説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】サリサイド構造を有するMIS型電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡を防止する。
【解決手段】ゲート電極175上にはシリサイド層230が形成されている。シリサイド層230の上面は、シリサイド層230の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端におけるシリサイド層230の上面の高さは、オフセットスペーサ180の高さ以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、特に、サリサイド構造を有するMIS型電界効果トランジスタ(Metal-Insulator-Semiconductor Field Effect Transistor :MISFET)を備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、MIS型電界効果トランジスタの微細化が進み、ゲート長が短く(例えば30nm程度に)なると共にゲート絶縁膜の厚さは薄く(例えば2nm程度に)なる傾向にある。
【0003】
また、トランジスタの駆動能力改善のためにゲート電極全体及びソース・ドレイン領域表面を覆うようにストレス付与膜が形成されるようになってきている。特に、ゲート電極側面上に形成された酸化膜よりなるL字型サイドウォールスペーサとこのL字型サイドウォールスペーサを覆うように形成された窒化膜よりなる外側サイドウォールスペーサとからなる積層サイドウォールスペーサのうち、外側サイドウォールスペーサを除去してからストレス付与膜を形成することにより、チャネル方向に効果的にストレスを与えるディスポーザブルサイドウォールスペーサプロセスが採用されつつある。
【0004】
さらに、トランジスタを構成するゲート電極やソース・ドレイン領域となる高濃度不純物拡散層の低抵抗化のために、ゲート電極やソース・ドレイン領域を覆うように金属(例えばTi、Co、Ni等)膜を成膜して熱処理を行うことにより当該金属とシリコンとを反応させた後、未反応金属を除去することによって、ゲート電極上やソース・ドレイン領域上に金属−Si反応膜(シリサイド層)を形成するサリサイド工程が用いられる傾向にある。
【0005】
以下、ディスポーザブルサイドウォールスペーサプロセス及びサリサイド工程を採用した従来の半導体装置の製造方法の一例(例えば特許文献1参照)について、図8(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0006】
まず、図8(a)に示すように、公知技術を用いてシリコンよりなる半導体基板10内にp型井戸拡散層11を形成した後、半導体基板10上にゲート絶縁膜12を介してゲート電極13を形成する。次に、ゲート電極13上を含む半導体基板10上の全面にシリコン窒化膜を形成した後、当該シリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行うことにより、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ14を形成する。次に、半導体基板10の表面部におけるゲート電極13から見てオフセットスペーサ14の外側にn型不純物を注入することによってn型エクステンション領域15を形成する。次に、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ14を挟んでシリコン酸化膜よりなり且つL字断面形状を持つL字型サイドウォールスペーサ16を形成した後、L字型サイドウォールスペーサ16の外側面(オフセットスペーサ14の反対側の側面)及び底面(平坦な底部の上面)を覆うようにシリコン窒化膜よりなる外側サイドウォールスペーサ17を形成する。次に、半導体基板10の表面部におけるゲート電極13から見てサイドウォールスペーサ16及び17の外側にn型不純物を注入することによってn型ソース・ドレイン領域18を形成する。ここで、n型ソース・ドレイン領域18は、n型エクステンション領域15よりも深く形成されている。
【0007】
次に、図8(b)に示すように、n型エクステンション領域15及びn型ソース・ドレイン領域18にそれぞれ含まれているn型不純物を活性化させるための熱処理を行う。これにより、n型エクステンション領域15中のn型不純物がゲート電極13の端部とオーバーラップするように拡散すると共に、n型ソース・ドレイン領域18中のn型不純物がL字型サイドウォールスペーサ16とオーバーラップするように拡散する。次に、外側サイドウォールスペーサ17をエッチングによって除去する。
【0008】
次に、半導体基板10上にゲート電極13の頂部及びn型ソース・ドレイン領域18の表面部を覆うように金属膜(図示省略)を形成した後、当該金属膜中の金属とゲート電極13の頂部及びn型ソース・ドレイン領域18の表面部のそれぞれに含まれるシリコンとを熱処理によって反応させ、その後、未反応の金属膜を除去する。これにより、図8(c)に示すように、ゲート電極13上に第1のシリサイド層19が形成されると共にn型ソース・ドレイン領域18上に第2のシリサイド層20が形成される。その後、半導体基板10上の全面にストレッサとして機能するバッファ層21を堆積した後、周知の技術によって、バッファ層21上に層間絶縁膜22を形成し、その後、層間絶縁膜22の表面を平坦化する。次に、層間絶縁膜22及びバッファ層21に、n型ソース・ドレイン領域18に達するコンタクトホールを形成した後、当該コンタクトホールの壁面上及び底面上にバリアメタル23を形成し、その後、当該コンタクトホールを金属膜24によって埋め込む。これにより、バリアメタル23及び金属膜24からなり且つn型ソース・ドレイン領域18と接続するコンタクトプラグ25が形成される。その後、コンタクトプラグ25上を含む層間絶縁膜22上に導電膜を形成した後、当該導電膜をパターニングすることにより、コンタクトプラグ25と接続する配線26を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−049166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ディスポーザブルサイドウォールスペーサプロセス及びサリサイド工程を採用した前述の従来の半導体装置の製造方法においては、酸化膜よりなるL字型サイドウォールスペーサの高さと比較してゲート電極の高さが高くなり、その状態でサリサイド工程を実施するため、ゲート電極上に形成されるシリサイド層が突出した形状を有するようになる。このため、ゲート電極近傍に形成されるコンタクトとゲート電極との間の短絡マージンが減少してしまうという問題が生じる。
