説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ストレッサ膜を有する半導体装置及びその製造方法に関し、ストレッサ膜からの応力を効率よくチャネル領域に印加してMISFETの電流駆動能力を向上しうる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板に、素子領域を画定する素子分離絶縁膜を形成し、素子領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、ゲート電極の両側の半導体基板内にソース/ドレイン領域を形成し、ゲート電極及びソース/ドレイン領域が形成された半導体基板上に第1の絶縁膜を形成し、素子分離絶縁膜の端部に生じた窪み内に第1の絶縁膜が残存するように第1の絶縁膜をエッチバックし、半導体基板上に、半導体基板の表面に平行な方向に応力を印加する第2の絶縁膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に、トランジスタのチャネル領域に応力を印加するためのストレッサ膜を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高性能化の要求に伴い、MISFETの特性を向上するための検討が行われている。MISFETの特性を向上する手法として、シリコン結晶に格子歪みを導入し、結晶中を流れるキャリアの移動度を向上する技術が知られている。MISFETのチャネル領域のシリコン結晶に格子歪みを導入することにより、チャネル領域を流れるキャリアの移動度が向上し、MISFETの駆動能力を高めることができる。
【0003】
MISFETのチャネル領域に格子歪みを導入する方法として、ストレッサ膜と呼ばれるストレス印加用の膜を、ゲート電極上を覆うように形成する技術が知られている。ストレッサ膜としては、シリコン窒化膜やシリコン窒化酸化膜等のシリコン窒化物系の絶縁膜が広く用いられている。ゲート電極の側面部分から上面に渡って、MISFETの導電型等に応じた適切な応力を有するストレッサ膜を形成することにより、チャネル領域に所望の格子歪みを導入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−344663号公報
【特許文献2】特開2007−158322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストレッサ膜による効果が損なわれ、MISFETのオン電流が減少する場合があることが、本発明者等によって見出された。
【0006】
本発明の目的は、ストレッサ膜からの応力を効率よくチャネル領域に印加してMISFETの電流駆動能力を向上しうる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、半導体基板に、素子領域を画定する素子分離絶縁膜を形成する工程と、前記素子領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内にソース/ドレイン領域を形成する工程と、前記ゲート電極及び前記ソース/ドレイン領域が形成された前記半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成する工程と、前記素子分離絶縁膜の端部に生じた窪み内に前記第1の絶縁膜が残存するように前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程と、前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程の後、前記半導体基板上に、前記半導体基板の表面に平行な方向に応力を印加する第2の絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、実施形態の他の観点によれば、半導体基板に形成され、素子領域を画定する素子分離絶縁膜と、前記素子領域上に、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成されたソース/ドレイン領域と、前記素子分離絶縁膜の端部に形成された窪み内に選択的に埋め込まれた前記第1の絶縁膜と、前記素子分離絶縁膜上から前記ゲート電極上に渡って形成され、前記半導体基板の表面に平行な方向に応力を印加する第2の絶縁膜とを有する半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置及びその製造方法によれば、MISFET上に形成したストレッサ膜からの応力を効率的にチャネル領域に印加することができる。これにより、チャネル領域を流れるキャリアの移動度を高め、MISFETの電流駆動能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は、第1実施形態の比較例による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図3】図3は、P型MISFETのチャネル領域に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフ(その1)である。
【図4】図4は、図3のシミュレーションに用いたパラメータを説明する図である。
【図5】図5は、ストレッサ膜からMISFETに印加されるストレス値をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。
【図6】図6は、P型MISFETのチャネル領域に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフ(その2)である。
【図7】図7は、P型MISFETのチャネル領域に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフ(その3)である。
【図8】図8は、ストレッサ膜の形態と印加される応力との関係を説明する図である。
【図9】図9は、オン電流向上率とソース/ドレイン領域の幅SAとの関係を示すグラフ(その1)である。
【図10】図10は、オン電流向上率とソース/ドレイン領域の幅SAとの関係を示すグラフ(その2)である。
【図11】図11は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図12】図12は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図13】図13は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図14】図14は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図15】図15は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図16】図16は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図17】図17は、第2実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図18】図18は、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図19】図19は、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図20】図20は、第3実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図21】図21は、第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図22】図22は、第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図23】図23は、第3実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図24】図24は、第4実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
