説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】本発明は、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減して、半導体装置の動作速度の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】基板10の表面側に形成された拡散層25P、26P、25N、26Nと、前記拡散層25P、26P、25N、26Nの表面に形成されていて前記拡散層25P、26P、25N、26Nよりも抵抗が低い低抵抗部27P、28P、27N、28Nと、前記基板10の裏面側より前記基板10を貫通して前記拡散層25P、26P、25N、26Nを通して前記低抵抗部27P、28P、27N、28Nに接続された裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケーリングに伴い、コンタクト電極とゲート電極の距離は小さくなり、ゲート電極とコンタクト電極間の寄生容量の増加はゲート電極寄生容量の顕著な増加をもたらし、回路動作スピードの低下と負荷容量増加による消費電力の増加をもたらす。
その解決手段として、アクティブ領域層の表面側にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、そのゲート電極の両側のアクティブ領域層にソース・ドレインが形成されている。そのアクティブ領域層の裏面側に、ソース・ドレインの裏面側に接続するコンタクト電極を設けるデバイス構造と、その製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、スケーリングとシステムの増加に伴い、配線層数が急激に増加してきている。そのため、歩留り低下や、配線遅延が問題となっている。
その解決手段として、いわゆる裏面コンタクト電極、裏面配線を併用することによって、配線のユーティリティを向上させ、配線層数の削減と集積度の向上を図っている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
上記のような裏面コンタクト構造では、拡散層に直接コンタクト電極が接続される。通常、拡散層の表面側からコンタクト電極を接続させる場合、拡散層表面にシリサイド層のような低抵抗層を形成し、その低抵抗層にコンタクト電極を接続させて、コンタクト抵抗を低減している。しかし、拡散層の裏面側にシリサイド層のような低抵抗層を形成することは困難であるため、裏面コンタクト電極は拡散層に直接的に接続せざるを得ない。このため、コンタクト抵抗が高くなり、動作速度の低下を招いていた。
【0004】
すなわち、従来の裏面コンタクト電極および裏面配線は、寄生容量が低減できるにも関わらず、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が高くなり、MOSFETの性能低下や性能ばらつきが大きくなり、結果として半導体装置の性能が低下する問題点がある。
これはSOI基板の埋め込み酸化膜層(BOX)に接するシリコン層に形成される拡散層の不純物濃度がシリコン層表面からイオン注入等で不純物を導入しているため、表面に比べて深さ方向(裏面方向)に低くなるのが原因である。
埋め込み酸化膜層界面の不純物濃度を上げるには、イオン注入のエネルギーを上げるか、イオン注入後の熱処理を増やすことが考えられるが、これはMOSFET特性の短チャネル効果が増大し、やはり性能低下、性能ばらつきを増大させることになる。
また、表面配線を用いる場合は、微細化が進むとゲート電極とコンタクト電極との距離が近くなり、ゲート電極とコンタクト電極、拡散層間の寄生容量が相対的に大きくなり、やはり半導体デバイスの性能が低下する問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−079645号公報
【特許文献2】特開平05-267563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が高くなり、MOSFETの性能低下や性能ばらつきが大きくなり、結果として半導体装置の性能が低下する点である。
【0007】
本発明は、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減して、半導体装置の動作速度の向上を図ることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置は、基板の表面側に形成された拡散層と、前記拡散層の表面に形成されていて前記拡散層よりも抵抗が低い低抵抗部と、前記基板の裏面側より前記基板を貫通して前記拡散層を通して前記低抵抗部に接続された裏面コンタクト電極を有する。
【0009】
本発明の半導体装置では、基板の裏面側よりその基板を貫通して拡散層を通して低抵抗部に接続された裏面コンタクト電極を有することから、拡散層の裏面側から形成された裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減される。すなわち、拡散層の表面に形成された低抵抗部に表面側から接続される表面コンタクト電極とのコンタクト抵抗と同等な抵抗値となる。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1支持基板上に絶縁層を介してシリコン層が形成されているSOI基板の該シリコン層上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極の両側の前記シリコン層に拡散層を形成してトランジスタを形成する工程と、前記拡散層の表面に前記拡散層よりも抵抗が低い低抵抗部を形成する工程と、前記シリコン層上に前記トランジスタを被覆する絶縁膜を介して第2支持基板を形成し、さらに前記第1支持基板および前記絶縁層を除去する工程と、前記シリコン層に層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜と前記シリコン層に前記低抵抗部に接続する裏面コンタクト電極を形成する工程を有する。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法では、基板の裏面側よりその基板を貫通して拡散層を通して低抵抗部に接続された裏面コンタクト電極を形成することから、拡散層の裏面側から形成された裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減される。すなわち、拡散層の表面に形成された低抵抗部に表面側から接続される表面コンタクト電極とのコンタクト抵抗と同等な抵抗値となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置は、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減されるため、半導体装置の動作速度の向上が図れるので、高性能な半導体装置を提供できるという利点がある。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法は、裏面コンタクト電極と拡散層とのコンタクト抵抗が低減されるため、半導体装置の動作速度の向上が図れるので、高性能な半導体装置を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第1例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第2例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第3例を示した概略構成断面図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第5例を示した概略構成断面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第6例を示した概略構成断面図である。
【図6】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第7例を示した概略構成断面図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第8例を示した概略構成断面図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第9例を示した概略構成断面図である。
【図9】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図11】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図12】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示した製造工程断面図である。
【図13】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第3例を示した製造工程断面図である。
【図14】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第5例を示した製造工程断面図である。
【図15】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第5例を示した製造工程断面図である。
【図16】本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第5例を示した製造工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[半導体装置の構成の第1例]
本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第1例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0017】
図1に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、Pチャネルトランジスタ形成領域とNチャネルトランジスタ形成領域とを分離する素子分離領域13が形成されている。
上記PMOSトランジスタの形成領域の上記半導体領域12にはPチャネルトランジスタ1Pが形成され、上記NMOSトランジスタの形成領域の上記半導体領域12にはNチャネルトランジスタ1Nが形成されている。
【0018】
以下、その詳細を説明する。
上記半導体領域12の上記Pチャネルトランジスタ形成領域上には、ゲート絶縁膜21Pを介してゲート電極22Pが形成されている。
上記ゲート絶縁膜21Pは、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成されている。
上記ゲート電極22Pは、例えばポリシリコンで形成されている。もしくは、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、タングステン(W)等で形成されている。
【0019】
また上記ゲート電極22Pの側壁にはサイドウォール23P、24Pが形成されている。このサイドウォール23P、24Pは、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成されている。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
さらに上記ゲート電極22Pの両側の上記半導体領域12には拡散層25P、26Pが形成されている。この拡散層25P、26Pは、P型であり、ソース・ドレイン領域となっている。そして、上記拡散層25P、26P間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
また、上記拡散層25P、26Pの表面には、この拡散層25P、26Pよりも抵抗(電気抵抗)が低い低抵抗部27P、28Pが形成されている。この低抵抗部27P、28Pは、例えばシリサイド層で形成されている。このシリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成されている。
また、上記ゲート電極22Pがポリシリコンで形成されている場合には、上記ゲート電極22P上部にも低抵抗部29Pが形成されている。この低抵抗部29Pは、上記同様なシリサイド層で形成されている。
上記のように、上記半導体領域12にPチャネルトランジスタ1Pが形成されている。
【0020】
また、上記半導体領域12の上記Nチャネルトランジスタ形成領域上には、ゲート絶縁膜21Nを介してゲート電極22Nが形成されている。
上記ゲート絶縁膜21Nは、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成されている。
上記ゲート電極22Nは、例えばポリシリコンで形成されている。もしくは、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、タングステン(W)等で形成されている。
