距離を一定に維持したまま、前記被処理物13又は前記プラズマ発生手段12を走査して、前記被処理物13の表面にプラズマ処理を行う。そこで、円筒状の複数の電極が一軸方向に配列されたプラズマ発生手段12を用いる本発明は、被処理物13又はプラズマ発生手段12を走査する回数を減少させることができるため、被処理物13として大型基板を用いる場合に有効である。
上記の装置を用いて、被処理物13の表面にエッチング処理を行う場合には、ガス供給手段31からNF、CF(四フッ化炭素)、SF、COなどの原料ガスと、水素、酸素のうちの一つと希ガスとの混合ガスをプラズマ発生手段12に供給して、プラズマを発生させることにより行う。例えば、NFやSFなどの原料ガスを用いてフッ素原子を発生させ、これが固体のシリコンと反応して揮発性のSiFガスとして気化させ、外部に排気することにより、エッチング処理を行う。また、被処理物13の表面にアッシング処理を行う場合には、ガス供給手段31から酸素の原料ガスと、水素、CF、NF、HO、CHFのうちの一つとプラズマ発生手段12に供給して、プラズマを発生させることにより行う。例えば、感光性有機レジストのアッシング処理は、酸素と四フッ化炭素を導入して、CO、CO、HOにして、剥離させることによってアッシング処理を行う。
なお上記の装置を用いて、プラズマCVD法による薄膜の成膜を行ってもよく、絶縁膜は勿論、金属などの導電膜の成膜を行ってもよい。また、部品のクリーニング処理を行ってもよく、特に電極21、22のクリーニング処理は、NF、CF(四フッ化炭素)、SF、COなどのガス、有機物の場合はOを用いたプラズマによりクリーニングを行ってもよい。
また、本発明は、液滴噴射法によりレジストパターンを形成することを特徴とする。より詳しくは、感光剤を含む組成物を噴射する1個のヘッドを用いて、前記導電層に接するレジストパターンを形成する。この際、ヘッド又は基板を走査することで、レジストパターンを形成することを特徴とする。そこで、上述した大気圧又は大気圧近傍下で行うプラズマ処理方法及びこの液滴噴射法を用いた本発明の配線の作製方法について以下に説明する。
まず、ガラス、石英、半導体、プラスチック、プラスチックフィルム、金属、ガラスエポキシ樹脂、セラミックなどの各種素材を基板101とする(図3(A))。基板101の材料としては、本発明の作製工程の処理温度に耐えられる材料であれば、どのようなものでも構わない。
続いて、基板101上に、選択的に導電膜102a〜102c(以下、導電膜102と総称)を形成する。なお、基板101上には既に下地膜が形成された状態、または既にトランジスタなどの半導体素子及び絶縁膜が形成された状態でも構わないが、ここでは、説明の便宜上、基板101上に導電膜102が形成されるとする。
そして本発明では、導電膜102の成膜は、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により選択的に行うことを特徴とする。換言すると、基板101の全面に導電膜102を成膜するのではなく、後に配線を形成する箇所のみに選択的に導電膜を成膜することを特徴とする。上記構成を有する本発明は、配線として用いる材料の利用効率が向上するため、作製費用の低減が可能となる。
CVD法により導電膜102を成膜する場合、ソースガス、反応温度、反応圧力を適宜設定して行う。例えば、タングステン(W)膜を成膜する場合、ソースガスをWF、反応温度を200〜500℃として行う。また、アルミニウム(Al)膜を成膜する場合、主に有機化合物を比較的低温で分解して作製する方法が採用され、ソースガスを(CAl、反応温度を250〜270℃とし、ガスの温度を導入途中で熱的に活性化させて成膜する。また銅(Cu)膜を成膜する場合、ソースガスに銅を含む有機化合物、反応温度100〜300℃として、熱分解で成膜する。なお成膜する薄膜の種類によって、減圧下で行う必要があるため、その場合には、所定の圧力に設定して行う。
蒸着法により導電膜102を成膜する場合、通電加熱、電子ビーム、ホローカソード、レーザアブレーションなどが代表的なソースとしてあげられる。しかしながら、レーザアブレーション以外の方法では、組成変化が生じてしまう可能性がある。そのため、合金膜を成膜するためには、合金材料を粒状にして、一つ一つの粒を瞬間的に蒸発させるフラッシュ蒸着法などの方法を用いるとよい。蒸着法により選択的に導電膜102を成膜する場合には、蒸着源の供給口を小さくし、該蒸着源又は基板を走査することで行う。
スパッタ法により導電膜102を成膜する場合、二極スパッタやマグネトロンスパッタなどの電極の工夫による方式と、高周波スパッタなどのスパッタの運転法の工夫による方式のどちらを用いても構わない。スパッタ法により、選択的に形成する方法として、例えば二極スパッタを例に挙げると、2つの電極を縦置きにして、該2つの電極の間に四角形の板状のターゲットを挟む構造を採用する方法がある。この際、被処理物に対向するターゲット自体の面積を小さく設定することで、選択的に形成することができる。
なお上記の3つの方法では、導電膜を選択的に成膜する場合について述べたが、木発明はこれに限定されない。全面に導電膜を成膜する方法にメタルマスクを併用することで、選択的に成膜しても構わない。この場合、配線の材料の利用効率は向上しないが、後のエッチング処理工程においては、レジストパターンに被覆された箇所以外の全ての薄膜をエッチング処理する必要がなく、所望の箇所のみをエッチング処理すればよい。そのため、エッチング処理時に使用するガスの無駄が削減されて、ガスの利用効率は上昇する。
続いて、導電膜102上に、液滴噴射法により、紫外線に反応するフォトレジスト(感光性樹脂)を成膜して、レジスト104〜106を形成する(図3(B))。より詳しくは、ヘッド103から、感光剤を含む組成物を噴射して、導電膜102上にレジスト104〜106を成膜する。
このときの上面図を図5(A)に示す。ヘッド103は、基板101の表面と平行な状態で、上下左右に走査することができる。なお図5(A)(B)には、1個のヘッド103を図示したが、図5(C)に示すように複数個(例えば3個)のヘッド103を用いてもよい。また、ノズル径の異なるヘッドを複数個用意し、用途に応じて、径の異なるヘッドを使い分けてもよい。複数個のヘッド103を用いる場合は、基板101の行方向及び列方向と平行に走査しても構わないし、前記基板101の行方向及び列方向に対して斜め方向に走査しても構わない。また、同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、ヘッド103を走査することが好ましいが、基板101を移動させてもよい。どちらを移動させるかはその精度と用途に応じて決めるとよい。なお基板101とヘッド103は、所望の箇所に滴下するために、できるだけ近づけておくことが好ましく、その距離は具体的には3ミリ以下、好ましくは1ミリ以下、さらに好ましくは0.5ミリ以下が好ましい。この液滴の正確な噴射は、距離にも依存するため、距離を測定するセンサなどを用いて、この距離を正確に保持することができるようにしてもよい。
なお、導電膜102は、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により選択的に形成するが、図5(A)では簡略化して図示し、基板101上の全面に導電膜102を形成した場合を示す。
ヘッド103から噴射する組成物には、感光剤を含む組成物を用いればよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを、溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、レジストの種類などに応じて適宜設定するとよい。
また、上記以外の材料として、ヘッド103から噴射する組成物は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。なおこれらの樹脂材料を用いる場合、その粘度は、溶媒を用いて溶解又は分散することで調整する。
ヘッド103から1回に噴射する組成物の量は10〜70pl(より広くは0.001〜100pl)、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下(より広くは1μm以下)が好ましく、ノズル径は5〜100μm(より広くは0.01〜100μm)が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、噴射口から組成物を円滑に噴射できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッド103から噴射する組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましいが、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
