半導体装置とその製造方法
【課題】絶縁膜を研磨せずに、該絶縁膜からゲート電極の上面を露出させることが可能な半導体装置とその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコン基板1の上にゲート絶縁膜5を形成する工程と、ゲート絶縁膜5の上にゲート電極7aを形成する工程と、ゲート電極7aを覆うように液状の絶縁性材料20を塗布する工程と、絶縁性材料20に鋳型100を押し当てることにより、ゲート電極7aの上方の絶縁性材料20を押し流す工程と、絶縁性材料20を硬化して絶縁膜21にする工程と、硬化の後、ゲート電極7a上に高融点金属膜を形成する工程と、高融点金属膜をアニールすることにより、ゲート電極7aの全体をシリサイド化する工程とを有する半導体装置の製造方法による。
【解決手段】シリコン基板1の上にゲート絶縁膜5を形成する工程と、ゲート絶縁膜5の上にゲート電極7aを形成する工程と、ゲート電極7aを覆うように液状の絶縁性材料20を塗布する工程と、絶縁性材料20に鋳型100を押し当てることにより、ゲート電極7aの上方の絶縁性材料20を押し流す工程と、絶縁性材料20を硬化して絶縁膜21にする工程と、硬化の後、ゲート電極7a上に高融点金属膜を形成する工程と、高融点金属膜をアニールすることにより、ゲート電極7aの全体をシリサイド化する工程とを有する半導体装置の製造方法による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置が備えるMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタのゲート電極は、ポリシリコンから構成されるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、ポリシリコンよりなるゲート電極には、ゲート絶縁膜との界面に空乏層が生じてゲート絶縁膜の実効膜厚が増加し、動作速度の低下といった電気的特性の劣化が起こるという問題がある。
【0004】
そのような問題を解決すべく、ゲート電極の全体をシリサイド化し、ゲート電極の空乏化を抑制するフルシリサイドゲート電極が従来から提案されている。
【0005】
シリサイド化技術自体は、ソース/ドレイン領域上にシリサイド層を自己整合的に形成するプロセスとして既に確立されているので、フルシリサイドゲート電極は既存のプロセスで容易に作製され得る。また、ゲート電極の全体をシリサイド化すると、ゲート電極と同じプロセスで形成される素子分離絶縁膜上の局所配線もその全体がシリサイド化されるので、局所配線が低抵抗化されるという付加的な利点も得られる。
【0006】
ところで、ゲート電極の高さは、ソース/ドレイン領域に形成されるシリサイド層の厚さよりも高いので、ソース/ドレイン領域にシリサイド層を形成する工程においてゲート電極の全体をシリサイド化するのが困難である。
【0007】
そのため、通常は、ソース/ドレイン領域のシリサイド層とは別工程でゲート電極の全体をシリサイド化する。
【0008】
シリサイド化の方法としては、例えば、シリコンよりなるゲート電極を絶縁膜で覆った後、その絶縁膜をCMPにより研磨することによりゲート電極の上面を絶縁膜から露出させ、その上面に高融点金属層を形成し、該高融点金属層を加熱してゲート電極のシリコンと反応させる方法がある。
【0009】
しかしながら、ゲート電極が半導体基板において占める面積の割合は非常に小さいため、CMPの終点検出は難しく、研磨をゲート電極の上面で正確に終了するのは極めて困難である。
【0010】
また、ゲート電極の配置に粗密差があると、配置が疎な領域でゲート電極が過剰に研磨されるディッシングという現象が発生し、ゲート電極の高さが基板面内でばらついてしまうという問題が発生する。
【0011】
更に、CMP法を用いたのでは、高価なCMP装置によって半導体装置の製造コストが上昇してしまう。
【0012】
なお、本発明に関連する技術が次の特許文献1〜4に開示されている。
【特許文献1】特開平11−8240号公報
【特許文献2】特開平7−221006号公報
【特許文献3】特許第3420590号明細書
【特許文献4】特許第3146780号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、絶縁膜を研磨せずに、該絶縁膜からゲート電極の上面を露出させることが可能な半導体装置とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点によれば、半導体基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆うように液状の絶縁性材料を塗布する工程と、前記絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、前記ゲート電極の上方の該絶縁性材料を押し流す工程と、前記絶縁性材料を硬化して絶縁膜にする工程と、前記硬化の後、前記ゲート電極上に高融点金属膜を形成する工程と、前記高融点金属膜をアニールすることにより、前記ゲート電極の全体をシリサイド化する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、前記ゲート電極の横の前記半導体基板上に形成され、溝を備えた塗布型の絶縁膜とを有する半導体装置が提供される。
【0016】
そして、本発明の他の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、前記半導体基板の上に形成され、前記ゲート電極を囲うダミーパターンと、前記半導体基板において前記ダミーパターンで囲まれた領域に形成された塗布型の絶縁膜とを有する半導体装置が提供される。
【0017】
次に、本発明の作用について説明する。
【0018】
本発明では、液状の絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、ゲート電極の上方の絶縁性材料を押した後、その絶縁性材料を硬化させて絶縁膜にする。これによれば、絶縁膜に対してCMPを行わなくても、絶縁膜からゲート電極の上面を露出させ、ゲート電極の全体をシリサイド化することができる。そのため、CMPを用いた場合のようなディッシングが発生しないと共に、CMP装置が不要となる分だけ半導体装置の製造コストを安価にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液状の絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより絶縁膜からゲート電極の上面を露出させるため、絶縁膜に対するCMPが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
図1〜図12は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。これらの図では、トランジスタ等の素子が形成される回路領域Iと、ダイシングによりチップに個片化する際の境界となるスクライブ領域IIとを併記する。
【0022】
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0023】
まず、シリコン(半導体)基板1に素子分離用の溝を形成し、その溝に素子分離絶縁膜2として酸化シリコン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、これに代えてLOCOS(Local Oxidation of Silicon)により素子分離を行ってもよい。
【0024】
その後に、素子分離絶縁膜2で囲まれた活性領域にp型不純物をイオン注入し、pウェル3を形成する。
【0025】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板1の表面を熱酸化する。これにより、厚さ約2nmの熱酸化膜よりなるゲート絶縁膜5が形成される。
【0026】
なお、熱酸化膜に変えて、実効膜厚の増大に有利な高誘電体膜、例えばハフニウムシリケート膜をゲート絶縁膜5として形成してもよい。
【0027】
なお、Mo、W、Hf、Zr、Ti、Ta、Nb、V、Cr、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cu、Al、Mg、Os、Tc、Re、Ru、Y及びLaを含むランタノイド又はアクチノイドのいずれかの純金属Mよりなる膜、或いはこの純金属Mの酸化物(MxOy)、窒化物(MxNy)、炭化物(MxCy)、若しくはこれらの混合物(MxOyNzCα:x, y, z,αは0を含む)よりなる膜をゲート絶縁膜5上に形成してもよい。
【0028】
次いで、このゲート絶縁膜5の上に、CVD法でポリシリコン膜7を厚さ約100nmに形成する。
【0029】
更に、ポリシリコン膜7の上に、第1キャップ膜8としてCVD法により厚さ約20nmの酸化シリコン膜を形成する。第1キャップ膜8は、高融点金属との間でシリサイド化反応が起きない膜でもよく、窒化シリコン膜であってもよい。
