説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】配線層に新たな機能を有する素子を設けた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板上に形成された第1配線層150、及び半導体素子200を備える。第1配線層150は、絶縁層156と、絶縁層156の表面に埋め込まれた第1配線154とを備える。半導体素子200は、半導体層220、ゲート絶縁膜160、及びゲート電極210を備える。半導体層220は、第1配線層150上に位置する。ゲート絶縁膜160は、半導体層220の上又は下に位置する。ゲート電極210は、ゲート絶縁膜160を介して半導体層220の反対側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の半導体装置は、半導体基板にトランジスタなどの半導体素子を形成し、このトランジスタ上に複数の配線層を形成した構成を有している。このような半導体装置において、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトは、その半導体装置に求められている機能に基づいて設計されている。
【0003】
また、近年は、非特許文献1〜6に記載するように、化合物半導体層を用いて薄膜トランジスタを形成することが研究されている。
【非特許文献1】"Control of p- and n-type conductivity in sputter deposition of undoped ZnO"、 Gang Xiong他5名、App.Phys.Lett., Vol.80, No.7, 18 February 2002
【非特許文献2】"High mobility bottom gate InGaZnO thin film transistors with SiOx etch stopper"、Minlyu kim他8名、App.Phys.Lett., Vol.90, 212114(2007)
【非特許文献3】"High mobility thin-film transistors with InGaZnO channel fabricated by room temperature rf-magnetron sputtering"、Hisato Yabuta他8名、App.Phys.Lett., Vol.89, 112123(2006)
【非特許文献4】"Highly Stable Ga2O3-In2O3-ZnO TFT for Active-Matrix Organic Light-Emitting Diode Display Application"、Chang Jung Kim他9名、IEEE Electron Devices Meeting, IEDM '06, Technical Digest, session 11.6, 2006
【非特許文献5】"Integrated circuits based on amorphous indium-gallium-zinc-oxide-channel thin-film transistors"、M.Ofuji他8名、ECS Transactions, 3(8)293-300(2006)
【非特許文献6】"Wide-bandgap high-mobility ZnO thin-film transistors produced at room temperature"、Elvira M.C.Fortunato他6名、App.Phys.Lett., Vol.85, No.13, 27 September 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を変更できるようにすると、同一の半導体基板を用いて互いに異なる機能を有する複数種類の半導体装置を製造することができるようになる。この場合、半導体装置の製造コストを削減することができる。一方、半導体基板上の配線層には配線、容量素子、及びヒューズ等しか形成されていなかったため、配線層の構成を変更するのみでは、半導体装置の機能を変更することには一定の限界があった。このため、配線層に新たな機能を有する素子を形成できるようになれば、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を大幅に変更できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線とを有する第1配線層と、
前記第1配線層上に位置する半導体層と、
前記半導体層の上又は下に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記半導体層の反対側に位置するゲート電極と
を備える半導体装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、配線層の中に半導体層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を有する素子が設けられている。この素子は、例えばトランジスタ(スイッチング素子)や記憶素子として機能する。従って、配線層に新たな機能を有する素子を設けることができ、その結果、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を大幅に変更できる。
【0007】