【図25】図25は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図26】図26は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図27】図27は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図28】図28は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図29】図29は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図30】図30は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図31】図31は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図32】図32は、第4実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について図1乃至図16を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。図2は、本実施形態の比較例による半導体装置の構造を示す概略断面図である。図3、図6及び図7は、P型MISFETのチャネル領域に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフである。図4は、図3のシミュレーションに用いたパラメータを説明する図である。図5は、ストレッサ膜からMISFETに印加されるストレス値をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。図8は、ストレッサ膜の形態と印加される応力との関係を説明する図である。図9及び図10は、オン電流向上率とソース/ドレイン領域の幅SAとの関係を示すグラフである。図11乃至図16は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0013】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図1を用いて説明する。
【0014】
シリコン基板10には、素子領域を画定する素子分離絶縁膜20が形成されている。 素子分離絶縁膜20の素子領域との境界部分には、素子領域のシリコン基板10表面よりも窪んだ窪み22が形成されている。窪み22内には、シリコン窒化膜38埋め込まれ、素子分離絶縁膜20の表面の段差が平坦化ないしは緩和されている。
【0015】
素子分離絶縁膜20により画定されたシリコン基板10の素子領域上には、ゲート絶縁膜24を介してゲート電極26が形成されている。ゲート電極26の両側のシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域34が形成されている。こうして、ゲート電極26及びソース/ドレイン領域34を有するMISFETが形成されている。
【0016】
ゲート電極26の側壁部分には、サイドウォールスペーサ30が形成されている。ゲート電極26及びソース/ドレイン領域34上には、金属シリサイド膜36が形成されている。
【0017】
素子分離絶縁膜20及びMISFETが形成されたシリコン基板10上には、所定の応力を有するシリコン窒化膜44が形成されている。シリコン窒化膜44上には、シリコン酸化膜46が形成されている。シリコン窒化膜44とシリコン酸化膜46との積層膜の層間絶縁膜48には、金属シリサイド膜36に接続されたコンタクトプラグ52が埋め込まれている。
【0018】
このように、本実施形態による半導体装置では、素子分離絶縁膜20の素子領域との境界部分に形成された窪み22内にシリコン窒化膜38が埋め込まれており、素子領域の表面と素子分離絶縁膜20の表面との間の段差が平坦化ないしは緩和されている。また、MISFETのチャネル領域に所定の格子歪みを印加するためのストレッサ膜であるシリコン窒化膜44が、シリコン窒化膜38によって表面の段差が平坦化ないしは緩和された素子領域上及び素子分離絶縁膜20上に形成されている。本実施形態による半導体装置においてこのような構造を採用している理由について、以下に説明する。
【0019】
素子分離絶縁膜20は、その形成後、ゲート絶縁膜24の形成前の犠牲酸化膜の除去工程などのエッチング工程に晒されるため、MISFETを形成した後の素子分離絶縁膜20と素子領域との境界部分には、窪み22が形成されている。この窪み22は、素子領域のシリコン基板10表面よりも窪んだ形状を有しており、このような形状の素子分離絶縁膜20上にストレッサ膜であるシリコン窒化膜44を堆積すると、シリコン窒化膜44が窪み22内に埋め込まれる。また、シリコン窒化膜44の表面には、窪み22の凹凸を反映した窪み(ディボット)40が形成される(図2参照)。
【0020】
このような形状のストレッサ膜について本願発明者等が鋭意検討を行ったところ、MISFETのチャネル領域に印加される応力が弱まることが判明した。
【0021】
図3は、P型MISFETのチャネル中央部に横方向に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフである。図3のシミュレーションには、図2に示す半導体装置の構造を用いた。また、ゲート電極上を覆うストレッサ膜(シリコン窒化膜44)として圧縮応力を有するシリコン窒化膜を用いた。図中、マイナスのストレス値は、圧縮ストレスを表している。図3中、ソース/ドレイン領域の幅SAは、ゲート電極26の端部から素子分離絶縁膜20の端部までの距離であり、STI_Hは、窪み22の深さである(図4参照)。図中、▼印のプロットはSTI_Hが0nmの場合であり、◆印のプロットはSTI_Hが20nmの場合であり、●印のプロットはSTI_Hが40nmの場合であり、▲印のプロットはSTI_Hが60nmの場合であり、■印のプロットはSTI_Hが80nmの場合である。 図3に示すように、ソース/ドレイン領域の幅SAが十分に大きい場合には、窪み22の深さが変化しても、チャネル領域に印加される応力のストレス値に大きな違いはない。
【0022】
一方、窪み22の深さSTI_Hが0nmより大きい場合、幅SAが小さくなるほどに、ストレス値の絶対値が小さくなっている。このことは、ソース/ドレイン領域の幅SAが小さいほど、すなわち素子を微細化するほど、チャネル領域に印加される応力のストレス値が小さくなり、チャネル領域を流れるキャリアの移動度が減少してオン電流が減少することを意味している。このような傾向は、窪み22の深さSTI_Hが深くなるほどに顕著である。窪み22の深さSTI_Hが0nmの場合に幅SAが小さくなるほどにストレス値の絶対値が大きくなっているのは、チャネル領域と素子分離絶縁膜20との距離が近づくほど、素子分離絶縁膜20による圧縮ストレスの影響が強くなるためであると考えられる。
【0023】
図5は、ストレッサ膜からMISFETに印加されるストレス値をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。図5(a)は窪み22の深さSTI_Hが0nmの場合、図5(b)は窪み22の深さSTI_Hが20nmの場合、図5(c)は窪み22の深さSTI_Hが40nmの場合、図5(d)は窪み22の深さSTI_Hが80nmの場合である。
【0024】
