説明

異なるタイプの細胞に機能的に影響を及ぼし、免疫性疾患、炎症性疾患、神経疾患、およびその他の疾患を治療するための新規なジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤

本発明は、医薬分野での使用のための、Gly−Pro−p−ニトロアニリドを開裂するペプチダーゼを特異的に阻害し得る物質に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのこのような物質または少なくとも1つのこのような物質を含む少なくとも1つの薬剤組成物または化粧料組成物の疾患の予防または治療のための使用に関し、特に、過度の免疫応答を伴う疾患(自己免疫性疾患、アレルギー、移植拒絶反応)、その他の慢性炎症性疾患、神経疾患および脳障害、皮膚病(特に、ざ瘡、乾癬)、腫瘍疾患、および特定のウイルス感染症(特にSARS)の予防および治療のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DP IV;CD26;EC3.4.14.5)は、N末端から2番目のプロリンまたはアラニンの後のペプチドの加水分解を特異的に触媒する、普遍的なセリンプロテアーゼである。また、酵素活性を有するDP IVの遺伝子ファミリーは、特に、DP8、DP9、およびFAP/セプラーゼ(seprase)を含む(T. Chenら、Adv. Exp. Med. Biol. 524, 79, 2003)。DP IVと類似の基質特異性は、アトラクチン(マハゴニータンパク質(mahagony protein))によって示される(J. S. Duke-Cohanら、J. Immunol. 156, 1714, 1996)。該酵素はまた、DP IVを効果的に阻害する阻害剤によって阻害される。
【背景技術】
【0002】
ジペプチジルペプチダーゼIV、アトラクチン、およびFAPについて、重要な生物学的な機能が、異なる細胞システムで証明されていた。これは、免疫系(U. Lendeckelら、Intern. J. Mol. Med. 4, 17, 1999;T. Kahneら、Intern. J. Mol. Med. 4, 3, 1999;I. De Meesterら、Advanc. Exp. Med. Biol. 524, 3, 2002;国際公開WO01/89569D1;国際公開WO02/053170A3;国際特許出願番号PCT/EP03/07199)、神経系(国際公開WO02/053169A2およびドイツ特許出願第103 37 074.9)、線維芽細胞(ドイツ特許出願第103 30 842.3)、ケラチン細胞(国際公開WO02/053170A3)、皮脂腺の細胞(gland cells/Sebocytes)(国際特許出願番号PCT/EP03/02356)、数種の腫瘍において正しい。
【0003】
DP IVが内分泌ホルモンGIPおよびGLPを特異的に不活性化する能力は、糖代謝障害を治療するための新規な治療概念の開発につながった(D. M. Evans:Drugs 5, 577, 2002)。
【0004】
ジペプチジルペプチダーゼIVおよび別のペプチダーゼについて、区別できる阻害剤が公知である(概要は、「D. M. Evans:Drugs 5, 577, 2002」において見られる)。
【0005】
ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似のペプチダーゼの個別の阻害作用、しかし特に、ジペプチジルペプチダーゼIVおよびアラニルアミノペプチダーゼ(EC3.4.11.2およびEC3.4.11.14)の組み合わせによる阻害作用は、DNA合成の強力な阻害作用、それによる免疫細胞の増殖の阻害作用を生じる。そして、サイトカイン産生の変化、特に免疫調節性に効果的なTGF−β1の誘導を生じる(国際公開WO01/89569D1;国際公開WO02/053170A3)。調節性のT細胞については、アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤が、TGF−β1の強力な誘導をもたらす(国際特許出願番号PCT/EP03/07199)。神経系では、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の阻害作用による、特にDP IVまたは類似の酵素およびアラニルアミノペプチダーゼまたは類似の酵素の組み合わせ阻害作用による、急性および慢性のそれぞれの脳の退化プロセスの減少または減速が、示されている(国際公開WO02/053169A3およびドイツ特許出願公開第103 37 074.9)。線維芽細胞(ドイツ特許出願公開第103 30 842.3)、ケラチン細胞(国際公開WO02/053170A3)、および皮脂腺細胞(国際特許出願番号PCT/EP03/02356)についても、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害作用、特に、ジペプチジルペプチダーゼIVとアラニルアミノペプチダーゼとの2つの酵素の組み合わせ阻害作用が、増殖の阻害作用およびサイトカイン産生の変化をもたらすことが示され得た。
【0006】
したがって、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の作用の酵素が、いくつかの器官および細胞系において、基本的な主要な生物学的機能を果たすということ、およびこのペプチダーゼの阻害、特に、この酵素の阻害とアラニルアミノペプチダーゼの阻害とを組み合わせた阻害作用は、症例のほとんどにおいて慢性である種々の疾患の治療のための効果的な治療の原理を表すという驚くべき結果となる。
【0007】
容認された動物モデルを用いることによって、本発明者は、特に、両方のペプチダーゼ阻害剤を組み合わせた投与が、実際に、インビボにおける異なる細胞系の増殖の阻害、ならびに過度の免疫応答、慢性炎症および脳障害の抑制をもたらすことを証明することができた(国際公開WO01/89569D1)。
【0008】
現在までに達成された結果は、主として、既知のジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(それらは論文に記載され、そしてその一部は市販されている)を単独で、またはアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤(それらは既知であり、一部は市販されている)と組み合わせて用いることによって得られた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素のさらに効果的な阻害剤を見出すことであった。特に、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の有効な阻害作用を行う、より低分子量の化合物および容易に利用し得る化合物を見出すことであった。
【0010】
驚くことに、物質のデータベースの高スループットスクリーニングにおいて、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素に対する新規の、主として非ペプチド性の低分子量の阻害剤を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、Gly−Pro−p−ニトロアニリドを開裂するペプチダーゼを特異的に阻害する新規な物質に関する。
【0012】
さらに、本発明は、新規な物質に関し、該物質は、それ自身で、またはさらなる物質のための出発材料として、およびアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤および類似の酵素の阻害剤と組み合わせて、過度の免疫応答に関する疾患(自己免疫性疾患、アレルギー、および移植拒絶反応、敗血症)、その他の慢性炎症性疾患、神経疾患および脳障害、皮膚病(特に、ざ瘡、乾癬)、腫瘍疾患の予防および治療のために用いられ得る。
【0013】
特に、本発明は、医薬分野での使用のための、請求項1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、および27に記載の一般式(D1)〜(D14)の物質、および該一般式(D1)〜(D14)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に受容可能な塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体に関する。
【0014】
特定の実施態様においては、本発明は、医薬分野での使用のための、特定の式D1.001〜D14.007を有する特定の化合物(これらは、上記一般式(D1)〜(D14)に含まれ、これらの化合物は、例示であってそれらに限定されないとして、請求項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28に表形式で列挙される)、および該一般式D1.001〜D14.007の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に受容可能な塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体に関する。
【0015】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物を含み、必要に応じてそれ自体は既知であり一般的なキャリアおよびアジュバントと組み合わせた薬剤組成物に関する。