【0021】
また上記ゲート電極22Nの側壁にはサイドウォール23N、24Nが形成されている。このサイドウォール23P、24Pは、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン、酸窒化シリコン等で形成されている。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
さらに上記ゲート電極22Nの両側の上記半導体領域12には拡散層25N、26Nが形成されている。この拡散層25N、26Nは、N型であり、ソース・ドレイン領域となっている。そして、上記拡散層25N、26N間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
また、上記拡散層25N、26Nの表面には、この拡散層25N、26Nよりも抵抗(電気抵抗)が低い低抵抗部27N、28Nが形成されている。この低抵抗部27N、28Nは、例えばシリサイド層で形成されている。このシリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成されている。
また、上記ゲート電極22Nがポリシリコンで形成されている場合には、上記ゲート電極22N上部にも低抵抗部29Nが形成されている。この低抵抗部29Nは、上記同様なシリサイド層で形成されている。
上記のように、上記半導体領域12にNチャネルトランジスタ1Nが形成されている。
【0022】
上記のように、Pチャネルトランジスタ1PとNチャネルトランジスタ1Nとで半導体装置1が構成されている。
また、上記Pチャネルトランジスタ1PとNチャネルトランジスタ1Nが形成される上記基板11は、絶縁層である第1絶縁膜11と、その上面に形成された上記半導体領域12とで形成されている。したがって、上記半導体領域12は、実質SOI基板のSOI層と同等である。そのため、上記半導体領域12に形成される上記Pチャネルトランジスタ1PとNチャネルトランジスタ1Nとは、完全空乏型のトランジスタとすることができる。
なお、半導体装置1は、上記トランジスタのいずれか一方であってもよい。
【0023】
上記半導体領域12上には上記半導体装置1を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。上記層間絶縁膜41の表面は平坦化されている。
【0024】
上記層間絶縁膜41上には支持基板51が形成されている。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。
【0025】
上記第1絶縁膜11には、上記拡散層25P、26Pに通じるコンタクトホール61P、62Pが形成されている。このコンタクトホール61P、62Pが上記拡散層25P、26Pを貫通して、上記低抵抗部27P、28Pの裏面側に達している。上記コンタクトホール61P、62P内には裏面コンタクト電極63P、64Pが形成されていて、上記低抵抗部27P、28Pの裏面側に接続している。上記裏面コンタクト電極63P、64Pは、上記コンタクトホール61P、62P内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料で埋め込まれて形成されている。
【0026】
上記同様に、上記第1絶縁膜11には、上記拡散層25N、26Nに通じるコンタクトホール61N、62Nが形成されている。このコンタクトホール61N、62Nが上記拡散層25N、26Nを貫通して、上記低抵抗部27N、28Nの裏面側に達している。上記コンタクトホール61N、62N内には裏面コンタクト電極63N、64Nが形成されていて、上記低抵抗部27N、28Nの裏面側に接続している。上記裏面コンタクト電極63N、64Nは、上記コンタクトホール61N、62N内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料で埋め込まれて形成されている。
【0027】
さらに、上記第1絶縁膜11には第2絶縁膜14が形成されている。この第2絶縁膜14には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。
【0028】
上記第2絶縁膜14には、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに通じる配線溝65P、66Pが形成されている。この配線溝65P、66Pは上記裏面コンタクト電極63P、64Pに達している。上記配線溝65P、66P内には配線67P、68Pが形成されていて、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに接続している。上記配線67P、68Pは、上記配線溝65P、66P内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜が埋め込まれて形成されている。
【0029】
上記同様に、上記第2絶縁膜14には、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに通じる配線溝65N、66Nが形成されている。この配線溝65N、66Nは上記裏面コンタクト電極63N、64Nに達している。上記配線溝65N、66N内には配線67N、68Nが形成されていて、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに接続している。上記配線67N、68Nは、上記配線溝65N、66N内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜が埋め込まれて形成されている。
【0030】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0031】
上記半導体装置1では、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nは、それぞれ拡散層25P、26P、25N、26Nを通して、それぞれ低抵抗部27P、28P、27N、28Nに直接接続されている。このことから、例えば裏面コンタクト電極63Pと拡散層25Pとのコンタクト抵抗値が低減される。同様に、それぞれの裏面コンタクト電極64P、63N、64Nと、拡散層26P、25N、26Nとのコンタクト抵抗値が低減される。すなわち、拡散層25P、26P、25N、26Nの表面にそれぞれ形成された低抵抗部27P、28P、27N、28Nに表面側から接続された場合の表面コンタクト電極(図示せず)とのコンタクト抵抗値と同等になる。
【0032】
これによって、従来、ゲート電極22P、22N側に形成されていたコンタクト電極を形成しなくてすむので、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nとの間の寄生容量が低減される。
また、素子の微細化に伴い、平面レイアウト上、ゲート電極22P、22Nとコンタクト電極との距離が縮小されても、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64N間の確実な絶縁分離が可能となる。
さらに、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nのアスペクト比が小さいため、コンタクト電極の微細化が容易となる。
さらに、移動度(モビリィティ)を向上させるためのいわゆるストレスライナー膜(図示せず)をトランジスタ上に設けても、そのストレスライナー膜がコンタクト電極で切断されることがないため、ストレスライナー膜のストレス効果の損失が少ない。ストレスライナー膜(CSIL:Channel Stressinduced Liner)は、通常、引張応力(Tensile)か圧縮応力(Compressive)を有する窒化シリコン膜で形成されている。
【0033】
[半導体装置の構成の第2例]
次に、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第2例を、図2の概略構成断面図によって説明する。なお、図2で示す半導体装置(トランジスタ)は、前記説明したPチャネルトランジスタ1Pであっても、Nチャネルトランジスタ1Nであってもよい。すなわち、ゲート電極と拡散層の両方に接続するシェアドコンタクト電極を有するものである。
【0034】
図2に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、トランジスタ形成領域を分離する素子分離領域13が形成されている。
上記トランジスタの形成領域の上記半導体領域12には、第1トランジスタ101が、例えばPチャネルトランジスタもしくはNチャネルトランジスタが形成されている。
【0035】
以下、その詳細を説明する。
上記半導体領域12の上記トランジスタ形成領域上には、ゲート絶縁膜21を介してゲート電極22が形成されている。
上記ゲート絶縁膜21は、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成されている。
上記ゲート電極22は、例えばポリシリコンで形成されている。
【0036】
また上記ゲート電極22の側壁にはサイドウォール23、24が形成されている。このサイドウォール23、24は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成されている。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
さらに上記ゲート電極22の両側の上記半導体領域12には拡散層25、26が形成されている。この拡散層25、26は、Pチャネルトランジスタの場合、P型であり、Nチャネルトランジスタの場合、N型であり、ソース・ドレイン領域となっている。そして、上記拡散層25、26間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
また、上記拡散層25、26の表面には、この拡散層25、26よりも抵抗(電気抵抗)が低い低抵抗部27、28が形成されている。この低抵抗部27、28は、例えばシリサイド層で形成されている。このシリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成されている。
また、上記ゲート電極22上部にも低抵抗部29が形成されている。この低抵抗部29は、上記同様なシリサイド層で形成されている。
上記のように、上記半導体領域12に第1トランジスタ101が形成されている。
【0037】
また、上記素子分離領域13上に、上記第1トランジスタ101とは別の第2トランジスタ102のゲート電極122が延長されて形成されている。このゲート電極122がポリシリコンで形成されていて、このゲート電極122上に低抵抗部129が形成されている。この低抵抗部129は、上記同様なシリサイド層で形成されている。
【0038】
上記半導体領域12上には半導体装置2(第1、第2トランジスタ101、102)を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。上記層間絶縁膜41の表面は平坦化されている。
【0039】
上記層間絶縁膜41上には支持基板51が形成されている。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。
【0040】
上記第1絶縁膜11には、上記拡散層25、26に通じるコンタクトホール61、62が形成されている。このコンタクトホール61、62が上記拡散層25、26を貫通して、上記低抵抗部27、28の裏面側に達している。このうち、コンタクトホール62は、さらに、ゲート電極122の低抵抗部129の裏面側に達している。上記コンタクトホール61、62内には裏面コンタクト電極63、64が形成されていて、上記低抵抗部27、28の裏面側に接続している。このうち、裏面コンタクト電極64は、上記拡散層26の低抵抗部28とともに、上記ゲート電極122の低抵抗部129にも接続している。上記裏面コンタクト電極63、64は、上記コンタクトホール61、62内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料で埋め込まれて形成されている。
【0041】
さらに、上記第1絶縁膜11には第2絶縁膜14が形成されている。この第2絶縁膜14には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。
【0042】
上記第2絶縁膜14には、上記裏面コンタクト電極63、64に通じる配線溝65、66が形成されている。この配線溝65、66は上記裏面コンタクト電極63、64に達している。上記配線溝65、66内には配線67、68が形成されていて、上記裏面コンタクト電極63、64に接続している。上記配線67、68は、上記配線溝65、66内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜が埋め込まれて形成されている。
【0043】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0044】
