説明

半導体装置の製造方法

【課題】MISFETのしきい値のばらつきを抑制する。
【解決手段】半導体基板1に素子分離領域2を形成し、MISFETのしきい値調整用のチャネルドープイオン注入を行なってから、ゲート絶縁膜5a,5bおよびゲート電極GE1,GE2を形成する。それから、イオン注入によりエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bを形成し、更に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入することにより拡散防止領域10a,10bを形成する。その後、ゲート電極GE1,GE2の側壁上にサイドウォールSWを形成してから、イオン注入により、ソース・ドレイン用のn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成して、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、MISFETを有する半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MISFETなどの半導体素子を半導体基板に形成し、更に半導体基板上に多層配線構造を形成して半導体素子間を結線することで、半導体装置が製造される。
【0003】
特開2008−42059号公報(特許文献1)には、少なくともレトログレードチャネル構造を有するMISトランジスタを備えた半導体装置において、ランダム成分によるトランジスタ特性のばらつきを抑制した、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供する技術が記載されている。
【0004】
特開2008−47698号公報(特許文献2)には、微細化に伴いトランジスタの特性ばらつきが増加するのを抑制することが可能な半導体記憶装置に関する技術が記載されている。
【0005】
国際公開第2004/077673号パンフレット(特許文献3)には、MOSトランジスタの基板電位を制御することによって、動作速度のばらつきを小さく抑制する技術が記載されている。
【0006】
非特許文献1には、MOSFETのしきい値のばらつきに関する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2008−42059号公報
【特許文献2】特開2008−47698号公報
【特許文献3】国際公開第2004/077673号パンフレット
【非特許文献1】ケイ・タケウチ(K. Takeuchi),ティー・ツノムラ(T. Tsunomura),エイ・ティー・プトラ(A. T. Putra),エイ・ニシダ(A. Nishida),エス・カモハラ(S. Kamohara),ティー・ヒラモト(T. Hiramoto),“アンダースタンディング ランダム スレッシュホルド ボルテージ フラクチュエイション バイ コンペアリング マルティプル ファブス アンド テクノロジーズ(Understanding Random Threshold Voltage Fluctuation by Comparing Multiple Fabs and Technologies)”「2007 インターナショナル エレクトロン デバイシズ ミーティング(2007 INTERNATIONAL ELECTRON DEVICES MEETING(IEDM2007)」,(米国),2007年,p.467
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0008】
MISFETを有する半導体装置は、次のようにして製造することができる。すなわち、半導体基板に素子分離領域を形成し、素子分離領域で規定された活性領域に、MISFETのしきい値を調整するためのチャネルドープイオン注入を行なってから、ゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する。それから、ゲート電極をマスクにしてイオン注入によりLDD用のエクステンション領域と、ハロー領域を形成してから、ゲート電極の側壁上に側壁絶縁膜を形成し、ゲート電極および側壁絶縁膜をマスクにしてイオン注入により、エクステンション領域よりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域を形成する。その後、ソース・ドレイン領域の上部にサリサイドプロセスにより金属シリサイド層を形成する。
【0009】
一般に、n型不純物が添加された多結晶シリコンからなるゲート電極を用いたnチャネル型のMISFETでは、チャネルドープイオン注入にはホウ素(B)を用いる。しかしながら、ホウ素(B)をチャネルドープイオン注入に用いた場合、実際に形成したMISFETのしきい値のばらつきは、チャネルドープ不純物の分布の離散性で計算されるしきい値のばらつきよりも大きな値を示すことが、上記非特許文献1により分かっている。
【0010】
本発明者は、一般的な手法で形成したMISFETのしきい値のばらつきが、チャネルドープ不純物の分布の離散性で計算されるしきい値のばらつきよりも大きな値を示す理由について検討したところ、次のことが分かった。すなわち、半導体基板にチャネルドープイオン注入した場合、注入直後の段階では、注入された不純物はランダムに配置されているが、その後の種々の加熱工程で不純物が拡散(移動)すると、不純物のランダム配置が崩れ、注入直後に比べて不純物の分布に偏りが生じてしまう。換言すれば、チャネルドープイオン注入した直後の段階では、注入した不純物の配置のランダム性が高いが、その後の種々の加熱工程で不純物が拡散(移動)すると、不純物の配置のランダム性が低下してしまうのである。
【0011】
なお、不純物の配置のランダム性が高い状態では、微視的(原子配列のレベル)には、不純物は均一(規則的)に配置されているのではなく、ばらばら(ランダム)に存在しているが、微視的にランダムであるが故に、巨視的(チャネル領域のレベル)には、不純物は偏りなく同じように分布している。このため、不純物の配置のランダム性が高い状態では、チャネル領域同士を比べたときの不純物分布の違い(あるMISFETのチャネル領域の不純物分布と他のMISFETのチャネル領域の不純物分布との差)が小さく、MISFETのしきい値のばらつきが小さい。しかしながら、不純物配置のランダム性が低下すると、この状態が崩れ、巨視的な不純物の分布(チャネル領域のレベルでの不純物分布)に偏りが生じてしまう。このため、注入後に熱拡散によって不純物の配置のランダム性が低くなった状態では、チャネル領域同士を比べたときの不純物分布の違い(あるMISFETのチャネル領域の不純物分布と他のMISFETのチャネル領域の不純物分布との差)が大きく、MISFETのしきい値のばらつきが大きくなってしまう。
【0012】
このように、一般的な手法で形成したMISFETでは、チャネルドープイオン注入した不純物の配置が、注入後の熱拡散によってランダム性を低下させることにより、MISFETのしきい値のばらつきが大きくなってしまう。MISFETのしきい値のばらつきが大きいと、半導体装置の性能が低下してしまうため、MISFETのしきい値のばらつきを抑制して半導体装置の性能を向上させることが望まれる。
【0013】
上記特許文献1では、MISFETの特性のばらつきを低減するために、チャネルドープイオン注入する不純物のプロファイルに変調を加えることで対策を行っている。半導体基板の表面近傍のチャネル不純物の分布が、MISFETの特性のばらつきに最も影響するため、この手法は一部有効である。しかしながら、チャネル不純物の配置(分布)のランダム性を高める工夫をしないと、離散不純物分布で説明される特性(しきい値)のばらつきのレベルまで、実際のMISFETの特性のばらつきを低減させることは困難である。
【0014】
上記特許文献2では、デバイスの特性のばらつきが問題となるメモリセルの最小トランジスタのゲート長やゲート幅を大きくすることで、トランジスタの特性のばらつきによる影響を回避している。しかしながら、この手法は、トランジスタの特性(しきい値)のばらつきを改善する根本的解決手段ではなく、トランジスタの微細化(半導体装置の小型化)を困難にする。
【0015】
上記特許文献3では、しきい値の変動に対して、基板電位を制御することで対応している。しかしながら、離散不純物による特性のばらつきが問題になる場合、隣接するトランジスタ間での特性の差が大きく、多数のトランジスタが形成された半導体装置においては、基板電位を制御することによる個々のトランジスタの特性(しきい値)のばらつきを制御することは困難である。
【0016】
本発明の目的は、MISFETのしきい値のばらつきを抑制して半導体装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0017】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0019】
代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板を準備する工程、(b)前記半導体基板に、前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、(c)前記半導体基板の主面に前記第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、(d)前記第1絶縁膜上に前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記第1ゲート電極をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行ない、前記半導体基板に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程、(f)前記(d)工程後、前記半導体基板に第1元素のイオン注入を行なう工程、(g)前記(e)工程および前記(f)工程後に、前記第1ゲート電極の側壁上に側壁絶縁膜を形成する工程、(h)前記第1ゲート電極および前記側壁絶縁膜をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行ない、前記半導体基板に前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程、を有している。そして、前記第1および第2半導体領域は、前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域として機能し、前記(f)工程でイオン注入する前記第1元素は、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上からなり、前記(f)工程で前記第1元素が導入された領域の少なくとも一部は、前記第1MISFETのチャネル領域と前記第1半導体領域との間に位置する。
【0020】
また、他の代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層を上部に有する半導体基板を準備し、前記半導体層にMISFETを形成するものである。
【0021】
また、他の代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板を準備する工程、(b)前記(a)工程後に前記半導体基板の主面に第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、(c)前記(b)工程後に前記第1絶縁膜上に第1導電体層を形成する工程、(d)前記(c)工程後に前記半導体基板に前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、(e)前記(d)工程後に前記第1導電体層上に第2導電体層を形成する工程、(f)前記第2導電体層および前記第1導電体層をパターニングして前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、(g)前記(f)工程後に前記半導体基板に前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程を有するものである。
【0022】
また、他の代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板を準備する工程、(b)前記半導体基板にMISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、(c)前記半導体基板の主面にゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、(d)前記第1絶縁膜上にゲート電極を形成する工程、(e)前記半導体基板にソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程を有する。そして、前記(b)工程でイオン注入する元素として、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものを用いる。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
代表的な実施の形態によれば、MISFETのしきい値のばらつきを抑制して半導体装置の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0027】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図1〜図15は、本発明の一実施の形態である半導体装置、ここではCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0029】
まず、図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)に埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。素子分離領域2によって、nチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)Qnが形成される領域(活性領域)であるnMIS形成領域1Aと、pチャネル型MISFETQpが形成される領域(活性領域)であるpMIS形成領域1Bとが規定される。
【0030】
次に、表面の汚染防止のための薄い絶縁膜(スルー膜)3を半導体基板1の表面(主面)に形成してから、図2に示されるように、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP1aを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。nMIS形成領域1Aは、このフォトレジスト膜RP1aでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP1aは、pMIS形成領域1Bへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。
【0031】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、半導体基板1の上層部分に、後で形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値調整用のイオン注入(すなわちチャネルドープイオン注入)IM1aを行なう。なお、図2では、チャネルドープイオン注入IM1aを矢印で模式的に示してある。
【0032】
MIFETのしきい値調整用のイオン注入は、チャネルドープイオン注入と呼ぶこともでき、このチャネルドープイオン注入(しきい値調整用のイオン注入)によって、MISFETのチャネル領域に不純物が導入(ドープ)される。すなわち、チャネルドープイオン注入では、MISFETのチャネル領域を含む領域に、不純物(不純物イオン)が導入(ドープ)される。なお、ここでいう「MISFETのチャネル領域」とは、チャネルドープイオン注入の段階ではMISFETは形成されていなくとも、その後MISFETが形成されると、MISFETのチャネル領域となる領域に対応する。このことは、本実施の形態1および以下の実施の形態2〜6で述べるチャネルドープイオン注入(しきい値調整用のイオン注入)に共通である。
【0033】
しきい値調整用のイオン注入IM1a、すなわちチャネルドープイオン注入IM1aでは、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域を含む領域に、不純物(不純物イオン)が導入(イオン注入)されて、チャネルドープ層4aが形成される。このチャネルドープ層4aは、後でnチャネル型MISFETQnのチャネル領域となる領域を含んでいる。チャネルドープイオン注入IM1aによってチャネルドープ層4aに導入される不純物は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を用いることができる。このチャネルドープイオン注入IM1aでは、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜RP1aは、イオン注入阻止マスクとして機能するので、pMIS形成領域1Bの半導体基板1には、イオン注入されない。
【0034】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエル(p型半導体領域)PWを形成する。p型ウエルPWは、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜RP1aをイオン注入阻止マスクとして、nMIS形成領域1Aの半導体基板1に例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。なお、チャネルドープ層4aは、半導体基板1の上層部分に浅く形成され、p型ウエルPWは、半導体基板1において、チャネルドープ層4aよりも深くまで形成されている。また、他の形態として、先にp型ウエルPWをイオン注入で形成してから、チャネルドープイオン注入IM1aによってチャネルドープ層4aを形成することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。
【0035】
次に、図3に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP1aを除去してから、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP1bを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。pMIS形成領域1Bは、このフォトレジスト膜RP1bでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP1bは、nMIS形成領域1Aへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。
【0036】
次に、pMIS形成領域1Bにおいて、半導体基板1の上層部分に、後で形成されるpチャネル型MISFETQpのしきい値調整用のイオン注入(すなわちチャネルドープイオン注入)IM1bを行なう。なお、図3では、チャネルドープイオン注入IM1bを矢印で模式的に示してある。
【0037】
しきい値調整用のイオン注入IM1b、すなわちチャネルドープイオン注入IM1bでは、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域を含む領域に、不純物(不純物イオン)が導入(イオン注入)されて、チャネルドープ層4bが形成される。このチャネルドープ層4bは、後でpチャネル型MISFETQpのチャネル領域となる領域を含んでいる。チャネルドープイオン注入によってチャネルドープ層4bに導入される不純物は、例えばリン(P)などのn型の不純物を用いることができる。このチャネルドープイオン注入IM1bでは、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜RP1bは、イオン注入阻止マスクとして機能するので、nMIS形成領域1Aの半導体基板1には、イオン注入されない。
【0038】
次に、pMIS形成領域1Bにおいて、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってn型ウエル(n型半導体領域)NWを形成する。n型ウエルNWは、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜RP1bをイオン注入阻止マスクとして、pMIS形成領域1Bの半導体基板1に例えばリン(P)などのn型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。なお、チャネルドープ層4bは、半導体基板1の上層部分に浅く形成され、n型ウエルNWは、半導体基板1において、チャネルドープ層4bよりも深くまで形成されている。また、他の形態として、先にn型ウエルNWをイオン注入で形成してから、チャネルドープイオン注入IM1bによってチャネルドープ層4bを形成することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。更に他の形態として、先にpMIS形成領域1Bにチャネルドープ層4bおよびn型ウエルNWを形成した後で、nMIS形成領域1Aにチャネルドープ層4aおよびp型ウエルPWを形成することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。
【0039】
次に、図4に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP1bを除去してから、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより上記絶縁膜3を除去して半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの半導体基板1の表面(主面、ここではp型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜(第1絶縁膜)5を形成する。この絶縁膜5は、後でnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜となる。絶縁膜5は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
【0040】
次に、半導体基板1の主面全面上(すなわちnMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの絶縁膜5上を含む)に、ゲート電極形成用の導電体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜6を形成する。シリコン膜6のうちのnMIS形成領域1A(後述するゲート電極GE1となる領域)は、フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6のうちのpMIS形成領域1B(後述するゲート電極GE2となる領域)は、他のフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のp型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0041】
次に、図5に示されるように、シリコン膜6をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極GE1,GE2を形成する。
【0042】
nチャネル型MISFETQnのゲート電極となるゲート電極GE1は、n型の不純物を導入した多結晶シリコン(n型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、nMIS形成領域1Aのp型ウエルPW(の上部のチャネルドープ層4a)上に絶縁膜5を介して形成される。ゲート電極GE1の下に残存する絶縁膜5が、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜5aとなる。すなわち、ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Aの絶縁膜5(すなわちゲート絶縁膜5a)上に形成される。また、pチャネル型MISFETQpのゲート電極となるゲート電極GE2は、p型の不純物を導入した多結晶シリコン(p型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、pMIS形成領域1Bのn型ウエルNW(の上部のチャネルドープ層4b)上に絶縁膜5を介して形成される。ゲート電極GE2の下に残存する絶縁膜5が、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜5bとなる。すなわち、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Bの絶縁膜5(すなわちゲート絶縁膜5b)上に形成される。
【0043】
次に、図6に示されるように、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP2aを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。nMIS形成領域1Aは、このフォトレジスト膜RP2aでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP2aは、pMIS形成領域1Bへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。このため、後述するイオン注入IM2a,IM3a,IM4aでは、フォトレジスト膜RP2aがイオン注入阻止マスクとして機能し、pMIS形成領域1Bの半導体基板1にはイオン注入されない。
