説明

半導体装置

【課題】マルチプレクサとクロック分割回路との間における相互の電源ノイズの影響を低減する。
【解決手段】外部クロック信号CKに基づいて内部クロック信号LCLK1を生成するDLL回路100と、内部クロック信号LCLK1に基づいて、互いに位相の異なる内部クロック信号LCLK2,LCLK2Bを生成するクロック分割回路200と、内部データ信号CD,CEに基づいて、クロック信号LCLK2,LCLK2Bにそれぞれ同期した内部データ信号DQP,DQNを出力するマルチプレクサ300とを備える。クロック分割回路200に供給される内部電源電圧VPERI2とマルチプレクサ300に供給される内部電源電圧VPERI3は、互いに異なる電源回路82,83によって生成され、且つ、該半導体装置内で分離されている。これにより、相互にノイズの影響を及ぼし合うことがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、位相の異なる複数の内部クロック信号に同期して内部データ信号を出力するマルチプレクサを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)のように、クロック信号に同期してデータを入出力するタイプの半導体装置においては、内部データ信号をクロック信号に同期させる同期回路が必要である。同期回路としては、特許文献1に記載されているように、クロックドゲート回路が用いられる。特許文献1に記載された半導体装置では、内部データ信号の振幅が外部電源電圧よりも低い内部電源電圧の振幅を有しており、このため、内部データ信号の信号パス中にレベルシフト回路が挿入されている。レベルシフト回路の挿入位置はクロックドゲート回路の直前であり、このため、クロックドゲート回路の動作電源としては外部電源電圧が用いられている。
【0003】
特許文献1に記載された半導体装置のように、クロックドゲート回路の動作電源として外部電源電圧を用いた場合、クロックドゲート回路の動作に伴って発生するノイズが内部回路に伝播するおそれは少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−110185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DDR(Double Data Rate)型のSDRAMのように、クロック信号の両エッジ(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ)に同期してデータの出力を行うタイプの半導体装置においては、クロックドゲート回路を並列接続したマルチプレクサが必要になるとともに、相補の内部クロック信号を生成するためのクロック分割回路が必要となる。このような構成において、マルチプレクサとクロック分割回路を同じ内部電源電圧によって動作させると、相互にノイズの影響を及ぼし合い、信号品質が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による半導体装置は、外部クロック信号に基づいて第1の内部クロック信号を生成するDLL回路と、前記第1の内部クロック信号に基づいて、互いに位相の異なる第2及び第3の内部クロック信号を生成するクロック分割回路と、第1の内部データ信号に基づいて、前記第2及び第3のクロック信号にそれぞれ同期した第2及び第3の内部データ信号を出力するマルチプレクサと、を備え、前記クロック分割回路に供給される内部電源電圧と前記マルチプレクサに供給される内部電源電圧は、互いに異なる電源回路によって生成され、且つ、該半導体装置内で分離されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マルチプレクサとクロック分割回路をいずれも内部電源電圧によって動作させる一方で、マルチプレクサを動作させるための内部電源電圧とクロック分割回路を動作させるための内部電源電圧を互いに異なる電源回路によって生成し、且つ、該半導体装置内でこれら電圧を分離していることから、相互にノイズの影響を及ぼし合うことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】ウェルレベルでの分離を説明するための模式的な断面図である。
【図3】クロック分割回路200の回路図である。
【図4】クロック分割回路200のより具体的な回路図である。
【図5】クロック分割回路200の動作を説明するための波形図である。
【図6】マルチプレクサ300の回路図である。
【図7】レベルシフトブロック400及びデータ入出力回路500のブロック図である。
【図8】レベルシフト回路部410の構成を示すブロック図である。
【図9】(a)はレベルシフト回路LV1の回路図であり、(b)はレベルシフト回路LV2の回路図である。
【図10】レベルシフト回路部410の動作を示す波形図である。
【図11】レベルシフト回路部410を用いた場合における、遅延時間の差△tPDと外部電源電位VDDとの関係を示すシミュレーション結果である。
【図12】比較例による時間差△tPDと外部電源電位VDDとの関係を示すシミュレーション結果である。
【図13】インピーダンス制御回路510の回路図である。
【図14】出力バッファ501の回路図である。
【図15】変形例によるレベルシフト回路LV3の回路図である。
【図16】変形例によるレベルシフト回路LV4の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態による半導体装置10はDDR(Double Data Rate)型のSDRAMであり、外部端子として、クロック端子11a,11b、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13、データ入出力端子(データ出力端子)14、電源端子15a〜15e及びキャリブレーション端子16を備えている。その他、データストローブ端子やリセット端子なども備えられているが、これらについては図示を省略してある。
【0012】