【0011】
具体的には、図8(b)に示すように、外側サイドウォールスペーサ17をエッチングによって除去した際に、オフセットスペーサ14及びL字型サイドウォールスペーサ16のそれぞれの上部も除去されてしまう。その結果、ゲート電極13の上部はオフセットスペーサ14やL字型サイドウォールスペーサ16の高さを超えて上方に突出してしまう。このため、図8(c)に示すように、サリサイド工程でゲート電極13上にサリサイド構造(シリサイド層19)を形成した際に、オフセットスペーサ14やL字型サイドウォールスペーサ16からのシリサイド層19の突出量はさらに大きくなってしまう。
【0012】
一方、ゲート電極13上のシリサイド層19の突き出しが大きくなるほど、ゲート電極13とコンタクトプラグ25との間の短絡マージンは減少する。また、コンタクトプラグ25のテーパー形状の角度(基板法線方向に対するコンタクトプラグ25の側壁面の傾き)が大きいほど、短絡マージンは小さい。その結果、コンタクトホール開口時の露光工程においてアライメントのズレが大きい場合には、図9に示すように、ゲート電極13上のシリサイド層19とコンタクトプラグ25との間で短絡が生じてしまう。
【0013】
前記に鑑み、本発明は、サリサイド構造を有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置において、ゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、基板上に第1のMIS型電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、前記第1のMIS型電界効果トランジスタは、前記基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1のオフセットスペーサと、前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に形成された第1のエクステンション領域と、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサを挟んで形成された第1のサイドウォールスペーサと、前記基板における前記第1のサイドウォールスペーサの側方及び下方に形成された第1のソース・ドレイン領域とを備え、前記第1のゲート電極上にはシリサイド層が形成されており、前記シリサイド層の上面は、前記シリサイド層の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記シリサイド層の上面の高さは、前記第1のオフセットスペーサの高さ以下である。
【0015】
尚、本願において、基板は半導体基板であってよいし、又は半導体層を表面部に有する絶縁性基板等であってもよい。
【0016】
本発明に係る半導体装置によると、第1のゲート電極上に形成されたシリサイド層の上面は、シリサイド層の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端におけるシリサイド層の上面の高さは、第1のオフセットスペーサの高さ以下である。このため、例えば、テーパー形状のソース・ドレインコンタクトの形成においてアライメントずれが生じたような場合にも、シリサイド層を介した第1のゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡を防止することができる。
【0017】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のゲート電極の上面は、前記第1のゲート電極の中央から両端に向けて低くなっていてもよい。このようにすると、第1のゲート電極上に形成されるシリサイド層の上面も、シリサイド層の中央から両端に向けて低くなるので、前述の効果を確実に得ることができる。
【0018】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のソース・ドレイン領域上にシリサイド層が形成されていてもよい。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のサイドウォールスペーサは、L字型サイドウォールスペーサであってもよい。この場合、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサ及び前記L字型サイドウォールスペーサを挟んで外側サイドウォールスペーサが形成されていてもよい。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように、ストレッサとして機能するバッファ層が形成されていてもよい。このようにすると、トランジスタの駆動能力を改善することができる。
【0021】
本発明に係る半導体装置において、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように層間絶縁膜が形成されており、前記層間絶縁膜中に前記第1のソース・ドレイン領域と接続するようにコンタクトプラグが形成されていてもよい。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、前記基板上に第2のMIS型電界効果トランジスタをさらに有しており、前記第2のMIS型電界効果トランジスタは、前記基板上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2のオフセットスペーサと、前記基板における前記第2のオフセットスペーサの側方及び下方に形成された第2のエクステンション領域と、前記第2のゲート電極の側面上に前記第2のオフセットスペーサを挟んで形成された第2のサイドウォールスペーサと、前記基板における前記第2のサイドウォールスペーサの側方及び下方に形成された第2のソース・ドレイン領域とを備え、前記第2のゲート電極上及び前記第2のソース・ドレイン領域上にはシリサイド層は形成されておらず、前記第2のゲート電極の上面は、前記第2のゲート電極の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記第2のゲート電極の上面の高さは、前記第2のオフセットスペーサの高さ以下であってもよい。このようにすると、サリサイド構造を有するMISFETとサリサイド構造のないMISFETとを同一基板上に持ち、且つ前述の効果を奏する半導体装置を得ることができる。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、前記基板上に形成された素子分離領域と、前記素子分離領域上に形成されており、且つ前記第1のゲート電極と同一材料からなる抵抗体と、前記抵抗体の側面上に形成された第3のオフセットスペーサとをさらに備え、前記抵抗体の上面は、前記抵抗体の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記抵抗体の上面の高さは、前記第3のオフセットスペーサの高さ以下であってもよい。このようにすると、サリサイド構造を有するMISFETと抵抗体とを同一基板上に持ち、且つ前述の効果を奏する半導体装置を得ることができる。