上記半導体装置2は、いわゆるシェアドコンタクト電極構造に適用されたものである。よって、シェアドコンタクト電極構造でも、前記半導体装置1と同様なる作用効果が得られる。また、上記半導体装置2は、前記半導体装置1と同様に、完全空乏型のトランジスタとすることができる。
【0045】
すなわち、上記半導体装置2では、前記半導体装置1と同様に、裏面コンタクト電極63、64は、それぞれ拡散層25、26を通して、それぞれ低抵抗部27、28に直接接続されている。このことから、例えば裏面コンタクト電極63と拡散層25とのコンタクト抵抗値が低減される。同様に、それぞれの裏面コンタクト電極64、63とのコンタクト抵抗値が低減される。すなわち、拡散層25、26の表面にそれぞれ形成された低抵抗部27、28に表面側から接続された場合の表面コンタクト電極(図示せず)とのコンタクト抵抗値と同等になる。
【0046】
これによって、従来、ゲート電極22側に形成されていたコンタクト電極を形成しなくてすむので、ゲート電極22と裏面コンタクト電極63、64との間の寄生容量が低減される。
また、素子の微細化に伴い、平面レイアウト上、ゲート電極22とコンタクト電極との距離が縮小されても、ゲート電極22と裏面コンタクト電極63、64間の確実な絶縁分離が可能となる。
さらに、裏面コンタクト電極63、64のアスペクト比が小さいため、コンタクト電極の微細化が容易となる。
さらに、移動度(モビリィティ)を向上させるためのいわゆるストレスライナー膜(図示せず)をトランジスタ上に設けても、そのストレスライナー膜がコンタクト電極で切断されることがないため、ストレスライナー膜のストレス効果の損失が少ない。ストレスライナー膜(CSIL:Channel Stressinduced Liner)は、通常、引張応力(Tensile)か圧縮応力(Compressive)を有する窒化シリコン膜で形成されている。
【0047】
[半導体装置の構成の第3例]
次に、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第3例を、図3の概略構成断面図によって説明する。
【0048】
図3に示すように、半導体装置3は、半導体領域12に形成されたPチャネルトランジスタ3PとNチャネルトランジスタ3Nとで構成されている。この半導体装置3は、前記説明した半導体装置1において、上記ゲート電極22Pの側壁に形成されたサイドウォール23P、24P(前記図1参照)の部分を空間91P、92Pにしたものである。また、上記ゲート電極22Nの側壁に形成されたサイドウォール23N、24N(前記図1参照)の部分を空間91N、92Nにしたものである。
そして、上記ゲート電極22Pの側方には空間91P、92Pを介して第1層間絶縁膜42が形成されている。また上記ゲート電極22Nの側方には空間91N、92Nを介して上記第1層間絶縁膜42が形成されている。
さらに、上記第1層間絶縁膜42上には、上記空間91P、92P、空間91N、92Nを埋め込むことなく第2層間絶縁膜43が形成されている。このように、上記第1層間絶縁膜42と上記第2層間絶縁膜43とで層間絶縁膜41が形成されている。
その他の構成は、前記図1によって説明したのと同様である。
【0049】
上記半導体装置3では、ゲート電極22Pの側部に空間91P、92Pを形成し、ゲート電極22Nの側部に空間91N、92Nを形成することが可能となるので、寄生容量をさらに低減することが可能となる。また、前記半導体装置1と同様なる作用効果が得られる。また、上記半導体装置3は、前記半導体装置1と同様に、完全空乏型のトランジスタとすることができる。
【0050】
[半導体装置の構成の第4例]
次に、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第4例を、前記図1の概略構成断面図によって説明する。
【0051】
前記図1に示すように、半導体装置の構成の第4例は、前記サイドウォール23P、24P、サイドウォール23N、24Nを、例えば酸化シリコンよりも誘電率の低い低誘電率膜で形成したものである。その低誘電率膜としては、例えば、有機絶縁膜がある。
【0052】
このように、サイドウォール23P、24P、サイドウォール23N、24Nを低誘電率膜で形成したことで、寄生容量をさらに低減することが可能となる。
【0053】
[半導体装置の構成の第5例]
次に、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の構成の第5例を、図4の概略構成断面図によって説明する。
【0054】
図4に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、Pチャネルトランジスタ形成領域とNチャネルトランジスタ形成領域とを分離する素子分離領域13が形成されている。
上記PMOSトランジスタの形成領域の上記半導体領域12にはPチャネルトランジスタ5Pが形成され、上記NMOSトランジスタの形成領域の上記半導体領域12にはNチャネルトランジスタ5Nが形成されている。
【0055】
以下、その詳細を説明する。
上記半導体領域12の上記Pチャネルトランジスタ形成領域上には、ゲート絶縁膜21Pを介してゲート電極22Pが形成されている。
上記ゲート絶縁膜21Pは、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成されている。
上記ゲート電極22Pは、例えばポリシリコンで形成されている。もしくは、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、タングステン(W)等で形成されている。
【0056】
また上記ゲート電極22Pの側壁にはサイドウォール23P、24Pが形成されている。このサイドウォール23P、24Pは、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成されている。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
さらに上記ゲート電極22Pの両側の上記半導体領域12には拡散層25P、26Pが形成されている。この拡散層25P、26Pは、P型であり、ソース・ドレイン領域となっている。そして、上記拡散層25P、26P間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
上記のように、上記半導体領域12にPチャネルトランジスタ5Pが形成されている。
【0057】
また、上記半導体領域12の上記Nチャネルトランジスタ形成領域上には、ゲート絶縁膜21Nを介してゲート電極22Nが形成されている。
上記ゲート絶縁膜21Nは、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成されている。
上記ゲート電極22Nは、例えばポリシリコンで形成されている。もしくは、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、タングステン(W)等で形成されている。
【0058】
また上記ゲート電極22Nの側壁にはサイドウォール23N、24Nが形成されている。このサイドウォール23P、24Pは、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン、酸窒化シリコン等で形成されている。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
さらに上記ゲート電極22Nの両側の上記半導体領域12には拡散層25N、26Nが形成されている。この拡散層25N、26Nは、N型であり、ソース・ドレイン領域となっている。そして、上記拡散層25N、26N間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
上記のように、上記半導体領域12にNチャネルトランジスタ5Nが形成されている。
【0059】
上記のように、Pチャネルトランジスタ5PとNチャネルトランジスタ5Nとで半導体装置5が構成されている。また、上記半導体装置5は、前記半導体装置1と同様に、完全空乏型のトランジスタとすることができる。なお、半導体装置5は、上記トランジスタのいずれか一方であってもよい。
【0060】
上記半導体領域12上には上記半導体装置5を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。上記層間絶縁膜41の表面は平坦化されている。
【0061】
上記層間絶縁膜41中には、上記拡散層25P、26Pの表面側にそれぞれに接続する電極(コンタクト電極)44P、45Pが形成されている。この電極44P、45Pが低抵抗部となる。また上記拡散層25N、26Nの表面側にそれぞれに接続する電極(コンタクト電極)44N、45Nが形成されている。この電極44N、45Nが低抵抗部となる。
さらに、上記電極44P、45Pにそれぞれに接続する配線46P、47Pが形成されている。また上記電極44N、45Nにそれぞれに接続する配線46N、47Nが形成されている。
【0062】
上記層間絶縁膜41上には支持基板51が形成されている。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。
【0063】
上記第1絶縁膜11には、上記拡散層25P、26Pに通じるコンタクトホール61P、62Pが形成されている。このコンタクトホール61P、62Pが上記拡散層25P、26Pを貫通して、上記電極45P、46Pの裏面側に達している。上記コンタクトホール61P、62P内には裏面コンタクト電極63P、64Pが形成されていて、上記電極45P、46Pの裏面側に接続している。上記裏面コンタクト電極63P、64Pは、上記コンタクトホール61P、62P内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料で埋め込まれて形成されている。
【0064】
上記同様に、上記第1絶縁膜11には、上記拡散層25N、26Nに通じるコンタクトホール61N、62Nが形成されている。このコンタクトホール61N、62Nが上記拡散層25N、26Nを貫通して、上記電極45N、46Nの裏面側に達している。上記コンタクトホール61N、62N内には裏面コンタクト電極63N、64Nが形成されていて、上記電極45N、46Nの裏面側に接続している。上記裏面コンタクト電極63N、64Nは、上記コンタクトホール61N、62N内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料で埋め込まれて形成されている。
【0065】
さらに、上記第1絶縁膜11には第2絶縁膜14が形成されている。この第2絶縁膜14には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。
【0066】
上記第2絶縁膜14には、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに通じる配線溝65P、66Pが形成されている。この配線溝65P、66Pは上記裏面コンタクト電極63P、64Pに達している。上記配線溝65P、66P内には配線67P、68Pが形成されていて、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに接続している。上記配線67P、68Pは、上記配線溝65P、66P内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜が埋め込まれて形成されている。
【0067】
上記同様に、上記第2絶縁膜14には、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに通じる配線溝65N、66Nが形成されている。この配線溝65N、66Nは上記裏面コンタクト電極63N、64Nに達している。上記配線溝65N、66N内には配線67N、68Nが形成されていて、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに接続している。上記配線67N、68Nは、上記配線溝65N、66N内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜が埋め込まれて形成されている。
【0068】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0069】
上記半導体装置5では、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nは、それぞれ拡散層25P、26P、25N、26Nを通して、それぞれ電極45P、46P、45N、46Nに直接接続されている。このことから、例えば裏面コンタクト電極63Pと拡散層25Pとのコンタクト抵抗値が低減される。同様に、それぞれの裏面コンタクト電極64P、63N、64Nと、拡散層26P、25N、26Nとのコンタクト抵抗値が低減される。すなわち、拡散層25P、26P、25N、26Nの表面にそれぞれ形成された電極45P、46P、45N、46Nに表面側から接続された場合の表面コンタクト電極(図示せず)とのコンタクト抵抗値と同等になる。
