説明

半導体装置

【課題】回路面積の増加を抑制しつつ昇圧効率を向上出来る半導体装置を提供すること。
【解決手段】素子領域AAと、前記素子領域AA上に形成された複数のMOSトランジスタTR及び容量素子Cと、複数の前記MOSトランジスタTRが直列接続され、且つ前記MOSトランジスタTRに前記容量素子Cが接続された電圧発生回路4と、前記MOSトランジスタTRのソース及びドレインの少なくともいずれかの領域32上に形成されたコンタクトプラグCP4、CP5と、データを保持するメモリセルMTとを具備し、各々の前記素子領域AAにおいて、ゲート34と前記コンタクトプラグCP4、CP5との間の距離aは、前記直列接続において後段に位置する前記MOSトランジスタTRほど大きくされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。例えば、NAND型フラッシュメモリを備えた半導体装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不揮発性半導体メモリとしてEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が知られている。EEPROMのメモリセルは通常、半導体基板に電荷蓄積層と制御ゲートとが積層された積層ゲートを備えたMISFET構造を有する。このメモリセルは、電荷蓄積層に電荷を注入した状態と、その電荷を放出した状態との閾値電圧の差により、データを不揮発に記憶する。
【0003】
NAND型EEPROMにおいては、電荷蓄積層への電子の注入(データ書き込み)、及び電荷蓄積層からの電子の放出(データ消去)は、電荷蓄積層と半導体基板との間に設けられたトンネル絶縁膜を介したトンネル電流によって行われる。NOR型EEPROMにおいても、データ消去時における短チャネル効果の影響を受けにくくするために、電荷蓄積層からの電子の放出はトンネル電流によって行われる。
【0004】
上記データの消去は、単位時間あたりに消去されるメモリセル数を増やすために、複数のメモリセルについて同時行われる。この際、メモリセルが形成されているウェル領域に10V以上、例えば20Vの正電圧が印加される。他方、データの書き込み時には、ウェル領域を0Vに保ち、ソース及びドレインに10V以上の正電圧が印加される。これにより、ウェル領域の充放電に要する電力を削減し、動作速度を向上出来る。
【0005】
上記の10V以上の高電圧を発生するため、EEPROMではチャージポンプ回路が用いられる(例えば特許文献1〜4参照)。チャージポンプ回路は、複数の整流素子が直列接続された構成を有しており、個々の整流素子はドレインとゲートとを接続したn型MOSトランジスタを用いて形成される。
【0006】
上記構成のチャージポンプ回路であると、ある整流素子となるMOSトランジスタの閾値電圧は、それより前段の整流素子となるMOSトランジスタよりも高くなる。その結果、整流素子の直列接続のうち、後段になる程(出力端に近いほど)、昇圧能力が低下する。そのため、十分な昇圧電圧を確保するためには、整流素子の段数が増加し、回路面積が増大するという問題があった。
【特許文献1】特開2001−231248号公報
【特許文献2】特開2003−33008号公報
【特許文献3】特開2003−51550号公報
【特許文献4】特開2003−102166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、回路面積の増加を抑制しつつ昇圧効率を向上出来る半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一態様に係る半導体装置は、素子分離領域に周囲を取り囲まれた複数の素子領域と、いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成され、ソース、ドレイン、及びゲートをそれぞれ有するMOSトランジスタと、いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成された複数の容量素子と、複数の前記MOSトランジスタの電流経路が直列接続され、且つ前記MOSトランジスタの前記ソース及びドレインのいずれかに前記容量素子が接続され、前記直列接続の最終段における前記MOSトランジスタから電圧を発生する電圧発生回路と、前記ソース及びドレインの少なくともいずれかの領域上に形成され、前記MOSトランジスタ同士の接続、または前記MOSトランジスタと前記容量素子との接続に用いられるコンタクトプラグと、前記電圧発生回路から発生される電圧が印加され、データを保持するメモリセルとを具備し、各々の前記素子領域において、前記ゲートと前記コンタクトプラグとの間の距離は、前記直列接続において後段に位置する前記MOSトランジスタほど大きくされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路面積の増加を抑制しつつ昇圧効率を向上出来る半導体装置を提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0011】
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る半導体装置について説明する。図1は、本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリの構成の一部を示すブロック図である。
【0012】
<NAND型フラッシュメモリの全体構成>
図示するようにNAND型フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ2、ロウデコーダ3、電圧発生回路4、及び制御回路5を備えている。
【0013】
メモリセルアレイ2は、各々がデータ保持可能な複数のメモリセルトランジスタMTを備えている。メモリセルトランジスタMTの各々は、電荷を保持可能な電荷蓄積層と、電荷蓄積層上に形成された制御ゲートとを含む積層ゲートを備えている。そして、各々のメモリセルトランジスタMTの制御ゲートはワード線WLに接続され、ドレインはビット線BLに電気的に接続され、ソースはソース線SLに電気的に接続されている。
【0014】
ロウデコーダ3は、外部から与えられるアドレスに応じて、メモリセルアレイ2のロウ方向を選択する。データの書き込み時には、いずれかのワード線WLを選択し、選択したワード線にプログラム電圧VPGM(例えば20V)を印加し、非選択のワード線に中間電圧VPASS等を印加する。またデータの読み出し時には、いずれかのワード線WLを印加し、選択したワード線に読み出し電圧VCGRを印加し、非選択のワード線に電圧VREADを印加する。電圧VPASS、VREADは、共にメモリセルトランジスタMTをオン状態とする電圧である。更にデータの消去時には、全ワード線WLに0Vを印加し、メモリセルアレイ2が形成されているウェル領域に高電圧(例えば20V)を印加する。
【0015】
電圧発生回路4は、ロウデコーダ3に対して必要な電圧を供給する。すなわち電圧発生回路4は、複数のチャージポンプ回路6を備えている。そして、チャージポンプ回路6で発生された電圧を、上記の電圧VPGMや電圧VPASSとしてロウデコーダ3へ供給する。
【0016】
制御回路5は、外部からアドレス及びコマンドを受け取る。そして、受け取ったコマンドやアドレスに応じて電圧制御回路4を制御し、電圧制御回路4に対して必要な電圧を発生するよう命令する。
【0017】
<メモリセルアレイの構成>
次に、メモリセルアレイ2の構成の詳細について説明する。
<<回路構成>>
まずメモリセルアレイ2の回路構成について説明する。図1に示すようにメモリセルアレイ2は、複数のNANDセルを有している。図1では1行のNANDセルのみを示している。NANDセルの各々は、32個のメモリセルトランジスタMT0〜MT31と、選択トランジスタST1、ST2とを含んでいる。以下では、説明の簡潔化のために、メモリセルトランジスタMT0〜MT31を単にメモリセルトランジスタMTと呼ぶことがある。メモリセルトランジスタMTは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介在して形成された電荷蓄積層(例えば浮遊ゲート)と、浮遊ゲート上にゲート間絶縁膜を介在して形成された制御ゲート電極とを有する積層ゲート構造を備えている。なお、メモリセルトランジスタMTの個数は32個に限られず、8個や16個、64個、128個、256個等であってもよく、その数は限定されるものではない。メモリセルトランジスタMTは、隣接するもの同士でソース、ドレインを共有している。そして、選択トランジスタST1、ST2間に、その電流経路が直列接続されるようにして配置されている。直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端側のドレイン領域は選択トランジスタST1のソース領域に接続され、他端側のソース領域は選択トランジスタST2のドレイン領域に接続されている。
【0018】
同一行にあるメモリセルトランジスタMTの制御ゲート電極はワード線WL0〜WL31のいずれかに共通接続され、同一行にあるメモリセルの選択トランジスタST1、ST2のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD、SGSに共通接続されている。また、メモリセルアレイにおいて同一列にある選択トランジスタST1のドレインはビット線BL0〜BLn(nは自然数)のいずれかに共通接続される。なお説明の簡単化のため、以下ではワード線WL0〜WL31及びビット線BL0〜BLnを、それぞれ単にワード線WL及びビット線BLと呼ぶことがある。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続される。なお、選択トランジスタST1、ST2は必ずしも両方必要ではなく、NANDセルを選択出来るのであればいずれか一方のみが設けられていても良い。
【0019】
図1では、1行のNANDセルのみ図示しているが、メモリセルアレイ2内には複数行のNANDセルが配置され、同一列にあるNANDセルは同一のビット線BLに接続される。また、同一のワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTには一括してデータが書き込まれ、この単位は1ページと呼ばれる。更に複数のNANDセルは一括してデータが消去され、この単位はブロックと呼ばれる。
【0020】
<<断面構成>>
次に上記NANDセルの断面構成について図2を用いて説明する。図2は、NANDセルのビット線方向に沿った断面図である。図示するように、p型半導体基板10の表面領域内にはn型ウェル領域11が形成され、ウェル領域11の表面領域内にはp型ウェル領域12が形成されている。ウェル領域12上には、ゲート絶縁膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13は、膜厚4nmから12nmの範囲のシリコン酸化膜、またはシリコンオキシナイトライド膜を用いて形成され、トンネル(tunnel)酸化膜として機能する。そしてゲート絶縁膜13上に、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2のゲート電極が形成されている。
【0021】
メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2のゲート電極は、ゲート絶縁膜13上に形成された多結晶シリコン層14、多結晶シリコン層14上に形成されたゲート間絶縁膜15、ゲート間絶縁膜15上に形成された多結晶シリコン層16を備えている。多結晶シリコン層14は、例えばリンまたは砒素が1018cm−3から1021cm−3の範囲の濃度で添加された導電性膜である。そしてその膜厚は、例えば、10nmから500nmである。ゲート間絶縁膜15は、例えばシリコン酸化膜、オキシナイトライド膜、またはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造であるON膜、NO膜、またはONO膜、またはそれらを含む積層構造、またはAl、HfSi、AlSi、HfO、TiO単層膜、またはAl、HfSi、AlSi、HfO、TiOの少なくともいずれかとシリコン酸化膜、リコン窒化膜、シリコン酸窒化膜を含む高誘電体膜との積層膜で形成される。そしてゲート間絶縁膜15の膜厚は、例えば5nm〜30nmである。多結晶シリコン層16は、例えばリン、砒素、又はボロンが1017〜1021cm−3の濃度で添加された導電性膜である。なお、多結晶シリコン層16はシリサイド層と置き換えられても良い。この場合、シリサイド層としては、WSi(タングステンシリサイド)、NiSi、MoSi、TiSi、及びCoSiを用いることが出来る。また多結晶シリコン層は、多結晶シリコン層と上記シリサイド層との積層膜であっても良い。シリサイド層の膜厚は、例えば10nm〜500nmである。更に、多結晶シリコン層16上にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等が形成されても良い。