また、上記の液滴噴射法によるレジストパターンの形成は、大気圧下、減圧下(大気圧近傍、真空も含む)で処理を行う。減圧下とは、大気圧よりも低い圧力下であることを指し、窒素、希ガスその他の不活性ガスで充填された雰囲気では例えば1×10〜2×10Pa(好ましくは、5×10〜5×10Pa)とすれば良いし、さらに高い真空中(減圧下)では1〜5×10Pa(1×10〜1×10Pa)とすれば良い。減圧下にしておくことで、液滴は基板上の薄膜に到達するまでの間、常に液滴から溶媒が揮発し、その体積は減少していく。そのため、必要に応じて、後に行う加熱工程をより短時間で済ませることができる。
そして、レジストパターン104〜106の成膜が終了したら、レジストの硬化を目的として、100℃程度で焼成するプリベーク処理を行う。この加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を行うことができる。但し、レーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さ、つまり、パターンの一辺の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニール炉を用いてもよい。
次に、露光処理を行う(図3(C))。露光処理とは、予め目的のパターンが書き込まれたマスク(フォトマスク)107をレジスト104〜106の上に重ねて、その上から紫外線を照射する処理をよぶ。本処理では、基板全面を数カ所ずつ分けて、紫外線ランプなどの光源を用いて、感光剤の感光波長域の光を照射する。
続いて、露光で紫外線が照射された部分のレジストを現像液に浸して取り去る現像処理を行って、露光で焼き付けたパターンを実際のレジストパターン108〜110にする(図4(A))。そして、再び120℃程度で焼成するポストベーク処理を行う。
次に、レジストパターン108〜110で覆われていない部分の膜に、プラズマ発生手段118を用いて、エッチング処理を行って除去する(図4(B))。本発明では、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマを用いたドライエッチング処理を行うことを特徴とする。エッチングガスは、被加工物に応じて適宜選択すればよく、CF、NF、SFなどのフッ素系、Cl、BClなどの塩素系のエッチングガスを用いて行う。本実施の形態では、酸素を混合したガスを用いて、有機物であるレジストもエッチングされることを利用し、導電層をテーパー形状にエッチングし、導電層112〜114と、レジストパターン115〜117を形成した。
最後に、レジストパターン115〜117に、プラズマ発生手段118を用いて、アッシング処理を行って除去する(図4(C))。本発明では、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ化したガスとレジストを反応させ、レジストを気化させて取り除くプラズマアッシャを用いることを特徴とする。なおプラズマアッシャでは、一般には酸素ガスが用いられており、レジストが炭素、酸素、水素からできた固体の物質であることから、酸素プラズマと化学反応するとCO、HO、Oのような気体となる現象を利用している。なお、このプラズマアッシャを用いる場合、実際のレジストが含有する重金属などの不純物は除去されないので、ウェットステーションで洗浄してもよい。
本発明において、このエッチング処理及びアッシング処理は、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を走査して行うことを特徴とする。本処理には、真空設備を必要としないために、生産性の向上や、作製費用の低減を可能とする。また、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を用いることで、タクトタイムの点で有利となり、好ましくは、基板の一辺と同じ長さとなるように線状に複数のプラズマ発生手段を配置すると、一回の走査で処理を終わらせることができる。なお走査方向は、基板の一辺と平行な方向に限らず、斜め方向に走査してもよい。
また線状に配置された複数のプラズマ発生手段のうち、全てのプラズマ発生手段から反応ガスを供給する必要はなく、目的のポイントのみに所定のガス流を供給すれば処理を行うことができる。従って、反応ガスを常に供給する必要がない本発明は、ガスの節約につながり、作製費用の低減を可能とする。
以上のようにして、基板101上に導電層112〜114のパターンを形成することができる。なお、導電層112〜114のパターンは、ゲート配線(容量配線)であれば5〜50μm、ソース配線であれば5〜25μmで作成することが好ましい。本実施の形態では、基板101上に導電性材料からなるパターンを形成する一態様を例示したが、本発明はこれに限定されず、半導体集積回路の配線形成工程、液晶パネルやELパネルを構成するTFT基板の配線形成工程など様々な分野に適用することができる。すなわち、本発明は本実施の形態における例示に限定されず、酸化シリコンやアクリル樹脂などの絶縁膜、多結晶シリコンや非晶質シリコンなどの半導体のパターンを形成する場合にも適用することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態では、上述したプラズマ処理装置を用いて、選択的にエッチング処理を行って開孔(コンタクトホール)を作製する形態について説明する。
図6(A)において、基板101上に公知の方法により半導体層(又は導電層、配線層)125、該半導体層125上に絶縁膜126を形成する。そして、絶縁膜126上には、開孔を形成する箇所以外にレジストパターン127、128を形成する。この状態になったら、プラズマ供給手段12により、エッチング処理を行う。そうすると、図6(B)に示すように、半導体層125に達するコンタクトホール129を形成することができる。このコンタクトホールは、プラズマ供給手段12の径や、用いる表示パネルの解像度にも依存するが、約2.5〜30μmである。
本発明では、前記エッチング処理は、大気圧又は大気圧近傍下で、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を走査して行い、前記複数のプラズマ供給手段から選択された一つ又は複数にのみプラズマが発生することを特徴とする。本処理には、真空設備を必要としないために、生産性の向上や、作製費用の低減を可能とする。また、線状に配置された複数のプラズマ発生手段を用いることで、タクトタイムの点で有利となり、好ましくは、基板の一辺と同じ長さとなるように線状に複数のプラズマ発生手段を配置すると、一回の走査で処理を終わらせることができる。なお走査方向は、基板の一辺と平行な方向に限らず、斜め方向に走査してもよい。
また線状に配置された複数のプラズマ発生手段のうち、全てのプラズマ発生手段から反応ガスを供給する必要はなく、目的のポイントのみに所定のガス流を供給すれば処理を行うことができる。従って、全てのプラズマ供給手段に対して反応ガスを供給する必要がない本発明は、ガスの利用効率を向上させて、作製費用の低減を可能とする。
また、図6(C)〜図6(E)に本発明の他の一例を示す。
インクジェット法(液滴噴射法)によって層間絶縁膜をアイランド状に選択的に形成した後、プラズマ処理を選択的に行って、前記層間絶縁膜の形状を整えることで、コンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成するものである。本発明は、層間絶縁膜をインクジェット法で形成することを特徴とする。
まず、図6(A)と同様に、基板101上に形成した半導体層または配線層(導電層)125を形成する。ここでは金属からなる配線層125を例に説明する。インクジェット法により、高分子材料(代表的にはポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテンなど)を含む溶液を、基板101の所定の位置に噴射塗布し、焼成を行って溶媒を取り除き、絶縁層130aを形成する(図6(C))。この工程を経て、配線層125の一部を露呈させる。露呈させた部分は後にコンタクトホールとなる箇所である。なお、層間絶縁膜として機能させるためにはある程度膜厚が必要であるので、噴射塗布と仮焼成(または焼成)を繰り返すことによって所望の膜厚を得てもよい。
また、絶縁層130aの材料としては、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを適宜用いることができる。また、絶縁層130aとして、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
本発明は、スピンコート法のように基板全面に塗布を行わないため、大幅に材料を節約することができる。
