説明

記憶素子の作製方法、レーザ照射装置及びレーザ照射方法

【課題】レーザ照射パターンを切り替えながら、所望の位置に高速にレーザ照射を行う方法を提案する。
【解決手段】レーザ発振器から射出したレーザビームを偏向器に入射し、前記偏向器を通過したレーザビームを回折光学素子に入射して複数に分岐させる。そして、前記複数に分岐されたレーザビームを絶縁膜上に形成されたフォトレジストに照射し、前記レーザビームが照射されたフォトレジストを現像して前記絶縁膜を選択的にエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ直接描画法などで行われるレーザ照射を効率よく行うためのレーザ照射装置、レーザ照射方法に関する。また、前記のレーザ照射の工程を含んで作製された記憶素子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程やプリント基板製造工程などにおいて、回路の集積化に伴い、微細加工が必須となっている。一般にそのような微細加工は、回路パターンを書き込んだフォトマスクを事前に作製し、そのパターンを基板に転写するレーザ露光技術によって行われている。しかし、フォトマスクを使用する方法ではマスクの作製に費用、時間がかかる。そのため、近年ではマスクレスプロセスが注目されている。マスクレスプロセスとして代表的なものに、レーザ直接描画法がある。レーザ直接描画法では、スパッタリングなどにより成膜された導電膜上に感光性材料を吐出または塗布し、その上にレーザビーム直接描画装置を用いてレーザビームを照射する。その際に、レーザビームの照射を選択的に行い、さらに現像を行うことにより、レーザビームが照射された領域にマスクを形成する。次に、このマスクを用いて導電膜をエッチングすることにより、導電膜を所望のパターンに加工することができる。これにより、TFT(薄膜トランジスタ)やICの回路パターンを作製することができる。
【0003】
レーザ直接描画法で処理を行う際に、一本のレーザビームによりレーザ照射を行うと一度に処理できる領域は一箇所に限られる。したがって、複数の照射ポイントを高速にレーザ処理したい場合、レーザビームを複数に分割する必要がある。レーザビームを複数に分割してレーザ照射する技術としては、例えば回折光学素子を利用し、レーザビームを複数のビームスポットに分割して照射するレーザ加工装置が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−228818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、産業界においてRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるIDチップの導入が検討されている。IDチップは、非接触で物体に取り付けられた情報を取得できるため、製品の管理が容易になる。例えば、製造ラインでの工程管理や在庫管理を行う際に、従来のようにバーコードを一つずつスキャンしていた作業が不要となる。また、物流システムにおいてトレーサビリティを実現できるため、製品の盗難や偽造を防止することができる。IDチップはこれら以外にも極めて応用範囲が広く、あらゆる物品の個体認識用のチップとして適用することが可能である。
【0005】
IDチップを製作する場合、それぞれのチップに固有のIDを割り振る必要がある。IDはROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)に情報を格納することにより作製する。ROMは不揮発性メモリの一種であり、物理的な変化でデータを記憶させたものである。データの記憶方法としては、トランジスタをビット線に接続するか否かにより”0”か”1”のバイナリ情報を決定する「コンタクト書き込み」と呼ばれる方法や、イオン注入によって、必要なメモリトランジスタのしきい値電圧(MOSトランジスタのスイッチをオンにできる電圧)Vtを変える「イオン書き込み」と呼ばれる方法などがある。以降本明細書では、コンタクト書き込みによってデータを記憶させる場合について説明する。
【0006】
レーザ直接描画法でROMを作製する場合、レーザ照射パターンを変化させることにより、回路パターンを切り替えることができるため、所望の情報を有するROMを作製することができる。ここで、例えばROMのメモリ容量をNビット(N>1)としてIDを作製する場合、レーザ照射パターンは2通り可能である。例えば256ビットの場合、レーザ照射パターンの組み合わせを変えることにより、2256通りのIDを作製することができる。このように、種々のパターンでレーザ照射したい場合、特許文献1に記載のレーザ加工装置では、それぞれの照射パターンを切り分ける機能が無いため、ROMごとにIDを割り振ることが困難であった。なお、当然従来のマスク露光プロセスにおいても、種々のIDを割り振るためにはマスクの使い分けが必要となるため、実際の量産を前提とした半導体作製工程においては現実的なプロセスではなかった。
【0007】
また、このようなNビットのROMを作製する場合、レーザ照射箇所はN箇所となる。したがって、例えば、IDチップの大量生産を行うため、600×720mmサイズのガラス基板上に数mm角のチップを作製する場合を考えると、一枚の基板あたり数百万〜数千万個の位置にレーザ照射する必要が生じる。このような膨大なレーザ照射を行う場合、処理を高速化することが必須であり、これについても特許文献1による方法では十分なものとは言えなかった。そのようなことから、レーザ照射パターンを高速に切り替え、基板上に効率よくレーザ露光できる装置が求められていた。
【0008】
本発明では上記課題に鑑み、レーザ照射パターンを切り替えながら、所望の位置に高速にレーザ照射を行うためのレーザ照射装置、レーザ照射方法を提供する。また、前記レーザ照射方法を含む記憶素子の作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る記憶素子の作製方法の一は、基板上にソース電極又はドレイン電極を有する複数の島状半導体層を形成し、複数の島状半導体層上に第1の層間絶縁膜を形成し、第1の層間絶縁膜を介して複数の島状半導体層上に、それぞれゲート電極を形成し、ゲート電極上に第2の層間絶縁膜を形成し、第2の層間絶縁膜上にレジストを設け、該レジストに、偏向器及び回折光学素子を通過して複数に分岐したレーザビームを照射し、レーザビームが照射されたレジストを現像し、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を、レジストをマスクとしてエッチングし、選択的にコンタクトホールを形成する。
【0010】
本発明に係る記憶素子の作製方法の一は、基板上にソース電極又はドレイン電極を有する複数の島状半導体層を形成し、複数の島状半導体層上に第1の層間絶縁膜を形成し、第1の層間絶縁膜を介して複数の島状半導体層上に、それぞれゲート電極を形成し、ゲート電極上に第2の層間絶縁膜を形成し、第2の層間絶縁膜上にレジストを設け、レジストに、それぞれ異なる偏向器及び回折光学素子を通過して、それぞれ複数に分岐した複数のレーザビームを照射し、レーザビームが照射されたレジストを現像し、第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜を、レジストをマスクとして選択的にエッチングし、選択的にコンタクトホールを形成する。
【0011】
本発明に係るレーザ照射装置の一は、レーザビームを射出するレーザ発振器と、レーザビームの偏向を行う偏向器と、偏向器を通過したレーザビームを複数のレーザビームに分岐する回折光学素子と、複数に分岐されたレーザビームが照射される被照射体が設置される搬送ステージとを有する。
【0012】
本発明に係るレーザ照射装置の一は、レーザビームを射出する複数のレーザ発振器と、レーザビームの偏向を行う複数の偏向器と、複数の偏向器を通過した1本のレーザビームを複数のレーザビームに分岐する回折光学素子と、複数に分岐されたレーザビームが照射される被照射体が設置される搬送ステージとを有する。
【0013】
このレーザ照射装置において、偏向器は、音響光学偏向器又はガルバノミラーであることが好ましい。
【0014】
このレーザ照射装置において、回折光学素子は透過型回折光学素子又は反射型回折光学素子であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るレーザ照射方法の一は、レーザ発振器から射出したレーザビームを偏向器に入射し、偏向器を通過したレーザビームを回折光学素子に入射して複数に分岐し、複数に分岐されたレーザビームを被照射面上に照射する。
【0016】
本発明に係るレーザ照射方法の一は、複数のレーザ発振器から射出したレーザビームそれぞれを異なる複数の偏向器に入射し、偏向器を通過した複数のレーザビームそれぞれを異なる複数の回折光学素子に入射し、回折光学素子を通過することで1本のレーザビームは複数に分岐され、複数に分岐されたレーザビームを被照射面上に照射する。
【0017】
このレーザ照射方法において、複数に分岐されたレーザビームは投影レンズを通過した後、被照射面上に照射されるようにしても良い。
【0018】
本発明に係るレーザ照射方法の一は、レーザ発振器から射出したレーザビームを偏向器に入射し、偏向器を通過したレーザビームを回折光学素子に入射して複数に分岐し、複数に分岐されたレーザビームを絶縁膜上に形成されたフォトレジストに照射する。
【0019】
このレーザ照射方法において、レーザビームが照射されたフォトレジストを現像して絶縁膜をエッチングし、選択的にコンタクトホールを作製しても良い。
【0020】
このレーザ照射方法において、複数に分岐されたレーザビームは投影レンズを通過した後、絶縁膜上に照射されるようにしても良い。
【0021】
このレーザ照射方法において、回折光学素子として透過型回折光学素子又は反射型回折光学素子を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明において、回折光学素子と偏向器を組み合わせて使用することにより、種々の照射パターンを切り替えながらレーザ照射を行うことができる。また、複数のビームスポットを一度に形成することができ、効率よくレーザビームを照射することができる。さらに、レーザビームの進行方向を高速に制御することが可能であるため、複雑または複数の照射ポイントをレーザ処理する必要のある場合において効率良くレーザ照射を行うことができる。そのため、本発明のレーザ照射装置を半導体膜上のレーザ直接描画プロセスに適用することにより、ROMにデータを記憶させることが容易となり、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、レーザ照射パターンを切り替えながら、所望の位置に高速にレーザ照射を行う装置構成及びレーザ照射方法について図1〜4を用いて説明する。
【0025】
ROMを作製する場合、バイナリ情報の”0”と”1”を区別するため、トランジスタの配線方法を変えることにより情報を記憶させる。図1に、コンタクト書き込みを行ったメモリセルの回路構成の一例を示す。図1(A)はバイナリ情報の”0”を保持する回路構成である。この構成において、トランジスタ102はメモリセルを駆動するワード線101と、ビット線103に接続されている。ここでビット線との接続は、領域104に形成された配線により行われている。一方、図1(B)は、バイナリ情報の”1”を保持する回路構成である。この構成において、トランジスタ102は、ビット線との接続がなされていない。領域105は、レーザ直接描画法によりレーザ照射が行われ、配線が除去された領域となっている。上記のメモリセルの回路構成と配置は、レーザ直接描画法におけるレーザ照射パターンによって決定される。
【0026】
ここで、図2に256ビットのROMにおけるレーザ照射パターンの一例を示す。図2においてメモリセル201は256個あり、横方向の領域203に16列、縦方向の領域204に16列の構成で配置されている。網掛けの丸で示した点202はレーザビームが照射された領域である。レーザビームは、一つのメモリセルにつき一箇所照射される。図中のメモリセル201において、上側にレーザビームが照射された場合、レーザビームが照射された領域では配線が除去され、図1(B)の回路が形成される。一方図中のメモリセル201の下側にレーザビームが照射された場合、図1(A)に対応する回路が形成される。なお、図中のメモリセル201において、下側の領域はダミー領域となっており、導電膜が存在しない領域となっている。そのため、この部分にレーザビームが照射されたとしてもメモリセルの回路構成には影響が与えられない構成となっている。
【0027】