【0044】
次に、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)のゲート電極GE1の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)エクステンション領域(第1半導体領域、ソース・ドレインエクステンション領域、n型半導体領域)7aを形成する。エクステンション領域7aはn型の半導体領域であり、後で形成するn型半導体領域11aよりも不純物濃度が低い。なお、図6では、エクステンション領域7aを形成するためのイオン注入IM2aを矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM2aの際、ゲート電極GE1もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、エクステンション領域7aは、ゲート電極GE1(の側壁)に整合して形成され、ゲート電極GE1の直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。エクステンション領域7aの深さ(接合深さ)は、後で形成されるn型半導体領域11aの深さ(接合深さ)よりも浅い。また、エクステンション領域7a形成のためのイオン注入IM2aは、斜めイオン注入ではなく、半導体基板1の主面に対して垂直な方向にイオン注入することが好ましい。
【0045】
次に、図7に示されるように、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)にp型不純物のイオン注入(ハローイオン注入)IM3aを行ってハロー領域(p型半導体領域)8aを形成する。なお、図7では、ハロー領域8aを形成するためのイオン注入(ハローイオン注入)IM3aを矢印で模式的に示してある。ハロー領域8aは、エクステンション領域7aとは逆の導電型で、かつp型ウエルPWとは同じ導電型であり、ここではp型(p型の半導体領域)である。ハロー領域8aは、短チャネル特性抑制のために形成される。ハロー領域8aを形成するためのイオン注入IM3aの際、ゲート電極GE1もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。ハロー領域8aは、エクステンション領域7aを包み込む(覆う)ように形成され、p型ウエルPWよりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。ハロー領域8aを形成するためのイオン注入IM3aは、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)とすることがより好ましく、これにより、エクステンション領域7aを包み込む(覆う)ようにハロー領域8aを的確に形成することができる。なお、一般のイオン注入では、半導体基板1の主面に対して垂直な方向に不純物イオンを加速して打ち込むが、斜めイオン注入では、半導体基板1の主面に対して垂直な方向から所定の角度(傾斜角)傾斜した方向に不純物イオンを加速して打ち込む。
【0046】
次に、図8に示されるように、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に第1元素のイオン注入IM4aを行って拡散防止領域10aを形成する。なお、図8では、拡散防止領域10aを形成するためのイオン注入IM4aを矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM4aの際、ゲート電極GE1もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。拡散防止領域10aは、第1元素が導入(ドープ)された領域である。拡散防止領域10aを形成するためのイオン注入IM4aで半導体基板1に注入される第1元素は、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上からなる。拡散防止領域10aにおける第1元素の濃度は、イオン注入IM4aの注入量(ドーズ量)で例えば5×1014〜5×1015/cm程度、体積濃度で例えば1×1018〜1×1020/cm程度とすることができる。
【0047】
拡散防止領域10aは、エクステンション領域7a、ハロー領域8a、および後述のn型半導体領域11aを形成する際のイオン注入で生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域に拡散するのを防止する機能を有している。このため、拡散防止領域10aは、その少なくとも一部が、エクステンション領域7a、ハロー領域8a、および後述のn型半導体領域11aと、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に位置する必要がある。従って、ハロー領域8aを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10aを形成することが好ましい。
【0048】
このため、拡散防止領域10a形成のためのイオン注入IM4aでは、ハロー領域8aよりも深い位置に上記第1元素をイオン注入することが好ましい。また、拡散防止領域10a形成のためのイオン注入IM4aは、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)とすることが好ましい。これにより、ハロー領域8aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に拡散防止領域10aを的確に位置させることができるようになる。
【0049】
また、拡散防止領域10aを形成するためのイオン注入IM4aの傾斜角を、ハロー領域8aを形成するためのイオン注入IM3aの傾斜角よりも大きくすれば、更に好ましい。これにより、ハロー領域8aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に拡散防止領域10aを更に的確に位置させることができるようになる。ここで、イオン注入の傾斜角とは、イオン注入方向の半導体基板1の主面に垂直な方向からの傾斜角に対応し、半導体基板1の主面に垂直な方向に不純物イオンを打ち込む場合は、傾斜角は0°である。
【0050】
次に、図9に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP2aを除去してから、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP2bを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。pMIS形成領域1Bは、このフォトレジスト膜RP2bでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP2bは、nMIS形成領域1Aへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。このため、後述するイオン注入IM2b,IM3b,IM4bでは、フォトレジスト膜RP2bがイオン注入阻止マスクとして機能し、nMIS形成領域1Aの半導体基板1にはイオン注入されない。
【0051】
次に、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)のゲート電極GE2の両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)エクステンション領域(第1半導体領域、ソース・ドレインエクステンション領域、p型半導体領域)7bを形成する。エクステンション領域7bはp型の半導体領域であり、後で形成するp型半導体領域11bよりも不純物濃度が低い。なお、エクステンション領域7bを形成するためのイオン注入IM2bと、後述するハロー領域8bを形成するためのイオン注入IM3bと、後述する拡散防止領域10bを形成するためのイオン注入IM4bとは、それぞれ別々のイオン注入工程として行なわれるが、図9では、まとめて矢印で模式的に示してある。
【0052】
エクステンション領域7bを形成するためのイオン注入IM2bでは、ゲート電極GE2もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、エクステンション領域7bは、ゲート電極GE2(の側壁)に整合して形成され、ゲート電極GE2の直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。エクステンション領域7bの深さ(接合深さ)は、後で形成されるp型半導体領域11bの深さ(接合深さ)よりも浅い。また、エクステンション領域7b形成のためのイオン注入IM2bは、斜めイオン注入ではなく、半導体基板1の主面に対して垂直な方向にイオン注入することが好ましい。
【0053】
次に、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)にn型不純物のイオン注入(ハローイオン注入)IM3bを行ってハロー領域(n型半導体領域)8bを形成する。ハロー領域8bは、エクステンション領域7bとは逆の導電型で、かつn型ウエルNWとは同じ導電型であり、ここではn型(n型の半導体領域)である。ハロー領域8bは、短チャネル特性抑制のために形成される。ハロー領域8bを形成するためのイオン注入IM3bの際、ゲート電極GE2もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。ハロー領域8bは、エクステンション領域7bを包み込む(覆う)ように形成され、n型ウエルNWよりも不純物濃度(n型不純物濃度)が高い。ハロー領域8bを形成するためのイオン注入IM3bは、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)とすることがより好ましく、これにより、エクステンション領域7bを包み込む(覆う)ようにハロー領域8bを的確に形成することができる。
【0054】
次に、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に第1元素のイオン注入IM4bを行って拡散防止領域10bを形成する。拡散防止領域10bは、第1元素が導入(ドープ)された領域である。このイオン注入IM4bの際、ゲート電極GE2もマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。拡散防止領域10bを形成するためのイオン注入IM4bで注入される第1元素は、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上からなる。拡散防止領域10bにおける第1元素の濃度は、イオン注入IM4bの注入量(ドーズ量)で例えば5×1014〜5×1015/cm程度、体積濃度で例えば1×1018〜1×1020/cm程度とすることができる。
【0055】
拡散防止領域10bは、エクステンション領域7b、ハロー領域8b、および後述のp型半導体領域11bを形成する際のイオン注入で生成された点欠陥が、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域に拡散するのを防止する機能を有している。このため、拡散防止領域10bは、その少なくとも一部が、エクステンション領域7b、ハロー領域8b、および後述のp型半導体領域11bと、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に位置する必要がある。従って、ハロー領域8bを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10bを形成することが好ましい。
【0056】
このため、拡散防止領域10b形成のためのイオン注入IM4bでは、ハロー領域8bよりも深い位置に上記第1元素をイオン注入することが好ましい。また、拡散防止領域10b形成のためのイオン注入IM4bは、斜めイオン注入(傾斜イオン注入)とすることが好ましい。これにより、ハロー領域8bとnチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に拡散防止領域10bを的確に位置させることができるようになる。
【0057】
また、拡散防止領域10bを形成するためのイオン注入IM4bの傾斜角を、ハロー領域8bを形成するためのイオン注入の傾斜角よりも大きくすれば、更に好ましい。これにより、ハロー領域8bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に拡散防止領域10bを更に的確に位置させることができるようになる。
【0058】
また、他の形態として、先にpMIS形成領域1Bにエクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bを形成してから、nMIS形成領域1Aにエクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aを形成することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。
【0059】
また、ハロー領域8a,8bは、短チャネル特性抑制のために形成することが好ましいが、不要であればその形成を省略することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。
【0060】
また、エクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aは、必ずしもこの順序で形成しなくともよいが、エクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aを形成する各イオン注入IM2a,IM3a,IM4aは、少なくとも、ゲート電極GE1形成後で、かつ、ゲート電極GE1の側壁上に後述のサイドウォールSWを形成する前に行う必要がある。同様に、エクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bは、必ずしもこの順序で形成しなくともよいが、エクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bを形成する各イオン注入IM2b,IM3b,IM4bは、少なくとも、ゲート電極GE2形成後で、かつ、ゲート電極GE2の側壁上に後述のサイドウォールSWを形成する前に行う必要がある。
【0061】
次に、図10に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP2bを除去してから、ゲート電極GE1,GE2の側壁上に、絶縁膜(側壁絶縁膜)として、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれら絶縁膜の積層膜などからなる側壁スペーサまたはサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SWを形成する。サイドウォールSWは、例えば、半導体基板1(の主面全面)上に酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を堆積し、この酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜をRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法などにより異方性エッチングすることによって形成することができる。
【0062】
次に、図11に示されるように、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP3aを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。nMIS形成領域1Aは、このフォトレジスト膜RP3aでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP3aは、pMIS形成領域1Bへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。このため、後述するイオン注入IM5aでは、フォトレジスト膜RP3aがイオン注入阻止マスクとして機能し、pMIS形成領域1Bの半導体基板1にはイオン注入されない。
【0063】
次に、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)のゲート電極GE1およびサイドウォールSWの両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)n型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成する。なお、図11では、n型半導体領域11aを形成するためのイオン注入IM5aを矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM5aの際、ゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールSWもマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、n型半導体領域11aは、ゲート電極GE1の側壁上のサイドウォールSW(の側壁)に整合して形成され、ゲート電極GE1およびサイドウォールSWの直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。n型半導体領域11aの深さ(接合深さ)は、エクステンション領域7aの深さ(接合深さ)よりも深い。
【0064】
型半導体領域(第2半導体領域)11aとエクステンション領域(第1半導体領域)7aとは同じ導電型であるが、n型半導体領域11aは、エクステンション領域7aよりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高い。これにより、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n型半導体領域(不純物拡散層)11aおよびエクステンション領域(n型半導体領域)7aにより形成される。換言すれば、エクステンション領域7aと、それよりも高不純物濃度のn型半導体領域11aとは、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレイン用の半導体領域として機能する。従って、nチャネル型MISFETQnのソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。上述のように、エクステンション領域7aは、ゲート電極GE1に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域11aは、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールSWに対して自己整合的に形成される。
【0065】
また、サイドウォールSWの形成後、n型半導体領域11a形成用のイオン注入の前または後に、半導体基板1に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上からなる第1元素をイオン注入することもできる。この場合、このイオン注入で第1元素が注入された領域が、n型半導体領域11aを包み込む(覆う)ようにすることが好ましい。これにより、n型半導体領域11aに生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域に拡散するのを、更に的確に防止することができる。
【0066】
次に、図12に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP3aを除去してから、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP3bを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。pMIS形成領域1Bは、このフォトレジスト膜RP3bでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP3bは、nMIS形成領域1Aへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。このため、後述するイオン注入IM5bでは、フォトレジスト膜RP3bがイオン注入阻止マスクとして機能し、nMIS形成領域1Aの半導体基板1にはイオン注入されない。
【0067】
次に、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)のゲート電極GE2およびサイドウォールSWの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)p型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。なお、図12では、p型半導体領域11bを形成するためのイオン注入IM5bを矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM5bの際、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSWもマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるので、p型半導体領域11bは、ゲート電極GE2の側壁上のサイドウォールSW(の側壁)に整合して形成され、ゲート電極GE2およびサイドウォールSWの直下には、不純物は導入(イオン注入)されない。p型半導体領域11bの深さ(接合深さ)は、エクステンション領域7bの深さ(接合深さ)よりも深い。
【0068】
型半導体領域(第2半導体領域)11bとエクステンション領域(第1半導体領域)7bとは同じ導電型であるが、p型半導体領域11bは、エクステンション領域7bよりも、不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。これにより、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p型半導体領域(不純物拡散層)11bおよびエクステンション領域(p型半導体領域)7bにより形成される。換言すれば、エクステンション領域7bと、それよりも高不純物濃度のp型半導体領域11bとは、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用の半導体領域として機能する。従って、pチャネル型MISFETQpのソース・ドレイン領域は、LDD構造を有している。上述のように、エクステンション領域7bは、ゲート電極GE2に対して自己整合的に形成され、p型半導体領域11bは、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールSWに対して自己整合的に形成される。
【0069】
また、サイドウォールSWの形成後、p型半導体領域11b形成用のイオン注入の前または後に、半導体基板1に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上からなる第1元素をイオン注入することもできる。この場合、このイオン注入で第1元素が注入された領域が、p型半導体領域11bを包み込む(覆う)ようにすることが好ましい。これにより、p型半導体領域11bに生成された点欠陥が、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域に拡散するのを、更に的確に防止することができる。
【0070】
また、他の形態として、先にpMIS形成領域1Bにp型半導体領域11bを形成してから、nMIS形成領域1Aにn型半導体領域11aを形成することもでき、これは以下の実施の形態2〜4でも同様である。
【0071】
次に、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP3bを除去する。それから、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。このアニール処理は、例えば1050℃程度のスパイクアニール処理にて行うことができる。
【0072】
このようにして、nMIS形成領域1A(のp型ウエルPW)に、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成される。また、pMIS形成領域1B(のn型ウエルNW)に、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qpが形成される。これにより、図13の構造が得られる。nチャネル型MISFETQnは、nチャネル型の電界効果トランジスタとみなすことができ、pチャネル型MISFETQpは、pチャネル型の電界効果トランジスタとみなすことができる。
【0073】
次に、ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面を露出させ、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)のような金属膜を堆積して熱処理することによって、図14に示されるように、ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面に、それぞれ金属シリサイド層12を形成する。これにより、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。その後、未反応の金属膜は除去する。