【0016】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物を含み、必要に応じてそれ自体は既知であり一般的なキャリアおよびアジュバントと組み合わせた化粧料組成物に関する。
【0017】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせる方式で、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性を阻害するための使用に関する。
【0018】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせる方式で、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼすための使用に関する。
【0019】
さらに、本発明は、請求項33〜45に例示的に記載されている、多くの疾患の予防および治療のための、一般式(D1)〜(D14)の1つの少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または必要に応じて上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用に関する。特定の実施態様においては、これは本発明を限定して解釈されるべきではないが、本発明による一般式(D1)〜(D14)の化合物、特に、表1〜14にまとめられているD1.001〜D14.007の特に好ましいいずれかの化合物が、過度の免疫応答によって生じる疾患(自己免疫性疾患、アレルギー、および移植拒絶反応)、その他の慢性炎症性疾患、神経疾患および脳障害、皮膚病(特に、ざ瘡および乾癬)、腫瘍疾患、および特定のウイルス感染(特にSARS)の治療のために、それ自身で用いられ得るか、またはさらなる化合物のための出発化合物として用いられ得るか、あるいはアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤および類似の酵素の阻害剤と組み合わせて用いられ得る。
【0020】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせる方式で、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性を阻害する医薬品の製造のための使用に関する。
【0021】
さらに、本発明は、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせる方式で、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼす医薬品の製造のための使用に関する。
【0022】
さらに、本発明は、請求項48〜60に例示的に記載されている、多くの疾患を予防および治療する医薬品の製造のための、一般式(D1)〜(D14)の1つを有する少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または必要に応じて上記化粧料組成物の少なくとも1つの使用に関する。特定の実施態様においては、これは本発明を限定して解釈されるべきではないが、一般式(D1)〜(D14)の化合物、特に、表1〜14に示されるD1.001〜D14.007の特に好ましいいずれかの化合物が、過度の免疫応答によって生じる疾患(自己免疫性疾患、アレルギー、および移植拒絶反応)、その他の慢性炎症性疾患、神経疾患および脳障害、皮膚病(特に、ざ瘡および乾癬)、腫瘍疾患、および特定のウイルス感染(特にSARS)の治療のための医薬品の製造のために、それ自身で用いられ得、またはさらなる化合物のための出発化合物として用いられ得、あるいはアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤および類似の酵素の阻害剤と組み合わせて用いられ得る。
【0023】
さらに、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の活性を阻害する方法であって、一般式(D1)〜(D14)の少なくとも1つの化合物、上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つを、酵素活性の阻害のために必要とされる量で投与することによって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤および類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて阻害する方法に関する。
【0024】
さらに、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼす方法であって、一般式(D1)〜(D14)の少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つを、酵素活性に影響を及ぼすために必要とされる量で投与することによって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤および類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて影響を及ぼす方法に関する。
【0025】
さらに、本発明は、請求項63〜76に記載の病気または状態の1つを予防および/または治療する方法であって、一般式(D1)〜(D14)の少なくとも1つの化合物、または上記薬剤組成物または上記化粧料組成物の少なくとも1つを、予防または治療のために必要とされる量で投与することによって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性を阻害することによって、予防および/または治療する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書および請求項で用いられる用語「類似の酵素」は、ジペプチジルペプチダーゼIVとして示される酵素に類似する酵素活性を有する酵素に関する。これは、例えば、DP8、DP9について、FAP/セプラーゼ(seprase)について、またはアトラクチン(DP IV)について適用可能である。上記の用語は、このような意味で、上記参照のテキスト「A. J. Barrettら、Handbook of Proteolytic Enzymes, Academic Press, 1998」にも説明されている。
【0027】
請求項1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、および27で見られ得るように、一般式(D1)〜(D14)において一般的に示されている残基Rn、すなわち、残基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は、それぞれ独立して水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択される残基を表す。
【0028】
詳細には、残基Rnは、本発明の実施態様では、それらは、非置換の直鎖または分岐の1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表し、好ましい実施態様では、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、3−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、ならびにヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、およびドデシル残基における直鎖および分岐のすべての異性体を表す。本発明において、上述の基のうちで特に好ましい基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;これらのうちで、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル残基が、さらにより好ましい。
【0029】
本発明による他の実施態様では、残基Rnが、非置換の直鎖または分岐の2〜12個の炭素原子を有するアルケニル基を表す場合、好ましい実施態様としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル;ならびにペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、およびドデセニル基に関して(C=C二重結合の位置に関しても)すべての直鎖および分岐の残基を表す。さらに、本発明の実施態様では、残基Rnはまた、数個の二重結合を有する直鎖または分岐のアルケニル基を表し得る。この基のうち、好ましい残基は、ブタジエニル基およびイソプレニル基である。上記の基の中で、本発明において特に好ましくは、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、その中でも、ビニル、アリル、1−ブテニル、および2−ブテニル基がより好ましい。
【0030】