クロック端子11a,11bは、それぞれ外部クロック信号CK,CKBが供給される端子であり、供給された外部クロック信号CK,CKBは、クロック入力回路21に供給される。本明細書において信号名の末尾に「B」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,CKBは互いに相補の信号である。クロック入力回路21は、外部クロック信号CK,CKBに基づいて単相の内部クロック信号PreCLKを生成し、これをDLL回路100に供給する。DLL回路100は、内部クロック信号PreCLKに基づいて位相制御された内部クロック信号LCLK1を生成し、クロックツリー回路110を介して内部クロック信号LCLK1をクロック分割回路200に供給する。クロック分割回路200は、単相である内部クロック信号LCLK1から相補の内部クロック信号LCLK2,LCLK2Bを生成し、これらをマルチプレクサ300に供給する。
【0013】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号RASB、カラムアドレスストローブ信号CASB、ライトイネーブル信号WEB、チップセレクト信号CSB、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号CMDは、コマンド入力回路31を介してコマンドデコーダ32に供給される。コマンドデコーダ32は、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、ロウ系制御回路51、カラム系制御回路52及びモードレジスタ53に供給される。
【0014】
アドレス端子13は、アドレス信号ADDが供給される端子である。アドレス端子13に入力されたアドレス信号ADDは、アドレス入力回路41を介してアドレスラッチ回路42に供給され、アドレスラッチ回路42にてラッチされる。アドレスラッチ回路42にラッチされたアドレス信号ADDのうち、ロウアドレスについてはロウ系制御回路51に供給され、カラムアドレスについてはカラム系制御回路52に供給される。また、モードレジスタセットにエントリしている場合には、アドレス信号ADDはモードレジスタ53に供給され、これによってモードレジスタ53の内容が更新される。
【0015】
ロウ系制御回路51の出力は、ロウデコーダ61に供給される。ロウデコーダ61は、メモリセルアレイ70に含まれるいずれかのワード線WLを選択する回路である。メモリセルアレイ70内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(図1では、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ビット線BLは、センス回路63内の対応するセンスアンプSAに接続されている。
【0016】
また、カラム系制御回路52の出力は、カラムデコーダ62に供給される。カラムデコーダ62は、センス回路63に含まれるいずれかのセンスアンプSAを選択する回路である。カラムデコーダ62によって選択されたセンスアンプSAは、データアンプ64に接続される。データアンプ64は、リード動作時においてはセンスアンプSAによって増幅されたリードデータをさらに増幅し、リードライトバスRWBSを介してこれをFIFO回路65に供給する。一方、ライト動作時においては、リードライトバスRWBSを介してFIFO回路65から供給されるライトデータを増幅し、これをセンスアンプSAに供給する。図1に示すように、FIFO回路65はマルチプレクサ300に接続されている。FIFO回路65は、メモリセルアレイ70とマルチプレクサ300との間におけるデータの転送を行うデータ転送回路を構成する。
【0017】
データ入出力端子14は、リードデータDQの出力及びライトデータDQの入力を行うための端子であり、データ入出力回路500に接続されている。データ入出力回路500は、レベルシフトブロック400を介してマルチプレクサ300に接続されており、リード動作時においては、マルチプレクサ300からレベルシフトブロック400を介して供給されるリードデータDQに基づいてデータ入出力端子14を駆動する。尚、図1にはデータ入出力端子14を1つだけ示しているが、データ入出力端子14の数が1つである必要はなく、複数個設けても構わない。
【0018】
データ入出力回路500は、さらにキャリブレーション回路66にも接続されている。キャリブレーション回路66は、キャリブレーション端子16に接続された回路であり、データ入出力回路500に含まれる出力バッファのインピーダンスを調整する役割を果たす。キャリブレーション回路66はキャリブレーション動作によってインピーダンスコードZQCODEを生成し、これをデータ入出力回路500に供給する。データ入出力回路500はインピーダンスコードZQCODEに基づいて、出力バッファのインピーダンスを変化させる。
【0019】
キャリブレーション回路66によるインピーダンスの調整は、温度変化や電圧変動などによって出力バッファのインピーダンスが設定値からずれるのを防止するための動作であり、インピーダンスの設定値自体はモードレジスタ53の設定値によって切り替えることができる。
【0020】
電源端子15a,15bは、それぞれ外部電源電位VDD及び接地電位VSSが供給される端子である。本明細書においては、外部電源電位VDD及び接地電位VSS間の電圧を単に「外部電圧VDD」と呼ぶことがある。外部電圧VDDは内部電圧生成回路80に供給される。内部電圧生成回路80には複数の電源回路81〜84が含まれており、それぞれ外部電源電位VDDよりも低電位である内部電源電位VPERI,VPERI2,VPERI3,VPERDLを生成する。内部電源電位VPERI,VPERI2,VPERI3,VPERDLのレベルは互いに同一である。本明細書においては、内部電源電位VPERI及び接地電位VSS間の電圧を単に「内部電圧VPERI」と呼ぶことがある。VPERI2,VPERI3,VPERDLについても同様である。
【0021】
電源端子15c,15dは、それぞれ外部電源電位VDDQ及び接地電位VSSQが供給される端子である。本明細書においては、外部電源電位VDDQ及び接地電位VSSQ間の電圧を単に「外部電圧VDDQ」と呼ぶことがある。
【0022】
本実施形態では、外部電源電位VDDQのレベルが外部電源電位VDDと等しく、外部電源電位VSSQのレベルが外部電源電位VSSと等しい。しかしながら、電源端子15aと電源端子15cはチップ上における別個の端子であり、且つ、電源端子15aに接続されたVDDライン(高位側電源ライン)17aと、電源端子15cに接続されたVDDQライン(高位側電源ライン)17cは分離されており、チップ内で接続されていない。同様に、電源端子15bに接続されたVSSライン(低位側電源ライン)17bと、電源端子15dに接続されたVSSQライン(低位側電源ライン)17dは分離されており、チップ内で接続されていない。このような電源ラインの分離を行っているのは、データ入出力回路500の動作によって生じる電源ノイズが他の回路に伝播するのを防止するためである。データ入出力回路500はスイッチングによって比較的大きな電流を流すため、VDDQライン17c及びVSSQライン17dは、VDDライン17a及びVSSライン17bよりも低インピーダンスに設計される。これは、電源端子15c,15dの数を電源端子15a,15bの数よりも多くすることにより実現できる。