【0030】
そして、この第1キャップ膜8の上に、該第1キャップ絶縁膜8とエッチング選択性のある膜、例えばポリシリコン膜を第2キャップ膜9として形成する。
【0031】
第2キャップ膜9はポリシリコン膜に限定されない。例えば、SiGe等のシリコン化合物で第2キャップ膜9を構成してもよい。
【0032】
なお、これら第1、第2キャップ膜8、9は必須ではなく、場合によっては省いてもよい。
【0033】
続いて、図2(a)に示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングにより各膜7〜9をパターニングする。
【0034】
これにより、回路領域Iの活性領域には、パターニングされたポリシリコン膜7よりなるゲート電極7aと、第1、第2キャップ膜8、9との積層体が形成される。そして、回路領域Iの素子分離絶縁膜2上では、パターニングされたポリシリコン膜7よりなる局所配線7bと、第1、第2キャップ膜8、9との積層体が形成される。
【0035】
この後に、ゲート電極7aをマスクにしながらシリコン基板1にn型不純物をイオン注入することにより、ゲート電極7aの横のシリコン基板1にn型ソース/ドレインエクステンション11を形成する。
【0036】
次いで、図2(b)に示すように、シリコン基板1の上側全面にサイドウォール用絶縁膜13を形成する。サイドウォール用絶縁膜13としては、例えばCVD法により形成された酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜が形成される。或いは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜をサイドウォール用絶縁膜13として形成してもよい。
【0037】
そして、図3(a)に示すように、サイドウォール用絶縁膜13をエッチバックしてゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの横に絶縁性サイドウォール15として残す。
【0038】
次に、図3(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0039】
まず、絶縁性サイドウォール15とゲート電極7aとをマスクにして、シリコン基板1にn型不純物をイオン注入し、ゲート電極7aの横のシリコン基板1にn型のソース/ドレイン領域17を形成する。
【0040】
更に、シリコン基板1の上側全面にスパッタ法でニッケル層等の高融点金属層を形成する。そして、その高融点金属層をアニールしてソース/ドレイン領域17におけるシリコンと反応させ、金属シリサイド層18を形成する。
【0041】
このように金属シリサイド層18を形成すると、ポリシリコンよりなる第2キャップ膜9もシリサイド化されるが、ゲート電極7aと局所配線7bのシリサイド化は第1キャップ膜8により阻止される。従って、本工程では、第1キャップ膜8によりゲート電極7aと局所配線7bのシリサイド化を防止しつつ、ソース/ドレイン領域17に金属シリサイド層18を選択的に形成することができる。
【0042】
続いて、図4に示すように、ゲート電極7aと局所配線7bとを覆うようにしてシリコン基板1の上側全面に絶縁性材料20として液状のHSQ(hydro-silsesquioxane)を塗布する。
【0043】
絶縁性材料20はHSQに限定されず、液状から硬化する材料を絶縁性材料20として使用し得る。例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂、及びポリシラザンのいずれかを絶縁性材料20として用いてもよい。
【0044】
但し、後でゲート電極7aの全体をニッケルでシリサイド化する工程では熱処理温度が400℃程度必要となるので、材料の耐熱性を考慮すると、耐熱性が500℃程度の材料を絶縁性材料20として使用するのが好ましい。既述のシリコンをベースとしたHSQは、500℃程度の温度に耐え得るので、好適な材料の一つである。
【0045】
また、硬化の仕方も特に限定されず、溶媒揮発による硬化、ゾルゲル反応による硬化、熱硬化、及び紫外線照射硬化のいずれかで硬化する液状の材料を絶縁性材料20として用いることができる。
【0046】
ところで、塗布した時点では絶縁性材料20は液状のままであり、下地の起伏を反映した凹凸が絶縁性材料20の表面に現れる。絶縁性材料20の厚さは下地の形状に依存し、上面が広い凸パターンの上では上面が狭い凸パターンの上におけるよりも絶縁性材料20が厚く形成される。
【0047】
例えば、上面が狭い右側のゲート電極7aの上では絶縁性材料20の厚さは3nm程度以下の厚さとなるが、上面が広い左側のゲート電極7bの上では10nm程度の厚さとなる。特に、一辺の長さが1μmよりも広い凸パターンの上面でこのような絶縁性材料20の厚膜化が顕著となる。
【0048】
このようにゲート電極7aの上で厚く形成された絶縁性材料20は、後の工程でゲート電極7aをシリサイド化するのを阻害してしまう。
【0049】
そこで、次の工程では、図5に示すように、絶縁性材料20に鋳型100のキャビティ100c側を押し当てることにより、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上方の絶縁性材料20を押し流す。
【0050】
これにより、絶縁性材料20の表面の平坦化を、ゲート電極7aの上面の幅に依存せずに行うことができる。
【0051】
鋳型100を押し当てる圧力は、第2キャップ膜9上から絶縁性材料20が排除されるのに必要な圧力、例えば垂直圧力にして0.1MPa程度が好ましい。
【0052】
その鋳型100には、スクライブ領域IIの素子分離絶縁膜2に当たる突起100aが設けられる。
【0053】
その突起100aの高さHは、ゲート絶縁膜5、ゲート電極7a、及び第1、第2キャップ膜8、9の合計膜厚に等しい。このような高さHにすることで、押圧時における鋳型100とシリコン基板1との平行性を保ちながら、ゲート電極7aと局所配線7bに鋳型100から過度の圧力が印加されるのが防止されると共に、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面から絶縁性材料20を効率的に押し流すことができる。
【0054】
なお、第1、第2キャップ膜8、9を省く場合は、突起100aの高Hさをゲート電極7aとゲート絶縁膜5の合計の高さに等しくすることで、ゲート電極7a上の絶縁性材料20を鋳型100で効果的に押し出すことができる。
【0055】
ここで、押圧時に突起100aが接触する部分に回路等が形成されていると、回路が破壊されてしまうので、本実施形態のように回路が形成されていないスクライブ領域IIに突起100aが当たるようにするのが好ましい。
【0056】
また、この例では、スクライブ領域IIに素子分離絶縁膜2が形成されているが、素子分離絶縁膜2が存在せずにシリコン基板1が露出している部分のスクライブ領域に突起100aが当たるようにしてもよい。
【0057】
更に、回路領域Iにおいて回路が形成されていない空き領域に突起100aが当たるようにしてもよい。
【0058】
鋳型100の材料としては例えばステンレスを使用することができる。ステンレスに代えて、石英、シリコン、シリコンカーバイド、合成ダイヤモンドのいずれかで鋳型100を構成してもよい。特に、後述する硬化プロセスに光照射を用いる場合には、使用する光を透過させる目的で、石英などの透過性材料で鋳型100を構成するのが好ましい。
【0059】
また、鋳型100の表面にテフロン(デュポン社の登録商標)等のフルオロカーボン樹脂よりなる薄膜を形成してもよい。これにより、液状の絶縁性材料20が鋳型100の表面と高い接触角で接するようになり、絶縁性材料20の離型性が向上する。
【0060】
本実施形態では、このようにして鋳型100を絶縁性材料20に押し当てた状態で、絶縁性材料20に対して熱処理を行うことにより、絶縁性材料20を構成するHSQをキュア(硬化)する。そのキュアの条件は特に限定されないが、例えば基板温度を約140℃から徐々に上げ225℃に達しさせ、処理時間を約3分とする。
【0061】
キュアを終了した後は、絶縁性材料20に残存する溶媒成分を完全に揮発させるために、ベークと呼ばれる熱処理を絶縁性材料20に対して行う。
【0062】
ベークは、鋳型100を押し当てた状態で行ってもよいし、鋳型100を外した状態で行ってもよい。
【0063】
鋳型100を押し当てた状態でベークを行うと、キュアによって定まった絶縁性材料の20外形を維持し易くなる。その場合、キャビティ100cから鋳型100の外部に通じる細孔100bを突起100aに設け、絶縁性材料20から揮発した溶媒成分を細孔100bから鋳型100の外に逃がすのが好ましい。これにより、鋳型100の内部に溶媒成分が滞留するのが防止され、ベークの効率が向上する。
【0064】
一方、鋳型100を外した状態でベークを行うと、絶縁性材料20の溶媒成分を外に逃がしやすくすることができる。