【0024】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に第1のMIS型電界効果トランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、前記基板上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成する工程(a)と、前記第1のゲート電極の上面が前記第1のゲート電極の中央から両端に向けて低くなるように前記第1のゲート電極を加工する工程(b)と、前記工程(b)の後、前記第1のゲート電極の側面上に第1のオフセットスペーサを形成する工程(c)と、前記第1のゲート電極の中央における上面の高さが前記第1のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記第1のゲート電極を加工する工程(d)と、前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に第1のエクステンション領域を形成する工程(e)と、前記工程(e)の後、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサを挟んで第1のサイドウォールスペーサを形成する工程(f)と、前記基板における前記第1のサイドウォールスペーサの側方及び下方に第1のソース・ドレイン領域を形成する工程(g)と、前記工程(g)の後、前記第1のゲート電極上にシリサイド層を形成する工程(h)とを備え、前記シリサイド層の上面は、前記シリサイド層の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記シリサイド層の上面の高さは、前記第1のオフセットスペーサの高さ以下である。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、第1のゲート電極の上面が第1のゲート電極の中央から両端に向けて低くなり、且つ第1のゲート電極の中央における上面の高さが第1のオフセットスペーサの高さ以下になるように、第1のゲート電極を加工してから、サリサイド工程を実施する。このため、第1のゲート電極上に形成されるシリサイド層の第1のオフセットスペーサからの突き出し量を低減できると共に当該シリサイド層の横広がりも抑制することができるので、第1のゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡マージンを十分に確保でき、それにより、両者の短絡を防止することができる。
【0026】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(h)は、前記第1のソース・ドレイン領域上にシリサイド層を形成する工程を含んでいてもよい。
【0027】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第1のサイドウォールスペーサは、L字型サイドウォールスペーサであり、前記工程(f)と前記工程(g)との間に、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサ及び前記L字型サイドウォールスペーサを挟んで外側サイドウォールスペーサを形成する工程をさらに備えていてもよい。この場合、前記工程(g)の後に、前記外側サイドウォールスペーサを除去する工程をさらに備えていてもよい。
【0028】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(h)の後に、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように、ストレッサとして機能するバッファ層を形成する工程(i)をさらに備えていてもよい。このようにすると、トランジスタの駆動能力を改善することができる。
【0029】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(h)の後に、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜中に前記第1のソース・ドレイン領域と接続するようにコンタクトプラグを形成する工程とをさらに備えていてもよい。
【0030】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記半導体装置は、前記基板上に第2のMIS型電界効果トランジスタをさらに有しており、前記工程(a)は、前記基板上に第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程を含み、前記工程(b)は、前記第2のゲート電極の上面が前記第2のゲート電極の中央から両端に向けて低くなるように前記第2のゲート電極を加工する工程を含み、前記工程(c)は、前記第2のゲート電極の側面上に第2のオフセットスペーサを形成する工程を含み、前記工程(d)は、前記第2のゲート電極の中央における上面の高さが前記第2のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記第2のゲート電極を加工する工程を含み、前記工程(e)は、前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に第1のエクステンション領域を形成する工程を含み、前記工程(f)は、前記第2のゲート電極の側面上に前記第2のオフセットスペーサを挟んで第2のサイドウォールスペーサを形成する工程を含み、前記工程(g)は、前記基板における前記第2のサイドウォールスペーサの側方及び下方に第2のソース・ドレイン領域を形成する工程を含み、前記工程(g)と前記工程(h)との間に、前記基板上に前記第2のMIS型電界効果トランジスタを覆うようにシリサイド化防止絶縁膜を形成する工程をさらに備え、前記工程(h)は、前記シリサイド化防止絶縁膜をマスクとして、前記第1のゲート電極上に前記シリサイド層を選択的に形成する工程を含んでいてもよい。このようにすると、サリサイド構造を有するMISFETとサリサイド構造のないMISFETとを同一基板上に持ち、且つ前述の効果を奏する半導体装置を得ることができる。
