説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】FINFETにおいて、寄生抵抗の改善を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明におけるFINFETでは、サイドウォールSWを積層膜から形成している。具体的に、サイドウォールSWは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上に形成された窒化シリコン膜SN1と、窒化シリコン膜SN1上に形成された酸化シリコン膜OX2から構成されている。一方、フィンFIN1の側壁には、サイドウォールSWが形成されていない。このように本発明では、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを形成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、FINFET(FIN Field Effect Transistor)を含む半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008−10790号公報(特許文献1)には、FINFETに関する技術が記載されている。特に、FINFETを構成するゲート電極の側壁にサイドウォールが形成されているが、フィンの側壁にもサイドウォールが形成されている。このサイドウォールは、酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化シリコン膜の積層膜で形成されているとしている。
【0003】
特開昭63−182866号公報(特許文献2)には、ゲート電極の側壁に酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化シリコン膜からなるサイドウォールを形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−10790号公報
【特許文献2】特開昭63−182866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、シリコンを使用したLSI(Large Scale Integration)において、その構成要素であるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の寸法、特に、ゲート電極のゲート長は縮小の一途をたどっている。このMISFETの縮小化は、スケーリング則に沿う形で進められてきたが、デバイスの世代が進むごとに種々の問題が見えてきており、MISFETの短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力の確保の両立が困難になってきている。したがって、従来のプレーナ型(平面型)MISFETに代わる新規構造デバイスへの研究開発が盛んに進められている。
【0006】
FINFETは、上述した新規構造デバイスの1つであり、プレーナ型MISFETとは異なる3次元構造のMISFETである。近年、このFINFETは、重要なデバイス候補として注目を集めている。
【0007】
FINFETは、半導体層を加工して形成されたフィンを有している。このフィンは、細い短冊状(直方体状)の形状をした領域であり、このフィンの両側面部をFINFETのチャネルとして使用する。そして、FINFETのゲート電極は、フィンを跨ぐような形でフィンの両側面部上に形成されており、いわゆるダブルゲート構造をしている。このように構成されているFINFETによれば、従来のシングルゲート構造のMISFETに比べて、ゲート電極によるチャネル領域に対するポテンシャル制御性が良好となっている。したがって、FINFETによれば、ソース領域とドレイン領域の間のパンチスルー耐性が高く、より小さなゲート長まで短チャネル効果を抑制できる利点がある。そして、FINFETでは、フィンの両側面部をチャネルとして使用していることから、電流を流すチャネル領域の面積を大きくすることができ、高い電流駆動力を得ることができる。つまり、FINFETによれば、短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力の確保を両立できるものと期待されている。
【0008】
例えば、特許文献1に記載されたFINFETでは、ゲート電極の側壁にサイドウォールが形成されているが、このゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程で、フィンの側壁にもサイドウォールが形成される。この場合、フィンの側壁にサイドウォールが形成されていることから、フィンの側面に均一かつ高濃度な不純物の注入が困難になる。さらには、フィンの表面をシリサイド化する際の阻害要因ともなる。このことから、フィンの側面における寄生抵抗の改善を図ることが困難となっている。
【0009】
本発明の目的は、FINFETにおいて、寄生抵抗の改善を図ることができる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
代表的な実施の形態による半導体装置は、半導体チップの第1領域に形成された第1MISFETを備える。前記第1MISFETは、(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層とからなるSOI基板と、(b)前記半導体層を加工して形成され、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンとを有する。そして、(c)前記半導体層を加工して形成され、前記フィンの一端と接続されるように形成された第1ソース領域と、(d)前記半導体層を加工して形成され、前記フィンの他端と接続されるように形成された第1ドレイン領域とを有する。さらに、(e)前記フィンの表面上に形成された第1ゲート絶縁膜と、(f)前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように形成された第1ゲート電極とを有する。ここで、前記第1ゲート電極の側壁にはサイドウォールが形成されている一方、前記フィンの側壁にはサイドウォールが形成されていないことを特徴とするものである。
【0013】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層からなるSOI基板を用意する工程と、(b)前記SOI基板の第1領域に第1MISFETを形成する工程とを備える。前記(b)工程は、(b1)前記SOI基板の前記半導体層を加工することにより、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンと、前記フィンの一端と接続する第1ソース領域と、前記フィンの他端と接続する第1ドレイン領域とを形成する工程とを有する。そして、(b2)前記フィンの表面上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、(b3)前記フィンを形成した前記SOI基板上に前記フィンを覆う第1導体膜を形成する工程と、(b4)前記第1導体膜上にハードマスク膜を形成する工程とを有する。さらに、(b5)前記ハードマスク膜をパターニングする工程と、(b6)パターニングした前記ハードマスク膜をマスクにして前記第1導体膜を加工することにより、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される第1ゲート電極を形成する工程とを有する。次に、(b7)前記第1ゲート電極から露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第2ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程と、(b8)前記(b7)工程後、前記SOI基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、(b9)前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、(b10)前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程とを有する。続いて、(b11)前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜が除去されるまで、前記第3絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜を除去する工程とを有する。その後、(b12)残存する前記第3絶縁膜をマスクにして前記第2絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜と前記第2絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第2絶縁膜を除去する工程とを有する。次に、(b13)残存する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜をマスクにして前記第1絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を残存させて、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜からなるサイドウォールを形成しつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第1絶縁膜を除去する工程とを有する。続いて、(b14)前記サイドウォールから露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
FINFETにおいて、寄生抵抗の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図2】実施の形態1におけるFINFETの構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1におけるFINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETの断面構造を示す断面図である。
【図4】本発明の課題を説明する図であって、FINFETの製造工程を示す断面図である。
【図5】図4に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図8】本実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】実施の形態2におけるFINFETの概略構成を示す図である。
【図33】図32のA−A線で切断した断面図である。
【図34】実施の形態4におけるFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図35】図34に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続くFINFETの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0018】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0019】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0020】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0021】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置について図面を参照しながら説明する。まず、マイクロコンピュータを含むシステムが形成された半導体チップのレイアウト構成について説明する。図1は、本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウト構成を示す図である。図1において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)4、フラッシュメモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有している。
【0023】
CPU(回路)1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものである。
【0024】
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。本実施の形態1では、RAM2をSRAMから構成することとする。
【0025】
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
【0026】
EEPROM4およびフラッシュメモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM4およびフラッシュメモリ5のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタやMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタから構成される。EEPROM4およびフラッシュメモリ5の書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム型トンネル現象を利用する。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。EEPROM4とフラッシュメモリ5の相違点は、EEPROM4が、例えば、バイト単位で消去のできる不揮発性メモリであるのに対し、フラッシュメモリ5が、例えば、ワード線単位で消去できる不揮発性メモリである点である。一般に、フラッシュメモリ5には、CPU1で種々の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。これに対し、EEPROM4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。
【0027】
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力を行なうための回路である。
【0028】
本実施の形態1における半導体チップCHPは上記のように構成されており、以下に、半導体チップCHPに形成されている半導体素子の構造について説明する。本実施の形態1では、RAM2をFINFETから構成し、CPU1を部分空乏型MISFETから構成している。さらに、I/O回路6をバルク型MISFETから構成している。つまり、本実施の形態1における半導体チップCHPには、FINFETと、部分空乏型MISFETと、バルク型MISFETが混載されている。以下に、半導体チップCHPに形成されているFINFETと部分空乏型MISFETとバルク型MISFETのそれぞれの構成について説明する。
【0029】
まず、RAM2(SRAM)を構成するFINFETの構造について説明する。FINFETの構造をわかりやすくするため、FINFETの構造を斜視図で説明する。図2は、例えば、nチャネル型FINFETの構成を示す斜視図である。図2において、基板層1S上に埋め込み絶縁層BOXが形成されている。そして、この埋め込み絶縁層BOX上にソース領域SR1、フィンFIN1およびドレイン領域DR1が形成されている。すなわち、SOI基板では、埋め込み絶縁層BOX上にシリコン層が形成されているが、このシリコン層を加工することにより、ソース領域SR1、フィンFIN1およびドレイン領域DR1が形成されている。具体的に、ソース領域SR1とドレイン領域DR1の間にY方向に長辺を有する直方体状のフィンFIN1が形成されており、フィンFIN1の一端がソース領域SR1に接続され、フィンFIN1の他端がドレイン領域DR1に接続されている。このとき、ソース領域SR1は、高濃度n型不純物拡散領域NR1とコバルトシリサイド膜CSを含んでおり、ドレイン領域DR1も、高濃度n型不純物拡散領域NR1とコバルトシリサイド膜CSを含んでいる。