【0065】
ベークの条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を450℃として約30分間ベークを行う。
【0066】
ベークを終了すると、図6に示すように、硬化した絶縁性材料20よりなる塗布型の絶縁膜21を得ることができる。
【0067】
その絶縁膜21には、スクライブ領域IIに当接していた突起100aに対応した溝21aが形成される。
【0068】
本実施形態のように鋳型100を用いて形成された絶縁膜21の上面の平坦性は極めて良好である。例えば、単にスピンコートのような塗布法で絶縁膜21を形成したのでは、ゲート電極7a等を反映して絶縁膜21の表面に高さが10nmよりも高い凸部が形成されるのが普通である。これに対し、本実施形態のように鋳型100を用いると、絶縁膜21の上面に形成される凸部の高さを10nm以下に抑えることができると共に、ゲート電極7aや局所配線7bの上方から絶縁膜21を排除することができる。
【0069】
但し、このように鋳型100を押し当てても、キャップ膜9の上面から絶縁性材料20が排除されず、キャップ膜9の上面に絶縁膜21が薄く形成されることがある。このようにキャップ膜9上に絶縁膜21が残存していると、次の工程でキャップ膜9をエッチングするのが困難となる。
【0070】
そのため、絶縁膜21をフッ酸水溶液に曝すことで、絶縁膜21の表面を僅かにウエットエッチングし、キャップ膜9の表面を確実に露出させるのが好ましい。なお、ウエットエッチングに代えて、ドライエッチングにより絶縁膜21をエッチングするようにしてもよい。
【0071】
次に、図7に示すように、第2キャップ膜9と第1キャップ膜8をこの順に選択性のエッチングによりエッチングして除去する。
【0072】
このうち、ポリシリコンよりなる第2キャップ膜9はドライエッチングにより除去され、例えばCl2ガスがエッチングガスとして使用される。或いは、アルカリ性のエッチング液によって第2キャップ膜9をウエットエッチングして除去してもよい。そのようなエッチング液としては、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウム(TMAH)、及びKOHのいずれかが使用される。但し、HSQを用いる場合は、エッチングが第1キャップ膜8にも若干進行してエッチング選択比が低くなるため、エッチングプロセスの制御をするのが好ましい。
【0073】
ここで、図6の工程において第2キャップ膜9上の不要な絶縁膜21を予め除去しておいたので、絶縁膜21によってこのドライエッチングが阻害されるのを防止できる。
【0074】
また、酸化シリコンよりなる第1キャップ絶縁膜8は、ドライエッチングにより除去され、例えばCF4、NF3等の少なくもFを含有するエッチングガスが使用される。これに代えて、フッ酸水溶液を用いたウエットエッチングにより第1キャップ絶縁膜8を除去してもよい。
【0075】
このエッチングでは、第1キャップ絶縁膜8よりも絶縁膜21が選択的にエッチングされないように、エッチングプロセスの制御をするのが好ましい。このエッチングを終了後の絶縁膜21の厚さは、後述のゲート電極7aに対するシリサイド化工程(図9)において、金属シリサイド層18のシリサイド化反応が防止できる厚さであればよく、高さH(図5参照)からシリサイド反応抑制厚さ(数nm)を差し引いた厚さ以下であればよい。
【0076】
また、上記のようなフッ酸を含有する水溶液を用いたウエットエッチングや、フッ素を含有するエッチングガスを用いたドライエッチングで第1キャップ絶縁膜8をエッチングすることにより、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面がフッ酸水溶液やフッ素含有ガスに曝され、該上面に形成されている自然酸化膜も同時にエッチングされて、ゲート電極7aと局所配線7bの清浄面が露出することになる。
【0077】
続いて、図8に示すように、ゲート電極7a、局所配線7b、及び絶縁膜21のそれぞれの上に、スパッタ法により高融点金属膜22としてニッケル膜を厚さ約60nmに形成する。
【0078】
なお、高融点金属膜22はニッケルに限定されない。高融点金属膜22としては、Ti、Co、Ni、Pd、Pt、Fe、Au、Ag、Rh、及びIrのいずれかの膜を形成し得る。
【0079】
次に、図9に示すように、高融点金属膜22をアニールすることにより、ポリシリコンよりなるゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれを高融点金属膜22と反応させてシリサイド化する。この結果、ゲート電極7aと局所配線7bの全体がシリサイド化してニッケルシリサイドとなる。そのアニールは、例えば、250℃〜450℃の基板温度で約2分間行われる。
【0080】
ここで、絶縁膜21は、シリサイド化させたくない部分を保護する役割を担っており、例えば絶縁膜21上の高融点金属膜22はシリサイド化しない。
【0081】
次いで、図10に示すように、絶縁膜21の上で未反応となっている高融点金属膜22をウエットエッチングにより除去する。この場合、エッチング液としては例えば硫酸(H2SO4)が使用される。
【0082】
そして、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれに対して再びアニールを行うことにより、ゲート電極7aと局所配線7bを構成するニッケルシリサイドを低抵抗の相に変質させる。
【0083】
ここまでの工程により、ゲート電極7a、ゲート絶縁膜5、及びソース/ドレイン領域17等で構成されるMISトランジスタTRが完成する。
【0084】
このうち、ゲート電極7aは、その全体がシリサイド化しているため、ポリシリコンゲートのような空乏層がゲート絶縁膜5との界面に形成されない。これにより、ゲート絶縁膜5の実効膜厚が厚くなるのが防止され、ポリシリコンゲートを用いた場合よりも動作速度を向上させることができる。
【0085】
また、ゲート絶縁膜5としてハフニウムシリケート膜のような高誘電体膜を使用すると、ゲート絶縁膜5の薄い実効膜厚を維持しながら、熱酸化膜を使用する場合よりも物理的な膜厚を厚くすることができ、ゲート−基板間のリーク電流を抑制することができる。
【0086】
更に、ゲート電極7aと同時に局所配線7bもその全体がシリサイド化されるため、局所配線7bの低抵抗化も図ることができる。
【0087】
次に、図11に示すように、ゲート電極7a、局所配線7b、及び絶縁膜21のそれぞれの上に、CVD法により酸化シリコン膜を形成し、その酸化シリコン膜を層間絶縁膜23とする。
【0088】
その層間絶縁膜23は、絶縁膜21の溝21a内にも形成される。
【0089】
また、層間絶縁膜23の上面の凹凸が大きい場合は、CMPにより層間絶縁膜23を平坦化してもよい。
【0090】
続いて、図12に示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングにより絶縁膜21、23をパターニングし、ソースドレイン領域17の上のこれらの絶縁膜にコンタクトホールを形成する。
【0091】
そして、チタン膜、窒化チタン膜、及びタングステン膜でそのコンタクトホールを埋め込み、これらの膜で構成される導電性プラグ25を形成する。
【0092】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0093】
本実施形態では、図7に示したように、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面を絶縁膜21から露出させ、図9の工程でこれらゲート電極7aと局所配線7bの全体をシリサイド化した。
【0094】
その絶縁膜21は、図5を参照して説明したように、液状の絶縁性材料20に鋳型100を押し当てた後、その絶縁性材料20を硬化して形成される。
【0095】
これによれば、ゲート電極7aや局所配線7bの上面を絶縁膜21から露出させるためのCMPが不要となるので、CMP装置やCMPプロセスの分だけ製造コストを安価にすることができる。
【0096】
更に、本実施形態のように鋳型100で絶縁膜21を平坦化する方法では、CMPにおけるディッシングのようなパターンの粗密に依存するプロセスバラつきを防止できるので、ゲート電極7aや局所配線7bが削れることがなく、ゲート電極7aや局所配線7bの高さを基板面内で均一にすることができる。
【0097】
(2)第2実施形態
第1実施形態では、図5で説明したように、液状の絶縁性材料20を平坦化する押圧部材として鋳型100を用いた。
【0098】
これに対し、本実施形態では、その押圧部材として以下のような可撓性シートを用いる。
【0099】
図13〜図16は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
【0100】