【0023】
さらに、本実施形態では、接地電位VSS2が供給される電源端子15eが設けられている。電源端子15eに接続されたVSS2ライン17eは、VSSライン17b及びVSSQライン17dと分離されており、チップ内で接続されていない。
【0024】
また、内部電源電位VPERI,VPERI2,VPERI3,VPERDLのレベルは互いに同一であるが、内部電源電位VPERIを供給するVPERIライン18aと、内部電源電位VPERI2を供給するVPERI2ライン18bと、内部電源電位VPERI3を供給するVPERI3ライン18cと、内部電源電位VPERDLを供給するVPERDLライン18dは分離されており、チップ内で接続されていない。これも電源ラインを介してノイズが相互に影響を及ぼし合うことを防止するためである。ここで、「電源ラインが分離されている」とは、これらの配線が短絡されていないことはもちろんのこと、これら内部電源電位を使用するトランジスタが互いに異なるウェルに形成されており、ウェルレベルで分離されていることを意味する。
【0025】
図2は、ウェルレベルでの分離を説明するための模式的な断面図である。
【0026】
図2に示す例では、p型のシリコン基板1に互いに独立した2つのnウェル2a,2bが形成されており、各nウェル2a,2bにPチャンネル型MOSトランジスタ3a,3bがそれぞれ形成されている。トランジスタ3aのソースはコンタクト導体4aを介して電源ライン5aに接続され、同様に、トランジスタ3bのソースはコンタクト導体4bを介して電源ライン5bに接続されている。ここで、電源ライン5aとは、VPERIライン18a、VPERI2ライン18b、VPERI3ライン18c及びVPERDLライン18dのいずれかの電源ラインである。また、電源ライン5bとは、VPERIライン18a、VPERI2ライン18b、VPERI3ライン18c及びVPERDLライン18dのうち、電源ライン5aとは異なるいずれかの電源ラインである。このようなウェルレベルでの分離により、内部電源電位VPERI,VPERI2,VPERI3,VPERDLは互いに同じ電位レベルであるものの、相互に影響を及ぼし合うことがほとんどなくなる。もちろん、内部電源電位VPERI,VPERI2,VPERI3,VPERDLを生成する電源回路81〜84も互いに別個であり、内部電圧生成回路80内においても分離されている。
【0027】
図1に示すように、VDDライン17a及びVSSライン17bはレベルシフトブロック400に接続され、VDDQライン17c及びVSSQライン17dはデータ入出力回路500に接続されている。このことは、レベルシフトブロック400については外部電源電位VDDと接地電位VSSとの間の電圧(外部電圧VDD)によって動作し、データ入出力回路500については外部電源電位VDDQと接地電位VSSQとの間の電圧(外部電圧VDDQ)によって動作することを意味する。
【0028】
VPERI2ライン18bは、クロックツリー回路110及びクロック分割回路200に接続される。これにより、クロックツリー回路110及びクロック分割回路200は内部電源電圧VPERI2によって動作を行う。また、VPERI3ライン18cは、マルチプレクサ300に接続される。これにより、マルチプレクサ300は内部電源電圧VPERI3によって動作を行う。さらに、VPERDLライン18dはDLL回路100に接続される。これにより、DLL回路100に含まれるディレイライン100aは、内部電源電圧VPERDLによって動作を行う。その他の周辺回路の大部分にはVPERIライン18aが接続され、これにより、大部分の周辺回路は内部電源電圧VPERIによって動作を行う。一例として、図1には、FIFO回路65に内部電源電圧VPERIが供給されている様子が図示されている。
【0029】
このように、各種の内部回路を外部電源電位VDDよりも電圧の低い内部電源電圧VPERI等によって駆動していることから、消費電力を低減することが可能となる。尚、メモリセルアレイ70においては、アレイ電圧(VARAY)や外部電源電圧VDDを超える高電圧(VPP)、さらには負電圧(VKK)なども用いられるが、これについては本発明の要旨とは直接関係ないことから、説明を省略する。
【0030】
図3は、クロック分割回路200の回路図である。
【0031】
図3に示すように、クロック分割回路200は、内部クロック信号LCLK1から内部クロック信号LCLK2Bを生成する信号パスPASS1と、内部クロック信号LCLK1から内部クロック信号LCLK2を生成する信号パスPASS2を備えている。信号パスPASS1は、内部クロック信号LCLK1に対して逆相の内部クロック信号LCLK2Bを生成するパスであり、3つのインバータ211,212,213が縦続接続された構成を有している。一方、信号パスPASS2は、内部クロック信号LCLK1に対して同相の内部クロック信号LCLK2を生成するパスであり、2つのインバータ221,222が縦続接続された構成を有している。このように、信号パスPASS1に含まれる論理回路の段数は、信号パスPASS2に含まれる論理回路の段数よりも1段多い。
【0032】
クロック分割回路200を構成するインバータのうち、インバータ211〜213,222については、内部電源電位VPERI2と接地電位VSS2との間の電圧を動作電源としている。これに対し、インバータ221については、インバータ211の出力である反転信号INBを動作電源としている。かかる構成により、信号パスPASS1とパスPASS2の論理段数が相違しているにもかかわらず、インバータ212の出力である内部信号INTTとインバータ221の出力である内部信号INBBの位相が一致することになる。以下、本実施形態で使用するクロック分割回路200の回路構成及びその動作についてより詳細に説明する。
【0033】
図4は、クロック分割回路200のより具体的な回路図である。
【0034】