このようにレーザ照射位置により、バイナリ情報を区別してメモリセルを作製することができるが、256ビットのROMを作製する場合、レーザビームの照射パターンを2256通りのパターンに書き換えられる機能が必要となる。しかし、このようなパターンを一度に形成することは困難であるため、本実施の形態では、256個のメモリセルの中で一部を照射ユニットとして考え、ユニットごとにレーザ照射を行う。例えば、メモリセルU個(U>1)を一つのユニットとして考えると、ユニット内において照射パターンを2通りに切り替えることができれば、可能なレーザビームの照射パターンをすべて形成することができる。一例として、メモリセル4個を一つのユニットとして考えた時の、2通りの具体的な照射パターンについて図3に示す。このような照射パターンをユニットごとに切り替えてレーザ照射することにより、ROMを構成する全てのメモリセルに対して所望の位置にレーザ照射を行うことができる。なお、一つのROM(Xビット)を作製する際に、上記の照射パターンを切り替える回数はX/Uとなる。
【0028】
次に、図4を用いて具体的なレーザ照射方法を説明する。図4は、本実施の形態におけるレーザ照射装置のブロック図を示したものである。まず、レーザ発振器301から射出したレーザビームは、偏向器302を通過する。本実施の形態では、偏向器302としてAOD(Acousto−Optical Deflector、音響光学偏向器)を使用した例について示す。なお、本発明で使用する偏向器はAODに限定されない。例えば、ガルバノミラーを使用し、レーザビームの進行方向を制御してもよい。AODとは、光学媒体内での音響光学効果によりレーザビームの偏向を行うものである。この際の偏向角度θは、下記の式(1)で表される。
【0029】
【数1】

【0030】
ここで、λはレーザビームの波長、fは音響波周波数、Vは音響波速度をあらわす。なお、光学媒体はレーザビームの波長や偏向方向、レーザパワーなどに応じて適宜選択する。例えば、可視領域では、光学媒体として、ガリウムリン、二酸化テルル、インジウムリンなどの材質を使用することができる。音響周波数に比例した偏向角度で偏向されたレーザビームはコリメートレンズ303に入射する。コリメートレンズ303の焦点距離はfとし、AODから距離f離れた位置にコリメートレンズ303を配置する。これによりコリメートレンズ303を通過したレーザビームはAODの偏向角度によらず、すべて光軸と平行方向に進行することになる。なお、ここでコリメートレンズ303は、レーザビームの進行方向を制御することで回折光学素子の設計を容易にし、回折効率を上げるために使用しているものである。したがって、露光プロセスに対して十分に許容される回折効率や、ビーム特性が得られる回折光学素子が設計できる場合、コリメートレンズ303は使用しなくてもよい。
【0031】
さらにレーザビームを透過型回折光学素子304に入射させる。なお、ここで用いる回折光学素子は、屈折や反射により光をコントロールするのではなく、その面構造の回折現象によりレーザビームの挙動をコントロールするものである。回折光学素子の設計は、ORA(Optimal Rotation Angle)法などにより、位相分布を最適化することにより行われる。また、波動光学的解析を行うことのできる光学設計ソフトで回折光学素子を自動設計することも可能である。回折光学素子の物理形状としては、2値位相格子、あるいは、多値位相格子または連続位相格子などを適用することができる。透過型回折光学素子304はレーザビームを分岐させる機能を持たせて設計する。その分岐パターンは、例えば図3に示したように作製する。図3の(1)から(16)で示される16のパターンは、4本のレーザビームの照射位置の組み合わせを表したものである。これらのパターンを形成することのできる16種類の回折光学素子を作製する。さらに作成した16種類の回折光学素子を積み重ねて、AODで偏向されたレーザビームを、16種類の回折光学素子のいずれかに入射させるようにする。
【0032】
また、回折光学素子で分岐させたレーザビームは、すべて、図4中の305の領域に集光させるように設計する。なお、本実施の形態において、領域305において集光された複数のビームスポットは紙面垂直方向に並んで形成されている。そして、領域305を通過したレーザビームは投影レンズ306に入射する。投影レンズ306は、領域305に形成されたビームスポットを照射面に投影するために設置したものである。領域305と照射面は、投影レンズ306によって互いに共役の関係となっており、領域305から投影レンズ306までの距離をa、投影レンズ306から照射面までの距離をb、投影レンズ306の焦点距離をfとおくと、式(2)の共役方程式が成立している。
【0033】
【数2】

【0034】
なお、投影レンズ306は、領域305に形成されたビームスポットを照射面に転送することにより、ビームスポットの縮小投影などを可能にし、照射面に対してより微細な加工ができるように設置するものである。したがって、領域305に所望のビームスポットが形成されている場合、投影レンズ306は設置しなくともかまわない。投影レンズ306を通過したレーザビームはミラー307により、照射面の方向にその進行方向が偏向される。照射面である基板308には、半導体膜、導電膜、レジスト層などが積層されており、上記の光学系によりレーザビームが照射される。ここで照射されるレーザビームのパターンは、透過型回折光学素子304を構成する個々の回折光学素子のパターンに応じて形成される。基板308は吸着ステージ309に吸着されており、吸着ステージ309は搬送ステージ310により図中のX軸に沿って搬送される。このときの搬送速度は所望のレーザ照射パターンの間隔に応じて適宜決定するとよい。例えば、X軸方向にD(μm)の間隔でレーザ照射を行いたい場合、パルスレーザのレーザ発振器の発振周波数をH(Hz)とすると、搬送ステージ310の搬送速度V(m/sec)は下記の式(3)で決定できる。
【0035】
【数3】

【0036】
例えば、発振周波数が1kHzのレーザを用いてX軸方向に100μm間隔でレーザ照射を行う場合、搬送速度は10cm/secとすればよい。X軸方向の走査が終わったら、搬送ステージ311で基板をY軸方向(図では紙面垂直方向)に動作させる。所望の位置までY軸方向の動作が終わったら、再びX軸方向に搬送ステージ310を動作させながらレーザ照射を行う。
【0037】
なお、レーザ発振器301にパルス発振レーザを用い、パルスごとにAODの偏向角度を変えてレーザ照射を行う場合、レーザ発振器301の発振間隔と、AODの偏向周期とは完全に同期させて行う必要がある。また、基板面内に精密に位置決めしてレーザ照射を行うためには、搬送ステージ310、または311の動作とレーザ発振器301およびAODとを連動して動作させる必要がある。その場合、コンピューター312によりこれらの動作を制御するとよい。具体的には、搬送ステージ310、311には、その位置を確認することのできるエンコーダーが付属しており、コンピューター312でエンコーダーからの位置情報を把握する。さらに、所望の位置に搬送ステージ310、または311が到達した時点で、レーザ発振器301に対して動作信号を出力する。レーザ発振器301には内部シャッターが備えられており、動作信号を受けた瞬間に、シャッターが開き、レーザ照射が開始される。また、コンピューター312は、基板面内のレーザ照射パターンを記憶したメモリから、X軸方向に並んだ照射ユニットの照射パターンをあらかじめ読み込んでおく。搬送ステージ310をX軸方向に動作させ、レーザ発振器301を発振させたところで、この読み込んだパターン順にAODの偏向角度を制御する。なお、レーザ発振器301とAODの動作を同期させるためには、レーザ発振器からレーザ発振周期で発生するトリガー信号をモニターし、これに合わせてAODを動作させるとよい。または、レーザ発振器から射出するレーザビームの一部を光電素子などでモニターし、これによる電気信号に同期させてAODを動作させる構成としてもよい。なお、ここでは1つのレーザパルスで1つの照射パターンを照射する例について示したが、本発明のレーザ照射装置の構成はこれに限定されない。例えば、感光性が悪い材料にレーザ照射する場合などには、1つのレーザ照射パターンにつき複数のレーザパルスを重ねて照射する構成としてもよい。上記の構成により、感光材料に最適な方法で露光プロセスを行うことが可能になる。
【0038】
上記の方法でレーザ照射を行うことにより、レーザ照射パターンを高速に切り替え、基板上に効率よくレーザ照射することが可能になる。本発明のレーザ照射装置は複数のパターンのレーザビームを照射して露光プロセスを行うことができるので、ROMのように露光するパターンを頻繁に変更する製品の作製工程に本発明のレーザ照射装置を適用することで生産性を高めることができる。例えば、IDチップのROM作製工程などに本発明のレーザ照射装置を応用すれば、複数のパターンを持つIDを安価に量産することができる。
(実施の形態2)
【0039】
本実施の形態では、反射型回折光学素子を使用してレーザビームを分割してレーザ照射する装置構成及びレーザ照射方法について説明する。
【0040】
図5は、本実施の形態のレーザ照射装置のブロック図を示したものである。レーザ発振器401から射出したレーザビームは、偏向器402を通過する。本実施の形態では、偏向器402としてAOD(音響光学偏向器)を使用した例について示す。なお、本発明で使用する偏向器はAODに限定されない。例えば、ガルバノミラーを使用してレーザビームの進行方向を制御してもよい。AODとは、光学媒体内での音響光学効果によりレーザビームの偏向を行うものである。AODに加えられた音響周波数に比例した偏向角度で偏向されたレーザビームは反射型回折光学素子403に入射する。反射型回折光学素子403はレーザビームを基板方向に偏向させ、かつ分岐させる機能を持たせて設計する。その分岐パターンは、一度に照射するレーザビームの本数をUとすると、2通り必要となる。そこで、それぞれの分岐パターンに応じた回折光学素子を作製する。さらに、図6(A)に示すように、それぞれの分岐パターンに応じた回折光学素子を積み重ねて反射型回折光学素子403を構成する。なお、本発明で使用する反射型回折光学素子403の構成はこれに限定されない。例えば、AODと反射型回折光学素子403の間に設置したガルバノミラーなどでレーザビームの進行方向を2次元的に制御し、図6(B)で示したように、異なる分岐パターンを有する回折光学素子を格子状に配置したものにレーザビームを入射させる構成としてもよい。AODで偏向されたレーザビームは、それぞれのパターンを形成する回折光学素子のいずれかに入射させるようにする。また、反射型回折光学素子403で分岐させたレーザビームは、すべて、図中の領域404に集光させるように設計する。なお、本実施の形態において、領域404において集光された複数のビームスポットは、紙面垂直方向に並んで形成されている。そして、領域404を通過したレーザビームは投影レンズ405に入射する。投影レンズ405は、領域404に形成されたビームスポットを照射面に投影するために設置したものである。領域404と照射面は互いに共役の関係となっており、領域404から投影レンズ405までの距離をa、投影レンズ405から照射面までの距離をb、投影レンズ405の焦点距離をfとおくと、式(4)の共役方程式が成立している。
【0041】
【数4】

【0042】
なお、投影レンズ405は、領域404に形成されたビームスポットを照射面に転送することにより、ビームスポットの縮小投影などを可能にし、照射面に対してより微細な加工ができるように設置するものである。したがって、領域404に所望のビームスポットが形成されている場合、投影レンズ405は設置しなくともかまわない。投影レンズ405を通過したレーザビームは照射面である基板406に照射される。基板406には、半導体膜、導電膜、レジスト層などが積層されている。ここで照射されるレーザビームのパターンは、反射型回折光学素子403を構成する個々の回折光学素子のパターンに応じて形成される。基板406は吸着ステージ407に吸着されており、吸着ステージ407は搬送ステージ408により図中のX軸に沿って搬送される。このときの搬送速度は所望のレーザ照射パターンの間隔に応じて適宜決定するとよい。例えば、X軸方向にD(μm)の間隔でレーザ照射を行いたい場合、パルスレーザのレーザ発振器の発振周波数をH(Hz)とすると、搬送ステージ408の搬送速度V(m/sec)は下記の式(5)で決定できる。
【0043】
【数5】

【0044】
例えば発振周波数が1kHzのレーザを用いてX軸方向に100μm間隔でレーザ照射を行う場合、搬送速度は10cm/secとすればよい。X軸方向の走査が終わったら、搬送ステージ409で基板をY軸方向(図では紙面垂直方向)に動作させる。所望の位置までY軸方向の動作が終わったら、再びX軸方向に搬送ステージ408を動作させながらレーザ照射を行う。
【0045】