本実施形態では図1〜図4の工程を行った後、図13に示すように、ポリイミドフィルムのような可撓性シート30を絶縁性材料20に押し当て、該可撓性シート30をローラ105で押し広げて平坦にする。
【0101】
第2キャップ膜9上の不要な絶縁性材料20は、その上をローラ105が通過する際に第2キャップ9上から押し出される。そして、ローラ105が通過した後の第2キャップ膜9上には可撓性シート30が密着し、第2キャップ膜9上に再び絶縁性材料20が付着するのが防止される。
【0102】
このようにして可撓性シート30をシリコン基板1の全面において平坦化すると、図14のような断面構造となる。
【0103】
その可撓性シート30は、その厚さを厚くすることで硬くすることができる。
【0104】
但し、可撓性シート30が硬すぎると、絶縁性材料20の上面の平坦性が向上する一方、ローラ105による伸展作業が難しくなる。平坦性と伸展作業のどちらを優先させるかによって可撓性シート30の厚さは決定される。
【0105】
この後は、第1実施形態と同様に絶縁性材料20に対してキュアとベークを行うことにより、図15に示すように、絶縁性材料20を硬化してなる絶縁膜21を得る。
【0106】
なお、キュアやベークの熱処理は、絶縁性材料20に可撓性シート30が貼付された状態で行っても良いし、絶縁性材料20から可撓性シート30を剥がした状態で行ってもよい。
【0107】
この後は、第1実施形態で説明した図7〜図12の工程を行うことにより、図16に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を得る。
【0108】
以上説明した本実施形態によれば、図13に示したように、ローラ105と可撓性シート30を用いて、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上方の絶縁性材料20を排除する。
【0109】
これによれば、CMPを用いる場合よりも絶縁膜21の平坦化を低コストで行うことができると共に、CMPのようなディッシングも発生しない。
【0110】
更に、ゲート電極7aや局所配線7bの幅に依存することなく、絶縁膜21の平坦化を行うことができる。
【0111】
しかも、ローラ105が通った後には第2キャップ膜9上に可撓性シート30が密着するため、第2キャップ膜9上に絶縁性材料20が再付着し難くなる。これにより、図7のエッチング工程において、第2キャップ膜9上に再付着した絶縁性材料20によって第1、第2キャップ膜8、9のエッチングが阻害されるのを抑制し易くなる。
【0112】
(3) 第3実施形態
図17〜図19は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1、第2実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0113】
本実施形態に係る半導体装置を製造するには、まず、第1実施形態で説明した図1〜図3の工程を行うことにより、図17に示す断面構造を得る。
【0114】
但し、本実施形態では、図2(a)の工程においてポリシリコン膜7をパターニングする際、スクライブ領域IIにダミーパターン7cを形成する。なお、そのダミーパターン7cの上には、第1、第2キャップ膜8、9がエッチングされずに残存する。
【0115】
また、ダミーパターン7cは、回路を構成するものではなく、電気的に孤立した状態となる。
【0116】
図20はこの工程を終了した後の平面図であり、先の図17は図20のA−A線に沿う断面図に相当する。なお、図20では、ダミーパターン7cの配置を見易くするために、シリコン基板1とダミーパターン7c以外の要素については省略している。
【0117】
図20に示されるように、ダミーパターン7cは回路領域Iを囲うように閉じた矩形状の平面形状を有する。
【0118】
次いで、図18に示すように、HSQ等の使用すべき絶縁性材料20の体積を予め計量しておき、その体積分の絶縁性材料20を容器110内に入れる。
【0119】
そして、絶縁性材料20の流れをダミーパターン7cで堰止しながら、ダミーパターン7cで囲まれた領域のみに絶縁性材料20を滴下して塗布する。
【0120】
使用すべき絶縁性材料20の体積は、ダミーパターン7cで囲まれた領域において、ゲート電極7aと局所配線7bが絶縁性材料20により覆われるのに必要な体積である。
【0121】
本実施形態のようにダミーパターン7cを閉じた矩形状にすることで、ダミーパターン7cで囲まれた領域での体積を簡単に算出でき、必要な絶縁性材料20を容易に計量できる。
【0122】
この後は、第1実施形態で説明した図5〜図12の工程を行う。このうち、ゲート電極7aの全体をシリサイド化する工程(図9)では、ダミーパターン7cの全体もシリサイド化され、ゲート電極7aと同じニッケルシリサイドによりダミーパターン7cが構成されることになる。
【0123】
以上により、図19に示す本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成する。
【0124】
本実施形態のようにダミーパターン7cを設け、該ダミーパターン7cにより絶縁性材料20の流れを堰止することで、絶縁性材料20を無駄に使用することが防がれ、半導体装置の製造コストを更に安価にすることができる。
【0125】
更に、ダミーパターン7cの平面形状を閉じた形にすることで、ダミーパターン7cで囲まれた領域内で必要となる絶縁性材料20の体積を容易に算出できる。
【0126】
なお、この例では、第1実施形態に対してダミーパターン7cを適用したが、第2実施形態に対してダミーパターン7cを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図15】図15は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図16】図16は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図17】図17は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図18】図18は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図19】図19は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図20】図20は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図である。
【符号の説明】
【0128】
1…シリコン基板、2…素子分離絶縁膜、3…pウェル、5…ゲート絶縁膜、7…ポリシリコン、7a…ゲート電極、7b…局所配線、7c…ダミーパターン、8…第1キャップ膜、9…第2キャップ膜、11…ソース/ドレインエクステンション、13…サイドウォール用絶縁膜、15…絶縁性サイドウォール、17…ソース/ドレイン領域、18…金属シリサイド層、20…絶縁性材料、21…絶縁膜、21a…溝、22…高融点金属膜、23…高融点金属膜、25…導電性プラグ、30…可撓性シート、100…鋳型、100a…突起、105…ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置が備えるMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタのゲート電極は、ポリシリコンから構成されるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、ポリシリコンよりなるゲート電極には、ゲート絶縁膜との界面に空乏層が生じてゲート絶縁膜の実効膜厚が増加し、動作速度の低下といった電気的特性の劣化が起こるという問題がある。
【0004】
そのような問題を解決すべく、ゲート電極の全体をシリサイド化し、ゲート電極の空乏化を抑制するフルシリサイドゲート電極が従来から提案されている。
【0005】
シリサイド化技術自体は、ソース/ドレイン領域上にシリサイド層を自己整合的に形成するプロセスとして既に確立されているので、フルシリサイドゲート電極は既存のプロセスで容易に作製され得る。また、ゲート電極の全体をシリサイド化すると、ゲート電極と同じプロセスで形成される素子分離絶縁膜上の局所配線もその全体がシリサイド化されるので、局所配線が低抵抗化されるという付加的な利点も得られる。
【0006】
ところで、ゲート電極の高さは、ソース/ドレイン領域に形成されるシリサイド層の厚さよりも高いので、ソース/ドレイン領域にシリサイド層を形成する工程においてゲート電極の全体をシリサイド化するのが困難である。
【0007】
そのため、通常は、ソース/ドレイン領域のシリサイド層とは別工程でゲート電極の全体をシリサイド化する。
【0008】
シリサイド化の方法としては、例えば、シリコンよりなるゲート電極を絶縁膜で覆った後、その絶縁膜をCMPにより研磨することによりゲート電極の上面を絶縁膜から露出させ、その上面に高融点金属層を形成し、該高融点金属層を加熱してゲート電極のシリコンと反応させる方法がある。