次いで、図6(D)に示すようにプラズマ供給手段(ノズル)12を用いたプラズマ処理によって、絶縁層130aの端部を選択的にエッチングして、前記絶縁層130aにコンタクトホールを形成する。このエッチングは、絶縁層130aの形状を整える処理にもなる。予め絶縁層130aに開いている穴を拡大することによってコンタクトホールが形成され、絶縁層130bが形成される。従来のフォトリソ技術のエッチングに比べエッチングする部分が少ないため、短時間でコンタクトホールを形成することができる。本発明は、レジストマスクを用いてエッチングを行わないため、レジスト形成プロセスを省略できる。
また、同時に配線層125の露呈している部分に不純物などのゴミが存在していた場合、そのゴミを除去することもできる。また、配線層125の露呈している部分に自然酸化膜が形成された場合、自然酸化膜も除去できる。
次いで、図6(E)に示すように配線131を形成する。なお、絶縁層130bは、層間絶縁膜として機能することとなる。インクジェット法により配線を形成すれば、マスクレスのプロセスとすることができ、量産に適したプロセスとすることができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
(実施の形態3)
まず本発明の特徴として、大気圧又は大気圧近傍下でエッチング処理又はアッシング処理を行うことが挙げられる。そこで、図面を用いて、本発明において用いられるプラズマ処理装置の一例について説明する。
図17(A)において、プラズマ供給手段は、ガラス又は石英ガラスによって形成されたノズル92を有する。そして、ノズル92の下部には、高周波電源89に接続した第1の電極(高周波電極)88と、接地された第2の電極(接地電極)87とが対向して配置してあり、この第1の電極88と第2の電極87との間に高周波電圧が印加される。
ノズル92には、ガス供給手段(ガスボンベ)85が、バルブ86を介して接続されている。このガス供給手段85には、バルブ86を介して所定のガスが供給される。ノズル92の下方には、ステンレス板などからなるステージ91が配設してあり、このステージ91の上面には、プラズマ化されたガス流が照射される被処理物90が配置される。
そして、例えば希ガスに適当量の酸素ガス又は四フッ化炭素ガス、若しくは酸素ガスと四フッ化炭素ガスとを添加して、これを放電ガスとして、大気圧状態でノズル92に供給するとともに、第1の電極88に高周波電圧を印加する。そうすると、両電極間には、プラズマが発生する。そして、このプラズマにより生成されるイオン、ラジカルなどの化学的に活性な励起種を含む反応性ガス流を被処理物90の表面に向けて照射すると、該被処理物90の表面において所定の表面処理を行うことができる。
次いで、図17(A)に示したプラズマ処理装置の斜視図を図17(B)に示す。ノズル92は、並行に対向して配置してあり、間隙にガス流路を形成している。そして、ノズル92の長手方向に沿って、高周波電源89に接続する第1の電極88(図示せず)と、第1の電極88と対向するように第2の電極87が配設してある。ノズル92の下端には、ノズル92と直交するフィン板94、95が設けてある。なお、ノズル92の上部には、ガス流路に沿って複数の供給孔を有し、ガス流路に放電ガスを均一に供給するためのガス制御手段(図示せず)が設けられている。また、ガス流路の側部は、側板(図示せず)によって塞いであり、ガス流路において生成された反応ガス流は、ガス流路の下方からのみ噴射できるようになっている。
上記構成を有する、本発明において用いるプラズマ処理装置は、線状の放電を発生させることができ、この放電によって生成したプラズマによる反応ガス流を、被処理物90に照射することにより、所定のアッシング処理又はエッチング処理を行うことができる。
また、上記の図17とは異なる構成のプラズマ処理装置について、図面を用いて説明する。図18(A)は本発明に係るプラズマ処理装置の上面図であり、図18(B)は断面図である。図18(A)、(B)において、カセット室21aには、表面処理が行われるガラス基板、樹脂基板、半導体基板等の被処理物12aがセットされる。被処理物12aとしては、所望のサイズの基板が用いられる。なおカセット室21aにセットされる基板には、洗浄などの前処理をあらかじめ行っておくことが好ましい。
22aは搬送室であり、搬送機構20a(例えばロボットアーム)により、カセット室21aに配置された被処理物12aを、プラズマ処理室23aに搬送する。被処理物12aの搬送方式としては、水平搬送が挙げられるが、被処理物12aとして第5世代以降の基板を用いる場合には、搬送機の占有面積の低減を目的として、基板を縦置きにした縦形搬送を行ってもよい。搬送室22aに隣接するプラズマ処理室23aには、防塵のために外気を遮断するように空気の流れをつくり、且つ被処理物12aの搬送も行う気流制御手段18a、加熱手段19及びプラズマ発生手段25が設けられる。加熱手段19は、ハロゲンランプ等の公知の加熱手段を用いればよく、被処理物12aの下面から加熱する。18aは気流制御手段、26はガスの吹き出し口であり、ガス供給手段29から供給される不活性ガスなどの搬送用ガスを用いて気流の制御を行う。本発明において用いるプラズマ処理装置は、大気圧又は大気圧近傍下で動作させるため、気流制御手段18aにより、プラズマ発生手段25付近の気流を制御することのみで、外部からの汚染や反応生成物の逆流を防止することができる。つまり、外界との分離はこの気流制御手段18aのみで行うことも可能であり、プラズマ処理室23aを完全に密閉する必要がない。また本発明は、減圧装置に必要である真空引きや大気開放の時間が必要なく、複雑な真空系を配置する必要がない。
また、ガス供給手段29から供給されるガスは、加熱手段28により所望の温度(例えば50度〜800度)に加熱され、この加熱されたガスを被処理物12aに吹き付けることで、被処理物12aを加熱する。加熱手段28は、気体を加熱できるものであれば、特に限定されず、公知のものを用いればよい。本発明では、加熱されたガスを被処理物12aの上面に吹き付けて加熱し、さらに、加熱手段19により被処理物12aの下面を加熱する。このように、被処理物12aの両面を加熱することで、当該被処理物12aを均一に加熱する。また、ガス供給手段29から供給される搬送用ガスには、不活性ガスを用いればよい。
プラズマ発生手段25は、第1の電極13a及び第2の電極14aにより構成され、高周波電源17a、排気系、ガス供給手段などに接続される(図18)。プラズマ処理室23aにおいて、所定の表面処理が終了した被処理物12aは、搬送室24に搬送され、この搬送室24から別の処理室に搬送される。
なお、第1の電極13a及び第2の電極14aの一方又は両方は、固体誘電体で覆うとよい。固体誘電体としては、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム及び二酸化チタン等の金属酸化物、ポリエチレンテレフタラート及びポリテトラフルオロエチレン等の有機物、酸化珪素、ガラス及びチタン酸バリウム等の酸化物等が挙げられる。固体誘電体の厚さは、0.05〜4mmであることが好ましい。これは、放電プラズマを発生するのに高電圧を要するため、固体誘電体が薄すぎると、電圧印可時に絶縁破壊が起こって、アーク放電が発生してしまうからである。
次いで、プラズマ発生手段25の詳細な構成について、図19の断面図を用いて説明する。図19における点線は、ガスの経路を示す。13a、14aはアルミニウム、銅、ステンレスなどの導電性を有する金属からなる電極であり、第1の電極13aは電源(高周波電源)17aに接続されている。なお第1の電極13aには、冷却水を循環させるための冷却系(図示せず)が接続されていてもよい。冷却系を設けることによって、冷却水の循環により連続的に表面処理を行う場合の加熱を防止して、連続処理による効率の向上が可能となる。第2の電極14aは、第1の電極13aの周囲を取り囲む形状を有し、電気的に接地されている。そして、第1の電極13aと第2の電極14aは、その先端にノズル状のガスの供給口を有する円筒状を有する。この第1の電極13aと第2の電極14aの両電極間の空間には、加熱手段28により加熱されたガスが供給される。そうすると、この空間の雰囲気は置換され、この状態で高周波電源17aにより第1の電極13aに高周波電圧(例えば10〜500MHz)が印加されて、前記空間内にプラズマ11が発生する。このプラズマ11により生成されるイオン、ラジカルなどの化学的に活性な励起種を含む反応性ガス流を被処理物12aの表面に向けて照射することによって、該被処理物12aの表面における薄膜の形成や洗浄などの表面処理を行う。
また図19中、27はバルブ、28は加熱手段、29、30a、31aはガス供給手段、32は排気ガス、33はフィルタである。加熱手段28は、ガス供給手段9、30a、31aより供給されるガスを所望の温度(例えば50〜800度)になるまで加熱する。なお、29は搬送用ガスのガス供給手段、30aは精製ガスのガス供給手段、31aはプロセス用ガスのガス供給手段である。搬送用ガスは、不活性ガスなどの処理室内で行う表面処理に影響を及ぼすことがないガスを用いる。また、プロセス用ガスは、処理室内で行う表面処理の種類に合わせて適宜設定する。排気ガス32は、バルブ27を介して、フィルタ28に導入される。フィルタ28では、排気ガスに混入したゴミを除去する。そして、フィルタ33により精製されたガスは再び精製ガスのガス供給手段30aに導入されて、再度プロセス用ガスとして用いられる。