【0031】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記工程(a)の前に、前記基板上に素子分離領域を形成する工程をさらに備え、前記工程(a)は、前記素子分離領域上に、前記第1のゲート電極と同一材料からなる抵抗体を形成する工程を含み、前記工程(b)は、前記抵抗体の上面が前記抵抗体の中央から両端に向けて低くなるように前記抵抗体を加工する工程を含み、前記工程(c)は、前記抵抗体の側面上に第3のオフセットスペーサを形成する工程を含み、前記工程(d)は、前記抵抗体の中央における上面の高さが前記第3のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記抵抗体を加工する工程を含み、前記シリサイド化防止絶縁膜は前記抵抗体を覆うように形成されていてもよい。このようにすると、サリサイド構造を有するMISFETと抵抗体とを同一基板上に持ち、且つ前述の効果を奏する半導体装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、サリサイド構造を有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置において、ゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】図6(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び(b)は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】図9は従来の半導体装置の製造方法における問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体装置について、n型MIS型電界効果トランジスタ(NMISFET)を有する半導体装置を例として、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の半導体装置の断面図である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板125における素子分離領域140に囲まれたシリサイド化NMISFET領域100及び非シリサイド化NMISEFT領域110、並びに素子分離領域140に位置する非シリサイド化抵抗体領域120を有している。
【0036】
シリサイド化NMISFET領域100においては、素子分離領域140に囲まれた半導体基板125にp型井戸(ウェル)拡散層130が形成されている。また、半導体基板125上にゲート絶縁膜150を介して、例えばn型不純物が注入されたポリシリコンからなるゲート電極175が形成されている。ゲート電極175の上面は、ゲート電極175の中央から両端に向けて低くなっている。言い換えると、ゲート電極175は凸型の断面形状を有している。ゲート電極175の側面上にはオフセットスペーサ180が形成されている。また、ゲート電極175の側面上にはオフセットスペーサ180を挟んで、L字形状の断面を持つL字型サイドウォールスペーサ200が形成されている。シリサイド化NMISFET領域100の半導体基板125におけるオフセットスペーサ180の側方及び下方にはn型エクステンション領域190が形成されている。また、シリサイド化NMISFET領域100の半導体基板125におけるL字型サイドウォールスペーサ200の側方(オフセットスペーサ180の反対側)及び下方にはn型ソース・ドレイン領域220が形成されている。ゲート電極175上には第1の金属シリサイド層230が形成されていると共にn型ソース・ドレイン領域220上には第2の金属シリサイド層235が形成されている。第1の金属シリサイド層230の上面は、第1の金属シリサイド層230の中央から両端に向けて低くなっている。言い換えると、第1の金属シリサイド層230は、凸型の断面形状を有している。ここで、第1の金属シリサイド層230の両端における上面の高さは、オフセットスペーサ180の高さ以下である。
【0037】
また、シリサイド化NMISFET領域100の半導体基板125上には、第1の金属シリサイド層230、オフセットスペーサ180、L字型サイドウォールスペーサ200及び第2の金属シリサイド層235を覆うように、半導体基板125に応力を与えるバッファ層240が形成されている。これにより、MISFETの駆動能力を改善することができる。バッファ層240は例えばシリコン窒化膜からなる。バッファ層240上には、微細加工されたゲート電極同士の間でも高い埋め込み性を発揮する絶縁膜、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜250が形成されている。層間絶縁膜250及びバッファ層240中には、第2の金属シリサイド層235つまりn型ソース・ドレイン領域220と接続するようにコンタクトプラグ270が形成されている。コンタクトプラグ270は、層間絶縁膜250及びバッファ層240を貫通するように形成されたコンタクトホールの壁面及び底面を覆うバリアメタル膜260と、当該バリアメタル膜260を挟んで当該コンタクトホールを埋めるように形成された金属膜265とからなる。層間絶縁膜250上には、コンタクトプラグ270と接続するように配線280が形成されている。尚、層間絶縁膜250及びバッファ層240に、ゲート電極175と接続するコンタクトプラグが形成されていてもよい。
【0038】
また、シリサイド化NMISFET領域100との間に素子分離領域140を介して設けられた非シリサイド化NMISFET領域110においては、以上に説明したシリサイド化NMISFET領域100の構成要素うち、ゲート電極175上の第1の金属シリサイド層230とn型ソース・ドレイン領域220上の第2の金属シリサイド層235とを除いた構成要素が形成されている。尚、非シリサイド化NMISFET領域110のゲート電極175の上面は、当該ゲート電極175の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端におけるゲート電極175の上面の高さは、オフセットスペーサ180の高さ以下である。また、非シリサイド化NMISFET領域110及び非シリサイド化抵抗体領域120においては、前述のバッファ層240の下側にシリサイド化防止絶縁膜225が形成されている。
【0039】