【0070】
これによって、従来、ゲート電極22P、22N側に形成されていたコンタクト電極を形成しなくてすむので、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nとの間の寄生容量が低減される。
また、素子の微細化に伴い、平面レイアウト上、ゲート電極22P、22Nとコンタクト電極との距離が縮小されても、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64N間の確実な絶縁分離が可能となる。
さらに、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nのアスペクト比が小さいため、コンタクト電極の微細化が容易となる。
さらに、移動度(モビリィティ)を向上させるためのいわゆるストレスライナー膜(図示せず)をトランジスタ上に設けても、そのストレスライナー膜がコンタクト電極で切断されることがないため、ストレスライナー膜のストレス効果の損失が少ない。ストレスライナー膜(CSIL:Channel Stressinduced Liner)は、通常、引張応力(Tensile)か圧縮応力(Compressive)を有する窒化シリコン膜で形成されている。
【0071】
<2.第2の実施の形態>
[半導体装置の構成の第6例]
本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第6例を、図5の概略構成断面図によって説明する。図5では、基板10の裏面側にメモリ素子としてキャパシタを形成した一例を示す。
【0072】
図5に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、記憶素子部15と論理素子部16を分離する素子分離領域13が形成されている。この素子分離領域13は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造であり、上記半導体領域12に形成された素子分離溝に酸化シリコンを埋め込んで形成されている。
上記記憶素子部15の上記半導体領域12には第1電界効果トランジスタTr1が形成され、上記論理素子部16の上記半導体領域12には第2電界効果トランジスタTr2が形成されている。
【0073】
上記第1電界効果トランジスタTr1は、上記半導体領域12の表面にゲート絶縁膜21Mを介して上記ゲート電極22Mが形成されている。このゲート電極22Mの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25M、26Mが形成されている。さらに、拡散層25M、26Mの表面には、低抵抗部27M、28Mが形成されている。したがって、上記拡散層25M、26M間の上記半導体領域12の部分が、上記第1電界効果トランジスタTr1のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21M、上記ゲート電極22M、低抵抗部27M、28M等は、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0074】
上記第2電界効果トランジスタTr2は、上記半導体領域12の上記表面にゲート絶縁膜21Lを介して上記ゲート電極22Lが形成されている。このゲート電極22Lの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25L、26Lが形成されている。したがって、上記拡散層25L、26L間の上記半導体領域12の部分が、上記第2電界効果トランジスタTr2のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21L、上記ゲート電極22L、低抵抗部27L、28Lは、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0075】
また、上記半導体領域12の表面には、上記第1電界効果トランジスタTr1、第2電界効果トランジスタTr2を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば数百nmの厚さもしくはそれよりも厚い厚さに形成され、その表面は平坦化されている。
さらに、上記層間絶縁膜41上に支持基板51が形成されている。
【0076】
さらに、上記第1絶縁膜11には、上記拡散層26Mに接続する裏面コンタクト電極64Mが形成されている。さらに上記裏面コンタクト電極64Mに接続するメモリ素子として、例えばキャパシタ211が形成されている。
上記キャパシタ211は、第1電極212と、第1電極212表面にキャパシタ絶縁膜213を介して形成された第2電極214とからなる。
そして、上記拡散層26Mと上記第1電極212とが、上記第1絶縁膜11、拡散層26Mを貫通して低抵抗部28Mの裏面側に接続する裏面コンタクト電極64Mによって電気的に接続されている。
さらに、上記第1絶縁膜11上には上記キャパシタ211を被覆する第2絶縁膜14が形成されている。
【0077】
上記半導体装置6では、ロジックデバイスにキャパシタ211を搭載する場合、従来、表面側に形成していたキャパシタ211を裏面側に配置することが可能になる。このため、微細ルールを適用することができ、大容量のメモリを形成することが容易になる。
また、キャパシタ211とアクセストランジスタとなる第1電界効果トランジスタTr1との接続を浅い裏面コンタクト電極64Mで接続することが可能になるので、コンタクト抵抗の低減、MOSFET性能の向上、コンタクト電極歩留まり向上が図れる。
【0078】
[半導体装置の構成の第7例]
次に、本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第7例を、図6の概略構成断面図によって説明する。図6では、基板10の裏面側にメモリ素子として抵抗変化記憶素子を形成した一例を示す。
【0079】
図6に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、記憶素子部15と論理素子部16を分離する素子分離領域13が形成されている。この素子分離領域13は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造であり、上記半導体領域12に形成された素子分離溝に酸化シリコンを埋め込んで形成されている。
上記記憶素子部15の上記半導体領域12には一つの拡散層を共有する第1電界効果トランジスタTr1と第2電界効果トランジスタTr2が隣接して形成され、上記論理素子部16の上記半導体領域12には第3電界効果トランジスタTr3が形成されている。
【0080】
上記第1、第2電界効果トランジスタTr1、Tr2は、上記半導体領域12の表面に、それぞれゲート絶縁膜21Mを介して上記ゲート電極22Mが形成されている。このゲート電極22Mの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25M、26Mが形成されている。この拡散層26Mが共有されている。さらに、拡散層25M、26Mの表面には、低抵抗部27M、28Mが形成されている。したがって、一方(図面左側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第1電界効果トランジスタTr1のチャネル領域となる。また他方(図面右側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第2電界効果トランジスタTr2のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21M、上記ゲート電極22M、低抵抗部27M、28M等は、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0081】
上記第3電界効果トランジスタTr3は、上記半導体領域12の上記表面にゲート絶縁膜21Lを介して上記ゲート電極22Lが形成されている。このゲート電極22Lの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25L、26Lが形成されている。さらに、拡散層25L、26Lの表面には、低抵抗部27L、28Lが形成されている。したがって、上記拡散層25L、26L間の上記半導体領域12の部分が、上記第3電界効果トランジスタTr3のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21L、上記ゲート電極22L、低抵抗部27L、28Lは、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0082】
また、上記半導体領域12の表面には、上記第1電界効果トランジスタTr1、第2電界効果トランジスタTr2、第3電界効果トランジスタTr3等を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば数百nmの厚さもしくはそれよりも厚い厚さに形成され、その表面は平坦化されている。
さらに、上記層間絶縁膜41上に支持基板51が形成されている。
【0083】
さらに、上記第1絶縁膜11には、上記各拡散層25Mに接続する裏面コンタクト電極63Mが形成されている。さらに各裏面コンタクト電極63Mに接続する抵抗変化記憶素子221が形成されている。
上記抵抗変化記憶素子221は、第1電極222と記憶層223とイオン源層224と第2電極225とを積層したものからなる。
【0084】
上記第1電極222および上記第2電極225は、例えば、白金(Pt)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、銅(Cu)等で形成されている。
【0085】
上記記憶層(抵抗変化膜)223は、金属酸化物で形成されている。上記金属酸化物としては、例えば、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、アルミニウム酸化物、ニッケル酸化物、コバルト酸化物、チタン酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ガドリウム酸化物等、もしくはそれらの混合材料で形成されている。上記記憶層223は、薄いほうが好ましく、2nm以下、好ましくは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下の膜厚に形成される。
【0086】
上記イオン源層224は、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)亜鉛(Zn)の少なくともいずれか、さらに、テルル(Te)、セレン(Se)、イオウ(S)のカルコゲナイド元素の少なくともいずれかを含む。例えば、CuTe、GeSbTe、CuGeTe、AgGeTe、AgTe、ZnTe、ZnGeTe、CuS、CuGeS、CuSe、CuGeSe等が挙げられる。さらに、ホウ素(B)もしくは希土類元素もしくはシリコン(Si)が含有されていてもよい。
したがって、上記イオン源層224には、Cu、Ag、Znの少なくともいずれかの元素が含まれている。すなわち、上記イオン源層224は、Cu、Ag、Znの少なくとも1種のイオンを上記記憶層223に供給する、もしくは上記記憶層223に供給された上記イオンを受け入れる層である。
【0087】
そして、例えば上記拡散層25Mと上記第1電極222とが、上記第1絶縁膜11、拡散層25Mを貫通して低抵抗部27Mの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63Mによって電気的に接続されている。
図面では、上記第2電極225を配線としても用いている。このため、第1電極222と記憶層223とイオン源層224を埋め込むように第2絶縁膜14が形成されていて、上記第2電極225は、上記イオン源層224に接続して、上記第2絶縁膜14上に配設されている。
【0088】
また、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mにはコンタクト電極226が接続され、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lにはコンタクト電極227が接続されている。各コンタクト電極226、コンタクト電極227は配線228によって接続されている。よって、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mと、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lとは電気的に接続されている。さらに、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層25Lにはコンタクト電極および配線を複数層(図面では3層)に積層させた多層配線部229が接続されている。