本発明によれば、半導体基板上に、絶縁層及び前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線を有する第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層上に、前記第1配線上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層にソース及びドレインを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、半導体基板上に、絶縁層及び前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線を有する第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層にソース及びドレインを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線層に新たな機能を有する素子を設けることができ、その結果、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を大幅に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。図1は、図2の要部を拡大した断面図であり、図2に示した半導体装置が有する半導体素子200の構成を示す図である。図3は、半導体素子200の平面レイアウトを示す平面図である。
【0012】
この半導体装置は、図2に示すように、半導体基板100、第1配線層150、及び半導体素子200を備える。第1配線層150は、半導体基板100上に形成された絶縁層156と、絶縁層156の表面に埋め込まれた第1配線154とを備える。
【0013】
図1に示すように半導体素子200は、半導体層220、ゲート絶縁膜160、及びゲート電極210を備える。半導体層220は、第1配線層150上に位置する。ゲート絶縁膜160は、半導体層220の上又は下に位置する。ゲート電極210は、ゲート絶縁膜160を介して半導体層220の反対側に位置する。半導体素子200は、トランジスタとして機能する。
【0014】
本実施形態において、ゲート絶縁膜160は、第1配線層150の上に位置している。すなわちゲート絶縁膜160は、第1配線層150と半導体層220の間に位置している。そしてゲート電極210は、第1配線154と同一層に形成されている。第1配線154及びゲート電極210は、例えば銅配線であり、ダマシン法を用いて絶縁層156に埋め込まれている。ゲート電極210の幅は、例えば50nm以上500nm以下である。
【0015】
絶縁層156は、例えば酸化シリコンより誘電率が低い(例えば比誘電率が2.7以下)低誘電率絶縁層である。低誘電率絶縁層は、例えばSiOC(H)膜やSiLK(登録商標)等の炭素含有膜、HSQ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)膜、MHSQ(メチル化ハイドロジェンシルセスキオキサン)膜、MSQ(メチルシルセスキオキサン)膜、またはこれらの多孔質膜を用いることができる。
【0016】
半導体層220は、厚さが例えば50nm以上300nm以下である。半導体層220は、例えばInGaZnO(IGZO)又はZnOなどの酸化物半導体層を有している。半導体層220は、上記した酸化物半導体層の単層構造であっても良いし、上記した酸化物半導体層と他の層の積層構造であっても良い。後者の例としては、IGZO/Al/IGZO/Alの積層膜がある。また半導体層220はポリシリコン層又はアモルファスシリコン層であってもよい。そして半導体層220には、ソース及びドレイン222が設けられている。半導体層220が酸化物半導体層である場合、ソース及びドレイン222は、例えば酸素欠陥を導入することにより形成されるが、不純物を導入することにより形成されても良い。半導体層220がポリシリコン層やアモルファスシリコン層である場合、ソース及びドレイン222は不純物を導入することにより形成される。ソース及びドレイン222の幅は、例えば50nm以上500nm以下である。半導体層220のうちソース及びドレイン222に挟まれている領域は、チャネル領域224となる。
【0017】
第1配線層150及び半導体層220の上には、第2配線層を構成する絶縁層170が形成されている。絶縁層170は、例えば上記した低誘電率絶縁膜である。ゲート絶縁膜160は、拡散防止膜としても機能し、第1配線層150上の全面に設けられている。そして半導体層220はゲート絶縁膜160の上に形成されている。ゲート絶縁膜160すなわち拡散防止膜は、例えばSiCN膜であり、厚さが10nm以上50nm以下である。
【0018】
絶縁層170には、配線186,188(第2配線)が埋め込まれている。配線186は、絶縁層170に形成されたビア184を介してソース及びドレイン222に接続している。すなわち半導体素子200のソース及びドレイン222は、半導体素子200の上層の配線層に形成された配線186によって電気的に引き出されている。また配線188は、絶縁層170に形成されたビア189を介して第1配線154に接続している。なおビア184はゲート絶縁膜160を貫通しておらず、ビア189はゲート絶縁膜160を貫通している。ビア184はビア189より大径である。本図に示す例において、ビア184は一部が半導体層220から外れているが、半導体層220から外れていなくても良い。
【0019】
図2に示すように、半導体基板100にはMOSトランジスタ型の半導体素子110が形成されている。半導体素子110は、例えばトランジスタ又は容量素子として機能し、ゲート絶縁膜112、ゲート電極114、及びソース及びドレインである不純物領域116を備える。半導体素子110が形成されている素子領域は、素子分離膜102によって分離されている。そして半導体素子110は、平面視において少なくとも一部が半導体層220と重なっている。