【0022】
メモリセルトランジスタMTにおいては、多結晶シリコン層14は浮遊ゲート(FG)として機能する。他方、多結晶シリコン層16は、ビット線に直交する方向で隣接するもの同士で共通接続されており、制御ゲート電極(ワード線WL)として機能する。選択トランジスタST1、ST2においては、多結晶シリコン層14、16はワード線方向で隣接するもの同士で共通接続されている。そして、多結晶シリコン層14、16が、セレクトゲート線SGS、SGDとして機能する。なお、多結晶シリコン層14のみがセレクトゲート線として機能しても良い。この場合、選択トランジスタST1、ST2の多結晶シリコン層16の電位は、一定の電位、またはフローティングの状態とされる。
【0023】
ゲート電極間に位置する半導体基板10表面内には、n型不純物拡散層17が形成されている。不純物拡散層17は隣接するトランジスタ同士で共用されており、ソース(S)またはドレイン(D)として機能する。不純物拡散層17は、例えばリン、砒素、又はアンチモンを含み、その表面濃度は1017cm−3〜1020cm−3であり、またその接合深さは例えば10nm〜300nmである。また、隣接するソースとドレインとの間の領域は、電子の移動領域となるチャネル領域として機能する。
【0024】
以上のゲート電極、不純物拡散層17、及びチャネル領域によって、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2となるMOSトランジスタが形成されている。
【0025】
上記ゲート電極の側壁には、側壁絶縁膜18が形成されている。側壁絶縁膜18は、隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極間、及び隣接するメモリセルトランジスタMTと選択トランジスタST1、ST2のゲート電極間を埋め込んでいる。そして半導体基板10上には、上記メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2を被覆するようにして、層間絶縁膜19が形成されている。層間絶縁膜19は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはBPSG(Boron Phosphorous Silicate glass)、BSG、及びPSG等のシリケートガラス、またはHSQ(Hydrogen Silses Quioxane)、MSQ(Methyl Silses Quioxane)、SiLK(登録商標)等を用いて形成される。すなわち、これらの材料を用いて半導体基板上に絶縁膜が例えば100nm以上1μm以下の膜厚で堆積された後、CMP法によって平坦化されることで層間絶縁膜19が完成する。
【0026】
層間絶縁膜19中には、ソース側の選択トランジスタST2の不純物拡散層(ソース)17に達するコンタクトプラグCP1が形成されている。そして層間絶縁膜19の表面内には、コンタクトプラグCP1に接続される金属配線層20が形成されている。金属配線層20はソース線SLとして機能する。また層間絶縁膜19中には、ドレイン側の選択トランジスタST1の不純物拡散層(ドレイン)17に達するコンタクトプラグCP2が形成されている。そして層間絶縁膜19の表面内に、コンタクトプラグCP2に接続される金属配線層21が形成されている。
【0027】
層間絶縁膜19上には、金属配線層21を被覆するようにして、層間絶縁膜22が形成されている。そして層間絶縁膜22中に、金属配線層21に達するコンタクトプラグCP3が形成されている。そして、層間絶縁膜22上には、複数のコンタクトプラグCP3に共通に接続された金属配線層23が形成されている。金属配線層13はビット線BLとして機能するものである。
【0028】
<電圧発生回路内のチャージポンプ回路の構成>
次に、電圧発生回路4の備えるチャージポンプ回路6の詳細について説明する。
<<回路構成>>
まず、図3を用いて電圧発生回路4の備えるチャージポンプ回路6の回路構成について説明する。図3は、チャージポンプ回路6の回路図である。図示するようにチャージポンプ回路6は、9個のnチャネルMOSトランジスタTR1〜TR9と、8個の容量素子C1〜C8を備えている。なお、MOSトランジスタ及び容量素子の個数は本例に限定されるものでは無く、容量素子が3個以上あれば良い。また以下では、MOSトランジスタTR1〜TR9及び容量素子C1〜C8を区別しない場合には、単にMOSトランジスタTR及び容量素子Cと呼ぶことがある。
【0029】
MOSトランジスタTR1は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され、更に電源電位VDDに接続されている。MOSトランジスタTR2は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN1と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR1のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR3は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN2と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR2のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR4は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN4と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR3のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR5は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN5と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR4のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR6は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN6と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR5のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR7は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN7と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR6のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR8は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN8と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR7のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。MOSトランジスタTR9は、ソース及びドレインのいずれか一方がゲートに接続され(この接続ノードを以下ノードN8と呼ぶ)、更にMOSトランジスタTR8のソース及びドレインのいずれか他方に接続されている。そして、MOSトランジスタTR9のソース及びドレインのいずれか他方のノード(この接続ノードを以下ノードN9と呼ぶ)が、出力電圧Voutの出力ノードとなる。すなわち、MOSトランジスタTRは、ソース及びドレインのいずれか一方がアノードとして機能し、いずれか他方がカソードとして機能する整流素子として動作する。
【0030】
容量素子C1、C3、C5、C7の一方電極はノードN1、N3、N5、N7に接続され、他方電極にはクロックφ2が入力される。容量素子C2、C4、C6、C8の一方電極はノードN2、N4、N6、N8に接続され、他方電極にはクロック/φ2が入力される。クロック/φ2は、クロックφ2の反転信号である。
【0031】
すなわち、チャージポンプ回路6は、直列接続された複数の整流素子を備え、偶数段の整流素子(MOSトランジスタTR2、TR4、TR6、…)の入力ノードには、容量素子Cj(j=1、3、5、…)を介してクロックφ2が入力される。他方、3段目以降の奇数段の整流素子(MOSトランジスタTR3、TR5、…)の入力ノードには、容量素子C(j+1)を介してクロック/φ2が入力される。
【0032】
<<MOSトランジスタTRの平面構成>>
次に、上記チャージポンプ回路6に含まれるMOSトランジスタTRの平面構成について、図4乃至図7を用いて説明する。図4乃至図7はそれぞれ、MOSトランジスタTR1、TR2、TR4、及びTR9の平面図である。
【0033】
MOSトランジスタTR1〜TR9は、メモリセルアレイ2が形成された半導体基板10上に形成される。MOSトランジスタTR1〜TR9の構成は基本的に同じであるので、以下では一括して説明することにする。
【0034】
図示するように、MOSトランジスタTRの各々は、半導体基板10中に設けられた素子領域AAの各々上に形成される。各素子領域AAの周囲は素子分離領域STIによって取り囲まれており、素子領域AA間は電気的に分離されている。各素子領域AA内には、3つのn型不純物拡散層31が形成されている。3つの拡散層31は、互いに離隔しつつ、半導体基板面内における第1方向に沿って配置されている。これらの拡散層31は、MOSトランジスタTRのソースまたはドレイン領域についてのLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能するものである。本例であると、第1方向に沿って2つの拡散層31に挟まれた拡散層31が、ソース及びドレインのいずれか一方(MOSトランジスタTRi(iは1〜9の自然数)においてVddノードまたは容量素子C(i−1)に接続される側)として機能し、残りの2つの拡散層31が、いずれか他方(MOSトランジスタTRiにおいて、容量素子Ciまたは出力ノードに接続される側)として機能する。以下、区別が必要な場合には、ソース及びドレインのいずれか一方として機能する拡散層31を拡散層31−1と呼び、いずれか他方として機能する拡散層31を拡散層31−2と呼ぶことがある。
【0035】
各々の拡散層31内には、拡散層31よりも不純物濃度の高いn型不純物拡散層32が形成されている。以下、区別が必要な場合には、拡散層31−1、31−2内にそれぞれ形成された拡散層32を、拡散層32−1、32−2と呼ぶことがある。
【0036】
各々の拡散層32−1、32−2上には、それぞれコンタクトプラグCP4、CP5が形成されている。すなわち拡散層32は、MOSトランジスタTRにおけるソース及びドレインと、コンタクトプラグCP4、CP5とのコンタクト抵抗を低減するために設けられている。そして、コンタクトプラグCP5上には、金属配線層33が形成されている。金属配線層33により、2つの拡散層32−2は電気的に接続される。つまり、この金属配線層33が、MOSトランジスタTRiにおけるノードNiとなる。
【0037】
また、第1方向で隣接する拡散層31−2と拡散層31−1との間には、第1方向に直交する第2方向に沿ったストライプ形状のゲート電極34が形成されている。本例の場合、拡散層31が3個あるので、ゲート電極34も2本、設けられる。そして、この2本のゲート電極34は素子分離領域STI上まで引き出され、素子分離領域STI上において共通接続される。
【0038】
素子分離領域STI上において、ゲート電極34上にはコンタクトプラグCP6が形成されている。そして、金属配線層35によって、コンタクトプラグCP6とCP4とが接続されている。すなわち、金属配線層35及びコンタクトプラグCP4、CP6により、拡散層31−1とゲート電極34とが電気的に接続される。つまり、金属配線層35が、MOSトランジスタTRiにおけるノードN(i−1)となる(MOSトランジスタTR1の場合にはVddノードとなる)。