図5に示すように、窪み22の深さSTI_Hが小さい場合には、ストレッサ膜からのストレスが効率的にチャネル領域に印加されている。しかしながら、窪み22の深さSTI_Hが深くなるにつれ、窪み22の底部近傍から基板内部に印加される応力が増し、チャネル領域に印加される応力が減少していく。素子分離絶縁膜20に窪み22が形成されることにより、ストレッサ膜からチャネル領域へ効率的にストレスを印加できなくなることが判る。
【0025】
このような結果に鑑み、本願発明者等は、窪み22内に絶縁膜を埋め込んで素子領域の表面と素子分離絶縁膜20の表面との間の段差を平坦化ないしは緩和し、平坦化ないしは緩和した素子領域上及び素子分離絶縁膜20上にストレッサ膜を形成することに想到した。
【0026】
図6は、P型MISFETのチャネル中央部に横方向に印加されるストレス値とゲート長方向のソース/ドレイン領域の幅との関係をシミュレーションにより求めた結果示すグラフである。図6のシミュレーションには、図1に示す本実施形態による半導体装置の構造を用いた。また、窪み22内を埋め込む絶縁膜(シリコン窒化膜38)及びゲート電極26上を覆うストレッサ膜(シリコン窒化膜44)として、圧縮応力を有するシリコン窒化膜を用いた。図中、▼印のプロットはSTI_Hが0nmの場合であり、◆印のプロットはSTI_Hが20nmの場合であり、●印のプロットはSTI_Hが40nmの場合であり、▲印のプロットはSTI_Hが60nmの場合であり、■印のプロットはSTI_Hが80nmの場合である。
【0027】
図6に示すように、ソース/ドレイン領域の幅SAが十分に大きい場合、窪み22の深さが変化しても、チャネル領域に印加される応力のストレス値に大きな違いはない。
【0028】
一方、ストレス値の絶対値は、ソース/ドレイン領域の幅SAが小さくなるほどに徐々に大きくなっている。すなわち、本実施形態による半導体装置は、図2の半導体装置とは異なり、ソース/ドレイン領域の幅SAが小さくなるほどに、チャネル領域に印加される応力のストレス値が大きくなっている。このような傾向は、窪み22の深さSTI_Hが深くなるほどに顕著である。
【0029】
図7は、窪み22内を埋め込む絶縁膜(シリコン窒化膜38)を形成し、ゲート電極上を覆うストレッサ膜(シリコン窒化膜44)を形成しなかった場合のシミュレーション結果を示すグラフである。窪み22内を埋め込む絶縁膜(シリコン窒化膜38)としては、圧縮応力を有するシリコン窒化膜を用いた。図中、▼印のプロットはSTI_Hが0nmの場合であり、◆印のプロットはSTI_Hが20nmの場合であり、●印のプロットはSTI_Hが40nmの場合であり、▲印のプロットはSTI_Hが60nmの場合であり、■印のプロットはSTI_Hが80nmの場合である。
【0030】
図7に示すように、窪み22内を埋め込むシリコン窒化膜38だけを形成した場合にも、圧縮応力値こそ小さくはなるが、図6と同様の傾向が得られる。窪み22内を埋め込む絶縁膜(シリコン窒化膜38)は、必ずしも応力を有する膜である必要はないが、応力を有する膜を用いることにより、チャネル領域に印加される応力のストレス値を更に向上することができる。
【0031】
本実施形態による半導体装置においてチャネル領域に効率的に応力を印加できるメカニズムについて、本願発明者等は、以下のように推察している。
【0032】
応力を有する膜は、自身のストレスが緩和しながら(チャネル領域に力を加えながら)、成膜していく。このため、図2に示す半導体装置では、シリコン窒化膜44の成膜過程において、シリコン窒化膜44から加わる応力が、膜面に並行に加わる応力と窪み22部分に加わる応力とに分断され、チャネル領域に効率的に印加されないものと考えられる(図8(a)参照)。シリコン窒化膜44の表面に窪み40が形成されている場合には、更に顕著になるものと考えられる(図8(b))。また、窪み22が深くなるほどに、窪み22部分に加わる応力の割合が増加し、チャネル領域に加わる応力が小さくなるものと考えられる。
【0033】
これに対し、本実施形態による半導体装置では、シリコン窒化膜38とシリコン窒化膜44とを別々に形成するため、シリコン窒化膜38からの応力とシリコン窒化膜44からの応力とが、それぞれチャネル領域に効率的に印加されるものと考えられる(図8(c)参照)。また、窪み22が深くなっても、シリコン窒化膜44から加わる応力が変化することはなく、逆に、シリコン窒化膜38からの応力が増加する分、チャネル領域に加わる応力は全体として大きくなるものと考えられる。
【0034】
なお、以上の説明では、P型MISFETを想定して、ストレッサ膜として圧縮応力を有する膜を用いる場合を示した。N型MISFETの場合には、圧縮応力を有する膜の代わりに引っ張り応力を有する膜を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
【0035】
図9及び図10は、オン電流(Ion)向上率とソース/ドレイン領域の幅SAとの関係を示すグラフである。図9がN型MISFETの場合であり、図10がP型MISFETの場合である。なお、N型MISFETのオン電流向上率ΔIdsn及びP型MISFETのオン電流向上率ΔIdspは、以下の式から算出した。
【0036】
ΔIdsn=5.2×10Δε−9.7×10Δε+2.2×10Δε
ΔIdsp=−7.4×10Δε+8.2×10Δε+8.3×10Δε
図中、▼印のプロットはSTI_Hが0nmの場合であり、◇印及び◆印のプロットはSTI_Hが20nmの場合であり、○印及び●印のプロットはSTI_Hが40nmの場合であり、△印及び▲印のプロットはSTI_Hが60nmの場合であり、□印及び■印のプロットはSTI_Hが80nmの場合である。また、白抜きのプロットが本実施形態の半導体装置の場合(実施例)であり、黒塗りのプロットが図2の半導体装置の場合(比較例)である。
【0037】
図9及び図10に示すように、本実施形態の半導体装置では、N型MISFET及びP型MISFETの何れの場合にも、オン電流を向上することができた。
【0038】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図11乃至図16を用いて説明する。
【0039】
まず、シリコン基板10上に、例えばCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン窒化膜12を堆積する。なお、シリコン基板10とシリコン窒化膜12との間に、シリコン酸化膜を形成してもよい。
【0040】
次いで、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングにより、シリコン窒化膜12をパターニングし、素子分離絶縁膜の形成予定領域のシリコン窒化膜12を除去する。
【0041】
次いで、シリコン窒化膜12をマスクとしてシリコン基板10を異方性エッチングし、シリコン基板10に、深さが例えば300mの素子分離溝14を形成する(図11(a))。
【0042】
次いで、熱酸化法によりシリコン基板10を熱酸化し、素子分離溝14の内壁に、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜16を形成する。
【0043】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜18を堆積する。
【0044】
次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、シリコン窒化膜12をストッパとしてシリコン酸化膜18を研磨し、シリコン窒化膜12上のシリコン酸化膜18を除去する(図11(b))。
【0045】
次いで、例えばリン酸ボイル等のウェットエッチングにより、シリコン窒化膜12を除去する。
【0046】
こうして、素子分離溝14内に埋め込まれたシリコン酸化膜16,18により、素子分離絶縁膜20を形成する(図11(c))。