【0020】
なお本図に示す例において、第1配線層150と半導体基板100の間には、コンタクト層120及び配線層130が形成されている。配線層130はコンタクト層120上に位置している。コンタクト層120は、絶縁層124及びコンタクト122を有しており、配線層130は絶縁層134及び配線132を有している。配線132はコンタクト122を介して半導体素子110に接続している。配線132は、絶縁層156に形成されたビア152を介して第1配線154に接続している。
【0021】
なお絶縁層124は、例えば酸化シリコン層であるが、絶縁層134は、例えば上記した低誘電率絶縁層である。また配線層130と第1配線層150の間には、SiCN膜などの拡散防止膜140が形成されている。そして半導体素子110は、半導体素子200と電気的に接続している。
【0022】
次に、図1、図2、図4の各図及び図5を用いて、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図4の各図及び図5は、図2のうち図1に相当する部分を示した図である。
【0023】
まず、図2に示したように、半導体基板100に素子分離膜102を形成し、さらにゲート絶縁膜112、ゲート電極114、及び不純物領域116をこの順に形成する。次いで、コンタクト層120、配線層130、及び拡散防止膜140を形成する。
【0024】
次いで、図4(a)に示すように、拡散防止膜140上に絶縁層156を形成する。次いで絶縁層156にビア152、第1配線154、及びゲート電極210を、シングルダマシン法又はデュアルダマシン法を用いて埋め込む。このようにして、第1配線層150が形成される。
【0025】
次いで、図4(b)に示すように、第1絶縁層150上にゲート絶縁膜160を、例えばプラズマCVD法を用いて形成する。なお、上記したようにゲート絶縁膜160は、拡散防止膜としても機能するため、ゲート絶縁膜160は第1絶縁層150の全面に形成される。
【0026】
次いで、ゲート絶縁膜160の全面上に半導体層220を形成し、半導体層220を、マスク膜を用いたエッチングにより選択的に除去する。半導体層220がZnO又はInGaZnOなどの酸化物半導体層を含んでいる場合、半導体層220は例えばスパッタリング法により形成される。このとき半導体基板100は、400℃以下の温度に加熱される。なお半導体層220がポリシリコン層やアモルファスシリコン層である場合、半導体層220は、例えばプラズマCVD法により形成される。
【0027】
次いで図5に示すように、半導体層220上にマスクパターン50を形成し、マスクパターン50をマスクとして半導体層220を処理する。これにより、半導体層220にはソース及びドレイン222が形成される。ここで行う処理は、例えば半導体層220を還元性プラズマ(例えば水素プラズマ)で処理する方法、及び半導体層220を窒素含有プラズマ(例えばアンモニアプラズマ)で処理する方法がある。前者の処理を行った場合、半導体層220には酸素欠陥領域としてソース及びドレイン222が形成され、後者の処理を行った場合、半導体層220には窒素が選択的に導入されてソース及びドレイン222が形成される。
【0028】
次いで、図1に示すように、マスクパターン50を除去する。次いで、ゲート絶縁膜160上及び半導体層220上に絶縁層170を形成し、絶縁層170にビア184,189及び配線186,188を形成する。このとき、ビア184,189は互いに異なる工程で形成される。すなわちビア184を形成する工程においては、ビア184がゲート絶縁膜160を貫通しないようにして、ビア189を形成する工程においては、ビア189がゲート絶縁膜160を貫通するようにする。
【0029】
また、ビア184,189及び配線186,188と絶縁層170の間、及びビア184,189とソース及びドレイン222の間に、バリア膜(図示せず)を形成しておくのが好ましい。バリア膜は、例えばTa膜とTaN膜をこの順に積層した積層膜であるが、半導体層220が酸化物半導体層である場合、Ta膜の下に、Ru膜、MoN膜、又はW膜を形成しておいても良い。この場合、バリア膜のうち半導体層220に接している部分が酸化されても、バリア膜の抵抗が上昇することを抑制できる。
【0030】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、配線層に半導体素子200を形成することができる。半導体素子200はスイッチング素子であるトランジスタとして機能する。従って、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を大幅に変更できる。
【0031】
また、ゲート絶縁膜160に拡散防止膜としての機能を持たせている。従って、ゲート絶縁膜160と拡散防止膜を別々に設ける必要が無くなり、半導体装置の構成が複雑になって半導体装置の製造コストが増大することを抑制できる。
【0032】
また、半導体素子200のゲート電極210を、第1配線層150の第1配線154と同一層に設けているため、ゲート電極210と第1配線154を同一工程で形成することができる。従って、半導体装置の製造コストが増大することを抑制できる。
【0033】