【0009】
しかしながら、ゲート電極が半導体基板において占める面積の割合は非常に小さいため、CMPの終点検出は難しく、研磨をゲート電極の上面で正確に終了するのは極めて困難である。
【0010】
また、ゲート電極の配置に粗密差があると、配置が疎な領域でゲート電極が過剰に研磨されるディッシングという現象が発生し、ゲート電極の高さが基板面内でばらついてしまうという問題が発生する。
【0011】
更に、CMP法を用いたのでは、高価なCMP装置によって半導体装置の製造コストが上昇してしまう。
【0012】
なお、本発明に関連する技術が次の特許文献1〜4に開示されている。
【特許文献1】特開平11−8240号公報
【特許文献2】特開平7−221006号公報
【特許文献3】特許第3420590号明細書
【特許文献4】特許第3146780号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、絶縁膜を研磨せずに、該絶縁膜からゲート電極の上面を露出させることが可能な半導体装置とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点によれば、半導体基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆うように液状の絶縁性材料を塗布する工程と、前記絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、前記ゲート電極の上方の該絶縁性材料を押し流す工程と、前記絶縁性材料を硬化して絶縁膜にする工程と、前記硬化の後、前記ゲート電極上に高融点金属膜を形成する工程と、前記高融点金属膜をアニールすることにより、前記ゲート電極の全体をシリサイド化する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、前記ゲート電極の横の前記半導体基板上に形成され、溝を備えた塗布型の絶縁膜とを有する半導体装置が提供される。
【0016】
そして、本発明の他の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、前記半導体基板の上に形成され、前記ゲート電極を囲うダミーパターンと、前記半導体基板において前記ダミーパターンで囲まれた領域に形成された塗布型の絶縁膜とを有する半導体装置が提供される。
【0017】
次に、本発明の作用について説明する。
【0018】
本発明では、液状の絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、ゲート電極の上方の絶縁性材料を押した後、その絶縁性材料を硬化させて絶縁膜にする。これによれば、絶縁膜に対してCMPを行わなくても、絶縁膜からゲート電極の上面を露出させ、ゲート電極の全体をシリサイド化することができる。そのため、CMPを用いた場合のようなディッシングが発生しないと共に、CMP装置が不要となる分だけ半導体装置の製造コストを安価にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液状の絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより絶縁膜からゲート電極の上面を露出させるため、絶縁膜に対するCMPが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
図1〜図12は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。これらの図では、トランジスタ等の素子が形成される回路領域Iと、ダイシングによりチップに個片化する際の境界となるスクライブ領域IIとを併記する。
【0022】
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0023】
まず、シリコン(半導体)基板1に素子分離用の溝を形成し、その溝に素子分離絶縁膜2として酸化シリコン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、これに代えてLOCOS(Local Oxidation of Silicon)により素子分離を行ってもよい。
【0024】
その後に、素子分離絶縁膜2で囲まれた活性領域にp型不純物をイオン注入し、pウェル3を形成する。
【0025】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板1の表面を熱酸化する。これにより、厚さ約2nmの熱酸化膜よりなるゲート絶縁膜5が形成される。
【0026】
なお、熱酸化膜に変えて、実効膜厚の増大に有利な高誘電体膜、例えばハフニウムシリケート膜をゲート絶縁膜5として形成してもよい。
【0027】
なお、Mo、W、Hf、Zr、Ti、Ta、Nb、V、Cr、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cu、Al、Mg、Os、Tc、Re、Ru、Y及びLaを含むランタノイド又はアクチノイドのいずれかの純金属Mよりなる膜、或いはこの純金属Mの酸化物(MxOy)、窒化物(MxNy)、炭化物(MxCy)、若しくはこれらの混合物(MxOyNzCα:x, y, z,αは0を含む)よりなる膜をゲート絶縁膜5上に形成してもよい。
【0028】
次いで、このゲート絶縁膜5の上に、CVD法でポリシリコン膜7を厚さ約100nmに形成する。
【0029】
更に、ポリシリコン膜7の上に、第1キャップ膜8としてCVD法により厚さ約20nmの酸化シリコン膜を形成する。第1キャップ膜8は、高融点金属との間でシリサイド化反応が起きない膜でもよく、窒化シリコン膜であってもよい。
【0030】
そして、この第1キャップ膜8の上に、該第1キャップ絶縁膜8とエッチング選択性のある膜、例えばポリシリコン膜を第2キャップ膜9として形成する。
【0031】
第2キャップ膜9はポリシリコン膜に限定されない。例えば、SiGe等のシリコン化合物で第2キャップ膜9を構成してもよい。
【0032】
なお、これら第1、第2キャップ膜8、9は必須ではなく、場合によっては省いてもよい。
【0033】
続いて、図2(a)に示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングにより各膜7〜9をパターニングする。
【0034】
これにより、回路領域Iの活性領域には、パターニングされたポリシリコン膜7よりなるゲート電極7aと、第1、第2キャップ膜8、9との積層体が形成される。そして、回路領域Iの素子分離絶縁膜2上では、パターニングされたポリシリコン膜7よりなる局所配線7bと、第1、第2キャップ膜8、9との積層体が形成される。
【0035】
この後に、ゲート電極7aをマスクにしながらシリコン基板1にn型不純物をイオン注入することにより、ゲート電極7aの横のシリコン基板1にn型ソース/ドレインエクステンション11を形成する。
【0036】
次いで、図2(b)に示すように、シリコン基板1の上側全面にサイドウォール用絶縁膜13を形成する。サイドウォール用絶縁膜13としては、例えばCVD法により形成された酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜が形成される。或いは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜をサイドウォール用絶縁膜13として形成してもよい。
【0037】
そして、図3(a)に示すように、サイドウォール用絶縁膜13をエッチバックしてゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの横に絶縁性サイドウォール15として残す。
【0038】
次に、図3(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0039】
まず、絶縁性サイドウォール15とゲート電極7aとをマスクにして、シリコン基板1にn型不純物をイオン注入し、ゲート電極7aの横のシリコン基板1にn型のソース/ドレイン領域17を形成する。
【0040】
更に、シリコン基板1の上側全面にスパッタ法でニッケル層等の高融点金属層を形成する。そして、その高融点金属層をアニールしてソース/ドレイン領域17におけるシリコンと反応させ、金属シリサイド層18を形成する。
【0041】
このように金属シリサイド層18を形成すると、ポリシリコンよりなる第2キャップ膜9もシリサイド化されるが、ゲート電極7aと局所配線7bのシリサイド化は第1キャップ膜8により阻止される。従って、本工程では、第1キャップ膜8によりゲート電極7aと局所配線7bのシリサイド化を防止しつつ、ソース/ドレイン領域17に金属シリサイド層18を選択的に形成することができる。
【0042】