【0047】
次いで、熱酸化法によりシリコン基板10の表面を熱酸化し、イオン注入等の際の保護膜となるシリコン酸化膜の犠牲膜(図示せず)を形成する。
【0048】
次いで、各素子領域に、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、MISFETの導電型に応じて、ウェルの形成や閾値電圧制御用の所望の不純物を導入する。
【0049】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、素子領域上に形成されたシリコン酸化膜の犠牲膜を除去する。このエッチングの際、素子分離絶縁膜20も表面側から等方的にエッチングされ(図12(a)の点線を参照)、素子領域と素子分離絶縁膜20との境界部分には、素子領域の表面からの深さが例えば60nm程度の窪み(ディボット)22が形成される(図12(a))。
【0050】
次いで、熱酸化法によりシリコン基板10の表面を熱酸化し、シリコン酸化膜のゲート絶縁膜24を形成する。
【0051】
次いで、全面に、例えばCVD法により、ゲート電極となる導電膜、例えばポリシリコン膜を堆積する。
【0052】
次いで、このポリシリコン膜をパターニングし、ポリシリコン膜のゲート電極26を形成する。
【0053】
次いで、ゲート電極26をマスクとしてイオン注入を行い、ゲート電極26の両側のシリコン基板10内に、エクステンション領域となる不純物拡散領域28を形成する(図12(b))。
【0054】
次いで、全面に、例えばCVD法により、シリコン酸化膜を堆積する。
【0055】
次いで、このシリコン酸化膜をエッチバックし、ゲート電極26の側壁部分に、シリコン酸化膜のサイドウォールスペーサ30を形成する。
【0056】
次いで、ゲート電極26及びサイドウォールスペーサ30をマスクとしてイオン注入を行い、ゲート電極26の両側のシリコン基板10内に、ソース/ドレインとなる不純物拡散領域32を形成する(図12(c))。
【0057】
次いで、窒素雰囲気中で熱処理を行い、不純物拡散領域28,32の不純物を活性化し、ソース/ドレイン領域34を形成する。
【0058】
次いで、サリサイドプロセスにより、ゲート電極26及びソース/ドレイン領域34の表面側に、金属シリサイド膜36を選択的に形成する(図13(a))。
【0059】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン窒化膜38を堆積する。これにより、窪み22内はシリコン窒化膜38によって埋め込まれる。シリコン窒化膜38の表面には、窪み22の形状を反映して、窪み40が形成される(図13(b))。
【0060】
シリコン窒化膜38は、応力を有する膜であることが望ましいが、必ずしも応力を有する膜である必要はない。
【0061】
シリコン窒化膜38の第1の目的は、窪み22を埋め込んで表面の段差を平坦化ないしは緩和することにあり、この第1の目的を達成する限りにおいては、必ずしも応力を有する膜である必要はない。また、必ずしもシリコン窒化膜である必要はなく、シリコン酸化膜その他の絶縁膜により形成してもよい。
【0062】
ただし、シリコン窒化膜38として応力を有する膜を適用することには、チャネル領域に印加される格子歪みを増加する効果もある。応力を有する膜を形成する場合にあっては、P型MISFETであれば圧縮応力を有する膜を、N型MISFETであれば引っ張り応力を有する膜を、適用することが望ましい。
【0063】
次いで、シリコン窒化膜38を窪み22内に選択的に残存させ、窪み22部分の段差を平坦化ないしは緩和する。
【0064】
サイドウォールスペーサ30を形成すると同様の手法によりシリコン窒化膜38を異方性エッチングすることにより、窪み22内にシリコン窒化膜38を残存させることができる。しかしながら、このプロセスでは、サイドウォールスペーサ30の側壁部分にもシリコン窒化膜38が残存することがある。そこで、本実施形態では、まず、サイドウォールスペーサ30部に形成されたシリコン窒化膜38を予め除去する。
【0065】
まず、フォトリソグラフィにより、ゲート電極26及びサイドウォールスペーサ30が形成された領域を露出するフォトレジスト膜42を形成する(図14(a),(b))。
【0066】
次いで、フォトレジスト膜42をマスクとしてシリコン窒化膜38をエッチング(エッチバック)し、ゲート電極26及びサイドウォールスペーサ30上のシリコン窒化膜38を除去する。
【0067】
シリコン窒化膜38のエッチングには、例えば、エッチングガスとして例えばCHF/Ar/Oの混合ガスを用い、平坦な基板上に堆積した膜の膜厚に対して10〜30%程度のオーバーエッチングを加えたエッチング量相当のエッチングを行う。これにより、サイドウォールスペーサ30上及びゲート電極26上に形成されたシリコン窒化膜38を残渣なく除去することができる。
【0068】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜42を除去する(図15(a))。
【0069】
次いで、窪み22内にシリコン窒化膜38が選択的に残存し、窪み22部分の段差を平坦化ないしは緩和するように、シリコン窒化膜38を異方性エッチング(エッチバック)する(図15(b))。
【0070】
シリコン窒化膜38のエッチングには、例えば、エッチングガスとして例えばCHF/Ar/Oの混合ガスを用い、平坦な基板上に堆積した膜の膜厚に対して0〜5%程度のオーバーエッチングを加えたエッチング量相当のエッチングを行う。これにより、窪み22内にシリコン窒化膜38を残存しつつ、他の領域のシリコン窒化膜を除去することができる。
【0071】
なお、窪み22内にシリコン窒化膜38を埋め込む工程は、本実施形態に示したように、金属シリサイド膜36を形成するためのサリサイドプロセスの後に行うことが望ましい。
【0072】
サリサイドプロセスでは、前処理として、シリコン基板10表面に形成された自然酸化膜等のシリコン酸化膜を除去するエッチング工程が行われる。また、シリサイド化反応に伴う体積変化により、ソース/ドレイン領域34上に形成した金属シリサイド膜36の表面高さは、元のシリコン基板10の表面高さよりも高くなる。
【0073】
このため、窪み22内にシリコン窒化膜38を埋め込んだ後にサリサイドプロセスを行うと、素子領域と素子分離領域との間に新たに段差が生じ、この段差が窪み22の場合と同様にチャネル領域に印加される応力を弱めるように作用する。
【0074】
サリサイドプロセスを先に行うことにより、サリサイドプロセスによって生じる段差を含めた窪み22部の段差を、窪み22内に埋め込んだシリコン窒化膜38によって緩和することができる。
【0075】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmの、所定の応力を有するシリコン窒化膜44を形成する(図16(a))。P型MISFET上を覆うシリコン窒化膜44であれば、例えば、1〜3GPaの圧縮応力を有するストレッサ膜を形成する。N型MISFETを覆うシリコン窒化膜44であれば、例えば、1〜2GのPa引っ張り応力を有するストレッサ膜を形成する。
【0076】
引っ張り応力を有するシリコン窒化膜は、例えば、熱CVD法により、シリコンのソースガスとして例えばジクロルシラン(SiCl)、シラン(SiH)又はジシラン(Si)を5〜50sccmの流量で、窒素のソースガスとしてNHを500〜10000sccmの流量で、N又はArを500〜10000sccmの流量で、それぞれ流し、圧力0.1〜400Torr、温度500〜700℃の条件で成膜することができる。
【0077】
また、圧縮ストレスを有するシリコン窒化膜は、例えば、プラズマCVD法により、シリコンのソースガスとして例えばシラン(SiH)を100〜1000sccmの流量で、窒素のソースガスとしてNHを500〜10000sccmの流量で、N又はArを500〜10000sccmの流量で、それぞれ流し、圧力0.1〜400Torr、温度500〜700℃、RF電力100〜1000Wの条件で成膜することができる。