【0030】
さらに、nチャネル型FINFETには、Y方向と交差するX方向に延在し、かつ、フィンFIN1と交差する領域で、ゲート絶縁膜(図示されず)を介してフィンFIN1の表面上を跨ぐようにゲート電極G1が形成されている。このとき、フィンFIN1のうち、ゲート電極G1で覆われている領域がチャネル領域として機能する。特に、ゲート電極G1に覆われているフィンFIN1の側面がチャネル領域として機能する。つまり、本実施の形態1におけるFINFETでは、フィンFIN1を構成する直方体の両側側面と上面をチャネル領域として使用するトライゲート構造となっている。ゲート電極G1上には、例えば、酸化シリコン膜からなるハードマスク膜HM1が形成され、ゲート電極G1の両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されている。ここで、フィンFIN1は、ゲート電極G1に覆われる領域と、ゲート電極G1やサイドウォールSWで覆われない領域が存在するが、ゲート電極G1で覆われている領域がチャネル領域となり、ゲート電極G1やサイドウォールSWで覆われていない領域がソース領域SR1やドレイン領域DR1の一部となる。詳細には、フィンFIN1には、ゲート電極G1に整合して低濃度n型不純物拡散領域(図示せず)が形成され、さらに、サイドウォールSWに整合するように高濃度n型不純物拡散領域NR1が形成されている。
【0031】
本実施の形態1におけるFINFETでは、サイドウォールSWを積層膜から形成している。具体的に、サイドウォールSWは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上に形成された窒化シリコン膜SN1と、窒化シリコン膜SN1上に形成された酸化シリコン膜OX2から構成されている。一方、フィンFIN1の側壁には、サイドウォールSWが形成されていない。このように本実施の形態1では、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを形成しない点に特徴がある。特に、本実施の形態1では、フィンFIN1の両側面と上面とをチャネルとして使用するトライゲート構造のFINFETにおいて、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを形成しないようにするため、サイドウォールSWを酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2の積層膜から形成する工夫を施している。このようにサイドウォールSWを膜質の異なる積層膜から形成することにより、ゲート電極G1の側壁にだけサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを形成しないように構成することが可能になるが、この特徴点については、後述する製造方法で詳細に説明する。
【0032】
このように構成されているnチャネル型FINFETを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通してnチャネル型FINFETのソース領域SR1やドレイン領域DR1と接続するプラグPLG1が形成されている。そして、プラグPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に第1層配線L1が形成されている。
【0033】
次に、本実施の形態1におけるFINFETの構造について、断面図である図3を参照しながら説明する。図3は、FINFET形成領域と、部分空乏型MISFET形成領域と、バルク型MISFET形成領域を図示したものであり、FINFET形成領域にはFINFETの断面構造が示され、部分空乏型MISFET形成領域には部分空乏型MISFETの断面構造が示されている。そして、バルク型MISFET形成領域にはバルク型MISFETの断面構造が示されている。
【0034】
なお、図3では、FINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETをnチャネル型MISFETとして図示しているが、FINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETには、pチャネル型MISFETも含まれる。
【0035】
図3において、FINFET形成領域には2つの断面図が記載されているが、左側の断面図は、図2のA−A線で切断した断面を示しており、右側の断面図は、図2のB−B線で切断した断面を示している。
【0036】
まず、図3のFINFET形成領域に示されている左側の断面図を参照しながらFINFETの断面構造について説明する。基板層1S上には埋め込み絶縁層BOXが形成されており、この埋め込み絶縁層上にシリコン層が形成されている。この基板層1Sと埋め込み絶縁層BOXとシリコン層からSOI基板が構成されている。このSOI基板のシリコン層を加工することにより、埋め込み絶縁層BOX上にフィンFIN1が形成されている。そして、このフィンFIN1の両側面と上面を覆うようにゲート絶縁膜GOX1が形成されており、このゲート絶縁膜GOX1を介して、フィンFIN1を覆うようにゲート電極G1が形成されている。ゲート電極G1上にはハードマスクHM1が形成されており、このハードマスクHM1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1が形成されている。
【0037】
続いて、図3のFINFET形成領域に示されている右側の断面図を参照しながらFINFETの断面構造について説明する。基板層1S上には埋め込み絶縁層BOXが形成されており、この埋め込み絶縁層BOX上にフィンFIN1が形成されている。すなわち、フィンFIN1は、埋め込み絶縁層BOX上に形成されているSOI基板のシリコン層から形成されていることになる。このフィンFIN1上にはゲート絶縁膜GOX1が形成されており、ゲート絶縁膜GOX1上にゲート電極G1が形成されている。そして、このゲート電極G1上にハードマスクHM1が形成されている。ゲート電極G1の両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されている。本実施の形態1では、ゲート電極G1の両側の側壁に形成されているサイドウォールSWを酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2の積層膜から構成している。
【0038】
ゲート電極G1の下層に形成されているフィンFIN1内には低濃度n型不純物拡散領域(エクステンション領域)EX1が形成されており、低濃度n型不純物拡散領域EX1の外側のフィンFIN1内には高濃度n型不純物拡散領域NR1が形成されている。この高濃度n型不純物拡散領域NR1の表面にはコバルトシリサイド膜CSが形成されている。このとき、低濃度n型不純物拡散領域EX1と、高濃度n型不純物拡散領域NR1と、コバルトシリサイド膜CSにより、ソース領域SR1とドレイン領域DR1が形成されている。コバルトシリサイド膜CSは、ソース領域SR1およびドレイン領域DR1のシート抵抗を小さくするために形成されている膜であり、コバルトシリサイド膜CSの代わりに、チタンシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜あるいはプラチナシリサイド膜などのシリサイド膜を使用してもよい。
【0039】
このように構成されているFINFETを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通してFINFETのソース領域SR1やドレイン領域DR1と接続するプラグPLG1が形成されている。そして、プラグPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に第1層配線L1が形成されている。
【0040】
本実施の形態1では、SRAMを構成する内部回路の半導体素子をFINFETから形成しているが、内部回路をFINFETから構成する利点について説明する。近年、半導体チップの縮小化が進められており、半導体チップに形成されるMISFETの寸法、特に、ゲート電極のゲート長の縮小化が進められている。MISFETの縮小化は、スケーリング則に沿う形で進められてきたが、MISFETの縮小化が進むにつれて、MISFETの短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力の確保の両立が困難になってきている。したがって、従来のプレーナ型MISFETに代わる新規構造デバイスが望まれている。
【0041】
FINFETは、上述した新規構造デバイスの1つであり、プレーナ型MISFETとは異なる3次元構造のMISFETである。FINFETは、上述したように、半導体層を加工して形成されたフィンを有している。このフィンは、細い短冊状(直方体状)の形状をした領域であり、このフィンの両側面部をFINFETのチャネルとして使用する。そして、FINFETのゲート電極は、フィンを跨ぐような形でフィンの両側面部および上面部上に形成されており、いわゆるトライゲート構造をしている。このように構成されているFINFETによれば、従来のプレーナ型MISFETに比べて、ゲート電極によるチャネル領域に対するポテンシャル制御性が良好となっている。したがって、FINFETによれば、ソース領域とドレイン領域の間のパンチスルー耐性が高く、より小さなゲート長まで短チャネル効果を抑制できる利点がある。そして、FINFETでは、フィンの両側面部と上面部をチャネルとして使用していることから、電流を流すチャネル領域の面積を大きくすることができ、高い電流駆動力を得ることができる。つまり、FINFETは、短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力の確保を両立できる利点を有しているデバイスである。したがって、FINFETは、微細化されたMISFETを使用するSRAMへの適用に適している。
【0042】
さらに、例えば、従来のプレーナ型MISFETでは、チャネル領域中の不純物濃度を調整することで、しきい値電圧を制御する。この場合、プレーナ型MISFETを縮小化が進むと、スケーリング則から、チャネル領域に導入される不純物の濃度が高くなる。すなわち、従来のプレーナ型MISFETでは、特に、縮小化するとソース領域とドレイン領域間が近接することとなり、パンチスルーが生じやすくなるため、ソース領域とドレイン領域の間に形成されているチャネルの不純物濃度を高くして、パンチスルーを抑制している。ところが、チャネルの不純物濃度を高くすると、素子間の不純物濃度のばらつきも大きくなるため、プレーナ型MISFETの特性ばらつきが大きくなる。また、チャネルを通るキャリアによる不純物散乱が増大し、キャリアの移動度劣化が生じる。
【0043】
特に、SRAMではMISFETの微細化が進んでおり、微細化したプレーナ型MISFETをSRAMに使用する場合、以下に示すような問題点が生じる。すなわち、微細化に伴ってチャネル領域に導入される不純物濃度が高くなるが、このことは、素子ばらつきが大きくなることを意味しており、例えば、ペア性が要求されるSRAMでは、素子間のしきい値電圧がばらつくと、正常に動作しなくなるおそれがある。したがって、SRAMに微細化したプレーナ型MISFETを使用するには限界があると考えられる。
【0044】
これに対し、FINFETは、完全空乏型MISFETと同様の動作原理に基づいているため、チャネル中の不純物濃度を低減することが可能であり、高い不純物濃度に起因するMISFETの電気特性のばらつきを低減できると考えられている。つまり、FINFETでは、チャネル中に導入される不純物の不純物濃度を調整することにより、しきい値電圧を制御するのではなく、ゲート電極の仕事関数を適切に選択することにより、FINFETのしきい値電圧を制御することになる。したがって、FINFETでは、チャネル領域(フィン)に導入する不純物の不純物濃度を低減することができ、チャネル領域に導入する不純物の高濃度化に起因する電気的特性のばらつきを抑制することができる。このとから、FINFETは、特に、SRAMへの適用に適している。以上のように、FINFETによれば、プレーナ型MISFETに比べて、短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力を確保できるという利点を有するとともに、微細化しても、チャネル領域の不純物濃度を低減できることから、微細な半導体素子への適用が進められると考えられる。
【0045】
上述したようにFINFETは、完全空乏型MISFETと同様の動作原理に基づいているため、完全空乏型MISFETの利点も有していることになる。すなわち、完全空乏型MISFETでは、サブスレッシュホールド特性を示すS値を60mV〜70mV/dec程度に低くすることができる。ここで、S値とは、ドレイン電圧を一定とした場合にドレイン電流を1桁変化させるサブスレッシュホールド領域でのゲート電圧値を示している。したがって、S値が小さいほど、ドレイン電流を増加させるためのゲート電圧値を小さくすることができる。この結果、オフリーク電流を増加させずにしきい値電圧を低く設定することができる。このため、FINFETは、低電圧動作が可能となる利点を有している。
【0046】
また、バルク型MISFETではソース領域、ドレイン領域と基板あるいはウェルとの間に形成されるPN接合が、完全空乏型MISFETには存在しないことから、完全空乏型MISFETにおいては、接合容量は非常に小さなものとなる。このことから、FINFETにおいても接合容量を非常に小さくすることができ、FINFETの負荷容量を低減することができる。この結果、FINFETによれば、高速、かつ、低消費電力の半導体素子を開発することが容易となる利点がある。
【0047】
さらに、本実施の形態1におけるFINFETはSOI基板上に形成されており、半導体素子が完全に分離されているので、ラッチアップ現象を含む誤動作防止が可能となる利点も有していることになる。このようにFINFETによれば、上述した様々な利点を有していることになるが、問題点も存在する。
【0048】
例えば、FINFETでは、図2に示すようにフィンFIN1を介してソース領域SR1とドレイン領域DR1の間を電流が流れる。このとき、フィンFIN1のフィン幅(図2のX方向の幅)が狭いため、寄生抵抗が大きくなってしまう問題点がある。そこで、シリコンを主体とするフィンFIN1に導電型不純物を高濃度に注入することや、フィンFIN1の表面に低抵抗なシリサイド膜を形成することが考えられる。この場合、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWが形成されていると、このサイドウォールSWが邪魔となって均一かつ高濃度な不純物の注入が困難になる。さらには、フィンFIN1の表面をシリサイド化する際の阻害要因ともなる。このことから、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができなくなる問題点が発生する。
【0049】
この問題点はフィンFIN1の側壁にもサイドウォールSWが形成されてしまうことに起因するが、通常のサイドウォール形成工程では、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成すると、フィンFIN1の側壁にもサイドウォールSWが形成されてしまう。なぜなら、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成するには、まず、ゲート電極G1を覆うように酸化シリコン膜を形成するが、このとき、フィンFIN1も覆うように酸化シリコン膜が形成される。そして、ゲート電極G1を覆うように形成された酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを実施することにより、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成する。ところが、酸化シリコン膜を異方性エッチングする際、フィンFIN1を覆うように形成されている酸化シリコン膜も異方性エッチングされることになる。このため、フィンFIN1の側壁にもサイドウォールSWが形成されてしまうのである。