【0089】
上記半導体装置7では、ロジックデバイスに抵抗変化記憶素子221を搭載する場合、従来、最上層配線の上に形成していた抵抗変化記憶素子221を裏面側に配置することが可能になる。このため、微細ルールを適用することができ、大容量のメモリを形成することが容易になる。
また、抵抗変化記憶素子221とアクセストランジスタとなる第1、第2電界効果トランジスタTr1、Tr2との接続を浅い裏面コンタクト電極63Mで接続することが可能になる。これによって、コンタクト抵抗の低減、MOSFET性能の向上、コンタクト電極歩留まり向上が図れる。
【0090】
[半導体装置の構成の第8例]
次に、本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第8例を、図7の概略構成断面図によって説明する。図7では、基板10の裏面側にメモリ素子として磁気抵抗記憶素子を形成した一例を示す。
【0091】
図7に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、記憶素子部15と論理素子部16を分離する素子分離領域13が形成されている。この素子分離領域13は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造であり、上記半導体領域12に形成された素子分離溝に酸化シリコンを埋め込んで形成されている。
上記記憶素子部15の上記半導体領域12には一つの拡散層を共有する第1電界効果トランジスタTr1と第2電界効果トランジスタTr2が隣接して形成され、上記論理素子部16の上記半導体領域12には第3電界効果トランジスタTr3が形成されている。
【0092】
上記第1、第2電界効果トランジスタTr1、Tr2は、上記半導体領域12の表面に、それぞれゲート絶縁膜21Mを介して上記ゲート電極22Mが形成されている。このゲート電極22Mの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25M、26Mが形成されている。この拡散層26Mが共有されている。さらに、拡散層25M、26Mの表面には、低抵抗部27M、28Mが形成されている。したがって、一方(図面左側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第1電界効果トランジスタTr1のチャネル領域となる。また他方(図面右側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第2電界効果トランジスタTr2のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21M、上記ゲート電極22M、低抵抗部27M、28M等は、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0093】
上記第3電界効果トランジスタTr3は、上記半導体領域12の上記表面にゲート絶縁膜21Lを介して上記ゲート電極22Lが形成されている。このゲート電極22Lの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25L、26Lが形成されている。さらに、拡散層25L、26Lの表面には、低抵抗部27L、28Lが形成されている。したがって、上記拡散層25L、26L間の上記半導体領域12の部分が、上記第3電界効果トランジスタTr3のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21L、上記ゲート電極22L、低抵抗部27L、28Lは、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0094】
また、上記半導体領域12の表面には、上記第1電界効果トランジスタTr1、第2電界効果トランジスタTr2、第3電界効果トランジスタTr3等を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば数百nmの厚さもしくはそれよりも厚い厚さに形成され、その表面は平坦化されている。
さらに、上記層間絶縁膜41上に支持基板51が形成されている。
【0095】
さらに、上記第1絶縁膜11および上記拡散層25Mを貫通して上記低抵抗部27Mの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63Mが形成されている。さらに上記裏面コンタクト電極63Mに接続する配線235と、この配線235に接続するコンタクト電極236が形成されている。
上記配線235と同一層で書き込み線237が形成されている。この書き込み線237は、これに電流を流すことで磁界を発生させ、後述するMTJ膜233の自由層(Free Layer)の磁化を反転させる働きを持つ。上記書き込み線237は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、窒化タンタル(TaN)等で形成されている。
上記書き込み線237上に第2絶縁膜14を介して磁気抵抗記憶素子231が形成されている。
上記磁気抵抗記憶素子231は、第1電極232とMTJ膜233と第2電極234とを積層したものからなり、上記第1電極232が上記コンタクト電極236に接続されている。
上記第1電極232は、例えば、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、白金(Pt)等で形成されている。また上記第2電極234は、例えば、白金(Pt)で形成されている。
上記MTJは、Magnetic Tunnel Junctionの略であり、磁気トンネル接合を意味する。上記MTJ膜233は、固定層(Pinning Layer)とトンネル絶縁膜(Tunnel絶縁膜)と自由層(Free Layer)の積層構造で形成されている。上記固定層は、例えば、コバルト(Co)、コバルト鉄ホウ素(CFeB)等で形成されている。上記トンネル絶縁膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の酸化膜で形成されている。また上記自由層は、例えば、ニッケル鉄(NiFe)とルテニウム(Ru)とニッケル鉄(NiFe)の積層膜、コバルト鉄(CoFe)等で形成されている。
さらに、上記磁気抵抗記憶素子231を埋め込むように第3絶縁膜17が形成されていている。この第3絶縁膜17には、上記磁気抵抗記憶素子231の上記第2電極234に接続し、かつ上記書き込み線237と直交する方向に上記ビット線(もしくは電源線)238が配設されている。
【0096】
また、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mにはコンタクト電極226が接続され、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lにはコンタクト電極227が接続されている。各コンタクト電極226、コンタクト電極227は配線228によって接続されている。よって、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mと、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lとは電気的に接続されている。さらに、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層25Lにはコンタクト電極および配線を複数層(図面では3層)に積層させた多層配線部229が接続されている。
【0097】
上記半導体装置8では、ロジックデバイスに磁気抵抗記憶素子231を搭載する場合、従来、最上層配線の上に形成していた磁気抵抗記憶素子231を裏面側に配置することが可能になる。このため、微細ルールを適用することができ、大容量のメモリを形成することが容易になる。
また、磁気抵抗記憶素子231とアクセストランジスタとなる第1電界効果トランジスタTr1との接続を浅い裏面コンタクト電極63Mで接続することが可能になるので、コンタクト抵抗の低減、MOSFET性能の向上、コンタクト電極歩留まり向上が図れる。
【0098】
[半導体装置の構成の第9例]
次に、本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の構成の第9例を、図8の概略構成断面図によって説明する。図8では、基板10の裏面側にメモリ素子として抵抗変化記憶素子を形成した一例を示す。
【0099】
図8に示すように、基板10は、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されているものである。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成されている。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成されている。また、上記半導体領域12は、例えばシリコン層で形成されている。
上記半導体領域12には、記憶素子部15と論理素子部16を分離する素子分離領域13が形成されている。この素子分離領域13は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造であり、上記半導体領域12に形成された素子分離溝に酸化シリコンを埋め込んで形成されている。
上記記憶素子部15の上記半導体領域12には一つの拡散層を共有する第1電界効果トランジスタTr1と第2電界効果トランジスタTr2が隣接して形成され、上記論理素子部16の上記半導体領域12には第3電界効果トランジスタTr3が形成されている。
【0100】
上記第1、第2電界効果トランジスタTr1、Tr2は、上記半導体領域12の表面に、それぞれゲート絶縁膜21Mを介して上記ゲート電極22Mが形成されている。このゲート電極22Mの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25M、26Mが形成されている。この拡散層26Mが共有されている。さらに、拡散層25M、26Mの表面には、低抵抗部27M、28Mが形成されている。したがって、一方(図面左側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第1電界効果トランジスタTr1のチャネル領域となる。また他方(図面右側)の上記拡散層25M、26M間の半導体領域12が上記第2電界効果トランジスタTr2のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21M、上記ゲート電極22M、低抵抗部27M、28M等は、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0101】
上記第3電界効果トランジスタTr3は、上記半導体領域12の上記表面にゲート絶縁膜21Lを介して上記ゲート電極22Lが形成されている。このゲート電極22Lの両側の上記半導体領域12にソース・ドレイン領域となる拡散層25L、26Lが形成されている。さらに、拡散層25L、26Lの表面には、低抵抗部27L、28Lが形成されている。したがって、上記拡散層25L、26L間の上記半導体領域12の部分が、上記第3電界効果トランジスタTr3のチャネル領域となる。
上記ゲート絶縁膜21L、上記ゲート電極22L、低抵抗部27L、28Lは、前記半導体装置1のゲート絶縁膜、ゲート電極、低抵抗部と同様な材料で形成されている。
【0102】
また、上記半導体領域12の表面には、上記第1電界効果トランジスタTr1、第2電界効果トランジスタTr2、第3電界効果トランジスタTr3等を被覆する層間絶縁膜41が形成されている。この層間絶縁膜41は、例えば数百nmの厚さもしくはそれよりも厚い厚さに形成され、その表面は平坦化されている。
さらに、上記層間絶縁膜41上に支持基板51が形成されている。
【0103】
さらに、上記第1絶縁膜11には、上記拡散層26Mに接続する裏面コンタクト電極63Mが形成されている。さらに上記裏面コンタクト電極63Mに接続する強誘電体記憶素子241が形成されている。
上記強誘電体記憶素子241は、第1電極242と強誘電体膜243と第2電極244とを積層したものからなる。
上記裏面コンタクト電極63M側の上記第1電極242には、例えば白金(Pt)を用いる。
上記強誘電体膜243には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT:SrBi2Ta29)、チタン酸ビスマスランタン(BLT:(Bi,La)4Ti312)等を用いる。
上記第2電極244には、例えば、酸化イリジウム(IrO2)を用いる。
上記各材料は一例であって、適宜、偏光することが可能である。
【0104】
そして、例えば上記拡散層25Mと上記第1電極222とが、上記第1絶縁膜11、拡散層25Mを貫通して低抵抗部27Mの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63Mによって電気的に接続されている。