また上述したように、気流制御手段18aから斜め方向と垂直方向に吹き付けられるガスと両電極間の空間からのガスにより、被処理物12aは、水平に浮上して、非接触状態で進行方向に搬送される。電極付近では、ガスは上向きに吹き出し、このガスにより被処理物12aは浮上する。また気流制御手段18a付近では、ガスの吹き付けとガスの吸引を同時に行って、被処理物12aが浮上する高さを制御する。さらに、バルブ27を用いて、被処理物12aの水平精度をガスの流量により調整し、被処理物12aと第1及び第2の電極13a、14aとの距離を精密に調整する。本構成により、搬送が困難である大型で薄い被処理物12aに対しても、歪んだり、そりが生じたり、最悪の場合割れたりする事態を防止する。
また上記の図18とは異なり、図20(A)(B)に示すように、気流制御手段18と機械式のロボットアーム(搬送機構)51を用いて、被処理物12aを搬送してもよい。そうすると、被処理物12aを進行方向に水平に搬送することができる。また、ロボットアーム51ではなく、図20(C)に示すように、被処理物12aの進行方向にレール53を設置して、そのレール53を走行する台車52を用いて、被処理物12aを水平に搬送してもよい。
【実施例】
【実施例1】
本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図7は、液滴噴射法を用いた液滴噴射装置を示す。前記装置を用いて、基板215上に所望のレジストパターンを形成する際は、ヘッド(インクヘッド)201から組成物を噴射する周期と、基板215の移動速度を調節する。なおヘッド201に隣接して、組成物の平滑化手段として気体を噴出するノズル202を具備してもよい。このノズル202から噴出する気体により、基板215上に噴射された組成物を平滑化する。つまり、ヘッド201と基板215の間の距離を維持しつつ、前記ヘッド201又は前記基板215を動かすことで、線状のパターンが形成されるが、このとき、ノズル202から気体を噴出させて、前記パターンを平滑化することができる。また、噴射した組成物の着弾位置の精度を高めるために、ヘッド201と基板215との間隔を1ミリ以下に近づけることが好ましい。そのためには、ヘッド201が上下に動く移動機構204とその制御手段203を設け、パターン形成時のみ、ヘッド201を基板215に近づける構成とする。
その他、前記装置は、基板215を固定しXYθ方向に可動して、基板215を固定する基板ステージ205、ヘッド201に組成物を供給する手段206、ノズル202に気体を供給する手段207などから構成される。筐体210はヘッド201、基板ステージ205等を覆う。また、前記装置を用いる際は、ガス供給手段208と筐体210内に設けられたシャワーヘッド209により、組成物の溶媒と同じ気体を供給して雰囲気を置換しておくと、乾燥をある程度防止することができ、長時間印刷を続けることができる。その他付随する要素として、処理する基板215を保持するキャリア212、そのキャリア212から搬出入させる搬送手段211、清浄な空気を送り出し作業領域の埃を低減するクリーンユニット213などを備えても良い。
図5(D)(E)は、ヘッド103の断面図を示しており、該図面を用いて、ヘッド103から組成物を噴射する2つの方法を説明する。図5(D)(E)において、121は組成物、122はヘッドである。まず、第1の方法として、図5(D)には、ヘッド103から組成物121の噴射が停止することなく、つまり、組成物121を連続的に噴射してパターンを形成する方法を適用した場合を示す。また第2の方法として、図5(E)には、ヘッド103から組成物121を滴下してパターンを形成する方法を適用した場合を示す。本発明では、どちらの方法を用いてもよい。
次いで、主に導電層を成膜する成膜室225、図7の装置が組み込まれた液滴噴射処理室227、レーザー照射室228、露光用処理室225、洗浄室238及びプラズマ処理室237を順に通過するフローを示す。
つまり、半導体装置の作製する際に通過する各処理室について、図8を用いて説明する。
各処理室には、必要に応じて排気ポンプを設ける。排気ポンプとしては、油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ分子ポンプ若しくはクライオポンプを用いることが可能であるが、水分の除去に効果的なクライオポンプが好ましい。
成膜室225は、主に導電性材料を用いて、CVD法、蒸着法又はスパッタ法を用いて局所的に選択加工を行う。つまり、後述するスパッタ装置(図9)、蒸着装置(図10)などが本成膜室225に設けられる。
液滴噴射処理室227は、レジストパターンの形成を行うことを特徴とする。液滴噴射処理室227は、上述した図7に示す構成になっており、図5(B)(C)に示した1個又は複数個のヘッドが設けられている。そして、ヘッド又は基板を走査することで、レジストパターンの形成を行う。
レーザー照射室228は、加熱処理などの用途に用いる。基板を載置して、該基板の位置を制御する位置制御手段、レーザー発振装置230、光学系229、中央演算処理装置及びメモリ等の記憶手段を兼ね備えたコンピュータ等を有する。
露光用処理室225は、液滴噴射処理室227にてレジストパターンを形成後、露光処理を行う際に用いる。露光処理室225には、レジストパターンに感光剤の感光波長域の光を照射する為の処理ユニット239が備えられている。感光剤の感光波長域の光としては、感光剤にもよるが、一般的には波長350〜450nmの光が必要である。当該波長域を満足する光源としては、多波長光の等倍投影露光装置や単波長光の等倍投影露光装置の光源として一般的に使用されている超高圧水銀灯が好適な一例として挙げられ、超高圧水銀灯のスペクトル光であるg線(436nm)とh線(405nm)とi線(365nm)とから成る多波長光を照射する構成となっている。これには、光学フィルタと、光源の超高圧水銀灯と超高圧水銀灯405に電力を供給する為の電力供給ラインなどから構成される。光学フィルタとしては、吸収フィルタや薄膜干渉フィルタが挙げられ、これらの吸収フィルタや薄膜干渉フィルタを適切に積層して、g線(436nm)とh線(405nm)とi線(365nm)とから成る多波長光を分光透過する。尚、光照射の処理時間は、露光装置での露光時間の様に厳密なものではないが、レジストパターンの軟化形状に影響する為、所定時間の光照射処理が行われる装置構成が必要である。この様な装置構成としては、図示してないが、シャッター機構を設けるとか、所定時間の間のみ超高圧水銀灯への電力供給を行う機構を設ける等の手段が考えられる。
洗浄室238は、スピン塗布方式の処理室であり、IPAや純水を供給して剥離後のリンス処理を行う。なお、本発明は、実施の形態1、3において上記のプラズマ処理装置により、大気圧又は大気圧近傍下でレジストをアッシングして除去することを特徴としているが、工程によっては、洗浄室238のようなスピン塗布方式の処理室において、レジスト剥離液を供給して、レジストの除去を行ってもよい。プラズマ処理室237では、大気圧又は大気圧近傍下でエッチング処理、アッシング処理を行う。
本発明は、大気圧又は大気圧近傍下で動作する装置を用いるため、液滴噴射用処理室227、プラズマ処理室237、薄膜を成膜する処理室、液滴を噴射するヘッドを移動する移動手段などを一度に備えた製造装置を提供することができる。このような構成の製造装置により、インライン処理がより容易にできるようになり、製造ラインの省スペース化、効率化が図れる。
本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例2】
本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図9は、マグネトロン方式のスパッタリング装置の一例を示す。当該装置は、被処理物(基板)の取り出しを行う搬送口(取り出し口)322を備えた成膜室311を有する。成膜室311内にはターゲット317が設けられており、バッキングプレートを介して冷媒319により冷却(水冷)される。永久磁石318はターゲット面と平行な方向に円運動又は直線運動することにより対向する基板表面に膜厚の均一性のよい被膜の形成を可能とする。シャッター323は成膜開始前後に開閉し、放電初期においてプラズマが不安定な状態で被膜が形成されるのを防いでいる。
基板313とマスク314は、基板ホルダー327及びマスクホルダー328を移動させて、基板保持手段312に設置する。このとき、基板313とマスク314のアライメントは、成膜室内に設けられたCCDカメラ316を用いて行うとよい。また、基板保持手段312には磁性体(磁石)315が設けられており、前記磁性体315により、基板313とマスク314が固定される。このとき、基板313とマスク314が接しないように、スペーサを設けて、一定のギャップ(高さ)を保持してもよい。また、ターゲット317を保持する手段は、ターゲット317を上下させる手段326を有し、成膜時に基板313と前記ターゲット317との距離を制御することができる。もちろん基板保持手段312に、基板313を上下させる手段を設置し、成膜時に基板313とターゲット317との距離を制御しても構わない。