続いて、図4に示すように、ゲート電極7aと局所配線7bとを覆うようにしてシリコン基板1の上側全面に絶縁性材料20として液状のHSQ(hydro-silsesquioxane)を塗布する。
【0043】
絶縁性材料20はHSQに限定されず、液状から硬化する材料を絶縁性材料20として使用し得る。例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂、及びポリシラザンのいずれかを絶縁性材料20として用いてもよい。
【0044】
但し、後でゲート電極7aの全体をニッケルでシリサイド化する工程では熱処理温度が400℃程度必要となるので、材料の耐熱性を考慮すると、耐熱性が500℃程度の材料を絶縁性材料20として使用するのが好ましい。既述のシリコンをベースとしたHSQは、500℃程度の温度に耐え得るので、好適な材料の一つである。
【0045】
また、硬化の仕方も特に限定されず、溶媒揮発による硬化、ゾルゲル反応による硬化、熱硬化、及び紫外線照射硬化のいずれかで硬化する液状の材料を絶縁性材料20として用いることができる。
【0046】
ところで、塗布した時点では絶縁性材料20は液状のままであり、下地の起伏を反映した凹凸が絶縁性材料20の表面に現れる。絶縁性材料20の厚さは下地の形状に依存し、上面が広い凸パターンの上では上面が狭い凸パターンの上におけるよりも絶縁性材料20が厚く形成される。
【0047】
例えば、上面が狭い右側のゲート電極7aの上では絶縁性材料20の厚さは3nm程度以下の厚さとなるが、上面が広い左側のゲート電極7bの上では10nm程度の厚さとなる。特に、一辺の長さが1μmよりも広い凸パターンの上面でこのような絶縁性材料20の厚膜化が顕著となる。
【0048】
このようにゲート電極7aの上で厚く形成された絶縁性材料20は、後の工程でゲート電極7aをシリサイド化するのを阻害してしまう。
【0049】
そこで、次の工程では、図5に示すように、絶縁性材料20に鋳型100のキャビティ100c側を押し当てることにより、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上方の絶縁性材料20を押し流す。
【0050】
これにより、絶縁性材料20の表面の平坦化を、ゲート電極7aの上面の幅に依存せずに行うことができる。
【0051】
鋳型100を押し当てる圧力は、第2キャップ膜9上から絶縁性材料20が排除されるのに必要な圧力、例えば垂直圧力にして0.1MPa程度が好ましい。
【0052】
その鋳型100には、スクライブ領域IIの素子分離絶縁膜2に当たる突起100aが設けられる。
【0053】
その突起100aの高さHは、ゲート絶縁膜5、ゲート電極7a、及び第1、第2キャップ膜8、9の合計膜厚に等しい。このような高さHにすることで、押圧時における鋳型100とシリコン基板1との平行性を保ちながら、ゲート電極7aと局所配線7bに鋳型100から過度の圧力が印加されるのが防止されると共に、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面から絶縁性材料20を効率的に押し流すことができる。
【0054】
なお、第1、第2キャップ膜8、9を省く場合は、突起100aの高Hさをゲート電極7aとゲート絶縁膜5の合計の高さに等しくすることで、ゲート電極7a上の絶縁性材料20を鋳型100で効果的に押し出すことができる。
【0055】
ここで、押圧時に突起100aが接触する部分に回路等が形成されていると、回路が破壊されてしまうので、本実施形態のように回路が形成されていないスクライブ領域IIに突起100aが当たるようにするのが好ましい。
【0056】
また、この例では、スクライブ領域IIに素子分離絶縁膜2が形成されているが、素子分離絶縁膜2が存在せずにシリコン基板1が露出している部分のスクライブ領域に突起100aが当たるようにしてもよい。
【0057】
更に、回路領域Iにおいて回路が形成されていない空き領域に突起100aが当たるようにしてもよい。
【0058】
鋳型100の材料としては例えばステンレスを使用することができる。ステンレスに代えて、石英、シリコン、シリコンカーバイド、合成ダイヤモンドのいずれかで鋳型100を構成してもよい。特に、後述する硬化プロセスに光照射を用いる場合には、使用する光を透過させる目的で、石英などの透過性材料で鋳型100を構成するのが好ましい。
【0059】
また、鋳型100の表面にテフロン(デュポン社の登録商標)等のフルオロカーボン樹脂よりなる薄膜を形成してもよい。これにより、液状の絶縁性材料20が鋳型100の表面と高い接触角で接するようになり、絶縁性材料20の離型性が向上する。
【0060】
本実施形態では、このようにして鋳型100を絶縁性材料20に押し当てた状態で、絶縁性材料20に対して熱処理を行うことにより、絶縁性材料20を構成するHSQをキュア(硬化)する。そのキュアの条件は特に限定されないが、例えば基板温度を約140℃から徐々に上げ225℃に達しさせ、処理時間を約3分とする。
【0061】
キュアを終了した後は、絶縁性材料20に残存する溶媒成分を完全に揮発させるために、ベークと呼ばれる熱処理を絶縁性材料20に対して行う。
【0062】
ベークは、鋳型100を押し当てた状態で行ってもよいし、鋳型100を外した状態で行ってもよい。
【0063】
鋳型100を押し当てた状態でベークを行うと、キュアによって定まった絶縁性材料の20外形を維持し易くなる。その場合、キャビティ100cから鋳型100の外部に通じる細孔100bを突起100aに設け、絶縁性材料20から揮発した溶媒成分を細孔100bから鋳型100の外に逃がすのが好ましい。これにより、鋳型100の内部に溶媒成分が滞留するのが防止され、ベークの効率が向上する。
【0064】
一方、鋳型100を外した状態でベークを行うと、絶縁性材料20の溶媒成分を外に逃がしやすくすることができる。
【0065】
ベークの条件は特に限定されないが、本実施形態では基板温度を450℃として約30分間ベークを行う。
【0066】
ベークを終了すると、図6に示すように、硬化した絶縁性材料20よりなる塗布型の絶縁膜21を得ることができる。
【0067】
その絶縁膜21には、スクライブ領域IIに当接していた突起100aに対応した溝21aが形成される。
【0068】
本実施形態のように鋳型100を用いて形成された絶縁膜21の上面の平坦性は極めて良好である。例えば、単にスピンコートのような塗布法で絶縁膜21を形成したのでは、ゲート電極7a等を反映して絶縁膜21の表面に高さが10nmよりも高い凸部が形成されるのが普通である。これに対し、本実施形態のように鋳型100を用いると、絶縁膜21の上面に形成される凸部の高さを10nm以下に抑えることができると共に、ゲート電極7aや局所配線7bの上方から絶縁膜21を排除することができる。
【0069】
但し、このように鋳型100を押し当てても、キャップ膜9の上面から絶縁性材料20が排除されず、キャップ膜9の上面に絶縁膜21が薄く形成されることがある。このようにキャップ膜9上に絶縁膜21が残存していると、次の工程でキャップ膜9をエッチングするのが困難となる。
【0070】
そのため、絶縁膜21をフッ酸水溶液に曝すことで、絶縁膜21の表面を僅かにウエットエッチングし、キャップ膜9の表面を確実に露出させるのが好ましい。なお、ウエットエッチングに代えて、ドライエッチングにより絶縁膜21をエッチングするようにしてもよい。
【0071】
次に、図7に示すように、第2キャップ膜9と第1キャップ膜8をこの順に選択性のエッチングによりエッチングして除去する。
【0072】
このうち、ポリシリコンよりなる第2キャップ膜9はドライエッチングにより除去され、例えばCl2ガスがエッチングガスとして使用される。或いは、アルカリ性のエッチング液によって第2キャップ膜9をウエットエッチングして除去してもよい。そのようなエッチング液としては、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウム(TMAH)、及びKOHのいずれかが使用される。但し、HSQを用いる場合は、エッチングが第1キャップ膜8にも若干進行してエッチング選択比が低くなるため、エッチングプロセスの制御をするのが好ましい。
【0073】
ここで、図6の工程において第2キャップ膜9上の不要な絶縁膜21を予め除去しておいたので、絶縁膜21によってこのドライエッチングが阻害されるのを防止できる。
【0074】
また、酸化シリコンよりなる第1キャップ絶縁膜8は、ドライエッチングにより除去され、例えばCF4、NF3等の少なくもFを含有するエッチングガスが使用される。これに代えて、フッ酸水溶液を用いたウエットエッチングにより第1キャップ絶縁膜8を除去してもよい。
【0075】
このエッチングでは、第1キャップ絶縁膜8よりも絶縁膜21が選択的にエッチングされないように、エッチングプロセスの制御をするのが好ましい。このエッチングを終了後の絶縁膜21の厚さは、後述のゲート電極7aに対するシリサイド化工程(図9)において、金属シリサイド層18のシリサイド化反応が防止できる厚さであればよく、高さH(図5参照)からシリサイド反応抑制厚さ(数nm)を差し引いた厚さ以下であればよい。