【0074】
次に、半導体基板1の主面上に絶縁膜21を形成する。すなわち、ゲート電極GE1,GE2を覆うように、金属シリサイド層12上を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成する。絶縁膜21は例えば窒化シリコン膜からなり、プラズマCVD法などを用いて形成することができる。それから、絶縁膜21上に絶縁膜21よりも厚い絶縁膜22を形成する。絶縁膜22は例えば酸化シリコン膜などからなり、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、またはTetra Ethyl Ortho Silicateとも言う)を用いてプラズマCVD法などにより形成することができる。これにより、絶縁膜21,22からなる層間絶縁膜が形成される。その後、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨するなどして、絶縁膜22の上面を平坦化する。下地段差に起因して絶縁膜21の表面に凹凸形状が形成されていても、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0075】
次に、絶縁膜22上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜22,21をドライエッチングすることにより、絶縁膜22,21にコンタクトホール(貫通孔、孔)23を形成する。この際、まず絶縁膜21に比較して絶縁膜22がエッチングされやすい条件で絶縁膜22のドライエッチングを行い、絶縁膜21をエッチングストッパ膜として機能させることで、絶縁膜22にコンタクトホール23を形成してから、絶縁膜22に比較して絶縁膜21がエッチングされやすい条件でコンタクトホール23の底部の絶縁膜21をドライエッチングして除去する。コンタクトホール23の底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面上の金属シリサイド層12の一部や、ゲート電極GE1,GE2の表面上の金属シリサイド層12の一部などが露出される。
【0076】
次に、コンタクトホール23内に、タングステン(W)などからなるプラグ(接続用導体部)24を形成する。プラグ24を形成するには、例えば、コンタクトホール23の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜22上に、プラズマCVD法によりバリア導体膜24a(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜24bをCVD法などによってバリア導体膜24a上にコンタクトホール23を埋めるように形成し、絶縁膜22上の不要な主導体膜24bおよびバリア導体膜24aをCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグ24を形成することができる。ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aまたはp型半導体領域11b上に形成されたプラグ24は、その底部でゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aまたはp型半導体領域11bの表面上の金属シリサイド層12と接して、電気的に接続される。
【0077】
次に、図15に示されるように、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および配線形成用の絶縁膜26を順次形成する。ストッパ絶縁膜25は絶縁膜26への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜26に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜25は、例えばプラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とし、絶縁膜26は、例えばプラズマCVD法により形成される酸化シリコン膜とすることができる。なお、ストッパ絶縁膜25と絶縁膜26には、次に説明する第1層目の配線が形成される。
【0078】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25の所定の領域に配線溝27を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝27の底部および側壁上を含む絶縁膜26上)にバリア導体膜(バリアメタル膜)28を形成する。バリア導体膜28は、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜28上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝27の内部を埋め込む。図15では、シード膜および銅めっき膜を合わせたものを銅の主導体膜29として図示している。それから、配線溝27以外の領域の主導体膜29(銅めっき膜およびシード層)とバリアメタル膜28をCMP法により除去して、配線溝27に埋め込まれ銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。配線M1は、プラグ24を介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bやゲート電極GE1,GE2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法により2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0079】
次に、本実施の形態の効果について、より詳細に説明する。
【0080】
半導体基板に不純物をイオン注入した場合、注入直後の段階では、注入された不純物はランダムに配置されているが、その後の種々の加熱工程で不純物が拡散(移動)すると、不純物のランダム配置が崩れ、注入直後に比べて不純物の分布に偏りが生じてしまう。すなわち、イオン注入した直後の段階では、注入した不純物の配置のランダム性が高いが、その後の種々の加熱工程で不純物が拡散(移動)すると、不純物の配置のランダム性が低下してしまう。このことは、イオン注入が、MISFETのしきい値調整用のチャネルドープイオン注入である場合でも同様である。従って、チャネルドープイオン注入した直後の段階では、チャネル領域にドープされた不純物の配置のランダム性が高いが、その後の種々の加熱工程で不純物が拡散(移動)すると、チャネル領域にドープされた不純物の配置のランダム性が低下してしまう。
【0081】
なお、不純物の配置のランダム性が高い状態では、微視的(原子配列のレベル)には、不純物は均一(規則的)に配置されているのではなく、ばらばら(ランダム)に存在しているが、微視的にランダムであるが故に、巨視的(チャネル領域のレベル)には、不純物は偏りなく同じように分布している。このため、不純物の配置のランダム性が高い状態では、チャネル領域同士を比べたときの不純物分布の違い(あるMISFETのチャネル領域の不純物分布と他のMISFETのチャネル領域の不純物分布との差)が小さく、MISFETのしきい値のばらつきが小さい。
【0082】
しかしながら、不純物配置のランダム性が低下すると、この状態が崩れ、巨視的な不純物の分布(チャネル領域のレベルでの不純物分布)に偏りが生じてしまう。このため、チャネルドープイオン注入後に、熱拡散によってチャネルドープ不純物の配置のランダム性が低くなった状態では、チャネル領域同士を比べたときの不純物分布の違い(あるMISFETのチャネル領域の不純物分布と他のMISFETのチャネル領域の不純物分布との差)が大きくなり、MISFETのしきい値のばらつきが大きくなってしまう。すなわち、MISFET毎にチャネル領域の状態(チャネル領域における不純物の配置状態)が変動してしまい、MISFET毎にしきい値電圧が変動してしまうのである。半導体装置の性能を向上させるためには、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することが望まれる。
【0083】
このため、チャネルドープイオン注入で導入された不純物が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのをできるだけ抑制して、注入直後のチャネルドープ不純物の配置(ランダム性が高い配置)を注入後もできるだけ維持することが、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制するために重要である。
【0084】
また、半導体基板1にイオン注入を行なうと、半導体基板1の不純物イオンがドープされた領域に点欠陥も生成されてしまうが、点欠陥は拡散しやすい。このため、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥が、その後の種々の加熱工程でMISFETのチャネル領域(ゲート電極GE1,GE2の直下の領域)にまで拡散してしまう可能性がある。特に、エクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bは、チャネル領域(ゲート電極GE1,GE2の直下の領域)に近いため、イオン注入でエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bに生成された点欠陥が、チャネル領域にまで拡散しやすい。点欠陥がチャネル領域に拡散すると、チャネル領域における点欠陥の密度が大きくなるが、点欠陥の密度が大きいほど、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が移動(拡散)しやすくなる。これは、点欠陥が多いと、点欠陥を介して不純物が移動(拡散)しやすくなるためである。
【0085】
このため、チャネルドープイオン注入で導入した不純物が、その後の種々の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのをできるだけ抑制するためには、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥がチャネル領域にまで拡散してしまうのをできるだけ防止し、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制することが有効である。
【0086】
本発明者の検討によれば、単結晶シリコンからなる基板領域(半導体基板1)に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された領域(本実施の形態の拡散防止領域10a,10bに対応)は、点欠陥が拡散(移動)しにくく、点欠陥の拡散(移動)を防止する機能を有していることが分かった。
【0087】
そこで、本実施の形態では、上述のように、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上(すなわち第1元素)をイオン注入して、拡散防止領域10aを形成している。また、上述のように、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上(すなわち第1元素)をイオン注入して、拡散防止領域10bを形成している。
【0088】
炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された領域である拡散防止領域10aは、エクステンション領域7a、ハロー領域8a、およびn型半導体領域11aを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域(ゲート電極GE1の直下の領域)にまで拡散するのを防止する機能を有している。また、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された領域である拡散防止領域10bは、エクステンション領域7b、ハロー領域8b、およびp型半導体領域11bを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥が、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域(ゲート電極GE2の直下の領域)にまでに拡散するのを防止する機能を有している。
【0089】
上述の機能を拡散防止領域10aが有するためには、拡散防止領域10aの少なくとも一部が、エクステンション領域7a、ハロー領域8aおよびn型半導体領域11aと、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域(ゲート電極GE1の直下の領域)との間に位置する必要がある。エクステンション領域7a、ハロー領域8aおよびn型半導体領域11aのうち、ハロー領域8aが最もnチャネル型MISFETQnのチャネル領域に近いため、ハロー領域8aを形成した場合は、拡散防止領域10aの少なくとも一部が、ハロー領域8aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に位置すればよい。このようにするためには、ハロー領域8aを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10aを形成することが好ましい。ハロー領域8aの形成を省略した場合は、エクステンション領域7aがチャネル領域に近いので、拡散防止領域10aの少なくとも一部が、エクステンション領域7aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に位置すればよく、このようにするためには、エクステンション領域7aを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10aを形成することが好ましい。
【0090】
なお、拡散防止領域10aの少なくとも一部が、ハロー領域8aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に位置する場合には、必然的に、エクステンション領域7aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に拡散防止領域10aの少なくとも一部が位置することになる。このため、ハロー領域8aを形成するか否かにかかわらず、エクステンション領域7aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に拡散防止領域10aの少なくとも一部を位置させ、ハロー領域8aを形成した場合には、ハロー領域8aとnチャネル型MISFETQnのチャネル領域との間に拡散防止領域10aの少なくとも一部が位置するようにすればよい。
【0091】
また、上述の機能を拡散防止領域10bが有するためには、拡散防止領域10bの少なくとも一部が、エクステンション領域7b、ハロー領域8bおよびp型半導体領域11bと、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域(ゲート電極GE2の直下の領域)との間に位置する必要がある。エクステンション領域7b、ハロー領域8bおよびp型半導体領域11bのうち、ハロー領域8bが最もpチャネル型MISFETQpのチャネル領域に近いため、ハロー領域8bを形成した場合は、拡散防止領域10bの少なくとも一部が、ハロー領域8bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に位置すればよい。このようにするためには、ハロー領域8bを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10bを形成することが好ましい。ハロー領域8bの形成を省略した場合は、エクステンション領域7bがチャネル領域に近いので、拡散防止領域10bの少なくとも一部が、エクステンション領域7bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に位置すればよく、このようにするためには、エクステンション領域7bを包み込む(覆う)ように拡散防止領域10bを形成することが好ましい。
【0092】
なお、拡散防止領域10bの少なくとも一部が、ハロー領域8bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に位置する場合には、必然的に、エクステンション領域7bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に拡散防止領域10bの少なくとも一部が位置することになる。このため、ハロー領域8bを形成するか否かにかかわらず、エクステンション領域7bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に拡散防止領域10bの少なくとも一部を位置させ、ハロー領域8bを形成した場合には、ハロー領域8bとpチャネル型MISFETQpのチャネル領域との間に拡散防止領域10bの少なくとも一部が位置するようにすればよい。
【0093】
本実施の形態では、拡散防止領域10a,10bを形成したことで、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのチャネル領域に拡散するのを防止でき、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制することできる。これにより、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制または防止することができるので、注入直後のチャネルドープ不純物の配置(ランダム性が高い配置)を維持することができる。従って、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0094】
また、拡散防止領域10a,10bには、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入されているが、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のうち、点欠陥の拡散防止に最も有効なのは炭素(C)である。このため、拡散防止領域10a,10bには、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうち少なくとも炭素(C)を導入していればより好ましい。これにより、拡散防止領域10a,10bを設けたことによる上述の効果を、より的確に得ることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、半導体基板において、必要な領域のみに炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入して拡散防止領域10a,10bを形成することができる。このため、不要な領域に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)が導入されることを防止でき、不要な領域に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)が導入されることによる悪影響を排除できる。
【0096】
また、チャネルドープイオン注入で導入した不純物の再配置(拡散)に起因したMISFET毎のしきい値電圧のばらつきは、pチャネル型MISFETに比べて、nチャネル型MISFETの方が大きい。これは、一般に、nチャネル型MISFETには、チャネルドープイオン注入でp型不純物を注入し、pチャネル型MISFETには、チャネルドープイオン注入でn型不純物を注入するが、リン(P)などのn型不純物に比べて、ホウ素(B)などのp型不純物の方が、熱拡散しやすいためである。このため、本実施の形態(拡散防止領域10a,10bに相当するものを形成すること)は、CMISFETを有する半導体装置だけでなく、pチャネル型MISFETまたはnチャネル型MISFETの一方だけを有する半導体装置に対しても適用できるが、少なくともnチャネル型MISFETを有する半導体装置に適用すれば、効果が大きい。このこと、以下の実施の形態2〜6においても同様である。
【0097】
(実施の形態2)
本実施の形態2の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図16〜図22は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0098】
本実施の形態では、まず、図16に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1aを準備し、半導体基板1a(の主面全面)上に半導体層(半導体領域)1bを形成する。
【0099】
半導体層1bは、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上(すなわち第1元素)が導入された半導体層(単結晶シリコン層)であり、具体的には、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上(すなわち第1元素)が導入(ドープ)された単結晶シリコン(Si)で構成されている。
【0100】
半導体層1bは、好ましくは、半導体基板1a上に半導体層1bをエピタキシャル成長させることで形成されている。半導体基板1aとその上の半導体層1bとを合わせたものを、半導体基板SUB1と称することとし、この半導体基板SUB1は、いわゆるエピタキシャルウエハとみなすこともできる。半導体基板SUB1の主面(表面)は、半導体層1bの主面(表面)に対応する。半導体層1bにおける第1元素の濃度は、例えば1×1018〜1×1020/cm程度とすることができる。半導体層1bの厚さは、後で形成されるp型ウエルPWおよびn型ウエルNWが半導体層1b内に含まれ得るような厚さで形成され、例えば1〜10μm程度の厚さを有している。
【0101】
他の形態として、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層(半導体領域)1bを、半導体基板1aの上層部分に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入することによって形成することもできる。
【0102】
次に、図17に示されるように、半導体基板SUB1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2の形成法などは、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。素子分離領域2によって、nMIS形成領域1AとpMIS形成領域1Bとが規定される。
【0103】
次に、上記実施の形態1と同様の絶縁膜3を半導体基板SUB1の表面(すなわち半導体層1bの表面)に形成する。
【0104】
次に、図18に示されるように、nMIS形成領域1Aにおいて、上記実施の形態1のチャネルドープイオン注入IM1aと同様のチャネルドープイオン注入(後で形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値調整用のイオン注入)IM1aを行なって、半導体層1bの上層部分にチャネルドープ層4aを形成する。それから、nMIS形成領域1Aにおいて、半導体層1bにp型ウエルPWをイオン注入によって形成する。また、pMIS形成領域1Bにおいて、上記実施の形態1のチャネルドープイオン注入IM1bと同様のチャネルドープイオン注入(後で形成されるpチャネル型MISFETQpのしきい値調整用のイオン注入)IM1bを行なって、半導体層1bの上層部分にチャネルドープ層4bを形成する。それから、pMIS形成領域1Bにおいて、半導体層1bにn型ウエルNWをイオン注入によって形成する。
【0105】
なお、図18では、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを矢印で模式的に示してあるが、チャネルドープイオン注入IM1aとチャネルドープイオン注入IM1bとは、それぞれ別工程で行なう。すなわち、上記実施の形態1と同様に本実施の形態においても、チャネルドープ層4aを形成するためのチャネルドープイオン注入IM1aと、p型ウエルPWを形成するためのイオン注入とは、上記フォトレジスト膜RP1aと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でpMIS形成領域1Bを覆った状態で行ない、pMIS形成領域1Bの半導体層1bにイオン注入されないようにする。一方、チャネルドープ層4bを形成するためのチャネルドープイオン注入IM1bと、n型ウエルNWを形成するためのイオン注入とは、上記フォトレジスト膜RP1bと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でnMIS形成領域1Aを覆った状態で行ない、nMIS形成領域1Aの半導体層1bにイオン注入されないようにする。
【0106】