更に、基板保持手段312に、加熱手段としてシーズヒーターを埋め込み、加熱された希ガス(アルゴンガス)を基板313の裏側から導入して均熱性を高めるとよい。また、成膜室311には、ガス導入手段321から、希ガスや酸素ガスが導入され、コンダクタンスバルブ325により制御される整流板324は、成膜室311内でのスパッタリングガスの流れを整流する目的で設けられる。ターゲット317には高周波電源320が接続される。
次いで、スパッタ法により導電膜を成膜するときに用いるマスク330の例を図9(B)に示す。マスク314は、マスクパターン331をスリット状に有する。マスクパターン331は、画素部に配置される信号線の形成用には、5〜20μmといった幅の狭いパターンを設けたり、引き回し配線の形成用には150〜1000μmといった幅の広いパターンを設けたりして、その用途に応じて適宜設定する。
なおマスク314には、補強を目的として補助配線がスリットに平行して設けられていてもよい。この補助配線の幅、長さ及び配置箇所は成膜時の障害とならないように適宜設定すればよい。このような補助配線を用いると、成膜領域の幅がばらついたり、蛇行したりすることを防止する。このようなマスク314は、ニッケル、白金、銅、ステンレス又は石英ガラスなどから形成され、金属材料から形成されるマスクはメタルマスクとよぶ。成膜する配線の幅にもよるが、マスク314は、5〜25μm程度の厚みを有するように形成するとよい。
本発明は、基板313と重なるようにマスク314を配置して、基板313上に選択的に薄膜を成膜することを特徴とする。より詳しくは、希ガスを含む雰囲気中で高周波電力を印加して、スパッタリング法により、所望の形状の薄膜を成膜する。このようにマスク314を配置して、所望の形状の薄膜を形成する場合、材料の利用効率は向上しないが、後のエッチング処理工程においては、レジストパターンに被覆された箇所以外の領域の薄膜をエッチング処理する必要がなく、所望の箇所のみをエッチング処理すればよい。そのため、エッチング処理時に使用するガスの無駄が削減され、ガスの利用効率は上昇する。
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例3】
本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図10は、蒸着装置の一例を示す。図10(A)において、350は試料ボート、351は材料である。試料ボート350に入っている材料は、電極(図示せず)による抵抗加熱により気化され放出される。この際、放出された材料は、導電性材料からなるマスク343の隙間を通過した後、基板340上に付着する。マスク343は、図9(B)を用いて上述したように、銅、鉄、アルミニウム、タンタル、チタン、タングステンといった導電性材料により構成される。
なお本実施例では、蒸着源として抵抗加熱を例にとったが、電子ビーム(EB)加熱であっても構わない。また蒸着時に材料を負に帯電させても、正に帯電させてもどちらでよい。
図10(B)は、図10(A)とは異なる、通電加熱型の蒸着装置の一例を示した図である。370はフィラメント、371は前記フィラメント370が発する温度に耐えうる材料(例えば石英など)により形成されたるつぼであり、例えばステンレスにより形成される。そして、粉体にした材料をるつぼ371に入れた後、フィラメント370を通電加熱して、当該材料を原子あるいは分子状にして蒸発させ、原子あるいは分子状にした材料を基板372に付着させて薄膜を作成する。なお図10(B)には円錐かご型のフィラメントを図示したが、目的に合わせて適宜変更すればよく、例えばU字型のフィラメントを用いてもよい。
図10(B)に示す蒸着装置の場合には、メタルマスクを必ずしも用いる必要はなく、蒸発源が供給される細口を小さくして、るつぼ371又は基板372を走査することで、選択的に薄膜を成膜することができる。
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例4】
本実施例では、図11を用いて、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の作製工程を以下に示す。
最初に、透光性を有する基板600を用いてアクティブマトリクス基板を作製する。基板600の基板サイズとしては、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1800mm×2000mm、2000mm×2100mm、2200mm×2600mm、又は2600mm×3100mmのような大面積基板を用いて、製造コストを削減することが好ましい。例えば、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。更に他の基板として、石英基板、プラスチック基板などの透光性基板を用いることができる。
なお、アクティブマトリクス基板とは、基板上に薄膜トランジスタ等の素子が形成された基板に相当する。
なお画素ピッチは、縦の長さ及び横の長さ共に50〜750μmとしたデザインルールで作成することが好ましい。
まず、スパッタ法を用いて、絶縁表面を有する基板600上に、導電層を全面又は選択的に形成した後、液滴噴射法によりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して、配線及び電極(ゲート電極、保持容量配線、及び端子など)を形成する。なお、必要があれば、基板600上に下地絶縁膜を形成する。
なお、以下の工程において、エッチング処理やレジストを除去するアッシング処理を行う工程では、上述した、大気圧又は大気圧近傍下で動作するプラズマ処理装置を用いてもよい。複雑な真空系が必要ない前記プラズマ処理装置を用いると、コストの低減が可能となる。
上記の配線及び電極の材料としては、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Ndから選ばれた元素、前記元素を成分とする合金、または前記元素を成分とする窒化物で形成する。さらに、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Ndから選ばれた元素、前記元素を成分とする合金、または前記元素を成分とする窒化物から複数選択し、それらを積層形成することもできる。
なお、画面サイズが大画面化すると、それぞれの配線の長さが増加して、配線抵抗が高くなる問題が発生し、消費電力の増大を引き起こす。よって、配線抵抗を下げ、低消費電力を実現するために、上記の配線及び電極の材料としては、Cu、Al、Ag、Au、Fe、Ni、Ptまたはこれらの合金を用いることもできる。
次に、PCVD法によりゲート絶縁膜を全面に成膜する。ゲート絶縁膜は窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層を用い、膜厚を50〜200nmとし、好ましくは150nmの厚さで形成する。尚、ゲート絶縁膜は積層に限定されるものではなく、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化タンタル膜などの絶縁膜を用いることもできる。
次に、ゲート絶縁膜上に、50〜200nm、好ましくは100〜150nmの膜厚で第1の非晶質半導体膜を、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で、全面に成膜する。代表的には非晶質シリコン(a−Si)膜を100nmの膜厚で成膜する。なお、大面積基板に成膜する際、チャンバーも大型化する。その場合、大型化したチャンバー内を真空にするためには処理時間が増加し、成膜ガスも大量に必要となる。そのため、大気圧又は大気圧近傍下で動作し、線状のプラズマ供給手段を有するプラズマCVD装置を用いて、非晶質シリコン膜の成膜を行うとよい。そうすると、数回の走査で非晶質シリコン膜の成膜を行うことが可能となり、さらに所望の箇所のみに成膜すればよいため、成膜ガスの削減につながり、作製コストの低減が可能となる。
次に、一導電型(N型またはP型)の不純物元素を含有する第2の非晶質半導体膜を、20〜80nmの厚さで成膜する。一導電型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜は、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で全面に成膜する。本実施例ではリンが添加されたシリコンターゲットを用いて、N型の不純物元素を含有する第2の非晶質半導体膜を成膜する。