図4に示すように、各インバータはいずれもPチャンネル型MOSトランジスタとNチャンネル型MOSトランジスタの直列回路によって構成されている。以下、個々のインバータについて具体的に説明する。
【0035】
まず、インバータ211はトランジスタP211,N211の直列回路からなる。トランジスタP211,N211のソースはそれぞれVPERI2ライン18b及びVSS2ライン17eに接続され、各ゲート電極には内部クロック信号LCLK1が共通に供給される。トランジスタP211,N211の共通ドレインからは反転信号INBが出力される。
【0036】
インバータ212は、トランジスタP212−1,N212−1の直列回路を含み、各ゲート電極には反転信号INBが共通に供給される。トランジスタP212−1,N212−1の共通ドレインからは内部信号INTTが出力される。また、トランジスタP212−1のソースとVPERI2ライン18bとの間には、トランジスタP212−2が接続されている。トランジスタP212−2のゲート電極には接地電位VSS2が供給されており、このためトランジスタP212−2はオン状態に固定される。さらに、トランジスタN212−1のソースとVSS2ライン17eとの間には、トランジスタN212−2が接続されている。トランジスタN212−2のゲート電極には内部電源電位VPERI2が供給されており、このためトランジスタN212−2はオン状態に固定される。
【0037】
インバータ213はトランジスタP213,N213の直列回路からなる。トランジスタP213,N213のソースはそれぞれVPERI2ライン18b及びVSS2ライン17eに接続され、各ゲート電極には内部信号INTTが共通に供給される。トランジスタP213,N213の共通ドレインからは内部クロック信号LCLK2Bが出力される。インバータ213はファンアウトを確保するための回路であり、本発明においてこれを設けることは必須でない。
【0038】
インバータ221はトランジスタP221,N221の直列回路からなる。トランジスタP221,N221のソースはいずれもインバータ211の出力端(共通ドレイン)に接続され、各ゲート電極には内部クロック信号LCLK1が共通に供給される。トランジスタP221,N221の共通ドレインからは内部信号INBBが出力される。
【0039】
インバータ222はトランジスタP222,N222の直列回路からなる。トランジスタP222,N222のソースはそれぞれVPERI2ライン18b及びVSS2ライン17eに接続され、各ゲート電極には内部信号INBBが共通に供給される。トランジスタP222,N222の共通ドレインからは内部クロック信号LCLK2が出力される。インバータ222はファンアウトを確保するための回路であり、本発明においてこれを設けることは必須でない。
【0040】
本実施形態においては、Nチャンネル型MOSトランジスタN211,N212−1,N212−2,N221のチャネル幅が互いに等しく設計されている。このため、Nチャンネル型MOSトランジスタN211,N212−1,N212−2,N221のオン抵抗は互いに等しい。同様に、Pチャンネル型MOSトランジスタP211,P212−1,P212−2,P221のチャネル幅が互いに等しく設計されている。このため、Pチャンネル型MOSトランジスタP211,P212−1,P212−2,P221のオン抵抗も互いに等しい。そして、同じインバータを構成するNチャンネル型MOSトランジスタとPチャンネル型MOSトランジスタのオン抵抗は等しく設計されることから、これらトランジスタN211,N212−1,N212−2,N221,P211,P212−1,P212−2,P221のオン抵抗は互いに等しいことになる。
【0041】
図5は、クロック分割回路200の動作を説明するための波形図である。
【0042】
図5に示すように、時刻t10にて内部クロック信号LCLK1がローレベルからハイレベルに変化すると、これを受けるインバータ211,221はその出力である反転信号INB及び内部信号INBBを反転させようとする。しかしながら、インバータ221はインバータ211の出力である反転信号INBを電源としていることから、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化するまで、内部信号INBBを反転させる(つまりハイレベルに変化させる)ことができない。このため、時刻t11にて反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化した後、時刻t12にて内部信号INBBがハイレベルからローレベルに変化することになる。
【0043】
時刻t12は、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化した後、これを受ける次段の論理回路が反転するタイミングに相当することから、インバータ212の出力である内部信号INTTも時刻t12にて変化する。つまり、インバータ212とインバータ221は、時刻t12にて同時に変化することになる。その結果、インバータ213の出力である内部クロック信号LCLK2Bと、インバータ222の出力である内部クロック信号LCLK2も時刻t13にて同時に変化する。
【0044】
内部クロック信号LCLK1がハイレベルからローレベルに変化する場合の動作も同様であり、最終的に内部クロック信号LCLK2,LCLK2Bは同時に変化することになる。
【0045】
ここで、インバータ212の出力である内部信号INTTとインバータ221の出力である内部信号INBBが同時に変化する原理についてより詳細に説明する。
【0046】
まず、内部クロック信号LCLK1がローレベルからハイレベルに変化する場合について考える。この場合、インバータ211に含まれるトランジスタN211がオンすることから、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化する。この変化が次段の論理回路にもたらす影響を考えると、インバータ212に関してはトランジスタP212−1がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタP212−2,P212−1を介してVPERI2ライン18bに接続される。一方、インバータ221に関してはトランジスタN221がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタN211,N221を介してVSS2ライン17eに接続される。したがって、トランジスタP212−2,P212−1の直列抵抗と、トランジスタN211,N221の直列抵抗が等しくなるよう設計すれば、内部信号INTTの変化と、内部信号INBBの変化は必ず同時となる。