また、半導体層220を酸化物半導体層とした場合、半導体層220を形成するときの半導体基板100の加熱温度を400℃以下にすることができる。従って、半導体層220より下に位置する配線層に熱的なダメージが加わることを抑制できる。このため、配線層として、低誘電率絶縁膜及び銅配線を使用することができる。
【0034】
また、平面視において、半導体素子110,200は互いに少なくとも一部が重なっている。従って、半導体装置の集積率を上げることができる。
【0035】
また、ビア184,189を別工程で形成している。このため、ビア184を形成するときにゲート絶縁膜160をエッチングストッパーとして機能させることができる。このため、ビア184が深く形成されすぎることを抑制できる。
【0036】
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の断面図であり、第1の実施形態における図1に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置は、ビア184、189が同一工程で形成されている点を除いて、第1の実施形態と同様である。すなわちビア184の一部が半導体層220から外れている場合、この外れている部分は、ゲート絶縁膜160を貫通する。
【0037】
本実施形態によっても、ビア184を形成するときにゲート絶縁膜160をエッチングストッパーとして機能させない点を除いて、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
図7は、第3の実施形態に係る半導体装置の断面図であり、第1の実施形態における図1に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置は、半導体層220上にトラップ膜230及びバックゲート電極240を有している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。トラップ膜230及びバックゲート電極240は、平面視において、半導体層220のチャネル領域224と重なっている。なお本図に示す例において、バックゲート電極240上には、バックゲート電極240を形成するときに用いたマスクパターン54が残っている。マスクパターン54は、例えば酸化シリコン膜であるが、窒化シリコン膜や炭窒化シリコン膜であってもよい。なおバックゲート電極240に接続するコンタクト(図示せず)は、マスクパターン54を貫通している。
【0039】
トラップ膜230は、例えばSiN膜であり、厚さが5nm以上50nm以下である。バックゲート電極240は、例えばTiN膜である。バックゲート電極240は、例えば図示しないコンタクトを介して、配線186,188と同一層の配線(図示せず)に電気的に接続している。
【0040】
本実施形態において半導体素子200は、トランジスタとして機能するほか、メモリ素子としても機能することができる。後者の場合、半導体素子110は半導体素子200のセレクタ回路の一部であってもよい。
【0041】
図8は、半導体素子200がメモリ素子として機能する原理を説明する図である。半導体素子200をメモリ素子として機能させる場合、トラップ膜230に電荷(例えばホール)を注入(トラップ)させたり、注入した電荷を除去したりすればよい。トラップ膜230に注入された電荷の有無により、半導体素子200をトランジスタとして機能させるときの閾値電圧(Vth)が変化するためである。
【0042】
具体的には、初期状態(半導体素子200に情報が書き込まれていない)では、バックゲート電極240の電圧(VBG)=0とする。そして半導体素子200に情報を書き込むとき、バックゲート電極240に負の電圧(例えば−2.5V)を印加して、ゲート電極210の電圧(V)=0とする。すると、トラップ膜230にホールが注入され、半導体素子200の閾値電圧が−側にシフトする。
【0043】
そして、半導体素子200から情報を消去するとき、バックゲート電極240に正の電圧(例えば+2.5V)を印加して、ゲート電極210に負の電圧(例えば−2.5V)を印加する。すると、トラップ膜230に注入されていたホールが除去され、半導体素子200の閾値電圧が初期値に戻る。
【0044】
なお、半導体素子200をメモリ素子として使用せずにトランジスタとして使用する場合においても、トラップ膜230に電荷を注入することにより、トランジスタの閾値電圧を変更することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を、図9及び図10の各図を用いて説明する。この半導体装置の製造方法は、ゲート絶縁膜160を形成するまでは、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
図9(a)に示すように、ゲート絶縁膜160を形成した後、まずゲート絶縁膜160上に半導体層220を形成する。次いで半導体層220上にトラップ膜230及びバックゲート電極240を形成する。トラップ膜230は、例えばプラズマCVD法により形成され、バックゲート電極240は、例えばスパッタリング法により形成される。
【0047】
次いで図9(b)に示すように、バックゲート電極240上にマスクパターン52を形成し、マスクパターン52をマスクとしてバックゲート電極240、トラップ膜230、及び半導体層220をドライエッチングする。これにより、半導体層220は半導体素子200となるようにパターニングされる。なおバックゲート電極240及びとトラップ膜230の形状は、半導体層220の形状と略同じである。
【0048】