【0039】
素子領域AAを取り囲む素子分離領域STIの直下の領域には、p型ウェル領域36が形成されている。また、素子分離領域STI直下の領域であって、ウェル領域36の側面には、p型領域(p型不純物拡散層)37が形成されている。従って、図4乃至図7に示すように、MOSトランジスタTRを上面から見ると、素子領域AAの周囲を素子分離領域STIが取り囲み、更にその周囲をp型領域37が取り囲み、更にその周囲をウェル領域36が取り囲むような形状となっている。
【0040】
以下では、拡散層32と、それに近接するゲート電極34との第1方向(ゲート長方向:ソース、チャネル、及びドレインが順次並ぶ方向)に沿った距離を、距離aと呼ぶ。また、拡散層32と素子分離領域STIとの間の距離を、距離bと呼ぶ。距離bについては、第1方向に沿った距離と第2方向(ゲート幅方向)に沿った距離とを区別する場合には、ゲート長方向に沿った距離bを、距離b’と呼ぶことにする。更に、拡散層31と、素子分離領域STI直下のp型領域37との間の距離を、距離cと呼ぶ。更に、拡散層31と、素子分離領域STI直下のウェル領域36との間の距離を、距離dと呼ぶ。また、ゲート電極34の第1方向に沿った幅(ゲート長)を、ゲート長gと呼ぶ。そして、MOSトランジスタTRiについての距離a〜d及びゲート長gを区別する場合には、それぞれ距離ai〜di及びゲート長giと呼ぶことにする。
【0041】
MOSトランジスタTR1〜TR9は、その構成は同様であるが、上記距離a〜d及びゲート長gの寸法が一部異なっている。これらの寸法については後述する。
【0042】
<<MOSトランジスタTRの断面構成>>
次に、上記チャージポンプ回路6に含まれるMOSトランジスタTRの断面構成について、図8乃至図10を用いて説明する。図8乃至図10はそれぞれ、図7におけるX1−X1’線、X2−X2’線、及びY1−Y1’線に沿った断面図である。断面構成についても、MOSトランジスタTR1〜TR9は基本的に同じであるので、以下ではMOSトランジスタTR9の場合を例に説明する。
【0043】
図8乃至図10に示すように、半導体基板(例えばシリコン基板)10の表面領域内には、素子分離領域STIが形成されている。素子分離領域STIは、半導体基板10中に形成された溝40と、その溝40を埋め込む絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)41とを有する。溝40の深さは、半導体基板10の表面から例えば0.1μm〜0.3μm程度である。そして半導体基板10中には、素子分離領域STIに周囲を取り囲まれ、第1方向に沿ったストライプ形状の素子領域AAが形成されている。
【0044】
なお、半導体基板10には例えばボロン等のp型不純物がドープされており、表面から1μmまでの深さにおけるp型不純物濃度は、1014cm−3以上且つ5×1016cm−3以下である。これにより、バックバイアスが−1.5V〜−5Vとされた際のMOSトランジスタTRの閾値電圧を0V以上且つ2V以下に設定出来る。
【0045】
素子領域AA上には、ゲート絶縁膜42を介在してゲート電極34が形成されている。ゲート絶縁膜42は、例えば膜厚が13nm〜40nmの範囲であるシリコン酸化膜、またはシリコンオキシナイトライド膜を材料に用いて形成される。ゲート絶縁膜42の膜厚を13nm以上とすることで、ゲート電極34と素子領域AAとの間に15V以上の電圧が印加されても、トンネルリークの発生を抑制し、MOSトランジスタTRの信頼性劣化を抑えることが出来る。
【0046】
ゲート電極34は、メモリセルトランジスタMTの積層ゲートと同時に形成される積層構造を備えている。すなわちゲート電極34は、ゲート絶縁膜42上に形成された第1導電層43と、導電層43上に形成されたブロック絶縁膜44と、ブロック絶縁膜44上に形成された第2導電層45とを有している。
【0047】
第1導電層43は、メモリセルトランジスタMTの浮遊ゲートと同時に同一材料を用いて形成される。すなわち、例えばリン又は砒素が、1018cm−3から1021cm−3の範囲の濃度で添加された、導電性の多結晶シリコンを材料に用いて形成される。そしてその膜厚は、例えば10nm〜500nmである。
【0048】
浮遊ゲートと同様に第1導電層43は、素子分離領域STIにより区画された素子領域に形成され、ゲート幅方向に沿った両端部は、素子分離領域STIの絶縁膜41に接している。本構成は、例えば次のようにして形成出来る。
【0049】
すなわち、まず半導体基板10の表面内にn型ウェル領域11を例えばイオン注入によって形成し、次にイオン注入によってp型ウェル領域12を形成する。その後、全面に、メモリセルトランジスタMTのゲート絶縁膜13、MOSトランジスタTRのゲート絶縁膜42、及び浮遊ゲートとなる膜(多結晶シリコン層14、43)を堆積する。そして、ゲート絶縁膜13、43、及び多結晶シリコン層14、43をパターニングし、更に半導体基板10を例えば0.1μm〜0.3μmの深さにエッチングしてトレンチを形成する。その後、トレンチ内を絶縁物、例えばシリコン酸化膜で埋め込むことで、素子分離領域STIを形成する。本手法によれば、段差の無い平面上に、浮遊ゲート及び第1導電層43を形成することが可能となる。
【0050】
ブロック絶縁膜44は、例えばメモリセルトランジスタMTのゲート間絶縁膜15と同一材料により同一工程で形成される。すなわちブロック絶縁膜44の材料例は、膜厚が5nm〜30nmのシリコン酸化膜、オキシナイトライド膜、又はシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層膜である。または、Al、HfSi、AlSi、HfAlO、HfO、及びTiOのいずれかである単層膜、または、これらの少なくともいずれかと、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、及びシリコン酸窒化膜等の高誘電体膜との積層膜である。
【0051】
第2導電層45は、例えばメモリセルトランジスタMTの制御ゲート16と同一材料により同一工程で形成される。第2導電層45の材料例は、例えばリン、砒素、又はボロンが1017〜1021cm−3の濃度で添加された導電性の多結晶シリコン層、又はWSi(タングステンシリサイド)と多結晶シリコン層とのスタック構造膜、又はW、WN、NiSi、MoSi、TiSi、CoSiと多結晶シリコン層とのスタック構造膜、または、NiSi、MoSi、TiSi、CoSi膜である。その厚さの例は、10nmから500nmである。なお、制御ゲート16と同様に、第2導電層45上にシリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜14が形成されても良い。また、ブロック絶縁膜44はその一部が除去され、除去された領域において第1導電層43と第2導電層45とが接続されている。第2導電層45は、第2方向に沿った方向において、素子領域AAをまたいで素子分離領域STI上にまで形成されている。そして、素子分離領域STI上に形成された第2導電層45を介して(図8参照)、2本のゲート電極34が共通に接続されている。
【0052】
素子領域AAの表面領域内には、MOSトランジスタTRのソース及びドレインのLDD領域として機能するn型不純物拡散層31が設けられている。拡散層31は、メモリセルトランジスタMTのソース及びドレイン領域17と同様に、例えばリン、砒素、又はアンチモンを、表面濃度が1017cm−3〜1020cm−3となるように含み、その接合深さの例は、10nm〜300nmである。拡散層31は、ゲート電極34に対して自己整合的に形成される。
【0053】
更に、拡散層31の中央部付近において(図10参照)、拡散層31の表面から拡散層31を貫通するn型不純物拡散層32が形成されている。拡散層32は、拡散層31よりも高い濃度で不純物を含有する。すなわち拡散層32は、例えばリン、砒素、又はアンチモンを、その表面濃度が1018cm−3〜1022cm−3となるように含み、その接合深さの例は40nm〜500nmであり、拡散層31よりも深く且つ低抵抗となるように形成される。前述の通り拡散層32は、ソース及びドレインに対するコンタクト抵抗を低減するために必要であり、不純物濃度のピーク濃度が1020cm−3以上且つ1022cm−3である点が、1017cm−3以上且つ1019cm−3以下であるLDD領域31と異なっている。
【0054】
素子分離領域STI直下の半導体基板10中には、p型ウェル領域36が形成されている。p型ウェル領域36は、直上に位置する素子分離領域によって分離される素子領域AA間のパンチスルーを防止するために設けられる。そのため、半導体基板10よりも十分に低抵抗とする必要がある。ウェル領域36の深さは、例えば半導体基板10の表面から0.5μm〜1.6μmの深さであり、含まれる不純物のピーク濃度は1016cm−3〜1018cm−3である。深さのピークの一例は、1μm程度である。ウェル領域36の端部は、素子分離領域STIの端部から離隔されており、その距離が距離dである。より具体的には、半導体基板10の表面における素子分離領域STIと素子領域AAとの境界部分と、ウェル領域36との、半導体基板10の平面方向における最近接距離が距離dである。
【0055】
また、素子分離領域STI直下の半導体基板10中には、ウェル領域36に隣接してp型ウェル領域37が形成されている。p型ウェル領域37は、素子分離領域STIの底部近傍においてパンチスルーリーク電流が流れることを防止するために設けられる。ウェル領域37の素子分離領域STI底面からのピーク深さの例は、0μm〜0.5μmであり、含まれる不純物のピーク濃度は1016cm−3〜1018cm−3である。深さのピークの一例は、0.1μm程度である。ウェル領域37は、ウェル領域36よりも素子領域AAに近接して設けられる。ウェル領域37の端部は、素子分離領域STIの端部から離隔されており、その距離が距離cである。より具体的には、半導体基板10の表面における素子分離領域STIと素子領域AAとの境界部分と、ウェル領域37との、半導体基板10の平面方向における最近接距離が距離cである。
【0056】
以上の拡散層31、32、及びゲート電極34を含んで、MOSトランジスタTRが形成されている。そして半導体基板10上に、MOSトランジスタTRを被覆する層間絶縁膜19が形成されている。
【0057】
層間絶縁膜19中には、拡散層32−1、32−2にそれぞれ達するコンタクトプラグCP4、CP5、及び第2導電層45に達するコンタクトプラグCP6が形成されている。コンタクトプラグCP4〜CP6は、層間絶縁膜19の表面からそれぞれ拡散層32−1、32−2、及び第2導電層45に達するコンタクトホールを、導電物で埋め込むことにより形成される。コンタクトホールのサイズは、例えば直径が20nm以上且つ200nm以下である。またコンタクトホールを埋め込む導電物は、例えばリンや砒素を添加した多結晶シリコンである。または、Ti及びTiNまたはTaNのバリアメタル層と、WやCu等の金属層とである。
【0058】
更に層間絶縁膜19の表面内には、金属配線層33、35が形成されている。金属配線層33はコンタクトプラグCP5に接続され、金属配線層35はコンタクトプラグCP4、CP6に接続される。金属配線層33、35は、例えば次のような方法により形成される。すなわち、まず層間絶縁膜19の表面内に、例えば50nm以上且つ500nm以下の溝を形成する。次に、溝内に例えばTi及びTiNまたはTaNのバリアメタル層を形成し、次にWやCuにより溝を埋め込むことで、金属配線層33、35が完成する。または、層間絶縁膜19上に例えばWやCuを全面に堆積後、RIEにより所望のパターンにエッチングすることにより形成しても良い。
【0059】
<<MOSトランジスタTRの各種寸法について>>
次に、上記構成のMOSトランジスタTRに関する距離a〜d及びゲート長gについて、図11を用いて説明する。図11は、MOSトランジスタTR1〜TR9と、距離a〜d及びゲート長gとの対応を示すグラフである。
【0060】
距離a〜dは、MOSトランジスタTRの直列接続において、出力端に近づくほど、すなわち後段のMOSトランジスタTRほど大きくされる。他方、ゲート長gは、後段のMOSトランジスタTRほど小さくされる。
【0061】
まず距離aについて説明する。MOSトランジスタTR1〜TR3の距離aは等しくされている。すなわち、a1=a2=a3である。また、MOSトランジスタTR4〜TR7の距離aは等しくされ、且つMOSトランジスタTR1〜TR3よりも大きくされる。すなわち、a4=a5=a6=a7>a1〜a3である。更に、MOSトランジスタTR8、TR9の距離aは、MOSトランジスタTR1〜TR7よりも大きくされる。
