説明

半導体装置の製造方法、半導体装置

【課題】半導体装置に適用される比較的膜厚の厚い絶縁膜中の水素濃度を大幅に低減する。
【解決手段】半導体装置70には、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。n型拡散層7、シャロートレンチアイソレーション(STI)2、及び絶縁膜6上と、側壁絶縁膜8の側面とには積層シリコン窒化膜9が形成される。メモリセルトランジスタのゲートの周囲に積層シリコン窒化膜9が設けられる。積層シリコン窒化膜9は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。n層のシリコン窒化膜の膜厚は、それぞれ3nm以下に設定される。n層のシリコン窒化膜は、それぞれ膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や半導体集積回路(LSI)などの半導体装置には、種々の絶縁膜が使用される。半導体装置の製造工程において、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法などを用いて、絶縁膜としてのシリコン酸化膜(CVDシリコン酸化膜)、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、アルミナ膜(AL膜)などのHigh−K膜等が使用される。これらの絶縁膜には、多量の水素が水素結合として含有される(例えば、特許文献1参照。)。多量の水素が含有される絶縁膜をトランジスタのゲートに適用したり、トランジスタの周囲に形成するとトランジスタの特性劣化や半導体装置の信頼性を低下させる要因となる。このため、膜中の水素を低減させた絶縁膜の検討及び開発が行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献2などに記載される絶縁膜としてのシリコン窒素化膜では、膜中の水素濃度が大幅に低減された膜を数nm以上形成することができず、しかも半導体基板の表面にしか形成できない(絶縁膜上では形成できない)という問題点がある。
【特許文献1】米国特許第5441768号明細書
【特許文献2】特開2005−79445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、膜中の水素濃度が大幅に低減された絶縁膜が積層形成された積層膜を有する半導体装置の製造方法、半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する第1のステップと、前記第1の絶縁膜をプラズマ処理し、改質された第2の絶縁膜を形成する第2のステップと、所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第2の絶縁膜上に改質された絶縁膜を1層或いは積層形成する第3のステップとを具備することを特徴とする。
【0006】
更に、本発明の一態様の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、赤外分光法でのSi−H結合の吸光度がSi−N結合の吸光度に対して0.01以下で、膜中の水素濃度が低いシリコン窒化膜が積層された積層膜とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、膜中の水素濃度が大幅に低減された絶縁膜が積層形成された積層膜を有する半導体装置の製造方法、半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法、半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は半導体装置を示す断面図、図2は図1の領域Aの拡大断面図である。本実施例では、メモリセルトランジスタのゲートの周囲に膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン窒化膜を形成している。
【0010】
図1に示すように、半導体装置70には、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。半導体装置70は、複数のメモリセルトランジスタと図示しない周辺回路及び入出力回路が設けられるDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。周辺回路及び入出力回路を構成するトランジスタにはMISトランジスタが用いられ、メモリセルトランジスタには、Nch MISトランジスタが用いられる。
【0011】
半導体装置70では、P型シリコンである半導体基板1上にゲート絶縁膜3、ゲート電極膜4、金属シリサイド膜5、絶縁膜6が積層形成される。ゲート絶縁膜3、ゲート電極膜4、及び金属シリサイド膜5は、メモリセルトランジスタのゲートを構成する。P型シリコンである半導体基板1の第1主面(表面)に埋設されたシャロートレンチアイソレーション(STI)2上にゲート絶縁膜3、ゲート電極膜4、金属シリサイド膜5、絶縁膜6が積層形成され、ゲート電極膜4及び金属シリサイド膜5が配線として使用される。
【0012】
ゲート絶縁膜3との間、及びゲート絶縁膜3とシャロートレンチアイソレーション(STI)2との間の半導体基板1の表面に、半導体基板1とは逆導電型のn型半導体層であるn型拡散層7が設けられる。積層形成されるゲート電極膜4、金属シリサイド膜5、及び絶縁膜6の側面には側壁絶縁膜としての絶縁膜8が設けられる。n型拡散層7、シャロートレンチアイソレーション(STI)2、及び絶縁膜6上と、側壁絶縁膜8の側面とには積層シリコン窒化膜9が形成される。積層シリコン窒化膜9上には層間絶縁膜10が設けられる。
【0013】
メモリセルトランジスタのゲートの間には、積層シリコン窒化膜9及び層間絶縁膜10がエッチング除去されたコンタクト開口部が形成される。コンタクト開口部には、バリアメタル膜11及びプラグ12が埋設される。バリアメタル膜11及びプラグ12が埋設されたコンタクト開口部上には、ビット線に接続される金属配線14が設けられ、金属配線14の下部にはバリアメタル膜13が設けられる。なお、メモリセルトランジスタ以外のトランジスタのゲートの周囲にも積層シリコン窒化膜9が設けられる。
【0014】