【0078】
なお、チャネル領域にシリコン窒化膜44からの応力を効率的に印加するためには、シリコン窒化膜44は、ゲート電極26を内包するように、ゲート電極26の側壁部から上面部に渡って形成することが望ましい。
【0079】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚300nmのシリコン酸化膜46を堆積する。
【0080】
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜46の表面を平坦化し、シリコン窒化膜44とシリコン酸化膜46とを有し、表面が平坦化された層間絶縁膜48を形成する。
【0081】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜48に、金属シリサイド膜36に達するコンタクトホール50を形成する。
【0082】
次いで、バリアメタル及びタングステン膜を堆積後、層間絶縁膜48上のこれら導電膜をエッチバックし、コンタクトホール50内埋め込まれたコンタクトプラグ52を形成する(図16(b))。
【0083】
この後、必要に応じて、コンタクトプラグ52に接続される配線等を形成し、本実施形態による半導体装置を完成する。
【0084】
このように、本実施形態によれば、素子分離絶縁膜の素子領域との境界部分に形成された窪み内に絶縁膜を埋め込み、素子領域の表面と素子分離絶縁膜の表面との間の段差を平坦化ないしは緩和し、その上にMISFETのチャネル領域に所定の格子歪みを印加するためのストレッサ膜を有するため、素子が微細化した場合にも、ストレッサ膜からの応力を効率的にチャネル領域に印加することができる。これにより、MISFETの電流駆動能力を向上することができる。
【0085】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置及びその製造方法について図17乃至図19を用いて説明する。図1乃至図16に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
【0086】
図17は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。図18及び図19は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0087】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図17を用いて説明する。
【0088】
本実施形態による半導体装置は、図17に示すように、サイドウォールスペーサ30の側壁部分に、サイドウォールスペーサ54が形成されている点を除き、図1に示す第1実施形態による半導体装置と同様である。サイドウォールスペーサ54は、窪み22内にシリコン窒化膜38を埋め込む際に残存するシリコン窒化膜38である。
【0089】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図18及び図19を用いて説明する。
【0090】
まず、図11(a)乃至図13(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、シリコン基板10上に、素子分離絶縁膜20及びMISFETを形成する。
【0091】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン窒化膜38を堆積する。これにより、窪み22内はシリコン窒化膜38によって埋め込まれる。シリコン窒化膜38の表面には、窪み22の形状を反映して、窪み40が形成される(図18(a))。
【0092】
次いで、シリコン窒化膜38を異方性エッチングし、窪み22内にシリコン窒化膜38を残存させる。シリコン窒化膜38のエッチングには、例えば、エッチングガスとして例えばCHF/Ar/Oの混合ガスを用い、平坦な基板上に堆積した膜の膜厚に対して0〜5%程度のオーバーエッチングを加えたエッチング量相当のエッチングを行う。これにより、窪み22内にシリコン窒化膜38が残存するとともに、サイドウォールスペーサ30の側壁部分にシリコン窒化膜38のサイドウォールスペーサ54が残存する(図18(b))。
【0093】
本実施形態の製造方法では、工程簡略化の観点から、フォトレジスト膜42を用いずに、シリコン窒化膜38をエッチバックする。窪み22内にシリコン窒化膜38が残存するようにエッチング条件を設定すると、サイドウォールスペーサ30の側壁部分にはシリコン窒化膜38のサイドウォールスペーサ54が残存することになる。
【0094】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmの、所定の応力を有するシリコン窒化膜44を形成する(図19(a))。
【0095】
この後、図16(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、層間絶縁膜48、コンタクトプラグ52等を形成し、本実施形態による半導体装置を完成する(図19(b))。
【0096】
このように、本実施形態によれば、素子分離絶縁膜の素子領域との境界部分に形成された窪み内に絶縁膜を埋め込み、素子領域の表面と素子分離絶縁膜の表面との間の段差を平坦化ないしは緩和し、その上にMISFETのチャネル領域に所定の格子歪みを印加するためのストレッサ膜を有するため、素子が微細化した場合にも、ストレッサ膜からの応力を効率的にチャネル領域に印加することができる。これにより、MISFETの電流駆動能力を向上することができる。
【0097】
また、素子分離絶縁膜の素子領域との境界部分に形成された窪み内への絶縁膜の埋め込みを、フォトリソグラフィを用いずに一度のエッチング工程で行うので、製造工程を簡略化することができる。これにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0098】
[第3実施形態]
第3実施形態による半導体装置及びその製造方法について図20乃至図23を用いて説明する。図1乃至図19に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
【0099】
図20は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。図21乃至図23は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0100】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図20を用いて説明する。
【0101】
本実施形態による半導体装置は、図20に示すように、ソース/ドレイン領域36内にSiGe層58が埋め込まれているほかは、第1実施形態による半導体装置と同様である。
【0102】
ソース/ドレイン領域36内にSiGe層58を形成することにより、SiGe層58からの圧縮応力をもチャネル領域に印加することができ、P型MISFETの電流駆動能力を更に向上することができる。
【0103】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図21乃至図23を用いて説明する。
【0104】
まず、図11(a)乃至図12(c)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、シリコン基板10上に、素子分離絶縁膜20及びMISFETを形成する(図21(a))。
【0105】