【0062】
距離a4〜a7は、例えば0.5μm〜1.2μmである。また距離a1〜a3は、距離a4〜a7よりも0.1μm〜0.4μmだけ小さく、距離a8、a9は距離a4〜a7よりも0.2μm〜0.8μmだけ大きい。
【0063】
次に距離b〜dについて説明する。MOSトランジスタTR1〜TR3の距離b〜dは等しくされている。すなわち、b1=b2=b3、c1=c2=c3、及びd1=d2=d3である。また、MOSトランジスタTR4〜TR9の距離b〜dは等しくされ、且つMOSトランジスタTR1〜TR3よりも大きくされる。すなわち、b4=b5=b6=b7=b8=b9>b1〜b3、c4=c5=c6=c7=c8=c9>c1〜c3、及びd4=d5=d6=d7=d8=d9>d1〜d3である。
【0064】
距離b1〜b3は、例えば0μm〜1.0μmであり、距離b4〜b9は、距離b1〜b3よりも0.1μm〜0.4μmだけ大きい。なお、距離b1’、b2’は距離b1〜b3と同じ値とされる。他方、距離b3’〜b9’は、距離b1〜b3と同じ値であって良いが、耐圧によっては大きくしても良く、距離0μm以上且つb4〜b9以下の値とされる。
【0065】
距離c1〜c3は、例えば0.2μm〜1.0μmであり、距離c4〜c9は、距離b1〜b3よりも0.1μm〜0.6μmだけ大きい。
【0066】
距離d1〜d3は、例えば0.6μm〜1.6μmであり、距離d4〜d9は、距離d1〜d3よりも0.1μm〜0.6μmだけ大きい。
【0067】
次に、ゲート長gについて説明する。MOSトランジスタTR2〜TR9のゲート長gは等しく、且つMOSトランジスタTR1のゲート長gよりも小さくされている。すなわち、g2=g3=g4=g5=g6=g7=g8=g9<g1である。
【0068】
ゲート長g2〜g9は、例えば1.5μm〜3.5μmであり、例えば2.4μmとされる。ゲート長g1は、ゲート長g2〜g9よりも例えば0.4μm〜1.0μmだけ大きく、例えば3.0μmとされる。
【0069】
<<チャージポンプ回路の動作>>
次に、上記構成のチャージポンプ回路6の動作について、図12を用いて説明する。図12は、図3に示すチャージポンプ回路における、クロックφ2、/φ2、及びノードN1、N2、N8、N9における電位変化を示すタイミングチャートである。
【0070】
図示するように、φ2と/φ2とは、共に電圧VccとGNDを取り得るクロック信号であり、互いに発生タイミングが重ならないようにVccが発生されるいわゆる2相クロックである。これは、直列接続されたMOSトランジスタTR1〜TR9において、隣接するMOSトランジスタTR間の導通状態を遮断する時間を設けるためである。これにより、ノードN9からノードN1へ向かって電荷が逆流することを防止出来る。そして、Vccとして3V〜10Vの電圧を使用することにより、出力電圧Voutとして10V以上の高電圧が得られる。この出力電圧Voutが、例えば電圧VPGMやVPASSとして用いられる。なお図4において、Vth1、Vth2、…Vthi(iは1〜9の整数)は、それぞれMOSトランジスタTRiの閾値電圧である。また電源電圧Vddは例えば1V〜4Vであり、本NAND型フラッシュメモリ1における電源電圧と一致させることが望ましい。なぜなら、一致させることで、電源インピーダンスを低減し、出力電圧の変動を抑制出来るからである。
【0071】
以下、チャージポンプ回路6の動作について、図12を参照しつつ説明する。まず、φ2の電位がGNDで、MOSトランジスタTR2が非導通状態の場合を考える。この場合、MOSトランジスタTR1が導通状態となり、ノードN1は、VddからMOSトランジスタTR1の閾値電圧Vth1の低下分、すなわち(Vdd−Vth1)まで充電される。
【0072】
引き続き、φ2がVccまで上昇すると、容量素子C1の容量結合により、ノードN1の電位はαVccだけ上昇する。その結果、ノードN1の電位は最大で(Vdd−Vth1+αVcc)まで上昇する。例えば、ノードN1における電圧振幅は、容量素子C1とMOSトランジスタTR1、TR2との容量分配によって、αVccに低下する。なお、αはブートストラップ比に相当する値であり、1より僅かに小さく、通常、0.7〜1の値である。
【0073】
次に、φ2がVccである期間にMOSトランジスタTR2が導通状態となる。これにより、ノードN2の電位が{(ノードN1の電位)−Vth2}に上昇するまで、ノードN1の電圧がノードN2へ転送される。これにより、ノードN2の電位は、ほぼ{(Vdd−Vth1+αVcc)−Vth2}まで上昇する。
【0074】
次に、φ2が0Vとなり、MOSトランジスタTR2が非導通状態となる。さらに、/φ2がGND(0V)からVccに上昇することにより、容量素子C2の容量結合によって、ノードN2の電位がαVccだけ上昇する。その結果、ノードN2の電位は、ほぼ{(Vdd−Vth1+αVcc)−Vth2}+αVccまで上昇する。本実施形態では、MOSトランジスタTR2の単位幅あたりの順方向電流駆動能力を向上出来るため、より小さいサイズ(占有面積)のMOSトランジスタで高い昇圧能力が実現出来る。MOSトランジスタTR3も同様である。この点については、後に詳細に説明する。
【0075】
引き続き、/φ2がVccである期間にMOSトランジスタTR3が導通状態となる。これにより、ノードN3の電位が{(ノードN2の電位)−Vth3}に上昇するまで、ノードN2の電圧がノードN3へ転送される。
【0076】
以上の電荷転送を交互繰り返すことにより、ノードN9まで昇圧が行われる。すなわち、/φ2がVccである期間にMOSトランジスタTR1、TR3、TR5、TR7、TR9が導通状態となり、MOSトランジスタTR2、TR4、TR6、TR8が非導通状態となる。これにより、VddノードからノードN1へ、ノードN2からノードN3へ、ノードN4からノードN5へ、ノードN6からノードN7へ、ノードN8からノードN9へ、それぞれ電流が流れて電荷が転送される。また、φ2がVccである期間にMOSトランジスタTR2、TR4、TR6、TR8が導通状態となり、MOSトランジスタTR1、TR3、TR5、TR7、TR9が非導通状態となる。これにより、ノードN1からノードN2へ、ノードN3からノードN4へ、ノードN5からノードN6へ、ノードN7からノードN8へ、それぞれ電流が流れて電荷が転送される。この際、MOSトランジスタTR4〜TR9は、バックバイアス印加時の閾値上昇分が小さく、トランジスタ単位幅あたりの順方向電流駆動能力が上昇している。そのため、より高い昇圧電圧が実現でき、より小さいサイズ(占有面積)のMOSトランジスタで高い昇圧能力が実現できる。また、特にMOSトランジスタTR9は、接合耐圧及び表面接合耐圧が向上されているため、より高い電圧まで昇圧出来る。この点についても、後に詳細に説明する。なお、ノードN9に、例えばワード線等の容量性負荷が電気的に接続されている場合には、その容量によって、図12に示すように出力電圧が平滑化される。
【0077】
図13は、図3に示すチャージポンプ回路6において、出力電圧Voutを(Vdd+8α・Vcc−(Vth1+Vth2+Vth3+Vth4+Vth5+Vth6+Vth7+Vth8+Vth9)まで昇圧した後、クロックφ2、/φ2を停止した際の様子を示しており、図3に示すチャージポンプ回路におけるクロックφ2、/φ2、及びノードN1、N2、N8、N9における電位変化を示すタイミングチャートである。
【0078】
例えばp型ウェル領域12等、大きな容量負荷を昇圧後に電源が急に遮断された場合、 チャージポンプ回路6に含まれる半導体素子には、非常に大きな電圧が印加される場合がある。チャージポンプ回路6は、このような場合であっても半導体素子が破壊されず、また多大なリーク電流が発生しないように設計する必要がある。
【0079】
本例の場合、MOSトランジスタTR9がOFFするまでノードN9とノードN8との間に電流が流れる、すなわちノードN8における電位が(Vout−ΔV:TR9)以上となった場合に電流は停止する。なお、ここで、ΔVは、半導体基板10に0Vを印加し、ドレイン電極にVoutを印加し、ソース電極とゲート電極の電圧を等しくた状態から、電圧Voutを低下させた場合における、MOSトランジスタTR9のソース・ドレイン電極間に、例えばしきい値電流となる電流Ithが流れるときのソース電極とゲート電極の電圧を(Vout−ΔV)と置いた時のΔVに相当する電圧である。
【0080】
なお、しきい値電流Ithは、トランジスタのゲート長をL、チャネル幅をWとした際に、例えば(40nA×(W/L))なる電流とする。更に、MOSトランジスタTR9よりも前段のMOSトランジスタTR2〜TR8においても同様に、各トランジスタがOFFするまで電極が流れ、ノードN1〜N7の電位は低下する。この場合、これらMOSトランジスタの閾値の効果により、ノードN9の電圧が低下しつつノードN1方向に転送される。そのため、例えば、ノードN7は(Vout−ΔV:TR9)−ΔV:TR8となり、ノードN6は(Vout−ΔV:TR9)−ΔV:TR8−ΔV:TR7となる。なお、ここで、例えば、ΔV:TR8とは、図13にて、MOSトランジスタTR8での電流が停止する条件を満たすノードN7のノードN8に対する電圧降下量である。なお、MOSトランジスタTRiの電流が停止される条件を満たすノードN(i−1)のノードNiに対する電圧降下量を、それぞれ(ΔV:TRi)と表記する。従って、ノードN1、N2に接続されたMOSトランジスタには、ノードN9に接続されるMOSトランジスタよりも低耐圧のトランジスタを用いることができる。
【0081】
<メモリセルアレイとチャージポンプ回路との断面関係及び動作>
次に、上記メモリセルアレイ2とチャージポンプ回路6の断面関係と動作について、図14を用いて説明する。図14は、NAND型フラッシュメモリ1の断面図であり、特にメモリセルアレイ2の一部領域とチャージポンプ回路6の一部領域とを含む領域を示している。
【0082】
また図14では、メモリセルアレイ2とチャージポンプ回路6の他に、メモリセルトランジスタMTよりも高耐圧のMOSトランジスタQ1も示している。MOSトランジスタQ1は、メモリセルアレイ2以外の、例えばロウデコーダ3や電圧発生回路4等に含まれるMOSトランジスタである。また、図14では全てのMOSトランジスタ及び容量素子Cにつき、ゲート長方向に沿った断面を示している。しかし、必ずしも全ての素子が図14の断面を得られるように配置される必要は無い。図中において、MOSトランジスタQ2は上述したメモリセルトランジスタMTまたは選択トランジスタSTに対応し、MOSトランジスタQ3は上述したMOSトランジスタTR1〜TR9に対応する。
【0083】
EEPROM、例えばフラッシュメモリは、低電圧から高電圧を発生する高電圧発生回路(図1における電圧発生回路4)が必要である。高電圧発生回路は、例えば、半導体基板10に対して、例えば10Vから15V以上の電位差を発生する。このため、高電圧発生回路は昇圧回路を有する。昇圧回路の一例はチャージポンプ回路である(図1におけるチャージポンプ回路6)。
【0084】
チャージポンプ回路は、電荷を蓄積するための複数のキャパシタ(図3では容量素子C1〜C9として図示)、及び電荷の蓄積を制御する複数のトランジスタ(図3ではMOSトランジスタTR1〜TR9として図示)を含む。本例では、トランジスタの例として、図14においてMOSトランジスタQ1を示す。MOSトランジスタQ1は、高耐圧用トランジスタである。高耐圧用トランジスタは、例えば、基板1の電位に対して、15V以上の電位差に耐えられるように、メモリセルトランジスタQ2よりも、厚いゲート絶縁膜42を有する。
【0085】
キャパシタCの各々は、半導体基板10中に設けられた素子領域AAの各々上に形成される。各素子領域AAの周囲は素子分離領域STIによって取り囲まれており、素子領域AA間は電気的に分離されている。キャパシタCはMOSトランジスタQ3と同様に、ゲート絶縁膜42、ゲート電極34及びn型不純物拡散層31、32を備えている。ゲート電極34は、半導体基板10(素子領域AA)の表面内に形成されたn型ウェル領域51上に形成される。そしてMOSトランジスタTRのゲート電極34と同様に、ゲート絶縁膜42上に形成された第1導電層43と、導電層43上に形成されたブロック絶縁膜44と、ブロック絶縁膜44上に形成された第2導電層45とを有している。拡散層31、32もウェル領域51内に形成されている。そして、ウェル領域51及び拡散層31、32がキャパシタCの一方電極として機能し、導電層43、45が他方電極として機能し、ゲート絶縁膜42がキャパシタ絶縁膜として機能する。キャパシタCのゲート絶縁膜42は、ウェル領域51の電位に対して15V以上の電位差に耐えられるように、セルトランジスタQ2よりも大きい膜厚を有する。キャパシタCとMOSトランジスタQ3とで、同一のゲート絶縁膜を使用することで、製造工程を増加させることなく、チャージポンプ回路6を実現出来る。