なお、レーザ発振器401にパルス発振レーザを用い、パルスごとにAODの偏向角度を変えてレーザ照射を行う場合、レーザ発振器401の発振間隔と、AODの偏向周期とは完全に同期させて行う必要がある。また、基板面内に精密に位置決めしてレーザ照射を行うためには、搬送ステージ408、または409の動作とレーザ発振器401およびAODとを連動して動作させる必要がある。その場合、コンピューター410によりこれらの動作を制御するとよい。具体的には、搬送ステージ408、409には、その位置を確認することのできるエンコーダーが付属しており、コンピューター410でエンコーダーからの位置情報を把握する。さらに、所望の位置に搬送ステージ408または409が到達した時点で、レーザ発振器401に対して動作信号を出力する。レーザ発振器401には内部シャッターが備えられており、動作信号を受けた瞬間に、シャッターが開き、レーザ照射が開始される。また、コンピューター410は、基板面内のレーザ照射パターンを記憶したメモリから、X軸方向に並んだ照射ユニットの照射パターンをあらかじめ読み込んでおく。搬送ステージ408をX軸方向に動作させ、レーザ発振器401を発振させたところで、この読み込んだパターン順にAODの偏向角度を制御する。なお、レーザ発振器401とAODの動作を同期させるためには、レーザ発振器からレーザ発振周期で発生するトリガー信号をモニターし、これに合わせてAODを動作させるとよい。または、レーザ発振器から射出するレーザビームの一部を光電素子などでモニターし、これによる電気信号に同期させてAODを動作させる構成としてもよい。なお、ここでは1つのレーザパルスで1つの照射パターンを照射する例について示したが、本発明のレーザ照射装置の構成はこれに限定されない。例えば、感光性が悪い材料にレーザ照射する場合などには、1つのレーザ照射パターンにつき複数のレーザパルスを重ねて照射する構成としてもよい。上記の構成により、感光材料に最適な方法で露光プロセスを行うことが可能になる。
【0046】
上記の方法でレーザ照射を行うことにより、レーザ照射パターンを高速に切り替え、基板上に効率よくレーザ照射することが可能になる。本発明のレーザ照射装置は複数のパターンのレーザビームを照射して露光プロセスを行うことができるので、ROMのように露光するパターンを頻繁に変更する製品の作製工程に適用することで生産性を高めることができる。例えば、IDチップのROM作製工程などに応用すれば、複数のパターンを持つIDを安価に量産することができる。
(実施の形態3)
【0047】
本実施の形態では、様々な照射パターンを形成することのできる光学系を複数配置し、複数の照射点に対して効率的にレーザビームを照射をすることが可能であるレーザ照射装置及びレーザ照射方法について説明する。
【0048】
図7は、本実施の形態のレーザ照射装置の斜視図を示したものである。図7に示すレーザ照射装置は、素子設置台510上に4組の光学系が設置されている。本実施の形態において、1組の光学系はレーザ発振器501、偏向器502、コリメートレンズ503、透過型回折光学素子504、ミラー505、投影レンズ506をそれぞれ1つずつ有している。レーザ発振器501から射出したレーザビームは、偏向器を通過する。本実施例では、偏向器502としてAOD(音響光学偏向器)を使用した例について示す。なお、本発明で使用する偏向器はAODに限定されない。例えばガルバノミラーを使用し、レーザビームの進行方向を制御してもよい。AODとは、光学媒体内での音響光学効果によりレーザビームの偏向を行うものである。
【0049】
次に、AODに加えられた音響周波数に比例した偏向角度で偏向されたレーザビームがコリメートレンズ503に入射する。コリメートレンズ503の焦点距離はfとし、AODから距離f離れた位置にコリメートレンズ503を配置する。これによりコリメートレンズ503を通過したレーザビームはAODの偏向角度によらず、すべて光軸と平行方向に進行することになる。なお、ここでコリメートレンズ503は、レーザビームの進行方向を制御することで回折光学素子の設計を容易にし、回折効率を上げるために使用しているものである。したがって、露光プロセスに対して十分に許容される回折効率や、ビーム特性が得られる回折光学素子が設計できる場合、コリメートレンズ503は使用しなくてもよい。
【0050】
さらにレーザビームは透過型回折光学素子504に入射する。透過型回折光学素子504はレーザビームを分岐させる機能を持たせて設計する。その分岐パターンは、一度に照射するレーザビームの本数をUとすると、2通り必要となる。そこで、それぞれの分岐パターンに応じた回折光学素子を作製する。さらに、図6(A)に示すように、それぞれの分岐パターンに応じた回折光学素子を積み重ねて透過型回折光学素子504を構成する。なお、本発明で使用する透過型回折光学素子504の構成はこれに限定されない。例えば、AODと透過型回折光学素子504の間に設置したガルバノミラーなどでレーザビームの進行方向を2次元的に制御し、図6(B)で示したように、異なる分岐パターンを有する回折光学素子を格子状に配置したものにレーザビームを入射させる構成としてもよい。
【0051】
ここで、AODで偏向されたレーザビームは、それぞれのパターンを形成する回折光学素子のいずれかに入射させるようにする。4台のレーザ発振器501から射出された4本のレーザビームはそれぞれ1本ずつ4枚の透過型回折光学素子504のいずれかに入射する。そして、それぞれのレーザビームは、透過型回折光学素子504を通過することにより複数のレーザビームに分岐される。つまり、複数のレーザ発振器から射出したレーザビームそれぞれは異なる偏向器に入射され、前記偏向器を通過したレーザビームそれぞれは異なる透過型回折光学素子に入射され、前記透過型回折光学素子を通過することで前記レーザビームはそれぞれ複数に分岐されている。
【0052】
また、透過型回折光学素子504によって分岐されたレーザビームは、ミラー505により、照射面の方向にその進行方向が偏向される。ミラー505により偏向されたレーザビームは投影レンズ506を通過する。投影レンズは透過型回折光学素子504により形成されたビームスポットを照射面である基板507上に縮小投影するために使用するものである。これにより、照射面に対して微細な加工が可能となる。なお、上記の光学素子は、素子設置台510に配置されている。図7は同じ素子構成からなる4つの光学系を設置した例について示しているが、光学系の構成についてはこれに限定されない。
【0053】
図7に示すレーザ照射装置を用いることにより、4台のレーザ発振器から射出された複数のレーザビームを同一基板上に同時にレーザ照射することが可能であり、レーザ照射工程のスループットを向上させることができる。なお、レーザ照射装置内に設置する光学系の数についてはこれに限定されない。光学系を構成する素子サイズや、所望の量産性等を勘案し適宜決定するとよい。
【0054】
基板507には、半導体膜、導電膜、レジスト層などが積層されており、上記の光学系によりレーザビームが照射される。ここで照射されるレーザビームのパターンは、透過型回折光学素子504を構成する個々の回折光学素子のパターンに応じて形成される。基板507は吸着ステージ508に吸着されており、吸着ステージ508は搬送ステージ509により図中のX軸に沿って搬送される。このときの搬送速度は所望のレーザ照射パターンの間隔に応じて適宜決定するとよい。例えば、X軸方向にD(μm)の間隔でレーザ照射を行いたい場合、パルスレーザのレーザ発振器の発振周波数をH(Hz)とすると、搬送ステージ509の搬送速度V(m/sec)は下記の式(6)で決定できる。
【0055】
【数6】

【0056】
例えば、発振周波数が1kHzのレーザを用いてX軸方向に100μm間隔でレーザ照射を行う場合、搬送速度は10cm/secとすればよい。X軸方向の走査が終わったら、素子設置台510を載せた搬送ステージ511をY軸方向に動作させる。所望の位置までY軸方向の動作が終わったら、再びX軸方向に搬送ステージ509を動作させながらレーザ照射を行う。
【0057】
上記の方法でレーザ照射を行うことにより、レーザ照射パターンを高速に切り替え、基板上に効率よくレーザ照射することが可能になる。また、同時に基板内の複数の領域を処理できる。本発明のレーザ照射装置は複数のパターンにレーザビームを照射して露光プロセスを行うことができるので、ROMのように露光するパターンを頻繁に変更する製品の作製工程に適用することで生産性を高めることができる。例えば、IDチップのROM作製工程などに応用すれば、複数のパターンを持つIDを安価に量産することができる。
【実施例1】
【0058】
本実施例では、絶縁基板上に不揮発性メモリ回路、変調回路、復調回路、論理回路などに用いる半導体素子を作製する方法について図8を用いて説明する。なお、本実施例では半導体素子としてnチャネル型の薄膜トランジスタ(以下TFTと記す)、pチャネル型TFTを例に挙げて示すが、本発明においてメモリ部および論理回路部に含まれる半導体素子はこれに限定されない。また、本実施例で示す作製方法は一例であって、絶縁基板上での半導体素子の作製方法を限定するものではない。
【0059】
まず、ガラス基板である絶縁基板3000上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの絶縁膜、または、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜3001、3002を形成する。例えば、下地膜3001として酸化窒化シリコン膜を10〜200nm、下地膜3002として酸化窒化水素化シリコン膜を50〜200nmの厚さに順に積層形成する。
【0060】
次に、下地膜3002上に、非結晶構造を有する半導体膜を形成し、当該半導体膜をレーザ結晶化法や熱結晶化法によって結晶化し、結晶質半導体膜を形成する。次いで、結晶質半導体膜を加工して島状半導体層3003、3004、3005を形成する。この島状半導体層3003、3004、3005は、25〜80nmの厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコン・ゲルマニウム(SiGe)合金などで形成するとよい。
【0061】
次いで、島状半導体層3003、3004、3005を覆うゲート絶縁膜3006を形成する。ゲート絶縁膜3006はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを10〜80nmとしてシリコンを含む絶縁材料で形成する。
【0062】
そして、ゲート絶縁膜3006上に第1の導電層を形成する。続いて第1の導電層上に、第2の導電層を形成し、積層された第1の導電層と第2の導電層を一括でエッチングして、TFTのゲート電極3011、3012、3013を形成する。
【0063】
本実施例では、第1の導電層をTaNで50〜100nmの厚さに形成し、第2の導電層をWで100〜300nmの厚さに形成する。ただし、導電層の材料は特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cuなどから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成してもよい。
【0064】
次に論理回路部で用いるpチャネル型TFTにp型を付与する元素のドーピングを行い、第1の不純物領域3016、3017を形成する。続いてメモリ部、論理回路部で用いるnチャネル型TFTのLDD領域を形成するために、n型を付与する元素のドーピングを行い、第2の不純物領域3018、3019を形成する。その後、サイドウォール3020、3021を形成して、メモリ部、論理回路部で用いるnチャネル型TFTにn型を付与する元素のドーピングを行い第3の不純物領域3022、3023を形成する。これらのドーピング方法はイオンドープ法もしくはイオン注入法で行えばよい。以上までの工程で島状半導体層3003、3004、3005のそれぞれに不純物領域が形成される。
【0065】
次に、島状半導体層3003、3004、3005のそれぞれに添加された不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。その他に、レーザアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。次に、3%以上の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、島状半導体層を水素化する工程を行う。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行ってもよい。
【0066】