【0050】
そこで、本実施の形態1におけるFINFETでは、例えば、図2に示すように、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成している一方、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去している。これにより、フィンFIN1の側壁から導電型不純物を高濃度に注入する場合に、サイドウォールSWが邪魔にならないので、均一かつ高濃度な不純物の注入を実施することができる。さらには、サイドウォールSWに阻害されることなく、フィンFIN1の表面に低抵抗なシリサイド膜を形成することができる。この結果、本実施の形態1におけるFINFETによれば、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができるのである。つまり、本実施の形態1における特徴は、ゲート電極G1の側壁にはサイドウォールSWを形成することにより、ソース領域SR1とドレイン領域DR1をLDD(Lightly Doped Drain)構造にする一方で、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去することにより、フィンFIN1の表面(側壁および上面)を露出した状態での高濃度の不純物注入およびシリサイド膜の形成を可能としている点にある。これにより、本実施の形態1によれば、フィンFIN1における寄生抵抗の低減を図ることができる顕著な効果を得ることができるのである。
【0051】
本実施の形態1におけるFINFETは上記のように構成されており、次に、例えば、CPU1を構成する部分空乏型MISFETの構造について説明する。図3において、部分空乏型MISFET形成領域には、部分空乏型MISFETが形成されている。具体的に、部分空乏型MISFETは、基板層1Sと、基板層1S上に形成された埋め込み絶縁層BOXと、埋め込み絶縁層BOX上に形成された半導体層からなるSOI基板上に形成されている。SOI基板の半導体層が部分空乏型MISFETのボディ領域BDとなり、このボディ領域BD上にゲート絶縁膜GOX2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜GOX2上にゲート電極G2が形成され、ゲート電極G2上にハードマスクHM1が形成されている。ゲート電極G2の両側の側壁にはサイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上に形成された窒化シリコン膜SN1と、窒化シリコン膜SN1上に形成された酸化シリコン膜OX2からなる積層膜で構成されている。
【0052】
SOI基板の半導体層内には、ゲート電極G2に整合した半導体領域として、低濃度n型不純物拡散領域EX2が形成されている。そして、低濃度n型不純物拡散領域EX2の外側に高濃度n型不純物拡散領域NR2が形成され、この高濃度n型不純物拡散領域NR2の表面にコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0053】
サイドウォールSWは、部分空乏型MISFETの半導体領域であるソース領域SR2およびドレイン領域DR2をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、部分空乏型MISFETのソース領域SR2およびドレイン領域DR2は、低濃度n型不純物拡散領域EX2と高濃度n型不純物拡散領域NR2とコバルトシリサイド膜CSより形成されている。このとき、低濃度n型不純物拡散領域EX2の不純物濃度は、高濃度n型不純物拡散領域NR2の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域SR2およびドレイン領域DR2を低濃度n型不純物拡散領域EX2とすることにより、ゲート電極G2の端部下における電界集中を抑制できる。
【0054】
このように構成されている部分空乏型MISFETを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通して部分空乏型MISFETのソース領域SR2やドレイン領域DR2と接続するプラグPLG1が形成されている。そして、プラグPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に第1層配線L1が形成されている。
【0055】
SOI基板上に形成されたMISFETのうち、チャネル下のボディ領域がすべて空乏化しているものを完全空乏型MISFETと呼び、ボディ領域の底部に空乏化されていない領域を持つものを部分空乏型MISFETと呼ぶ。したがって、部分空乏型MISFETにおいては、ボディ領域の底部にPN接合が存在するため、完全空乏型MISFETよりも接合容量は大きくなるが、バルク型MISFETに比べると接合容量を小さくすることができる。つまり、部分空乏型MISFETは、完全空乏型MISFETとバルク型MISFETの中間に位置するMISFETと考えることができる。このことから、部分空乏型MISFETは、バルク型MISFETに比べて、高速動作および低消費電力動作が可能となる。さらに、部分空乏型MISFETはSOI基板上に形成されており、半導体素子が完全に分離されているので、ラッチアップ現象を含む誤動作防止が可能となる利点も有していることになる。
【0056】
続いて、I/O回路6を構成するバルク型MISFETの構造について説明する。図3において、バルク型MISFET形成領域には、バルク型MISFETが形成されている。具体的に、I/O回路領域では、シリコンよりなる基板層1Sと、基板層1S上に形成された埋め込み絶縁層BOXと、埋め込み絶縁層BOX上に形成されたシリコン層からなるSOI基板のうち、シリコン層と埋め込み絶縁層BOXが除去されており、基板層1Sだけが残存している。このように構成されている基板層1Sにバルク型MISFETが形成されている。
【0057】
基板層1Sには素子を分離する素子分離領域(図示せず)が形成されており、素子分離領域で分割された活性領域に、p型半導体領域よりなるp型ウェルPWLが形成されている。
【0058】
バルク型MISFETは、基板層1S内に形成されたp型ウェルPWL上にゲート絶縁膜GOX3を有しており、このゲート絶縁膜GOX3上にゲート電極G3が形成されている。ゲート絶縁膜GOX3は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ゲート電極G3は、例えば、ポリシリコン膜から形成されている。そして、ゲート電極G3上には、例えば、酸化シリコン膜からなるハードマスクHM1が形成されている。
【0059】
ゲート電極G3の両側の側壁にはサイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上に形成された窒化シリコン膜SN1と、窒化シリコン膜SN1上に形成された酸化シリコン膜OX2からなる積層膜で構成されている。
【0060】
サイドウォールSW下の基板層1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX3が形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX3の外側に深いn型不純物拡散領域NR3が形成され、この深いn型不純物拡散領域NR3の表面にコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0061】
サイドウォールSWは、バルク型MISFETの半導体領域であるソース領域SR3およびドレイン領域DR3をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、バルク型MISFETのソース領域SR3およびドレイン領域DR3は、浅いn型不純物拡散領域EX3と深いn型不純物拡散領域NR3とコバルトシリサイド膜CSより形成されている。このとき、浅いn型不純物拡散領域EX3の不純物濃度は、深いn型不純物拡散領域NR3の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域SR3およびドレイン領域DR3を低濃度の浅いn型不純物拡散領域EX3とすることにより、ゲート電極G3の端部下における電界集中を抑制できる。
【0062】
このように構成されているバルク型MISFETを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通してバルク型MISFETのソース領域SR3やドレイン領域DR3と接続するプラグPLG1が形成されている。そして、プラグPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に第1層配線L1が形成されている。
【0063】
本実施の形態1では、CPU1などのロジック回路に部分空乏型MISFETを使用し、I/O回路6にバルク型MISFETを使用している。CPU1などのロジック回路は内部回路を構成しており、低い電圧で動作するようになっている。これに対し、I/O回路6は、入出力回路を構成しており、比較的高い電圧で動作するようになっている。つまり、CPU1などのロジック回路を構成する部分空乏型MISFETは、電流駆動力の大きな低耐圧MISFETとして構成されており、I/O回路6を構成するバルク型MISFETは、耐圧が高い高耐圧MISFETとして構成されている。したがって、部分空乏型MISFETのゲート絶縁膜GOX2の膜厚は、バルク型MISFETのゲート絶縁膜GOX3の膜厚よりも薄くなっており、かつ、部分空乏型MISFETのゲート電極G2のゲート長は、バルク型MISFETのゲート電極G3のゲート長よりも短くなっている。
【0064】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。本実施の形態1における特徴は、トライゲート構造を有するFINFETにおいて、例えば、図2に示すように、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成している一方、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去している点にある。このような構成を製造する方法としては、以下に示すような方法が考えられる。すなわち、ゲート電極G1およびフィンFIN1を覆うようにSOI基板上に単層膜からなる絶縁膜を形成し、この絶縁膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWが形成されるが、フィンFIN1の側壁にもサイドウォールSWが形成される。さらに、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォールSWを除去するため、異方性エッチングを進めてオーバエッチングする。この場合、ゲート電極G1の高さに比べて、フィンFIN1の高さが充分低くなっているので、上述したオーバエッチングを実施しても、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを残存させながら、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォールSWを除去することができる。
【0065】
ところが、上述したオーバエッチングでフィンFIN1自体もエッチングされてフィンFIN1が消失するおそれがあるのである。つまり、フィンFIN1はシリコンから構成されており、サイドウォールSWを構成する絶縁膜は、例えば、酸化シリコン膜から構成されているので、サイドウォールSWを除去するオーバエッチングでフィンFIN1自体はエッチングされないように思われる。しかし、オーバエッチング(異方性エッチング)はドライエッチングで実施され、かつ、フィンFIN1自体が小さいことから、フィンFIN1自体も多少エッチングされることになり、小さなフィンFIN1が消失してしまうおそれがあるのである。
【0066】
以下に、この課題について図面を参照しながらさらに詳しく説明し、その後、この課題を解決するための工夫を施した本実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明する。ここでの説明では、FINFET形成領域に形成されているFINFETを図2のC−C線で切断した断面と、図2のD−D線で切断した断面とを使用して説明する。例えば、上述した課題を説明する図4〜図7では、左側に図2のC−C線で切断した断面図を示し、右側に図2のD−D線で切断した断面図を示している。
【0067】
まず、図4に示すように、基板層1Sと埋め込み絶縁層BOXと半導体層を有するSOI基板を用意し、SOI基板の埋め込み絶縁層BOX上に形成されている半導体層を加工することにより、フィンFIN1、ソース領域SR1およびドレイン領域DR1を形成する。その後、フィンFIN1と交差する方向に延在し、フィンFIN1と交差する領域でフィンFIN1を跨るようなゲート電極G1を形成する。このとき、ゲート電極G1上にはハードマスクHM1が形成されている。
【0068】
続いて、図5に示すように、フィンFIN1およびゲート電極G1を覆うようにSOI基板上に酸化シリコン膜OX1を形成する。その後、図6に示すように、酸化シリコン膜OX1に対して異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極G1の両側の側壁にサイドウォールSWを形成する。このとき、フィンFIN1の側壁にもサイドウォールSWが形成される。さらに、異方性エッチングを進めてオーバエッチングを施す。
【0069】
すると、図7に示すように、ゲート電極G1の側壁に形成されているサイドウォールSWが小さくなるとともに、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォールSWが除去される。すなわち、ゲート電極G1の高さに比べて、フィンFIN1の高さが充分低くなっているので、上述したオーバエッチングを実施しても、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを残存させながら、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォールSWを除去することができる。このとき、オーバエッチング(異方性エッチング)はドライエッチングで実施され、かつ、フィンFIN1自体が小さいことから、フィンFIN1自体も多少エッチングされることになり、小さなフィンFIN1が膜減りあるいは消失してしまうおそれがある。つまり、上述した方法では、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォールSWを除去するオーバエッチングで、フィンFIN1自体もエッチングされてしまう。したがって、フィンFIN1自体が小さくなり、フィンFIN1の寄生抵抗が上昇するおそれがある。さらに、ひどい場合は、フィンFIN1自体が消失してしまい、FINFETとして機能しなくなるおそれもある。
【0070】
そこで、本実施の形態1におけるFINFETでは、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成している一方、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去する構造を形成する方法に工夫を施している。以下に、本実施の形態1におけるFINFETの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0071】