上記実施の形態1では、半導体基板1にチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なってチャネルドープ層4a,4bを形成していた。それに対して、本実施の形態では、半導体層1bにチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なってチャネルドープ層4a,4bを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bおよびチャネルドープ層4a,4bの構成については、上記実施の形態1と同様である。また、上記実施の形態1では、半導体基板1にp型ウエルPWおよびn型ウエルNWを形成していたのに対して、本実施の形態では、半導体層1bにp型ウエルPWおよびn型ウエルNWを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのp型ウエルPWおよびn型ウエルNWの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0107】
次に、上記絶縁膜3を除去して半導体層1bの表面を清浄化した後、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの半導体層1bの表面(p型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成する。上記実施の形態1では、半導体基板1に絶縁膜の表面に絶縁膜5を形成していたのに対して、本実施の形態では、半導体層1bに絶縁膜5を形成しているが、それ以外は、本実施の形態での絶縁膜5の形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0108】
次に、ゲート電極GE1,GE2を形成する。上記実施の形態1では、半導体基板1上に絶縁膜5(ゲート絶縁膜5a,5b)を介してゲート電極GE1,GE2を形成していたのに対して、本実施の形態では、半導体層1b上に絶縁膜5(ゲート絶縁膜5a,5b)を介してゲート電極GE1,GE2を形成している。それ以外は、本実施の形態でのゲート電極GE1,GE2の形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。これにより、図19の構造が得られる。
【0109】
次に、図20に示されるように、nMIS形成領域1Aの半導体層1b(p型ウエルPW)のゲート電極GE1の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域7aを形成する。それから、nMIS形成領域1Aの半導体層1b(p型ウエルPW)に、イオン注入(ハローイオン注入)を行ってハロー領域8aを形成する。また、pMIS形成領域1Bの半導体層1b(n型ウエルNW)のゲート電極GE2の両側の領域に、上記実施の形態1と同様に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域7bを形成する。それから、pMIS形成領域1Bの半導体層1b(n型ウエルNW)に、イオン注入(ハローイオン注入)を行ってハロー領域8bを形成する。
【0110】
なお、上記実施の形態1と同様に本実施の形態2および以下の実施の形態3,4においても、エクステンション領域7aを形成するためのイオン注入と、ハロー領域8aを形成するためのイオン注入とは、上記フォトレジスト膜RP2aと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でpMIS形成領域1Bを覆った状態で行ない、pMIS形成領域1Bの半導体層1bにイオン注入されないようにする。一方、上記実施の形態1と同様に本実施の形態2および以下の実施の形態3,4においても、エクステンション領域7bを形成するためのイオン注入と、ハロー領域8bを形成するためのイオン注入とは、上記フォトレジスト膜RP2bと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でnMIS形成領域1Aを覆った状態で行ない、nMIS形成領域1Aの半導体層1bにイオン注入されないようにする。
【0111】
上記実施の形態1では、半導体基板1にエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bを形成していたのに対して、本実施の形態では、半導体層1bにエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0112】
次に、図21に示されるように、上記実施の形態1と同様に、ゲート電極GE1,GE2の側壁上にサイドウォール(側壁絶縁膜)SWを形成する。
【0113】
次に、nMIS形成領域1Aの半導体層1b(p型ウエルPW)のゲート電極GE1およびサイドウォールSWの両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成する。また、pMIS形成領域1Bの半導体層1b(n型ウエルNW)のゲート電極GE2およびサイドウォールSWの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。
【0114】
なお、上記実施の形態1と同様に本実施の形態2および以下の実施の形態3,4においても、n型半導体領域11aを形成するためのイオン注入は、上記フォトレジスト膜RP3aと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でpMIS形成領域1Bを覆った状態で行ない、pMIS形成領域1Bの半導体層1bにイオン注入されないようにする。一方、上記実施の形態1と同様に本実施の形態2および以下の実施の形態3,4においても、p型半導体領域11bを形成するためのイオン注入は、上記フォトレジスト膜RP3bと同様のフォトレジスト膜(図示せず)でnMIS形成領域1Aを覆った状態で行ない、nMIS形成領域1Aの半導体層1bにイオン注入されないようにする。
【0115】
上記実施の形態1では、半導体基板1にn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成していたのに対して、本実施の形態では、半導体層1bにn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0116】
次に、上記実施の形態1と同様に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0117】
以降の工程は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、図22に示されるように、ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面にそれぞれ金属シリサイド層12を形成し、半導体基板SUB1の主面(すなわち半導体層1bの主面)上にゲート電極GE1,GE2を覆うように絶縁膜21を形成し、絶縁膜21上に絶縁膜22を形成する。それから、絶縁膜22,21にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。その後、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および絶縁膜26を順に形成し、絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25に配線溝27を形成し、配線溝27の底部および側壁上を含む絶縁膜26上にバリア導体膜28を形成し、配線溝27を銅の主導体膜29で埋め込んで配線M1を形成する。
【0118】
次に、本実施の形態の効果について、より詳細に説明する。
【0119】
上記実施の形態1では、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された拡散防止領域10a,10bを形成することで、チャネル領域への点欠陥の拡散を防止し、それによって、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制して、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物の再配置(拡散)を抑制していた。
【0120】
それに対して、本実施の形態では、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層1bを上部に有する半導体基板SUB1を準備し、この半導体層1bにnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを形成している。すなわち、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのチャネル領域、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bは、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層1bに形成されている。
【0121】
上述のように、単結晶シリコンに炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された領域(本実施の形態の半導体層1bに対応)は、点欠陥が拡散(移動)しにくく、点欠陥の拡散(移動)を防止する機能を有している。このため、本実施の形態では、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層1b全体に渡って、点欠陥が拡散(移動)しにくい。このため、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成する際の各イオン注入で生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのチャネル領域(ゲート電極GE1,GE2の直下の領域)にまで拡散するのを防止でき、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制することできる。これにより、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制または防止することができるので、注入直後のチャネルドープ不純物の配置(ランダム性が高い配置)を維持することができる。従って、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0122】
また、半導体層1bには、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入されているが、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のうち、点欠陥の拡散防止に最も有効なのは炭素(C)である。このため、半導体層1bには、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうち少なくとも炭素(C)を導入していればより好ましい。
【0123】
また、本実施の形態では、半導体基板1aの主面上に半導体層1bをエピタキシャル成長などで形成したが、他の形態として、半導体基板1の上層部分に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入することで、半導体基板1の上層部分に半導体層1bに相当する領域を形成することもできる。この場合、上記半導体基板SUB1全体が上記半導体基板1に相当し、上記半導体基板SUB1のうちの上記半導体層1bが、半導体基板1のうち、イオン注入で炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上を導入した半導体領域(半導体層)に相当する。すなわち、半導体基板1の上層部分に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入することで、半導体層1bに相当する半導体領域(半導体層)を形成し、この半導体領域(半導体層)内に、p型ウエルPW、n型ウエルNW、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成するのである。この場合も、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成する際のイオン注入で生成された点欠陥が、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのチャネル領域に拡散するのを防止でき、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制することができる。従って、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制または防止することができ、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、半導体層1b全体に炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上を導入して、そこにp型ウエルPW、n型ウエルNW、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bを形成している。このため、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上を導入したことによる、イオン注入時に生成された点欠陥の拡散を抑制する効果は、極めて大きい。
【0125】
(実施の形態3)
本実施の形態3の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図23〜図32は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0126】
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、図23に示されるように、まず、半導体基板(半導体ウエハ)1を準備し、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。
【0127】
次に、上記実施の形態1と同様の絶縁膜3を半導体基板1の表面に形成する。
【0128】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、上記実施の形態1と同様にして、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエルPWを形成し、また、pMIS形成領域1Bにおいて、上記実施の形態1と同様にして、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってn型ウエルNWを形成する。本実施の形態でのp型ウエルPWおよびn型ウエルNWの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0129】
なお、本実施の形態では、後述するゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成する前には、nチャネル型MISFETQnのしきい値調整用のチャネルドープイオン注入IM1aおよびpチャネル型MISFETQpのしきい値調整用のチャネルドープイオン注入IM1bは行なわないため、この段階では、チャネルドープ層4a,4bは形成されていない。
【0130】
次に、図24に示されるように、上記実施の形態1と同様、上記絶縁膜3を除去して半導体基板1の表面を清浄化した後、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの半導体基板1の表面(p型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成する。本実施の形態での絶縁膜5の形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0131】
次に、図25に示されるように、半導体基板1の主面全面上(すなわちnMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの絶縁膜5上を含む)に、導電体膜(導電体層)として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜(第1導電体層)6aを形成する。また、シリコン膜6aは、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。シリコン膜6aの厚み(堆積膜厚)t1は、例えば20〜100nm程度とすることができる。
【0132】
次に、図26に示されるように、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP4aを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。nMIS形成領域1Aは、このフォトレジスト膜RP4aでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP4aは、pMIS形成領域1Bへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。
【0133】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、上記実施の形態1と同様のチャネルドープイオン注入(後で形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値調整用のイオン注入)IM1aを行なって、半導体基板1(p型ウエルPW)の上層部分にチャネルドープ層4aを形成する。なお、図26では、チャネルドープイオン注入IM1aを矢印で模式的に示してある。
【0134】
上記実施の形態1では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5の形成前に半導体基板1にチャネルドープイオン注入IM1aを行なってチャネルドープ層4aを形成していた。これに対して、本実施の形態では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5とシリコン膜6aの形成後にチャネルドープイオン注入IM1aを行なってチャネルドープ層4aを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのチャネルドープイオン注入IM1aおよびチャネルドープ層4aの構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0135】
次に、図27に示されるように、フォトレジスト膜RP4aを除去してから、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜(フォトレジストパターン)RP4bを、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。pMIS形成領域1Bは、このフォトレジスト膜RP4bでは覆われずに露出される。このフォトレジスト膜RP4bは、nMIS形成領域1Aへのイオン注入阻止マスクとして機能することができる。
【0136】
次に、pMIS形成領域1Bにおいて、上記実施の形態1と同様のチャネルドープイオン注入(後で形成されるpチャネル型MISFETQpのしきい値調整用のイオン注入)IM1bを行なって、半導体基板1(n型ウエルNW)の上層部分にチャネルドープ層4bを形成する。なお、図27では、チャネルドープイオン注入IM1bを矢印で模式的に示してある。
【0137】
上記実施の形態1では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5の形成前に半導体基板1にチャネルドープイオン注入IM1bを行なってチャネルドープ層4bを形成していた。これに対して、本実施の形態では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5とシリコン膜6aの形成後にチャネルドープイオン注入IM1bを行なってチャネルドープ層4bを形成しているが、それ以外は、本実施の形態でのチャネルドープイオン注入IM1bおよびチャネルドープ層4bの構成については、上記実施の形態1と同様である。他の形態として、pMIS形成領域1Bにチャネルドープイオン注入IM1bによってチャネルドープ層4bを形成した後で、nMIS形成領域1Aにチャネルドープイオン注入IM1aによってチャネルドープ層4aを形成することもできる。
【0138】
次に、図28に示されるように、フォトレジスト膜RP4aを除去してから、シリコン膜6a上に、導電体膜(導電体層)として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜(第2導電体層)6bを形成する。シリコン膜6bの厚み(堆積膜厚)t2は、シリコン膜6aの厚みt1よりも厚い(すなわちt2>t1)ことが好ましく、例えば80〜150nm程度とすることができる。シリコン膜6aとシリコン膜6bとの積層膜が、上記シリコン膜6に相当するものとなる。
【0139】
次に、図29に示されるように、シリコン膜6aとシリコン膜6bとの積層膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極GE1,GE2を形成する。すなわち、nMIS形成領域1Aの絶縁膜5(すなわちゲート絶縁膜5a)上にゲート電極GE1を、pMIS形成領域1Bの絶縁膜5(すなわちゲート絶縁膜5b)上にゲート電極GE2を形成する。
【0140】
このため、本実施の形態では、ゲート電極GE1,GE2は、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜からなる。ゲート電極GE1の下に残存する絶縁膜5が、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜5aとなり、ゲート電極GE2の下に残存する絶縁膜5が、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜5bとなる。
【0141】
以降の工程は、拡散防止領域10a,10b形成工程(イオン注入IM5a,IM5b)を省略すること以外は、上記実施の形態1と同様である。
【0142】
すなわち、図30に示されるように、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に、エクステンション領域7aおよびハロー領域8aを形成し、また、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に、エクステンション領域7bおよびハロー領域8bを形成する。本実施の形態でのエクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0143】
次に、図31に示されるように、ゲート電極GE1,GE2の側壁上にサイドウォール(側壁絶縁膜)SWを形成してから、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)にn型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成し、また、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)にp型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。本実施の形態でのサイドウォールSW、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0144】
次に、上記実施の形態1と同様に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0145】
その後、図32に示されるように、上記実施の形態1と同様に、ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面にそれぞれ金属シリサイド層12を形成し、半導体基板1の主面上にゲート電極GE1,GE2を覆うように絶縁膜21を形成し、絶縁膜21上に絶縁膜22を形成し、絶縁膜22,21にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。それから、上記実施の形態1と同様に、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および絶縁膜26を順に形成し、絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25に配線溝27を形成し、配線溝27の底部および側壁上を含む絶縁膜26上にバリア導体膜28を形成し、配線溝27を銅の主導体膜29で埋め込んで配線M1を形成する。
【0146】
次に、本実施の形態の効果について、より詳細に説明する。
【0147】
上記実施の形態1,2では、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された拡散防止領域10a,10bまたは半導体層1bを形成することで、チャネル領域への点欠陥の拡散を防止し、それによって、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制して、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物の再配置(拡散)を抑制していた。
【0148】
それに対して、本実施の形態では、チャネルドープイオン注入の工程順を工夫することで、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物の再配置(拡散)を抑制している。
【0149】
ゲート絶縁膜用の絶縁膜5を熱酸化で形成すると、熱酸化時の加熱温度が例えば700〜900℃程度と高いため、本実施の形態とは異なり、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成前にチャネルドープイオン注入を行なった場合には、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成時の加熱(ゲート酸化時の加熱)により再配置(拡散)しやすい。