図2に示すように、積層シリコン窒化膜9は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。絶縁膜6上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第1のシリコン窒化膜91が設けられる。第1のシリコン窒化膜91上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第2のシリコン窒化膜92が設けられる。図示しない第(n−1)のシリコン窒化膜上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第nのシリコン窒化膜9nが設けられる。
【0015】
シリコン窒化膜厚Tは、3nm以下に設定される。第1のシリコン窒化膜91、第2のシリコン窒化膜92、・・・、第nのシリコン窒化膜9nは、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜である(詳細は後述)。
【0016】
シリコン窒化膜が積層形成される積層シリコン窒化膜9は、TEMや高倍率の断面SEMなどを用いることにより、シリコン窒化膜の界面の有無及び積層数の確認をすることができる。
【0017】
次に、半導体装置の製造方法について、図3乃至6を参照して説明する。図3乃至6は積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図である。ここで、積層シリコン窒化膜9の形成工程では、半導体基板1に結晶欠陥が発生しないように、昇温工程、膜堆積工程、及びプラズマ処理工程での温度変化を抑制している。
【0018】
図3に示すように、まず、絶縁膜6及びn型拡散層7上と絶縁膜8の側面部に第1のアモルファスシリコン窒化膜21を形成する。形成方法は、例えば反応ガスとしてSiH(シラン)、NH(アンモニア)を用い、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用い、反応温度20〜400℃でプラズマCVD法を用いて形成する。ここでは、プラズマCVD法を用いているが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマCVD法、触媒CVD法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、或いはLPCVD法などを用いて第1のアモルファスシリコン窒化膜21を形成してもよい。
【0019】
第1のアモルファスシリコン窒化膜21は、膜厚が略シリコン窒化膜厚T以下に形成され、粒径を窒素プラズマ処理で第1のアモルファスシリコン窒化膜21中の水素結合が置換される程度の大きさ、例えば数nm程度にしている。第1のアモルファスシリコン窒化膜21の粒径を数nm程度に小さくする手法として、例えばキャリアガスとしてアルゴン(Ar)の流量を制御するのが有効である。
【0020】
次に、図4に示すように、窒素ラジカルを第1のアモルファスシリコン窒化膜21に照射して、第1のアモルファスシリコン窒化膜21をプラズマ窒化する。第1のアモルファスシリコン窒化膜21の膜厚を略3nm以下に設定しているので、窒素ラジカルが第1のアモルファスシリコン窒化膜21と絶縁膜6の界面まで供給され、第1のアモルファスシリコン窒化膜21全体がプラズマ窒化され、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第1のシリコン窒化膜91が形成される。
【0021】
ここでは、窒素ラジカルを生成する原料ガスにN(窒素)を用いているが、代わりにNF、NDなどのガスを用いてもよい。
【0022】
続いて、図5に示すように、第1のアモルファスシリコン窒化膜21と同様な手法(プラズマCVD法)を用いて、第1のシリコン窒化膜91上に第2のアモルファスシリコン窒化膜22を形成する。
【0023】
なお、第2のアモルファスシリコン窒化膜22の形成工程中に、下層の第1のシリコン窒化膜91は変質しない。その理由は、プラズマ窒化処理により、ダングリングボンドや水素結合が大幅に低減されたシリコン窒化膜となっているからである。
【0024】
膜中に水素結合がある場合、熱処理などにより水素結合が容易に破壊され、ダングリングボンドが発生する。膜中にダングリングボンドがある場合、熱処理工程中やCVD法による膜形成中などで水素が吸着され、水素結合が形成される。膜中のダングリングボンドは、電荷や準位を形成する。膜中の水素結合は、容易に水素が離脱されるので膜質が不安定となる。
【0025】
そして、図6に示すように、第1のアモルファスシリコン窒化膜21と同様な手法(プラズマ窒化)を用いて、第2のアモルファスシリコン窒化膜22をプラズマ窒化する。ここでは、第2のアモルファスシリコン窒化膜22の膜厚を略3nm以下に設定しているので、窒素ラジカルが第2のアモルファスシリコン窒化膜22と第1のシリコン窒化膜91の界面まで供給され、第2のアモルファスシリコン窒化膜22全体がプラズマ窒化され、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第2のシリコン窒化膜92が形成される。
【0026】
これ以降、同様なステップで図示しない第3のシリコン窒化膜から第nのシリコン窒化膜9nまで順次積層形成される。積層シリコン窒化膜9の形成以降は、層間絶縁膜形成、コンタクト開口、配線形成などが行われ半導体装置70が完成する。
【0027】
形成された積層シリコン窒化膜9は、ダングリングボンドが低減され、水素結合が置換され膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。このため、積層シリコン窒化膜9がトランジスタの保護膜(外部からの汚染防止等)として機能し、メモリセルトランジスタなどのトランジスタの特性劣化を防止し、半導体装置70の信頼性を向上させる。
【0028】
次に、プラズマ窒化されたアモルファスシリコン窒化膜の特性について図7及び図8を参照して説明する。図7は、アモルファスシリコン窒化膜の膜厚が異なる場合でのプラズマ窒化されたアモルファスシリコンシリコン窒化膜のFTIR(Fourier Transform Infra−Red Spectrometry)特性を示す図、図8は本実施例でのプラズマ窒化されたシリコン窒化膜のFTIR特性を示す図である。
【0029】