また、素子分離領域140に位置する非シリサイド化抵抗体領域120においては、素子分離領域140上に、シリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175と同一材料(本実施形態ではポリシリコン)からなり且つ抵抗体として機能するゲート電極175が形成されている。非シリサイド化抵抗体領域120のゲート電極175の上面も、当該ゲート電極175の中央から両端に向けて低くなっている。言い換えると、非シリサイド化抵抗体領域120のゲート電極175も凸型の断面形状を有している。また、非シリサイド化抵抗体領域120のゲート電極175の両端における上面の高さは、オフセットスペーサ180の高さ以下である。また、非シリサイド化抵抗体領域120のゲート電極175の側面上にもオフセットスペーサ180を挟んで、L字形状の断面を持つL字型サイドウォールスペーサ200が形成されている。さらに、非シリサイド化抵抗体領域120の半導体基板125上には、ゲート電極175、オフセットスペーサ180、L字型サイドウォールスペーサ200及び素子分離領域140を覆うようにシリサイド化防止絶縁膜225、前述のバッファ層240及び前述の層間絶縁膜250が形成されている。
【0040】
以上に説明した本実施形態の半導体装置によると、シリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175上に形成された第1の金属シリサイド層230の上面は、第1の金属シリサイド層230の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における第1の金属シリサイド層230の上面の高さは、オフセットスペーサ180の高さ以下である。このため、例えばテーパー形状を有するコンタクトプラグ(ソース・ドレインコンタクト)270の形成においてアライメントずれが生じたような場合にも、第1の金属シリサイド層230を介したゲート電極175とコンタクトプラグ270との間の短絡を防止することができる。
【0041】
尚、本実施形態において、各領域100、110、120のゲート電極175の側面上にオフセットスペーサ180及びL字型サイドウォールスペーサ200を挟んで外側サイドウォールスペーサが形成されていてもよい。
【0042】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、NMISFETを有する半導体装置の製造方法を例として、図面を参照しながら説明する。図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)、及び図7(a)、(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0043】
まず、図2(a)に示すように、例えばシリコンよりなる半導体基板125上に素子分離領域140を形成することにより、シリサイド化NMISFET領域100と、非シリサイド化NMISEFT領域110と、素子分離領域140に位置する非シリサイド化抵抗体領域120とを区画する。次に、半導体基板125内にp型不純物(例えばホウ素(B))をドーズ量1×1013/cm2 程度注入することによって、シリサイド化NMISFET領域100及び非シリサイド化NMISEFT領域110のそれぞれにp型井戸拡散層130を形成する。次に、半導体基板125上におけるシリサイド化NMISFET領域100及び非シリサイド化NMISEFT領域110のそれぞれに例えば厚さ0.5nm〜4nm程度の熱酸化膜よりなるゲート絶縁膜150を形成した後、ゲート絶縁膜150上を含む半導体基板125上の全面に、例えば厚さ80nm〜150nm程度のポリシリコン膜160を形成する。尚、ゲート絶縁膜150となる熱酸化膜(SiO2 )の形成には、例えばISSG(In Situ Steam Generation)、RTO(Rapid Thermal Oxidation )、又は酸化炉を用いた熱酸化等を用いてもよい。
【0044】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜160にn型不純物165(例えばリン(P)又は砒素(As))をドーズ量1×1015/cm2 程度注入する。
【0045】
次に、図3(a)に示すように、ポリシリコン膜180上に、ゲート電極形状にパターニングされた有機レジスト膜170を形成した後、当該有機レジスト膜170をマスクとしてポリシリコン膜160をドライエッチングによりパターニングすることによって、シリサイド化NMISFET領域100、非シリサイド化NMISEFT領域110及び非シリサイド化抵抗体領域120のそれぞれにゲート電極175を形成する。尚、非シリサイド化抵抗体領域120のゲート電極175は抵抗体として機能する。また、各ゲート電極175の外側のゲート絶縁膜150はゲートパターニングの際に薄くなる。
【0046】
次に、図3(b)に示すように、例えば酸素プラズマ等を用いて有機レジスト膜170を幅5〜10nm程度スリミングした後、短時間のポリシリコンエッチングを行うことにより、各ゲート電極175の上部を凸型形状に加工する。言い換えると、各ゲート電極175の上面が各ゲート電極175の中央から両端に向けて低くなるように、各ゲート電極175を加工する。ここで、当該凸型形状は、ゲート電極175の上面と、後工程でゲート電極175の側面上に形成されるオフセットスペーサ180との為す角度が例えば20〜70度になるように制御されていることが望ましい。
【0047】
次に、有機レジスト膜170を除去した後、ゲート電極175の上面及び側面を含む半導体基板125上の全面に例えば厚さ1nm〜3nm程度のシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜よりなるオフセットスペーサ用絶縁膜を形成した後、当該オフセットスペーサ用絶縁膜に対して全面ドライエッチングを行う。これにより、図4(a)に示すように、各ゲート電極175の側面上にオフセットスペーサ180が形成される。ここで、各ゲート電極175の上面から前記オフセットスペーサ絶縁膜を除去する際に、各ゲート電極175の上面中央(頂部)がさらに丸められる。
【0048】
次に、図4(b)に示すように、各ゲート電極175の側面上にオフセットスペーサ180が形成された状態で、再度ポリシリコンエッチングを行うことによって、各ゲート電極175の高さを全体的に30nm程度後退させる。この結果、各ゲート電極175の上面中央(頂部)の高さは、オフセットスペーサ180の高さと同等又はそれ以下になる。例えば、ゲート電極175の凸型形状おけるゲート電極175端部の傾斜を持つ幅が10nmであり、且つゲート電極175の上面とオフセットスペーサ180とのなす角が45度である場合、ゲート電極175の上面中央(頂部)の高さは、オフセットスペーサ180の高さと比較して20nm程度低くなる。
【0049】