次に、液滴噴射法によりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して、島状の第1の非晶質半導体膜、および島状の第2の非晶質半導体膜を形成する。この際のエッチング方法としてウエットエッチングまたはドライエッチングを用いる。
次に、島状の第2の非晶質半導体膜を覆う導電層をスパッタ法で形成した後、液滴噴射法によりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して、配線及び電極(ソース配線、ドレイン電極、容量電極など)を形成する。上記の配線及び電極の材料としては、Al、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Cu、Ag、Au、Cr、Fe、Ni、Ptから選ばれた元素、または前記元素を成分とする合金で形成する。
次に、液滴噴射法によりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去してソース配線、ドレイン電極、容量電極を形成する。この際のエッチング方法としてウエットエッチングまたはドライエッチングを用いる。この段階でゲート絶縁膜と同一材料からなる絶縁膜を誘電体とする保持容量が形成される。そして、ソース配線、ドレイン電極をマスクとして、自己整合的に第2の非晶質半導体膜の一部を除去し、さらに第1の非晶質半導体膜の一部を薄膜化する。薄膜化された領域はTFTのチャネル形成領域となる。
次に、プラズマCVD法により150nm厚の窒化シリコン膜からなる保護膜と、150nm厚の酸化窒化シリコン膜から成る第1の層間絶縁膜を全面に成膜する。なお、大面積基板に成膜する際、チャンバーも大型化する。その場合、大型化したチャンバー内を真空にするために処理時間が増加し、成膜ガスも大量に必要となる。そのため、大気圧又は大気圧近傍下で動作し、線状のプラズマ供給手段を有するプラズマCVD装置を用いて、非晶質シリコン膜の成膜を行うとよい。この後、水素化を行い、チャネルエッチ型のTFTが作製される。
なお、本実施例ではTFT構造としてチャネルエッチ型とした例を示したが、TFT構造は特に限定されず、チャネルストッパー型のTFT、トップゲート型のTFT、或いは順スタガ型のTFTとしてもよい。
次に、液滴噴射法によりレジストマスクを形成して、その後ドライエッチング工程により、ドレイン電極や容量電極に達するコンタクトホールを形成する。また、同時にゲート配線と端子部を電気的に接続するためのコンタクトホール(図示せず)を端子部分に形成し、ゲート配線と端子部を電気的に接続する金属配線(図示せず)を形成してもよい。また、同時にソース配線に達するコンタクトホール(図示せず)を形成し、ソース配線に接続する金属配線を形成してもよい。これらの金属配線を形成した後に、ITO(インジウムスズ酸化物)等の画素電極を形成してもよいし、ITO等の画素電極を形成した後に、これらの金属配線を形成してもよい。
次に、ITO、In−ZnO(酸化インジウム酸化亜鉛合金)、ZnO(酸化亜鉛)等の透明電極膜を、110nmの厚さで成膜する。その後、液滴噴射法によりレジストパターンを形成する工程と、エッチング工程とを行うことにより、画素電極601を形成する。
以上の工程を経て、逆スタガ型のTFT及び保持容量からなる画素部と、端子部とで構成されたアクティブマトリクス基板を作製することができる。
次いで、アクティブマトリクス基板上に、配向膜623を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜623を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ602を所望の位置に形成する。また、柱状のスペーサ602に代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。配向膜623は、液滴噴射法により作成してもよい。
次いで、対向基板650を用意する。対向基板650には、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタ620が設けられている。また、このカラーフィルタ620を覆う平坦化膜651を設けている。次いで、平坦化膜651上に、透明導電膜からなる対向電極621を、画素部と重なる位置に形成し、対向基板650の全面に配向膜622を形成し、ラビング処理を施す。
そして、アクティブマトリクス基板上の画素部を囲むようにシール材607を描画した後、減圧下でシール材607に囲まれた領域に液滴噴射法で液晶を噴射する。次いで、大気にふれることなく、減圧下でアクティブマトリクス基板と対向基板650とを、シール材607で貼り合わせる。シール材607にはフィラー(図示せず)が混入されていて、このフィラーと柱状スペーサ602によって均一な間隔を持って、2枚の基板が貼り合わせられる。液滴噴射法で液晶を噴射する方法を用いることによって、作製プロセスで使用する液晶の量を削減することができ、特に、大面積基板を用いる場合に大幅なコスト低減を実現することができる。
このようにして、アクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板603等の光学フィルムを適宜設ける。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつける。
以上の工程によって得られた液晶モジュールに、バックライト604、導光板605を設け、カバー606で覆えば、図11(A)にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置(透過型)が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて固定する。また、透過型であるので偏光板603は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
また、本実施例は透過型の例を示したが、特に限定されず、反射型や半透過型の液晶表示装置も作製することができる。反射型の液晶表示装置を得る場合は、画素電極として光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウムまたは銀を主成分とする材料膜、またはそれらの積層膜等を用いればよい。
続いて、液晶モジュールの上面図を図11(B)に示すとともに、図11(B)と異なる液晶モジュールの上面図を図11(C)に示す。
上記の実施例により得られる、非晶質半導体膜で活性層を形成したTFTは、電界効果移動度が小さく1cm/Vsec程度しか得られない。そのため、画像表示を行うための駆動回路はICチップで形成され、TAB(Tape Automated Bonding)方式やCOG(Chip on glass)方式で実装する。
図11(B)中、501はアクティブマトリクス基板、506は対向基板、504は表示部、505はFPC、507はシール材である。本実施例では、液晶を液滴噴射法により噴射させ、一対の基板501、506をシール材507で貼り合わせる。
本実施例により得られるTFTは、電界効果移動度は小さいが、大面積基板を用いて量産する場合、作製プロセスにかかるコストを低減することができる。液晶を液滴噴射法により噴射し、一対の基板を貼り合わせる場合には、基板サイズに関係なく一対の基板間に液晶を保持させることができるため、20インチ〜80インチの大画面を有する液晶パネルを備えた表示装置を作製することができる。
また、公知の結晶化処理を行って非晶質半導体膜を結晶化させて結晶構造を有する半導体膜、代表的にはポリシリコン膜で活性層を構成した場合、電界効果移動度の高いTFTが得られるため、画素部だけでなく、CMOS回路を有する駆動回路をも同一基板上に作製することができる。また、駆動回路に加えCPUなども同一基板上に作製することができる。ポリシリコン膜からなる活性層を有するTFTを用いた場合、図11(C)のような液晶モジュールを作製することができる。図11(C)中、501はアクティブマトリクス基板、505はFPC、506は対向基板、510はソースドライバ、508、509はゲートドライバ、504は画素部、511は第1シール材、512は第2シール材である。本実施例では、液晶を液滴噴射法により噴射させ、一対の基板501、506を第1シール材512及び第2シール材506で貼り合わせている。なおドライバ508〜510には液晶は不要であるため、表示部504のみに液晶を保持させており、第2シール材511はパネル全体の補強のために設けられている。
なおここでは、液晶表示素子を用いた表示パネルに本発明を適用した例を示したが、発光素子を用いた表示パネルに本発明を適用してもよい。発光素子は、一対の電極に電界発光層(実際には電子輸送層など様々な種類の層が存在するが、ここでは総称して電界発光層とよぶ)が挟まれた構造を有しており、この電界発光層は、液滴噴射法(例えば、インクジェット法)により作製する方法が既に実用化されている。つまり、ヘッドから噴射する組成物を変更するか、又は組成物が充填されたヘッドを交換すると、連続処理が可能となる。また、発光素子は、自発光型平面ディスプレイであるため、バックライトが不要であり、視野角の制限は受けない。さらに、コントラストや応答速度は大幅に優れている。そのため、携帯端末だけではなく、大型の表示装置として用いることも可能である。