本発明による他の実施態様では、残基Rnが、非置換の直鎖または分岐の2〜12個の炭素原子を有するアルキニル基を表す場合、好ましい実施態様としては、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル;ならびにペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、およびドデシニル基に関して(C≡C三重結合の位置に関しても)すべての直鎖および分岐の残基を表す。上記の基の中で、本発明において特に好ましくは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基であり、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、および2−ブチニル基がより好ましい。
【0031】
本発明において、直鎖および分岐のアルキル、アルケニル、およびアルキニル残基は、本発明のさらなる実施態様として置換され得る。置換基は、炭素原子で形成される骨格の所望の位置に配置され得、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のようなハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル残基中に1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、およびアミノ基からなる群より選択され得、該アミノ基は、非置換であるかまたはそれぞれ独立して1個または2個のアルキル残基(1〜6個の炭素原子を有する)で置換され得る。
【0032】
本発明のさらなる実施態様では、一般式(D1)〜(D14)中の残基Rnは、C−C12アルコキシ残基またはC−C12アルキルチオ残基を表す。さらに、これらのアルコキシ基およびアルキルチオ基のC−C12アルキル残基としては、上述の直鎖および分岐のアルキル残基における定義が適用され得る。特に好ましい基は、直鎖のC−Cアルコキシ基および直鎖のC−Cアルキルチオ基であり、特に好ましい基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、およびn−プロピルチオ残基である。
【0033】
本発明のさらなる実施態様では、一般式(D1)〜(D14)中の残基Rnは、非置換または置換シクロアルキル残基も表し得る。本発明において、シクロアルキル残基は、好ましくは環に3〜8個の原子を含み得、炭素原子のみでなるか、あるいは1個または数個のヘテロ原子を含み得る。純粋な炭素環式の環の中では、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、およびシクロヘプタトリエニル残基が特に好ましい。本発明のさらなる実施態様としては、ヘテロ原子を含むシクロアルキル残基として、例えば、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリニジル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニル残基がある。これらの炭素環式および複素環式シクロアルキル残基に対する置換基は、上記の直鎖アルキル基の置換基の群から選択され得る。
【0034】
本発明のさらなる実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の化合物中の残基Rnは、必要に応じてN、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含む非縮合または縮合アリール残基を表し得る。アリール残基は、1つの環または数個の環を有し得、数個の環を有する場合、2つの環が好ましい。さらに、1つの環は、好ましくは、五員環、六員環、または七員環であり得る。お互い縮合した数個の環でなる系では、ベンゾ縮合環、すなわちそれらの環の少なくとも1つが芳香族六員環である環系が特に好ましい。特に好ましい基は、完全に炭素原子でなるアリール残基であり、フェニル、シクロペンタジエニル、シクロヘプタトリエニル、およびナフチルから選択される。ヘテロ原子を含む特に好ましいアリール残基は、例えば、インドリル、クマロニル、チオナフテニル、キノリニル(ベンゾピリジル)、キナゾリニル(ベンゾピリミジニル)、およびキノキシリニル(ベンゾピラジニル)からなる群より選択される。
【0035】
本発明のもう1つの実施態様では、1つの環または数個の環のいずれかでなる環状の残基、炭素原子のみでなるかまたはさらにヘテロ原子を含むかいずれかの環状の残基、芳香族系または非芳香族系のいずれかの環状の残基は、置換され得る。置換基は、環系の任意の位置で炭素原子またはヘテロ原子のいずれかに結合され得る。それらは、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のようなハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、および非置換のアミノ基あるいは1または2のアルキル基(それぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有する)で置換されたアミノ基からなる群より選択され得る。
【0036】
さらに、本発明において、残基Rn(=R1〜R10)はまた、非置換のアミノ残基(−NH)または非置換のイミノ残基(−NH−)、あるいは置換されたアミノ残基(−NHR1または−NR1Rm)または置換されたイミノ残基(−NRm−)を表し得る。ここで、残基R1およびRmは、残基Rnについて上記で詳細に定義された意味を有し得、それらは同一または異なり得る。
【0037】
本発明において、残基Rn(=R1〜R10)はまた、非置換のカルボニル残基(H−(C=O)−)または非置換のチオカルボニル残基(H−(C=S)−)、あるいは置換されたカルボニル残基(Rm−(C=O)−)または置換されたチオカルボニル残基(Rm−(C=S)−)を表し得る。これらの残基において、置換されたカルボニル残基または置換されたチオカルボニル残基の置換基Rmは、残基Rnの可能な置換基として上記で定義された意味を有する。
【0038】
本発明において、上述の残基Rn(=R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、および/またはR10)は、一般式(D1)〜(D14)のそれぞれの基本構造に、それらの炭素原子の1つを介して結合され得る。他の実施態様では、残基Rnは、一般式(D1)〜(D14)のそれぞれの基本構造に、ヘテロ原子またはそれらのヘテロ原子の1つを介して結合され得る。
【0039】
一般式(D1)〜(D14)のうちのいくつかにおいては(例えば、一般式(D1(b))、(D2)(D7(a))〜(D7(c))、(D8)、(D9(a))〜(D9(c))、(D12)、(D13)、および(D14)では)、Y、Y1、およびY2は、それぞれの式の基本構造に、C=Y二重結合(またはC=Y1二重結合および/またはC=Y2二重結合)を介して結合される残基を表す。それらが見られる式において、基Yは、それぞれ独立して、二重結合によって炭素原子に結合している残基O、S、またはNRn(例えばNR3、NR4、またはNR5)の一つを表す。後者の残基では、基Rn(例えば、R3、R4、R5)は、上述の意味を有し得、「水素」の意味を含む。特に好ましくは、Yは、二重結合によって炭素原子に結合しているOを表す。
【0040】
一般式(D1)〜(D14)のうちのいくつかにおいては(例えば、式(D3)、(D5)、(D6)では)、X、X1、X2、およびZは、各々がC−X単結合によって(またはC−X1単結合あるいはC−X2単結合によって)またはC−Z単結合によって2つの異なる炭素原子に結合している残基を表す。それらが見られる一般式において、残基XおよびZは、それぞれ独立して、2つの異なる炭素原子に各々単結合によって結合している残基>NH、>NRn(例えば、>NR5または>NR10)、−O−、−S−、−CH−、−CHRn−、または−CRn−(ここで残基Rnは、上記で与えられる意味を有する)を表す。あるいは、3つの異なる炭素原子にそれぞれ単結合によって結合している残基>N−、>CH−、または>CRn−(例えば、>CR8−または>CR9−)(ここでRn(例えばR8、R9)は、上記で与えられる意味を有する)を表す。
【0041】
一般式(D4)の化合物では、R11およびR12は、三〜八員環を有する複素環系を表し、そしてそれらは、直接には、複数のヘテロ原子、複数の炭素原子、あるいは1つのヘテロまたは炭素原子を通して一緒に連結される。R1およびR2として示される部分環は、置換または非置換、縮合または非縮合であり得、0〜3個の二重結合を含み得、そしてさらにヘテロ原子、およびヘテロ原子を含有する基を含み得る。
【0042】
一般式(D9)の化合物では、ZはPまたはSを表す。
【0043】
一般式(D8)、(D12)、(D13)の化合物では、XおよびZは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、必要に応じてN、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含む非置換または置換された非縮合または縮合アリールまたはシクロアルキル、およびアミノ(NH、NHR1、またはNR1R2)からなる群より選択される残基を表し、XおよびZについての上記のすべての意味は、上記で一般式(D1)〜(D14)の残基Rnについて詳細に定義したアルコキシ、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、およびアミノについての意味に相当する。
【0044】