本実施の形態1における半導体装置の製造方法では、FINFETを形成するFINFET形成領域と、部分空乏型MISFETを形成する部分空乏型MISFET形成領域と、バルク型MISFETを形成するバルク型MISFET形成領域とを同時に図示しながら説明する。このとき、FINFET形成領域は、図2のC−C線で切断した断面図(左側)と、図2のD−D線で切断した断面図(右側)を示して説明する。
【0072】
まず、図8に示すように、基板層1Sと、基板層1S上に形成された埋め込み絶縁層BOXと、埋め込み絶縁層BOX上に形成されたシリコン層SILからなるSOI基板を用意する。SOI基板は、例えば、表面に酸化シリコン膜が形成された半導体基板(半導体ウェハ)と、もう一枚の半導体基板を熱圧着により貼り合せた後、片側の半導体基板を途中まで研削あるいは除去することにより形成することができる。また、SOI基板は、半導体基板に酸素を高エネルギー(〜180keV)および高濃度(〜1×1018atoms/cm)でイオン注入した後、半導体基板に対して高温の熱処理を施すことにより半導体基板の内部に埋め込み絶縁層を形成する方法でも形成することができる。
【0073】
次に、図9に示すように、シリコン層SILの表面にパッド酸化膜(パッド酸化シリコン膜)POX1を形成し、このパッド酸化膜POX1上にレジスト膜FR1を塗布する。パッド酸化膜POX1は、例えば、熱酸化法などにより形成することができる。そして、パッド酸化膜POX1上に形成したレジスト膜FR1をパターニングする。レジスト膜FR1のパターニングは、FINFET形成領域と部分空乏型MISFET形成領域にレジスト膜FR1が残り、バルク型MISFET形成領域にレジスト膜FR1が残らないように行なわれる。つまり、FINFET形成領域と部分空乏型MISFET形成領域は、レジスト膜FR1で覆われる一方、バルク型MISFET形成領域は、パッド酸化膜POX1が露出する。
【0074】
続いて、図10に示すように、パターニングしたレジスト膜FR1をマスクとしたエッチングにより、バルク型MISFET形成領域に形成されているパッド酸化膜POX1、シリコン層SILおよび埋め込み絶縁層BOXを順次除去する。その後、パターニングされているレジスト膜FR1を除去し、FINFET形成領域および部分空乏型MISFET形成領域に形成されているパッド酸化膜POX1も除去する。
【0075】
その後、図11に示すように、FINFET形成領域、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域にわたってパッド酸化膜POX2を形成した後、このパッド酸化膜POX2上にレジスト膜FR2を形成する。そして、レジスト膜FR2をパターニングする。レジスト膜FR2のパターニングは、FINFET形成領域と部分空乏型MISFET形成領域を覆い、かつ、バルク型MISFET形成領域を露出するように行なわれる。続いて、バルク型MISFET形成領域に露出しているパッド酸化膜POX2を除去した後、バルク型MISFET形成領域に露出している基板層1S上にエピタキシャル層EPIを形成する。このエピタキシャル層EPIはシリコン層から形成されており、バルク型MISFET形成領域に選択的に形成される。エピタキシャル層EPIは、FINFET形成領域および部分空乏型MISFET形成領域に形成されているシリコン層SILとほぼ同一の高さになるまで形成される。
【0076】
次に、図12に示すように、パターニングされたレジスト膜FR2およびその下層に形成されているパッド酸化膜POX2を除去した後、再び、FINFET形成領域、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域にわたってパッド酸化膜POX3を形成する。そして、図示は省略するが、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、SOI基板にトレンチを形成する。トレンチは、例えば、部分空乏型MISFET形成領域とバルク型MISFET形成領域に形成される。このトレンチは、部分空乏型MISFET形成領域において、埋め込み絶縁層BOXに達するように形成することができる。これにより、部分空乏型MISFET形成領域では、素子を形成する活性領域を完全に分離することができる。
【0077】
そして、トレンチを形成したSOI基板上に酸化シリコン膜を形成し、トレンチの内部を酸化シリコン膜で埋め込む。そして、SOI基板上に形成されている不要な酸化シリコン膜を、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去し、トレンチの内部にだけ酸化シリコン膜を残すことにより、トレンチの内部に酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域(図示せず)を形成することができる。
【0078】
続いて、図13に示すように、パッド酸化膜POX3上にダミー膜DMYを形成する。ダミー膜は、例えば、アモルファスシリコン膜から形成することができる。このアモルファスシリコン膜には、フッ素(F)を注入し、多結晶成長をしにくくしている。これにより、多結晶グレイン(結晶粒)によるフィンパターンのラフネスを抑制することができる。なお、アモルファスシリコン膜に導入する元素は、フッ素の他に、炭素(カーボン)やアルゴン(Ar)などの不活性元素を用いてもよい。
【0079】
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ダミー膜DMYをパターニングする。ダミー膜DMYのパターニングは、FINFET形成領域において、フィンを形成するためのダミーパターンを形成するように行なわれるとともに、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域の全面を覆うように行なわれる。
【0080】
そして、図14に示すように、FINFET形成領域、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域にわたって、ダミー膜DMYを覆うように酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法により形成することができる。続いて、酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを実施することにより、FINFET形成領域においては、ダミー膜DMY(ダミーパターン)の側壁に酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWFが形成される。一方、部分空乏型MISFET形成領域とバルク型MISFET形成領域においては、酸化シリコン膜がすべて除去されてダミー膜DMYが露出する。
【0081】
次に、図15に示すように、露出しているダミー膜DMYを除去する。ダミー膜DMYの除去は、例えば、ウェットエッチングにより実施することができる。これにより、FINFET形成領域においては、サイドウォールSWFに挟まれるように形成されていたダミー膜DMYが除去され、部分空乏型MISFET形成領域とバルク型MISFET形成領域においては、ダミー膜DMYが全面除去されてパッド酸化膜POX3が露出する。このサイドウォールSWFは、FINFETのフィン幅を決定することになる。本実施の形態1では、FINFETのフィン幅を決定するサイドウォールSWFの幅はフォトリソグラフィではなく、堆積した酸化シリコン膜の膜厚により決定するので、サイドウォールSWFの線幅は均一となる。したがって、このサイドウォールSWFをマスクに使用してフィンを加工すれば、線幅が細く、かつ、均一なフィン幅のフィンを形成することができる。
【0082】
続いて、図16に示すように、FINFET形成領域においては、サイドウォールSWFを形成したパッド酸化膜POX3上にレジスト膜FR3を形成する。一方、部分空乏型MISFET形成領域とバルク型MISFET形成領域においても、パッド酸化膜POX3上にレジスト膜FR3を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜FR3をパターニングする。レジスト膜FR3のパターニングは、FINFET形成領域ではソース領域およびドレイン領域を形成する領域にレジスト膜FR3が残存するように行なわれ、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域では全面にレジスト膜FR3が残存するように行なわれる。
【0083】
次に、図17に示すように、パターニングされたレジスト膜FR3をマスクにして、SOI基板のシリコン層SILをパターニングする。このとき、シリコン層SILのパターニングでは、レジスト膜FR3だけでなく、酸化シリコン膜から形成されているサイドウォールSWFもマスクとなる。この結果、シリコン層SILをパターニングすると、シリコン層SILは、直方体状のフィンFIN1と、このフィンFIN1の一端と接続するソース領域SR1と、フィンFIN1の他端と接続するドレイン領域DR1とに加工される。その後、レジスト膜FR3を除去する。このようにして、FINFET形成領域には、直方体状のフィンFIN1、ソース領域SR1およびドレイン領域DR1が形成される一方、部分空乏型MISFET形成領域とバルク型MISFET形成領域では、パッド酸化膜POX3が露出する。
【0084】
そして、図18に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、バルク型MISFET形成領域にp型ウェルPWLを形成する。p型ウェルPWLは、基板層1S内にボロン(B)などのp型不純物を導入することにより形成することができる。その後、しきい値調整用に不純物を導入する。
【0085】
続いて、図19に示すように、FINFET形成領域では、フィンFIN1の表面にゲート絶縁膜GOX1を形成し、部分空乏型MISFET形成領域では、シリコン層SIL上にゲート絶縁膜GOX2を形成する。さらに、バルク型MISFET形成領域では、p型ウェルPWL上にゲート絶縁膜GOX3を形成する。このとき、ゲート絶縁膜GOX1は、ゲート絶縁膜GOX2に比べて薄く、かつ、ゲート絶縁膜GOX2は、ゲート絶縁膜GOX3に比べて薄くなるように形成される。ゲート絶縁膜GOX1、ゲート絶縁膜GOX2およびゲート絶縁膜GOX3は、例えば、酸化シリコン膜から形成される。
【0086】
ただし、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物がフィンFIN1側や基板層1S側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0087】
また、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜GOX1〜GOX3として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0088】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電率膜が使用されるようになってきている。高誘電率膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。特に、窒化シリコン膜も酸化シリコン膜より誘電率の高い膜であるが、本実施の形態1では、この窒化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜を使用することが望ましい。
【0089】
例えば、窒化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、HfAlO膜(ハフニウムアルミネート膜)、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0090】
次に、ゲート絶縁膜GOX1〜GOX3上にポリシリコン膜PF1を形成する。ポリシリコン膜PF1は、例えば、CVD法を使用することにより形成される。このとき、FINFET形成領域では、フィンFIN1による段差上にポリシリコン膜PF1が形成されるため、ポリシリコン膜PF1の表面も段差が形成される。この場合、ポリシリコン膜PF1を加工してゲート電極を形成する際、ゲート電極の寸法ばらつきが生じる。ゲート電極の寸法ばらつきが生じると、トランジスタの性能がばらつき、必要なトランジスタ性能を発揮することができなくなるおそれがある。そこで、本実施の形態1では、ポリシリコン膜PF1を形成した後、このポリシリコン膜PF1の表面に平坦化処理を施している。具体的には、例えば、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により、ポリシリコン膜PF1の表面を平坦化する。この結果、フィンFIN1による段差上に形成されるポリシリコン膜PF1の表面を平坦化することができ、ゲート電極の加工寸法の精度を向上させることができる。つまり、ポリシリコン膜PF1の表面を平坦化することにより、その後形成されるゲート電極の寸法ばらつきを抑制することができ、トランジスタ性能の向上を図ることができる。
【0091】
ポリシリコン膜PF1の平坦化処理を実施した後、平坦化したポリシリコン膜PF1上にハードマスクHM1を形成し、このハードマスクHM1上にハードマスクHM2を形成する。ここで、ハードマスクHM1の高さは、フィンFIN1の高さより大きく形成される。ハードマスクHM1は、例えば、TEOS膜などの酸化シリコン膜や窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜から形成されており、ハードマスクHM2は、例えば、アモルファスシリコン膜にフッ素を添加した膜から形成されている。ハードマスクHM2は、まず、ハードマスクHM1上にアモルファスシリコン膜を形成し、このアモルファスシリコン膜にフッ素をイオン注入することにより形成することができる。このように、アモルファスシリコン膜にフッ素を添加する理由は、その後、ゲート電極G1〜G3を加工する際の熱処理によって、アモルファスシリコン膜が多結晶成長してしまうことを抑制するためである。なお、アモルファスシリコン膜に添加する元素は、フッ素の他に、炭素(カーボン)やアルゴン(Ar)などの不活性元素であってもよい。
【0092】
続いて、図20に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ハードマスクHM2をパターニングする。ハードマスクHM2のパターニングは、ゲート電極形成領域にハードマスクHM2が残るように行なわれる。具体的には、FINFET形成領域、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域のそれぞれに形成されるゲート電極に対応してハードマスクHM2がパターニングされる。このとき、FINFET形成領域に形成されるハードマスクHM2の幅(ゲート電極のゲート長に対応する)は、部分空乏型MISFET形成領域に形成されるハードマスクHM2の幅(ゲート電極のゲート長に対応する)よりも細く、かつ、部分空乏型MISFET形成領域に形成されるハードマスクHM2の幅は、バルク型MISFET形成領域に形成されるハードマスクHM2の幅(ゲート電極のゲート長に対応する)よりも細く形成される。そして、パターニングしたハードマスクHM2をマスクにしたエッチングにより、ハードマスクHM2の下層に形成されているハードマスクHM1をパターニングする。
【0093】
次に、図21に示すように、ハードマスクHM2をマスクにして、ポリシリコン膜PF1のエッチングを、フィンFIN1の上面に形成されているゲート絶縁膜GOX1が露出するまで実施する。このとき、ハードマスクHM2は、フッ素を含有したアモルファスシリコン膜から形成されているので、ポリシリコン膜PF1のエッチングでハードマスクHM2もエッチングされていく。そして、例えば、ポリシリコン膜PF1のエッチングを、フィンFIN1の上面に形成されているゲート絶縁膜GOX1が露出するまで実施した段階で、ハードマスクHM2は消失する。そして、図22に示すように、フィンFIN1の高さ分だけ残存するポリシリコン膜PF1を、ハードマスクHM1をマスクにしてエッチングする。これにより、FINFET形成領域には、フィンFIN1の延在方向と交差する方向に延在し、かつ、フィンFIN1と交差する領域で、フィンFIN1の表面上を跨ぐようにゲート電極G1が形成される。一方、部分空乏型MISFET形成では、ゲート絶縁膜GOX2上にゲート電極G2が形成され、バルク型MISFET形成領域では、ゲート絶縁膜GOX3上にゲート電極G3が形成される。このとき、ゲート電極G1のゲート長は、ゲート電極G2のゲート長よりも小さく、かつ、ゲート電極G2のゲート長は、ゲート電極G3のゲート長よりも小さくなるように形成される。