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例5】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。本実施例は、本発明を用いて、薄膜トランジスタ及び容量素子を作製する工程について説明する。本作製工程の断面図を図13、14、上面図を図15に示す。
基板101上にゲート電極(ゲート配線)901、容量電極(容量配線)902を形成する(図13(A)、図15(A))。基板101としては、ガラスやプラスチック等を材料とした透明な基板を用いる。また、ゲート電極901、容量電極902は、同一の層で形成されており、ネオジウム(Nd)等を含有したアルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)を積層形成した後、局所的に選択加工を行う。本実施例では、選択加工を行うため、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程が必要なく、作製工程を大幅に簡略化することができる。なお、ゲート電極901及び容量電極902の材料としては、ネオジウム(Nd)等を含有したアルミニウム(Al)の他、クロム(Cr)等の導電性を有する材料を用いてもよい。
次に、ゲート電極901および容量電極902を覆う絶縁膜(ゲート絶縁膜)903を形成する(図13(B)、図15(B))。絶縁膜903としては、窒化珪素膜や酸化珪素膜等の絶縁膜、若しくは窒化珪素膜や酸化珪素膜等を積層した膜を用いる。
続いて、絶縁膜903の上に、非晶質構造を有する半導体膜904を局所的に選択加工を行って形成する。本実施の形態では、選択加工を行うため、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程が必要なく、作製工程を大幅に簡略化することができる。
次に、半導体膜904のうち、TFTのチャネル領域となる部分の上に保護膜905を形成する。保護膜905は、窒化珪素膜等の絶縁膜を局所的に選択加工を行って形成する。
次いで、非晶質半導体を形成し、その後、不純物元素である燐を添加して、N型半導体膜を形成する(図13(C)、図15(C))。続いて、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)が順に積層した導電膜908、909を局所的に選択加工を行って形成する。そして、導電膜908、909をマスクとして、前記N型半導体膜をエッチングして、N型半導体層906、907を形成する。
次に、導電膜908、909の上方に、窒化珪素膜や酸化珪素膜からなる絶縁膜910を全面に形成する(図13(D)、図15(D))。次いで、絶縁膜910を貫通して配線909に至るコンタクトホールを形成する。本実施の形態では、コンタクトホールは、上記の実施の形態2に示した方法を用いて形成する。
続いて、画素電極911をITO等の透明な導電膜を局所的に選択加工して形成する(図15(E))。
次に、画素電極911上に配向膜912を形成する(図14)。続いて、配向膜915、対向電極916及び遮光膜917が形成された対向基板918を貼り合わせた後、液晶材料913を注入して表示パネルが完成する。基板101と対向基板918の間のギャップは、スペーサ914により保持される。
なお、上記の作製工程では、全ての工程に局所的に選択加工を行うことで、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程が不必要な場合を示した。また本実施の形態では、所謂チャネルストップ型のTFTの作製工程を図示した。しかし本発明はチャネルエッチ型のTFTの作製工程に適用してもよい。
以上の工程を経て、トランジスタと容量素子を形成することができる。本実施の形態によると、フォトリソグラフィ工程を用いることなく、作製することが出来るため、大幅な作製プロセスの削減を実現し、作製費用の低減を実現することができる。
【実施例6】
本実施例では、EL素子を有する発光装置の作製手順の一例について、図16を用いて説明する。
EL素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、仕事関数の小さい材料からなる陰極から注入された電子、および陽極から注入された正孔が、有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
このようなEL素子をマトリクス状に配置して形成された発光装置には、パッシブマトリクス駆動(単純マトリクス型)と、画素(又は1ドット)毎にスイッチが設けられているアクティブマトリクス駆動(アクティブマトリクス型)といった駆動方法を用いることが可能である。
ここでは、EL素子のみを作製する例を以下に説明する。
まず、アクティブマトリクス型の発光装置を作製する場合には、絶縁表面を有する基板150上にTFT(図示せず)を作製する。TFTは公知の方法でN型TFTまたはP型TFTを作製すればよい。次いで、陽極となる第1の電極151をTFTの電極(図示せず)と一部重なるように形成する。ここでは、第1の電極151として、仕事関数の大きい導電膜材料(ITO、In−ZnO、ZnO等)を用いて、インクジェット法で形成する。
次いで、インクジェット法により、絶縁材料を含む溶液を選択的に噴射して、隔壁(バンク、絶縁物、障壁、土手などと呼ばれる)152aを形成する(図16(A))。隔壁152aは、第1の電極151の端部、配線、および電極を覆い、各電極間を絶縁する。隔壁152aの材料としては、塗布法により得られる感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層体などを適宜用いることができる。また、隔壁152aとして、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
次いで、ノズル12を用い、選択的にプラズマ処理を行う(図16(B))。このプラズマ処理によって隔壁の形状を整える。隔壁152bの上端部または下端部に曲率(曲率半径(0.2μm〜3μm))を有する曲面が形成されるようにする。Oプラズマで隔壁の形状を整える場合、第1の電極の表面改質もOプラズマで行うと、トータルの工程数が増えないため好ましい。
次いで、第1の電極(陽極)151上には、インクジェット法によって有機化合物を含む層153を選択的に形成する。R、G、Bの発光が得られる有機化合物を含む層を、それぞれ選択的に形成すればフルカラーの表示を得ることができる。さらに、有機化合物を含む層153上には第2の電極(陰極)154が形成される(図16(C))。第2の電極(陰極)もインクジェット法で形成することが好ましい。陰極としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF、またはCaN)を用いて形成すればよい。こうして、第1の電極(陽極)151、有機化合物を含む層153、及び第2の電極(陰極)154からなるEL素子が形成される。
次いで、発光素子を封止するために保護膜(図示せず)を設けたり、封止基板(図示せず)または封止缶(図示せず)で密閉したりする。発光素子を封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。
また、本実施例では陽極上に有機化合物を含む層が形成され、有機化合物層上に陰極が形成される発光素子を有し、有機化合物を含む層において生じた発光を透明電極である陽極からTFTの方へ取り出す(以下、下面出射構造とよぶ)という構造とした例を示したが、陽極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に透明電極である陰極を形成するという構造(以下、上面出射構造とよぶ)としてもよい。
【実施例7】
本発明を用いて様々な電気器具を完成させることができる。その具体例について図12を用いて説明する。
図12(A)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有する表示装置(テレビジョン受像機、テレビジョン受信機ともよぶ)であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明は、表示部2003の作製に適用される。このような大型の表示装置は、生産性やコストの面から、第五世代(1000×1200ミリ)、第六世代(1400×1600ミリ)のようなメータ角の大型基板を用いて作製することが好適である。