一般式(D1)〜(D14)の化合物は、一般的には、請求項1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、および27で定義され、そして特に、請求項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28中の表1〜14の化合物D1.001〜D14.007で定義される。これらの化合物は、論文で既知の方法により調製され得るか、あるいは市販されている。
【0045】
一般式(D1)〜(D14)に相当する化合物(一般的な化合物)および表1〜14に示される特定の化合物D1.001〜D14.007(本発明の好ましい実施態様の化合物)は、医薬分野での使用のため、特許請求の範囲に記載されている。用語「医薬分野での使用のため」とは、本明細書および特許請求の範囲においては、その最も幅広い意味において理解され、適用を考えられるすべての分野に関し、それは、本発明によって定義される一般式(D1)〜(D14)の化合物および表1〜14に示されるような好ましい実施態様である化合物D1.001〜D14.007が、哺乳動物の体、特にヒトの体の医学的に関係する状態に関して効果を及ぼし得るものである。
【0046】
このような医学的に関係する状態に関して、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物および表1〜14による好ましい化合物D1.001〜D14.007は、単一化合物の形態で用いられるか、または一般式(D1)〜(D14)(特に、表1〜14による化合物D1.001〜D14.007)の1より多い化合物または数個の化合物の形態で用いられるかのいずれかである。また、本発明の範囲に含まれるのは、一般式(D1)〜(D14)の1つまたはそれ以上の化合物の使用であり、好ましくは、表1〜14による化合物D1.001〜D14.007からなる群より選択される1つまたはそれ以上の化合物の使用であり、その他の効果的な薬剤、例えば、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素(すなわち、同一の基質特異性を有する酵素)の阻害作用を有する1つまたはそれ以上の化合物および/またはアラニルアミノペプチダーゼ(APN)または類似の酵素(すなわち、同一の基質特異性を有する酵素)の阻害作用を有する1つまたはそれ以上の化合物と組み合わせた使用である。このような酵素阻害作用を有する化合物は、例えば、本出願人によって本出願と同日に並列的に出願された特許出願に記載されており、そして本明細書の導入部分において述べられている本出願人の特許出願において記載されている。これらすべての出願の開示内容は、参考文献として本明細書に援用される。
【0047】
ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の阻害剤として効果的な特定の阻害剤は、必要に応じて、本発明の化合物、特に表1〜14の化合物D1.001〜D14.007の1種または数種とともに用いられ得る。このような阻害剤は、先行技術から既知であり、例えば、以下のものが挙げられる:Xaa−Proジペプチド、対応する誘導体、好ましくはジペプチドホスホン酸ジアリールエステル、ジペプチドボロン酸(例えば、Pro−bobo−Pro)、およびそれらの塩、Xaa−Xaa−(Trp)−Pro−(Xaa)n(n=0〜10)ペプチド、対応する誘導体、およびそれらの塩、およびアミノ酸(Xaa)アミド、対応する誘導体、およびそれらの塩であり、ここで、Xaaは、α−アミノ酸/イミノ酸またはα−アミノ酸誘導体/イミノ酸誘導体、好ましくはNε−4−ニトロベンジル−オキシカルボニル−L−リシン、L−プロリン、L−トリプトファン、L−イソロイシン、L−バリン、および例えば、ピロリジン、ピペリジン、チアゾリジンのような環状アミン、およびアミド構造として作用するそれらの誘導体である。このような化合物およびそれらの調製は、先願特許(K. Neubertら、DD296075A5)に記載されている。さらに、トリプトファン−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸誘導体(TSL)および(2S,2S’,2S’’)−2−[2’−[2’’−アミノ−3’’−(インドール−3’’’−イル)−1’’−オキソプロピル]−1’,2’,3’,4’−テトラヒドロ−6’,8’−ジヒドロキシ−7−メトキシイソキノール−3−イル−カルボニル−アミノ]−4−ヒドロメチル−5−ヒドロペンタン酸(TMC−2A)が、一般式(D1)〜(D14)の化合物とともに、DP IVに対するエフェクターとして有利に用いられ得る。一般式(D1)〜(D14)の化合物とともに好ましく使用できるDP IV阻害剤の1つの例としては、Lys[Z(NO)]チアゾリジドがあり、ここでLysはL−リシン残基を表し、Z(NO)は4−ニトロベンジル−オキシカルボニルを表す(DD296075A5を参照のこと)。
【0048】
アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤として効果的な特定の阻害剤は、必要に応じて、本発明の化合物、特に表1〜14による化合物D1.001〜D14.007の1種または数種とともに用いられ得る。このような阻害剤は、先行技術から既知であり、例えば、以下のものが挙げられる:アクチノニン、レウヒスチン(leuhistine)、フェベスチン(phebestine)、アマスタチン、ベスタチン、プロベスチン、β−アミノチオール、α−アミノホスフィン酸、α−アミノホスフィン酸誘導体、好ましくはD−Phe−ψ−[PO(OH)−CH]−Phe−Phe。本発明の化合物とともに利用できる特に好ましい既知のアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤は、ベスタチン(ウベニメクス)、アクチノニン、プロベスチン、フェベスチン、RB3014、またはレウヒスチンである。
【0049】
本発明のもう1つの実施態様は、薬剤組成物に関し、該組成物は、一般式(D1)〜(D14)の少なくとも1種の、必要に応じて2種以上の化合物を含み、この化合物は、特に好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007から選択される。このような薬剤組成物は、上記化合物の1種または数種を、薬学的な効果を及ぼすために必要とされる量で含む。このような量は、いくつかのルーチンのテストにより発明的努力を行うことなく、当業者によって詳細に決定され得る。一般的にこれらの量は、一般式(D1)〜(D14)の化合物、特に好ましくは、表1〜14による化合物D1.001〜D14.007について、それぞれ投与単位あたり0.01mgから1000mgまでの範囲にあり、より好ましくは、上記化合物についてそれぞれ投与単位あたり0.1mgから100mgまでの範囲である。さらに、哺乳動物の生体またはヒトの生体の各々の個体において調節される量は、当業者によって容易に決定され得、そしてそれはまた、用いられる化合物の十分な濃度が、分割またはいくつかの投与単位で投与されることにより、達成され得るように提供され得る。
【0050】
本発明のもう1つの実施態様では、化粧料組成物に関し、該組成物は、一般式(D1)〜(D14)の少なくとも1種、必要に応じて2種以上の化合物を含み、この化合物は、特に好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007から選択される。このような化粧料組成物は、上記化合物の1種または数種を、所望の効果、例えば化粧料としての効果を及ぼすために必要とされる量で含む。このような量は、いくつかのルーチンのテストにより発明的努力を行うことなく、当業者によって詳細に決定され得る。一般的にこれらの量は、一般式(D1)〜(D14)の化合物、特に好ましくは、表1〜14による化合物D1.001〜D14.007について、それぞれ投与単位あたり0.01mgから1000mgまでの範囲にあり、より好ましくは、上記化合物についてそれぞれ投与単位あたり0.1mgから100mgまでの範囲である。さらに、哺乳動物の生体またはヒトの生体の各々の個体において調節される量は、当業者によって容易に決定され得、そしてそれはまた、用いられる化合物の十分な濃度が、分割またはいくつかの投与単位で投与されることにより、達成され得るように提供され得る。
【0051】
本発明による1種の化合物または数種の化合物、それを含む薬剤組成物、またはそれを含む化粧料組成物は、既知のキャリア物質および/または補助物質(アジュバント)と同時に投与される。このようなキャリア物質および補助物質は、それら自体およびそれらの作用および適用方法に関して当業者に公知であり、ここで詳細な説明を必要としない。
【0052】
本発明はまた、薬剤組成物を含み、これは、1種または数種のDP IV阻害剤またはDP IVに類似する酵素活性を有する酵素の阻害剤および/またはAPN阻害剤またはAPNに類似する酵素活性を有する酵素の阻害剤(これらの阻害剤は先行技術による阻害剤である)と、一般式(D1)〜(D14)の1種または数種の化合物、特に好ましくは、表1〜14の化合物D1.001〜D14.007から選択される1種または数種の化合物とを、既知のキャリア物質、補助物質、および/または添加剤と組み合わせて、空間的に隔離された形態で処方し、併合効果を得る目的で上記阻害剤と上記化合物とを同時に投与するためあるいは直ちに連続して投与するために用いられる。
【0053】