【0094】
ここで、本実施の形態1の特徴は、ハードマスクHM2とハードマスクHM1を使用してゲート電極G1〜G3を形成している点にある。例えば、酸化シリコン膜からなるハードマスクHM1だけを使用してポリシリコン膜PF1を加工することにより、ゲート電極G1〜G3を形成することが考えられる。しかし、この場合、例えば、ゲート長が最も小さいFINFETのゲート電極G1を精度よく形成することが困難となる。具体的に、FINFETのゲート電極G1のゲート長は、例えば、十数nm程度となるが、この長さは、ゲート電極G1を構成するポリシリコン膜PF1の結晶粒のサイズよりも小さくなる。このように微細化されたゲート電極G1を加工するために、酸化シリコン膜からなるハードマスクHM1だけを使用すると、ゲート電極G1の表面にポリシリコン膜PF1を構成する結晶粒による凹凸(ラフネス)が生じる。つまり、酸化シリコン膜からなるハードマスクHM1だけを使用してポリシリコン膜PF1をエッチングする場合、酸化シリコン膜とポリシリコン膜の選択比が高い状態でエッチングがされるが、この選択性の高いエッチングでは、結晶粒間の粒界にそって化学的なエッチングが進み、結晶粒の粒界に沿った凹凸が形成されてしまうのである。すなわち、酸化シリコン膜からなるハードマスクHM1で最初からポリシリコン膜PF1をエッチングすると、ゲート電極G1の端面に結晶粒の粒界に沿ったラフネス(凹凸)が形成され、微細化されたゲート電極G1の形状が劣化するのである。
【0095】
そこで、本実施の形態1では、フッ素を導入したアモルファスシリコン膜から構成されるハードマスクHM2を使用してポリシリコン膜PF1のエッチングを実施している。まず、ハードマスクHM2としてフッ素を導入したアモルファスシリコン膜を使用することで、ハードマスクHM2を形成した後の熱処理により、アモルファスシリコン膜がポリシリコン膜に結晶化することを防止できる。つまり、アモルファスシリコン膜にフッ素などの不活性イオンの注入を行なうことで、アモルファスシリコン膜の結晶化を抑制することができる。このため、ハードマスクHM2は、アモルファスシリコン膜の状態を維持していることになる。この状態のハードマスクHM2を使用して、ポリシリコン膜PF1をエッチングする場合、アモルファスシリコン膜からなるハードマスクHM2を消費しながら、ポリシリコン膜PF1のエッチングが進むことになる。このとき、第1の利点は、ハードマスクHM2がアモルファスシリコン膜から形成されているので、ハードマスクHM2自体に結晶粒が存在せず、結晶粒の粒界に沿ったラフネスを抑制することができる。つまり、ハードマスクHM2自体のラフネスを小さくすることができる結果、ハードマスクHM2のラフネスが被加工膜であるポリシリコン膜PF1に反映されることを抑制でき、ポリシリコン膜PF1の加工精度を向上することができる。さらに、第2の利点は、ハードマスクHM2がアモルファスシリコン膜から形成されており、被加工膜であるポリシリコン膜PF1との関係で矩形性の高いエッチングが可能となる点である。つまり、ハードマスクHM2は、ポリシリコン膜PF1のエッチングとともにエッチングされることを前提としていることから、このエッチングを酸化シリコン膜とポリシリコン膜の選択性が低い状態で実施することができる。上述したように、酸化シリコン膜とポリシリコン膜の選択性が高い状態でのエッチングでは、ポリシリコン膜PF1の結晶粒界に沿った化学的なエッチングが進みやすい。これに対し、本実施の形態1では、酸化シリコン膜とポリシリコン膜の選択性が低い状態でエッチングを実施することができるので、ポリシリコン膜PF1の結晶粒界に沿った化学的なエッチングを抑制することができ、この結果、ゲート電極G1のラフネスを小さくして加工精度を向上することができるのである。
【0096】
なお、本実施の形態1では、まず、ハードマスクHM2によるポリシリコン膜PF1のエッチングを行なった後、ハードマスクHM1によるポリシリコン膜PF1のエッチングを行なっている。つまり、本実施の形態1では、2層のハードマスクによる2段階のエッチングでポリシリコン膜PF1を加工している。これは、以下に示す理由による。まず、ゲート電極G1の加工精度を向上する観点からは、アモルファスシリコン膜からなるハードマスクHM2でポリシリコン膜PF1をすべて加工することが望ましい。ところが、ハードマスクHM2をマスクとするエッチングは、酸化シリコン膜とポリシリコン膜PF1の選択性を低くした状態で行なわれるため、すべてのポリシリコン膜PF1をハードマスクHM1でエッチングすると、シリコンから構成されているフィンFIN1自体もエッチングされてしまうのである。そこで、フィンFIN1自体が露出するまでは、ハードマスクHM2によるエッチングを実施してゲート電極G1の加工精度を確保しながら、フィンFIN1の上面に形成されているゲート絶縁膜GOX1が露出した後は、ハードマスクHM1によるエッチングに切り替えて、ゲート絶縁膜GOX1に覆われているフィンFIN1自体をエッチングすることなく、ポリシリコン膜PF1を加工しているのである。以上のようにして、本実施の形態1によれば、微細化されたゲート電極G1の加工精度を向上することができる。
【0097】
続いて、図23に示すように、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、FINFET形成領域に形成されているソース領域SR1およびドレイン領域DR1(ゲート電極G1で覆われていないフィンFIN1の一部も含む)にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入することにより、低濃度n型不純物拡散領域(エクステンション領域)EX1を形成する。このとき、フィンFIN1に対して、両側面から斜めイオン注入を実施する。
【0098】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、部分空乏型MISFET形成領域に形成されているゲート電極G2に整合したシリコン層内にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入する。これにより、低濃度n型不純物拡散領域EX2を形成する。さらに、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、バルク型MISFET形成領域に形成されているゲート電極G3に整合したp型ウェルPWL内にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入する。これにより、浅いn型不純物拡散領域EX3を形成する。その後、導入した不純物を活性化するために活性化アニール(熱処理)を実施する。
【0099】
ここで、低濃度n型不純物拡散領域EX1、EX2および浅いn型不純物拡散領域EX3を形成する方法としてイオン注入法を使用するのではなく、ガスクラスタイオンビーム(GCIB:Gas Cluster Ion Beam)を使用してもよい。このガスクラスタイオンビームは、数百個から数万個からなる分子の塊が主に1価に帯電した荷電ビームである。通常のイオンビーム(分子1個に1価の帯電)に比べて分子1個あたりのエネルギーが非常に小さいため、固体表面に衝突した際に固体表面に与える損傷が小さく、また、衝突した際の横方向へのスパッタリング(ラテラルスパッタリング)効果や物質の横移動効果により、固体表面を平坦化することができるという特徴を有している。このとき、pチャネル型MISFETでは、デカボロンクラスタを使用することができるが、nチャネル型MISFETでは、クラスタイオンが存在しないため、中性のカーボンクラスタを使用する。すなわち、nチャネル型MISFETでは、カーボンクラスタでプレ注入し、その後、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を注入することで、プロファイルの均一化が可能となる。
【0100】
なお、図23では図示していないが、パンチスルーを抑制するため、ハロー領域を形成するイオン注入を行なうこともできる。さらに、図23には図示していないが、ソース領域SR1やドレイン領域DR1上にシリコン(Si)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を選択的に成長させることもできる。これにより、ソース領域SR1やドレイン領域DR1を構成するシリコンの体積を増やすことができるので、寄生抵抗を低減することができる効果が得られる。さらに、ソース領域SR1やドレイン領域DR1に単結晶シリコンの体積を増やすことで、イオン注入後も結晶種が残り、アニール後の再結晶化が可能となる。つまり、アニール後のソース領域SR1やドレイン領域DR1に単結晶シリコン領域が多く残ることにより、非晶質構造や多結晶構造よりも寄生抵抗を低減することができる。
【0101】
続いて、図24に示すように、SOI基板の主面の全面に酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2からなる積層膜を形成する。このとき、FINFET形成領域においては、フィンFIN1およびゲート電極G1(ハードマスクHM1も含む)を覆うように積層膜が形成される。同様に、部分空乏型MISFET形成領域では、ゲート電極G2(ハードマスクHM1を含む)を覆うように積層膜が形成され、バルク型MISFET形成領域では、ゲート電極G3(ハードマスクHM1を含む)を覆うように積層膜が形成される。
【0102】
次に、図25に示すように、酸化シリコン膜OX2に対して異方性エッチング(ドライエッチング)を実施する。これにより、FINFET形成領域においては、フィンFIN1の側壁およびゲート電極G1(ハードマスクHM1も含む)の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2を形成することができる。同様に、部分空乏型MISFET形成領域では、ゲート電極G2(ハードマスクHM1も含む)の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が形成され、バルク型MISFET形成領域では、ゲート電極G3(ハードマスクHM1も含む)の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が形成される。
【0103】
その後、図26に示すように、さらに、酸化シリコン膜OX2に対してオーバエッチングを施す。これにより、FINFET形成領域においては、フィンFIN1の側壁に形成されているサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が除去される。そして、ゲート電極G1およびハードマスクHM1の側壁に形成されているサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2も後退し、ゲート電極G1の側壁にだけサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が形成される。このような現象は、フィンFIN1の高さに対して、ゲート電極G1とハードマスクHM1を合わせた高さが充分に高いため生じる。つまり、フィンFIN1の側壁に形成されている酸化シリコン膜OX2を充分に除去しても、ゲート電極G1およびハードマスクHM1の高さがフィンFIN1の高さに比べて充分に高く形成されているので、フィンFIN1の側壁に形成されている酸化シリコン膜OX2を除去するオーバエッチングを実施しても、ゲート電極G1の側壁にはサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が残存するのである。同様に、オーバエッチングを実施しても、部分空乏型MISFET形成領域では、ゲート電極G2の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が残存し、バルク型MISFET形成領域でも、ゲート電極G3の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2が残存する。
【0104】
次に、図27に示すように、サイドウォール状に残存する酸化シリコン膜OX2をマスクにしたエッチングにより、窒化シリコン膜SN1を除去する。窒化シリコン膜SN1の除去には、ドライエッチング(異方性エッチング)、あるいは、ウェットエッチング(等方性エッチング)を使用することができる。これにより、FINFET形成領域においては、フィンFIN1を覆うように形成されていた窒化シリコン膜SN1はすべて除去される。一方、ゲート電極G1の側壁にはサイドウォール状に酸化シリコン膜OX2が形成されているので、この酸化シリコン膜OX2がマスクとなり、ゲート電極G1の側壁には
窒化シリコン膜SN1が残存する。同様に、サイドウォール状に形成された酸化シリコン膜OX2がマスクとなり、部分空乏型MISFET形成領域においては、ゲート電極G2の側壁に窒化シリコン膜SN1が残存し、バルク型MISFET形成領域では、ゲート電極G3の側壁に窒化シリコン膜SN1が残存する。
【0105】
続いて、図28に示すように、残存する酸化シリコン膜OX2および窒化シリコン膜SN1をマスクにしたエッチングにより、酸化シリコン膜OX1を除去する。FINFET形成領域では、フィンFIN1を覆うように形成されている酸化シリコン膜OX1がすべて除去され、ゲート電極G1の側壁は、サイドウォール状に形成されている酸化シリコン膜OX2および窒化シリコン膜SN1がマスクとなり、酸化シリコン膜OX1が残存する。同様に、部分空乏型MISFET形成領域では、ゲート電極G2の側壁に酸化シリコン膜OX1が残存し、バルク型MISFET形成領域では、ゲート電極G3の側壁に酸化シリコン膜OX1が残存する。このとき、酸化シリコン膜OX1のエッチングは、ウェットエッチングで行なわれる。したがって、フィンFIN1を覆うように形成されている酸化シリコン膜OX1を除去しても、フィンFIN1に与えるダメージを抑制できるとともに、フィンFIN1自体のエッチングを抑制することができる。このようにして、本実施の形態1では、フィンFIN1自体をエッチングすることなく、フィンFIN1の側壁に形成されている積層膜を除去することができるとともに、ゲート電極G1〜G3の側壁に、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2からなるサイドウォールSWを形成することができる。
【0106】
ここで、本実施の形態1の特徴は、フィンFIN1の側壁にサイドウォールを形成せず、かつ、ゲート電極G1〜G3の側壁にサイドウォールSWを形成するという特徴的構成を実現するために、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2からなる積層膜を使用することにある。これにより、フィンFIN1自体を消失させることなく、ゲート電極G1〜G3の側壁にサイドウォールSWを形成することができるのである。
【0107】
このように、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2からサイドウォールSWを形成する利点について説明する。第1の利点は、フィンFIN1を直接覆うように形成されている酸化シリコン膜OX1をウェットエッチングで除去することができるため、この酸化シリコン膜OX1とシリコンとの高選択性のエッチングを実現することができ、フィンFIN1自体を消失させることなく、ゲート電極G1〜G3の側壁にサイドウォールSWを形成できる点である。