【0086】
また、フラッシュメモリでは、データの消去または書き込み時に、ウェル領域12または制御ゲート18に対して、通常、15V以上の正の電圧を印加する。この観点からも、トランジスタQ3には膜厚の大きいゲート絶縁膜を有する高耐圧用トランジスタを要する。MOSトランジスタQ3のゲート絶縁膜42の膜厚は、例えば16nm以上且つ50nm以下であって良く、その材料はシリコン酸化膜またはオキシナイトライド膜等である。この高耐圧用トランジスタQ3のドレインと半導体基板10との間には、15V以上の電圧が印加される。このため、耐圧を確保するため、例えば、1014cm−3〜5×1016cm−3以下の不純物濃度を持つチャネル領域が必要となる。この領域として、本例では、p型半導体基板10を利用する。
【0087】
図14に示すように、半導体基板10の表面領域内にはp型ウェル領域12が形成されている。ウェル領域12の側面領域には、ウェル領域12に接するようにしてn型ウェル領域50が形成され、ウェル領域の下部領域には、ウェル領域12、50に接するようにしてn型ウェル領域11が形成されている。これにより、p型ウェル領域12の周囲はn型ウェル領域11、50によって囲まれることになり、ウェル領域12は半導体基板10から電気的に分離される。ウェル領域12が半導体基板10から電気的に分離されることによって、ウェル領域12の電圧を動作に応じて、半導体基板10から独立して変化させることが可能となる。このような二重ウェル構造を用いることで、チャージポンプ回路6の負荷を低減し、消費電力を削減出来る。
【0088】
メモリセルトランジスタMTとなるMOSトランジスタQ2は、ウェル領域12上に形成される。これらのメモリセルトランジスタMTは、ワード線に沿った方向において、素子分離領域STIによって分離される。素子分離領域STIの深さは、例えば0.1μm〜0.5μm程度である。前述の通り素子分離領域STIは、半導体基板10中に0.1μm〜0.5μm程度の深さに形成されたトレンチに、絶縁物、例えばシリコン酸化膜等を埋め込むことにより形成される。
【0089】
ウェル領域12の電位は、複数のメモリセルトランジスタQ2で均一な消去を実現するために、均一にする必要がある。このため、ウェル領域12の深さ、つまりウェル領域12とウェル領域11との境界は、素子分離領域STIの底面よりも十分に深い深さとされる。その深さは、半導体基板10表面から例えば0.4μm以上且つ0.9μm以下であり、その一例は0.5μmである。また、ウェル領域12には例えばボロンがドープされ、その不純物濃度は、例えば1014cm−3〜1019cm−3の間に設定される。更に、ウェル領域11の深さ、つまりウェル領域11と半導体基板10との境界は、半導体基板10の表面から1.2μm〜4μmの範囲の深さに形成される。
【0090】
メモリセルトランジスタQ2の積層ゲートのゲート長(ソース、チャネル、ドレインが順次並ぶ方向における、積層ゲートの幅)は、0.01μm以上且つ0.5μm以下である。
【0091】
NAND型EEPROMでは、データの消去、即ち浮遊ゲート14に対する電荷の注入、又は浮遊ゲート14からの電荷の放出に、トンネル絶縁膜13を介したトンネル電流を利用する。NOR型フラッシュメモリにおいても、データの消去時に、短チャネル効果の影響を受けにくくするために、上記トンネル電流を利用することがある。
【0092】
データの消去は、例えば、単位時間当たりに消去されるメモリセルの数を増やすために、複数のメモリセルトランジスタで同時に行う。つまり、メモリセルトランジスタは、データを一括して消去することを可能とする。このために、消去の際にはウェル領域12に半導体基板10に対して15V以上の正の電圧を印加する。これにより、浮遊ゲート14から電荷がウェル領域12に引き抜かれる。
【0093】
一方、データの読み出し及び書き込みにおいては、ウェル領域12の電圧を0Vに保ち、拡散層17に印加する電圧を低下させる。これにより、ウェル領域12を充放電するための電力を削減し、動作速度を高速化することができる。さらに、本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリでは、メモリセルトランジスタQ2のウェル領域12または制御ゲート16(ワード線WL)に、チャージポンプ回路6のノードN9を選択的に接続することで、データの消去及び書き込みが行われる。
【0094】
図14に示す各MOSトランジスタは、同一の不純物濃度を有するp型半導体基板10上に形成され、それぞれのウェル端子は電気的に接続されているものとする。これにより、トランジスタの種類を減らすことが出来、またそれぞれのトランジスタにおいてチャネル濃度を変更するための工程増加を防ぐことが出来、更に各トランジスタに対するウェル抵抗を削減できる。
【0095】
MOSトランジスタQ1は、MOSトランジスタQ3と同様の構造を有する高耐圧トランジスタである。MOSトランジスタQ1、Q3は、メモリセルトランジスタQ3と耐圧が異なる他は、ほぼ同一の構造を有している。両者が構造的に異なる点は、MOSトランジスタQ1、Q3においては、第1導電膜43と第2導電膜45とが、ブロック絶縁膜12に形成された開口を介して接続されていることである。これにより、メモリセルトランジスタQ3と同様の積層ゲート構造を備えつつも、第1、第2導電膜43、45を一つのゲート電極として使用出来る。この点は、チャージポンプ回路6の容量素子Cとして使用されるキャパシタCについても同様である。
【0096】
メモリセルアレイ2、MOSトランジスタQ1、MOSトランジスタQ3、及びキャパシタCがそれぞれ形成される領域の境界部分には、素子分離領域STIが形成されている。そして、素子分離領域STIの直下には、半導体基板10と同伝導型の、前述のp型ウェル領域36が形成されている。また一部領域では、ウェル領域36は半導体基板10の表面に達するように形成される(図14においてnMOS形成領域として示す)。これは、nチャネルMOSトランジスタの形成領域として使用される。勿論、ウェル領域36は前述の通りパンチスルー防止の役割も果たす。なお、ウェル領域36と、素子分離領域STIと素子領域AAとの境界との距離dを近づけることで、素子面積は縮小されるが、素子分離耐圧は劣化する。
【0097】
更に、素子分離領域STI底部におけるパンチスルーリーク電流を防止するために、前述のp型領域37が形成される。なお、p型領域37と、素子分離領域STIと素子領域AAとの境界との間の距離cを近づけることで、素子面積を縮小できるが、ソースおよびドレインの接合耐圧は劣化する。
【0098】
<効果>
以上のように、この発明の第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリであると、回路面積の増加を抑制しつつ昇圧効率を向上出来る。本効果につき、従来構成と比較しつつ、以下説明する。
【0099】
<<従来構成>>
整流素子と容量素子とを用いたチャージポンプ回路の構成としては、整流素子としてpn接合ダイオードを用いた構成が、従来より知られていた。しかし、pn接合ダイオードを使用する場合には、次のような問題があった。
【0100】
例えば、p型半導体基板上にMOSプロセスを用いて2端子の通常のダイオードを作る場合、半導体基板中にn型ウェル領域を形成し、次にそれよりもアクセプタ濃度の高いp接合をn型ウェル領域内に作成する。これにより、半導体基板とダイオードとを電気的に分離する。このn型ウェル領域は、MOSプロセスを用いた場合には、デザインルールの緩いリソグラフィによって形成する必要がある。従って、必然的に素子デザインは大きくなる。例えば、粗いリソグラフィで実現できるn型ウェル領域の幅は、0.6μm〜5μm程度となる。その結果、n型ウェル領域とp型半導体基板との対向面積が大きくなるため、接合リークが大きくなるという問題がある。
【0101】
また、上記ダイオードをp接合とn型ウェル領域とで作成した場合に、pn接合に順バイアスを印加した場合を考える。この場合、pn接合を通じて伝導電子がp型領域に流れ込み、正孔がn型領域に流れ込み、それら少数キャリアが蓄積される。ついで、この接合に逆バイアスが印加された場合、前記pn接合近傍に蓄積された少数キャリアが完全に引き抜きされる時間、いわゆる逆方向回復時間だけ、ダイオードのスイッチング時間が遅延する。その遅延時間は、例えば50ns〜500nsである。このため、ダイオードの高速なスイッチングが困難であり、電荷転送する周波数の上限がスイッチング時間の逆数で制限されるという問題もあった。
【0102】
上記の問題点に鑑みて、チャージポンプ回路の整流素子としては、MOSトランジスタを用いることが多い。つまり、MOSトランジスタのドレインとゲートを接続し、ドレイン電圧が閾値より高い場合にドレイン電流をソースに流し、低い場合に流さないようにすることで、整流素子を実現出来る。この場合、主として、ソースとドレインとの間の多数キャリアの走行時間、及びゲート容量とゲート抵抗の時定数によって、整流素子のスイッチング時間が決まる。このため、pn接合ダイオードよりも高速なスイッチングが可能となり、その時間は、例えば40ns〜100ns程度である。従って、ほぼ容量素子とトランジスタの抵抗で決まる充放電時間まで、電荷転送の周波数の上限を向上させることができる。また、MOSトランジスタを用いた整流素子であると、その閾値を、バックバイアス電圧として−Vdd〜−Voutが印加された場合に0Vより高くすることで、整流素子が実現出来る。その結果、バックバイアスが印加された場合の閾値を、pn接合の作りつけ電圧、例えば0.6Vよりも低くすることにより、より昇圧効率の高いチャージポンプ回路を実現することができる。
【0103】
しかしながら、MOSトランジスタを整流素子として使用したチャージポンプ回路であっても、従来は次のような問題があった。以下、本実施形態に係る図3と同様に、整流素子となるk個(kは自然数)のMOSトランジスタTRi(i=1〜k)が直列接続されている構成を考える。
【0104】
MOSトランジスタTRiは、昇圧動作によって、MOSトランジスタTR(i−1)よりも高い電圧がソース及びドレインに印加される。従って、MOSトランジスタTRiが共通のp型半導体基板上に形成されている場合には、MOSトランジスタTRのチャネル空乏層におけるアクセプタ電荷量が増え、しきい値が上昇する。これが、いわゆるバックバイアス効果である。バックバイアス効果により、導通状態として動作するMOSトランジスタTRiの閾値電圧Vthiは、導通状態として動作するMOSトランジスタTR(i−1)の閾値電圧Vth(i−1)よりも高くなる。
【0105】
ノードNiの最大電圧は、N(i−1)ノードの最大電圧よりも、(αVcc−Vthi)だけ高い。つまり、iが大きくなるほど、1段当たりで昇圧できる電圧は、Vthiが高くなる分だけ低下する。従って、最終段におけるMOSトランジスタTRk(i=k)では、昇圧効率の低下が最も顕著となる。
【0106】
このため、高電圧を発生させるためにはMOSトランジスタTRと容量素子の段数を増加させる必要があり、昇圧能力の低下と回路面積の増加という問題が生じる。また、MOSトランジスタTR2〜TRkが同一のサイズとされた構造や、また初段近傍のMOSトランジスタTR1においては、ソース及びドレインの直列抵抗が大きい。その結果、電流駆動能力を十分に確保できない問題がある。更に、最終段のMOSトランジスタTRkでは高耐圧を維持する必要がある。しかし、MOSトランジスタTR2〜TRkが同じサイズとされた場合、上記耐圧の維持と、上記電流駆動能力の確保とを両立することが困難であった。
【0107】
以上のように、MOSトランジスタを用いた整流素子を直列接続したチャージポンプ回路であると、次のような問題があった。すなわち、
(A)後段のMOSトランジスタほど、バックバイアス効果によって閾値電圧が上昇する。従って、高電圧を発生させるためには、MOSトランジスタと容量素子の段数を増加させる必要があった。その結果、昇圧能力が低下し、回路面積が増加する。
(B)1段目や2段目のMOSトランジスタが最終段のMOSトランジスタと同一のサイズであると、ソース及びドレインの直列抵抗が大きい。その結果、電流駆動能力が十分確保することが困難であった。
(C)上記電流駆動能力を確保しようとすると、後段のMOSトランジスタにおいて耐圧を維持が困難であった。