さらに上記強誘電体記憶素子241を埋め込むように第2絶縁膜14が形成されていて、上記第2電極224は、上記強誘電体記憶素子241に接続する、上記コンタクト電極245が形成されている。さらに、第2絶縁膜14には上記コンタクト電極245に接続する配線246が形成されている。
【0105】
また、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mにはコンタクト電極226が接続され、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lにはコンタクト電極227が接続されている。各コンタクト電極226、コンタクト電極227は配線228によって接続されている。よって、第1電界効果トランジスタTr1の拡散層26Mと、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層26Lとは電気的に接続されている。さらに、第3電界効果トランジスタTr3の拡散層25Lにはコンタクト電極および配線を複数層(図面では3層)に積層させた多層配線部229が接続されている。
【0106】
上記半導体装置9では、ロジックデバイスに強誘電体記憶素子241を搭載する場合、従来、最上層配線の上に形成していた強誘電体記憶素子241を裏面側に配置することが可能になる。このため、微細ルールを適用することができ、大容量のメモリを形成することが容易になる。
また、強誘電体記憶素子241とアクセストランジスタとなる第1電界効果トランジスタTr1との接続を浅い裏面コンタクト電極63Mで接続することが可能になるので、コンタクト抵抗の低減、MOSFET性能の向上、コンタクト電極歩留まり向上が図れる。
【0107】
<3.第3の実施の形態>
[半導体装置の製造方法の第1例]
本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を、図9〜図11の製造工程断面図によって説明する。この製造方法は、前記第1実施の形態の第1例の製造方法である。
【0108】
図9に示すように、第1支持基板311上に絶縁層312を介してシリコン層313(半導体領域12に相当)が形成されているSOI基板310を用いる。
通常のトランジスタ形成プロセスによって、PチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタを形成する。
まず、上記半導体領域12にPチャネルトランジスタ形成領域とNチャネルトランジスタ形成領域を分離する素子分離領域13を形成する。
次に、上記半導体領域12上にゲート絶縁膜21(21P、21N)を介してゲート電極22(22P、22N)を形成する。なお、ゲート絶縁膜21P、21Nの膜厚を変えて形成する場合には、別々のプロセスによってゲート絶縁膜を形成する。このゲート絶縁膜21の形成方法は、例えば、熱酸化、プラズマ酸化、プラズマ窒化法で形成された熱酸化窒化膜や有機金属化学気相成長(MOCVD)法、原子層蒸着(ALD)法による。MOCVDはmetal-organic chemical vapor deposition略である。ALDはAtomic Layer Depositionの略である。
上記ゲート絶縁膜21は、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成されている。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成される。
上記ゲート電極22は、例えばポリシリコンで形成される。もしくは、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、タングステン(W)等で形成されている。
【0109】
次いで、図示はしていないが、LDD(Lightly Doped Drain )領域を形成してもよい。この場合、Pチャネルトランジスタ形成領域のLDD領域を形成する場合、Nチャネルトランジスタ形成領域をレジスト等でマスクして、例えばイオン注入によりPチャネルトランジスタのLDD領域を形成する。その後、このイオン注入で用いた上記マスクを除去する。次に、Nチャネルトランジスタ形成領域のLDD領域を形成する場合、Pチャネルトランジスタ形成領域をレジスト等でマスクして、例えばイオン注入によりNチャネルトランジスタのLDD領域を形成する。その後、このイオン注入で用いた上記マスクを除去する。上記LDD領域はどちらを先に形成してもよい。
【0110】
次に、上記ゲート電極22の側壁にサイドウォール23(23P、23N)、24(24P、24N)を形成する。通常、サイドウォールはゲート電極22の側壁を囲むように形成されるので、上記サイドウォール23、24は連続した状態に形成されている。上記サイドウォール23、24は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成される。もしくは、これらの複合膜で形成されている。
【0111】
次に、Nチャネルトランジスタ形成領域をレジスト等でマスクして、例えばP型不純物のイオン注入によりPチャネルトランジスタの拡散層25(25P)、26(26P)を形成する。その後、このイオン注入で用いた上記マスクを除去する。次に、Pチャネルトランジスタ形成領域をレジスト等でマスクして、例えばN型不純物のイオン注入によりNチャネルトランジスタの拡散層25(25N)、26(26N)を形成する。その後、このイオン注入で用いた上記マスクを除去する。
【0112】
次に、通常のシリサイド化プロセスによって、上記拡散層25、26の表面にこの拡散層25、26よりも抵抗が低い低抵抗部27、28をシリサイド層で形成する。なお、シリサイド層はシリコン層にイオン注入により形成された拡散層よりも抵抗が低いことは周知である。上記シリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成される。
また、上記ゲート電極22がポリシリコンで形成されている場合には、上記低抵抗部27、28と同時に、上記ゲート電極22上部にも低抵抗部29(29P、29N)が形成される。
【0113】
このようにして、Pチャネルトランジスタ1PとNチャネルトランジスタ1Nとを有する半導体装置1を形成する。
【0114】
次に、図10に示すように、上記半導体領域12上に、上記半導体装置1を被覆する層間絶縁膜41を形成する。この層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。その後、上記層間絶縁膜41の表面を平坦化する。
【0115】
次に、上記層間絶縁膜41上に支持基板51を張り合わせて形成する。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いる。
【0116】
次に、図11に示すように、上記半導体領域12の裏面側に第1絶縁膜11を形成する。このようにして、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されている基板10を形成する。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0117】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第1絶縁膜11に、上記拡散層25P、26Pに通じるコンタクトホール61P、62Pを形成する。このコンタクトホール61P、62Pは、上記拡散層25P、26Pを貫通して、上記低抵抗部27P、28Pの裏面側に達する。
同時に、上記第1絶縁膜11に、上記拡散層25N、26Nに通じるコンタクトホール61N、62Nを形成する。このコンタクトホール61N、62Nは、上記拡散層25N、26Nを貫通して、上記低抵抗部27N、28Nの裏面側に達する。
【0118】
次に、上記コンタクトホール61P、62P内に、上記低抵抗部27P、28Pの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63P、64Pを形成する。同時に、上記コンタクトホール61N、62N内に、上記低抵抗部27N、28Nの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63N、64Nを形成する。上記裏面コンタクト電極63P、64P、裏面コンタクト電極63N、64Nは、上記コンタクトホール61P、62P、上記コンタクトホール61N、62N内に金属材料を埋め込んで形成する。この金属材料には、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等が挙げられる。
【0119】
次に、上記第1絶縁膜11に第2絶縁膜14を形成する。この第2絶縁膜14は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0120】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第2絶縁膜14に、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに通じる配線溝65P、66Pを形成する。この配線溝65P、66Pは上記裏面コンタクト電極63P、64Pに達する。同時に、上記第2絶縁膜14に、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに通じる配線溝65N、66Nを形成する。この配線溝65N、66Nは上記裏面コンタクト電極63N、64Nに達する。
次に、通常の配線形成プロセスによって、上記配線溝65P、66P内に上記裏面コンタクト電極63P、64Pに接続する配線67P、68Pを形成する。同時に、上記配線溝65N、66N内に上記裏面コンタクト電極63N、64Nに接続する配線67N、68Nを形成する。上記配線67P、68P、67N、68Nは、上記配線溝65P、66P、65N、66N内に金属材料もしくはこれらの複合膜を埋め込んで形成される。上記金属材料には、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等が挙げられる。
【0121】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0122】
上記半導体装置1の製造方法では、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nは、それぞれ拡散層25P、26P、25N、26Nを通して、それぞれ低抵抗部27P、28P、27N、28Nに直接接続される。これによって、裏面コンタクト電極63Pと拡散層25Pとのコンタクト抵抗値が低減される。同様に、それぞれの裏面コンタクト電極64P、63N、64Nと、拡散層26P、25N、26Nとのコンタクト抵抗値が低減される。すなわち、拡散層25P、26P、25N、26Nの表面にそれぞれ形成した低抵抗部27P、28P、27N、28Nに表面側から接続された場合の表面コンタクト電極(図示せず)とのコンタクト抵抗値と同等になる。
【0123】
よって、従来、ゲート電極22側に形成されていたコンタクト電極を形成しなくてすむので、ゲート電極22と裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nとの間の寄生容量が低減される。
また、素子の微細化に伴い、平面レイアウト上、ゲート電極22とコンタクト電極との距離が縮小されても、ゲート電極22と裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64N間の確実な絶縁分離が可能となる。
さらに、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nのアスペクト比が小さいため、コンタクト電極の微細化が容易となる。
さらに、移動度(モビリィティ)を向上させるために、トランジスタ上にストレスライナー膜(図示せず)を形成しても、そのストレスライナー膜をコンタクト電極で切断することがないため、ストレスライナー膜のストレス効果の損失が少ない。ストレスライナー膜(CSIL:Channel Stressinduced Liner)は、通常、引張応力(Tensile)か圧縮応力(Compressive)を有する窒化シリコン膜で形成される。
【0124】
[半導体装置の製造方法の第2例]
次に、本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を、図12の製造工程断面図によって説明する。この第2例は、前記第1実施の形態の半導体装置の第2例の製造方法である。
【0125】
図12に示すように、SOI基板のシリコン層を半導体領域12に用いて、この半導体領域12にトランジスタ形成領域を分離する素子分離領域13を形成する。そして、通常のトランジスタ形成プロセスによって、半導体領域12のトランジスタ形成領域に、第1トランジスタ101を、例えばPチャネルトランジスタもしくはNチャネルトランジスタで形成する。
【0126】