【0108】
第2の利点は、窒化シリコン膜SN1からなる中間層が、酸化シリコン膜OX2からなる最上層をエッチングする際のエッチングストッパとなることから、高段差部に形成される酸化シリコン膜OX2を除去するためにオーバエッチングを実施しても、フィンFIN1に代表される活性領域を保護することができる点である。
【0109】
さらに、第3の利点は、窒化シリコン膜SN1からなる中間層の下層に酸化シリコン膜OX1からなる最下層が形成されていることから、窒化シリコン膜SN1が直接、フィンFIN1に代表される活性領域と接触することを防止でき、窒化シリコン膜SN1によるストレスやダメージを抑制することができ、トランジスタ性能の低下を防止することができる点である。
【0110】
また、第4の利点としては、酸化シリコン膜OX2からなる最上層のエッチングで大まかなサイドウォール形状を既存のエッチング技術で形成できる点である。本実施の形態1では、例えば、最下層の酸化シリコン膜OX1の膜厚は10nm以下であり、中間層を構成する窒化シリコン膜SN1の膜厚は10nm〜30nmである。そして、最上層の酸化シリコン膜OX2の膜厚は数十nm〜数百nmであることから、膜厚の最も厚い最上層の酸化シリコン膜OX2における異方性エッチングで、積層膜からなるサイドウォールSWの形状をほぼ決定することができる。
【0111】
第5の利点は、フィンFIN1の高さに比べて、ハードマスクHM1の高さを高くした点にある。これにより、フィンFIN1の側壁に形成されている酸化シリコン膜OX2をオーバエッチングで除去しても、ゲート電極G1〜G3の側壁にサイドウォール状の酸化シリコン膜OX2を残存させることができるのである。つまり、フィンFIN1の高さに比べて、ゲート電極G1〜G3の上部に形成されているハードマスクHM1の高さを高くすることにより、ゲート電極G1〜G3の側壁にサイドウォールSWを形成しつつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを形成しないという本実施の形態1における特徴的構成を実現することができるのである。
【0112】
次に、図29に示すように、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、FINFET形成領域に形成されているソース領域SR1およびドレイン領域DR1(ゲート電極G1で覆われていないフィンFIN1の一部も含む)にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入することにより、高濃度n型不純物拡散領域NR1を形成する。このとき、フィンFIN1に対して、両側面から斜めイオン注入を実施する。
【0113】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、部分空乏型MISFET形成領域に形成されているサイドウォールSWに整合したシリコン層内にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入する。これにより、高濃度n型不純物拡散領域NR2を形成する。さらに、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、バルク型MISFET形成領域に形成されているサイドウォールSWに整合したp型ウェルPWL内にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入する。これにより、深いn型不純物拡散領域NR3を形成する。その後、導入した不純物を活性化するために活性化アニール(熱処理)を実施する。
【0114】
ここで、高濃度n型不純物拡散領域NR1、NR2および深いn型不純物拡散領域NR3を形成する方法としてイオン注入法を使用するのではなく、ガスクラスタイオンビーム(GCIB:Gas Cluster Ion Beam)を使用してもよい。
【0115】
本実施の形態1によれば、FINFET形成領域において、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成している一方、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去している。これにより、フィンFIN1の側壁から導電型不純物を高濃度に注入する場合に、サイドウォールSWが邪魔にならないので、均一かつ高濃度な不純物の注入を実施することができる。この結果、本実施の形態1におけるFINFETによれば、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができるのである。つまり、本実施の形態1における特徴は、ゲート電極G1の側壁にはサイドウォールSWを形成することにより、ソース領域SR1とドレイン領域DR1をLDD(Lightly Doped Drain)構造にする一方で、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去することにより、フィンFIN1の表面(側壁および上面)を露出した状態での高濃度の不純物注入を可能としている点にある。これにより、本実施の形態1によれば、フィンFIN1における寄生抵抗の低減を図ることができる顕著な効果を得ることができるのである。
【0116】
続いて、図30に示すように、FINFET形成領域、部分空乏型MISFET形成領域およびバルク型MISFET形成領域を含む全面にコバルト膜を形成した後、熱処理を施す。これにより、FINFET形成領域においては、ソース領域SR1、ドレイン領域DR1および露出しているフィンFIN1の表面にコバルトシリサイド膜CSが形成される。一方、部分空乏型MISFET形成領域においては、高濃度n型不純物拡散領域NR2の表面にコバルトシリサイド膜CSが形成される。さらに、バルク型MISFET形成領域においては、深いn型不純物拡散領域NR3の表面にコバルトシリサイド膜CSが形成される。
【0117】
なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜CSを形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜やプラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして、FINFET形成領域にFINFETを形成し、部分空乏型MISFET形成領域に部分空乏型MISFETを形成することができる。また、バルク型MISFET形成領域にバルク型MISFETを形成することができる。
【0118】
本実施の形態1におけるFINFETでは、FINFET形成領域において、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成している一方、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去している。これにより、サイドウォールSWに阻害されることなく、フィンFIN1の表面に低抵抗なシリサイド膜を形成することができる。この結果、本実施の形態1におけるFINFETによれば、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができるのである。つまり、本実施の形態1における特徴は、ゲート電極G1の側壁にはサイドウォールSWを形成することにより、ソース領域SR1とドレイン領域DR1をLDD(Lightly Doped Drain)構造にする一方で、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去することにより、フィンFIN1の表面(側壁および上面)を露出した状態でのシリサイド膜の形成を可能としている点にある。これにより、本実施の形態1によれば、フィンFIN1における寄生抵抗の低減を図ることができる顕著な効果を得ることができるのである。
【0119】
続いて、図31に示すように、FINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETを形成した半導体基板(基板層1S)上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、FINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETを覆うように形成される。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOSとを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、TEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。なお、オゾンTEOS膜の下層に、例えば、窒化シリコン膜よりなるエッチングストッパ膜を形成してもよい。
【0120】
コンタクト層間絶縁膜CILをTEOS膜から形成する理由は、TEOS膜が下地段差に対する被覆性のよい膜であるからである。コンタクト層間絶縁膜CILを形成する下地は、半導体基板(基板層1S)にFINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETが形成された凹凸のある状態である。つまり、半導体基板(基板層1S)にFINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETが形成されているので、半導体基板(基板層1S)の表面にはゲート電極G1〜G3が形成されて凹凸のある下地となっている。したがって、凹凸のある段差に対して被覆性のよい膜でないと、微細な凹凸を埋め込むことができず、ボイドなどの発生原因となる。そこで、コンタクト層間絶縁膜CILには、TEOS膜が使用される。なぜなら、TEOSを原料とするTEOS膜では、原料であるTEOSが酸化シリコン膜となる前に中間体を作り、成膜表面で移動しやすくなるため、下地段差に対する被覆性が向上するからである。
【0121】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、コンタクト層間絶縁膜CILにコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールは、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、半導体基板(基板層1S)に形成されているFINFET、部分空乏型MISFETおよびバルク型MISFETのソース領域あるいはドレイン領域に達するように加工される。
【0122】
続いて、コンタクト層間絶縁膜CILに形成したコンタクトホールに金属膜を埋め込むことによりプラグPLG1を形成する。具体的には、コンタクトホールを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に、例えば、スパッタリングを使用してバリア導体膜となるチタン/窒化チタン膜(チタン膜とチタン膜上に形成された窒化チタン膜)を形成する。このチタン/窒化チタン膜は、タングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜で、このタングステン膜が構成される際のWF(フッ化タングステン)を還元処理するCVD法において、フッ素アタックがコンタクト層間絶縁膜CILや半導体基板(基板層1S)になされてダメージを与えることを防ぐためのものである。
【0123】
そして、チタン/窒化チタン膜上にタングステン膜を形成する。これにより、コンタクトホールの内壁(側壁および底面)にチタン/窒化チタン膜が形成され、このチタン/窒化チタン膜上でコンタクトホールを埋め込むようにタングステン膜が形成される。その後、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去する。これにより、コンタクトホール内にだけ、チタン/窒化チタン膜とタングステン膜を埋め込んだプラグPLG1を形成することができる。
【0124】
次に、シングルダマシン法を使用して銅配線を形成する工程について説明する。図31に示すように、プラグPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成する。この層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、この酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0125】
そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1にトレンチ(配線溝)WD1を形成する。このトレンチWD1は、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1を貫通して底面がコンタクト層間絶縁膜CILに達するように形成される。これにより、トレンチWD1の底部でプラグPLG1の表面が露出することになる。
【0126】
その後、トレンチWD1を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア導体膜を形成する。具体的に、バリア導体膜は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。言い換えれば、バリア導体膜は、タンタル、チタン、ルテニウム、マンガンのいずれかの金属材料からなる金属材料膜、この金属材料とSi、N、O、Cのいずれかの元素との化合物膜のいずれかの膜から形成することができる。
【0127】
続いて、トレンチWD1の内部および層間絶縁膜IL1上に形成されたバリア導体膜上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解めっき法により銅膜を形成する。この銅膜は、トレンチWD1に埋め込まれるように形成される。この銅膜は、例えば、銅を主体とする膜から形成される。具体的には、銅(Cu)または銅合金(銅(Cu)とアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、In(インジウム)、ランタノイド系金属、アクチノイド系金属などの合金)から形成される。
【0128】
次に、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なバリア導体膜および銅膜をCMP法で除去する。これにより、トレンチWD1にバリア導体膜と銅膜を埋め込んだ配線L1を形成することができる。以上のようにして、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0129】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、サイドウォールSWを、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2からなる積層膜で形成する例について説明したが、本実施の形態2では、サイドウォールSWを、窒化シリコン膜、酸化シリコンおよび窒化シリコン膜から形成する例について説明する。
【0130】