次いで、第1の層間絶縁膜3024を酸化窒化シリコン膜で形成する。第1の層間絶縁膜3024の膜厚は、ゲート絶縁膜と同程度の10〜80nmとする。続いてアクリルなどの有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜3025を形成する。または、第2の層間絶縁膜3025として有機絶縁物材料の代わりに無機材料を用いることもできる。無機材料としては無機SiOやプラズマCVD法で作製したSiO(PCVD‐SiO)、SOG(Spin on Glass;塗布珪素酸化膜)等が用いられる。
【0067】
続いて、第2の層間絶縁膜3025上にレジストを設け、ゲート絶縁膜3006、第1の層間絶縁膜3024、第2の層間絶縁膜3025にコンタクトホール3031、3032を作製する(図8)。本実施例において、不揮発性メモリ回路のメモリ部以外の箇所のエッチング工程は第1の露光手段(たとえばミラープロジェクション露光、ステップ・アンド・リピート露光(ステッパー露光)、ステップ・アンド・スキャン露光など)によって行っている。上記の第1の露光手段によって、第2の層間絶縁膜3025上に設けたレジストを感光させ、パターンを形成し、そのレジストをマスクとしてエッチングをおこなう(図9)。この工程は、図9(A)に示すように、まず第2の層間絶縁膜3025上にレジストを塗布し、ベークをおこなう。つぎに不揮発性メモリ回路のメモリ部以外の箇所を前述した第1の露光手段、すなわちミラープロジェクション露光、ステップ・アンド・リピート露光、ステップ・アンド・スキャン露光などによってレジストを露光して感光させ、パターンを形成している(図9(B))。このような露光手段は、同じパターンをいくつも露光する際には非常に有効である。
【0068】
次に、実施の形態1〜3に示したレーザ照射装置を用いた第2の露光手段によってレジストを露光することで、不揮発性メモリ回路のメモリ部のコンタクトホールのパターン、またはメモリ部のコンタクトホールおよびチップの一部のコンタクトホールのパターンを形成する(図9(C))。図8において、メモリ部のコンタクトホール3033は第2の露光手段で形成する。
【0069】
次に、現像等の処理(図9(D))をおこなったあと、層間膜のエッチングをおこない、第1の露光手段及び第2の露光手段によってパターンを形成したコンタクトホール3031、3032、3033を形成する(図9(E))。
【0070】
そして、メモリ部において島状半導体層のソース領域、ドレイン領域とコンタクトをとる電極3026、3027を形成する。また、論理回路部においても同様に、電極3028、3029、3030を形成する。
【0071】
以上の説明において、コンタクトホール形成工程において、第1の露光手段(ミラープロジェクション露光、ステップ・アンド・リピート露光、またはステップ・アンド・スキャン露光)と第2の露光手段(実施の形態1〜3に示したレーザ照射方法を用いた露光方法)とを組み合わせることで、同一基板上に複数のコンタクトホールを形成する工程を述べたが、上記方法はコンタクトホール形成工程に限らず、ソース配線又はドレイン配線の形成工程やドーピング工程などその他の工程で用いてもよい。また、必ずしも第1の露光手段と第2の露光手段とを組み合わせる必要はなく、全ての露光工程において第2の露光手段を用いてもよい。第2の露光手段を用いることで、レーザ照射パターンを高速で切り替えながら、所望の位置に高速にレーザ照射することが可能となり、半導体装置の作製時間を短縮し、かつ精度よく作製することができる。
【0072】
また、以上においては、第1の露光手段の次に第2の露光手段を用いているが、まず第2の露光手段で、メモリ部を形成し、その後に第1の露光手段で他の回路部分を形成してもよい。
【0073】
以上のようにして、記憶素子3034を有するメモリ部と、LDD構造のnチャネル型TFT3035およびシングルドレイン構造のpチャネル型TFT3036を有する論理回路部と、を同一の基板上に形成することができる(図8参照)。
【0074】
また、図10のフロー図に示すように、一度メモリ部以外領域を形成し、その後で不揮発性メモリ回路のメモリ部を形成してもよい。図10に示す工程は、まず、第2の層間絶縁膜3025上にレジストを塗布し、ベークをおこなう(図10(A))。次に、第1の露光手段(ミラープロジェクション露光、ステップ・アンド・リピート露光、ステップ・アンド・スキャン露光など)でメモリ部以外の領域のパターンを形成するために、レジストの露光をおこなう。(図10(B))。次に、第1の露光手段で感光したレジストの現像、ベークなどをおこなう。(図10(C))。次に、エッチングを行いメモリ部以外の領域のパターンを形成する(図10(D))。次に、再度、層間絶縁膜3025上にレジストを塗布し、ベークをおこなう(図10(E))。次に、実施の形態1〜3に示した露光装置を用いた第2の露光手段にて、不揮発性メモリ回路のメモリ部のパターンを形成するため、レジストを露光する(図10(F))。次に、第2の露光手段で感光したレジストの現像、ベークなどをおこなう(図10(G))。最後に、エッチングをおこない不揮発性メモリ回路のメモリ部を形成する(図10(H))。このようにして、個々のチップごとに異なるデータの記憶が可能であり、且つ、スループットを落とさずに半導体装置の製造が可能になる。実施の形態1〜3に示したレーザ照射装置は、複雑または複数の照射ポイントを一度に精度良くレーザ照射できるため、ROMの作製工程のように複数の照射ポイントに対してレーザ照射を必要とする装置の作製工程において効率よくレーザ照射を行うことができる。よって、IDチップのROM作製などの量産性を容易に向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0075】
本実施例では、メモリ部および論理回路部を形成し、フレキシブル基板へ転写するまでの作製方法について図11、図12を用いて説明する。なお、本実施例では半導体素子として、不揮発性メモリ回路、nチャネル型TFT、およびpチャネル型TFTを例に挙げて示すが、本発明においてメモリ部および論理回路部に含まれる半導体素子はこれに限定されない。また、この作製方法は一例であって、絶縁基板上での作製方法を限定するものではない。
【0076】
まず、図11(A)に示すように、絶縁基板3000上に剥離層4000を形成する。剥離層4000は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、微結晶シリコン(セミアモルファスシリコンを含む)等、シリコンを主成分とする層を用いることができる。剥離層4000は、スパッタ法、プラズマCVD法等を用いて形成することができる。本実施例では、膜厚500nm程度の非晶質シリコンをスパッタ法で形成し、剥離層4000として用いる。続いて剥離層4000上に下地膜3001を形成し、その後、実施例1に示した作業工程と同様に、記憶素子3034を有するメモリ部、nチャネル型TFT3035及びpチャネル型TFT3036を有する論理回路部を形成する。
【0077】
次に、第2の層間絶縁膜3025上に第3の層間絶縁膜4001を形成し、パッド4002〜4005を形成する。パッド4002〜4005としては、Ag、Au、Cu、Pd、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Alなどの金属、または、金属化合物を、1つまたは複数有する導電材料を用いることができる。
【0078】
そしてパッド4002〜4005を覆うように、第3の層間絶縁膜4001上に保護層4006を形成する。保護層4006は、後に剥離層4000をエッチングにより除去する際に、パッド4002〜4005を保護することができる材料を用いる。例えば、水またはアルコール類に可溶なエポキシ系、アクリレート系、シリコン系等の樹脂を全面に塗布することで保護層4006を形成することができる(図11(A))。
【0079】
次に、剥離層4000を分離するための溝4007を形成する(図11(B)参照)。溝4007は、剥離層4000が露出する程度であればよい。溝4007の形成は、エッチング、ダイシング、スクライビングなどの方法を用いることができる。
【0080】
次に、剥離層4000をエッチングにより除去する(図12(A)参照)。本実施例では、エッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝4007から導入する。本実施例では、例えばClF(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:800Pa、時間:3hの条件で行う。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いてもよい。ClF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層4000が選択的にエッチングされ、絶縁基板3000を剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっても液体であってもどちらでもよい。
【0081】
次に、剥離されたメモリ部および論理回路部を、接着剤4008を用いて支持体4009に貼り合わせる(図12(B)参照)。接着剤4008は、支持体4009と下地膜3001とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤4008は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
【0082】
支持体4009として、フレキシブルな紙またはフレキシブルなプラスチックなどの有機材料を用いることができる。または支持体4009として、フレキシブルな無機材料を用いていてもよい。支持体4009は集積回路において発生した熱を拡散させるために、2〜30W/mK程度の高い熱伝導率を有するのが望ましい。
【0083】
なおメモリ部および論理回路部の集積回路を絶縁基板3000から剥離する方法は、本実施例で示したようにシリコンを主成分とする層のエッチングを用いる方法に限定されず、他の様々な方法を用いることができる。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路の間に金属酸化膜を設け、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離することができる。また例えば、剥離層をレーザ光の照射により破壊し、集積回路を基板から剥離することもできる。また例えば、集積回路が形成された基板を機械的に削除または溶液やガスによるエッチングで除去することで、集積回路を基板から剥離することもできる。
【0084】
また対象物の表面が曲面を有しており、それにより該曲面に貼り合わされたIDチップの支持体が、錐面、円柱面など母線の移動によって描かれる曲面を有するように曲がってしまう場合、該母線の方向とTFTのキャリアが移動する方向とを揃えておくことが望ましい。上記構成により、支持体が曲がっても、それによってTFTの特性に影響が出るのを抑えることができる。また、島状の半導体膜が集積回路内において占める面積の割合を、1〜30%とすることで、支持体が曲がっても、それによってTFTの特性に影響が出るのをより抑えることができる。
【0085】
本実施例において、メモリ部は、実施の形態1〜3に示したレーザ照射装置を用いて作製している。よって、複数の照射ポイントを一度に精度良くレーザ照射でき、ROMの作製工程のように複数の照射ポイントに対してレーザ照射を必要とする装置の作製工程において効率よくレーザ照射を行うことができる。そのため、IDチップのROM作製などの量産性を容易に向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0086】
次に、マスクROMを用いた不揮発性メモリ回路の実施例を図13に示す。図13に示す不揮発性メモリ回路は、本発明のレーザ照射装置を用いて作製され、TFTのドレイン端子のコンタクトホールを開口するか否かで、記憶状態を表すものである。
【0087】
以下、マスクROMを用いた不揮発性メモリ回路の動作について、図13を用いて説明する。図13の不揮発性メモリ回路は説明簡略化のため、4ビットのメモリ回路としているが、本発明の実施は、4ビットに限定されるものではない。図13に示す不揮発性メモリ回路は列デコーダ701、行デコーダ702、アンプ715、nチャネル型TFT703〜706、ビット線(データ線)709、710、ワード線707、708、電源線713、列スイッチ711、712、出力配線717、負荷抵抗714、出力端子716、電源1、電源2によって構成されている。負荷抵抗714の代わりに定電流源を用いてもよい。
【0088】