一般式(D1)〜(D14)の化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007の投与、あるいは通常のキャリア物質、補助物質、および/または添加剤とともに上記化合物の1種または数種を含む薬剤組成物または化粧料組成物の投与が一方で、局所的な適用として、および他方で、全身の適用として行われる。局所的な適用としては、例えば、クリーム、軟膏剤、パスタ剤、ゲル剤、水剤、噴霧剤、リポソームおよびナノソーム、ローション剤、ペグ化された製剤、分解性の(すなわち、生理学的な条件下で分解され得る)デポ剤マトリックス、ハイドロコロイド、包帯剤、硬膏剤、微細なスポンジ、プレポリマーおよび類似の新規なキャリア物質、ジェット注射、および点滴用の適用を含むその他の皮膚科学の基剤/ビヒクルの形態があり、全身の適用としては、経口、経皮、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、または硬膜内があり、好適な処方で、または好適なガレヌス製剤の処方での適用がある。
【0054】
本発明によれば、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007を単独でまたは組み合わせて、あるいは該化合物を1種または数種含む薬剤組成物または化粧料組成物が、単独であるいは他のアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤または類似の酵素の阻害剤と組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性の阻害のために用いられる。
【0055】
もう1つの実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007を単独でまたは組み合わせて、あるいは該化合物を1種または数種含む薬剤組成物または化粧料組成物が、単独であるいは他のアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤または類似の酵素の阻害剤と組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性に局所的に影響を与えるために用いられる。
【0056】
本発明の好ましい実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007が単独でまたは組み合わされて、あるいは該化合物を1種または数種含む薬剤組成物または化粧料組成物が、例えば、以下のような疾病の予防および治療のために用いられる:多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、およびその他の自己免疫疾患、ならびに炎症性疾患、気管支喘息およびその他のアレルギー性疾患、皮膚病および粘膜症、例えば乾癬、ざ瘡、および線維芽細胞の異常増殖および変異した分化状態に伴う皮膚病、良性の線維性および硬化性の皮膚病、および悪性の線維芽細胞異常増殖状態、急性神経疾患、例えば虚血性または出血性脳卒中後の虚血性に起因する脳障害、頭部外傷、心停止、心筋梗塞または心臓手術後の心筋梗塞、慢性神経疾患、例えばアルツハイマー病、ピック病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型痴呆、パーキンソン病、特に第17染色体に関連するパーキンソン病、ハンチングトン病、プリオンによって引き起こされる疾患状態、筋萎縮性側索硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈の炎症、ステント再狭窄、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腫瘍、転移、前立腺ガン、重症急性呼吸器症候群(SARS)、および敗血症ならびに敗血症様の状態。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007が単独でまたは組み合わされて、あるいは該化合物の1種または数種を含む薬剤組成物または化粧料組成物が、移植された組織および細胞の拒絶反応の予防および治療のために用いられる。このような適用の例としては、1種または数種の上述の化合物、あるいは該化合物を1種または数種含む薬剤組成物の、同種異系腎臓移植または幹細胞移植に関連しての使用が挙げられ得る。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007が単独でまたは組み合わされて、あるいは該化合物の1種または数種を含む薬剤組成物または化粧料組成物が、生体内に植え込まれた医療デバイス(「医療デバイス」)での拒絶反応および炎症反応、または生体内に植え込まれた医療デバイス(「医療デバイス」)による拒絶反応および炎症反応の予防および治療のために用いられる。これらは、例えば、ステント、関節インプラント(膝関節インプラント、股関節インプラント)、骨インプラント、心臓ペースメーカー、またはその他のインプラントを含み得る。本発明のさらに好ましい実施態様では、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007が単独でまたは組み合わされて、あるいは該化合物の1種または数種を含む薬剤組成物または化粧料組成物が、化合物または組成物がコーティングまたは層の形態で物品上に付与されるか、または化合物または組成物の少なくとも1つが物品の材料に、1つの物質として混合されるように用いられる。またこの場合、もちろん、少なくとも1つの化合物または組成物が、局所的にまたは全身に、必要に応じて引き続きまたは並列して、投与されることが可能である。
【0059】
上記と同様にして、そして同様の目的のためあるいは例として挙げられた上記の疾病および状態の予防および治療のために(しかし、いかなる制限もなく)、一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、好ましくは表1〜14による化合物D1.001〜D14.007が単独でまたは組み合わされて、あるいは該化合物の1種または数種を含む上記薬剤組成物または化粧料組成物が、上記の疾病または状態の予防および治療のための医薬品の調製のために用いられ得る。これらの医薬品は、上記化合物を上記で具体的に挙げられた量で含み得、必要に応じて、既知のキャリア物質、補助物質、および/または添加剤とともに含み得る。
【0060】
最後に、本発明はまた、上記の詳細な説明による少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物を酵素活性の阻害のために必要とされる量で投与することによって、単独であるいはアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤および類似の酵素の阻害剤と組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の活性を阻害する方法に関する。一般式(D1)〜(D14)の一般的な化合物、および表1〜14による化合物D1.001〜D14.007のうちの1つの量は、上述のように、投与単位あたり1つの化合物の量が0.01mgから1000mgまでの範囲にあり、好ましくは、投与単位あたり1つの化合物の量が0.1mgから100mgまでの範囲である。
【0061】
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の酵素の活性に対して、単独であるいはアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤および類似の酵素の阻害剤と組み合わせて局所的に影響を及ぼすための方法に関し、この方法は、上記の詳細な説明による少なくとも1つの化合物、薬剤組成物または化粧料組成物を、酵素活性に局所的に影響を及ぼすために必要とされる量で投与することによって行われる。また、これらの場合、上記化合物の量は、上記に示される範囲である。
【0062】
さらに、本発明はまた、多数の疾病の予防および治療方法に関し、上記の詳細な説明による少なくとも1つの化合物、薬剤組成物または化粧料組成物をそれぞれの疾病の予防および治療に必要とされる量で投与することによって、疾病を予防および治療する方法に関する。上記疾病としては、例えば、過度の免疫応答を伴う疾患(自己免疫性疾患、アレルギー、移植拒絶反応)、その他の慢性的な炎症性疾患、神経疾患および脳障害、皮膚病(特に、ざ瘡および乾癬)、腫瘍疾患、特定のウイルス性疾患(特に、SARS)、および特に上記で詳細に述べられた疾患が挙げられる。また、これらの場合、上記化合物の量は、投与単位あたり1つの化合物の量が0.01mgから1000mgまでの範囲にあり、好ましくは、投与単位あたり1つの化合物の量が0.1mgから100mgまでの範囲である。
【0063】
以下、本発明を特定の好ましい典型的な実施態様によって、より詳細に説明する。しかし、これらの典型的な実施態様は、本発明を限定するのではなく、説明の例示にすぎない。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
ジペプチジルペプチダーゼIVの新規な阻害剤の阻害特性
【0065】
以下の表(表1〜14)に、新規な阻害剤を簡潔にまとめた。本発明者らは、これらの物質がジペプチジルペプチダーゼIVおよび酵素活性において類似の効果を有する酵素を阻害する能力があることを示し得た。評価された阻害特性を、該酵素に対するIC50値またはID50値(後者は*でマークされている)として表す。酵素活性を蛍光基質(Ala−Pro)−ローダミン110によって決定した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2.1】