図7(a)に示すように、シリコン窒化膜厚Tである3nm以下のアモルファスシリコン窒化膜をプラズマ窒化した場合、窒素プラズマが供給されてプラズマ窒化が行われ、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜が形成される。このため、FTIR特性では、主ピークのSi−N結合(Si−N Stretching bonds、波数略885(cm−1))が検出されるが、N−H結合(N−H bending bonds、波数略1150(cm−1))、Si−H結合(Si−H Stretching bonds、波数略2150(cm−1))、及びN−H結合(N−H Stretching bonds、波数略3300(cm−1))がほとんど検出されない。例えば、膜の主成分であるSi−N結合のピーク値に対して、Si−H結合のピーク値が0.01以下となる。
【0030】
図7(b)に示すように、アモルファスシリコン窒化膜の膜厚が、例えば100nmと比較的厚い場合、プラズマ窒化される領域は表面部分(3nm以下)のみであり、他の部分は窒素プラズマが供給されず、ほとんどプラズマ窒化されないので、デポ直後のアモルファスシリコン窒化膜が維持される(窒素プラズマ処理での温度により若干膜質が変化するが)。このため、FTIR特性では、Si−N結合(Si−N Stretching bonds、波数略885(cm−1))が検出される。しかも、N−H結合(N−H bending bonds、波数略1150(cm−1))、Si−H結合(Si−H Stretching bonds、波数略2150(cm−1))、及びN−H結合(N−H Stretching bonds、波数略3300(cm−1))が検出される。例えば、膜の主成分であるSi−N結合のピーク値に対して、Si−H結合のピーク値が0.08となる。
【0031】
なお、膜厚が比較的厚い場合(図7(b))のプラズマ窒化されたアモルファスシリコン窒化膜のSi−N結合の半値幅Wbは、Si−N結合に隣接するN−H結合の影響により、膜厚が比較的薄い場合(図7(a))のプラズマ窒化されたシリコン窒化膜の半値幅Waよりも広くなる。また、それぞれの吸光度のピーク値はプラズマCVD法の条件により異なり、反応ガス中の水素が多いほどN−H結合、Si−H結合、及びN−H結合のピーク値が増加する。成長温度が高いほど膜中の水素濃度が減少する傾向がある。
【0032】
それに対して、本実施例では、1層目のアモルファスシリコン窒化膜以降でも、シリコン窒化膜厚Tを有するアモルファスシリコン窒化膜に窒素プラズマが十分供給され、プラズマ窒化され、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜となる。このため、図8(a)に示す第1のシリコン窒化膜91及び第2のシリコン窒化膜92のFTIR特性、図8(b)に示す積層シリコン窒化膜9のFTIR特性共、主ピークのSi−N結合(Si−N Stretching bonds、波数略885(cm−1))が検出されるが、N−H結合(N−H bending bonds、波数略1150(cm−1))、Si−H結合(Si−H Stretching bonds、波数略2150(cm−1))、及びN−H結合(N−H Stretching bonds、波数略3300(cm−1))がほとんど検出されない。例えば、膜の主成分であるSi−N結合のピーク値に対して、Si−H結合のピーク値が0.01以下となる。
【0033】
上述したように、本実施例の半導体装置の製造方法、半導体装置では、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。n型拡散層7、シャロートレンチアイソレーション(STI)2、及び絶縁膜6上と、側壁絶縁膜8の側面とには積層シリコン窒化膜9が形成される。メモリセルトランジスタのゲートの周囲に積層シリコン窒化膜9が設けられる。積層シリコン窒化膜9は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。n層のシリコン窒化膜は、それぞれ膜厚が3nm以下に設定され、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、水素が離脱されたシリコン窒化膜である。n層のシリコン窒化膜は、それぞれアモルファスシリコン窒化膜をプラズマ窒化処理により、膜中の水素が離脱されたシリコン窒化膜である。
【0034】
このため、形成された積層シリコン窒化膜9は、ダングリングボンドが低減され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。したがって、積層シリコン窒化膜9がトランジスタの保護膜として機能し、メモリセルトランジスタなどのトランジスタの特性劣化を防止し、半導体装置70の信頼性を向上させることができる。
【0035】
なお、本実施例では、アモルファスシリコン窒化膜を窒素プラズマ処理して、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜をDRAMのメモリセルトランジスタのゲートの周囲に積層形成しているが、粒径の小さなアモルファスシリコン膜を窒素プラズマ処理して、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜を積層形成してもよい。また、膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン窒化膜をLDD膜、MONOSの電荷蓄積膜、MISトランジスタのゲート絶縁膜、フラッシュメモリのコントロールゲート絶縁膜、TFTのゲート絶縁膜などに適用してもよい。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法、半導体装置について、図面を参照して説明する。図9は半導体装置を示す断面図、図10は図9の領域Bの拡大断面図である。本実施例では、半導体装置のトップ保護膜に膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン窒化膜を用いている。
【0037】