電源1はハイ電位を設定する電位であり、電源2はロウ電位を設定する電位である。ただしTFT703〜706をpチャネル型TFTとする場合においては、電源1はロウ電位を設定し、電源2はハイ電位を設定する。以下の説明ではTFT703〜706はnチャネル型TFTとし、電源1は+3V、電源2は0Vを供給する構成とするが適宜変えてもよい。また、メモリセル718〜721は、TFT703〜706によって構成される。
【0089】
以下、読み出しをおこなう場合について説明をおこなう。メモリセル718のデータを読み出す場合は、行デコーダ702を動作させ、ワード線707をアクティブとする。それによってTFT703、704はオンとなる。次に、列デコーダ701を動作させ、列スイッチ711をオンさせる。それによってビット線(データ線)709と、出力配線717、負荷抵抗714、アンプ715が接続される。TFT703がオンしているので、電流は電源1、負荷抵抗714、出力配線717、列スイッチ711、ビット線709、TFT703、電源線713を介して電源2へ流れる。これによってメモリセル718の出力はロウになる。
【0090】
メモリセル719のデータを読み出す場合は、行デコーダ702を動作させ、ワード線707をアクティブとする。それによってTFT703、704はオンとなる。次に、列デコーダ701を動作させ、列スイッチ712をオンさせる。それによってビット線(データ線)710と、出力配線717、負荷抵抗714、アンプ715が接続される。TFT703がオンしているが、TFT704のドレイン端子はどこにも接続されていないため、電流は流れない。電源1の電位が負荷抵抗714、出力配線717、列スイッチ712、ビット線710に供給されるが、電流が流れないのでメモリセル719の出力はハイになる。
【0091】
メモリセル720のデータを読み出す場合は、行デコーダ702を動作させ、ワード線708をアクティブとする。それによってTFT705、706はオンとなる。次に、列デコーダ701を動作させ、列スイッチ711をオンさせる。それによってビット線709と、出力配線717、負荷抵抗714、アンプ715が接続される。TFT705がオンしているが、TFT705のドレイン端子はどこにも接続されていないため、電流は流れない。電源1の電位が負荷抵抗714、出力配線717、列スイッチ711、ビット線709に供給されるが、電流が流れないのでメモリセル720の出力はハイになる。
【0092】
メモリセル721のデータを読み出す場合は、行デコーダ702を動作させ、ワード線708をアクティブとする。それによってTFT705、706はオンとなる。次に、列デコーダ701を動作させ、列スイッチ712をオンさせる。それによってビット線710と、出力配線717、負荷抵抗714、アンプ715が接続される。TFT706がオンしているので、電流は電源1、負荷抵抗714、出力配線717、列スイッチ712、ビット線710、TFT706、電源線713を介して電源2へ流れる。これによってメモリセル721の出力はロウになる。このようにして、メモリに記憶されたデータを出力端子716に読み出すことができる。
【実施例4】
【0093】
本実施例では本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路に外付けのアンテナをつけた例について図14、図15を用いて説明する。
【0094】
図14(A)は不揮発性メモリ回路の周りを一面のアンテナで覆ったものである。基板1000上にアンテナ1001を構成し、本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路1002を接続する。図面では不揮発性メモリ回路1002の周りをアンテナ1001で覆う構成になっているが、基板全面をアンテナ1001で覆い、その上に電極を構成した不揮発性メモリ回路1002を貼り付けるような構造を取ってもよい。
【0095】
図14(B)は細いアンテナを不揮発性メモリ回路の周りを回るように配置したものである。基板1003上にアンテナ1004を構成し、本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路1005を接続する。なお、アンテナの配線の配置は一例であってこれに限定するものではない。
【0096】
図14(C)は高周波数のアンテナである。基板1006上にアンテナ1007を構成し、本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路1008を接続する。
【0097】
図14(D)は180度無指向性(どの方向からでも同じく受信可能)なアンテナである。基板1009上にアンテナ1010を構成し、本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路1011を接続する。
【0098】
図14(E)は棒状に長く伸ばしたアンテナである。基板1012上にアンテナ1013を構成し、本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路1014を接続する。
【0099】
本発明を用いて形成した不揮発性メモリ回路とこれらのアンテナへの接続は公知の方法で行うことができる。例えばアンテナと不揮発性メモリ回路をワイヤボンディング接続やバンプ接続を用いて接続する、あるいはチップ化した不揮発性メモリ回路の一面を電極にしてアンテナに貼り付けるという方法を取ってもよい。この方式ではACF(anisotropic conductive film;異方性導電性フィルム)を用いて貼り付けることができる。
【0100】
アンテナに必要な長さは受信に用いる周波数によって適正な長さが異なる。一般には波長の整数分の1の長さにするとよいとされる。例えば周波数が2.45GHzの場合は約60mm(1/2波長)または、約30mm(1/4波長)とすればよい。
【0101】
また、本発明の不揮発性メモリ回路上に基板を取りつけ、さらにその上にアンテナを構成してもよい。図15(A)〜(C)にその一例として不揮発性メモリ回路上に基板1100を取りつけ、らせん状のアンテナ1101を配置したものの上面図および断面図を示す。図15(B)、(C)は、図15(A)に示した上面図をそれぞれ鎖線A−B、鎖線C−Dで切断した断面図を示す。
【0102】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、アンテナの形状を限定するものではない。本発明は、あらゆる形状のアンテナについて実施することが可能である。
【実施例5】
【0103】
本実施例では、図16〜18を参照して、TFTを含む薄膜集積回路装置の具体的な作製方法について説明する。ここでは、簡単のため、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTを用いたCPU(論理回路部)とメモリ部の断面構造を示すことによって、その作製方法について説明する。
【0104】
まず、基板60上に、剥離層61を形成する(図16(A))。ここでは、ガラス基板(例えば、コーニング社製1737基板)上に、50nmの膜厚のa−Si膜(非晶質シリコン膜)を減圧CVD法により形成した。なお、基板60としては、ガラス基板の他にも、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、シリコンウエハ基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。
【0105】
また、剥離層61としては、非晶質シリコンの他に、多結晶シリコン、単結晶シリコン、SAS(セミアモルファスシリコン(微結晶シリコン、マイクロクリスタルシリコンともいう。))等、シリコンを主成分とする膜を用いることが望ましいが、これらに限定されるものではない。剥離層61は、減圧CVD法の他にも、プラズマCVD法、スパッタ法等によって形成してもよい。また、リンなどの不純物をドープした膜を用いてもよい。また、剥離層61の膜厚は、50〜60nmとするのが望ましい。SASに関しては、30〜50nmとしてもよい。
【0106】
次に、剥離層61上に、保護膜55(下地膜、下地絶縁膜と呼ぶこともある)を形成する(図16(A))。ここでは、保護膜55を剥離層61側から順に、膜厚100nmのSiON(窒素を含む酸化珪素)膜、膜厚50nmのSiNO(酸素を含む窒化珪素)膜、膜厚100nmのSiON膜の3層構造としたが、材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない。例えば、下層のSiON膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン等の耐熱性樹脂をスピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法などによって形成してもよい。また、窒化珪素膜(SiN、Si等)を用いてもよい。また、上層のSiON膜に代えて、酸化珪素膜を用いてもよい。また、それぞれの膜厚は、0.05〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
【0107】
ここで、酸化珪素膜は、SiH/O、TEOS(テトラエトキシシラン)/O等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によって形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiH/NHの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、SiON膜又はSiNO膜は、代表的には、SiH/NOの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。
【0108】
なお、剥離層61及び島状半導体膜57として、a−Si等の珪素を主成分とする材料を用いる場合には、それらに接する保護膜55としては、密着性確保の点から、SiOxNy(x>y>0)を用いてもよい。
【0109】
次に、保護膜55上に、薄膜集積回路装置のCPU(論理回路部)やメモリ部を構成する薄膜トランジスタ(TFT)を形成する。なお、TFT以外にも、有機TFT、薄膜ダイオード等の薄膜能動素子を形成することもできる。
【0110】
TFTの作製方法として、まず、保護膜55上に、島状半導体膜57を形成する(図16(B))。島状半導体膜57は、非晶質半導体、結晶性半導体、又はセミアモルファス半導体で形成する。いずれも、シリコン、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)等を主成分とする半導体膜を用いることができる。
【0111】
ここでは、70nmの膜厚の非晶質珪素膜を形成し、さらにその表面を、ニッケルを含む溶液で処理した。さらに、500〜750℃の熱結晶化工程によって結晶質シリコン半導体膜を形成した後、レーザ結晶化を行って結晶性を改善した。また、半導体膜の成膜方法としては、プラズマCVD法、スパッタ法、LPCVD法などを用いてもよい。半導体膜の結晶化方法としては、レーザ結晶化法、熱結晶化法、他の触媒(Fe,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Cu,Au等)を用いた熱結晶化、あるいはそれらを交互に複数回行ってもよい。
【0112】
また、非晶質半導体膜の結晶化処理としては、連続発振のレーザを用いてもよい。結晶化に際し大粒径の結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい(この場合の結晶化をCWLCという)。代表的には、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。連続発振のレーザを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVOレーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO結晶又はGdVO結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて、ビームスポットの形状が矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度で、レーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
【0113】