【0076】
また、上記のようなフッ酸を含有する水溶液を用いたウエットエッチングや、フッ素を含有するエッチングガスを用いたドライエッチングで第1キャップ絶縁膜8をエッチングすることにより、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面がフッ酸水溶液やフッ素含有ガスに曝され、該上面に形成されている自然酸化膜も同時にエッチングされて、ゲート電極7aと局所配線7bの清浄面が露出することになる。
【0077】
続いて、図8に示すように、ゲート電極7a、局所配線7b、及び絶縁膜21のそれぞれの上に、スパッタ法により高融点金属膜22としてニッケル膜を厚さ約60nmに形成する。
【0078】
なお、高融点金属膜22はニッケルに限定されない。高融点金属膜22としては、Ti、Co、Ni、Pd、Pt、Fe、Au、Ag、Rh、及びIrのいずれかの膜を形成し得る。
【0079】
次に、図9に示すように、高融点金属膜22をアニールすることにより、ポリシリコンよりなるゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれを高融点金属膜22と反応させてシリサイド化する。この結果、ゲート電極7aと局所配線7bの全体がシリサイド化してニッケルシリサイドとなる。そのアニールは、例えば、250℃〜450℃の基板温度で約2分間行われる。
【0080】
ここで、絶縁膜21は、シリサイド化させたくない部分を保護する役割を担っており、例えば絶縁膜21上の高融点金属膜22はシリサイド化しない。
【0081】
次いで、図10に示すように、絶縁膜21の上で未反応となっている高融点金属膜22をウエットエッチングにより除去する。この場合、エッチング液としては例えば硫酸(H2SO4)が使用される。
【0082】
そして、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれに対して再びアニールを行うことにより、ゲート電極7aと局所配線7bを構成するニッケルシリサイドを低抵抗の相に変質させる。
【0083】
ここまでの工程により、ゲート電極7a、ゲート絶縁膜5、及びソース/ドレイン領域17等で構成されるMISトランジスタTRが完成する。
【0084】
このうち、ゲート電極7aは、その全体がシリサイド化しているため、ポリシリコンゲートのような空乏層がゲート絶縁膜5との界面に形成されない。これにより、ゲート絶縁膜5の実効膜厚が厚くなるのが防止され、ポリシリコンゲートを用いた場合よりも動作速度を向上させることができる。
【0085】
また、ゲート絶縁膜5としてハフニウムシリケート膜のような高誘電体膜を使用すると、ゲート絶縁膜5の薄い実効膜厚を維持しながら、熱酸化膜を使用する場合よりも物理的な膜厚を厚くすることができ、ゲート−基板間のリーク電流を抑制することができる。
【0086】
更に、ゲート電極7aと同時に局所配線7bもその全体がシリサイド化されるため、局所配線7bの低抵抗化も図ることができる。
【0087】
次に、図11に示すように、ゲート電極7a、局所配線7b、及び絶縁膜21のそれぞれの上に、CVD法により酸化シリコン膜を形成し、その酸化シリコン膜を層間絶縁膜23とする。
【0088】
その層間絶縁膜23は、絶縁膜21の溝21a内にも形成される。
【0089】
また、層間絶縁膜23の上面の凹凸が大きい場合は、CMPにより層間絶縁膜23を平坦化してもよい。
【0090】
続いて、図12に示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングにより絶縁膜21、23をパターニングし、ソースドレイン領域17の上のこれらの絶縁膜にコンタクトホールを形成する。
【0091】
そして、チタン膜、窒化チタン膜、及びタングステン膜でそのコンタクトホールを埋め込み、これらの膜で構成される導電性プラグ25を形成する。
【0092】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0093】
本実施形態では、図7に示したように、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上面を絶縁膜21から露出させ、図9の工程でこれらゲート電極7aと局所配線7bの全体をシリサイド化した。
【0094】
その絶縁膜21は、図5を参照して説明したように、液状の絶縁性材料20に鋳型100を押し当てた後、その絶縁性材料20を硬化して形成される。
【0095】
これによれば、ゲート電極7aや局所配線7bの上面を絶縁膜21から露出させるためのCMPが不要となるので、CMP装置やCMPプロセスの分だけ製造コストを安価にすることができる。
【0096】
更に、本実施形態のように鋳型100で絶縁膜21を平坦化する方法では、CMPにおけるディッシングのようなパターンの粗密に依存するプロセスバラつきを防止できるので、ゲート電極7aや局所配線7bが削れることがなく、ゲート電極7aや局所配線7bの高さを基板面内で均一にすることができる。
【0097】
(2)第2実施形態
第1実施形態では、図5で説明したように、液状の絶縁性材料20を平坦化する押圧部材として鋳型100を用いた。
【0098】
これに対し、本実施形態では、その押圧部材として以下のような可撓性シートを用いる。
【0099】
図13〜図16は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
【0100】
本実施形態では図1〜図4の工程を行った後、図13に示すように、ポリイミドフィルムのような可撓性シート30を絶縁性材料20に押し当て、該可撓性シート30をローラ105で押し広げて平坦にする。
【0101】
第2キャップ膜9上の不要な絶縁性材料20は、その上をローラ105が通過する際に第2キャップ9上から押し出される。そして、ローラ105が通過した後の第2キャップ膜9上には可撓性シート30が密着し、第2キャップ膜9上に再び絶縁性材料20が付着するのが防止される。
【0102】
このようにして可撓性シート30をシリコン基板1の全面において平坦化すると、図14のような断面構造となる。
【0103】
その可撓性シート30は、その厚さを厚くすることで硬くすることができる。
【0104】
但し、可撓性シート30が硬すぎると、絶縁性材料20の上面の平坦性が向上する一方、ローラ105による伸展作業が難しくなる。平坦性と伸展作業のどちらを優先させるかによって可撓性シート30の厚さは決定される。
【0105】
この後は、第1実施形態と同様に絶縁性材料20に対してキュアとベークを行うことにより、図15に示すように、絶縁性材料20を硬化してなる絶縁膜21を得る。
【0106】
なお、キュアやベークの熱処理は、絶縁性材料20に可撓性シート30が貼付された状態で行っても良いし、絶縁性材料20から可撓性シート30を剥がした状態で行ってもよい。
【0107】
この後は、第1実施形態で説明した図7〜図12の工程を行うことにより、図16に示すような本実施形態に係る半導体装置の基本構造を得る。
【0108】
以上説明した本実施形態によれば、図13に示したように、ローラ105と可撓性シート30を用いて、ゲート電極7aと局所配線7bのそれぞれの上方の絶縁性材料20を排除する。
【0109】
これによれば、CMPを用いる場合よりも絶縁膜21の平坦化を低コストで行うことができると共に、CMPのようなディッシングも発生しない。
【0110】
更に、ゲート電極7aや局所配線7bの幅に依存することなく、絶縁膜21の平坦化を行うことができる。
【0111】
しかも、ローラ105が通った後には第2キャップ膜9上に可撓性シート30が密着するため、第2キャップ膜9上に絶縁性材料20が再付着し難くなる。これにより、図7のエッチング工程において、第2キャップ膜9上に再付着した絶縁性材料20によって第1、第2キャップ膜8、9のエッチングが阻害されるのを抑制し易くなる。
【0112】
(3) 第3実施形態
図17〜図19は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1、第2実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0113】
本実施形態に係る半導体装置を製造するには、まず、第1実施形態で説明した図1〜図3の工程を行うことにより、図17に示す断面構造を得る。
【0114】
但し、本実施形態では、図2(a)の工程においてポリシリコン膜7をパターニングする際、スクライブ領域IIにダミーパターン7cを形成する。なお、そのダミーパターン7cの上には、第1、第2キャップ膜8、9がエッチングされずに残存する。
【0115】
また、ダミーパターン7cは、回路を構成するものではなく、電気的に孤立した状態となる。
【0116】