図9に示すように、半導体装置71には、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。半導体装置71は、複数のメモリセルトランジスタと図示しない周辺回路及び入出力回路が設けられるDRAMである。周辺回路及び入出力回路を構成するトランジスタにはMISトランジスタが用いられ、メモリセルトランジスタには、Nch MISトランジスタが用いられる。本実施例の半導体装置71では、金属配線14までが実施例1と同様な構造を有しているので、その部分の説明を省略する。
【0038】
半導体装置71では、金属配線14及び層間絶縁膜10上に層間絶縁膜15が形成される。層間絶縁膜15上に半導体装置71を保護するための保護膜としての積層シリコン窒化膜16が形成される。
【0039】
図10に示すように、積層シリコン窒化膜16は、例えば膜厚が略200nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。層間絶縁膜15上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第1のシリコン窒化膜161が設けられる。第1のシリコン窒化膜161上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第2のシリコン窒化膜162が設けられる。図示しない第(n−1)のシリコン窒化膜上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第nのシリコン窒化膜16nが設けられる。
【0040】
シリコン窒化膜厚Tは、3nm以下に設定される。第1のシリコン窒化膜161、第2のシリコン窒化膜162、・・・、第nのシリコン窒化膜16nは、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜である(詳細は後述)。
【0041】
シリコン窒化膜が積層形成される積層シリコン窒化膜16は、TEMや高倍率の断面SEMなどを用いることにより、シリコン窒化膜の界面の有無及び積層数の確認をすることができる。
【0042】
次に、半導体装置の製造方法について、図11乃至図14を参照して説明する。図11乃至14は積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図である。ここで、積層シリコン窒化膜16の形成工程では、半導体基板1に結晶欠陥が発生しないように、昇温工程、膜堆積工程、及びプラズマ処理工程での温度変化を抑制している。
【0043】
図11に示すように、まず、層間絶縁膜15上に第1のアモルファスシリコン膜41を形成する。形成方法は、例えば反応ガスとしてSiH(シラン)を用い、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用い、反応温度20〜400℃でプラズマCVD法を用いて形成する。
【0044】
第1のアモルファスシリコン膜41は、膜厚が略シリコン窒化膜厚T以下に形成され、粒径を窒素プラズマ処理で第1のアモルファスシリコン膜41中のシリコンが窒素と反応し、第1のアモルファスシリコン膜41中の水素結合が置換される程度の大きさ、例えば数nm程度にしている。第1のアモルファスシリコン膜41の粒径を数nm程度に小さくする手法として、例えばキャリアガスとしてアルゴン(Ar)の流量を制御するのが有効である。
【0045】
ここでは、プラズマCVD法を用いているが、金属配線14等が他の物質と反応したり、変質したりしない程度の比較的低温度で、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマCVD法、触媒CVD法、或いはPVD(Physical Vapor Deposition)法などを用いて第1のアモルファスシリコン膜41を形成してもよい。
【0046】
次に、図12に示すように、窒素ラジカルを第1のアモルファスシリコン膜41に照射して、第1のアモルファスシリコン膜41をプラズマ窒化する。ここでは、第1のアモルファスシリコン膜41の膜厚を略3nm以下に設定しているので、窒素ラジカルが層間絶縁膜15と第1のアモルファスシリコン膜41の界面まで供給され、第1のアモルファスシリコン膜41全体がプラズマ窒化され、膜中のシリコンが窒素と反応し、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第1のシリコン窒化膜161が形成される。
【0047】
続いて、図13に示すように、第1のアモルファスシリコン膜41と同様な手法(プラズマCVD法)を用いて、第1のシリコン窒化膜161上に第2のアモルファスシリコン膜42を形成する。
【0048】
なお、第2のアモルファスシリコン膜42の形成工程中に、下層の第1のシリコン窒化膜161は変質しない。その理由は、プラズマ窒化処理により、ダングリングボンドや水素結合が大幅に低減されたシリコン窒化膜となっているからである。
【0049】
そして、図14に示すように、第1のアモルファスシリコン膜41と同様な手法(プラズマ窒化)を用いて、第2のアモルファスシリコン膜42をプラズマ窒化する。ここでは、第2のアモルファスシリコン膜42の膜厚を略3nm以下に設定しているので、窒素ラジカルが第1のシリコン窒化膜161と第2のアモルファスシリコン膜42の界面まで供給され、第2のアモルファスシリコン膜42全体がプラズマ窒化され、膜中のシリコンが窒素と反応し、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第2のシリコン窒化膜162が形成される。
【0050】
これ以降、同様なステップで図示しない第3のシリコン窒化膜から第nのシリコン窒化膜16nまで順次積層形成される。
【0051】
形成された積層シリコン窒化膜16は、ダングリングボンドが低減され、水素結合が置換され、膜中のシリコンがプラズマ窒化され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。このため、外部から侵入する汚染から半導体装置71を保護し、半導体装置71の信頼性を向上させる。
【0052】