また、パルス発振のレーザを用いる場合、通常、数十Hz〜数百Hzの周波数帯を用いるが、それよりも著しく高い10MHz以上の発振周波数を有するパルス発振レーザを用いてもよい(この場合の結晶化をMHzLCという)。パルス発振でレーザ光を半導体膜に照射して溶融してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われているため、上記高周波数帯を用いることで、半導体膜がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。よって、従来のパルス発振のレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って長く延びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
【0114】
なお、保護膜55の一部に耐熱性有機樹脂であるシロキサンを用いた場合には、上記結晶化の際に、半導体膜中から熱が漏れることを防止することができ、効率よく結晶化を行うことができる。
【0115】
上記の方法によって結晶性半導体膜を得る。なお、結晶の成長方向は、ソース領域、チャネル形成領域、ドレイン領域方向においてそろっていることが望ましい。また、結晶層の厚さは、20〜200nm(代表的には40〜170nm、さらに好ましくは、50〜150nm)となるようにするのがよい。その後、半導体膜上に酸化膜を介して、金属触媒をゲッタリングするための非晶質珪素膜を成膜し、500〜750℃の熱処理によってゲッタリング処理を行う。さらに、TFT素子のしきい値電圧を制御するために、結晶性半導体膜に対し、1013/cm程度のドーズ量のホウ素イオンを注入する。その後、レジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、島状半導体膜57を形成する。
【0116】
なお、結晶性半導体膜を形成するにあたっては、ジシラン(Si)とフッ化ゲルマニウム(GeF)を原料ガスとして、LPCVD(減圧CVD)法によって、多結晶半導体膜を直接形成しても良い。ガス流量比は、Si/GeF=20/0.9、成膜温度は400〜500℃、キャリアガスとしてHe又はArを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0117】
なお、TFT内の特にチャネル領域には、1×1019〜1×1022cm−3、好ましくは1×1019〜5×1020cm−3の水素又はハロゲンが添加されているのがよい。SASに関しては、1×1019〜2×1021cm−3とするのが望ましい。いずれにしても、ICチップに用いられる単結晶に含まれる水素又はハロゲンの含有量よりも多く含有させておくことが望ましい。これにより、TFT部に局部クラックが生じても、水素又はハロゲンによってターミネート(終端)されうる。
【0118】
次に、島状半導体膜57上にゲート絶縁膜58を形成する(図16(B))。ゲート絶縁膜58はプラズマCVD法又はスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含む膜を、単層で、又は積層させて形成することが好ましい。積層する場合には、例えば、基板側から酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化珪素膜の3層構造とするのがよい。
【0119】
次に、ゲート電極56を形成する(図16(C))。ここでは、SiとW(タングステン)をスパッタ法により積層形成した後に、レジスト62をマスクとしてエッチングを行うことにより、ゲート電極56を形成した。勿論、ゲート電極56の材料、構造、作製方法は、これに限定されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとNiSi(ニッケルシリサイド)との積層構造や、TaN(窒化タンタル)とW(タングステン)の積層構造としてもよい。また、種々の導電材料を用いて単層で、ゲート電極を形成してもよい。
【0120】
また、レジストマスクの代わりに、SiOx等のマスクを用いてもよい。この場合、SiOx、SiON等のマスク(ハードマスクと呼ばれる)のパターン形成工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストを用いたときよりも少ないため、所望の幅のゲート電極を形成することができる。また、レジスト62を用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極56を形成してもよい。
【0121】
導電材料としては、導電膜の機能に応じて種々の材料を選択することができる。また、ゲート電極56とアンテナとを同時に形成する場合には、それらの機能を考慮して材料を選択すればよい。
【0122】
なお、ゲート電極56をエッチング形成する際のエッチングガスとしては、CF、Cl、Oの混合ガスやClガスを用いたが、これに限定されるものではない。
【0123】
次に、pチャネル型TFT70、72となる部分をレジスト63で覆い、ゲート電極56をマスクとして、nチャネル型TFT69、71の島状半導体膜中に、n型を付与する不純物元素64(代表的にはP(リン)又はAs(砒素))を低濃度にドープする(第1のドーピング工程、図16(D))。第1のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1013〜6×1013/cm、加速電圧:50〜70kVとしたが、これに限定されるものではない。この第1のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜58を介してドープがなされ、一対の低濃度不純物領域65が形成される。なお、第1のドーピング工程は、p型TFT領域をレジストで覆わずに、全面に行ってもよい。
【0124】
次に、レジスト63をアッシング等により除去した後、nチャネル型TFT領域を覆うレジスト66を新たに形成し、ゲート電極をマスクとして、pチャネル型TFT70、72の島状半導体膜中に、p型を付与する不純物元素67(代表的にはB(ホウ素))を高濃度にドープする(第2のドーピング工程、図16(E))。第2のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1016〜3×1016/cm、加速電圧:20〜40kVとしたが、これに限定されるものではない。この第2のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜58を介して、p型を付与する不純物元素67がドープされ、一対のp型の高濃度不純物領域68が形成される。
【0125】
次に、レジスト66をアッシング等により除去した後、基板表面に、絶縁膜75を形成した(図17(A))。ここでは、膜厚100nmのSiO膜をプラズマCVD法によって形成した。その後、エッチバック法により、絶縁膜75、ゲート絶縁膜58をエッチング除去し、サイドウォール(側壁)76を自己整合的(セルフアライン)に形成した(図17(B))。エッチングガスとしては、CHFとHeの混合ガスを用いた。
【0126】
なお、サイドウォール76の形成方法は上記に限定されるものではない。例えば、図18(A)および図18(B)に示した方法を用いることができる。図18(A)は、絶縁膜75を二層又はそれ以上の積層構造とした例を示している。絶縁膜75としては、例えば、膜厚100nmのSiON(酸窒化珪素)膜と、膜厚200nmのLTO膜(Low Temperature Oxide、低温酸化膜)の2層構造とした。ここでは、SiON膜は、プラズマCVD法で形成し、LTO膜としては、SiO膜を減圧CVD法で形成した。その後、エッチバックを行うことにより、L字状と円弧状からなるサイドウォール76が形成される。
【0127】
また、図18(B)は、エッチバック時に、ゲート絶縁膜58を残すようにエッチングを行った例を示している。この場合の絶縁膜75は、単層構造でも積層構造でもよい。
【0128】
上記サイドウォールは、後に高濃度のn型を付与する不純物をドーピングし、サイドウォール76の下部に低濃度不純物領域又はノンドープのオフセット領域を形成する際のマスクとして機能するものであるが、上述したサイドウォールのいずれの形成方法においても、形成したい低濃度不純物領域又はオフセット領域の幅によって、エッチバックの条件を適宜変更すればよい。
【0129】
次に、pチャネル型TFT領域を覆うレジスト77を新たに形成し、ゲート電極56及びサイドウォール76をマスクとして、n型を付与する不純物元素78(代表的にはP又はAs)を高濃度にドープする(第3のドーピング工程、図17(C))。第3のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1013〜5×1015/cm、加速電圧:60〜100kVとしたが、これに限定されるものではない。この第3のドーピング工程によって、n型を付与する不純物元素78のドープがなされ、一対のn型の高濃度不純物領域79が形成される。
【0130】
なお、レジスト77をアッシング等により除去した後、不純物領域の熱活性化を行ってもよい。例えば、50nmのSiON膜を成膜した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行えばよい。また、水素を含むSiNx膜を、100nmの膜厚に形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行うことにより、結晶性半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、結晶性シリコン中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。さらに、この後、TFTを保護するキャップ絶縁膜として、膜厚600nmのSiON膜を形成する。なお、水素化処理工程は、該SiON膜形成後に行ってもよい。この場合、SiNxとSiNx上に形成されたSiON膜は連続成膜することができる。このように、TFT上には、基板側からSiON、SiNx、SiONの順に3層の絶縁膜が形成されることになるが、その構造や材料はこれらに限定されるものではない。また、これらの絶縁膜は、TFTを保護する機能をも有しているため、できるだけ形成しておくのが望ましい。
【0131】
次に、TFT上に、層間膜53を形成する(図17(D))。層間膜53としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミドや、シロキサン等の耐熱性有機樹脂を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を採用することができる。また、層間膜53として、無機材料を用いてもよく、その際には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜等を用いることができる。なお、これらの絶縁膜を積層させて、層間膜53を形成してもよい。
【0132】
さらに、層間膜53上に、保護膜54を形成してもよい。保護膜54としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)或いは窒化炭素(CN)等の炭素を有する膜、又は、酸化珪素膜、窒化珪素膜或いは窒化酸化珪素膜等を用いることができる。形成方法としては、プラズマCVD法や、大気圧プラズマ等を用いることができる。あるいは、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂を用いてもよい。
【0133】
なお、層間膜53又は保護膜54と、後に形成される配線を構成する導電材料等との熱膨張率の差から生じる応力によって、これらの膜の膜剥がれや割れが生じるのを防ぐために、層間膜53又は保護膜54中にフィラーを混入させておいてもよい。
【0134】
次に、層間膜53上に、レジストを形成した後、エッチングによりコンタクトホールを形成し、TFT同士を接続する配線51及び外部アンテナと接続するための接続配線21を形成する(図17(D))。上記の工程において、メモリ部74におけるコンタクトホールは、実施の形態1〜3に示したレーザ照射装置を用いた第2の露光手段によって、形成する。また、コンタクトホール開口時のエッチングに用いられるガスは、CHFとHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。また、配線51と接続配線21は同一材料を用いて同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。ここでは、TFTと接続される配線51は、Ti、TiN、Al−Si、Ti、TiNの順に形成した5層構造とし、スパッタ法によって形成した後、エッチングして形成する。
【0135】
なお、Al層において、Siを混入させることにより、配線形成時のレジストベークにおけるヒロックの発生を防止することができる。また、Siの代わりに、0.5%程度のCuを混入させてもよい。また、TiやTiNでAl−Si層を挟むことにより、耐ヒロック性がさらに向上する。なお、配線形成時には、SiON等からなる上記ハードマスクを用いるのが望ましい。なお、配線の材料や、形成方法はこれらに限定されるものではなく、前述したゲート電極56に用いられる材料を採用してもよい。