【0047】
内部クロック信号LCLK1がハイレベルからローレベルに変化する場合についても同様であり、この場合、インバータ211に含まれるトランジスタP211がオンすることから、反転信号INBがローレベルからハイレベルに変化する。この変化が次段の論理回路にもたらす影響を考えると、インバータ212に関してはトランジスタN212−1がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタN212−2,N212−1を介してVSS2ライン17eに接続される。一方、インバータ221に関してはトランジスタP221がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタP211,P221を介してVPERI2ライン18bに接続される。したがって、トランジスタN212−2,N212−1の直列抵抗と、トランジスタP211,P221の直列抵抗が等しくなるよう設計すれば、内部信号INTTの変化と、内部信号INBBの変化は必ず同時となる。
【0048】
このように、本実施形態で使用するクロック分割回路200は、信号パスPASS1上の信号を他方の信号パスPASS2に含まれるインバータ221の電源として用いていることから、調整用の容量や抵抗を付加することなく、一対の内部クロック信号LCLK2,LCLK2Bの位相を正確に一致させることが可能となる。このため、容量値や抵抗値を変更するための度重なるマスク変更が不要となり、設計コストを低減することが可能となる。
【0049】
図6は、マルチプレクサ300の回路図である。
【0050】
図6に示すように、マルチプレクサ300は、FIFO回路65から供給される内部データ信号CDを内部クロック信号LCLK2の立ち上がりエッジに同期して出力するクロックドドライバ302,304と、FIFO回路65から供給される内部データ信号CEを内部クロック信号LCLK2Bの立ち上がりエッジに同期して出力するクロックドドライバ301,303とを備える。クロックドドライバ301,302の出力はインバータ310を介してプルアップデータDQPとして出力され、クロックドドライバ303,304の出力はインバータ320を介してプルダウンデータDQNとして出力される。
【0051】
マルチプレクサ300を構成するクロックドドライバ301〜304及びインバータ310,320は、いずれも内部電源電圧VPERI3によって動作する。つまり、高位側の電源ノードがVPERI3ライン18cに接続され、低位側の電源ノードがVSSライン17bに接続されている。
【0052】
図7は、レベルシフトブロック400及びデータ入出力回路500のブロック図である。
【0053】
図7に示すように、レベルシフトブロック400は、プルアップデータDQPの振幅をVPERI3からVDDに変換するレベルシフト回路部410と、プルダウンデータDQNの振幅をVPERI3からVDDに変換するレベルシフト回路部420とを備えている。レベルシフト回路部410によってレベル変換されたプルアップデータDQP0は、ゲート回路431,432を介し、プルアップデータDQP1としてデータ入出力回路500に供給される。同様に、レベルシフト回路部420によってレベル変換されたプルダウンデータDQN0は、ゲート回路441,442を介し、プルダウンデータDQN1としてデータ入出力回路500に供給される。レベルシフトブロック400を構成する各回路のうち、レベルシフト回路部410,420以降の回路は、外部電源電位VDDと接地電位VSSとの間の電圧(外部電圧VDD)によって動作する。
【0054】
図8は、レベルシフト回路部410の構成を示すブロック図である。
【0055】
図8に示すように、レベルシフト回路部410は、2つのレベルシフト回路LV1,LV2と、プルアップデータDQPを反転させるインバータ431と、レベルシフト回路LV1の出力を反転させるインバータ432とを含んでいる。これら2つのレベルシフト回路LV1,LV2は、互いに同じ回路構成を有している。レベルシフト回路LV1にはプルアップデータDQPがそのままの論理で入力され、レベルシフト回路LV2にはインバータ431によってプルアップデータDQPの反転信号が入力される。そして、インバータ432によって反転されたレベルシフト回路LV1の出力と、レベルシフト回路LV2の出力は短絡され、プルアップデータDQP0として出力される。
【0056】
図8に示す例では、レベルシフト回路LV1にプルアップデータDQPがそのまま入力されているが、レベルシフト回路LV1,LV2に相補の入力信号が供給される限り、レベルシフト回路LV1,LV2の前段に設けられる入力回路の回路構成は問わない。同様に、図8に示す例では、レベルシフト回路LV2の出力がそのままインバータ412の出力に短絡されているが、レベルシフト回路LV1,LV2から出力される相補の出力信号が同相に変換された後に短絡される限り、レベルシフト回路LV1,LV2の後段に設けられる出力回路の回路構成は問わない。
【0057】
図9(a)はレベルシフト回路LV1の回路図であり、図9(b)はレベルシフト回路LV2の回路図である。
【0058】
図9(a)に示すように、レベルシフト回路LV1は、ソースがVDDライン17aに接続され、クロスカップルされたPチャンネル型MOSトランジスタ411,412と、ソースがVSSライン17bに接続され、それぞれトランジスタ411,412に直列接続されたNチャンネル型MOSトランジスタ413,414とを備えている。トランジスタ413のゲート電極にはそのままプルアップデータDQPが供給され、トランジスタ414のゲート電極にはインバータ415を介したプルアップデータDQPが供給される。そして、トランジスタ412とトランジスタ414の接続点からレベルシフトされた出力信号が取り出され、インバータ416,432を介してプルアップデータDQP0として出力される。
【0059】
レベルシフト回路LV2も全く同じ回路構成を有している。つまり、図9(b)に示すように、ソースがVDDライン17aに接続され、クロスカップルされたPチャンネル型MOSトランジスタ421,422と、ソースがVSSライン17bに接続され、それぞれトランジスタ421,422に直列接続されたNチャンネル型MOSトランジスタ423,424とを備えている。トランジスタ423のゲート電極にはインバータ431を介したプルアップデータDQPが供給され、トランジスタ424のゲート電極にはインバータ431,425を介したプルアップデータDQPが供給される。そして、トランジスタ422とトランジスタ424の接続点からレベルシフトされた出力信号が取り出され、インバータ426を介してプルアップデータDQP0として出力される。