【0068】
【表2.2】

【0069】
【表3.1】

【0070】
【表3.2】

【0071】
【表3.3】

【0072】
【表3.4】

【0073】
【表3.5】

【0074】
【表3.6】

【0075】
【表3.7】

【0076】
【表3.8】

【0077】
【表3.9】

【0078】
【表3.10】

【0079】
【表3.11】

【0080】
【表3.12】

【0081】
【表3.13】

【0082】
【表3.14】

【0083】
【表3.15】

【0084】
【表3.16】

【0085】
【表3.17】

【0086】
【表3.18】

【0087】
【表3.19】

【0088】
【表3.20】

【0089】
【表4.1】

【0090】
【表4.2】

【0091】
【表4.3】

【0092】
【表4.4】

【0093】
【表4.5】

【0094】
【表4.6】

【0095】
【表4.7】

【0096】
【表4.8】

【0097】
【表4.9】

【0098】
【表4.10】

【0099】
【表4.11】

【0100】
【表4.12】

【0101】
【表4.13】

【0102】
【表4.14】

【0103】
【表4.15】

【0104】
【表4.16】

【0105】
【表4.17】

【0106】
【表4.18】

【0107】
【表4.19】

【0108】
【表4.20】

【0109】
【表4.21】

【0110】
【表4.22】

【0111】
【表5.1】

【0112】
【表5.2】

【0113】
【表5.3】

【0114】
【表5.4】

【0115】
【表5.5】

【0116】
【表5.6】

【0117】
【表5.7】

【0118】
【表5.8】

【0119】
【表5.9】

【0120】
【表5.10】

【0121】
【表5.11】

【0122】
【表6.1】

【0123】
【表6.2】

【0124】
【表6.3】

【0125】
【表6.4】

【0126】
【表6.5】

【0127】
【表6.6】

【0128】
【表6.7】

【0129】
【表6.8】

【0130】
【表6.9】

【0131】
【表6.10】

【0132】
【表6.11】

【0133】
【表6.12】

【0134】
【表6.13】

【0135】
【表6.14】

【0136】
【表6.15】

【0137】
【表6.16】

【0138】
【表6.17】

【0139】
【表6.18】

【0140】
【表6.19】

【0141】
【表6.20】

【0142】
【表6.21】

【0143】
【表6.22】

【0144】
【表6.23】

【0145】
【表6.24】

【0146】
【表6.25】

【0147】
【表7】

【0148】
【表8.1】

【0149】
【表8.2】

【0150】
【表8.3】

【0151】
【表8.4】

【0152】
【表8.5】

【0153】
【表8.6】

【0154】
【表8.7】

【0155】
【表8.8】

【0156】
【表9.1】

【0157】
【表9.2】

【0158】
【表9.3】

【0159】
【表10.1】

【0160】
【表10.2】

【0161】
【表10.3】

【0162】
【表10.4】

【0163】
【表10.5】

【0164】
【表10.6】

【0165】
【表10.7】

【0166】
【表10.8】

【0167】
【表10.9】

【0168】
【表10.10】

【0169】
【表10.11】

【0170】
【表10.12】

【0171】
【表10.13】

【0172】
【表10.14】

【0173】
【表10.15】

【0174】
【表10.16】

【0175】
【表10.17】

【0176】
【表10.18】

【0177】
【表10.19】

【0178】
【表10.20】

【0179】
【表10.21】

【0180】
【表10.22】

【0181】
【表10.23】

【0182】
【表11.1】

【0183】
【表11.2】

【0184】
【表11.3】

【0185】
【表12.1】

【0186】
【表12.2】

【0187】
【表12.3】

【0188】
【表12.4】

【0189】
【表12.5】

【0190】
【表12.6】

【0191】
【表13.1】

【0192】
【表13.2】

【0193】
【表14.1】

【0194】
【表14.2】

【0195】
(実施例2)
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウス(多発性硬化症の動物モデル)に対する、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の効果を有する酵素の阻害ならびにアラニルアミノペプチダーゼおよび類似の効果を有する酵素の阻害の組み合わせの治療効果
【0196】
SJL/Jマウス(n=10)に、PLP139−151(ミエリン抗原プロテオリピドタンパク質ペプチド139−151)を毎日注射することによってEAE疾患を誘発した。発病後、免疫後11日目に、初日としてそれぞれのペプチダーゼ阻害剤1mgの腹腔内注射によって治療処置を行い、さらに2日ごとにそれぞれの阻害剤0.5mgの注射によって治療処置を行った。疾患のスコア[vD1]を麻痺の程度の違いによって定義した。健康な動物の疾患のスコアを0点とした。アクチノニンをアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤として用い、Lys[Z(NO)]ピロリジドをジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤として用いた。処置を、免疫後46日間行った。結果を図1に示す。曲線の推移によると、両方のペプチダーゼ阻害を組み合わせた後に、特に強く長期持続性[vD2]の治療効果がはっきりと示される。
【0197】
(実施例3)
デキストラン硫酸塩誘発大腸炎マウス(慢性炎症性腸疾患の動物モデル)に対する、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の効果を有する酵素の阻害ならびにアラニルアミノペプチダーゼおよび類似の効果を有する酵素の阻害の組み合わせの治療効果
【0198】
結腸に主として関係する炎症(ヒトの潰瘍性大腸炎の疾患に相当)を、8週齢の雌性Balb/cマウスの飲料水に3%デキストラン硫酸ナトリウムを溶解して投与することによって誘発した。3日後、すべての動物がその疾患に典型的な明らかな症状を示した。ペプチダーゼ阻害剤(またはプラセボとしてリン酸緩衝化生理食塩水)を、5日目から3日間連続して腹腔内に投与した。疾患の程度を、承認された評価システム(スコア)に従って決定する。スコアを決定する際、以下のパラメーターを考慮する:糞便の硬さ(固体=0点;ペースト状=2点;液状/下痢様=4点);糞便中の血液の検出(血液なし=0点;潜血=2点;明白=4点);体重減少(0〜5%=0点;5〜10%=1点;10〜15%=2点;15〜20%=3点;>20%=4点)。健康な動物はスコア値が0点であり、最大値は12点である。10点から上は、疾患が致命的である。疾患の進行において、糞便のパラメーターの変化に起因して、スコア(値)が増加している。その後(5日目から開始)、体重減少によりスコアが増加している。図2に、3日間の治療後の7日目に、未処置および処置した動物における疾患の度合いを示す。
【0199】
先行技術の阻害剤を、それぞれ単独で10μg投与した場合(1群あたりn=14;説明を参照のこと)は、疾患の重篤度の低下がわずかに達成されたが、有意ではなかった(アクチノニンでの処置に関しては−16.5%;Lys[Z(NO)]ピロリジドでの処置に関しては−12.3%)。2つのペプチダーゼ阻害剤を組み合わせての腹腔内投与では40%であり、疾患を統計的に有意に改善する結果となった(p=0.00189)。
【0200】
(実施例4)
オボアルブミン誘発気管支喘息マウス(ヒトの気管支喘息の動物モデル)に対する、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび類似の効果を有する酵素の阻害ならびにアラニルアミノペプチダーゼおよび類似の効果を有する酵素の阻害の組み合わせの治療効果。図3に肺機能の測定としての平均呼気流速(EF50)の減少に対するペプチダーゼ阻害組み合わせの影響(図3A)、および気管支喘息による肺の炎症の特徴としての好酸球増加に対するのペプチダーゼ阻害組み合わせの影響(図3B)を示す。
【0201】
雌性Balb/cマウスを、オボアルブミン10μgを0、14、21日目に腹腔内投与することによって、気管支喘息を誘発し得るオボアルブミン抗原に対して感作した。27/28日目に、吸入[vD3]によってブースター用量のオボアルブミンを、動物に与えた。28〜35日目にペプチダーゼ阻害剤を腹腔内投与後、35日目に鼻腔内にオボアルブミン投与を行い、肺機能によりアレルギー早期反応をチェックした。平均呼気流速(EF50)、1回換気量、呼吸数、分時拍出量、および気管支肺胞洗浄法による好酸性顆粒球の数を測定した。1つの実験群あたり8〜10匹の動物を用いた。例として、図3Aに、EF50値の減少に及ぼすペプチダーゼ阻害剤の効果をまとめた。アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤であるアクチノニン(B群;0.1mg)およびジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤であるLys[Z(NO)]ピロリジド(C群;0.1mg)は、治療効果を示した。しかし、有意な治療効果は、両方の阻害剤を組み合わせて用いた場合のみ得られた(D群;各阻害剤を0.1mg)。
【0202】
E群はOVAによって感作されていない動物を表すが、感作されなかったこと以外は、A群〜D群の動物に行われたすべての処置を行った。したがって、この群は健康で非アレルギー性の動物の群であり、肺機能に対するストレスに起因する影響を算出するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】アクチノニンをアラニルアミノペプチダーゼ阻害剤として用い、Lys[Z(NO)]ピロリジドをジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤として用いた処置を、免疫後46日間行った結果を示す。
【図2】3日間の治療後の7日目に、未処置および処置した動物における疾患の度合いを示す。
【図3A】肺機能の測定としての平均呼気流速(EF50)の減少に対するペプチダーゼ阻害組み合わせの影響を示す。
【図3B】気管支喘息による肺の炎症の特徴としての好酸球増加に対するペプチダーゼ阻害組み合わせの影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬分野での使用のための一般式(D1)の化合物:
【化1】

(ここで、環(a)で六員を超えるおよび環(b)で五員未満の員数を有する置換および非置換、縮合および非縮合の同素環および複素環基本構造すべてが表され;
該基本構造は、二重結合を含み得;
YはO、S、またはNR4を表し;
R2は、(a)の環状基本構造の置換を表し、そしてそれは1個または数個の置換基を表し得;
R1〜R6は、同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D1)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D1)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項2】
医薬分野での使用のための請求項1に記載の一般式(D1)の化合物であって、例えば表1に記載の以下のD1群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表1】

【請求項3】
医薬分野での使用のための一般式(D2)の化合物:
【化2】

(ここで、Y1およびY2は、同一または異なり得、O、S、またはNR3を表し;
R1〜R4は、同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D2)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D2)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項4】
医薬分野での使用のための請求項3に記載の一般式(D2)の化合物であって、例えば表2に記載の以下のD2群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表2.1】

【表2.2】

【請求項5】
医薬分野での使用のための一般式(D3)の化合物:
【化3】

(ここで、XおよびZは、それぞれ独立してCH、CR3、またはNを表し;
部分環は、置換または非置換、縮合または非縮合であり得、0〜3個の二重結合および0〜4個のヘテロ原子、ならびにXおよびZについて定義するヘテロ原子を含有する基を含み得;
R1〜R4は、同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D3)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合され;
該基本構造の環系は、0〜3個の二重結合を含み得る)
および該一般式(D3)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項6】
医薬分野での使用のための請求項5に記載の一般式(D3)の化合物であって、例えば表3に記載の以下のD3群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表3.1】