【0136】
なお、本実施例では、CPU73、メモリ部74等を構成するTFT領域とアンテナと接続する端子部80のみを同一基板上に形成する場合について示したが、TFT領域とアンテナとを同一基板上に形成する場合にも、本実施例を適用できる。この場合には、層間膜53又は保護膜54上にアンテナを形成し、さらに、別の保護膜で覆うとよい。アンテナの導電材料としては、Ag、Au、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Cr、Fe、Co若しくはTi、又はそれらを含む合金を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、配線とアンテナで材料が異なっていてもよい。なお、配線及びアンテナは、展性、延性に富む金属材料を有するように形成し、更に好ましくは膜厚を厚くして変形による応力に耐えるようにするのが望ましい。
【0137】
また、アンテナの形成方法としては、スパッタ法によって全面成膜した後、レジストマスクを用いてエッチングして形成してもよいし、液滴吐出法によってノズルを用いて選択的に形成してもよい。なお、ここでいう液滴吐出法には、インクジェット法のみならず、オフセット印刷法やスクリーン印刷等も含まれる。配線とアンテナは、同時に形成してもよいし、一方を先に形成した後に、他方が乗り上げるように形成してもよい。
【0138】
以上の工程を経て、TFTからなる薄膜集積回路装置が完成する。なお、本実施例では、トップゲート構造としたが、ボトムゲート構造(逆スタガ構造)としてもよい。なお、TFTのような薄膜能動素子部(アクティブエレメント)の存在しない領域には、下地絶縁膜材料、層間絶縁膜材料、配線材料が主として設けられているが、該領域は、薄膜集積回路装置全体の50%以上、好ましくは70〜95%を占めていることが望ましい。これにより、IDチップを曲げやすくし、IDラベル等の完成品の取り扱いが容易となる。この場合、TFT部を含むアクティブエレメントの島状半導体膜(アイランド)は、薄膜集積回路装置全体の1〜30%、好ましくは、5〜15%を占めているのがよい。
【0139】
また、図17(D)に示すように、薄膜集積回路装置におけるTFTの半導体層から下部の保護膜までの距離(tunder)と、半導体層から上部の層間膜(保護膜が形成されている場合には該保護膜)までの距離(tover)が、等しく又はほぼ等しくなるように、上下の保護膜又は層間膜の厚さを調整するのが望ましい。このようにして、半導体層を薄膜集積回路装置の中央に配置することで、半導体層への応力を緩和することができ、クラックの発生を防止することができる。
【0140】
本実施例において、メモリ部は、実施の形態1〜3に示したレーザ照射装置を用いて作製している。よって、複数の照射ポイントを一度に精度良くレーザ照射でき、ROMの作製工程のように複数の照射ポイントに対してレーザ照射を必要とする装置の作製工程において効率よくレーザ照射を行うことができる。そのため、IDチップのROM作製などの量産性を容易に向上させることが可能となる。
【実施例6】
【0141】
本発明を利用して作製した記憶素子を、ICカード、ICタグ、RFID、トランスポンダ、紙幣、有価証券、パスポート、電子機器、バッグ及び衣類に用いることができる。本実施例では、ICカード、IDタグおよびIDチップなどの例について図19を用いて説明する。
【0142】
図19(A)はICカードであり、個人の識別用のほかに内蔵されたメモリ回路が書き換え可能であることを利用して現金を使わずに代金の決済が可能なクレジットカード、あるいは電子マネーといったような使い方もできる。ICカード1600の中に本発明を用いた不揮発性メモリ回路1601を組み込んでいる。
【0143】
図19(B)はIDタグであり、個人の識別用のほかに、小型化可能であることから特定の場所での入場管理などに用いることができる。IDタグ1610の中に本発明を用いた不揮発性メモリ回路1611を組み込んでいる。
【0144】
図19(C)はスーパーマーケットなどの小売店で商品を扱う際の商品管理を行うためのIDチップ1622を商品1620に貼付した例である。本発明はIDチップ1622内のメモリ回路に適用される。このようにIDチップ1622を商品1620に貼付することにより、在庫管理が容易になるだけではなく、万引きなどの被害を防ぐことも可能である。図面ではIDチップ1622が剥がれ落ちてしまうことを防ぐために接着を兼ねた保護膜1621を用いているが、IDチップ1622を接着剤によって直接商品1620に貼付するような構造を取っていてもよい。また、商品1620に貼付する構造上、IDチップ1622は、実施例2で挙げたフレキシブル基板を用いて作製すると好ましい。
【0145】
図19(D)は商品製造時に識別用のIDチップを組み込んだ例である。図面では例としてディスプレイの筐体1630にIDチップ1631を組み込まれている。本発明はIDチップ1631内のメモリ回路に適用される。このような構造を取ることにより製造メーカーにおいて、商品の識別、または商品の流通管理などを容易に行うことができる。なお、図面ではディスプレイの筐体を例として取り上げているが、本発明はこれに限定されることはなく、さまざまな電子機器、物品に対して適用することが可能である。
【0146】
図19(E)は物品搬送用の荷札である。図面では荷札1640内にIDチップ1641が組み込まれている。本発明はIDチップ1641内のメモリ回路に適用される。このような構造を取ることにより搬送先の選別や商品の流通管理などを容易に行うことができる。なお、図面では、紐で物品に荷札をくくりつけるような構造を取っているが、本発明はこれに限定されることはなく、シール材のようなものを用いて物品に直接荷札を貼付するような構造を取ってもよい。
【0147】
図19(F)は本1650にIDチップ1652が組み込まれたものである。本発明はIDチップ1652内のメモリ回路に適用される。このような構造を取ることにより書店における流通管理や図書館などでの貸し出し処理などを容易に行うことができる。なお、図面ではIDチップ1652が剥がれ落ちてしまうことを防ぐために接着を兼ねた保護膜1651を用いているが、IDチップ1652を接着剤によって直接本1650に貼付するような構造を取る、または本1650の表紙にIDチップ1652を埋め込む構造を取っていてもよい。
【0148】
図19(G)は紙幣1660にIDチップ1661が組み込まれたものである。本発明はIDチップ1661内のメモリ回路に適用される。このような構造を取ることにより偽札の流通を阻止することが容易に行える。なお、紙幣の性質上IDチップ1661が剥がれ落ちるのを防ぐために紙幣1660に埋め込むような構造を取るとより好ましい。本発明は紙幣に限らず、有価証券、パスポートなど紙を材質にしたものに適用可能である。
【0149】
図19(H)は靴1670にIDチップ1672が組み込まれたものである。本発明はIDチップ1672内のメモリ回路に適用される。このような構造を取ることにより製造メーカーにおいて商品の識別、または商品の流通管理などを容易に行うことができる。図面ではIDチップ1672が剥がれ落ちてしまうことを防ぐために接着を兼ねた保護膜1671を用いているが、IDチップ1672を接着剤によって直接商品に貼付するような構造を取る、または靴1670にIDチップ1672を埋め込む構造を取っていてもよい。本発明は靴に限らず、バッグ、衣類など身に付けるものに適用可能である。
【0150】
次にセキュリティ確保のため、例えば、盗難防止又は偽造防止を目的として、多様な物品へIDチップを実装する場合を説明する。
【0151】
盗難防止を目的としてIDチップを使用する例として、バッグにIDチップを実装する場合を説明する。本発明はIDチップ2202内のメモリ回路に適用される。図20に示すように、バッグ2201にIDチップ2202を実装する。例えば、バッグ2201の底又は側面の一部等にIDチップ2202を実装することができる。IDチップ2202は非常に薄型で小さいため、バッグ2201のデザイン性を低下させずに実装することができる。加えてIDチップ2202は透光性を有するため、IDチップ2202が実装されているか否かの判断が困難である。そのため、盗難者によってIDチップ2202が取り外される可能性が低い。
【0152】
このようなIDチップ2202を実装したバッグ2201が盗難された場合、例えばGPS(Global Positioning System)を用いてバッグ2201の現在位置に関する情報を得ることができる。なおGPSとは、GPS用の衛星から送られる信号をとらえてその時間差を求め、これをもとに測位するシステムである。
【0153】
また盗難された場合以外に、バッグ2201を忘れた場合や落とした場合などにも、GPSを用いて現在位置に関する情報を得ることができる。
【0154】
またバッグ2201以外にも、自動車、自転車等の乗物、時計やアクセサリーにIDチップを実装することができる。
【0155】
次に偽造防止を目的としてIDチップを使用する例として、パスポートや免許証等にIDチップを実装する場合を説明する。
【0156】
図21(A)に、IDチップを実装したパスポート2301を示す。図21(A)ではIDチップ2302がパスポート2301の表紙に実装されているが、その他のページに実装してもよい。また、IDチップ2302は透光性を有するため表面に実装してもよい。またIDチップ2302を表紙等の材料で挟み込むようにし、表紙の内部に実装することも可能である。
【0157】
図21(B)には、IDチップを実装した免許証2303を示す。図21(B)では、IDチップ2304が免許証2303の内部に実装されている。またIDチップ2304は透光性を有するため、免許証2303の印刷面上に設けても構わない。例えば、IDチップ2304を免許証2303の印字面上に実装し、その上下に熱硬化性を有する樹脂膜及び樹脂フィルムを1組ずつ配置して挟み込み、熱でフィルムを圧着することによって、IDチップ2304を実装した免許証2303を覆うことができる。またIDチップ2304を免許証2303の材料で挟み込むようにし、内部に実装することも可能である。
【0158】
以上のような物品にIDチップを実装することにより、偽造を防止することができる。加えて非常に薄型で小さいIDチップを用いるため、パスポートや免許証等のデザイン性を損ねることがない。さらにIDチップは透光性を有するため、表面に実装しても構わない。
【0159】
またIDチップを実装することにより、パスポートや免許証等の管理を簡便に行うことができる。さらにパスポートや免許証等に直接情報を記入することなく、IDチップに保存することができるため、プライバシーを守ることができる。
【0160】
次に、安全管理を行うため、食料品等の商品へIDチップを実装する場合を図22を用いて説明する。
【0161】
図22は、IDチップ2403を実装したラベル2402と、当該ラベル2402が貼られた肉のパック2401を示す。IDチップ2403はラベル2402の表面に実装していてもよいし、ラベル2402内部に実装してもよい。また野菜等の生鮮食品の場合、生鮮食品を覆うラップにIDチップを実装してもよい。
【0162】
IDチップ2403には、商品の生産地、生産者、加工年月日、賞味期限等の商品に関する基本事項を記録することができる。このような基本事項は、書き換える必要がないためMROM等の書き換え不能なメモリを用いて記録するとよい。更には商品を用いた調理例等の応用事項をIDチップ2403に記録することができる。このような応用事項は、EEPROM等の書き換え及び消去可能なメモリを用いて記録するとよい。
【0163】
また食料品の安全管理を行うためには、加工前の動植物の状態を知り得ることが重要である。そのため、動植物内にIDチップを埋め込み、リーダ装置によって動植物に関する情報を取得するとよい。動植物に関する情報とは、飼育地、飼料、飼育者、伝染病の感染の有無等である。
【0164】
またIDチップに、商品の値段が記録されていれば、従来のバーコードを用いる方式よりも、簡便、短時間に商品の精算を行うことが可能となる。すなわち、IDチップが実装された複数の商品を一挙に精算することができる。但し、このように複数のIDチップを一度に読み取る場合、アンチコリジョン機能をリーダ装置に搭載する必要がある。
【0165】
さらにIDチップの通信距離によっては、レジスターと商品との距離が遠くても、商品の精算を可能とすることができる。またIDチップは万引きの防止を目的とした利用も可能である。
【0166】