次いで、図10(a)に示すように、マスクパターン52を除去する。次いで、バックゲート電極240上にマスクパターン54を形成する。マスクパターン54は、例えば酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜を選択的に除去することにより形成される。なお、マスクパターン54は、窒化シリコン膜や炭窒化シリコン膜などの他の膜を選択的に除去することにより形成されても良い。次いで、マスクパターン54をマスクとしてトラップ膜230及びバックゲート電極240をドライエッチングする。これにより、トラップ膜230及びバックゲート電極240は、半導体素子200となるようにパターニングされる。
【0049】
その後、図10(b)に示すように、バックゲート電極240をマスクとして、半導体層220を処理する。これにより、半導体層220にはソース及びドレイン222が形成される。ここで行う処理は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
次いで、図7に示した絶縁層170を形成する。この工程以降については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、半導体素子200をメモリ素子として使用することができる。
【0052】
図11は、第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、第3の実施形態における図7に相当する図である。この半導体装置は、ゲート電極210が設けられておらず、ゲート絶縁膜232およびゲート電極242が半導体層220上に位置している点を除いて、第3の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
【0053】
ゲート絶縁膜232は、第3の実施形態におけるトラップ膜230と同様の構成であり、ゲート電極242は、第3の実施形態におけるバックゲート電極240と同様の構成である。
【0054】
また、第1配線層150の上には、拡散防止膜162が設けられている。拡散防止膜162の構成は、第3の実施形態におけるゲート絶縁膜160と同様である。
【0055】
本実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、第1配線154を形成するときにゲート電極210が形成されない点を除いて、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0056】
本実施形態によっても、配線層に半導体素子200を形成することができる。従って、半導体基板に形成された半導体素子のレイアウトを変更せずに、半導体装置の機能を大幅に変更できる。
【0057】
また、半導体層220を酸化物半導体層とした場合、半導体層220を形成するときの半導体基板100の加熱温度を400℃以下にすることができる。従って、半導体層220より下に位置する配線層に熱的なダメージが加わることを抑制できる。
【0058】
また、平面視において、半導体素子110,200は互いに少なくとも一部が重なっている。従って、半導体装置の集積率を上げることができる。
【0059】
また、ビア184,189を別工程で形成している。このため、ビア184を形成するときにゲート絶縁膜160をエッチングストッパーとして機能させることができる。このため、ビア184が深く形成されすぎることを抑制できる。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、第1配線154及びゲート電極210は銅配線であり、ダマシン法を用いて絶縁層156に埋め込まれているのが好ましいが、その他の配線層に位置する配線、例えば配線132、及び配線188,189の少なくとも一方については、他の金属材料(例えばAl又はAl合金)で形成されていても良い。この場合、ビア152,184,189も銅以外の金属材料により形成される。例えば配線132,154、ビア152、及びゲート電極210が銅または銅合金により形成され、半導体素子200より上層に位置する配線186,188及びビア184,189がAlまたはAl合金により形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】各図は半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図8】半導体素子がメモリ素子として機能する原理を説明する図である。
【図9】各図は半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】各図は半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
50 マスクパターン
52 マスクパターン
54 マスクパターン
100 半導体基板
102 素子分離膜
110 半導体素子
112 ゲート絶縁膜
114 ゲート電極
116 不純物領域
120 コンタクト層
122 コンタクト
124 絶縁層
130 配線層
132 配線
134 絶縁層
140 拡散防止膜
150 第1配線層
152 ビア
154 第1配線
156 絶縁層
160 ゲート絶縁膜
162 拡散防止膜
170 絶縁層
184 ビア
186 配線
188 配線
189 ビア
200 半導体素子
210 ゲート電極
220 半導体層
222 ソース及びドレイン
224 チャネル領域
230 トラップ膜
232 ゲート絶縁膜
240 バックゲート電極
242 ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線とを有する第1配線層と、
前記第1配線層上に位置する半導体層と、