図12(B)は、ノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明は、表示部2203の作製に適用される。
図12(C)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明は、これら表示部A、B2403、2404の作製に適用される。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、本発明をあらゆる分野の電気器具の作製に適用することが可能である。また、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例8】
本発明の実施例について説明する。より詳しくは、本発明を適用した薄膜トランジスタの作製工程について、図21〜23を用いて説明する。
ガラス、石英及び有機樹脂等なる基板800上に、CVD法、蒸着法又はスパッタリング法により、選択的に導電層801、802を形成する(図21(A)参照)。次に、導電層801、802上に、液滴吐出法により、マスクとして機能する絶縁層803、804を形成する(図21(B)参照)。つまり、絶縁体を含む組成物を吐出して、絶縁層803、804を形成する。続いて、大気圧又は大気圧近傍下で、絶縁層803、804をマスクとして、プラズマ発生手段805により、導電層803、804をエッチングして、導電層806、807を形成する(図21(C)参照)。次に、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段805により、絶縁層803、804をアッシングする(図21(D)参照)。つまり、絶縁層805を除去する。
その後、基板800上に、導電層806、807に接するように、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層808、半導体層809、一導電型が付与された半導体層810を積層形成する(図22(A)参照)。次に、半導体層810上に、液滴吐出法により、マスクとして機能する絶縁層811、812を形成する。続いて、大気圧又は大気圧近傍下で、絶縁層811、812をマスクとして、プラズマ発生手段805により、半導体層809、810をエッチングして、半導体層813〜816を形成する(図22(B)参照)。次に、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段805により、絶縁層811、812をアッシングする。つまり、絶縁層811、812を除去する。
次に、基板800上に、半導体層815、816に接するように、CVD法、蒸着法又はスパッタリング法により、選択的に導電層817〜820を形成する(図23(A)参照)。続いて、大気圧又は大気圧近傍下で、導電層817〜820をマスクとして、半導体層815、816をエッチングする(図23(A)参照)。このとき、半導体層813、814は、図示するように、少しエッチングされる。以上の工程を経て、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタが完成する。この薄膜トランジスタは、表示手段や記憶手段を構成要素として用いることができる
本発明は、第1にCVD法、蒸着法又はスパッタ法により導電層を選択的に形成する点、第2に液滴吐出法によりレジストマスクとして機能する絶縁層を形成する点、第3に大気圧下又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段により、絶縁層、半導体層及び導電層をエッチングする点、第4に大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段により、レジストマスクとして機能する絶縁層をアッシングする点の計4点を特徴とする。基板上の全面に導電層を形成せず、基板上に選択的に導電層を形成するという第1の特徴により、材料の利用効率が向上する。同様に、基板上の全面にレジストマスクを形成せず、基板上に選択的にレジストマスクを形成するという第2の特徴により、材料の利用効率が向上する。従って、第1と第2の特徴により、作製費用の大幅な低減を実現する。また、第3と第4の特徴により、真空設備が不必要であるため、作製時間の短縮と作製費用の低減を実現する。さらに、プラズマ発生手段として、第1及び第2の電極を有し、前記第1の電極は、前記第2の電極の周囲を取り囲み、かつ、その先端にノズル状の前記ガスの供給口を有する円筒状のものを一軸方向に複数配置したものを用いる場合は、選択的にガスを供給すればよいため、ガスの利用効率の向上を実現する。
【実施例9】
導電性のパターンを形成するために、金属微粒子を有機溶媒中に分散させた組成物を用いている。金属微粒子は平均粒径が1〜50nm、好ましくは3〜7nmのものを用いる。
代表的には、銀又は金の微粒子であり、その表面にアミン、アルコール、チオールなどの分散剤を被覆したものである。有機溶媒はフェノール樹脂やエポキシ系樹脂などであり、熱硬化性又は光硬化性のものを適用している。この組成物の粘度調整は、チキソ剤若しくは希釈溶剤を添加すれば良い。
液滴吐出手段によって、被形成面に適量吐出された組成物は、加熱処理により、又は光照射処理により有機溶媒を硬化させる。有機溶媒の硬化に伴う体積収縮で金属微粒子間は接触し、融合及び融着が促進される。すなわち、平均粒径が1〜50nm、好ましくは3〜7nmの金属微粒子が融合若しくは融着した配線が形成される。このように、融合若しくは融着により金属微粒子同士が面接触する状態を形成することにより、配線の低抵抗化を実現することができる。
本発明は、このような組成物を用いて導電性のパターンを形成することで、線幅が1〜10μm程度の配線パターンの形成も容易になる。また、同様にコンタクトホールの直径が1〜10μm程度であっても、組成物をその中に充填することができる。すなわち、微細な配線パターンで多層配線構造を形成することができる。
なお、金属微粒子の代わりに、絶縁物質の微粒子を用いれば、同様に絶縁性のパターンを形成することができる。
実施例9は実施例1〜8のいずれとも組み合わせることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面を有する基板上に、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により選択的に導電層を形成し、
前記導電層に接するように、組成物を吐出してレジストマスクを形成し、
前記レジストマスクを用いて、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段により前記導電層をエッチングし、
大気圧又は大気圧近傍下で、前記プラズマ発生手段により前記レジストマスクをアッシングすることを特徴とする配線の作製方法。
【請求項2】
絶縁表面を有する基板上に、CVD法、蒸着法又はスパッタ法により選択的に導電層を形成し、
前記導電層に接するように、組成物を吐出してレジストマスクを形成し、
フォトマスクを介して、前記レジストマスクに紫外光を照射し、
紫外光を照射した前記レジストマスクを用いて、大気圧又は大気圧近傍下で、プラズマ発生手段により前記導電層をエッチングし、
大気圧又は大気圧近傍下で、前記プラズマ発生手段により前記レジストマスクをアッシングすることを特徴とする配線の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、メタルマスクを用いて前記導電層を選択的に形成することを特徴とする配線の作製方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、前記組成物は感光剤を含むことを特徴とする配線の作製方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2において、前記プラズマ発生手段は第1及び第2の電極を有し、前記第1の電極は、前記第2の電極の周囲を取り囲み、かつ、その先端にノズル状の前記ガスの供給口を有する円筒状であることを特徴とする配線の作製方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2において、前記プラズマ発生手段は、第1及び第2の電極と、前記第1及び前記第2の電極間にガスを導入するガス供給手段と、前記第1又は前記第2の電極に電圧を印加する電源とを有することを特徴とする配線の作製方法。

【国際公開番号】WO2004/070820
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【発行日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564058(P2004−564058)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000897
【国際出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】