【0108】
図15は、例えば図3に示すチャージポンプ回路において、MOSトランジスタTR1〜TR9の距離a〜d及びゲート長gを同一とした際の、クロックφ2、/φ2、及びノードN1、N2、N8、N9の電圧のタイミングチャートである。一例として、距離b〜d及びゲート長gを、本実施形態におけるMOSトランジスタTR2と同一とし、距離aをMOSトランジスタTR4と同一とした場合について示す。なお、図中における破線は、本実施形態に係るチャージポンプ回路の波形である。図示するように、後段のMOSトランジスタTRほど出力電圧は低下し、最終段のMOSトランジスタTR9(ノード9)の出力電圧は、本実施形態に係る構成に比べて大幅に低下していることが分かる。
【0109】
<<本実施形態>>
本実施形態に係る構成であると、上記問題を解決出来る。本効果につき、図16乃至図32を用いて説明する。図16乃至図32は、MOSトランジスタTRのレイアウト寸法に応じた静特性を示すグラフであり、単位幅あたりの順方向電流の変化を定量的に議論出来るデータとなっている。なお図16乃至図32における×印が実際の値であり、丸印、三角印、及び四角印は×印の中央値であり、グラフ中の実線は中央値を結んだものである。また、以下における「表面接合耐圧」とは、MOSトランジスタTRのゲート電圧を0V、半導体基板10の電圧を0Vとしたままの状態において、ドレイン電圧を上昇した場合の接合耐圧のことである。この場合、通常の接合耐圧よりも、ゲート電極34の電圧によって半導体チャネル表面が蓄積状態に近いポテンシャルになる分、耐圧が劣化する。
【0110】
図16乃至図20は、距離aを変動させた場合の各種特性を示すグラフであり、図16は半導体基板10の電圧Vsubが0Vから−28Vに変化した際のMOSトランジスタTRの閾値電圧の増加量ΔVth、図17及び図18はドレイン及びゲートに対してソースよりも2.4Vだけ高い電圧を印加した際のMOSトランジスタTRの順方向電流Ion、図19及び図20はpn接合耐圧DSVpn及び表面接合耐圧DSVsurfを示す。なおa−Ion特性については、電圧Vsubが0V、−20V、−25V、及び−28Vの場合についてそれぞれ示している。
【0111】
図21及び図22は、距離bを変動させた場合の各種特性を示すグラフであり、それぞれpn接合耐圧DSVpn及び表面接合耐圧DSVsurfを示す。
【0112】
図23乃至図27は、距離cを変動させた場合の各種特性を示すグラフであり、図23は閾値電圧の増加量ΔVth、図24及び図25は順方向電流Ion、図26及び図27はpn接合耐圧DSVpn及び表面接合耐圧DSVsurfを示す。なおc−Ion特性については、電圧Vsubが0V、−25V、及び−28Vの場合についてそれぞれ示している。
【0113】
図28乃至図32は、距離dを変動させた場合の各種特性を示すグラフであり、図28は閾値電圧の増加量ΔVth、図29及び図30は順方向電流Ion、図31及び図32はpn接合耐圧DSVpn及び表面接合耐圧DSVsurfを示す。なおd−Ion特性については、電圧Vsubが0V、−25V、及び−28Vの場合についてそれぞれ示している。
【0114】
(1)MOSトランジスタTR2、TR3について
本実施形態に係るMOSトランジスタTR2、TR3の距離a2、a3は、MOSトランジスタTR4〜TR8の距離a4〜a8よりも小さくされている。より具体的にはa4〜a7を0.5μm〜1.2μmの間の一定とし、a2、a3をそれよりも0.1μm〜0.4μmだけ短い長さとしている。すると、図17及び図18に示すように、バックバイアス(Vsub)が0V〜20Vの範囲内であると、距離aが小さいMOSトランジスタTR2、TR3の順方向電流を、後段の距離aが大きいMOSトランジスタTR4〜TR9よりも増加させることが出来る。後述するが、順方向電流Ionの距離aに対する依存性が、バックバイアス=−20〜−25Vの間を境に逆転することを、本発明者は初めて発見した。
【0115】
なお、距離aを小さくすると、図20に示すように耐圧、特に表面接合耐圧DSVsurfが劣化する。しかし、距離a2、a3と距離a4〜a7との差を0.4μm以下に制限することで、距離a4〜a7の場合と比べた耐圧DSVsurfの劣化を5V以下に抑えることが出来る。
【0116】
例えば図13に示したように、チャージポンプ回路がVoutに昇圧時に停止した場合、MOSトランジスタTR2、TR3のドレインには、出力ノードからMOSトランジスタTR4〜TR9を介した逆流により、ノードN2にVoutが印加される場合が考えられうる。このような状況は、例えば、本NAND型フラッシュメモリの外部電源が、停電等により急激に低下した場合に起こりうるが、このような場合でも耐圧破壊が生じないように製品回路設計を行う必要がある。特に、高電圧側(後段側)のMOSトランジスタTRでは、バックバイアス効果によりしきい値が例えば0.5V以上且つ2V以下に上昇するため、後段側の電圧ノードよりも前段側の電圧ノードで、前記しきい値分電圧降下が生じる。よって、ノードN2の電位が上昇する問題を効果的に抑制することが出来る。よって、本実施形態のように、後段側のMOSトランジスタTR9等のノードN9よりも表面耐圧や接合耐圧が低いMOSトランジスタを、前段側の例えばMOSトランジスタTR2、TR3に用いても、絶縁破壊が起きることを防止出来る。
【0117】
また、図16に示すように、MOSトランジスタTR2、TR3の距離a2、a3を小さくすることで、バックバイアスが0Vから−28Vとなった際の閾値電圧の増加は大きくなる。しかし、MOSトランジスタTR2、TR3は、前段側のMOSトランジスタであるので、閾値電圧の上昇よりも、順方向電流が増加する効果の方がはるかに大きく、整流素子に流れる単位幅あたりの電流を増大する効果がある。
【0118】
(2)MOSトランジスタTR1について
本実施形態に係る構成であると、MOSトランジスタTR1は、距離a2、a3と等しい距離a1を有する。またそのゲート長g1は、MOSトランジスタTR2〜TR9のゲート長g2〜g9よりも大きくされる。すなわち、g2〜g9は例えば1.5μm〜3.5μmであり、例えば2.4μmである。他方、g1はg2〜g9よりも0.4μm〜1.0μmの範囲で小さくされ、例えば3.0μmである。
【0119】
このような寸法とすることで、図13に示すような状況において、電流がVddノードへ逆流することを防止出来る。この点について以下説明する。MOSトランジスタTR1は、MOSトランジスタTR2よりも電流端子の最大電位が低く、電流を転送する場合のバックバイアスによる閾値電圧の上昇の程度が小さい。そのため、MOSトランジスタTR1をMOSトランジスタTR2〜TR9と同じ寸法で形成すると、MOSトランジスタTR9における電荷転送の要求を満たすために、MOSトランジスタTR1の閾値電圧もより低下することになる。すると、図13の状況では、ノードN1からVddノードに向かってリーク電流が流れやすくなる。しかし、本実施形態に係る構成であると、g1>g2〜g9とされている。従って、MOSトランジスタTR1におけるショートチャネル効果を抑制することで、閾値電圧を上昇させることが出来る。また、ソース及びドレイン32間の距離を大きく出来、ソースとドレインとの間のリーク電流を防止することができる。これにより、Vddノードにおける電圧変動を防止し、ノードN1からVddノードに電流が逆流することを抑制できる。
【0120】
(3)MOSトランジスタTR4〜TR9について
(3−1)距離bについて
更に本実施形態では、MOSトランジスタTR4〜TR9につき、ゲート幅方向における距離bを、MOSトランジスタTR1〜TR3よりも大きくしている。距離b1〜b3は、例えば0μm〜1.0μmの一定値であり、距離b4〜b9は、b1〜b3よりも0.1μm〜0.4μmの範囲で大きくされる。
【0121】
図21及び図22に示すように、距離bを増加させることで、耐圧の向上が図れる。この際、図6に示すように、拡散層32のゲート幅方向に沿った幅を、MOSトランジスタTR2に比べて小さくすることで、素子領域のサイズを増大させることなく、距離bを小さくすることが出来る。なお、ゲート長方向に沿った距離bは、接合耐圧に問題がなければMOSトランジスタTR1〜TR3と同じであっても良い。ゲート長方向に沿った距離b4〜b9は、例えば0μm以上且つゲート幅方向に沿ったb4〜b9以下とされる。
【0122】
なお、図4、図6、及び図7に示すように、拡散層32の端部から、当該拡散層32上に形成されたコンタクトプラグCP4、CP5までの距離は、通常、一定とされる。従って、コンタクトプラグCP4、CP5から、それに近接する素子分離領域STI端部との距離も、MOSトランジスタTR1〜TR3がMOSトランジスタTR4〜TR9よりも小さくなる。つまり、距離bは、「コンタクトプラグCP4、CP5から、素子分離領域STI(つまり素子領域AAと素子分離領域STIとの境界)までの、ゲート幅方向に沿った距離」、と言うことも出来る。
【0123】
(3−2)距離cについて
また本実施形態では、MOSトランジスタTR4〜TR9につき、距離cを、MOSトランジスタTR1〜TR3よりも大きくしている。距離c1〜c3は、例えば0.2μm〜1.0μmの間の一定値であり、c4〜c9はc1〜c3よりも0.1μm〜0.6μmの範囲で長くされる。
【0124】
すると、図23に示すように、距離cを大きくすることで、バックバイアスが0Vから−28Vに変化した際の閾値電圧の増加量を削減出来る。従って、MOSトランジスタTR4〜TR9は、前段のMOSトランジスタTR1〜TR3に比べて、より高い昇圧電圧の転送が可能になる。
【0125】
更に図24及び図25に示すように、バックバイアスが0V〜−28Vの間のいずれの条件であっても、距離cを増加させることで順方向電流を増加させることが出来る。これにより、MOSトランジスタTR1〜TR3に比べて、より大きな昇圧電流を流すことが出来る。
【0126】
これは、バックバイアスが印加されると半導体基板10中に空乏層が広がるが、領域37の存在により空乏層端が固定されるため、閾値電圧の上昇が緩和されるためと考えられる。このため、よりバックバイアスが印加される条件の方が、距離cの増大による順方向電流の増加割合が大きく、より効果がある。よって、本実施形態のように、バックバイアスがあまり印加されない昇圧初段近傍のMOSトランジスタTR1〜TR3よりも、より大きなバックバイアスが印加されるMOSトランジスタTR4〜TR9において、距離cを増大させることが好ましい。これにより、チャージポンプ回路の、回路面積に対する昇圧能力を向上出来る。
【0127】
また図27及び図28に示すように、距離cを大きくすることで、接合耐圧、特に表面接合耐圧DSVsurfも向上させることができる。これは、ソース及びドレイン32と領域37との距離が大きくなることで、pn接合の電界がより緩和されるためと考えられる。
【0128】
(3−3)距離dについて
更に本実施形態では、MOSトランジスタTR4〜TR9につき、距離dをMOSトランジスタTR1〜TR3よりも大きくしている。距離d1〜d3は、例えば0.6μm〜1.6μmの間の一定値とされ、距離d4〜d9は、距離d1〜d3よりも0.1μm〜0.6μmの範囲で大きくされる。
【0129】
すると、図28に示すように、距離dを大きくすることで、バックバイアスが0Vから−28Vに変化した際の閾値電圧の増加量を削減出来る。従って、MOSトランジスタTR4〜TR9は、前段のMOSトランジスタTR1〜TR3に比べて、より高い昇圧電圧の転送が可能になる。
【0130】
更に図29及び図30に示すように、バックバイアスが0V〜−28Vの間のいずれの条件であっても、距離dを増加させることで順方向電流を増加させることが出来る。これにより、MOSトランジスタTR1〜TR3に比べて、より大きな昇圧電流を流すことが出来る。このことは、距離cにつき図24及び図25を用いてした説明と同様である。
【0131】
また図31及び図32に示すように、距離dを大きくすることで、接合耐圧、特に表面接合耐圧DSVsurfも向上させることができる。これは、ソース及びドレイン32と領域36との距離が大きくなることで、pn接合の電界がより緩和されるためと考えられる。
【0132】
(4)MOSトランジスタTR8、TR9について
MOSトランジスタTR8、TR9については、上記(3)に加えて、距離aをMOSトランジスタTR1〜TR7よりも大きくしている。距離a4〜a7は前述の通り0.5μm〜1.2μmの間の一定値とされ、距離a8、a9はa4〜a9よりも0.2μm〜0.8μmの範囲で大きくされる。
【0133】