次いで、サイドウォールスペーサ30をマスクとしてシリコン基板10をエッチングし、不純物拡散領域28,32内に、深さが例えば80nmのトレンチ56を形成する(図21(b))。
【0106】
次いで、例えばCVD法により、トレンチ56内に、不純物を添加しながらSiGeをエピタキシャル成長し、SiGe層58を形成する。
【0107】
次いで、窒素雰囲気中で熱処理を行い、不純物拡散領域28,32の不純物を活性化し、ソース/ドレイン領域34を形成する。
【0108】
次いで、サリサイドプロセスにより、ゲート電極26及びソース/ドレイン領域34の表面側に、金属シリサイド膜36を選択的に形成する(図22(a))。
【0109】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン窒化膜38を堆積する。これにより、窪み22内はシリコン窒化膜38によって埋め込まれる。(図22(b))。
【0110】
次いで、図14(a)乃至図15(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、窪み22内にシリコン窒化膜38を選択的に残存させる。なお、第2実施形態の場合のように、サイドウォールスペーサ54をも残存するようにしてもよい。
【0111】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmの、所定の応力を有するシリコン窒化膜44を形成する(図23(a))。
【0112】
この後、図16(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、層間絶縁膜48、コンタクトプラグ52等を形成し、本実施形態による半導体装置を完成する(図23(b))。
【0113】
このように、本実施形態によれば、素子分離絶縁膜の素子領域との境界部分に形成された窪み内に絶縁膜を埋め込み、素子領域の表面と素子分離絶縁膜の表面との間の段差を平坦化ないしは緩和し、その上にMISFETのチャネル領域に所定の格子歪みを印加するためのストレッサ膜を有するため、素子が微細化した場合にも、ストレッサ膜からの応力を効率的にチャネル領域に印加することができる。これにより、MISFETの電流駆動能力を向上することができる。
【0114】
また、ソース/ドレイン領域内にSiGe層を埋め込み、チャネル領域に印加される応力を更に増加するので、MISFETの電流駆動能力を更に向上することができる。
【0115】
[第4実施形態]
第4実施形態による半導体装置及びその製造方法について図24乃至図32を用いて説明する。図1乃至図19に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
【0116】
図24は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。図25乃至図32は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0117】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図24を用いて説明する。
【0118】
シリコン基板10には、素子領域を画定する素子分離絶縁膜20が形成されている。なお、本実施形態の図面において、中央の素子分離絶縁膜20よりも右側の素子領域がP型MISFETの形成領域であり、中央の素子分離絶縁膜20よりも左側の素子領域がN型MISFETの形成領域であるものとする。
【0119】
素子分離絶縁膜20の素子領域との境界部分には、素子領域のシリコン基板10表面よりも窪んだ窪み22が形成されている。窪み22内には、シリコン窒化膜38埋め込まれ、素子領域の表面と素子分離絶縁膜20の表面との間の段差が平坦化ないしは緩和されている。
【0120】
N型MISFET形成領域には、ゲート絶縁膜24を介して形成されたゲート電極26と、ゲート電極26の両側のシリコン基板10内に形成されたソース/ドレイン領域34を有するN型MISFETが形成されている。同様に、P型MISFET形成領域には、ゲート絶縁膜24を介して形成されたゲート電極26と、ゲート電極26の両側のシリコン基板10内に形成されたソース/ドレイン領域34を有するP型MISFETが形成されている。
【0121】
N型MISFET及びP型MISFETのゲート電極26の側壁部分には、サイドウォールスペーサ30,54が形成されている。ゲート電極26及びソース/ドレイン領域34上には、金属シリサイド膜36が形成されている。
【0122】
N型MISFET上には、引張りの真性応力を有するシリコン窒化膜60と、シリコン酸化膜62が形成されている。P型MISFET上には、圧縮の真性応力を有するシリコン窒化膜66が形成されている。シリコン酸化膜62及びシリコン窒化膜66上には、シリコン酸化膜46が形成されている。こうして、N型MISFET及びP型MISFETを覆う層間絶縁膜48が形成されている。層間絶縁膜48には、金属シリサイド膜36に接続されたコンタクトプラグ52が埋め込まれている。
【0123】
このように、本実施形態による半導体装置では、素子分離絶縁膜20の素子領域との境界部分に形成された窪み22内にシリコン窒化膜38が埋め込まれており、素子領域の表面と素子分離絶縁膜20の表面との間の段差が平坦化ないしは緩和されている。また、N型MISFET上には引張りの真性応力を有するシリコン窒化膜60が形成されており、P型MISFET上には圧縮の真性応力を有するシリコン窒化膜66が形成されている。そして、シリコン窒化膜60,66は、シリコン窒化膜38によって表面の段差が平坦化ないしは緩和された素子領域上及び素子分離膜20上に形成されている。
【0124】
したがって、本実施形態による半導体装置では、シリコン窒化膜60によってN型MISFETのチャネル領域に効率的に引っ張り応力を印加することができ、シリコン窒化膜66によってP型MISFETのチャネル領域に効率的に圧縮を印加することができる。これにより、N型MISFET及びP型MISFETの双方の電流駆動能力を向上することができる。
【0125】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図25乃至図32を用いて説明する。
【0126】
まず、図11(a)乃至図13(a)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、シリコン基板10上に、素子分離絶縁膜20及びMISFETを形成する(図25)。図中、中央の素子分離絶縁膜20よりも右側の素子領域がP型MISFETの形成領域であり、中央の素子分離絶縁膜20よりも左側の素子領域がN型MISFETの形成領域であるものとする。
【0127】
なお、第3実施形態に示したように、P型MISFETのソース/ドレイン領域34内にSiGe層58を埋め込むようにしてもよい。
【0128】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン窒化膜38を堆積する。これにより、窪み22内はシリコン窒化膜38によって埋め込まれる。シリコン窒化膜38の表面には、窪み22の形状を反映して、窪み40が形成される(図26)。
【0129】
なお、本実施形態では、P型MISFET領域及びN型MISFET領域の双方の領域にシリコン窒化膜38を形成するため、シリコン窒化膜38の真性応力は、後に形成するシリコン窒化膜60,66の真性応力に比べて十分に小さいことが望ましい。窪み22を埋める絶縁材料は、シリコン窒化膜に限定されるものではなく、他の絶縁材料、例えばシリコン酸化膜であってもよい。
【0130】
次いで、シリコン窒化膜38を異方性エッチングし、窪み22内にシリコン窒化膜38を残存させる。シリコン窒化膜38のエッチングには、例えば、エッチングガスとして例えばCHF/Ar/Oの混合ガスを用い、平坦な基板上に堆積した膜の膜厚に対して0〜5%程度のオーバーエッチングを加えたエッチング量相当のエッチングを行う。これにより、窪み22内にシリコン窒化膜38が残存するとともに、サイドウォールスペーサ30の側壁部分にシリコン窒化膜38のサイドウォールスペーサ54が残存する(図27)。