次に、図5(a)に示すように、各ゲート電極175及びその側面上に形成されたオフセットスペーサ180をマスクとして、半導体基板125にn型不純物(例えば砒素(As))185をドーズ量1×1015/cm2 程度注入する。これにより、シリサイド化NMISFET領域100及び非シリサイド化NMISEFT領域110の半導体基板125におけるオフセットスペーサ180の側方及び下方にn型エクステンション領域190が形成される。
【0050】
次に、半導体基板125上の全面に例えば膜厚10〜30nm程度のシリコン酸化膜及び例えば膜厚30〜50nm程度のシリコン窒化膜を順次形成した後、当該シリコン窒化膜及び当該シリコン酸化膜に対して全面ドライエッチングを行う。これにより、図5(b)に示すように、各ゲート電極175の側面上にオフセットスペーサ180を挟んで、シリコン酸化膜からなり且つL字断面形状を持つL字型サイドウォールスペーサ200を形成すると共に、L字型サイドウォールスペーサ200の外側面(オフセットスペーサ180と接する面の反対側の側面)及び底面(平坦な底部の上面)を覆うようにシリコン窒化膜よりなる外側サイドウォールスペーサ210を形成する。
【0051】
次に、図6(a)に示すように、各ゲート電極175並びにその側面上に順次形成されたオフセットスペーサ180、L字型サイドウォールスペーサ200及び外側サイドウォールスペーサ210をマスクとして、半導体基板125にn型不純物(例えば砒素(As))215をドーズ量1×1015/cm2 程度注入する。これにより、シリサイド化NMISFET領域100及び非シリサイド化NMISEFT領域110の半導体基板125におけるサイドウォールスペーサ200及び210の側方にn型ソース・ドレイン領域220を形成する。
【0052】
次に、図6(b)に示すように、n型エクステンション領域190及びn型ソース・ドレイン領域220にそれぞれ含まれているn型不純物を活性化させるための熱処理を行う。これにより、n型エクステンション領域190中のn型不純物がゲート電極175の端部とオーバーラップするように拡散すると共に、n型ソース・ドレイン領域220中のn型不純物がL字型サイドウォールスペーサ200とオーバーラップするように拡散する。次に、各ゲート電極175の側面上の外側サイドウォールスペーサ210を例えばウェットエッチングにより除去する。
【0053】
次に、図7(a)に示すように、非シリサイド化NMISFET領域110及び非シリサイド化抵抗体領域120の半導体基板125を覆うように、例えばシリコン酸化膜よりなるシリサイド化防止絶縁膜225を形成した後、半導体基板125上の全面にシリサイド金属(例えばTi、Co、Ni又はNiPt等)膜及び必要に応じてキャップ金属(例えばTiN)膜を順次堆積する。その後、例えば200℃〜600℃の範囲の温度で1回目の高速アニールを行った後、未反応のシリサイド金属膜を例えばウェットエッチングによって除去し、その後、更に、例えば300〜800℃の範囲の温度で2回目の高速アニールを行う。これにより、図7(a)に示すように、シリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175上に第1の金属シリサイド層230が形成されると共に、シリサイド化NMISFET領域100のn型ソース・ドレイン領域220上に第2の金属シリサイド層235が形成される。ここで、シリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175上に形成された第1の金属シリサイド層230の上面は、第1の金属シリサイド層230の中央から両端に向けて低くなっている。言い換えると、第1の金属シリサイド層230は、凸型の断面形状を有している。また、第1の金属シリサイド層230の上面中央(頂部)の高さはオフセットスペーサ180の高さよりも例えば0nm〜15nm程度高くなるものの、この高さは、従来技術の場合(例えば図8(c)参照)と比較して例えば15nm〜30nm程度低くなっている。また、第1の金属シリサイド層230の両端における上面の高さは、第1の金属シリサイド層230両側のオフセットスペーサ180の高さ以下である。
【0054】
次に、図7(b)に示すように、ゲート電極175、オフセットスペーサ180及びL字型サイドウォールスペーサ200を覆うように半導体基板125上の全面に、ストレッサとして機能する(例えば半導体基板125に応力を与える)バッファ層240を形成する。バッファ層240は例えばシリコン窒化膜からなる。これにより、トランジスタの駆動能力を改善することができる。次に、バッファ層240上に、微細加工されたゲート電極同士の間でも高い埋め込み性を発揮する絶縁膜、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜250を形成した後、層間絶縁膜250の上面の平坦化を行う。その後、層間絶縁膜250及びバッファ層240中に、シリサイド化NMISFET領域100のn型ソース・ドレイン領域220上の第2の金属シリサイド層235を露出するコンタクトホールを形成した後、当該コンタクトホールの壁面及び底面を覆うように例えば膜厚3nm〜10nm程度のバリアメタル(例えばTiN)膜260を形成し、その後、金属(例えばW)膜265によって当該コンタクトホールを埋め込む。これにより、バリアメタル膜260及び金属膜265からなり且つシリサイド化NMISFET領域100のn型ソース・ドレイン領域220と電気的に接続するコンタクトプラグ270が形成される。ここで、図示は省略しているが、各領域100、110のゲート電極175と接続するコンタクトプラグを形成してもよい。その後、コンタクトプラグ270上を含む層間絶縁膜250上に金属材料(例えばCu、Al)膜を堆積した後、当該金属材料膜をパターニングして、コンタクトプラグ270と接続する配線280を形成する。このようにして、図1に示す本実施形態の半導体装置が完成する。
【0055】
以上に説明した本実施形態の製造方法によると、ゲート電極175の高さがその側面上に形成したオフセットスペーサ180の高さよりも低くなるようにゲート電極175の頂部を予め後退させている。このため、その後のサイドウォールスペーサ形成のための全面ドライエッチングやディスポーザブルサイドウォールスペーサプロセスにおけるウェットエッチング等を経ても、ゲート電極175の高さはその側面上に形成したオフセットスペーサ180の高さと同等程度か又はそれよりも低くなる。その結果、続くサリサイド工程でシリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175の上部をシリサイド化して第1の金属シリサイド層230を形成した際に元のゲート電極175の上面の高さよりも第1の金属シリサイド層230の上面の高さが多少高くなったとしても、第1の金属シリサイド層230のオフセットスペーサ180からの突き出し量を小さくすることができる。また、それに伴って、少なくともオフセットスペーサ180の幅に相当する第1の金属シリサイド層230の横広がり(横方向のシリサイド成長)も抑制することができる。従って、ゲート電極175の側方に形成されるコンタクトプラグ270とゲート電極175との間の短絡マージンを拡大することができ、それにより、両者の短絡を防止することができる。