【0060】
そして、図8に示したように、レベルシフト回路LV2の出力と、インバータ432を介したレベルシフト回路LV1の出力は短絡される。これにより、レベルシフト回路LV1,LV2の出力が合成され、プルアップデータDQP0の波形は合成された波形となる。
【0061】
このように、レベルシフト回路部410には2つのレベルシフト回路LV1,LV2が含まれているため、素子数は通常のレベルシフト回路の2倍となる。しかしながら、これら2つのレベルシフト回路LV1,LV2は並列に動作することから、各素子のサイズは通常のレベルシフト回路を構成する素子の半分で足りる。したがって、素子数については2倍になるものの、チップ上における占有面積については通常のレベルシフト回路とほとんど変わらない。
【0062】
図10は、レベルシフト回路部410の動作を示す波形図である。
【0063】
信号A,Bは、それぞれレベルシフト回路LV1,LV2の内部信号であり、図9に示すように信号Aはインバータ416の出力レベル、信号Bはトランジスタ422とトランジスタ424の接続点のレベルである。図10に示すように、プルアップデータDQPがハイレベルからローレベルに変化すると、信号A,Bはいずれもローレベルからハイレベルに変化するが、そのスルーレートが僅かに相違する。具体的には、信号Aの方が信号Bよりも急峻に立ち上がる。
【0064】
これら信号A,Bは、それぞれインバータ432,426を通過した後、短絡される。このため、スルーレートの異なる2つの信号が合成され、より急峻な波形となる。プルアップデータDQPがローレベルからハイレベルに変化する場合も同様の合成が行われることから、入力されるプルアップデータDQPのデューティと出力されるプルアップデータDQP0のデューティはほぼ一致する。しかも、スルーレートの異なる信号A,Bは、それぞれインバータ432,426を通過した後に短絡されることから、これらインバータ432,426のファンアウトなどを適切に設計すれば、貫通電流が流れることもない。
【0065】
図11は、レベルシフト回路部410を用いた場合における、プルアップデータDQPの立ち上がり時における遅延時間及び立ち下がり時における遅延時間の差△tPDと、外部電源電位VDDとの関係を示すシミュレーション結果である。
【0066】
図11に示す条件C1とは、環境温度が110℃であり、プロセスばらつきによってトランジスタのしきい値が設計値よりも高くなったケースを示す。条件C2とは、環境温度が45℃であり、プロセスばらつきによってトランジスタのしきい値が設計値よりも高くなったケースを示す。条件C3とは、環境温度が45℃であり、トランジスタのしきい値が設計値通りであるケースを示す。条件C4とは、環境温度が45℃であり、プロセスばらつきによってトランジスタのしきい値が設計値よりも低くなったケースを示す。条件C5とは、環境温度が−5℃であり、プロセスばらつきによってトランジスタのしきい値が設計値よりも低くなったケースを示す。条件C6とは、環境温度が45℃であり、プロセスばらつきによってNチャンネル型MOSトランジスタのしきい値が設計値よりも高く、Pチャンネル型MOSトランジスタのしきい値が設計値よりも低くなったケースを示す。条件C7とは、環境温度が45℃であり、プロセスばらつきによってNチャンネル型MOSトランジスタのしきい値が設計値よりも低く、Pチャンネル型MOSトランジスタのしきい値が設計値よりも高くなったケースを示す。
【0067】
いずれの条件C1〜C7においても、左端にプロットされているのは外部電源電位VDDが1.2Vであるケースを示し、右端にプロットされているのは外部電源電位VDDが2.0Vであるケースを示し、その間を0.1Vピッチで変化させた場合の値がそれぞれプロットされている。
【0068】
図11に示すように、本実施形態によるレベルシフト回路部410を用いると、プルアップデータDQPの立ち上がり時における遅延時間と、立ち下がり時における遅延時間の差△tPDがゼロに近く、しかもその傾向は、外部電源電位VDDのレベルや、温度条件、プロセス条件の影響をほとんど受けないことが分かる。
【0069】
図12は、比較例による時間差△tPDと外部電源電位VDDとの関係を示すシミュレーション結果であり、レベルシフト回路LV1,LV2のいずれか一方しか使用しなかったケースを示している。但し、トランジスタサイズについては、図11の測定条件と同じになるよう約2倍に調整されている。その他の測定条件は、図11における測定条件と同一である。図12に示すように、比較例においては時間差△tPDのVDD依存性が大きく、しかも、その傾向は、温度条件やプロセス条件によって変化することが分かる。
【0070】
以上、レベルシフト回路部410に着目して説明したが、レベルシフト回路部420についてもレベルシフト回路部410と全く同じ回路構成であり、したがって、上述した効果を得ることができる。図7に示すように、レベルシフト回路部410,420から出力されるプルアップデータDQP0及びプルダウンデータDQN0は、インバータ431,432,441,442を介し、プルアップデータDQP1及びプルダウンデータDQN1としてインピーダンス制御回路510に入力される。
【0071】
図13は、インピーダンス制御回路510の回路図である。
【0072】
図13に示すように、インピーダンス制御回路510は、5つのOR回路521〜525(プルアップ論理回路)と、5つのAND回路531〜535(プルダウン論理回路)によって構成されている。OR回路521〜525には、レベルシフト回路部410からのプルアップデータDQP1が共通に供給されているとともに、プルアップインピーダンス調整コードDRZQPの各ビットDRZQP1〜DRZQP5がそれぞれ供給されている。一方、AND回路531〜535には、レベルシフト回路部420からのプルダウンデータDQN1が共通に供給されているとともに、プルダウンインピーダンス調整コードDRZQNの各ビットDRZQN1〜DRZQN5がそれぞれ供給されている。プルアップインピーダンス調整コードDRZQP及びプルダウンインピーダンス調整コードDRZQNは、インピーダンスコードZQCODEを構成する信号であり、図1に示すキャリブレーション回路66から供給される。