【表3.2】

【表3.3】

【表3.4】

【表3.5】

【表3.6】

【表3.7】

【表3.8】

【表3.9】

【表3.10】

【表3.11】

【表3.12】

【表3.13】

【表3.14】

【表3.15】

【表3.16】

【表3.17】

【表3.18】

【表3.19】

【表3.20】

【請求項7】
医薬分野での使用のための一般式(D4)の化合物:
R11−R12 (D4)
(ここで、R11およびR12は、三〜八員環を有する複素環系を表し、そしてそれらは、直接には、複数のヘテロ原子、複数の炭素原子、あるいは1つのヘテロまたは炭素原子を通して一緒に連結され得;
R1およびR2によって示される部分環は、置換または非置換、縮合または非縮合であり得、0〜3個の二重結合、さらにヘテロ原子、およびヘテロ原子を含有する基を含み得る)
および該一般式(D4)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項8】
医薬分野での使用のための請求項7に記載の一般式(D4)の化合物であって、例えば表4に記載の以下のD4群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表4.1】

【表4.2】

【表4.3】

【表4.4】

【表4.5】

【表4.6】

【表4.7】

【表4.8】

【表4.9】

【表4.10】

【表4.11】

【表4.12】

【表4.13】

【表4.14】

【表4.15】

【表4.16】

【表4.17】

【表4.18】

【表4.19】

【表4.20】

【表4.21】

【表4.22】

【請求項9】
医薬分野での使用のための一般式(D5)の化合物:
【化4】

(ここで、XはO、S、NH、NR2を表し得;
残基R1は、基本の六員環構造の置換を表し;
該基本の複素環構造は、0〜3個の二重結合およびX基からのヘテロ原子をさらに3個まで有し得;
R1およびR2は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D5)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D5)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項10】
医薬分野での使用のための請求項9に記載の一般式(D5)の化合物であって、例えば表5に記載の以下のD5群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表5.1】

【表5.2】

【表5.3】

【表5.4】

【表5.5】

【表5.6】

【表5.7】

【表5.8】

【表5.9】

【表5.10】

【表5.11】

【請求項11】
医薬分野での使用のための一般式(D6)の化合物:
【化5】

(ここで、XはO、S、NH、またはNR9を表し得;
該基本の五員環構造は、さらにXの定義によるヘテロ原子を3個まで含み得、該ヘテロ原子は同一または異なり得;
該基本の五員環構造は、0〜2個の二重結合を含み得;
R1〜R9は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D6)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D6)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項12】
医薬分野での使用のための請求項11に記載の一般式(D6)の化合物であって、例えば表6に記載の以下のD6群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表6.1】

【表6.2】

【表6.3】

【表6.4】

【表6.5】

【表6.6】

【表6.7】

【表6.8】

【表6.9】

【表6.10】

【表6.11】

【表6.12】

【表6.13】

【表6.14】

【表6.15】

【表6.16】

【表6.17】

【表6.18】

【表6.19】

【表6.20】

【表6.21】

【表6.22】

【表6.23】

【表6.24】

【表6.25】

【請求項13】
医薬分野での使用のための一般式(D7)の化合物:
【化6】

(ここで、Y1およびY2は、同一または異なり得、O、S、NH、またはNR4を表し得;
基本構造の芳香環系は、置換基を4個まで含み得、該置換基は同一または異なり得;
R1〜R4は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D7)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合され;
R2およびR3は、それぞれ環系の置換を表し、1〜4個の残基を表す)
および該一般式(D7)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項14】
医薬分野での使用のための請求項13に記載の一般式(D7)の化合物であって、例えば表7に記載の以下のD7群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表7】

【請求項15】
医薬分野での使用のための一般式(D8)の化合物:
【化7】

(ここで、XおよびZは、同一または異なり得、それぞれ独立してヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、およびアミノ(NH、NHR1、またはNR1R2)からなる群より選択され;
YはO、S、またはNR3を表し;
R1、R2、およびR3は同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D8)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D8)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項16】
医薬分野での使用のための請求項15に記載の一般式(D8)の化合物であって、例えば表8に記載の以下のD8群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表8.1】

【表8.2】

【表8.3】

【表8.4】

【表8.5】

【表8.6】

【表8.7】

【表8.8】

【請求項17】
医薬分野での使用のための一般式(D9)の化合物:
【化8】

(ここで、Zは、SまたはPを表し得;
Y1およびY2は、O、S、NH、NR4、またはNR5を表し得;
R1〜R5は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D9)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D9)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項18】
医薬分野での使用のための請求項17に記載の一般式(D9)の化合物であって、例えば表9に記載の以下のD9群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表9.1】

【表9.2】

【表9.3】

【請求項19】
医薬分野での使用のための一般式(D10)の化合物:
【化9】

(ここで、R1、R2、R3、およびR4は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D10)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D10)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項20】
医薬分野での使用のための請求項19に記載の一般式(D10)の化合物であって、例えば表10に記載の以下のD10群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表10.1】

【表10.2】

【表10.3】

【表10.4】

【表10.5】

【表10.6】

【表10.7】

【表10.8】

【表10.9】

【表10.10】

【表10.11】

【表10.12】

【表10.13】

【表10.14】

【表10.15】

【表10.16】

【表10.17】

【表10.18】

【表10.19】

【表10.20】

【表10.21】

【表10.22】

【表10.23】

【請求項21】
医薬分野での使用のための一般式(D11)の化合物:
【化10】

(ここで、R1、R2、およびR3は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D11)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D11)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項22】
医薬分野での使用のための請求項21に記載の一般式(D11)の化合物であって、例えば表11に記載の以下のD11群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表11.1】

【表11.2】

【表11.3】

【請求項23】
医薬分野での使用のための一般式(D12)の化合物:
【化11】

(ここで、XおよびZは、同一または異なり得、それぞれ独立してヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、およびアミノ(NH、NHR2、またはNR2R3)からなる群より選択され;
Yは、O、S、またはNR4を表し;
R1、R2、R3、およびR4は、同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D12)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D12)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項24】
医薬分野での使用のための請求項23に記載の一般式(D12)の化合物であって、例えば表12に記載の以下のD12群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表12.1】

【表12.2】

【表12.3】

【表12.4】

【表12.5】

【表12.6】

【請求項25】
医薬分野での使用のための一般式(D13)の化合物:
【化12】

(ここで、XおよびZは、同一または異なり得、それぞれ独立してヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、およびアミノ(NH、NHR2、またはNR2R3)からなる群より選択され;
Yは、O、S、またはNR5を表し;
該芳香環系は、環に1〜4個のN原子を有する同素または複素芳香環系を含む六員環であり得;
R1は、基本構造の芳香族環の置換を表し、5個までの置換基を表し得;
R1、R2、R3、およびR4は、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D13)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D13)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項26】
医薬分野での使用のための請求項25に記載の一般式(D13)の化合物であって、例えば表13に記載の以下のD13群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表13.1】

【表13.2】

【請求項27】
医薬分野での使用のための一般式(D14)の化合物:
【化13】

(ここで、Yは、O、S、またはNR5を表し;
R1、R2、R3、およびR4は、同一または異なり得、水素、非置換または置換された直鎖または分岐のC−C12アルキル、C−C12アルケニルおよびC−C12アルキニル、ヒドロキシ、チオール、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、N、O、PおよびSからなる群より選択される1個または数個のヘテロ原子を含んでいてもよい非置換または置換された非縮合または縮合アリールおよびシクロアルキル、非置換または置換されたアミノ、非置換または置換されたカルボニル、非置換または置換されたチオカルボニル、および非置換または置換されたイミノからなる群より選択され;そして
該複素芳香環残基または複素環残基が、該一般式(D14)の基本構造にC原子またはヘテロ原子を介して結合されている)
および該一般式(D14)の化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【請求項28】
医薬分野での使用のための請求項27に記載の一般式(D14)の化合物であって、例えば表14に記載の以下のD14群から選択されるが、非限定的である化合物、および該化合物の互変異性体および立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩、塩の誘導体、その互変異性体および立体異性体。
【表14.1】