【0150】
そこで、本実施の形態では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成した後で、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aおよびpMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bを行なってチャネルドープ層4a,4bを形成している。ゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成した後にチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なうことで、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bでチャネル領域に導入された不純物が、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成時の加熱(ゲート酸化時の加熱)により再配置(拡散)することがない。すなわち、たとえゲート絶縁膜用の絶縁膜5を熱酸化で形成することで半導体基板1が高温に加熱されても、その段階ではチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bが行なわれていないため、その後のチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bでチャネル領域に導入された不純物が、熱酸化(ゲート酸化)時の加熱で再配置(拡散)することはない。これにより、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制することができるので、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0151】
また、本実施の形態では、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成後、更にシリコン膜6aを形成した後に、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aおよびpMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bを行なってチャネルドープ層4a,4bを形成している。ゲート絶縁膜用の絶縁膜5がシリコン膜6aで覆われた状態(すなわち絶縁膜5が露出していない状態)でチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なうため、チャネルドープイオン注入によってゲート絶縁膜用の絶縁膜5がダメージを受けるのを防止することができる。これにより、ゲート絶縁膜5a,5bの信頼性を向上することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0152】
また、ゲート電極の高さに相当する厚い導体膜(ゲート電極用の導体膜)を半導体基板の全面に形成した状態でチャネルドープイオン注入を行なった場合、ゲート電極用の導体膜が厚いことにより、半導体基板へのチャネルドープが的確に行えない虞がある。それに対して、本実施の形態では、シリコン膜6aが形成された状態でチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行ない、その後シリコン膜6a上にシリコン膜6bを形成して、この積層膜をパターニングすることで、ゲート電極GE1,GE2を形成している。このため、ゲート電極GE1,GE2の高さよりも、シリコン膜6aの厚みt1を薄くすることができる。従って、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なう際の、シリコン膜6aの厚みt1を薄くすることができ、半導体基板へのチャネルドープを的確に行うことができる。
【0153】
また、シリコン膜6aの厚み(堆積膜厚)t1が、シリコン膜6bの厚み(堆積膜厚)t2よりも薄いことが好ましい(すなわちt1<t2)。すなわち、ゲート電極GE1,GE2の高さは、シリコン膜6aの厚みt1とシリコン膜6bの厚みt2とを足したもの(すなわちt1+t2)に相当するが、シリコン膜6aの厚み(堆積膜厚)t1を、ゲート電極GE1,GE2の高さの半分以下にすることが好ましい。これにより、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なう際のシリコン膜6aの厚みt1を薄くすることができるため、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bをより的確に行うことができる。
【0154】
また、本実施の形態は、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5の形成後にチャネルドープイオン注入を行なうことで、チャネル領域の不純物に対する絶縁膜5形成時の加熱の影響を防止しているため、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成時の温度が高い場合に適用すれば、効果が大きい。このため、本実施の形態は、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5を熱酸化法で形成する場合に適用すれば、効果が極めて大きい。
【0155】
また、本実施の形態3は、上記実施の形態1,2と組み合わせることもできる。すなわち、本実施の形態3において、上記実施の形態1と同様に拡散防止領域10a,10bを形成することもでき、この場合も、拡散防止領域10a,10bの構成と形成法については、上記実施の形態1と同様である。また、本実施の形態3において、上記実施の形態2と同様の半導体基板SUB1(すなわち半導体基板1a上に半導体層1bを形成したもの)を用いることもできる。この場合、本実施の形態において、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのチャネル領域、p型ウエルPW、n型ウエルNW、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bは、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層1bに形成されることになる。これにより、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5形成後にチャネルドープイオン注入を行なうことによる、チャネルドープ不純物の再配置(拡散)抑制効果と、拡散防止領域10a,10bまたは半導体層1bを設けたことでチャネル領域への点欠陥の拡散を防止したことによる、チャネルドープ不純物の再配置(拡散)抑制効果との両方を得ることができる。従って、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきをより的確に抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきをより的確に抑制することができ、半導体装置の性能を更に向上させることができる。
【0156】
(実施の形態4)
本実施の形態4の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図33〜図39は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0157】
本実施の形態では、図33に示されるように、上記実施の形態1と同様に、まず、半導体基板(半導体ウエハ)1を準備し、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。
【0158】
次に、上記実施の形態1と同様に、絶縁膜3を半導体基板1の表面に形成してから、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜RP1aを形成する。
【0159】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、半導体基板1の上層部分に、後で形成されるnチャネル型MISFETQnのしきい値調整用のイオン注入(すなわちチャネルドープイオン注入)IM1aを行なう。なお、図34では、このチャネルドープイオン注入IM1aを矢印で模式的に示してある。しきい値調整用のイオン注入IM1a、すなわちチャネルドープイオン注入IM1aでは、nチャネル型MISFETQnのチャネル領域を含む領域に、不純物(不純物イオン)が導入(イオン注入)されて、チャネルドープ層4aが形成されるため、このチャネルドープ層4aは、後でnチャネル型MISFETQnのチャネル領域となる領域を含んでいる。
【0160】
本実施の形態において、このnMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aによってチャネルドープ層4aに導入される元素(不純物)は、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方を用い、これに更にホウ素(B)を組み合わせることもできる。すなわち、本実施の形態でnMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入工程でイオン注入する元素(不純物)は、インジウム(In)か、ガリウム(Ga)か、インジウム(In)とガリウム(Ga)か、ホウ素(B)とインジウム(In)か、ホウ素(B)とガリウム(Ga)か、あるいはホウ素(B)とインジウム(In)とガリウム(Ga)である。なお、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aでは、pMIS形成領域1Bを覆うフォトレジスト膜RP1aは、イオン注入阻止マスクとして機能するので、pMIS形成領域1Bの半導体基板1には、イオン注入されない。
【0161】
次に、nMIS形成領域1Aにおいて、上記実施の形態1と同様にして、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエルPWを形成する。本実施の形態でのp型ウエルPWの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0162】
次に、図35に示されるように、アッシングなどによりフォトレジスト膜RP1aを除去してから、上記実施の形態1と同様に、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜RP1bを形成する。
【0163】
次に、pMIS形成領域1Bにおいて、半導体基板1の上層部分に、後で形成されるpチャネル型MISFETQpのしきい値調整用のイオン注入(すなわちチャネルドープイオン注入)IM1bを行なう。なお、図35では、このチャネルドープイオン注入IM1bを矢印で模式的に示してある。このしきい値調整用のイオン注入IM1b、すなわちチャネルドープイオン注入IM1bでは、pチャネル型MISFETQpのチャネル領域を含む領域に、不純物(不純物イオン)が導入(イオン注入)されて、チャネルドープ層4bが形成されるため、このチャネルドープ層4bは、後でpチャネル型MISFETQpのチャネル領域となる領域を含んでいる。
【0164】
本実施の形態において、このpMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bによってチャネルドープ層4bに導入される元素(不純物)は、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方を用い、これに更にリン(P)を組み合わせることもできる。すなわち、本実施の形態でpMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入工程でイオン注入する元素(不純物)は、ヒ素(As)か、アンチモン(Sb)か、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)か、リン(P)とヒ素(As)か、リン(P)とアンチモン(Sb)か、あるいはリン(P)とヒ素(As)とアンチモン(Sb)かである。なお、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bでは、nMIS形成領域1Aを覆うフォトレジスト膜RP1aは、イオン注入阻止マスクとして機能するので、nMIS形成領域1Aの半導体基板1には、イオン注入されない。
【0165】
次に、pMIS形成領域1Bにおいて、上記実施の形態1と同様にして、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってn型ウエルNWを形成する。本実施の形態でのn型ウエルNWの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0166】
以降の工程は、拡散防止領域10a,10b形成工程(イオン注入IM5a,IM5b)を省略すること以外は、上記実施の形態1と同様である。
【0167】
すなわち、図36に示されるように、フォトレジスト膜RP1bを除去してから、上記絶縁膜3を除去して半導体基板1の表面を清浄化した後、nMIS形成領域1AおよびpMIS形成領域1Bの半導体基板1の表面(p型ウエルPWおよびn型ウエルNWの表面)上にゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成し、絶縁膜5上にゲート電極GE1,GE2を形成する。それから、図37に示されるように、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)に、エクステンション領域7aおよびハロー領域8aを形成し、また、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)に、エクステンション領域7bおよびハロー領域8bを形成する。本実施の形態での絶縁膜5、ゲート電極GE1,GE2、エクステンション領域7a,7bおよびハロー領域8a,8bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0168】
次に、図38に示されるように、ゲート電極GE1,GE2の側壁上にサイドウォール(側壁絶縁膜)SWを形成してから、nMIS形成領域1Aの半導体基板1(p型ウエルPW)にn型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成し、また、pMIS形成領域1Bの半導体基板1(n型ウエルNW)にp型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。本実施の形態でのサイドウォールSW、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0169】
次に、上記実施の形態1と同様に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0170】
その後、図39に示されるように、上記実施の形態1と同様に、ゲート電極GE1,GE2、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面にそれぞれ金属シリサイド層12を形成し、半導体基板1の主面上にゲート電極GE1,GE2を覆うように絶縁膜21を形成し、絶縁膜21上に絶縁膜22を形成し、絶縁膜22,21にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。それから、上記実施の形態1と同様に、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および絶縁膜26を順に形成し、絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25に配線溝27を形成し、配線溝27の底部および側壁上を含む絶縁膜26上にバリア導体膜28を形成し、配線溝27を銅の主導体膜29で埋め込んで配線M1を形成する。
【0171】
次に、本実施の形態の効果について、より詳細に説明する。
【0172】
上記実施の形態1〜3では、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bで導入された不純物が、イオン注入後に拡散されにくいように工夫していた。それに対して、本実施の形態では、チャネルドープイオン注入後に拡散されにくいような元素(不純物)を、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bで注入している。
【0173】
すなわち、イオン注入された元素(不純物)は、原子番号が大きい元素ほど(すなわち重い元素ほど)、イオン注入後の加熱によって移動(拡散)しにくく、イオン打ち込みで配置された位置に留まりやすい。このため、原子番号が小さな軽い不純物元素をイオン注入した場合、注入直後の段階では、注入された不純物元素はランダムに配置されていても、その後の種々の加熱工程で不純物元素が拡散(移動)して、不純物元素の配置のランダム性が低下しやすいのに比べて、原子番号が大きな重い不純物元素をイオン注入した場合、注入直後の不純物元素のランダムな配置は、その後の種々の加熱工程を経ても維持されやすい。
【0174】
そこで、本実施の形態では、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bに、原子番号が大きい元素(すなわち重い元素)を用いる。
【0175】
nMIS形成領域1A(nチャネル型MISFETQn)について具体的に説明すると、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aに用いる元素(すなわちチャネルドープイオン注入IM1aでチャネルドープ層4aに導入される不純物元素)として、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方を用いる。インジウム(In)およびガリウム(Ga)は、ホウ素(B)と同様にp型の不純物として機能できるが、ホウ素(B)よりも原子番号が大きく重いため、ホウ素(B)に比べて、注入後の加熱によって移動(拡散)されにくい。このため、チャネルドープイオン注入IM1aでチャネルドープ層4aに導入された不純物(ここではインジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方)は、注入直後の不純物元素のランダムな配置が、その後の種々の加熱工程を経ても維持されやすい。これにより、チャネルドープイオン注入IM1aでnチャネル型MISFETQnのチャネル領域(チャネルドープ層4a)に導入された不純物(ここではインジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方)が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制または防止することができるので、nチャネル型MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制することができる。従って、nチャネル型MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0176】
また、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aに用いる元素(すなわちチャネルドープイオン注入IM1aでチャネルドープ層4aに導入される不純物元素)としては、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方を用いることがより好ましいが、これに更にホウ素(B)を組み合わせることもできる。この場合、注入したホウ素(B)は、注入後の加熱により拡散(移動)してランダム配置が崩れても、注入したインジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方は、注入後の加熱を経てもランダム配置を維持しやすいため、チャネルドープイオン注入にホウ素(B)のみを用いた場合に比べて、nチャネル型MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制することができる。このため、チャネルドープイオン注入にホウ素(B)のみを用いた場合に比べて、nチャネル型MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0177】
また、pMIS形成領域1B(pチャネル型MISFETQp)について具体的に説明すると、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bに用いる元素(すなわちチャネルドープイオン注入IM1bでチャネルドープ層4bに導入される不純物元素)として、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方を用いる。ヒ素(As)およびアンチモン(Sb)は、リン(P)と同様にn型の不純物として機能できるが、リン(P)よりも原子番号が大きく重いため、リン(P)に比べて、注入後の加熱によって移動(拡散)されにくい。このため、チャネルドープイオン注入IM1bでチャネルドープ層4bに導入された不純物(ここではヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方)は、注入直後の不純物元素のランダムな配置が、その後の種々の加熱工程を経ても維持されやすい。これにより、チャネルドープイオン注入IM1bでpチャネル型MISFETQpのチャネル領域(チャネルドープ層4b)に導入された不純物(ここではヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方)が、その後の加熱工程の際に再配置(拡散)されるのを抑制または防止することができるので、pチャネル型MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制することができる。従って、pチャネル型MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0178】
また、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bに用いる元素(すなわちチャネルドープイオン注入IM1bでチャネルドープ層4bに導入される不純物元素)としては、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方を用いることがより好ましいが、これに更にリン(P)を組み合わせることもできる。この場合、注入したリン(P)は、注入後の加熱により拡散(移動)してランダム配置が崩れても、注入したヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方は、注入後の加熱を経てもランダム配置を維持しやすいため、チャネルドープイオン注入にリン(P)のみを用いた場合に比べて、pチャネル型MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制することができる。このため、チャネルドープイオン注入にリン(P)のみを用いた場合に比べて、pチャネル型MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0179】
上記実施の形態1,2,3のそれぞれにおいて、あるいはそれらを組み合わせたものにおいても、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bに用いる不純物元素の種類を、本実施の形態4と同様とすることもできる。
【0180】
例えば、上記実施の形態1において、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aに、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、あるいはこれに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用い、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bに、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、あるいはこれに更にリン(P)を組み合わせたものを用いることができる。これにより、本実施の形態4と同様の不純物元素をチャネルドープイオン注入IM1a,IM1bで注入したことにより、注入された不純物元素自身が、注入後の加熱により移動(拡散)しにくくなり、更に上記実施の形態1のように拡散防止領域10a,10bを形成したことにより、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制してチャネル領域で不純物元素が点欠陥を介して移動(拡散)しにくくすることができる。
【0181】