なお、積層シリコン窒化膜16を構成する第1のシリコン窒化膜161、第2のシリコン窒化膜162、・・・、第nのシリコン窒化膜16n共、実施例1と同様に主ピークのSi−N結合(Si−N Stretching bonds、波数略885(cm−1))は検出されるが、N−H結合(N−H bending bonds、波数略1150(cm−1))、Si−H結合(Si−H Stretching bonds、波数略2150(cm−1))、及びN−H結合(N−H Stretching bonds、波数略3300(cm−1))がほとんど検出されない。例えば、膜の主成分であるSi−N結合のピーク値に対して、Si−H結合のピーク値が0.01以下となる。
【0053】
上述したように、本実施例の半導体装置の製造方法、半導体装置では、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。層間絶縁膜15上に半導体装置71を保護するための保護膜としての積層シリコン窒化膜16が形成される。積層シリコン窒化膜16は、例えば膜厚が略200nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。n層のシリコン窒化膜は、それぞれ膜厚が3nm以下に設定され、膜中の水素がプラズマ処理で置換され、水素が離脱されたシリコン窒化膜である。n層のシリコン窒化膜は、それぞれアモルファスシリコン膜をプラズマ窒化処理により、膜中の水素が離脱され、アモルファスシリコンが窒化されたシリコン窒化膜である。
【0054】
このため、形成された積層シリコン窒化膜16は、ダングリングボンドが低減され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。したがって、積層シリコン窒化膜16は、外部から侵入する汚染から半導体装置71を保護し、半導体装置71の信頼性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施例では、アモルファスシリコン膜の形成用の反応ガスにSiH(シラン)を用いているが、SiHCl(ジクロロシラン)、Si(ジシラン)などを用いてもよい。
【実施例3】
【0056】
次に、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法、半導体装置について、図面を参照して説明する。図15は半導体装置を示す断面図、図16は図15の領域Cの拡大断面図である。本実施例では、TFTのゲート絶縁膜に膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン酸化膜を用いている。
【0057】
図15に示すように、半導体装置72には、絶縁基板51上にTFT(Thin Film Transistor)が設けられる。
【0058】
半導体装置72では、絶縁基板51上にP型の多結晶シリコン基板52が設けられる。多結晶シリコン基板52の右部には、TFTのソースとなるN型不純物が高濃度にドープされたNソース層53が設けられ、多結晶シリコン基板52の左部には、TFTのドレインとなるN型不純物が高濃度にドープされたNドレイン層54が設けられる。
【0059】
絶縁基板51及び多結晶シリコン基板52上には、TFTのゲート絶縁膜となる積層シリコン酸化膜55が設けられる。P型の多結晶シリコン基板52上には、積層シリコン酸化膜55を介して、Nソース層53及びNドレイン層54とオーバーラップするようにゲート電極膜56が設けられる。
【0060】
積層シリコン酸化膜55及びゲート電極膜56上に、層間絶縁膜57が設けられる。Nソース層53上の積層シリコン酸化膜55及び層間絶縁膜57がエッチング除去されたコンタクト開口部58が形成される。Nドレイン層54上の積層シリコン酸化膜55及び層間絶縁膜57がエッチング除去されたコンタクト開口部59が形成される。コンタクト開口部58上にはソース電極60が設けられ、コンタクト開口部59にはドレイン電極が設けられる。
【0061】
図16に示すように、積層シリコン酸化膜55は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン酸化膜から構成される。多結晶シリコン基板52上に、略シリコン酸化膜厚Tを有する第1のシリコン酸化膜551が設けられる。第1の第1のシリコン酸化膜551上に、略シリコン酸化膜厚Tを有する第2のシリコン酸化膜552が設けられる。図示しない第(n−1)のシリコン酸化膜上に、略シリコン酸化膜厚Tを有する第nのシリコン酸化膜55nが設けられる。
【0062】
シリコン酸化膜厚Tは、3nm以下に設定される。第1のシリコン酸化膜551、第2のシリコン酸化膜552、・・・、第nのシリコン酸化膜55nは、プラズマ処理により、水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン酸化膜である(詳細は後述)。
【0063】
シリコン酸化膜が積層形成される積層シリコン酸化膜55は、TEMや高倍率の断面SEMなどを用いることにより、シリコン酸化膜の界面の有無及び積層数の確認をすることができる。
【0064】
次に、半導体装置の製造方法について、図17乃至図20を参照して説明する。図17乃至20は積層シリコン酸化膜の製造工程を示す断面図である。ここで、積層シリコン酸化膜55の形成工程では、多結晶シリコン基板52などに結晶欠陥が発生しないように、昇温工程、膜堆積工程、及びプラズマ処理工程での温度変化を抑制している。
【0065】
図17に示すように、まず、絶縁基板51、多結晶シリコン基板52、ソース層53、及びドレイン層54上に第1のCVDシリコン酸化膜81を形成する。
【0066】
形成方法は、例えば反応ガスとしてSiH(シラン)、O(酸素)を用い、反応温度20〜400℃でプラズマCVD法を用いて形成する。
【0067】
第1のCVDシリコン酸化膜81は、膜厚が略シリコン酸化膜厚T以下に形成され、酸素プラズマ処理で第1のCVDシリコン酸化膜81中の水素が離脱できるように粒径を、例えば数nm程度にしている。SiOからなる第1のCVDシリコン酸化膜81は、FTIRで主ピークのSi―O結合(波数略1060(cm−1)と450(cm−1))の他に、Si−H結合(波数略2150(cm−1))、Si−OH結合(波数略930(cm−1))が観測される。
【0068】
ここでは、プラズマCVD法を用いているが、LP−CVD法、光CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、或いはPVD(Physical Vapor Deposition)法などを用いて第1のCVDシリコン酸化膜81を形成してもよい。