さらにIDチップは、バーコード、磁気テープ等のその他の情報媒体と併用することもできる。例えば、IDチップには書き換え不要な基本事項を記録し、バーコードには更新すべき情報、例えば値引き価格や特価情報を記録するとよい。バーコードはIDチップと異なり、情報の修正を簡便に行うことができるからである。
【0167】
このようにIDチップを商品に実装することにより、消費者へ提供できる情報を増大させることができる。
【0168】
次に図23を用いて、物流管理を行うため、ビール瓶等の商品へIDチップを実装する場合を説明する。例えば、図23(A)に示すように、ラベル2501を用いてビール瓶にIDチップ2502を実装することができる。
【0169】
IDチップ2502には、ビールの製造日、製造場所、使用材料等の基本事項を記録する。このような基本事項は、書き換える必要がないためマスクROM等の書き換え不能なメモリを用いて記録するとよい。加えてIDチップには、各ビール瓶の配送先、配送日時等の個別事項を記録する。例えば、図23(B)に示すように、各ビール瓶2503がベルトコンベア2506により流れ、ライタ装置2505を通過するときに、ラベル2504に内蔵されたIDチップ2507に各配送先、配送日時を記録することができる。このような個別事項は、EEPROM等の書き換え及び消去可能なメモリを用いて記録するとよい。
【0170】
また配達先から購入された商品情報がネットワークを通じて物流管理センターへ送信されると、この商品情報に基づき、ライタ装置又は当該ライタ装置を制御するパーソナルコンピュータ等が配送先や配送日時を算出し、IDチップへ記録するようなシステムを構築するとよい。
【0171】
また一般的に、ビール瓶等の配達はケース毎に行われるため、ケース毎、又は複数のケース毎にIDチップを実装し、個別事項を記録することもできる。
【0172】
このような複数の配達先が記録されうる飲料品は、IDチップを実装することにより、手作業で行う入力にかかる時間を削減でき、それに起因した入力ミスを低減することができる。加えて物流管理の分野において最もコストのかかる人件費用を削減することができる。従って、IDチップを実装したことにより、ミスの少ない、低コストな物流管理を行うことができる。
【0173】
さらに配達先において、ビールに合う食料品や、ビールを使った料理法等の応用事項を記録してもよい。その結果、食料品等の宣伝を兼ねることができ、消費者の購買意欲を高めることができる。このような応用事項は、EEPROM等の書き換え及び消去可能なメモリを用いて記録するとよい。このようにIDチップを実装することにより、消費者へ提供できる情報を増大させることができるため、消費者は安心して商品を購入することができる。
【0174】
製造管理を行うため、IDチップを実装した製造品と、当該IDチップの情報に基づき制御される製造装置(製造ロボット)について説明する。
【0175】
オリジナル商品を生産する場合、生産ラインでは商品にIDチップを実装し、IDチップに記録されたオリジナル情報に基づくように商品を生産することができる。例えば、ドアの塗装色を自由に選択する自動車の生産ラインにおいては、自動車の一部にIDチップを実装し、当該IDチップからの情報に基づき、塗装装置を制御することができる。
【0176】
上記のように、自動車の一部にIDチップを実装する結果、事前に生産ラインに投入される自動車の順序や同色を有する数を調整する必要がない。強いては、自動車の順序や数に合わせるように塗装装置を制御するプログラムを設定しなくてすむ。すなわち製造装置は、自動車に実装されたIDチップの情報に基づき、個別に動作することができる。
【0177】
このようにIDチップは様々な場所で使用することができる。そしてIDチップに記録された情報により、製造に関する固有情報を得ることができ、当該情報に基づき製造装置を制御することができる。
【0178】
次に、本発明に係るIDチップを用いたICカードを、電子マネーとして利用する形態について説明する。図24に、ICカード2601を用いて、決済をおこなっている様子を示す。ICカード2601は、本発明に係るIDチップ2602を有している。ICカード2601の利用の際には、レジスター2603、リーダ/ライタ2604を用いる。IDチップ2602には、ICカード2601に入金されている金額の情報が保持されており、リーダ/ライタ2604は該金額の情報を非接触で読み取り、レジスター2603に送信することができる。レジスター2603では、ICカード2601に入金されている金額が、決済する金額以上であることを確認し、決済を行なう。そしてリーダ/ライタ2604に決済後の残額の情報を送信する。リーダ/ライタ2604は残額の情報を、ICカード2601のIDチップ2602に書き込むことができる。
【0179】
なおリーダ/ライタ2604に、暗証番号などを入力することができるキー2605を付加し、第三者によってICカード2601を用いた決済が無断で行なわれるのを制限できるようにしてもよい。
【0180】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないことを付記する。
【0181】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる物品の個体認識用のチップとして適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、複数のレーザビームを被照射体に同時に照射して任意のパターンを描画できるレーザ照射装置及びレーザ照射方法である。この発明は、上記したようにROMの製作工程で用いることができるのみでなく、半導体プロセスにおける露光工程に適用することができる。また、レーザビームを被照射体に照射して所望の処理をする(例えば、文字の刻印など)ものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】メモリセルの回路構成を示す図
【図2】レーザ照射パターンを示す図
【図3】レーザ照射パターンを示す図
【図4】レーザ照射装置の構成を示す図
【図5】レーザ照射装置の構成を示す図
【図6】回折光学素子による分岐パターンを示す図
【図7】レーザ照射装置の構成を示す図
【図8】半導体装置の断面を示す図
【図9】半導体装置の製造方法のフローを示す図
【図10】半導体装置の製造方法のフローを示す図
【図11】半導体装置の製造工程を示す図
【図12】半導体装置の製造工程を示す図
【図13】不揮発性メモリ回路の構成を示す図
【図14】アンテナの実施例を示す図
【図15】アンテナの実施例を示す図
【図16】半導体装置の製造工程を示す図
【図17】半導体装置の製造工程を示す図
【図18】半導体装置の製造工程を示す図
【図19】本発明により作製した半導体装置の応用例を示す図。
【図20】本発明により作製した半導体装置を用いたバッグを示す図。
【図21】本発明により作製した半導体装置を用いた証明書を示す図。
【図22】本発明により作製した半導体装置を用いた食料品管理を示す図。
【図23】本発明により作製した半導体装置を用いた物流管理を示す図。
【図24】本発明により作製した半導体装置を用いたICカード決済を示す図。
【符号の説明】
【0184】
301 レーザ発振器
302 偏向器
303 コリメートレンズ
304 透過型回折光学素子
305 領域
306 投影レンズ
307 ミラー
308 基板
309 吸着ステージ
310 搬送ステージ
311 搬送ステージ
312 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にソース電極又はドレイン電極を有する複数の島状半導体層を形成し、
前記複数の島状半導体層上に第1の層間絶縁膜を形成し、
前記第1の層間絶縁膜を介して前記複数の島状半導体層上に、それぞれゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上に第2の層間絶縁膜を形成し、
前記第2の層間絶縁膜上にレジストを設け、
前記レジストに、偏向器及び回折光学素子を通過して複数に分岐したレーザビームを照射し、
前記レーザビームが照射された前記レジストを現像し、
前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜を、前記レジストをマスクとしてエッチングし、選択的にコンタクトホールを形成することを特徴とする記憶素子の作製方法。
【請求項2】
基板上にソース電極又はドレイン電極を有する複数の島状半導体層を形成し、
前記複数の島状半導体層上に第1の層間絶縁膜を形成し、
前記第1の層間絶縁膜を介して前記複数の島状半導体層上に、それぞれゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上に第2の層間絶縁膜を形成し、
前記第2の層間絶縁膜上にレジストを設け、
前記レジストに、それぞれ異なる偏向器及び回折光学素子を通過して、それぞれ複数に分岐した複数のレーザビームを照射し、
前記レーザビームが照射された前記レジストを現像し、
前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜を、前記レジストをマスクとして選択的にエッチングし、選択的にコンタクトホールを形成することを特徴とする記憶素子の作製方法。
【請求項3】
レーザビームを射出するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から射出されたレーザビームの偏向を行う偏向器と、
前記偏向器を通過したレーザビームを複数のレーザビームに分岐する回折光学素子と、
前記回折光学素子を通過し、複数に分岐されたレーザビームが照射される被照射体を載置する搬送ステージと、を有することを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項4】
レーザビームを射出する複数のレーザ発振器と、
前記複数のレーザ発振器から射出されたそれぞれのレーザビームを偏向する複数の偏向器と、
前記複数の偏向器を通過したレーザビームそれぞれを、複数のレーザビームに分岐する回折光学素子と、
前記回折光学素子を通過し複数に分岐されたレーザビームが照射される被照射体を載置する搬送ステージと、を有することを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4において、
前記偏向器は、音響光学偏向器又はガルバノミラーであることを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか一項において、
前記回折光学素子は透過型回折光学素子又は反射型回折光学素子であることを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項7】
レーザ発振器から射出したレーザビームを偏向器に入射し、
前記偏向器を通過したレーザビームを回折光学素子に入射して複数に分岐し、
前記複数に分岐されたレーザビームを搬送ステージに載置された被照射体に照射することを特徴とするレーザ照射方法。
【請求項8】
複数のレーザ発振器から射出したレーザビームそれぞれを異なる複数の偏向器に入射し、
前記偏向器を通過した複数のレーザビームそれぞれを異なる複数の回折光学素子に入射し、前記回折光学素子を通過して1本の前記レーザビームを複数に分岐させ、
前記複数に分岐されたレーザビームを搬送ステージに載置された被照射体に照射することを特徴とするレーザ照射方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8において、
前記複数に分岐されたレーザビームは投影レンズを通過した後、前記被照射体に照射されることを特徴とするレーザ照射方法。
【請求項10】
レーザ発振器から射出したレーザビームを偏向器に入射し、
前記偏向器を通過したレーザビームを回折光学素子に入射して複数に分岐させ、
前記複数に分岐されたレーザビームを絶縁膜上のレジストに照射することを特徴とするレーザ照射方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記複数に分岐されたレーザビームは投影レンズを通過した後、前記レジストに照射されることを特徴とするレーザ照射方法。
【請求項12】
請求項7乃至請求項11のいずれか一項において、
前記回折光学素子は透過型回折光学素子又は反射型回折光学素子であることを特徴とするレーザ照射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−235117(P2007−235117A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22607(P2007−22607)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】