図32は、FINFETを構成するフィンFIN1とゲート電極G1の位置関係を示す図である。図32に示すように、フィンFIN1はX方向に延在している一方、ゲート電極G1はY方向に延在している。そして、ゲート電極G1は、フィンFIN1と交差する領域で、フィンFIN1上を跨るように配置されている。このY方向に延在するゲート電極G1の両側の側壁にはサイドウォールSWが形成されている。本実施の形態2において、サイドウォールSWは、ゲート電極G1の側壁上に形成されている窒化シリコン膜SN1と、この窒化シリコン膜SN1上に形成された酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上に形成された窒化シリコン膜SN2から構成されている。このように本実施の形態2でも、サイドウォールSWをエッチング特性の異なる窒化シリコン膜SN1、SN2と酸化シリコン膜OX1の積層膜から構成することにより、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成しながら、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを残存させないようにすることが可能となる。この結果、本実施の形態2においても、フィンFIN1の側壁から導電型不純物を高濃度に注入する場合に、サイドウォールSWが邪魔にならないので、均一かつ高濃度な不純物の注入を実施することができる。さらに、サイドウォールSWに阻害されずに、フィンFIN1の表面に低抵抗なシリサイド膜を形成することができる。すなわち、本実施の形態2におけるFINFETによれば、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができるのである。窒化シリコン膜SN1と酸化シリコン膜OX1と窒化シリコン膜SN2からサイドウォールSWを形成する本実施の形態2でも、酸化シリコン膜OX1と窒化シリコン膜SN1と酸化シリコン膜OX2からサイドウォールSWを形成する前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0131】
ここで、前記実施の形態1では、窒化シリコン膜SN1からなる中間層の下層に酸化シリコン膜OX1からなる最下層が形成されていることから、窒化シリコン膜SN1が直接、フィンFIN1に代表される活性領域と接触することを防止でき、窒化シリコン膜SN1によるストレスやダメージを抑制することができ、トランジスタ性能の低下を防止することができる利点を有している。つまり、前記実施の形態1では、直接、活性領域に窒化シリコン膜SN1を接触させない構成をとることで、活性領域を保護している。
【0132】
これに対し、本実施の形態2では、窒化シリコン膜SN1をサイドウォールSWの最下層に使用している。このため、本実施の形態2では、ゲート電極G1の側壁に直接窒化シリコン膜SN1が接触することになる。このように本実施の形態2では、ゲート電極G1に直接窒化シリコン膜SN1を接触させている点に特徴がある。
【0133】
近年、MISFETの高性能化を図る技術として歪シリコン技術がある。歪シリコン技術とは、MISFETのチャネル形成領域に歪みに起因した応力を与えることにより、チャネルを流れるキャリア(電子や正孔)の移動度を向上させる技術である。この歪シリコン技術によれば、チャネルを流れるキャリアの移動度を向上させることにより、MISFETの高性能化を実現することができる。
【0134】
歪シリコン技術ではゲート電極G1に応力を発生させており、この応力を発生させる機能を有するのが、上述している窒化シリコン膜SN1である。すなわち、窒化シリコン膜SN1の格子間隔と、ゲート電極G1を構成するシリコンとの格子間隔の差によるストレスを生じさせ、このストレスによってゲート電極G1に跨るように配置されているフィンFIN1(チャネル形成領域)に応力を発生させているのである。
【0135】
図33は、図32のA−A線で切断した断面図であり、フィンFIN1に応力が加わる様子を示す図である。図33に示すように、ゲート電極G1に直接窒化シリコン膜が接触すると、窒化シリコン膜の格子間隔とシリコンの格子間隔の相違に基づき、窒化シリコン膜とシリコンとの界面にストレスが発生し、ストレスに起因した応力が生成される。このことから、ゲート電極G1に覆われたフィンFIN1には、例えば、図33の矢印で示す方向の応力が加わることになる。ゲート電極G1で覆われているフィンFIN1の側面および上面はチャネル領域として機能することから、ゲート電極G1に発生した応力がチャネル領域に歪みを与える。このため、チャネル領域が歪み、チャネル領域を通過するキャリア(電子あるいは正孔)の移動度が向上する。この結果、本実施の形態2によれば、チャネル領域を流れる電流密度の向上を図ることができるのである。
【0136】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、図27〜図29に示すように、最下層に形成されている酸化シリコン膜OX1を除去してサイドウォールSWを形成した後、高濃度n型不純物拡散領域NR1、NR2および深いn型不純物拡散領域NR3を形成している。つまり、酸化シリコン膜OX1を除去した後、イオン注入法を実施することにより、高濃度n型不純物拡散領域NR1、NR2および深いn型不純物拡散領域NR3を形成している。
【0137】
これに対し、本実施の形態3では、最下層に形成されている酸化シリコン膜OX1を残存させながら、イオン注入法を実施して高濃度n型不純物拡散領域NR1、NR2および深いn型不純物拡散領域NR3を形成する例について説明する。
【0138】
図27に示すように、サイドウォールSWを構成する最下層の酸化シリコン膜OX1を除去せずに残存させる。その後、この残存させている酸化シリコン膜OX1を介してイオン注入法を実施する。これにより、イオン注入法で注入される不純物は、酸化シリコン膜OX1を介して注入される。その後、酸化シリコン膜OX1を除去する。このように最下層に形成される酸化シリコン膜OX1は、例えば、10nm程度の膜厚を有しており、薄い膜である、したがって、この酸化シリコン膜OX1をイオン注入法による不純物の注入の際のスルー酸化膜として使用することができるのである。本実施の形態3では、サイドウォールSWを、酸化シリコン膜OX1、窒化シリコン膜SN1および酸化シリコン膜OX2の積層膜から構成するとともに、最下層に形成されている酸化シリコン膜OX1をスルー酸化膜としても使用している点に特徴がある。
【0139】
(実施の形態4)
前記実施の形態1では、フィンFIN1の両側面と上面をチャネル領域として使用するトライゲート構造のFINFETについて説明したが、本発明の技術的思想は、トライゲート構造のFINFETに限らず、例えば、ダブルゲート構造のFINFETにも適用することができる。ダブルゲート構造のFINFETとは、フィンFIN1の両側面をチャネル領域として使用するが、フィンFIN1の上面はチャネル領域として使用しないタイプのFINFETである。
【0140】
このダブルゲート構造のFINFETにおいても、FINFET形成領域において、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去する特徴的構成をとることができる。これにより、ダブルゲート構造のFINFETにおいても、フィンFIN1の側壁から導電型不純物を高濃度に注入する場合に、サイドウォールSWが邪魔にならないので、均一かつ高濃度な不純物の注入を実施することができる。さらに、サイドウォールSWに阻害されることなく、フィンFIN1の表面に低抵抗なシリサイド膜を形成することができる。この結果、本実施の形態4におけるFINFETによれば、フィンFIN1の側面における寄生抵抗の改善を図ることができるのである。
【0141】
このダブルゲート構造のFINFETにおいても、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、フィンFIN1の側壁に形成されるサイドウォールSWを除去するという特徴的構成を実現するために、前記実施の形態1で説明した3層構造のサイドウォールSWを使用することができる。つまり、本実施の形態4におけるダブルゲート構造のFINFETにおいても、前記実施の形態1と同様の製造工程を経ることにより、本発明の特徴的構成を実現することができる。
【0142】
さらに、本実施の形態4におけるダブルゲート構造のFINFETでは、フィンFIN1の上面をチャネル領域として使用しないことから、フィンFIN1上に保護膜となるハードマスクを形成することができる。この結果、単層のサイドウォールを形成する方法であっても、フィンFIN1を保護しながら、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを残さないようにすることが可能となる。以下に、この製造方法について図面を参照しながら簡単に説明する。
【0143】
図34に示すように、前記実施の形態1と同様にして、埋め込み絶縁層BOX上に直方体状のフィンFIN1を形成し、その後、フィンFIN1を跨ぐようにゲート電極G1を形成する。このとき、本実施の形態4では、フィンFIN1の上面をチャネル領域として使用しないため、フィンFIN1上にはパッド酸化膜POX4が形成され、このパッド酸化膜POX4上にハードマスクHM3が形成されている。パッド酸化膜POX4は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ハードマスクHM3は、例えば、窒化シリコン膜から形成されている。
【0144】
次に、図35に示すように、SOI基板の主面の全面に酸化シリコン膜OX1を形成する。これにより、フィンFIN1およびゲート電極G1は、酸化シリコン膜OX1で覆われることになる。
【0145】
続いて、図36に示すように、酸化シリコン膜OX1に対して異方性エッチング(ドライエッチング)を施す。これにより、フィンFIN1の側壁とゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWが形成される。その後、さらに、図37に示すように、酸化シリコン膜OX1のオーバエッチングを実施する。これにより、フィンFIN1の側壁に形成されている酸化シリコン膜OX1が除去される。
【0146】
ここで、本実施の形態4では、フィンFIN1の上部にハードマスクHM3が形成されている。このため、ハードマスクHM3が酸化シリコン膜OX1のオーバエッチングの際の保護膜となる。したがって、酸化シリコン膜OX1のオーバエッチングを実施しても、フィンFIN1はハードマスクHM3により保護されエッチングされることはない。すなわち、本実施の形態4では、フィンFIN1の上面をチャネル領域として使用しないことから、フィンFIN1上にハードマスクHM3を形成することができ、このハードマスクHM3がフィンFIN1をオーバエッチングから保護することになる。このことから、本実施の形態4のようにダブルゲート構造のFINFETでは、単層膜からなるサイドウォールSWを形成しても、フィンFIN1を消失させることなく、ゲート電極G1の側壁にサイドウォールSWを形成し、かつ、フィンFIN1の側壁にサイドウォールSWを残さないようにすることができる。
【0147】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 CPU
1S 基板層
2 RAM
3 アナログ回路
4 EEPROM
5 フラッシュメモリ
6 I/O回路
BD ボディ領域
BOX 埋め込み絶縁層
CHP 半導体チップ
CIL コンタクト層間絶縁膜
CS コバルトシリサイド膜
DMY ダミー膜
DR1 ドレイン領域
DR2 ドレイン領域
DR3 ドレイン領域
EPI エピタキシャル層
EX1 低濃度n型不純物拡散領域
EX2 低濃度n型不純物拡散領域
EX3 浅いn型不純物拡散領域
FIN1 フィン
FR1 レジスト膜
FR2 レジスト膜
FR3 レジスト膜
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
G3 ゲート電極
GOX1 ゲート絶縁膜
GOX2 ゲート絶縁膜
GOX3 ゲート絶縁膜
HM1 ハードマスク
HM2 ハードマスク
HM3 ハードマスク
IL1 層間絶縁膜
L1 第1層配線
NR1 高濃度n型不純物拡散領域
NR2 高濃度n型不純物拡散領域
NR3 深いn型不純物拡散領域
OX1 酸化シリコン膜
OX2 酸化シリコン膜
PLG1 プラグ
POX1 パッド酸化膜
POX2 パッド酸化膜
POX3 パッド酸化膜
POX4 パッド酸化膜
PF1 ポリシリコン膜
PWL p型ウェル
SIL シリコン層
SN1 窒化シリコン膜
SN2 窒化シリコン膜
SR1 ソース領域
SR2 ソース領域
SR3 ソース領域
SW サイドウォール
SWF サイドウォール
WD1 トレンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの第1領域に形成された第1MISFETを備え、
前記第1MISFETは、
(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層とからなるSOI基板と、
(b)前記半導体層を加工して形成され、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンと、
(c)前記半導体層を加工して形成され、前記フィンの一端と接続されるように形成された第1ソース領域と、
(d)前記半導体層を加工して形成され、前記フィンの他端と接続されるように形成された第1ドレイン領域と、
(e)前記フィンの表面上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(f)前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように形成された第1ゲート電極とを有する半導体装置であって、
前記第1ゲート電極の側壁にはサイドウォールが形成されている一方、前記フィンの側壁にはサイドウォールが形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート電極の側壁に形成されている前記サイドウォールは、積層膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記積層膜は、第1酸化シリコン膜と、前記第1酸化シリコン膜上に形成された窒化シリコン膜と、前記窒化シリコン膜上に形成された第2酸化シリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記積層膜は、第1窒化シリコン膜と、前記第1窒化シリコン膜上に形成された酸化シリコン膜と、前記酸化シリコン膜上に形成された第2窒化シリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート電極上に第1絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜の高さは、前記フィンの高さよりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置であって、
さらに、前記半導体チップの第2領域に第2MISFETが形成され、前記半導体チップの第3領域に第3MISFETが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置であって、
前記第2MISFETは、
(g)前記基板層と、前記基板層上に形成された前記埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された前記半導体層とからなる前記SOI基板と、
(h)前記SOI基板の前記半導体層上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(i)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
(j)前記半導体層内に形成された第2ソース領域と、
(k)前記半導体層内に形成された第2ドレイン領域とを有し、
前記第3MISFETは、
(l)前記半導体層と前記埋め込み絶縁層を除去することにより露出した前記基板層と、
(m)前記基板層上に形成された第3ゲート絶縁膜と、
(n)前記第3ゲート絶縁膜上に形成された第3ゲート電極と、
(o)前記基板層内に形成された第3ソース領域と、
(p)前記基板層内に形成された第3ドレイン領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記第2ゲート電極の側壁および前記第3ゲート電極の側壁にも前記サイドウォールが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記第2ゲート絶縁膜の膜厚は前記第3ゲート絶縁膜の膜厚よりも薄く、