具体的には、上記半導体領域12のトランジスタ形成領域上にゲート絶縁膜21を介してゲート電極22を形成する。
上記ゲート絶縁膜21は、例えば酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウムシリケート(ZrSiON)等のいわゆる高誘電率(High−k)膜で形成される。もしくは熱酸化窒化膜と上記高誘電率膜との複合膜で形成される。
上記ゲート電極22は、例えばポリシリコンで形成される。
【0127】
次いで、上記ゲート電極22の側壁にサイドウォール23、24を形成する。このサイドウォール23、24は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成される。もしくは、これらの複合膜で形成されている。なお、サイドウォール23、24を形成する前に、上記ゲート電極22の両側の上記半導体領域12にLDD(Lightly Doped Drain )領域を形成してもよい。
さらに、例えばイオン注入法によって、上記ゲート電極22の両側の上記半導体領域12に拡散層25、26を形成する。この拡散層25、26は、Pチャネルトランジスタの場合、P型不純物がイオン注入されて形成され、Nチャネルトランジスタの場合、N型フッ化炭素(CFx)がイオン注入されて形成され、ソース・ドレイン領域となる。そして、上記拡散層25、26間の上記半導体領域12がチャネル領域となる。
【0128】
次に、通常のシリサイド化プロセスによって、上記拡散層25、26の表面に、この拡散層25、26よりも抵抗(電気抵抗)が低い低抵抗部27、28を、例えばシリサイドで形成する。このシリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成される。
同時に、上記ゲート電極22上部にも低抵抗部29が形成される。
上記のように、上記半導体領域12に第1トランジスタ101を形成する。
【0129】
また、上記素子分離領域13上には、上記第1トランジスタ101と同様なプロセスによって、同時に第2トランジスタ102が形成され、素子分離領域13上にその第2トランジスタ102のゲート電極122の一部が形成される。上記ゲート電極122はポリシリコンで形成される。このゲート電極122上部にも、上記低抵抗部27、28を形成すると同時に低抵抗部129が上記同様なシリサイド層で形成される。
このようにして、第1トランジスタ101と第2トランジスタ102とを有する半導体装置2が形成される。
【0130】
次に、上記半導体領域12上に、上記半導体装置2を被覆する層間絶縁膜41を形成する。この層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。その後、上記層間絶縁膜41の表面を平坦化する。
【0131】
上記層間絶縁膜41上に支持基板51を張り合わせて形成する。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いる。
【0132】
次に、図示はしていないが、SOI基板の第1支持基板と絶縁層を除去して、上記半導体領域12の裏面側を露出させる。
次いで、上記半導体領域12の裏面側に第1絶縁膜11を形成する。このようにして、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されている基板10を形成する。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0133】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第1絶縁膜11に、上記拡散層25、26に通じるコンタクトホール61、62を形成する。このコンタクトホール61、62は、上記拡散層25、26を貫通して、上記低抵抗部27、28の裏面側に達する。このうち、コンタクトホール62は、さらに、ゲート電極22の低抵抗部29の裏面側に達する。次に、上記コンタクトホール61、62内に、上記低抵抗部27、28の裏面側に接続する裏面コンタクト電極63、64を形成する。このうち、裏面コンタクト電極64は、上記拡散層26の低抵抗部28とともに、上記ゲート電極22の低抵抗部29にも接続する。上記裏面コンタクト電極63、64は、上記コンタクトホール61、62内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等の金属材料を埋め込んで形成する。
【0134】
次に、上記第1絶縁膜11に第2絶縁膜14を形成する。この第2絶縁膜14は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0135】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第2絶縁膜14に、上記裏面コンタクト電極63、64に達する配線溝65、66を形成する。
次に、通常の配線形成プロセスによって、上記配線溝65、66内に上記裏面コンタクト電極63、64に接続する配線67、68を形成する。上記配線67、68は、上記配線溝65、66内に、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等の金属材料もしくはこれらの複合膜を埋め込んで形成される。
【0136】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0137】
上記半導体装置2の製造方法では、いわゆるシェアドコンタクト電極構造を形成することができる。また、上記のようなシェアドコンタクト電極構造でも、前記半導体装置1の製造方法と同様なる作用効果が得られる。
【0138】
[半導体装置の製造方法の第3例]
次に、本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第3例を、図13の製造工程断面図によって説明する。この第3例は、前記半導体装置の製造方法の第1例において、サイドウォールを形成した後、除去して、空間を形成する製造方法であり、前記第1実施の形態の半導体装置の第3例の製造方法である。
【0139】
図13(1)に示すように、前記半導体装置の製造方法の第1例と同様に、SOI基板310の半導体領域12にPチャネルトランジスタ1PとNチャネルトランジスタ1Nを形成する。
すなわち、半導体領域12上にゲート絶縁膜21(21P、21N)を介してゲート電極22(22P、22N)が形成され、このゲート電極22の側壁にサイドウォール23、24が形成されている。このサイドウォール23、24は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン、酸窒化シリコン等で形成される。もしくは、これらの複合膜で形成される。また、ゲート電極22(22P、22N)の両側の半導体領域12には、ソース・ドレイン領域となる拡散層25(25P、25N)、26(26P、26N)が形成されている。
さらに、通常のシリサイド化プロセスによって、上記拡散層25、26の表面にこの拡散層25、26よりも抵抗が低い低抵抗部27、28をシリサイド層で形成する。上記シリサイド層は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属シリサイドで形成される。
また、図示はしていないが、上記ゲート電極22がポリシリコンで形成されている場合には、上記低抵抗部27、28と同時に、上記ゲート電極22上部にも低抵抗部(図示せず)が形成される。
【0140】
次に、上記半導体領域12上に、上記Pチャネルトランジスタ1Pと上記Nチャネルトランジスタ1Nを被覆する第1層間絶縁膜42を形成する。その後、上記ゲート電極22、サイドウォール23、24の上部が露出するように、上記第1層間絶縁膜42の上部を研磨する。この研磨は、例えば化学的機械研磨による。
【0141】
次に、図13(2)に示すように、サイドウォール23、24(前記図13(1)参照)を除去して、空間91P、92P、空間91N、92Nを形成する。なお、上記サイドウォール23、24が、例えば酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜で形成される場合、そのうちの1種の膜のみを除去して、上記空間91P、92P、空間91N、92Nを形成してもよい。
【0142】
次に、上記第1層間絶縁膜42上に、上記空間91P、92P、空間91N、92Nを埋め込むことなく第2層間絶縁膜43を形成する。この第2層間絶縁膜43は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、炭化酸化シリコン、窒化炭化酸化シリコン等、もしくはこれらの複合膜で形成される。
このようにして、上記第1層間絶縁膜42と上記第2層間絶縁膜43とで層間絶縁膜41が形成される。さらに層間絶縁膜41じょうに支持基板51が張り合わされて形成される。
その後の製造工程は、前記半導体装置の製造方法の第1例によって説明したのと同様である。
【0143】
上記半導体装置3の製造方法では、ゲート電極22Pの側部に空間91P、92Pを形成し、ゲート電極22Nの側部に空間91N、92Nを形成することが可能となるので、寄生容量をさらに低減することが可能となる。また、前記半導体装置1の製造方法と同様なる作用効果が得られる。
【0144】
[半導体装置の製造方法の第4例]
次に、本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第4例を説明する。
【0145】
半導体装置の製造方法の第4例は、前記図13(1)に示すように、上記空間91P、92P、空間91N、92Nを形成した後、その空間91P、92P、空間91N、92Nを、例えば酸化シリコンよりも誘電率の低い低誘電率膜で埋め込む。その低誘電率膜としては、例えば、層間絶縁膜に用いられるポリアリールエーテル、ポリパラキシリレン、ポリアリールエーテルやフッ化ポリアリールエーテルのような低誘電率有機膜を用いることができる。また炭化酸化シリコン(SiOC)膜、メチルシルセスキオキサン(MSQ)やハイドロシルセスキオキサン(HSQ)、多孔質(ポーラス)膜、フッ化酸化シリコン(SiOF)等の絶縁膜を用いることができる。
その後は、前記半導体装置の製造方法の第3例と同様に、上記第2層間絶縁膜43を形成する工程以降を行えばよい。
【0146】
このように、サイドウォール23P、24P、サイドウォール23N、24Nを低誘電率膜で形成したことで、空間91P、92P、空間91N、92Nが埋め込まれるので、構造的に強固になるとともに寄生容量を低減することが可能となる。
【0147】
または、前記半導体装置の製造方法の第1例において、サイドウォール23、24を、例えば酸化シリコンよりも誘電率の低い上記低誘電率膜で形成してもよい。この場合、低誘電率膜はイオン注入のマスクとなる材料であることが好ましい。
【0148】
[半導体装置の製造方法の第5例]
次に、本発明の第3実施の形態に係る半導体装置の製造方法の第5例を、図14〜図16の製造工程断面図によって説明する。
【0149】
図14に示すように、前記半導体装置の製造方法の第1例と同様に、SOI基板310の半導体領域12に、Pチャネルトランジスタ形成領域とNチャネルトランジスタ形成領域とに分離する素子分離領域13を形成する。その後、Pチャネルトランジスタ形成領域とNチャネルトランジスタ形成領域のそれぞれに、Pチャネルトランジスタ5PとNチャネルトランジスタ5Nを形成する。
【0150】
すなわち、半導体領域12上にゲート絶縁膜21(21P、21N)を介してゲート電極22(22P、22N)が形成され、このゲート電極22の側壁にサイドウォール23、24が形成されている。このサイドウォール23、24は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン、酸窒化シリコン等で形成される。もしくは、これらの複合膜で形成される。また、ゲート電極22(22P、22N)の両側の半導体領域12には、ソース・ドレイン領域となる拡散層25(25P、25N)、26(26P、26N)が形成されている。
【0151】
このようにして、Pチャネルトランジスタ5PとNチャネルトランジスタ5Nとを有する半導体装置5を形成する。
【0152】
次に、図15に示すように、上記半導体領域12上に、上記半導体装置5を被覆する層間絶縁膜41を形成する。それとともに、上記拡散層25P、26Pの表面側にそれぞれに接続する電極44P、45P、この電極44P、45Pにそれぞれに接続する配線46P、47Pを形成する。同時に、上記拡散層25N、26Nの表面側にそれぞれに接続する電極44N、45N、この電極44N、45Nにそれぞれに接続する配線46N、47Nを形成する。
具体的には、例えば、上記Pチャネルトランジスタ5Pと上記Nチャネルトランジスタ5Nを被覆する第1層間絶縁膜を形成する。その後、この第1層間絶縁膜に上記拡散層25P、26P、上記拡散層25N、26Nに達するコンタクトホールを形成し、各コンタクトホールに、上記電極44P、45P、電極44N、45Nを形成する。