【0073】
OR回路521〜525の出力であるプルアップデータDQP11〜DQP15と、AND回路531〜535の出力であるプルダウンデータDQN11〜DQP15は、出力バッファ501に供給される。
【0074】
図14は、出力バッファ501の回路図である。
【0075】
図14に示すように、出力バッファ501は、並列接続された5つのPチャンネルMOSトランジスタ541〜545と、並列接続された5つのNチャンネルMOSトランジスタ551〜555とを備えている。PチャンネルMOSトランジスタ541〜545のソースはVDDQライン17cに接続され、NチャンネルMOSトランジスタ551〜555のソースはVSSQライン17dに接続される。これらトランジスタ541〜545とトランジスタ551〜555との間には、抵抗561,562が直列に接続されており、抵抗561と抵抗562の接続点がデータ入出力端子14に接続されている。
【0076】
トランジスタ541〜545のゲートには、プルアップデータDQP11〜DQP15がそれぞれ供給されている。また、トランジスタ551〜555のゲートには、プルダウンデータDQN11〜DQN15がそれぞれ供給されている。これにより、出力バッファ501に含まれる10個のトランジスタは、10本のデータDQP11〜DQP15,DQN11〜DQN15によって、個別にオン/オフ制御がされる。
【0077】
出力バッファ501に含まれるトランジスタ541〜545及び抵抗561は、プルアップ回路PUを構成する。また、出力バッファ501に含まれるトランジスタ551〜555及び抵抗562は、プルダウン回路PDを構成する。プルアップ回路PU及びプルダウン回路PDは、導通時に所望のインピーダンスとなるように設計されている。しかしながら、トランジスタのオン抵抗は製造条件によってばらつくとともに、動作時における環境温度や電源電圧によって変動することから、必ずしも所望のインピーダンスが得られるとは限らない。このため、実際のインピーダンスを所望の値とするためには、オンさせるべきトランジスタの数を調整する必要があり、かかる目的のために、複数のトランジスタからなる並列回路を用いている。
【0078】
インピーダンスを微細且つ広範囲に調整するためには、並列回路を構成する複数のトランジスタのW/L比(ゲート幅/ゲート長比)を互いに異ならせることが好ましく、2のべき乗の重み付けをすることが特に好ましい。この点を考慮して、本実施形態では、トランジスタ541のW/L比を1WLpとした場合、トランジスタ542〜545のW/L比をそれぞれ2WLp、4WLp、8WLp、16WLpに設定している。これにより、プルアップインピーダンス調整コードDRZQPによってオンさせるトランジスタを適宜選択することによって、製造条件によるばらつきや温度変化などにかかわらず、プルアップ回路PUのオン抵抗を所望のインピーダンスに固定させることができる。
【0079】
同様に、トランジスタ551〜555についても、トランジスタ541〜545と同様、W/L比に2のべき乗の重み付けをすることが特に好ましい。具体的には、トランジスタ551のW/L比を1WLnとした場合、トランジスタ552〜555のW/L比をそれぞれ2WLn、4WLn、8WLn、16WLnに設定すればよい。これにより、プルダウンインピーダンス調整コードDRZQNによってオンさせるトランジスタを適宜選択することによって、製造条件によるばらつきや温度変化などにかかわらず、プルダウン回路PDのオン抵抗を所望のインピーダンスに固定させることができる。
【0080】
以上が本実施形態による半導体装置10の構成である。このように、本実施形態による半導体装置10は、立ち上がり特性と立ち下がり特性との差がほとんどないレベルシフトブロック400を用いていることから、出力されるリードデータDQやストローブ信号DQSの信号品質を高めることが可能となる。このため、マルチプレクサ300によってタイミング調整された後の信号(プルアップデータDQP及びプルダウンデータDQN)のパスにレベルシフト回路部410,420を挿入することができる。このことは、外部電源電圧VDDによって動作する回路をより少なくできることを意味し、消費電力が低減されるとともに、外部電源電圧VDDの変化による影響が低減されることになる。
【0081】
つまり、マルチプレクサ300によってタイミング調整された後の信号をレベルシフトし、その結果デューティが変化してしまうと、これをDLL回路100によって補正することはできない。したがって、立ち上がり特性と立ち下がり特性との差が大きいレベルシフト回路を用いる場合には、マルチプレクサよりも前段にレベルシフト回路を配置する必要があり、消費電力が増大してしまう。これに対し、本実施形態による半導体装置10では、マルチプレクサよりも後段にレベルシフト回路を配置することが可能となり、上記の効果を得ることができる。
【0082】
しかも、本実施形態では、クロック分割回路200を内部電源電圧VPERI2によって動作させ、マルチプレクサ300を内部電源電圧VPERI3によって動作させていることから、これらの回路ブロックにて発生するノイズが相互に影響することがない。また、これらの内部電源電圧VPERI2,VPERI3は、FIFO回路65など他の周辺回路にて使用される内部電源電圧VPERIとも分離されていることから、他の周辺回路とクロック分割回路200及びマルチプレクサ300との間におけるノイズの影響も低減される。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0084】
例えば、レベルシフト回路LV1,LV2の個々の回路構成については、図9(a),(b)に示した回路構成に限定されるものではなく、他の回路構成を採ることも可能である。例えば、図15に示す回路構成であっても構わないし、図16に示す回路構成であっても構わない。
【0085】
図15に示すレベルシフト回路LV3は、Nチャンネル型のMOSトランジスタ417,418が追加されている点において、図9(a)に示すレベルシフト回路LV1と相違している。トランジスタ417はトランジスタ411に対して並列接続されており、そのゲート電極はトランジスタ414のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ418はトランジスタ412に対して並列接続されており、そのゲート電極はトランジスタ413のゲート電極に接続されている。かかる構成を有するレベルシフト回路LV3を用いれば、立ち上がり特性と立ち下がり特性との差をより低減することが可能となる。