前記半導体層の上又は下に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記半導体層の反対側に位置するゲート電極と
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1配線層上に位置し、前記半導体層に接続する第2配線を備える第2配線層をさらに備える半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜は、前記第1配線層の上、かつ前記半導体層と前記第1配線層の間に位置しており、
前記ゲート電極は、前記第1配線と同一層に形成されている半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1配線は銅配線であり、
前記第1配線層上に設けられた拡散防止膜をさらに備え、
前記ゲート絶縁膜は、前記拡散防止膜であり、
前記半導体層は、前記拡散防止膜上に形成されている半導体装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体装置において、
前記半導体層にはチャネル領域が形成されており、
前記半導体層上に位置するトラップ膜と、
前記トラップ膜上に位置し、平面視において前記チャネル領域と重なるバックゲート電極と、
を備える半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記半導体層、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極、前記トラップ膜、及び前記バックゲート電極は、メモリ素子を構成する半導体装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は前記半導体層上に位置している半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記半導体層は酸化物半導体層を有している半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記酸化物半導体層はInGaZnO層又はZnO層である半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記絶縁層は、酸化シリコンより誘電率が低い低誘電率絶縁層である半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記半導体基板に形成されたMOSトランジスタ型の素子を備える半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記MOSトランジスタ型の素子は、平面視において少なくとも一部が前記半導体層と重なっている半導体装置。
【請求項13】
半導体基板上に、絶縁層及び前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線を有する第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層上に、前記第1配線上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層にソース及びドレインを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後に、
前記半導体層上にトラップ膜を形成する工程と、
前記トラップ膜上に、平面視において前記第1配線と重なるバックゲート電極を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記トラップ膜を形成する工程及び前記バックゲート電極を形成する工程は、前記ソース及びドレインを形成する工程の前に行われ、
前記ソース及びドレインを形成する工程は、前記バックゲート電極をマスクとして前記半導体層を処理する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項16】
半導体基板上に、絶縁層及び前記絶縁層の表面に埋め込まれた第1配線を有する第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層にソース及びドレインを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁層は酸化シリコンより誘電率が低い低誘電率絶縁層である半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層は酸化物半導体層であり、
前記半導体層を形成する工程において、前記半導体基板を400℃以下の温度に加熱する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース及びドレインを形成する工程は、還元性プラズマを用いて前記半導体層を処理する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース及びドレインを形成する工程は、前記半導体層に選択的に不純物を導入する工程である半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−141230(P2010−141230A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318098(P2008−318098)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】