【0056】
また、従来技術のように、ゲート電極の上面と、ゲート電極の側面上に形成されたオフセットスペーサとのなす角度が90度である場合、サリサイド工程時におけるゲート電極の上面に対して45度方向の収縮力に起因して、シリサイド金属膜若しくはキャップ金属膜の剥離及びそれに伴うシリサイド高抵抗化、又はシリサイドの異常成長が発生する懸念がある。それに対して、本実施形態の製造方法によると、ゲート電極175の上面がゲート電極175の中央から両端に向けて低くなるように、つまり、ゲート電極175の上部の断面形状が凸型形状になるように、ゲート電極175を加工してから、サリサイド工程を実施するので、前述の懸念は無い。
【0057】
尚、本実施形態において、半導体基板125に代えて、半導体層を表面部に有する絶縁性基板等を用いてもよい。
【0058】
また、本実施形態において、シリサイド化NMISFET領域100のゲート電極175はフルシリサイド化されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態において、n型MIS電界効果トランジスタ(NMISFET)を有する半導体装置及びその製造方法を例として示しているが、井戸拡散層に注入する不純物をp型からn型に変更すると共に、エクステンション領域、ソース・ドレイン領域及びゲートポリシリコンのそれぞれに注入する不純物をn型からp型に変更することによって、p型MIS電界効果トランジスタを設ける場合にも、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上に説明したように、本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、サリサイド構造を有するMIS型電界効果トランジスタにおいてゲート電極とソース・ドレインコンタクトとの間の短絡を防止することができ、有用である。
【符号の説明】
【0061】
100 シリサイド化NMISFET領域
110 非シリサイド化NMISFET領域
120 非シリサイド化抵抗体領域
125 半導体基板
130 p型井戸拡散層
140 素子分離領域
150 ゲート絶縁膜
160 ポリシリコン膜
165 n型不純物
170 有機レジスト膜
175 ゲート電極
180 オフセットスペーサ
185 n型不純物
190 n型エクステンション領域
200 L字型サイドウォールスペーサ
210 外側サイドウォールスペーサ
215 n型不純物
220 n型ソース・ドレイン領域
225 シリサイド化防止絶縁膜
230 第1の金属シリサイド層
235 第2の金属シリサイド層
240 バッファ層
250 層間絶縁膜
260 バリアメタル膜
265 金属膜
270 コンタクトプラグ
280 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1のMIS型電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、
前記第1のMIS型電界効果トランジスタは、
前記基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1のオフセットスペーサと、
前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に形成された第1のエクステンション領域と、
前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサを挟んで形成された第1のサイドウォールスペーサと、
前記基板における前記第1のサイドウォールスペーサの側方及び下方に形成された第1のソース・ドレイン領域とを備え、
前記第1のゲート電極上にはシリサイド層が形成されており、
前記シリサイド層の上面は、前記シリサイド層の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記シリサイド層の上面の高さは、前記第1のオフセットスペーサの高さ以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極の上面は、前記第1のゲート電極の中央から両端に向けて低くなっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1のソース・ドレイン領域上にシリサイド層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールスペーサは、L字型サイドウォールスペーサであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサ及び前記L字型サイドウォールスペーサを挟んで外側サイドウォールスペーサが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように、ストレッサとして機能するバッファ層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように層間絶縁膜が形成されており、
前記層間絶縁膜中に前記第1のソース・ドレイン領域と接続するようにコンタクトプラグが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記基板上に第2のMIS型電界効果トランジスタをさらに有しており、
前記第2のMIS型電界効果トランジスタは、
前記基板上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2のオフセットスペーサと、
前記基板における前記第2のオフセットスペーサの側方及び下方に形成された第2のエクステンション領域と、
前記第2のゲート電極の側面上に前記第2のオフセットスペーサを挟んで形成された第2のサイドウォールスペーサと、
前記基板における前記第2のサイドウォールスペーサの側方及び下方に形成された第2のソース・ドレイン領域とを備え、
前記第2のゲート電極上及び前記第2のソース・ドレイン領域上にはシリサイド層は形成されておらず、