【0131】
なお、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、サイドウォールスペーサ30上に形成されたシリコン窒化膜38を予め除去しておき、サイドウォールスペーサ54が残存しないようにしてもよい。
【0132】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmの引張りの真性応力を有するシリコン窒化膜60と、例えば膜厚10mのシリコン酸化膜62とを形成する(図28)。シリコン窒化膜60は、N型MISFET用のチャネル領域に引っ張り応力を印加するためのストレッサ膜である。
【0133】
次いで、フォトリソグラフィにより、N型MISFET領域を覆い、P型MISFET領域を露出するフォトレジスト膜64を形成する。
【0134】
次いで、フォトレジスト膜64をマスクとしてシリコン酸化膜62及びシリコン窒化膜60をエッチングし、P型MISFET領域のシリコン酸化膜62及びシリコン窒化膜60を除去する(図29)。
【0135】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜64を除去する。
【0136】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmの圧縮の真性応力を有するシリコン窒化膜66を形成する(図30)。シリコン窒化膜66は、P型MISFET用のチャネル領域に圧縮応力を印加するためのストレッサ膜である。
【0137】
次いで、フォトリソグラフィにより、P型MISFET領域を覆い、N型MISFET領域を露出するフォトレジスト膜68を形成する。
【0138】
次いで、フォトレジスト膜68をマスクとして及びシリコン酸化膜62をストッパとして、シリコン窒化膜66をパターニングし、N型MISFET領域のシリコン窒化膜66を除去する(図31)。
【0139】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜68を除去する。
【0140】
この後、図16(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、層間絶縁膜48、コンタクトプラグ52等を形成し、本実施形態による半導体装置を完成する(図32)。
【0141】
このように、本実施形態によれば、素子分離絶縁膜の素子領域との境界部分に形成された窪み内に絶縁膜を埋め込み、素子領域の表面と素子分離絶縁膜の表面との間の段差を平坦化ないしは緩和し、その上にMISFETのチャネル領域に所定の格子歪みを印加するためのストレッサ膜を有するため、素子が微細化した場合にも、ストレッサ膜からの応力を効率的にチャネル領域に印加することができる。これにより、MISFETの電流駆動能力を向上することができる。
【0142】
また、N型MISFETとP型MISFETとでストレッサ膜を作り分けるので、N型MISFET及びP型MISFETの双方の電流駆動能力を向上することができる。
【0143】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0144】
例えば、上記第1乃至第4実施形態では、ゲート電極26上及びソース/ドレイン領域34上に金属シリサイド膜36を形成したが、金属シリサイド膜36は、必ずしも形成する必要はない。また、ゲート電極26上及びソース/ドレイン領域34上のいずれか一方にのみ形成するようにしてもよい。
【0145】
また、上記第4実施形態では、N型MISFET形成領域に引っ張り応力のシリコン窒化膜60を形成し、P型MISFET形成領域に圧縮応力のシリコン窒化膜66を形成したが、N型MISFET形成領域及びP型MISFET形成領域の双方に引っ張り応力のシリコン窒化膜60を形成するようにしてもよい。
【0146】
チャネル領域のゲート長方向の面方位を(110)方向とした場合、N型MISFET形成領域に引っ張り応力のストレッサ膜を形成し、P型MISFET形成領域に圧縮応力のストレッサ膜を形成することにより、双方の特性を向上できることが知られている。一方、チャネル領域のゲート長方向の面方位を(100)方向とした場合、N型MISFET形成領域に引っ張り応力のストレッサ膜を形成することによりN型MISFETの特性は向上するが、ストレッサ膜を形成することによるP型MISFETの特性の変化は小さい。
【0147】
したがって、チャネル領域のゲート長方向の面方位を(100)方向とするような場合には、N型MISFET形成領域とP型MISFET形成領域とでストレッサ膜を作り分けず、全面に引っ張り応力のストレッサ膜を形成することが望ましい。
【0148】
また、上記第4実施形態では、N型MISFET用のストレッサ膜を先に形成し、P型MISFET用のストレッサ膜を後に形成したが、これらストレッサ膜は、何れを先に形成してもよい。
【0149】
また、上記第4実施形態では、窪み22を埋め込む絶縁膜として、シリコン窒化膜60,66の真性応力よりも小さい真性応力のシリコン窒化膜38を用いたが、シリコン窒化膜60,66と同様、N型MISFETとP型MISFETとで異なる応力の膜を作り分けてもよい。
【0150】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の構造、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
【0151】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0152】
(付記1) 半導体基板に、素子領域を画定する素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記素子領域上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板内にソース/ドレイン領域を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記ソース/ドレイン領域が形成された前記半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜の端部に生じた窪み内に前記第1の絶縁膜が残存するように前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程と、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程の後、前記半導体基板上に、前記半導体基板に応力を印加する第2の絶縁膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0153】
(付記2) 付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程では、前記素子領域の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が前記第1の絶縁膜によって平坦化されるように、前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0154】
(付記3) 付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の後、前記第1の絶縁膜を形成する工程の前に、前記ソース/ドレイン領域の表面に金属シリサイド膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0155】