次に、上記第1層間絶縁膜上に第2層間絶縁膜を形成する。次いで、この第2層間絶縁膜に上記電極44P、45P、電極44N、45Nに接続される配線溝を形成し、各配線溝に、上記配線46P、47P、配線46N、47Nを形成する。さらに、第2層間絶縁膜上に第3層間絶縁膜を形成する。この第3層間絶縁膜の表面を平坦化する。
【0153】
このように第1〜第3層間絶縁膜で上記層間絶縁膜41が形成される。
上記層間絶縁膜41は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0154】
次に、上記層間絶縁膜41上に支持基板51を張り合わせて形成する。この支持基板51には、例えばシリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いる。
その後、SOI基板310の第1支持基板311と絶縁層312を除去する。
図面では、除去前の状態を示した。
【0155】
次に、図16に示すように、上記半導体領域12の裏面側に第1絶縁膜11を形成する。このようにして、第1絶縁膜11上に半導体領域12が形成されている基板10を形成する。上記第1絶縁膜11は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0156】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第1絶縁膜11に、上記拡散層25P、26Pに通じるコンタクトホール61P、62Pを形成する。このコンタクトホール61P、62Pは、上記拡散層25P、26Pを貫通して、上記低抵抗部となる上記電極44P、45Pの裏面側に達する。
同時に、上記第1絶縁膜11に、上記拡散層25N、26Nに通じるコンタクトホール61N、62Nを形成する。このコンタクトホール61N、62Nは、上記拡散層25N、26Nを貫通して、上記低抵抗部となる上記電極44N、45Nの裏面側に達する。
【0157】
次に、上記コンタクトホール61P、62P内に、上記電極44P、45Pの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63P、64Pを形成する。同時に、上記コンタクトホール61N、62N内に、上記電極44N、45Nの裏面側に接続する裏面コンタクト電極63N、64Nを形成する。上記裏面コンタクト電極63P、64P、裏面コンタクト電極63N、64Nは、上記コンタクトホール61P、62P、上記コンタクトホール61N、62N内に、例えば、金属材料を埋め込んで形成する。この金属材料には、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、銅(Cu)等を用いる。
【0158】
次に、上記第1絶縁膜11に第2絶縁膜14を形成する。この第2絶縁膜14は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜、酸化シリコン(SiO2)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、窒化炭化酸化シリコン(SiOCN)膜、もしくはこれらの複合膜で形成される。または有機絶縁膜等の通常の半導体装置の層間絶縁膜として用いられる材料の絶縁膜で形成される。
【0159】
次に、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって、上記第2絶縁膜14に、上記裏面コンタクト電極63P、64Pに通じる配線溝65P、66Pを形成する。この配線溝65P、66Pは上記裏面コンタクト電極63P、64Pに達する。同時に、上記第2絶縁膜14に、上記裏面コンタクト電極63N、64Nに通じる配線溝65N、66Nを形成する。この配線溝65N、66Nは上記裏面コンタクト電極63N、64Nに達する。
【0160】
次に、通常の配線形成プロセスによって、上記配線溝65P、66P内に上記裏面コンタクト電極63P、64Pに接続する配線67P、68Pを形成する。同時に、上記配線溝65N、66N内に上記裏面コンタクト電極63N、64Nに接続する配線67N、68Nを形成する。上記配線67P、68P、67N、68Nは、上記配線溝65P、66P、65N、66N内に、例えば、金属材料もしくはこれらの複合膜を埋め込んで形成される。上記金属材料には、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等を用いる。
【0161】
以下、図示はしていないが、第N層(N≧2)の配線と、第N層の配線と第N−1層の配線を接続する第N−1の裏面コンタクト電極が形成されてもよい。すなわち、上記配線は多層配線で形成されてもよい。
【0162】
また、表面側の配線層は一層だけであるが、複数層に設けても差し支えない。
【0163】
上記半導体装置5の製造方法では、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nは、それぞれ拡散層25P、26P、25N、26Nを通して、それぞれ電極45P、46P、45N、46Nに直接接続される。したがって、例えば裏面コンタクト電極63Pと拡散層25Pとのコンタクト抵抗値が低減される。同様に、それぞれの裏面コンタクト電極64P、63N、64Nと、拡散層26P、25N、26Nとのコンタクト抵抗値が低減される。すなわち、拡散層25P、26P、25N、26Nの表面にそれぞれ形成された電極45P、46P、45N、46Nに表面側から接続された場合の表面コンタクト電極(図示せず)とのコンタクト抵抗値と同等になる。
【0164】
また、従来、ゲート電極22P、22N側に形成されていたコンタクト電極を形成しなくてすむので、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nとの間の寄生容量が低減される。
また、素子の微細化に伴い、平面レイアウト上、ゲート電極22P、22Nとコンタクト電極との距離が縮小されても、ゲート電極22P、22Nと裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64N間の確実な絶縁分離が可能となる。
さらに、裏面コンタクト電極63P、64P、63N、64Nのアスペクト比が小さいため、コンタクト電極の微細化が容易となる。
さらに、移動度(モビリィティ)を向上させるためのいわゆるストレスライナー膜(図示せず)をトランジスタ上に設けても、そのストレスライナー膜がコンタクト電極で切断されることがないため、ストレスライナー膜のストレス効果の損失が少ない。ストレスライナー膜(CSIL:Channel Stressinduced Liner)は、通常、引張応力(Tensile)か圧縮応力(Compressive)を有する窒化シリコン膜で形成される。
【符号の説明】
【0165】
1…半導体装置、1P…Pチャネルトランジスタ、1N…Nチャネルトランジスタ、21P,21N…ゲート絶縁膜、22P,22N…ゲート電極、25P,25N、26P、26N…拡散層、27P,27N、28P、28N…低抵抗部、41…層間絶縁膜、51…支持基板、63P,63N、64P、64N…裏面コンタクト電極、310…SOI基板、311…第1支持基板、312…絶縁層、313…シリコン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面側に形成された拡散層と、
前記拡散層の表面に形成されていて前記拡散層よりも抵抗が低い低抵抗部と、
前記基板の裏面側より前記基板を貫通して前記拡散層を通して前記低抵抗部に接続された裏面コンタクト電極を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記基板の表面側に少なくとも半導体領域を有し、
前記半導体領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、
前記ゲート電極の両側の前記半導体領域に前記拡散層が形成されている
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は絶縁層とこの絶縁層上に形成された前記半導体領域とからなり、
前記半導体領域上にゲート絶縁膜を介して形成された前記ゲート電極と、前記ゲート電極の両側の前記半導体領域に前記拡散層で形成されたソース・ドレイン領域とを有するトランジスタは完全空乏型のトランジスタである
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記低抵抗部はシリサイド層からなる
請求項1、請求項2または請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極の表面側にシリサイド層を有し、
前記裏面コンタクト電極は、前記拡散層の一方の拡散層に形成された前記シリサイド層と前記ゲート電極に形成された前記シリサイド層の両方のシリサイド層に接続されている
請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極の側方に、空間を介して絶縁膜が形成されている
請求項2記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の側壁にサイドウォールが形成されていて、
前記サイドウォールは酸化シリコンよりも誘電率が低い低誘電率膜からなる
請求項2記載の半導体装置。
【請求項8】
前記低抵抗部は電極からなる
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記裏面コンタクト電極にメモリ素子が接続されている
請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記メモリ素子はキャパシタからなる
請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記メモリ素子は抵抗変化記憶素子からなる
請求項9記載の半導体装置。
【請求項12】
前記メモリ素子は磁気抵抗記憶素子からなる
請求項9記載の半導体装置。
【請求項13】
前記メモリ素子は強誘電体記憶素子からなる
請求項9記載の半導体装置。
【請求項14】
第1支持基板上に絶縁層を介してシリコン層が形成されているSOI基板の該シリコン層上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極の両側の前記シリコン層に拡散層を形成してトランジスタを形成する工程と、
前記拡散層の表面に前記拡散層よりも抵抗が低い低抵抗部を形成する工程と、
前記シリコン層上に前記トランジスタを被覆する絶縁膜を介して第2支持基板を形成し、さらに前記第1支持基板および前記絶縁層を除去する工程と、
前記シリコン層に層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜と前記シリコン層に前記低抵抗部に接続する裏面コンタクト電極を形成する工程を有する
半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記低抵抗部をシリサイド層で形成する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記低抵抗部をシリサイド層で形成するとき、前記ゲート電極の表面にもシリサイド層を形成し、
前記裏面コンタクト電極を前記拡散層の一方の拡散層に形成された前記シリサイド層および前記ゲート電極に形成されたシリサイド層に接続させる
請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記ゲート電極を形成した後で前記拡散層を形成する前に、前記ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程と、
前記ゲート電極および前記サイドウォールを被覆する第1絶縁膜を形成する工程と、
前記サイドウォール上部を露出させる工程と、
前記サイドウォールを除去して前記ゲート電極と前記第1絶縁膜との間に空間を形成する工程と、
前記空間を残して前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成して、前記第1絶縁膜と該第2絶縁膜とで前記絶縁膜を形成する工程と有する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記空間に酸化シリコンよりも誘電率が低い低誘電率膜を埋め込む工程を有する
請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記低抵抗部を電極で形成する
請求項14記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−171166(P2010−171166A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11691(P2009−11691)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】