【0069】
次に、図18に示すように、酸素ラジカルを第1のCVDシリコン酸化膜81に照射して、第1のCVDシリコン酸化膜81をプラズマ酸化する。ここでは、第1のCVDシリコン酸化膜81の膜厚を略3nm以下に設定しているので、酸素ラジカルが多結晶シリコン基板52と第1のCVDシリコン酸化膜81などの界面まで供給され、第1のCVDシリコン酸化膜81全体がプラズマ酸化され、膜中の水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第1のシリコン酸化膜551が形成される。ここでは、酸素ラジカルを生成する原料ガスにO(酸素)を用いているがO(オゾン)などを用いてもよい。
【0070】
続いて、図19に示すように、第1のCVDシリコン酸化膜81と同様な手法(プラズマCVD法)を用いて、第1のシリコン酸化膜551上にSiOからなる第2のCVDシリコン酸化膜82を形成する。
【0071】
なお、第2のCVDシリコン酸化膜82の形成工程中に、下層の第1のシリコン酸化膜551は変質しない。その理由は、プラズマ酸化処理により、ダングリングボンドや水素が大幅に低減されたシリコン酸化膜となっているからである。
【0072】
膜中に水素結合やOH結合がある場合、熱処理などにより水素が容易に破壊され、ダングリングボンドが発生する。膜中にダングリングボンドがある場合、熱処理工程中やCVD法による膜形成中などで水素が吸着され、水素結合やOH結合が形成される。膜中のダングリングボンドは、電荷や準位を形成する。膜中の水素結合やOH結合は、容易に水素が離脱されるので膜質が不安定となる。
【0073】
そして、図20に示すように、第1のCVDシリコン酸化膜81と同様な手法(プラズマ酸化)を用いて、第2のCVDシリコン酸化膜82をプラズマ酸化する。ここでは、第2のCVDシリコン酸化膜82の膜厚を略3nm以下に設定しているので、酸素ラジカルが第1のシリコン酸化膜551と第2のCVDシリコン酸化膜82の界面まで供給され、第2のCVDシリコン酸化膜82全体がプラズマ酸化され、膜中の水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第2のシリコン酸化膜552が形成される。
【0074】
これ以降、同様なステップで図示しない第3のシリコン酸化膜から第nのシリコン酸化膜55nまで順次積層形成される。ここで、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン酸化膜55は、例えばFTIR特性で、主ピークであるSi−O結合の吸光度に対してSi−H結合の吸光度が0.01以下となる。TFTのゲート絶縁膜形成以降、ゲート電極、層間絶縁膜、コンタクト開口、及び配線形成などが行われ、半導体装置71が完成する。
【0075】
形成された積層シリコン酸化膜55は、ダングリングボンドが低減され、水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン酸化膜となる。このため、積層シリコン酸化膜55がTFTのゲート絶縁膜として使用することができる。
【0076】
上述したように、本実施例の半導体装置の製造方法、半導体装置では、絶縁基板51上にTFTが設けられる。TFTの基板としての多結晶シリコン基板52上にはTFTのゲート絶縁膜としての積層シリコン酸化膜55が形成される。積層シリコン酸化膜55は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン酸化膜から構成される。n層のシリコン酸化膜は、それぞれ膜厚が3nm以下に設定され、膜中の水素がプラズマ処理で離脱されたシリコン酸化膜である。
【0077】
このため、形成された積層シリコン酸化膜55は、ダングリングボンドが低減され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン酸化膜となる。したがって、積層シリコン酸化膜55をTFTのゲート絶縁膜として用いることができる。
【実施例4】
【0078】
次に、本発明の実施例4に係る半導体装置の製造方法、半導体装置について、図面を参照して説明する。図21は半導体装置を示す断面図、図22は図21の領域Dの拡大断面図である。本実施例では、メモリセルトランジスタの側壁膜に膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン窒化膜を用いている。
【0079】
図21に示すように、半導体装置73には、実施例1と同様に半導体基板1上にメモリセルトランジスタが設けられる。ここでは、ゲート加工が終了し、ゲート周囲に側壁膜として用いられる積層シリコン窒化膜100を形成した時点での断面図である。
【0080】
図22に示すように、積層シリコン窒化膜100は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。絶縁膜6上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第1のシリコン窒化膜101が設けられる。第1のシリコン窒化膜101上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第2のシリコン窒化膜102が設けられる。図示しない第(n−1)のシリコン窒化膜上に、略シリコン窒化膜厚Tを有する第nのシリコン窒化膜10nが設けられる。
【0081】
シリコン窒化膜厚Tは、3nm以下に設定される。第1のシリコン窒化膜101、第2のシリコン窒化膜102、・・・、第nのシリコン窒化膜10nは、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン窒化膜である(詳細は後述)。
【0082】
シリコン窒化膜が積層形成される積層シリコン窒化膜100は、TEMや高倍率の断面SEMなどを用いることにより、シリコン窒化膜の界面の有無及び積層数の確認をすることができる。
【0083】
次に、半導体装置の製造方法について、図23及び図24を参照して説明する。図23及び図24は積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図である。ここで、積層シリコン窒化膜100の形成工程では、半導体基板1に結晶欠陥が発生しないように、昇温工程、膜堆積工程、及びプラズマ処理工程での温度変化を抑制している。