また、上記実施の形態2において、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aに、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、あるいはこれに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用い、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bに、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、あるいはこれに更にリン(P)を組み合わせたものを用いることができる。これにより、本実施の形態4と同様の不純物元素をチャネルドープイオン注入で注入したことにより、注入された不純物元素自身が、注入後の加熱により移動(拡散)しにくくなる。更に上記実施の形態2のように炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体層1bにnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを形成したことにより、チャネル領域における点欠陥の密度を抑制してチャネル領域で不純物元素が点欠陥を介して移動(拡散)しにくくすることができる。
【0182】
また、上記実施の形態3において、nMIS形成領域1Aへのチャネルドープイオン注入IM1aに、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、あるいはこれに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用い、pMIS形成領域1Bへのチャネルドープイオン注入IM1bに、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、あるいはこれに更にリン(P)を組み合わせたものを用いることができる。これにより、本実施の形態4と同様の不純物元素をチャネルドープイオン注入で注入したことにより、注入された不純物元素自身が、注入後の加熱により移動(拡散)しにくくなり、更に上記実施の形態3のように、ゲート絶縁膜用の絶縁膜5を形成した後にチャネルドープイオン注入を行なうことで、チャネルドープイオン注入後の加熱工程(ゲート酸化工程)を削減できる。
【0183】
また、例えば、上記実施の形態1と上記実施の形態3とを組み合わせたものにおいて、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bに用いる不純物元素の種類を、本実施の形態4と同様とすることもでき、また、上記実施の形態2と上記実施の形態3とを組み合わせたものにおいて、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bに用いる不純物元素の種類を、本実施の形態4と同様とすることもできる。
【0184】
このように、上記実施の形態1,2,3のそれぞれにおいて、あるいはそれらを組み合わせたものにおいて、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bに用いる不純物元素の種類を、本実施の形態4と同様とすることで、チャネルドープイオン注入でチャネル領域に導入された不純物の、注入直後のランダム配置を、注入後も更に的確に維持することができる。このため、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきをより的確に抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきをより的確に抑制することができ、半導体装置の性能をより的確に向上させることができる。
【0185】
(実施の形態5)
図40は、上記実施の形態1〜4またはそれらを組み合わせた製造工程により製造された半導体装置(半導体チップ)SM1の一例を示す平面図である。
【0186】
本実施の形態の半導体装置SM1は、SRAM(Static Random Access Memory)などのメモリセルアレイが形成されたメモリ領域(メモリ回路領域、メモリセルアレイ領域、SRAM領域)31と、メモリ以外の回路(周辺回路)が形成された周辺回路領域32とを有している。周辺回路領域32は、例えば、アナログ回路が形成されたアナログ回路領域や、制御回路が形成されたCPU領域などを含んでいる。メモリ領域31と周辺回路領域32との間や、周辺回路領域32同士の間は、半導体装置SM1の内部配線層を介して必要に応じて電気的に接続されている。また、半導体装置SM1の主面(表面)の周辺部には、半導体装置SM1の主面の四辺に沿って複数のパッド電極PDが形成されている。各パッド電極PDは、半導体装置SM1の内部配線層を介してメモリ領域31や周辺回路領域32などに電気的に接続されている。
【0187】
本実施の形態では、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態1〜4の製造技術のいずれか、またはその組み合わせを用いることができる。ここで、上記実施の形態1の製造技術とは、上記拡散防止領域10a,10bを設けることに対応する。上記実施の形態2の製造技術とは、上記半導体層1bを設けてそこにMISFETを形成することに対応する。上記実施の形態3の製造技術とは、ゲート絶縁膜用の上記絶縁膜5および上記シリコン膜6aの形成後に上記チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bを行なってからシリコン膜6a上に上記シリコン膜6bを形成し、この積層膜(シリコン膜6a,6b)をパターニングしてゲート電極を形成することに対応する。上記実施の形態4の製造技術とは、チャネルドープイオン注入IM1a,IM1bで注入する元素の種類を上記実施の形態4のように選択することに対応する。
【0188】
半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態3の製造技術を適用する場合は、半導体装置SM1(半導体基板1)における全ての領域(メモリ領域31および周辺回路領域32の全て)のMISFETに対して適用することが好ましく、これにより、半導体装置の製造工程を簡略化できる。
【0189】
一方、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用する場合は、半導体装置SM1における全ての領域(メモリ領域31および周辺回路領域32の全て)に対して適用するのではなく、メモリ領域31について適用するが、周辺回路領域32については、適用する周辺回路領域32aと適用しない周辺回路領域32bとを混在させる。適用しない周辺回路領域32bは、例えば、上記アナログ回路領域やCPU領域である。なお、図40は平面図であるが、理解を簡単にするために、上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用するメモリ領域31および周辺回路領域32aにハッチングを付してある。
【0190】
まず、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態1の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31と周辺回路領域32aにおいては、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する際に、上記拡散防止領域10a,10bに対応するものを形成する。それに対して、周辺回路領域32bにおいては、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する際に、上記拡散防止領域10a,10bに対応するものを形成しない。
【0191】
次に、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31と周辺回路領域32aにおいては、上記半導体層1bに相当する領域(炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層)をイオン注入で形成しておき、そこにnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。それに対して、周辺回路領域32bにおいては、上記半導体層1bに相当する領域を形成せずに、基板領域(炭素、窒素またはフッ素が導入されていない半導体基板領域)にnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。
【0192】
次に、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態4の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31と周辺回路領域32aにおいては、nチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、上記実施の形態4においてnMIS形成領域1Aに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1aと同種の元素を用い、pチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、上記実施の形態4においてpMIS形成領域1Bに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1bと同種の元素を用いる。それに対して、周辺回路領域32aにおいては、nチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、ホウ素(B)のみを用い、pチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、リン(P)のみを用いる。
【0193】
一例として、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用して半導体装置SM1を製造する場合について、以下で図41〜図47を参照して具体的に説明する。この場合、メモリ領域31と周辺回路領域32aについては、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用するが、周辺回路領域32bについては、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用しない。
【0194】
図41〜図47は、本実施の形態の半導体装置SM1の製造工程中の要部断面図であり、上記実施の形態1と上記実施の形態4を適用して半導体装置SM1を製造する場合の要部断面図が示されている。
【0195】
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、まず、半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。図41には、半導体基板1のうち、メモリ領域31の一部と周辺回路領域32aの一部と周辺回路領域32bの一部とが示されている。
【0196】
メモリ領域31のうち、図41には、メモリ(メモリセル)を構成するnチャネル型MISFETが形成される領域であるメモリnMIS形成領域1Cと、メモリ(メモリセル)を構成するpチャネル型MISFETが形成される領域であるメモリpMIS形成領域1Dとが示されている。
【0197】
また、周辺回路領域32には、耐圧が異なるMISFETが形成される。このため、図41には、周辺回路領域32aにおいて低耐圧のnチャネル型MISFETが形成される領域である低耐圧nMIS形成領域1L1が示されている。また、図41には、周辺回路領域32bにおいて低耐圧のnチャネル型MISFETが形成される領域である低耐圧nMIS形成領域1L2と高耐圧のnチャネル型MISFETが形成される領域である高耐圧nMIS形成領域1Hとが示されている。
【0198】
半導体装置SM1を製造するには、図41に示されるように、まず、上記実施の形態1と同様に半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。
【0199】
次に、上記実施の形態1と同様の絶縁膜3を半導体基板1の表面に形成してから、図42に示されるように、メモリnMIS形成領域1Cにp型ウエルPW1を、メモリpMIS形成領域1Dにn型ウエルNW1を、低耐圧nMIS形成領域1L1にp型ウエルPW2を、低耐圧nMIS形成領域1L2にp型ウエルPW3を、高耐圧nMIS形成領域1Hにp型ウエルPW4を、それぞれ形成する。p型ウエルPW1,PW2,PW3,PW4およびn型ウエルNW1は、それぞれフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いたイオン注入によって形成することができる。p型ウエルPW1を形成するためのイオン注入とp型ウエルPW2を形成するためのイオン注入とp型ウエルPW3を形成するためのイオン注入とp型ウエルPW4を形成するためのイオン注入とは、同じイオン注入工程で行なえば工程数を低減できるが、異なるイオン注入工程として行なってもよい。
【0200】
次に、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L1、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hに、それぞれチャネルドープイオン注入(そこに形成されるMISFETのしきい値調整用のイオン注入)IM1c,IM1d,IM1e,IM1f,IM1gを行う。なお、図42では、チャネルドープイオン注入IM1c,IM1d,IM1e,IM1f,IM1gを矢印で模式的に示してある。
【0201】
チャネルドープイオン注入IM1cによって、メモリnMIS形成領域1Cの半導体基板1(p型ウエルPW1)の上層部分にチャネルドープ層4cが形成される。また、チャネルドープイオン注入IM1dによって、メモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1(n型ウエルNW1)の上層部分にチャネルドープ層4dが形成される。また、チャネルドープイオン注入IM1eによって、低耐圧nMIS形成領域1L1の半導体基板1(p型ウエルPW2)の上層部分にチャネルドープ層4eが形成される。また、チャネルドープイオン注入IM1fによって、低耐圧nMIS形成領域1L2の半導体基板1(p型ウエルPW3)の上層部分にチャネルドープ層4fが形成される。また、チャネルドープイオン注入IM1gによって、高耐圧nMIS形成領域1Hの半導体基板1(p型ウエルPW4)の上層部分にチャネルドープ層4gが形成される。チャネルドープ層4c,4d,4e,4f,4gは、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L1、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hに形成される各MISFETのチャネル領域となる領域を含んでいる。
【0202】
本実施の形態では、メモリnMIS形成領域1Cへのチャネルドープイオン注入IM1cおよび低耐圧nMIS形成領域1L1へのチャネルドープイオン注入IM1eにおいては、上記実施の形態4においてnMIS形成領域1Aに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1aと同種の元素(不純物元素)をイオン注入する。すなわち、メモリnMIS形成領域1Cおよび低耐圧nMIS形成領域1L1へのチャネルドープイオン注入IM1c,IM1eで注入する元素(不純物元素)として、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、あるいはこれに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用いる。
【0203】
また、メモリpMIS形成領域1Dへのチャネルドープイオン注入IM1dにおいては、上記実施の形態4においてpMIS形成領域1Bに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1bと同種の元素(不純物元素)をイオン注入する。すなわち、メモリpMIS形成領域1Dへのチャネルドープイオン注入IM1dで注入する元素(不純物元素)として、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、あるいはこれに更にリン(P)を組み合わせたものを用いる。
【0204】
一方、低耐圧nMIS形成領域1L2へのチャネルドープイオン注入IM1fおよび高耐圧nMIS形成領域1Hへのチャネルドープイオン注入IM1gおいては、上記実施の形態4とは異なり、ホウ素(B)のみをイオン注入する。すなわち、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hへのチャネルドープイオン注入IM1f,IM1gで注入する元素(不純物元素)として、ホウ素(B)のみを用いる。また、図42には示されていないが、周辺回路領域32bにおいて、pチャネル型MISFETを形成する領域にn型不純物をチャネルドープイオン注入する場合は、注入する元素(不純物元素)として、リン(P)のみを用いる。
【0205】
なお、メモリnMIS形成領域1Cへのチャネルドープイオン注入IM1cを行なう際には、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、メモリpMIS形成領域1Dへのチャネルドープイオン注入IM1dを行なう際には、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、低耐圧nMIS形成領域1L1へのチャネルドープイオン注入IM1eを行う際には、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、低耐圧nMIS形成領域1L2へのチャネルドープイオン注入IM1fを行う際には、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L1および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、高耐圧nMIS形成領域1Hへのチャネルドープイオン注入IM1gを行う際には、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1Dおよび低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2を覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。
【0206】
また、メモリnMIS形成領域1Cにおけるチャネルドープイオン注入IM1cのドープ量と低耐圧nMIS形成領域1L1におけるチャネルドープイオン注入IM1eのドープ量が同じでよい場合は、メモリnMIS形成領域1Cに対するチャネルドープイオン注入IM1cと低耐圧nMIS形成領域1L1に対するチャネルドープイオン注入IM1eとを、同じイオン注入工程で行なうこともできる。また、低耐圧nMIS形成領域1L2におけるチャネルドープイオン注入IM1fのドープ量と高耐圧nMIS形成領域1Hにおけるチャネルドープイオン注入IM1gのドープ量が同じでよい場合は、低耐圧nMIS形成領域1L2に対するチャネルドープイオン注入IM1fと高耐圧nMIS形成領域1Hに対するチャネルドープイオン注入IM1gとを、同じイオン注入工程で行なうこともできる。
【0207】
次に、絶縁膜3を除去して半導体基板1の表面を清浄化した後、図43に示されるように、メモリnMIS形成領域1CおよびメモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1上にメモリ用のゲート絶縁膜5cを、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2の半導体基板1上に低耐圧用のゲート絶縁膜5dを、高耐圧nMIS形成領域1Hの半導体基板1上に高耐圧用のゲート絶縁膜5eを、それぞれ形成する。高耐圧用のゲート絶縁膜5eは、メモリ用のゲート絶縁膜5cおよび低耐圧用のゲート絶縁膜5dよりも厚く、耐圧が高い。
【0208】
膜厚の異なるゲート絶縁膜5c,5d,5eは、例えば次のようにして形成することができる。
【0209】
すなわち、半導体基板1の主面全体にゲート絶縁膜5e用の絶縁膜を熱酸化およびCVDなどで形成してから、エッチングによりメモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1Dおよび低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2で、この絶縁膜を除去し、高耐圧nMIS形成領域1Hにこの絶縁膜を残す。それから、熱酸化により半導体基板の主面に酸化シリコン膜を形成する。これにより、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1Dおよび低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2の半導体基板1上に薄い酸化シリコン膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜5c,5dが形成されるとともに、高耐圧nMIS形成領域1Hでゲート絶縁膜5e用の絶縁膜の厚みが厚くなって、厚いゲート絶縁膜5eとなる。ゲート絶縁膜5cをゲート絶縁膜5dよりも薄くする必要がある場合は、メモリnMIS形成領域1CおよびメモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1の表面の酸化シリコン膜をエッチングにより除去してから、再度熱酸化により半導体基板の主面に酸化シリコン膜を形成すればよい。
【0210】
高耐圧用のゲート絶縁膜5eは、メモリ用のゲート絶縁膜5cおよび低耐圧用のゲート絶縁膜5dよりも厚いので、高耐圧nMIS形成領域1Hに形成されるMISFETの耐圧は、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1Dおよび低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2に形成されるMISFETの耐圧よりも高くなる。
【0211】
次に、半導体基板1の主面全面上に、ゲート電極形成用の導電体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜を形成し、このシリコン膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、図44に示されるように、ゲート電極GE3,GE4,GE5,GE6,GE7を形成する。なお、図44および後述の図45〜図47においては、図面を見やすくするために、チャネルドープ層4c,4d,4e,4f,4gの図示を省略している。
【0212】
ゲート電極GE3は、メモリnMIS形成領域1Cにおいて、p型ウエルPW1上にゲート絶縁膜5cを介して形成される。また、ゲート電極GE4は、メモリpMIS形成領域1Dにおいて、n型ウエルNW1上にゲート絶縁膜5cを介して形成される。また、ゲート電極GE5は、低耐圧nMIS形成領域1L1において、p型ウエルPW2上にゲート絶縁膜5dを介して形成される。また、ゲート電極GE6は、低耐圧nMIS形成領域1L2において、p型ウエルPW3上にゲート絶縁膜5dを介して形成される。また、ゲート電極GE7は、高耐圧nMIS形成領域1Hにおいて、p型ウエルPW4上にゲート絶縁膜5eを介して形成される。
【0213】
次に、図45に示されるように、メモリnMIS形成領域1Cおよび低耐圧nMIS形成領域1L1の半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2)に、上記実施の形態1と同様に、イオン注入によりエクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aを形成する。また、メモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1(n型ウエルNW1)に、上記実施の形態1と同様に、イオン注入によりエクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bを形成する。また、低耐圧nMIS形成領域1L2の半導体基板1(p型ウエルPW3)に、イオン注入によりエクステンション領域7aおよびハロー領域8aを形成するが、上記拡散防止領域10aに対応するものは低耐圧nMIS形成領域1L2には形成しない。なお、図面の簡略化のために、図45においては、ハロー領域8a,8bの図示を省略している。
【0214】
本実施の形態では、上記ゲート電極GE1がゲート電極GE3,GE5となり、上記p型ウエルPWがp型ウエルPW1,PW2となっていること以外は、メモリnMIS形成領域1Cおよび低耐圧nMIS形成領域1L1におけるエクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。また、本実施の形態では、上記ゲート電極GE2がゲート電極GE4となり、上記n型ウエルNWがn型ウエルNW1となっていること以外は、メモリpMIS形成領域1Dにおけるエクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。また、低耐圧nMIS形成領域1L2では上記拡散防止領域10aに対応するものを形成しないこと以外は、低耐圧nMIS形成領域1L2におけるエクステンション領域7aおよびハロー領域8aの形成法と構成については、低耐圧nMIS形成領域1L1におけるエクステンション領域7aおよびハロー領域8aと同様である。
【0215】