【表14.2】

【請求項29】
請求項1から28のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含み、必要に応じて通常のキャリアおよび/またはアジュバントを組み合わせた、薬剤組成物。
【請求項30】
請求項1から28のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含み、必要に応じて通常のキャリアおよび/またはアジュバントを組み合わせた、化粧料組成物。
【請求項31】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性を阻害するための、使用。
【請求項32】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼすための、使用。
【請求項33】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、およびその他の自己免疫性疾患、ならびに炎症性疾患の予防および治療のための、使用。
【請求項34】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、アレルギー性気管支喘息およびその他のアレルギー性疾患の予防および治療のための、使用。
【請求項35】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、移植された組織および細胞の拒絶反応の予防および治療のための、使用。
【請求項36】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、皮膚病および粘膜症、例えば、乾癬、ざ瘡の予防および治療、線維芽細胞の異常増殖および変異した分化状態に関連する皮膚病の予防および治療、好ましくは良性の線維性および硬化性の皮膚病、および悪性の線維芽細胞異常増殖状態の予防および治療のための、使用。
【請求項37】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、急性神経疾患、特に、虚血性または出血性脳卒中後の虚血性に起因する脳障害、頭部外傷、心停止、心筋梗塞または心臓手術後の心筋梗塞の予防および治療のための、使用。
【請求項38】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、慢性神経疾患、特に、アルツハイマー病、ピック病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型痴呆、パーキンソン病、特に第17染色体に関連するパーキンソン病、ハンチングトン病、プリオンに起因する疾患、および筋萎縮性側索硬化症の予防および治療のための、使用。
【請求項39】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、アテローム性動脈硬化症、動脈の炎症、脈管炎、およびステント再狭窄、さらにまた、例えば、経皮経管血管形成術後の薬剤コーティングされたステントの形態でのステント再狭窄、および再潅流症候群の予防および治療のための、使用。
【請求項40】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)における炎症反応、または生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)に起因する炎症反応の予防および治療のための、使用。
【請求項41】
請求項40に記載の使用であって、前記化合物または組成物の少なくとも1つを前記デバイス上にコーティングまたは層とした形態、または前記化合物または組成物の少なくとも1つを前記デバイスの材料に物質として混合した形態で;または引き続いてまたは並行して、局所的投与または全身投与する形態での使用。
【請求項42】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防および治療のための、使用。
【請求項43】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、前立腺ガンおよびその他の腫瘍、ならびに転移の予防および治療のための、使用。
【請求項44】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、重症急性呼吸器症候群(SARS)の予防および治療のための、使用。
【請求項45】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、敗血症および敗血症様の状態の予防および治療のための、使用。
【請求項46】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性を阻害する医薬品の製造のための、使用。
【請求項47】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、単独でまたはアラニルアミノペプチダーゼの阻害剤または類似の酵素の阻害剤とともに組み合わせて、ジペプチジルペプチダーゼIVまたは類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼす医薬品の製造のための、使用。
【請求項48】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、およびその他の自己免疫性疾患、ならびに炎症性疾患を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項49】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、アレルギー性気管支喘息およびその他のアレルギー性疾患を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項50】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、移植された組織および細胞の拒絶反応を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項51】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物の使用であって、皮膚病および粘膜症、例えば、乾癬、ざ瘡の予防および治療、線維芽細胞の異常増殖および変異した分化状態に関連する皮膚病の予防および治療、好ましくは良性の線維性および硬化性の皮膚病、および悪性の線維芽細胞異常増殖状態の予防および治療を行う医薬品の製造のための、使用。
【請求項52】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、急性神経疾患、特に、虚血性または出血性脳卒中後の虚血性に起因する脳障害、頭部外傷、心停止、心筋梗塞または心臓手術後の心筋梗塞を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項53】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、慢性神経疾患、特に、アルツハイマー病、ピック病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型痴呆、パーキンソン病、特に第17染色体に関連するパーキンソン病、ハンチングトン病、プリオンに起因する疾患、および筋萎縮性側索硬化症を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項54】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、アテローム性動脈硬化症、動脈の炎症、脈管炎、およびステント再狭窄、さらにまた、例えば、経皮経管血管形成術後の薬剤コーティングされたステントの形態でのステント再狭窄、および再潅流症候群を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項55】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)における炎症反応、または生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)に起因する炎症反応を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項56】
請求項55に記載の使用であって、前記化合物または組成物の少なくとも1つを前記デバイス上にコーティングまたは層とした形態、または前記化合物または組成物の少なくとも1つを前記デバイスの材料に物質として混合した形態で;または引き続いてまたは並行して、局所的投与または全身投与する形態での使用。
【請求項57】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項58】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、前立腺ガンおよびその他の腫瘍、ならびに転移を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項59】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、重症急性呼吸器症候群(SARS)を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項60】
請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の使用であって、敗血症および敗血症様の状態を予防および治療する医薬品の製造のための、使用。
【請求項61】
アラニルアミノペプチダーゼまたは類似の酵素の活性を阻害する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物を、該酵素活性の阻害のために必要とされる量で投与することによって、単独でまたはジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤または類似の酵素の阻害剤と組み合わせて阻害する、方法。
【請求項62】
アラニルアミノペプチダーゼまたは類似の酵素の活性に対して局所的に影響を及ぼす方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物、薬剤組成物、または化粧料組成物を、該酵素活性に対して作用を及ぼすのに必要とされる量で投与することによって、単独でまたはジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤または類似の酵素の阻害剤と組み合わせて影響を及ぼす、方法。
【請求項63】
多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、およびその他の自己免疫性疾患、ならびに炎症性疾患を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項64】
気管支喘息およびその他のアレルギー性疾患を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項65】
例えば、同種異系の腎臓移植または幹細胞移植のような移植された組織および細胞の拒絶反応を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項66】
皮膚病および粘膜症、例えば、乾癬、ざ瘡の予防および治療、線維芽細胞の異常増殖および変異した分化状態に関連する皮膚病の予防および治療、良性の線維性および硬化性の皮膚病、および悪性の線維芽細胞異常増殖状態を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項67】
急性神経疾患、特に、虚血性または出血性脳卒中後の虚血性に起因する脳障害、頭部外傷、心停止、心筋梗塞または心臓手術後の心筋梗塞を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項68】
慢性神経疾患、特に、アルツハイマー病、ピック病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型痴呆、パーキンソン病、特に第17染色体に関連するパーキンソン病、ハンチングトン病、プリオンに起因する疾患、および筋萎縮性側索硬化症を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項69】
アテローム性動脈硬化症、動脈の炎症、ステント再狭窄、さらにまた、例えば、経皮経管血管形成術後の薬剤コーティングされたステントの形態でのステント再狭窄、および再潅流症候群を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項70】
生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)における炎症反応、または生体内に植え込まれた医療技術デバイス(医療デバイス)に起因する炎症反応を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項71】
前記投与が、引き続きまたは並行してのいずれかで、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物の局所的投与または全身投与の形態で行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記投与が、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または組成物を前記デバイス上にコーティングまたは層とした、もしくは請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または組成物を前記デバイスの材料に物質として混合した付与により行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項74】
前立腺ガンおよびその他の腫瘍、ならびに転移を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項75】
重症急性呼吸器症候群(SARS)を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。
【請求項76】
敗血症および敗血症様の状態を予防および治療する方法であって、請求項1から30のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物または薬剤組成物を、予防または治療のために必要とされる量で投与する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−500270(P2008−500270A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534708(P2006−534708)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011645
【国際公開番号】WO2005/037779
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(505008187)イーエムテーエム ゲーエムベーハー (8)
【出願人】(504033511)キーニューロテック ファーマシューティカルズ アーゲー (4)
【Fターム(参考)】