前記第2のゲート電極の上面は、前記第2のゲート電極の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記第2のゲート電極の上面の高さは、前記第2のオフセットスペーサの高さ以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記基板上に形成された素子分離領域と、
前記素子分離領域上に形成されており、且つ前記第1のゲート電極と同一材料からなる抵抗体と、
前記抵抗体の側面上に形成された第3のオフセットスペーサとをさらに備え、
前記抵抗体の上面は、前記抵抗体の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記抵抗体の上面の高さは、前記第3のオフセットスペーサの高さ以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
基板上に第1のMIS型電界効果トランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板上に第1のゲート絶縁膜を介して第1のゲート電極を形成する工程(a)と、
前記第1のゲート電極の上面が前記第1のゲート電極の中央から両端に向けて低くなるように前記第1のゲート電極を加工する工程(b)と、
前記工程(b)の後、前記第1のゲート電極の側面上に第1のオフセットスペーサを形成する工程(c)と、
前記第1のゲート電極の中央における上面の高さが前記第1のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記第1のゲート電極を加工する工程(d)と、
前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に第1のエクステンション領域を形成する工程(e)と、
前記工程(e)の後、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサを挟んで第1のサイドウォールスペーサを形成する工程(f)と、
前記基板における前記第1のサイドウォールスペーサの側方及び下方に第1のソース・ドレイン領域を形成する工程(g)と、
前記工程(g)の後、前記第1のゲート電極上にシリサイド層を形成する工程(h)とを備え、
前記シリサイド層の上面は、前記シリサイド層の中央から両端に向けて低くなっており、当該両端における前記シリサイド層の上面の高さは、前記第1のオフセットスペーサの高さ以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(h)は、前記第1のソース・ドレイン領域上にシリサイド層を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のサイドウォールスペーサは、L字型サイドウォールスペーサであり、
前記工程(f)と前記工程(g)との間に、前記第1のゲート電極の側面上に前記第1のオフセットスペーサ及び前記L字型サイドウォールスペーサを挟んで外側サイドウォールスペーサを形成する工程をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(g)の後に、前記外側サイドウォールスペーサを除去する工程をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(h)の後に、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように、ストレッサとして機能するバッファ層を形成する工程(i)をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(h)の後に、前記基板上に前記第1のMIS型電界効果トランジスタを覆うように層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜中に前記第1のソース・ドレイン領域と接続するようにコンタクトプラグを形成する工程とをさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置は、前記基板上に第2のMIS型電界効果トランジスタをさらに有しており、
前記工程(a)は、前記基板上に第2のゲート絶縁膜を介して第2のゲート電極を形成する工程を含み、
前記工程(b)は、前記第2のゲート電極の上面が前記第2のゲート電極の中央から両端に向けて低くなるように前記第2のゲート電極を加工する工程を含み、
前記工程(c)は、前記第2のゲート電極の側面上に第2のオフセットスペーサを形成する工程を含み、
前記工程(d)は、前記第2のゲート電極の中央における上面の高さが前記第2のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記第2のゲート電極を加工する工程を含み、
前記工程(e)は、前記基板における前記第1のオフセットスペーサの側方及び下方に第1のエクステンション領域を形成する工程を含み、
前記工程(f)は、前記第2のゲート電極の側面上に前記第2のオフセットスペーサを挟んで第2のサイドウォールスペーサを形成する工程を含み、
前記工程(g)は、前記基板における前記第2のサイドウォールスペーサの側方及び下方に第2のソース・ドレイン領域を形成する工程を含み、
前記工程(g)と前記工程(h)との間に、前記基板上に前記第2のMIS型電界効果トランジスタを覆うようにシリサイド化防止絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記工程(h)は、前記シリサイド化防止絶縁膜をマスクとして、前記第1のゲート電極上に前記シリサイド層を選択的に形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の前に、前記基板上に素子分離領域を形成する工程をさらに備え、
前記工程(a)は、前記素子分離領域上に、前記第1のゲート電極と同一材料からなる抵抗体を形成する工程を含み、
前記工程(b)は、前記抵抗体の上面が前記抵抗体の中央から両端に向けて低くなるように前記抵抗体を加工する工程を含み、
前記工程(c)は、前記抵抗体の側面上に第3のオフセットスペーサを形成する工程を含み、
前記工程(d)は、前記抵抗体の中央における上面の高さが前記第3のオフセットスペーサの高さ以下になるように前記抵抗体を加工する工程を含み、
前記シリサイド化防止絶縁膜は前記抵抗体を覆うように形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−4372(P2012−4372A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138438(P2010−138438)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】