なお、メモリnMIS形成領域1Cおよび低耐圧nMIS形成領域1L1にエクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aを形成する際には、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、メモリpMIS形成領域1Dにエクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bを形成する際には、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、低耐圧nMIS形成領域1L2にエクステンション領域7aおよびハロー領域8aを形成する際には、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1Dおよび低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2を覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。
【0216】
次に、図46に示されるように、上記実施の形態1と同様に、ゲート電極GE3,GE4,GE5,GE6,GE7の側壁上にサイドウォール(側壁絶縁膜)SWを形成する。
【0217】
次に、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hの半導体基板1(p型ウエルPW1,PW2,PW3,PW4)に、上記実施の形態1と同様にイオン注入によりn型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成する。また、メモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1(n型ウエルNW1)に、上記実施の形態1と同様にイオン注入によりp型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。本実施の形態でのn型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの形成法と構成については、上記実施の形態1と同様である。
【0218】
なお、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hにn型半導体領域11aを形成する際には、メモリpMIS形成領域1Dを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。また、メモリpMIS形成領域1Dにp型半導体領域11bを形成する際には、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L1,1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hを覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。
【0219】
次に、上記実施の形態1と同様に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0220】
以降の工程は、上記実施の形態1とほぼ同様である。すなわち、図47に示されるように、上記実施の形態1と同様に、ゲート電極GE3〜GE7、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面にそれぞれ金属シリサイド層12を形成し、半導体基板1の主面上にゲート電極GE3〜GE7を覆うように絶縁膜21を形成し、絶縁膜21上に絶縁膜22を形成する。なお、図47では、図面の簡略化のために、絶縁膜21の図示を省略し、絶縁膜21を絶縁膜22に含めて図示している。それから、絶縁膜22,21にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。それから、上記実施の形態1と同様に、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および絶縁膜26を順に形成し、絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25に配線溝27を形成し、配線溝27内に配線M1を形成する。なお、図47では、図面の簡略化のために、ストッパ絶縁膜25の図示を省略し、ストッパ絶縁膜25を絶縁膜26に含めて図示している。
【0221】
次に、メモリ領域31および周辺回路領域32aで上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用し、周辺回路領域32bで上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用しなかった理由について説明する。
【0222】
メモリ領域31では、メモリセルを構成するMISFETが多数配列しているため、各MISFETの寸法を縮小することが望まれる。しかしながら、上述したしきい値調整用のチャネルドープイオン注入で注入された不純物が、その後の加熱工程で再配置(拡散)されることによる影響(しきい値電圧の変動)は、MISFETを微細化してゲート長(チャネル長)が短くなるほど大きくなる。これは、チャネルドープ不純物の拡散量(注入直後の位置からの移動量)のチャネル長に対する比率は、拡散量が同じであってもゲート長(チャネル長)が短くなるほど大きくなり、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)の変動量(ばらつき)を大きくするように作用するためである。このため、微細化してゲート長を短くしたMISFETでは、チャネルドープイオン注入で注入された不純物が、その後の加熱工程で再配置(拡散)されることによる影響(しきい値電圧への影響)を抑制することが、極めて重要である。また、メモリ領域31以外の周辺回路領域32においても、微細化してゲート長を短くしたMISFETが形成されている周辺回路領域32aでは、チャネルドープイオン注入で注入された不純物が、その後の加熱工程で再配置(拡散)されることによる影響(しきい値電圧への影響)を抑制することが、極めて重要である。また、メモリ領域31の各MISFET(メモリセルを構成するMISFET)のしきい値電圧のばらつきを低減させることは、メモリを動作させる上で、極めて重要である。
【0223】
そこで、本実施の形態では、ゲート長が短いMISFETが形成されているメモリ領域31および周辺回路領域32aでは、上記実施の形態4の製造技術を適用する。すなわち、メモリ領域31および周辺回路領域32aでは、p型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、これに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用い、n型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、これに更にリン(P)を組み合わせたものを用いる。また、本実施の形態では、ゲート長が短いMISFETが形成されているメモリ領域31および周辺回路領域32aでは、上記実施の形態1の製造技術を適用し、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上をイオン注入して拡散防止領域10a,10bを形成している。
【0224】
これにより、ゲート長が短いMISFETが形成されているメモリ領域31及び周辺回路領域32aにおいて、本実施の形態4と同様の不純物元素をチャネルドープイオン注入したことにより、注入された不純物自身が移動(拡散)しにくくなり、更に上記実施の形態1のように拡散防止領域10a,10bを形成したことにより、チャネル領域の点欠陥の密度を抑制してチャネル領域で不純物が点欠陥を介して移動(拡散)しにくくなる。従って、チャネルドープされた不純物が、その後の加熱工程で再配置(拡散)されることによる影響を受けやすいメモリ領域31および周辺回路領域32aにおいて、チャネルドープされた不純物の、注入直後のランダム配置を、注入後も的確に維持できるため、MISFET毎のチャネル領域の状態(不純物分布)のばらつきを抑制して、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができる。このため、半導体装置SM1の性能を向上させることができる。
【0225】
一方、メモリ領域31や周辺回路領域32aのMISFETよりもゲート長が長いMISFETが形成されている周辺回路領域32bでは、チャネルドープされた不純物が、その後の加熱工程で再配置(拡散)されることによる影響(しきい値電圧への影響)は、メモリ領域31や周辺回路領域32bに比べて小さい。
【0226】
そこで、本実施の形態では、ゲート長が長いMISFETが形成されている周辺回路領域32bでは、上記実施の形態4の製造技術を適用せず、p型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、ホウ素(B)のみを用い、n型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、リン(P)のみを用いる。また、本実施の形態では、ゲート長が長いMISFETが形成されている周辺回路領域32bでは、上記実施の形態1の製造技術を適用せず、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上を導入した拡散防止領域10a,10bを形成していない。
【0227】
ホウ素(B)に比べて、インジウム(In)およびガリウム(Ga)は、拡散係数が小さく、イオン注入後の加熱により移動(拡散)しにくいが、活性化率は、インジウム(In)およびガリウム(Ga)に比べてホウ素(B)の方が大きい。また、リン(P)に比べて、ヒ素(As)およびアンチモン(Sb)は、拡散係数が小さく、イオン注入後の加熱により移動(拡散)しにくいが、活性化率は、ヒ素(As)およびアンチモン(Sb)に比べてリン(P)の方が大きい。
【0228】
このため、本実施の形態では、周辺回路領域32bにおいて、上記実施の形態4の製造技術を適用せず、p型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、ホウ素(B)のみを用い、n型不純物をチャネルドープイオン注入する場合には、リン(P)のみを用いたことにより、周辺回路領域32bにチャネルドープイオン注入した不純物の活性化率を高めることができる。不純物の活性化率を高めたことにより、MISFETの抵抗成分を低減することが可能になる。
【0229】
また、炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上がイオン注入された基板領域に比べて、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)が導入されていない基板領域の方が、n型不純物(例えばリンなど)またはp型不純物(例えばホウ素など)の活性化率を高めることができる。このため、本実施の形態では、周辺回路領域32bにおいて、上記実施の形態1の製造技術を適用せず、拡散防止領域10a,10bを形成しないことにより、周辺回路領域32bに導入したn型不純物(例えばリンなど)またはp型不純物(例えばホウ素など)の活性化率を高めることができるため、MISFETの抵抗成分を下げやすい。
【0230】
また、上記図41〜図47では、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態1,4の製造技術を適用した場合について説明したが、図48は、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用した場合の半導体装置SM1の製造工程中の要部断面図であり、上記図41に対応するものである。
【0231】
半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用する場合には、図48に示されるように、メモリ領域31と周辺回路領域32a(図40でハッチングが付されている領域)の全体にわたって、上記半導体層1bに相当する領域、すなわち炭素(C)、窒素(N)またはフッ素(F)のうちの1種以上が導入された半導体領域1b1を、イオン注入で形成する。この半導体領域1b1を形成するためのイオン注入(炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上のイオン注入)は、メモリ領域31および周辺回路領域32aにのみ行い、他の領域(特に周辺回路領域32b)には炭素、窒素およびフッ素のいずれもイオン注入されないようにする。これにより、周辺回路領域32bにおいては、上記半導体層1bに相当するこの半導体領域1b1は形成されず、周辺回路領域32b全体を炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のいずれも導入されていない半導体基板領域とすることができる。それ以外の工程は、上記図41〜図47で説明したのと同様であるので、ここではその詳しい説明は省略するが、メモリ領域31および周辺回路領域32aに半導体領域1b1を設けたことにより、メモリ領域31および周辺回路領域32aにおける上記拡散防止領域10a,10bの形成は省略することができる。また、メモリ領域31および周辺回路領域32aにおける上記p型ウエルPW1,PW2、n型ウエルNW1、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bは、半導体領域1b1内に形成されることになる。また、周辺回路領域32bにおける上記p型ウエルPW3,PW4、エクステンション領域7a,7b、ハロー領域8a,8b、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bは、半導体領域1b1ではなく、半導体基板1において、炭素、窒素およびフッ素のいずれも導入されていない基板領域に形成されることになる。
【0232】
このように、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用する場合には、メモリ領域31と周辺回路領域32aに、上記半導体層1bに相当する炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体領域1b1をイオン注入で形成しておき、この半導体領域1b1にnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。一方、周辺回路領域32bにおいては、上記半導体層1bに相当する半導体領域1b1を形成せずに、炭素、窒素およびフッ素のいずれも導入されていない半導体基板領域にnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。これにより、メモリ領域31および周辺回路領域32aにおいて、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができるとともに、周辺回路領域32bにおいては、イオン注入した不純物の活性化率を高めることができる。
【0233】
(実施の形態6)
図49は、上記実施の形態1〜4またはそれらを組み合わせた製造工程により製造された半導体装置(半導体チップ)SM1aの一例を示す平面図である。
【0234】
本実施の形態の半導体装置SM1aは、SRAMなどのメモリセルアレイが形成されたメモリ領域31と、メモリ以外の回路(周辺回路)が形成された周辺回路領域32とを有している。半導体装置SM1aには、メモリ領域31が主として形成されており、半導体装置SM1aは、いわゆるメモリチップであり、上記実施の形態5の半導体装置SM1のようにアナログ回路領域やCPU領域は有していない。メモリ領域31と周辺回路領域32との間は、半導体装置SM1aの内部配線層を介して必要に応じて電気的に接続されている。また、半導体装置SM1aの主面(表面)の周辺部には、半導体装置SM1aの主面の二辺に沿って複数のパッド電極PDが形成されている。各パッド電極PDは、半導体装置SM1aの内部配線層を介してメモリ領域31や周辺回路領域32などに電気的に接続されている。
【0235】
本実施の形態では、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態1〜4の製造技術のいずれか、またはその組み合わせを用いることができる。
【0236】
上記実施の形態5と同様、本実施の形態においても、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態3の製造技術を適用する場合は、半導体装置SM1aにおける全ての領域(メモリ領域31および周辺回路領域32の全て)のMISFETに対して適用することが好ましく、これにより、半導体装置の製造工程を簡略化できる。
【0237】
一方、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用する場合は、半導体装置SM1aにおける全ての領域(メモリ領域31および周辺回路領域32の全て)に対して適用するのではなく、メモリ領域31について適用するが、周辺回路領域32については適用しない。なお、図49は平面図であるが、理解を簡単にするために、上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用するメモリ領域31にハッチングを付してある。
【0238】
上記実施の形態5では、周辺回路領域32について、上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用する周辺回路領域32aと適用しない周辺回路領域32bとを混在させていたのに対して、本実施の形態では、周辺回路領域32については上記実施の形態1,2,4の製造技術(単独又は組合せ)を適用しない点が異なっている。
【0239】
まず、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態1の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31においては、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する際に、上記拡散防止領域10a,10bに対応するものを形成する。それに対して、周辺回路領域32においては、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する際に、上記拡散防止領域10a,10bに対応するものを形成しない。
【0240】
次に、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31においては、上記半導体層1bに相当する領域(炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層)をイオン注入で形成しておき、そこにnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。それに対して、周辺回路領域32においては、上記半導体層1bに相当する領域を形成せずに、基板領域(炭素、窒素またはフッ素が導入されていない基板領域)にnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。
【0241】
次に、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態4の製造技術を適用する場合について説明する。この場合、メモリ領域31においては、nチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、上記実施の形態4においてnMIS形成領域1Aに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1aと同種の元素を用い、pチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、上記実施の形態4においてpMIS形成領域1Bに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1bと同種の元素を用いる。それに対して、周辺回路領域32においては、nチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、ホウ素(B)のみを用い、pチャネル型MISFETのチャネルドープイオン注入には、リン(P)のみを用いる。
【0242】
一例として、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用して半導体装置SM1aを製造する場合について、以下で図50〜図55を参照して具体的に説明する。この場合、メモリ領域31については、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用するが、周辺回路領域32については、上記実施の形態1の製造技術と上記実施の形態4の製造技術とを適用しない。
【0243】
図50〜図55は、本実施の形態の半導体装置SM1aの製造工程中の要部断面図である。
【0244】
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、まず、半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。図50には、半導体基板1のうち、メモリ領域31の一部と周辺回路領域32の一部とが示されている。
【0245】
メモリ領域31のうち、図50には、メモリ(メモリセル)を構成するnチャネル型MISFETが形成される領域であるメモリnMIS形成領域1Cと、メモリ(メモリセル)を構成するpチャネル型MISFETが形成される領域であるメモリpMIS形成領域1Dとが示されている。
【0246】
また、周辺回路領域32には、耐圧が異なるMISFETが形成される。このため、図50には、周辺回路領域32において低耐圧のnチャネル型MISFETが形成される領域である低耐圧nMIS形成領域1L2と、周辺回路領域32において高耐圧のnチャネル型MISFETが形成される領域である高耐圧nMIS形成領域1Hとが示されている。すなわち、本実施の形態においては、上記低耐圧nMIS形成領域1L1に相当する領域が無い。
【0247】
半導体装置SM1aを製造するには、まず、上記実施の形態5と同様に、半導体基板(半導体ウエハ)1を準備してから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。
【0248】
次に、上記実施の形態5と同様に、絶縁膜3を半導体基板1の表面に形成してから、図51に示されるように、メモリnMIS形成領域1Cにp型ウエルPW1を、メモリpMIS形成領域1Dにn型ウエルNW1を、低耐圧nMIS形成領域1L2にp型ウエルPW3を、高耐圧nMIS形成領域1Hにp型ウエルPW4を、それぞれ形成する。
【0249】
次に、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hに、それぞれチャネルドープイオン注入(そこに形成されるMISFETのしきい値調整用のイオン注入)IM1c,IM1d,IM1f,IM1gを行って、チャネルドープ層4c,4d,4f,4gを形成する。なお、図51では、チャネルドープイオン注入IM1c,IM1d,IM1f,IM1gを矢印で模式的に示してある。
【0250】
チャネルドープイオン注入IM1c,IM1d,IM1f,IM1gおよびそれによって形成されるチャネルドープ層4c,4d,4f,4gについては、上記実施の形態5と同様である。
【0251】
すなわち、メモリnMIS形成領域1Cへのチャネルドープイオン注入IM1cにおいては、上記実施の形態4においてnMIS形成領域1Aに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1aと同種の元素(不純物元素)を用い、具体的には、インジウム(In)とガリウム(Ga)の一方または両方か、あるいはこれに更にホウ素(B)を組み合わせたものを用いる。また、メモリpMIS形成領域1Dへのチャネルドープイオン注入IM1dにおいては、上記実施の形態4においてpMIS形成領域1Bに対して行ったチャネルドープイオン注入IM1bと同種の元素(不純物元素)を用い、具体的には、ヒ素(As)とアンチモン(Sb)の一方または両方か、あるいはこれに更にリン(P)を組み合わせたものを用いる。一方、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hへのチャネルドープイオン注入IM1f,IM1gおいては、上記実施の形態4とは異なり、ホウ素(B)のみを用いる。また、図51には示されていないが、周辺回路領域32において、pチャネル型MISFETを形成する領域にn型不純物をチャネルドープイオン注入する場合は、注入する元素(不純物元素)として、リン(P)のみを用いる。
【0252】
なお、メモリnMIS形成領域1C、メモリpMIS形成領域1D、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hの各領域へのチャネルドープイオン注入IM1c,IM1d,IM1f,IM1gの際には、他の領域を覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして用いればよい。
【0253】