前述の通り、距離aに対する順方向電流Ionの依存性は、バックバイアスの絶対値が20Vより小さい場合と25Vより大きい場合とで逆転することを、本願発明者は発見した。図17及び図18に示すように、バックバイアスの絶対値が20Vよりも小さい場合には、距離aの増加に対して順方向電流Ionは低下する。逆にバックバイアスの絶対値が25Vよりも大きい場合には、距離aの増加に対して順方向電流Ionは増加する。
【0134】
すると、前段に比べて後段のMOSトランジスタTRはバックバイアスが大きく、特に最終段のMOSトランジスタTR9及びその直前のMOSトランジスタTR8では非常に大きくなる。従って、MOSトランジスタTR8、TR9ではバックバイアスの絶対値が25V以上となることが考えられ、その場合には、距離aを増加させたことにより、順方向電流を増加させることが出来る。その結果、MOSトランジスタTR8、TR9の駆動力を向上出来る。また、図20に示すように、表面接合耐圧DSVsurfも向上する。従って、図13のようなケースであっても、MOSトランジスタTR8、TR9の耐圧を維持出来る。このことは、バックバイアスの絶対値が25V程度に大きい場合には、閾値電圧の上昇が抑制し、ゲート電圧と閾値電圧の差を十分に確保することが、電流をより多く流せることを示している。従って、このような構造を採用することで、より昇圧電流を増加出来る。
【0135】
更に距離aを大きくすることで、ソース及びドレイン31のゲート長方向に沿った長さ、いわゆるLDD長を大きく出来る。これにより、MOSトランジスタTR8、TR9において、高電圧バイアス時に、ドレインからゲートにかけての電界を緩和でき、MOSトランジスタTR8、TR9の信頼性を向上出来る。
【0136】
なお、図4、図6、及び図7に示すように、拡散層32の端部から、当該拡散層32上に形成されたコンタクトプラグCP4、CP5までの距離は、通常、一定とされる。従って、コンタクトプラグCP4、CP5から、それに近接するゲート電極34までの距離も、MOSトランジスタTR8、TR9が最も大きく、次にMOSトランジスタTR3〜TR7が大きく、MOSトランジスタTR1〜3が最も小さくなる。つまり、距離aは、「コンタクトプラグCP4、CP5からゲート電極までの距離」、と言うことも出来る。
【0137】
(5)まとめ
以上のように、MOSトランジスタTR1〜TR9を上記レイアウト寸法とすることにより、より効率の高い、信頼性に優れたチャージポンプ回路が得られる。MOSトランジスタTR2〜TR9は、従来に比べて順方向電流が向上されているため、その分、占有面積を従来よりも削減出来る。更に、MOSトランジスタTR4〜TR9では、バックバイアス印加時の閾値電圧の上昇が抑制されるため、より少ない昇圧段数で高い電圧が得られる。
【0138】
より具体的には、前段のMOSトランジスタTR2、TR3では、距離aを小さくすることで、電流駆動力を確保出来る。これより、上記した(B)の問題点が解決される。この際、距離aを小さくすることで表面接合耐圧DSVsurfが低下するが、距離aについてのMOSトランジスタTR4〜TR8との差を制限することで、その劣化の程度は5V以下に抑えることが出来る。また閾値電圧が上昇することについては、MOSトランジスタTR2、TR3はチャージポンプ回路内の前段に位置するので、実使用上、問題となることは無い。
【0139】
次に後段のMOSトランジスタTR4〜TR9では、距離b、c、dを大きくすることで、耐圧を向上出来る。これにより、上記(B)の問題が解決される。更に、距離c、dを大きくすることで、電流駆動力を向上出来、また閾値電圧の上昇も抑制出来る。これにより、上記(A)、(C)の問題点が解決される。
【0140】
更にMOSトランジスタTR8、TR9では、距離aを大きくしている。その結果、電流駆動力を向上出来、また耐圧も向上される。このことによっても、上記(A)、(C)の問題が解決される。
【0141】
勿論、距離a〜d及びゲート長gの寸法の全てを、上記のように設定する必要は無く、少なくともいずれかのみを上記条件で設計することでも、従来に比べてチャージポンプ回路の特性を向上でき、効果が得られる。
【0142】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る半導体装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態で説明した構成において、3相クロックを使用したものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0143】
図33は、本実施形態に係るチャージポンプ回路6の回路図である。図中における破線は、その内部にあるMOSトランジスタTRが同一寸法であることを示す。図示するように、本実施形態に係るチャージポンプ回路6は、下記の点で上記第1の実施形態で説明した図3の構成と異なる。すなわち、ノードNj(j=1、4、7)に接続された容量素子Cjの他方電極にはクロックφ3_1が入力される。また、ノードN(j+1)に接続された容量素子C(j+1)の他方電極にはクロックφ3_2が入力される。更に、ノードN(j+2)に接続された容量素子C(j+2)の他方電極にはクロックφ3_3が入力される。そして、クロックφ3_1〜φ3−3は、互いに位相がずれた波形を有しており、例えば120度ずつ位相がずれている。また、クロックφ3_1〜φ3−3は、立ち上がりエッジにおける傾き(スルーレート)が、立ち下がりエッジにおける傾きよりも小さくされている。つまり、クロックの立ち上がりは立ち下がりよりも遅くされている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0144】
本実施形態のように、3相クロックを用いたチャージポンプ回路6に対しても、上記第1の実施形態を適用することが出来、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、図34に示す3相クロックを使用することで、整流素子として逆方向電流の大きいMOSトランジスタを用いた場合であっても、電荷を効率的に転送出来る。なぜなら、図34に示すように、例えばクロックφ3_2がGNDからVccに上昇するタイミングでは、クロックφ3_1はVccまで上昇しているため、接合の逆方向に電流が流れにくくなっている。更に、上記タイミングにおいてクロックφ3_3は速やかにGNDに立ち下がるため、例えば容量素子C2からC3方向に選択的に電流が流れやすいためである。更に、上記説明した逆方向回復時間を、電圧が上昇する側のスルーレートが遅いランプ部分で確保することが出来る。従って、昇圧電位側から低電位側への逆流がより小さいチャージポンプ回路が実現できる。
【0145】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る半導体装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態で説明した構成において、4相クロックを使用したものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0146】
図35は、本実施形態に係るチャージポンプ回路6の回路図である。図中における破線は、その内部にあるMOSトランジスタTRが同一寸法であることを示す。図示するように、本実施形態に係るチャージポンプ回路6は、下記の点で上記第1の実施形態で説明した図3の構成と異なる。すなわち、ノードNj(j=1、5)に接続された容量素子Cjの他方電極にはクロックφ4_1が入力される。また、ノードN(j+1)に接続された容量素子C(j+1)の他方電極にはクロックφ4_2が入力される。更に、ノードN(j+2)に接続された容量素子C(j+2)の他方電極にはクロックφ4_3が入力される。更に、ノードN(j+3)に接続された容量素子C(j+3)の他方電極にはクロックφ4_4が入力される。そして、クロックφ4_1〜φ4−4は、互いに位相がずれた波形を有しており、例えば90度ずつ位相がずれている。なお第3の実施形態と異なり、クロックφ4_1〜φ4−4は、立ち上がりエッジにおける傾きと立ち下がりエッジにおける傾きとは同様とされて良い。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0147】
本実施形態のように、4相クロックを用いたチャージポンプ回路6に対しても、上記第1の実施形態を適用することが出来、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、図36に示す4相クロックを使用することで、第3の実施形態と同様に、電荷を効率的に転送出来る。なぜなら、図36に示すように、例えばクロックφ4_2がGNDからVccに上昇するタイミングでは、クロックφ4_1はVccまで上昇しているため、接合の逆方向に電流が流れにくくなっている。更に、上記タイミングにおいてクロックφ4_3はGNDとなっているため、例えば容量素子C2からC3方向に選択的に電流が流れやすいためである。更に、第3の実施形態と同様に、逆方向回復時間をクロックの立ち上がりのランプ部分で確保することが出来る。従って、昇圧電位側から低電位側への逆流がより小さいチャージポンプ回路が実現できる。
【0148】
以上のように、この発明の第1乃至第3の実施形態で説明した半導体装置であると、回路面積の増加を抑制しつつ昇圧効率を向上出来るチャージポンプ回路を実現出来る。すなわち、チャージポンプ回路6内において直列接続された整流素子TRにおける寸法(距離a〜d及び幅g)を、直列接続の前段から後段に向かって系統的に変化させている。
【0149】
例えば、整流素子TRにおけるソース及びドレイン32とそれに近接するゲート電極との距離をxとすると、チャージポンプ回路6における高電圧印加部分では、xを大きくする。これにより、整流素子TRにおけるバックバイアス効果を低減し、単位幅当たりの電流を十分に確保出来る。他方、低電圧印加部分ではxを小さくする。これにより、低電圧印加部分においても、整流素子TRの単位幅当たりの電流を十分に確保出来る。その結果、回路面積を縮小しつつ、より高効率なチャージポンプ回路5を実現出来る。
【0150】
また、上記実施形態では、MOSトランジスタTR2、TR3が同一寸法であり、MOSトランジスタTR4〜TR8が同一寸法であり、MOSトランジスタTR8、TR9が同一寸法である場合を例に説明した。しかし、いずれのMOSトランジスタTR同士を同一寸法とするかについては、この限りでは無く、必要とされる耐圧や電流駆動力を満たすよう、適宜選択出来る。つまり、距離a〜dは、印加される電圧の絶対値が大きいMOSトランジスタTR(すなわち、後段側のMOSトランジスタ)ほど大きくされれば良い。このことは、正電圧を発生するチャージポンプ回路のみならず、負電圧を印加するチャージポンプ回路であっても同様である。すなわち、上記実施形態では正電圧を発生するチャージポンプ回路の場合を例に説明したが、負電圧を発生するチャージポンプ回路にも適用可能である。
【0151】
従って、距離a〜dは、図11の場合に限らず、例えば図37に示すように、距離a〜dの全てを、全てのMOSトランジスタTRにつき、変化させた場合であっても良い。勿論、図37の場合に限定されるものでも無く、MOSトランジスタTRの接続順について距離a〜d及び幅gの大小関係を維持していれば、各寸法はそれぞれ独立して設定されて良い。
【0152】
この点につき、図38を用いて説明する。図38は、チャージポンプ回路6内における整流素子(MOSトランジスタTR)の位置と、その位置に応じた各MOSトランジスタTRの発生電圧の絶対値、距離a〜d、及びゲート長gの関係を示すグラフである。なお図38では、整流素子をダイオードとして記載している。
【0153】
図示するように、MOSトランジスタTRi〜TR(i+h)が直列接続されており(hは1以上の自然数)、MOSトランジスタTR(i+h)はMOSトランジスタTRiよりも出力ノードNout側に位置している。MOSトランジスタTRiの前段に更にMOSトランジスタTRが存在しても良いし、MOSトランジスタ(i+h)の後段に更にMOSトランジスタTRが存在しても良いし、またはMOSトランジスタTRiとMOSトランジスタTR(i+h)との間にMOSトランジスタTRが更に存在していても良い。そして、MOSトランジスタ(i+h)の発生電圧は、それより前段のMOSトランジスタTRiの発生電圧よりも大きい。
【0154】
上記のような直列接続構造において、MOSトランジスタ(i+h)における距離a〜dは、MOSトランジスタTRiにおける距離a〜dよりもそれぞれ大きくされる。またMOSトランジスタTRiにおけるゲート長gは、MOSトランジスタTR(i+h)のゲート長gよりも大きくされる。