【0084】
図23に示すように、まず、絶縁膜6及びn型拡散層7上に第1のアモルファスシリコン膜111を形成する。形成方法は、例えば反応ガスとしてSiH(シラン)を用い、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用い、反応温度500〜580℃、圧力0.1〜10TorrでLPCVD法を用いて形成する。形成されたアモルファスシリコン膜111は、実施例2の低温プラズマCVD法で形成されたアモルファスシリコン膜よりも形成温度が高く、膜中の水素濃度を低減することができる。FTIR特性では、Si−H結合のピークが低減される。なお、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)を用いているが、代わりに窒素(N)を用いてもよい。
【0085】
第1のアモルファスシリコン膜111は、膜厚が略シリコン窒化膜厚T以下に形成され、粒径を窒素プラズマ処理で第1のアモルファスシリコン膜111中の水素結合が置換され、プラズマ窒化される程度の大きさ、例えば数nm程度にしている。
【0086】
次に、図24に示すように、窒素ラジカルを第1のアモルファスシリコン膜111に照射して、第1のアモルファスシリコン膜111をプラズマ窒化する。第1のアモルファスシリコン膜111の膜厚を略3nm以下に設定しているので、窒素ラジカルが絶縁膜6とアモルファスシリコン膜111の界面まで供給され、第1のアモルファスシリコン膜111全体がプラズマ窒化され、膜中の水素結合がプラズマ処理で水素が離脱され、アモルファスシリコンがプラズマ窒化され、膜中の水素濃度が大幅に低減された第1のシリコン窒化膜101が形成される。
【0087】
これ以降、同様なステップで第nのシリコン窒化膜10nまで順次積層形成される。そして、側壁膜形成、層間絶縁膜形成、コンタクト開口、配線形成等により図示しない半導体装置73が形成される。
【0088】
形成された積層シリコン窒化膜100は、ダングリングボンドが低減され、水素結合が置換され、アモルファスシリコンがプラズマ窒化され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。このため、積層シリコン窒化膜100がトランジスタの側壁保護膜として機能し、メモリセルトランジスタなどのトランジスタの特性劣化を防止し、半導体装置73の信頼性を向上させる。
【0089】
上述したように、本実施例の半導体装置の製造方法、半導体装置では、半導体基板1上に複数のメモリセルトランジスタが設けられる。メモリセルトランジスタのゲートの側壁に積層シリコン窒化膜100が設けられる。積層シリコン窒化膜100は、例えば膜厚が略100nmであり、n層のシリコン窒化膜から構成される。n層のシリコン窒化膜は、それぞれ膜厚が3nm以下に設定され、膜中の水素結合がプラズマ処理で置換され、水素が離脱されたシリコン窒化膜である。n層のシリコン窒化膜は、それぞれアモルファスシリコン膜をプラズマ窒化処理により、膜中の水素が離脱されたシリコン窒化膜である。
【0090】
このため、形成された積層シリコン窒化膜100は、ダングリングボンドが低減され、膜中の水素濃度が大幅に低減された比較的膜厚の厚いシリコン窒化膜となる。したがって、積層シリコン窒化膜100がトランジスタの側壁保護膜として機能し、メモリセルトランジスタなどのトランジスタの特性劣化を防止し、半導体装置73の信頼性を向上させることができる。
【0091】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0092】
例えば、実施例1及び2では、膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン窒化膜の適用について説明し、実施例3では膜中の水素濃度が大幅に低減された積層シリコン酸化膜の適用について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、膜中の水素濃度が大幅に低減されたSiON膜や膜中の水素濃度が大幅に低減されたアルミナ(AL)膜を積層形成してもよい。膜中の水素濃度が大幅に低減されたSiON膜の場合、アモルファスシリコン窒化膜を酸素ラジカルで酸化させる方法やCVDSiO膜を窒素ラジカルで窒化させる方法などを用いるのが好ましい。
【0093】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) 半導体基板上に水素を含有する第1のシリコン酸化膜を形成する第1のステップと、前記第1のシリコン酸化膜を酸素プラズマ処理し、膜中の水素濃度が大幅に低減された第2のシリコン酸化膜を形成する第2のステップと、所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第2のシリコン酸化膜上に膜中の水素濃度が大幅に低減されたシリコン酸化膜を1層或いは積層形成する第3のステップとを具備する半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記2) 半導体基板上に水素を含有する第1のシリコン酸化膜を形成する第1のステップと、前記第1のシリコン膜を窒素プラズマ処理し、膜中の水素濃度が大幅に低減され、Si−N結合が形成された第1のシリコン酸窒化膜を形成する第2のステップと、所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第1のシリコン酸窒化膜上に水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減され、Si−N結合が形成されたシリコン酸窒化膜を1層或いは積層形成する第3のステップとを具備する半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記3) 半導体基板上に水素を含有する第1のアモルファスシリコン窒化膜を形成する第1のステップと、前記第1のアモルファスシリコン窒化膜を酸素プラズマ処理し、膜中の水素濃度が大幅に低減され、Si−O結合が形成された第1のシリコン酸窒化膜を形成する第2のステップと、所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第1のシリコン酸窒化膜上に水素が離脱され、膜中の水素濃度が大幅に低減され、Si−O結合が形成されたシリコン酸窒化膜を1層或いは積層形成する第3のステップとを具備する半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記4) 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、赤外分光法でのSi−H結合の吸光度がSi−O結合の吸光度に対して0.01以下で、膜中の水素濃度の低いシリコン酸化膜が積層された積層膜とを具備することを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置を示す断面図。