【0086】
図16に示すレベルシフト回路LV4は、Pチャンネル型のMOSトランジスタ419が追加されている点において、図9(a)に示すレベルシフト回路LV1と相違している。トランジスタ419は、トランジスタ411,412のコモンソースとVDDライン17aとの間に接続されており、そのゲート電極にはバイアス信号PBIASが供給されている。かかる構成を有するレベルシフト回路LV4を用いれば、信号の遷移速度を向上させることが可能となる。
【0087】
また、本発明においてレベルシフト回路の構成については特に限定されず、また、そのレベルシフト回路を挿入する位置についても特に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1 シリコン基板
2a,2b ウェル
3a,3b トランジスタ
4a,4b コンタクト導体
5a,5b 電源ライン
10 半導体装置
11a,11b クロック端子
12a〜12e コマンド端子
13 アドレス端子
14 データ入出力端子
15a〜15e 電源端子
16 キャリブレーション端子
17a〜17e,18a〜18d 電源ライン
21 クロック入力回路
31 コマンド入力回路
32 コマンドデコーダ
41 アドレス入力回路
42 アドレスラッチ回路
51 ロウ系制御回路
52 カラム系制御回路
53 モードレジスタ
61 ロウデコーダ
62 カラムデコーダ
63 センス回路
64 データアンプ
65 FIFO回路
66 キャリブレーション回路
70 メモリセルアレイ
80 内部電圧生成回路
81〜84 電源回路
100 DLL回路
100a ディレイライン
110 クロックツリー回路
200 クロック分割回路
300 マルチプレクサ
400 レベルシフトブロック
410,420 レベルシフト回路部
500 データ入出力回路
501 出力バッファ
510 インピーダンス制御回路
LV1〜LV4 レベルシフト回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部クロック信号に基づいて第1の内部クロック信号を生成するDLL回路と、
前記第1の内部クロック信号に基づいて、互いに位相の異なる第2及び第3の内部クロック信号を生成するクロック分割回路と、
第1の内部データ信号に基づいて、前記第2及び第3のクロック信号の一方に応じて第2及び第3の内部データ信号を出力するマルチプレクサと、を備え、
前記クロック分割回路に供給される内部電源電圧と前記マルチプレクサに供給される内部電源電圧は、互いに異なる電源回路によって生成され、且つ、該半導体装置内で分離されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記マルチプレクサは、前記第1の内部データ信号に続いて供給される第2の内部データ信号に基づいて、前記第2及び第3のクロック信号の他方に応じて第4及び第5の内部データ信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
メモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイから読み出された前記第1の内部データ信号を前記マルチプレクサに供給するデータ転送回路と、
外部電源電圧に基づいてそれぞれ第1乃至第3の内部電源電圧を生成する第1乃至第3の電源回路と、をさらに備え、
前記第1乃至第3の内部電源電圧のレベルは互いに等しく、且つ、該半導体装置内で分離されており、
前記データ転送回路は前記第1の内部電源電圧によって動作し、
前記クロック分割回路は前記第2の内部電源電圧によって動作し、
前記マルチプレクサは前記第3の内部電源電圧によって動作する、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外部電源電圧に基づいて第4の内部電源電圧を生成する第4の電源回路をさらに備え、
前記第1乃至第4の内部電源電圧のレベルは互いに等しく、且つ、該半導体装置内で分離されており、
前記DLL回路に含まれるディレイラインは前記第4の内部電源電圧によって動作する、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記DLL回路によって生成された前記第1の内部クロック信号を前記クロック分割回路に供給するクロックツリー回路をさらに備え、前記クロックツリー回路は前記第2の内部電源電圧によって動作することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2及び第3の内部データ信号を伝送する信号パス上にそれぞれ挿入されたレベルシフト回路部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
データ出力端子と、
前記データ出力端子と第3の電源配線との間に接続された前記第1導電型の第1の出力トランジスタと、
前記データ出力端子と第4の電源配線との間に接続された前記第2導電型の第2の出力トランジスタと、をさらに備え、
前記第1の出力トランジスタは、前記レベルシフト回路部を通過した前記第2の内部データ信号によって制御され、
前記第2の出力トランジスタは、前記レベルシフト回路部を通過した前記第3の内部データ信号によって制御される、ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1乃至第4の電源配線にそれぞれ接続された第1乃至第4の電源端子をさらに備え、
前記第1の電源端子と前記第3の電源端子には互いに同じ電位が与えられ、
前記第2の電源端子と前記第4の電源端子には互いに同じ電位が与えられ、
前記第1の電源配線と前記第3の電源配線は該半導体装置内で分離されており、
前記第2の電源配線と前記第4の電源配線は該半導体装置内で分離されている、ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−119024(P2012−119024A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266592(P2010−266592)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】