次に、絶縁膜3を除去して半導体基板1の表面を清浄化した後、図52に示されるように、メモリnMIS形成領域1CおよびメモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1上にゲート絶縁膜5cを、低耐圧nMIS形成領域1L2の半導体基板1上にゲート絶縁膜5dを、高耐圧nMIS形成領域1Hの半導体基板1上にゲート絶縁膜5eを、それぞれ形成してから、ゲート電極GE3,GE4,GE6,GE7を形成する。ゲート絶縁膜5c,5d,5eの厚みと耐圧の関係は、上記実施の形態5で説明した通りである。また、膜厚の異なるゲート絶縁膜5c,5d,5eの形成法および構成とゲート電極GE3,GE4,GE6,GE7の形成法および構成は、上記実施の形態5と同様であるので、ここではその説明は省略する。なお、図52および後述の図53〜図55においては、図面を見やすくするために、チャネルドープ層4c,4d,4f,4gの図示を省略している。
【0254】
次に、図53に示されるように、メモリnMIS形成領域1Cの半導体基板1(p型ウエルPW1)に、上記実施の形態5と同様に、イオン注入によりエクステンション領域7a、ハロー領域8aおよび拡散防止領域10aを形成する。また、メモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1(n型ウエルNW1)に、上記実施の形態5と同様に、イオン注入によりエクステンション領域7b、ハロー領域8bおよび拡散防止領域10bを形成する。また、低耐圧nMIS形成領域1L2の半導体基板1(p型ウエルPW3)に、上記実施の形態5と同様に、イオン注入によりエクステンション領域7aおよびハロー領域8aを形成し、上記拡散防止領域10aに対応するものは低耐圧nMIS形成領域1L2には形成しない。なお、図面の簡略化のために、図53においては、ハロー領域8a,8bの図示を省略している。
【0255】
次に、図54に示されるように、上記実施の形態5と同様に、ゲート電極GE3,GE4,GE6,GE7の側壁上にサイドウォール(側壁絶縁膜)SWを形成する。
【0256】
次に、メモリnMIS形成領域1C、低耐圧nMIS形成領域1L2および高耐圧nMIS形成領域1Hの半導体基板1(p型ウエルPW1,PW3,PW4)に、上記実施の形態5と同様に、イオン注入によりn型半導体領域11a(ソース、ドレイン)を形成する。また、メモリpMIS形成領域1Dの半導体基板1(n型ウエルNW1)に、上記実施の形態5と同様に、イオン注入によりp型半導体領域11b(ソース、ドレイン)を形成する。
【0257】
次に、上記実施の形態5と同様に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0258】
その後、図55に示されるように、上記実施の形態5と同様に、ゲート電極GE3,GE4,GE6,GE7、n型半導体領域11aおよびp型半導体領域11bの表面にそれぞれ金属シリサイド層12を形成し、絶縁膜21,22を形成し、絶縁膜22,21にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。なお、上記図47と同様、図55でも、図面の簡略化のために、絶縁膜21の図示を省略し、絶縁膜21を絶縁膜22に含めて図示している。それから、上記実施の形態5と同様に、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜25および絶縁膜26を順に形成し、絶縁膜26およびストッパ絶縁膜25に配線溝27を形成し、配線溝27内に配線M1を形成する。なお、上記図47と同様、図55でも、図面の簡略化のために、ストッパ絶縁膜25の図示を省略し、ストッパ絶縁膜25を絶縁膜26に含めて図示している。
【0259】
また、上記図50〜図55では、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態1の製造技術を適用する場合について説明したが、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態2の製造技術を適用することもできる。この場合、メモリ領域31においては、上記半導体層1bに相当する上記半導体領域1b1をイオン注入で形成しておき、そこにnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成する。一方、周辺回路領域32においては、上記半導体層1bに相当する上記半導体領域1b1を形成せずに、炭素、窒素およびフッ素のいずれも導入されていない半導体基板領域にnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを形成すればよい。
【0260】
上記実施の形態5では、半導体装置SM1を製造するにあたって、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用する場合に、メモリ領域31および周辺回路領域32aにおいては、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用し、周辺回路領域32bにおいては、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用していなかった。それに対して、本実施の形態では、半導体装置SM1aを製造するにあたって、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用する場合に、メモリ領域31においては、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用し、周辺回路領域32全体において、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用しない。その理由は、次の通りである。
【0261】
上記実施の形態5では、周辺回路領域32のうち、メモリ領域31におけるMISFETに匹敵するような微細化された(ゲート長が短い)MISFETが形成された領域(すなわち周辺回路領域32a)では、メモリ領域31と同様に上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用することで、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制している。
【0262】
しかしながら、本実施の形態の半導体装置SM1aのように、周辺回路領域32の全領域において、メモリ領域31におけるMISFETのゲート長よりも長いゲート長を有するMISFETが形成されている場合や、あるいは、周辺回路領域32に形成されたMISFETでは、しきい値電圧のばらつきをそれ程気にしなくともよい場合などがある。このような場合には、本実施の形態のように、メモリ領域31で上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用する一方で、周辺回路領域32の全領域において、上記実施の形態1,2,4の製造技術を適用しないようにすることもできる。これにより、メモリ領域31においては、MISFET毎のしきい値電圧のばらつきを抑制することができ、周辺回路領域32においては、イオン注入した不純物の活性化率を高めることができる。
【0263】
本発明者の実験によれば、上記実施の形態5および本実施の形態6においては、メモリ領域31のSRAMのメモリセルを構成するMISFETのしきい値電圧のばらつきを抑制できたことにより、例えば、SRAMの下限電圧(メモリ領域31のSRAMの全メモリセルを書換え可能な最低電圧)を20%程度改善する(20%程度引き下げる)ことができた。
【0264】
このように、上記実施の形態5および本実施の形態6においては、メモリが形成されたメモリ領域31と、メモリ以外が形成された周辺回路領域32とを有する半導体装置SM1,SM1aを製造するにあたって、メモリ領域31では、MISFETを形成する際に上記実施の形態1,2,4(単独又は組み合わせ)の製造技術を適用する。一方、周辺回路領域32の少なくとも一部(上記実施の形態5では周辺回路領域32のうちの周辺回路領域32bのみ、本実施の形態6では周辺回路領域32の全領域)では、MISFETを形成する際に上記実施の形態1,2,4(単独又は組み合わせ)の製造技術を適用しない。このように、上記実施の形態1,2,4(単独又は組み合わせ)を適用する領域を、半導体装置SM1,SM1aの各回路領域の特性に合わせて使い分けることができる。
【0265】
具体的には、上記実施の形態1の製造技術を適用する場合、メモリ領域31では、MISFETを形成する際に、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上をイオン注入する工程(すなわち上記イオン注入IM4a,IM4b)を行なって拡散防止領域10a,10bを形成する。それに対して、周辺回路領域32の少なくとも一部(上記実施の形態5では周辺回路領域32bのみ、本実施の形態6では周辺回路領域32全体)では、MISFETを形成する際に、上記イオン注入IM4a,IM4bに相当する工程を行わない。
【0266】
また、上記実施の形態2の製造技術を適用する場合、メモリ領域31では、MISFETは、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層(半導体領域1b1)に形成される。それに対して、周辺回路領域32の少なくとも一部(上記実施の形態5では周辺回路領域32bのみ、本実施の形態6では周辺回路領域32全体)では、MISFETは、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層(半導体領域1b1)が形成されていない領域の半導体基板(すなわち炭素、窒素およびフッ素のいずれも導入またはドープされていない半導体基板領域)に形成される。
【0267】
また、上記実施の形態4の製造技術を適用する場合、メモリ領域31では、MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう際に、p型不純物をイオン注入する領域には、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものをイオン注入し、n型不純物をイオン注入する領域には、ヒ素またはアンチモンの一方または両方か、あるいはそれにリンを加えたものをイオン注入する。それに対して、周辺回路領域32の少なくとも一部(上記実施の形態5では周辺回路領域32bのみ、本実施の形態6では周辺回路領域32全体)では、MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう際に、p型不純物をイオン注入する領域には、ホウ素のみをイオン注入し、n型不純物をイオン注入する領域には、リンのみをイオン注入する。
【0268】
上記実施の形態5および本実施の形態6においては、メモリ領域31にSRAMのメモリセルアレイを形成した場合について説明したが、メモリ領域31に形成するメモリはSRAM以外でもよく、フラッシュメモリなど、他の種類のメモリセルアレイをメモリ領域31に形成した場合にも適用できる。
【0269】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0270】
本発明は、MISFETを有する半導体装置の製造技術に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図33】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図40】本発明の他の実施の形態である半導体装置の平面図である。
【図41】図40の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図42】図41に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図48】本発明の他の実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図49】本発明の他の実施の形態である半導体装置の平面図である。
【図50】図49の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図51】図50に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図52】図51に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図53】図52に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図54】図53に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図55】図54に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【符号の説明】
【0272】
1,1a 半導体基板
1b 半導体層
1b1 半導体領域
1A nMIS形成領域
1B pMIS形成領域
1C メモリnMIS形成領域
1D メモリpMIS形成領域
1H 高耐圧nMIS形成領域
1L1,1L2 低耐圧nMIS形成領域
2 素子分離領域
3 絶縁膜
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g チャネルドープ層
5 絶縁膜
5a,5b,5c,5d,5e ゲート絶縁膜
6,6a,6b シリコン膜
7a,7b エクステンション領域
8a,8b ハロー領域
10a,10b 拡散防止領域
11a n型半導体領域
11b p型半導体領域
12 金属シリサイド層
21,22 絶縁膜
23 コンタクトホール
24 プラグ
24a バリア導体膜
24b 主導体膜
25 ストッパ絶縁膜
26 絶縁膜
27 配線溝
28 バリア導体膜
29 主導体膜
31 メモリ領域
32,32a,32b 周辺回路領域
GE1,GE2,GE3,GE4,GE5,GE6,GE7 ゲート電極
IM1a,IM1b,IM1c,IM1d,IM1e,IM1f,IM1g チャネルドープイオン注入(しきい値調整用のイオン注入)
IM2a,IM2b,IM3a,IM3b,IM4a,IM4b,IM5a,IM5b イオン注入
M1 配線
NW,NW1 n型ウエル
PD パッド電極
PW,PW1,PW2,PW3,PW4 p型ウエル
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET
SM1,SM1a 半導体装置
SUB1 半導体基板
SW サイドウォール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板に、前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、
(c)前記半導体基板の主面に前記第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記第1絶縁膜上に前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1ゲート電極をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行ない、前記半導体基板に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程、
(f)前記(d)工程後、前記半導体基板に第1元素のイオン注入を行なう工程、
(g)前記(e)工程および前記(f)工程後に、前記第1ゲート電極の側壁上に側壁絶縁膜を形成する工程、
(h)前記第1ゲート電極および前記側壁絶縁膜をマスクとして前記半導体基板にイオン注入を行ない、前記半導体基板に前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記第1および第2半導体領域は、前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域として機能し、
前記(f)工程でイオン注入する前記第1元素は、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上からなり、
前記(f)工程で前記第1元素が導入された領域の少なくとも一部は、前記第1MISFETのチャネル領域と前記第1半導体領域との間に位置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記第1MISFETのチャネル領域に不純物が導入されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、
斜めイオン注入により、前記半導体基板に前記第1元素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、
前記第1元素が導入された領域が前記第1半導体領域を包み込むように、前記第1元素を前記半導体基板にイオン注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程後で、前記(g)工程前に、
(e1)前記第1ゲート電極をマスクとしてイオン注入を行ない、前記第1半導体領域を包み込むような第2導電型の第1ハロー領域を形成する工程、
を更に有し、
前記(f)工程で前記第1元素が導入された領域の少なくとも一部は、前記第1MISFETのチャネル領域と前記第1ハロー領域との間に位置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、
前記第1元素が導入された領域が前記第1ハロー領域を包み込むように、前記第1元素を前記半導体基板にイオン注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程でイオン注入する元素は、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置の製造方法は、メモリが形成されたメモリ領域と、メモリ以外の回路が形成された周辺回路領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記メモリ領域では、MISFETを形成する際に前記(f)工程を行い、
前記周辺回路領域の少なくとも一部では、MISFETを形成する際に前記(f)工程を行わないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第1MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された半導体層を上部に有する半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体層に、前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、
(c)前記半導体層の主面に前記第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記第1絶縁膜上に前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、
(e)前記半導体層に前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層は、エピタキシャル成長またはイオン注入により形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層は、炭素、窒素またはフッ素のうちの1種以上が導入された単結晶シリコンからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記第1MISFETのチャネル領域に不純物が導入されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程でイオン注入する元素は、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置の製造方法は、メモリが形成されたメモリ領域と、メモリ以外の回路が形成された周辺回路領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記メモリ領域では、MISFETは前記半導体層に形成され、
前記周辺回路領域の少なくとも一部では、MISFETは、前記半導体層が形成されていない領域の前記半導体基板に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
第1MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記(a)工程後に、前記半導体基板の主面に前記第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後に、前記第1絶縁膜上に第1導電体層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後に、前記半導体基板に、前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、
(e)前記(d)工程後に、前記第1導電体層上に第2導電体層を形成する工程、
(f)前記第2導電体層および前記第1導電体層をパターニングして、前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記半導体基板に前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電体層と前記第2導電体層とは、多結晶シリコンからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、熱酸化法により前記第1絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で形成される前記第1導電体層の厚みは、前記(e)工程で形成される前記第2導電体層の厚みよりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記第1MISFETのチャネル領域に不純物が導入されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程でイオン注入する元素は、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
第1導電型の第1MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板に、前記第1MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、
(c)前記半導体基板の主面に前記第1MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記第1絶縁膜上に前記第1MISFETの第1ゲート電極を形成する工程、
(e)前記半導体基板に前記第1MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記(b)工程でイオン注入する元素は、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記第1MISFETのチャネル領域に、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものが導入されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置の製造方法は、前記第1MISFETと第2導電型の第2MISFETを有する半導体装置の製造方法であって、
前記(c)工程では、前記半導体基板の主面に前記第1MISFETおよび前記第2MISFETのゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成し、
更に、
(b1)前記半導体基板に、前記第2MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう工程、
(d1)前記第1絶縁膜上に前記第2MISFETの第2ゲート電極を形成する工程、
(e1)前記半導体基板に前記第2MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記(b1)工程でイオン注入する元素は、ヒ素またはアンチモンの一方または両方か、あるいはそれにリンを加えたものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置の製造方法は、メモリが形成されたメモリ領域と、メモリ以外の回路が形成された周辺回路領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記メモリ領域では、MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう際に、p型不純物をイオン注入する領域には、インジウムまたはガリウムの一方または両方か、あるいはそれにホウ素を加えたものをイオン注入し、n型不純物をイオン注入する領域には、ヒ素またはアンチモンの一方または両方か、あるいはそれにリンを加えたものをイオン注入し、
前記周辺回路領域の少なくとも一部では、MISFETのしきい値調整用のイオン注入を行なう際に、p型不純物をイオン注入する領域には、ホウ素のみをイオン注入し、n型不純物をイオン注入する領域には、リンのみをイオン注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【公開番号】特開2010−153501(P2010−153501A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328419(P2008−328419)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】