【図2】図1の領域Aの拡大断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図6】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】本発明の実施例1に係るアモルファスシリコン窒化膜の膜厚が異なる場合でのプラズマ窒化されたアモルファスシリコンシリコン窒化膜のFTIR特性を示す図。
【図8】本発明の実施例1に係る本実施例でのプラズマ窒化されたシリコン窒化膜のFTIR特性を示す図。
【図9】本発明の実施例2に係る半導体装置を示す断面図。
【図10】図9の領域Bの拡大断面図。
【図11】本発明の実施例2に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図12】本発明の実施例2に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図13】本発明の実施例2に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図14】本発明の実施例2に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図15】本発明の実施例3に係る半導体装置を示す断面図。
【図16】図15の領域Cの拡大断面図。
【図17】本発明の実施例3に係る積層シリコン酸化膜の製造工程を示す断面図。
【図18】本発明の実施例3に係る積層シリコン酸化膜の製造工程を示す断面図。
【図19】本発明の実施例3に係る積層シリコン酸化膜の製造工程を示す断面図。
【図20】本発明の実施例3に係る積層シリコン酸化膜の製造工程を示す断面図。
【図21】本発明の実施例4に係る半導体装置を示す断面図。
【図22】図21の領域Dの拡大断面図。
【図23】本発明の実施例4に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【図24】本発明の実施例4に係る積層シリコン窒化膜の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体基板
2 シャロートレンチアイソレーション(STI)
3 ゲート絶縁膜
4、56 ゲート電極膜
5 金属シリサイド膜
6、8、31 絶縁膜
7 n型拡散層
9、16、100 積層シリコン窒化膜
10、15、57 層間絶縁膜
11、13 バリアメタル膜
12 プラグ
14 金属配線
21 第1のアモルファスシリコン窒化膜
22 第2のアモルファスシリコン窒化膜
41、111 第1のアモルファスシリコン膜
42 第2のアモルファスシリコン膜
51 絶縁基板
52 多結晶シリコン基板
53 ソース層
54 ドレイン層
55 積層シリコン酸化膜
58、59 コンタクト開口部
60 ソース電極
61 ドレイン電極
70、71、72、73 半導体装置
81 第1のCVDシリコン酸化膜
82 第2のCVDシリコン酸化膜
91、101、161 第1のシリコン窒化膜
92、102、162 第2のシリコン窒化膜
92n、10n、16n 第nのシリコン窒化膜
551 第1のシリコン酸化膜
552 第2のシリコン酸化膜
55n 第nのシリコン酸化膜
、T、TD シリコン窒化膜厚
シリコン酸化膜厚
Wa、Wb 半値幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する第1のステップと、
前記第1の絶縁膜をプラズマ処理し、改質された第2の絶縁膜を形成する第2のステップと、
所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第2の絶縁膜上に改質された絶縁膜を1層或いは積層形成する第3のステップと、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板上に水素を含有する第1の絶縁膜を形成する第1のステップと、
前記第1の絶縁膜をプラズマ処理し、膜中の水素濃度が低減された第2の絶縁膜を形成する第2のステップと、
所望される膜厚に応じて前記第1及び第2のステップを1回或いは複数回繰り返して、前記第2の絶縁膜上に膜中の水素濃度が低減された絶縁膜を1層或いは積層形成する第3のステップと、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の絶縁膜は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、或いはアルミナ膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜は、アモルファスシリコン膜或いはアモルファスシリコン窒化膜であり、第2の絶縁膜はN−H結合やSi−H結合の水素が窒素ラジカルにより脱離され、プラズマ窒化されたシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、赤外分光法でのSi−H結合の吸光度がSi−N結合の吸光度に対して0.01以下で、膜中の水素濃度が低いシリコン窒化膜が積層された積層膜と、
を具備することを特徴とする半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2009−206368(P2009−206368A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48650(P2008−48650)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】