前記第2ゲート電極のゲート長は前記第3ゲート電極のゲート長よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記第1MISFETはSRAMに使用され、前記第2MISFETはロジック回路に使用され、前記第3MISFETは入出力回路に使用されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層からなるSOI基板を用意する工程と、
(b)前記SOI基板の第1領域に第1MISFETを形成する工程とを備え、
前記(b)工程は、
(b1)前記SOI基板の前記半導体層を加工することにより、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンと、前記フィンの一端と接続する第1ソース領域と、前記フィンの他端と接続する第1ドレイン領域とを形成する工程と、
(b2)前記フィンの表面上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b3)前記フィンを形成した前記SOI基板上に前記フィンを覆う第1導体膜を形成する工程と、
(b4)前記第1導体膜上にハードマスク膜を形成する工程と、
(b5)前記ハードマスク膜をパターニングする工程と、
(b6)パターニングした前記ハードマスク膜をマスクにして前記第1導体膜を加工することにより、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される第1ゲート電極を形成する工程と、
(b7)前記第1ゲート電極から露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第2ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程と、
(b8)前記(b7)工程後、前記SOI基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(b9)前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(b10)前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
(b11)前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜が除去されるまで、前記第3絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜を除去する工程と、
(b12)残存する前記第3絶縁膜をマスクにして前記第2絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜と前記第2絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第2絶縁膜を除去する工程と、
(b13)残存する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜をマスクにして前記第1絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を残存させて、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜からなるサイドウォールを形成しつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第1絶縁膜を除去する工程と、
(b14)前記サイドウォールから露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(b11)工程で実施されるエッチングは異方性エッチングであるドライエッチングであり、
前記(b12)工程で実施されるエッチングはドライエッチングあるいはウェットエッチングであり、
前記(b13)工程で実施されるエッチングは等方性エッチングであるウェットエッチングであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1絶縁膜は酸化シリコン膜であり、前記第2絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第3絶縁膜は酸化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第2絶縁膜は酸化シリコン膜であり、前記第3絶縁膜は窒化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(b4)工程で形成する前記ハードマスク膜は多層膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
前記SOI基板の前記半導体層はシリコン層であり、
前記第1導体膜は第1ポリシリコン膜であり、
前記ハードマスク膜は酸化シリコン膜と前記酸化シリコン膜上に形成された第2ポリシリコン膜から形成されており、
前記(b6)工程は、パターニングされた前記第2ポリシリコン膜をマスクにして、前記第2ポリシリコン膜が無くなり、かつ、前記フィンの表面が露出するまで、前記第1導体膜を加工し、その後、パターニングされた前記酸化シリコン膜をマスクにして、前記第1導体膜をさらに加工することより、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される前記第1ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
前記SOI基板の前記半導体層はシリコン層であり、
前記第1導体膜は第1ポリシリコン膜であり、
前記ハードマスク膜は酸化シリコン膜と前記酸化シリコン膜上に形成され、フッ素が添加された第1アモルファスシリコン膜から形成されており、
前記(b6)工程は、パターニングされた前記第1アモルファスシリコン膜をマスクにして、前記第1アモルファスポリシリコン膜が無くなり、かつ、前記フィンの表面が露出するまで、前記第1導体膜を加工し、その後、パターニングされた前記酸化シリコン膜をマスクにして、前記第1導体膜をさらに加工することより、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される前記第1ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
さらに、前記(b14)工程後、前記サイドウォールから露出している前記フィンの表面と、前記第1ソース領域の表面および前記第2ドレイン領域の表面にシリサイド膜を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項12記載の半導体装置の製造方法であって、
さらに、前記(b6)工程後、前記第1ゲート電極の上面を化学的機械的研磨法で平坦化する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層からなるSOI基板を用意する工程と、
(b)前記SOI基板の第1領域に第1MISFETを形成し、前記SOI基板の第2領域に第2MISFETを形成し、前記SOI基板の第3領域に第3MISFETを形成する工程とを備え、
前記(b)工程は、
(b1)前記SOI基板の前記第3領域に形成されている前記半導体層と前記埋め込み絶縁層を除去して、前記第3領域において前記基板層を露出する工程と、
(b2)前記第3領域に露出している前記基板層上にエピタキシャル層を形成し、前記第1領域の前記半導体層の表面と、前記第2領域の前記半導体層の表面と、前記第3領域の前記エピタキシャル層の表面とを揃える工程と、
(b3)前記SOI基板の前記第1領域に形成されている前記半導体層を加工することにより、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンと、前記フィンの一端と接続する第1ソース領域と、前記フィンの他端と接続する第1ドレイン領域とを形成する工程と、
(b4)前記第1領域における前記フィンの表面上に第1ゲート絶縁膜を形成し、前記第2領域における前記半導体層上に第2ゲート絶縁膜を形成し、前記第3領域における前記基板層上に第3ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b5)前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域を覆う第1導体膜を形成する工程と、
(b6)前記第1導体膜上にハードマスク膜を形成する工程と、
(b7)前記ハードマスク膜をパターニングする工程と、
(b8)パターニングした前記ハードマスク膜をマスクにして前記第1導体膜を加工することにより、前記第1領域では、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される第1ゲート電極を形成し、前記第2領域では、前記第2ゲート絶縁膜上に第2ゲート電極を形成し、前記第3領域では、前記第3ゲート絶縁膜上に第3ゲート電極を形成する工程と、
(b9)前記第1領域では、前記第1ゲート電極から露出する前記フィン、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域に導電型不純物を導入し、前記第2領域では、前記第2ゲート電極に整合して前記半導体層内に導電型不純物を導入し、前記第3領域では、前記第3ゲート電極に整合して前記基板層内に導電型不純物を導入する工程と、
(b10)前記(b9)工程後、前記SOI基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(b11)前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(b12)前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
(b13)前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜が除去されるまで、前記第3絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁、前記第2ゲート電極の側壁および前記第3ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜を除去する工程と、
(b14)残存する前記第3絶縁膜をマスクにして前記第2絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁、前記第2ゲート電極の側壁および前記第3ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜と前記第2絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第2絶縁膜を除去する工程と、
(b15)残存する前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜をマスクにして前記第1絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁、前記第2ゲート電極の側壁および前記第3ゲート電極の側壁にそれぞれ前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を残存させて、前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜からなるサイドウォールを形成する一方、前記フィンの側壁に形成されている前記第1絶縁膜を除去する工程と、
(b16)前記第1領域において、前記第1ゲート電極の側壁に形成されている前記サイドウォールから露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程と、
(b17)前記第2領域において、前記第2ゲート電極の側壁に形成されている前記サイドウォールに整合した前記半導体層内に導電型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程と、
(b18)前記第3領域において、前記第3ゲート電極の側壁に形成されている前記サイドウォールに整合した前記基板層内に導電型不純物を導入することにより、第3ソース領域および第3ドレイン領域を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
(a)基板層と、前記基板層上に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層上に形成された半導体層からなるSOI基板を用意する工程と、
(b)前記SOI基板の第1領域に第1MISFETを形成する工程とを備え、
前記(b)工程は、
(b1)前記SOI基板の前記半導体層を加工することにより、第1方向に長辺を有する直方体状のフィンと、前記フィンの一端と接続する第1ソース領域と、前記フィンの他端と接続する第1ドレイン領域とを形成する工程と、
(b2)前記フィンの表面上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b3)前記フィンを形成した前記SOI基板上に前記フィンを覆う第1導体膜を形成する工程と、
(b4)前記第1導体膜上にハードマスク膜を形成する工程と、
(b5)前記ハードマスク膜をパターニングする工程と、
(b6)パターニングした前記ハードマスク膜をマスクにして前記第1導体膜を加工することにより、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、かつ、前記フィンと交差する領域で、前記第1ゲート絶縁膜を介して前記フィンの表面上を跨ぐように配置される第1ゲート電極を形成する工程と、
(b7)前記第1ゲート電極から露出している前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第2ドレイン領域に導電型不純物を導入する工程と、
(b8)前記(b7)工程後、前記SOI基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(b9)前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(b10)前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
(b11)前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜が除去されるまで、前記第3絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第3絶縁膜を除去する工程と、
(b12)残存する前記第3絶縁膜をマスクにして前記第2絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第3絶縁膜と前記第2絶縁膜を残存させつつ、前記フィンの側壁に形成されている前記第2絶縁膜を除去する工程と、
(b13)前記(b8)工程で形成した前記第1絶縁膜をすべて残存させることにより、前記第1ゲート電極の側壁に前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜からなるサイドウォールを形成し、かつ、前記フィンの表面を前記第1絶縁膜で覆う状態を維持する工程と、
(b14)前記サイドウォールで覆われていない前記フィンと、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域に前記第1絶縁膜を介して導電型不純物を導入する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−54718(P2011−54718A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201594(P2009−201594)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】