図20はこの工程を終了した後の平面図であり、先の図17は図20のA−A線に沿う断面図に相当する。なお、図20では、ダミーパターン7cの配置を見易くするために、シリコン基板1とダミーパターン7c以外の要素については省略している。
【0117】
図20に示されるように、ダミーパターン7cは回路領域Iを囲うように閉じた矩形状の平面形状を有する。
【0118】
次いで、図18に示すように、HSQ等の使用すべき絶縁性材料20の体積を予め計量しておき、その体積分の絶縁性材料20を容器110内に入れる。
【0119】
そして、絶縁性材料20の流れをダミーパターン7cで堰止しながら、ダミーパターン7cで囲まれた領域のみに絶縁性材料20を滴下して塗布する。
【0120】
使用すべき絶縁性材料20の体積は、ダミーパターン7cで囲まれた領域において、ゲート電極7aと局所配線7bが絶縁性材料20により覆われるのに必要な体積である。
【0121】
本実施形態のようにダミーパターン7cを閉じた矩形状にすることで、ダミーパターン7cで囲まれた領域での体積を簡単に算出でき、必要な絶縁性材料20を容易に計量できる。
【0122】
この後は、第1実施形態で説明した図5〜図12の工程を行う。このうち、ゲート電極7aの全体をシリサイド化する工程(図9)では、ダミーパターン7cの全体もシリサイド化され、ゲート電極7aと同じニッケルシリサイドによりダミーパターン7cが構成されることになる。
【0123】
以上により、図19に示す本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成する。
【0124】
本実施形態のようにダミーパターン7cを設け、該ダミーパターン7cにより絶縁性材料20の流れを堰止することで、絶縁性材料20を無駄に使用することが防がれ、半導体装置の製造コストを更に安価にすることができる。
【0125】
更に、ダミーパターン7cの平面形状を閉じた形にすることで、ダミーパターン7cで囲まれた領域内で必要となる絶縁性材料20の体積を容易に算出できる。
【0126】
なお、この例では、第1実施形態に対してダミーパターン7cを適用したが、第2実施形態に対してダミーパターン7cを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その11)である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その12)である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図15】図15は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図16】図16は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図17】図17は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図18】図18は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図19】図19は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図20】図20は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造途中の平面図である。
【符号の説明】
【0128】
1…シリコン基板、2…素子分離絶縁膜、3…pウェル、5…ゲート絶縁膜、7…ポリシリコン、7a…ゲート電極、7b…局所配線、7c…ダミーパターン、8…第1キャップ膜、9…第2キャップ膜、11…ソース/ドレインエクステンション、13…サイドウォール用絶縁膜、15…絶縁性サイドウォール、17…ソース/ドレイン領域、18…金属シリサイド層、20…絶縁性材料、21…絶縁膜、21a…溝、22…高融点金属膜、23…高融点金属膜、25…導電性プラグ、30…可撓性シート、100…鋳型、100a…突起、105…ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆うように液状の絶縁性材料を塗布する工程と、
前記絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、前記ゲート電極の上方の該絶縁性材料を押し流す工程と、
前記絶縁性材料を硬化して絶縁膜にする工程と、
前記硬化の後、前記ゲート電極上に高融点金属膜を形成する工程と、
前記高融点金属膜をアニールすることにより、前記ゲート電極の全体をシリサイド化する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記押圧部材を押し当てる工程において、前記半導体基板側に突起が設けられた鋳型を前記押圧部材として用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記押圧部材を押し当てる工程において、該押圧部材として可撓性シートを用い、該可撓性シートをローラで押し広げて平坦にすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁性材料を塗布する工程の前に、前記ゲート電極を囲うダミーパターンを前記半導体基板上に形成する工程を更に有し、
前記絶縁性材料を塗布する工程において、前記ダミーパターンで囲まれた領域に前記絶縁性材料を塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ゲート電極を形成する工程において、該ゲート電極とキャップ膜との積層体を形成し、
前記高融点金属を形成する工程の前に、前記キャップ膜を除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、
前記ゲート電極の横の前記半導体基板上に形成され、溝を備えた塗布型の絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、
前記半導体基板の上に形成され、前記ゲート電極を囲うダミーパターンと、
前記半導体基板において前記ダミーパターンで囲まれた領域に形成された塗布型の絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
半導体基板の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆うように液状の絶縁性材料を塗布する工程と、
前記絶縁性材料に押圧部材を押し当てることにより、前記ゲート電極の上方の該絶縁性材料を押し流す工程と、
前記絶縁性材料を硬化して絶縁膜にする工程と、
前記硬化の後、前記ゲート電極上に高融点金属膜を形成する工程と、
前記高融点金属膜をアニールすることにより、前記ゲート電極の全体をシリサイド化する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記押圧部材を押し当てる工程において、前記半導体基板側に突起が設けられた鋳型を前記押圧部材として用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記押圧部材を押し当てる工程において、該押圧部材として可撓性シートを用い、該可撓性シートをローラで押し広げて平坦にすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁性材料を塗布する工程の前に、前記ゲート電極を囲うダミーパターンを前記半導体基板上に形成する工程を更に有し、
前記絶縁性材料を塗布する工程において、前記ダミーパターンで囲まれた領域に前記絶縁性材料を塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ゲート電極を形成する工程において、該ゲート電極とキャップ膜との積層体を形成し、
前記高融点金属を形成する工程の前に、前記キャップ膜を除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、
前記ゲート電極の横の前記半導体基板上に形成され、溝を備えた塗布型の絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に形成され、全体がシリサイド化されたゲート電極と、
前記半導体基板の上に形成され、前記ゲート電極を囲うダミーパターンと、
前記半導体基板において前記ダミーパターンで囲まれた領域に形成された塗布型の絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−49166(P2009−49166A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213501(P2007−213501)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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