【0155】
そして、MOSトランジスタTRiとMOSトランジスタTR(i+h)の間に更にMOSトランジスタTRが存在する場合には、その距離a〜dは、MOSトランジスタTRiと同一かそれよりも大きくされ、またMOSトランジスタ(i+h)と同一かそれよりも小さくされる。またそのゲート長gは、MOSトランジスタTRiと同一かそれよりも小さくされ、またMOSトランジスタ(i+h)と同一かそれよりも大きくされる。
【0156】
また、上記実施形態では、半導体基板10として、表面のアクセプタ濃度が1014cm−3以上且つ5×1016cm−3以下であるp型半導体基板を用いる場合について説明した。しかし、MOSトランジスタTRの閾値電圧を調整するために、例えば表面から0.5μmの深さの範囲において、1014cm−3以上且つ5×1016cm−3以下のアクセプタ濃度のピークを有するように、ボロンやインジウム等をイオン注入しても良い。
【0157】
なお、この発明の実施形態は上記に限定されるものでは無い。例えば、素子分離用の絶縁膜や絶縁膜形成法は、シリコンをシリコン酸化膜やシリコン窒化膜に変換する以外の方法を用いても良い。例えば、酸素イオンを堆積したシリコンに注入する方法や、堆積したシリコンを酸化する方法を用いてもかまわない。また、ゲート間絶縁膜15及びブロック絶縁膜44は、Ti0やHfO、Al、HfAlO、HfSiO、タンタル酸化膜、チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム鉛、シリコン酸窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、或いはこれらのそれら積層膜を用いてもよい。
【0158】
また上記実施形態では、半導体基板10としてp型シリコン基板を用いる例について説明した。しかし、p型シリコン基板の代わりにSiGe混晶、SiGeC混晶など、シリコンを含む他の単結晶半導体基板でもよい。さらに、ゲート電極の一部となる導電層14、43は、SiGe混晶、SiGeC混晶、TiSi、NiSi、CoSi、TaSi、WSi、MoSiなどのシリサイドやポリサイド、Ti、Al、Cu、TiN、Wなどの金属を用いることができ、多結晶であってもよいし、これらの積層権造にしてもよい。また、導電層14、16、43、45としては、アモルファスシリコン、アモルフアスSiGe、アモルファスSiGeCを用いることができ、これらの積層構造にしてもよい。
【0159】
また、上記実施態様ではNAND型フラッシュメモリの場合を例に挙げて説明した。しかし、例えばNAND型フラッシュメモリにおいてメモリセルトランジスタ数を1個にした3Tr−NAND型フラッシュメモリや、NOR型フラッシュメモリにも適用出来る。また、3Tr−NAND型フラッシュメモリにおいてドレイン側の選択トランジスタST1を排除した2Tr型フラッシュメモリにも適用出来、積層ゲート構造を備えた不揮発性半導体メモリ全般に広く適用可能である。
【0160】
更に上記実施態様では、多結晶シリコン膜3を浮遊ゲートとして用いたNAND型メモリセルについて詳述したが、勿論、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、HfSiO膜、HfAlO膜、AlOx膜、HfO膜、TiO膜、TaO膜または、それらの積層構造を電荷蓄積層に用いた、いわゆるMONOS構造のNAND型メモリについても適用できることは明らかである。また、金属シリサイド層を制御ゲート電極1として適用した場合には、絶縁膜12に接するまで形成されていても良い。
【0161】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリのブロック図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係るメモリセルアレイの断面図。
【図3】この発明の第1の実施形態に係るチャージポンプ回路の回路図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタTR1の平面図。
【図5】この発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタTR2の平面図。
【図6】この発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタTR4の平面図。
【図7】この発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタTR9の平面図。
【図8】図7におけるX1−X1’線に沿った断面図。
【図9】図7におけるX2−X2’線に沿った断面図。
【図10】図7におけるY1−Y1’線に沿った断面図。
【図11】この発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタTR1〜TR9における距離a〜d及びゲート長gを示すグラフ。
【図12】この発明の第1の実施形態に係るチャージポンプ回路の各ノードにおける電圧を示すタイミングチャート。
【図13】この発明の第1の実施形態に係るチャージポンプ回路の各ノードにおける電圧を示すタイミングチャート。
【図14】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリの断面図。
【図15】チャージポンプ回路の各ノードにおける電圧を示すタイミングチャート。
【図16】距離aと閾値電圧の増加量との関係を示すグラフ。
【図17】距離aと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図18】距離aと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図19】距離aとpn接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図20】距離aと表面接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図21】距離bとpn接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図22】距離bと表面接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図23】距離cと閾値電圧の増加量との関係を示すグラフ。
【図24】距離cと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図25】距離cと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図26】距離cとpn接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図27】距離cと表面接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図28】距離dと閾値電圧の増加量との関係を示すグラフ。
【図29】距離dと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図30】距離dと順方向電流との関係を示すグラフ。
【図31】距離dとpn接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図32】距離dと表面接合耐圧との関係を示すグラフ。
【図33】この発明の第2の実施形態に係るチャージポンプ回路の回路図。
【図34】この発明の第2の実施形態に係るチャージポンプ回路の各ノードにおける電圧を示すタイミングチャート。
【図35】この発明の第3の実施形態に係るチャージポンプ回路の回路図。
【図36】この発明の第3の実施形態に係るチャージポンプ回路の各ノードにおける電圧を示すタイミングチャート。
【図37】この発明の第1乃至第3の実施形態に係るMOSトランジスタTR1〜TR9における距離a〜dを示すグラフ。
【図38】この発明の第1乃至第3の実施形態に係るMOSトランジスタTRi、TR(i+h)における、発生電圧、距離a〜d、及びゲート長gを示すグラフ。
【符号の説明】
【0163】
1…NAND型フラッシュメモリ、2…メモリセルアレイ、3…ロウデコーダ、4…電圧発生回路、5…制御回路、6…チャージポンプ回路、10…半導体基板、11、12、36…ウェル領域、13、42…ゲート絶縁膜、14、16、43、45…導電層、15…ゲート間絶縁膜、17、31−1、31−2、32−1、32−2、37…不純物拡散層、18、19、22、41…絶縁膜、21、23、33、35…金属配線層、40…溝、44…ブロック絶縁膜、34…ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域に周囲を取り囲まれた複数の素子領域と、
いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成され、ソース、ドレイン、及びゲートをそれぞれ有するMOSトランジスタと、
いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成された複数の容量素子と、
複数の前記MOSトランジスタの電流経路が直列接続され、且つ前記MOSトランジスタの前記ソース及びドレインのいずれかに前記容量素子が接続され、前記直列接続の最終段における前記MOSトランジスタから電圧を発生する電圧発生回路と、
前記ソース及びドレインの少なくともいずれかの領域上に形成され、前記MOSトランジスタ同士の接続、または前記MOSトランジスタと前記容量素子との接続に用いられるコンタクトプラグと、
前記電圧発生回路から発生される電圧が印加され、データを保持するメモリセルと
を具備し、各々の前記素子領域において、前記ゲートと前記コンタクトプラグとの間の距離は、前記直列接続において後段に位置する前記MOSトランジスタほど大きくされる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
素子分離領域に周囲を取り囲まれた複数の素子領域と、
いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成され、ソース、ドレイン、及びゲートをそれぞれ有するMOSトランジスタと、
いずれかの複数の前記素子領域上にそれぞれ形成された複数の容量素子と、
複数の前記MOSトランジスタの電流経路が直列接続され、且つ前記MOSトランジスタの前記ソース及びドレインのいずれかに前記容量素子が接続され、前記直列接続の最終段における前記MOSトランジスタから電圧を発生する電圧発生回路と、
前記ソース及びドレインの少なくともいずれかの領域上に形成され、前記MOSトランジスタ同士の接続、または前記MOSトランジスタと前記容量素子との接続に用いられるコンタクトプラグと、
前記電圧発生回路から発生される電圧が印加され、データを保持するメモリセルと
を具備し、各々の前記素子領域において、前記ゲートのゲート幅方向に沿った前記コンタクトプラグと前記素子分離領域との間の距離は、前記直列接続において後段に位置する前記MOSトランジスタほど大きくされる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記容量素子の各々は、前記素子領域の表面領域内に形成され且つ一方電極として機能するウェル領域と、
前記ウェル領域上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、他方電極として機能するゲートと
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記素子領域は、表面から1μmまでの深さの領域において、1014cm−3〜5×1016cm−3の濃度で添加されたp型不純物を含有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子分離領域直下に設けられ、含有するp型不純物のピーク濃度が1016cm−3〜1018cm−3である不純物領域を更に備え、
前記素子領域と前記不純物領域との間の間隔は、0.2μm〜1.6μmである
ことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−141218(P2009−141218A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317582(P2007−317582)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】