(付記4) 付記3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程では、前記金属シリサイド膜の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が前記第1の絶縁膜によって平坦化されるように、前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0156】
(付記5) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の表面に平行な方向に応力を印加する応力を有する膜であり、
前記第1の絶縁膜は、前記半導体基板に対して前記第2の絶縁膜と同じ方向に応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0157】
(付記6) 付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ゲート電極を形成する工程の後、前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の前に、前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォールスペーサを形成する工程を更に有し、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程は、前記サイドウォールスペーサを露出するマスク膜を形成する工程と、前記マスク膜をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程と、前記マスク膜を除去した後に前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程とを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0158】
(付記7) 付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の後、前記第1の絶縁膜を形成する工程の前に、前記ソース/ドレイン領域内にSiGe層を埋め込む工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0159】
(付記8) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子領域は、N型MISFETの形成領域であり、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の前記表面に平行な方向に引っ張り応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0160】
(付記9) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子領域は、P型MISFETの形成領域であり、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の前記表面に平行な方向に圧縮応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0161】
(付記10) 付記1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜を形成する工程では、前記ゲート電極を内包するように、前記ゲート電極の側壁部から上面部に渡って前記第2の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0162】
(付記11) 半導体基板に形成され、素子領域を画定する素子分離絶縁膜と、
前記素子領域上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板内に形成されたソース/ドレイン領域と、
前記素子分離絶縁膜の端部に形成された窪み内に選択的に埋め込まれた前記第1の絶縁膜と、
前記素子分離絶縁膜上から前記ゲート電極上に渡って形成され、前記半導体基板に応力を印加する第2の絶縁膜と
を有することを特徴とする半導体装置。
【0163】
(付記12) 付記11記載の半導体装置において、
前記素子領域の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が前記第1の絶縁膜によって平坦化されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0164】
(付記13) 付記11記載の半導体装置において、
前記ソース/ドレイン領域上に形成された金属シリサイド膜を更に有し、
前記金属シリサイド膜の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が、前記第1の絶縁膜によって平坦化されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0165】
(付記14) 付記11乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜の真性応力は、前記第2の絶縁膜の真性応力よりも小さい
ことを特徴とする半導体装置。
【0166】
(付記15) 付記11乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子領域は、N型MISFETの形成領域であり、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の前記表面に平行な方向に引っ張り応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置。
【0167】
(付記16) 付記11乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子領域は、P型MISFETの形成領域であり、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の前記表面に平行な方向に圧縮応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0168】
10…シリコン基板
12,44,60,66…シリコン窒化膜
14…素子分離溝
16,18,46,62…シリコン酸化膜
20…素子分離絶縁膜
22,40…窪み
24…ゲート絶縁膜
26…ゲート電極
28,32…不純物拡散領域
30,54…サイドウォールスペーサ
34…ソース/ドレイン領域
36…金属シリサイド膜
38…シリコン窒化膜
42、64,68…フォトレジスト膜
48…層間絶縁膜
50…コンタクトホール
52…コンタクトプラグ
56…トレンチ
58…SiGe層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に、素子領域を画定する素子分離絶縁膜を形成する工程と、
前記素子領域上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板内にソース/ドレイン領域を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記ソース/ドレイン領域が形成された前記半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記素子分離絶縁膜の端部に生じた窪み内に前記第1の絶縁膜が残存するように前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程と、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程の後、前記半導体基板上に、前記半導体基板に応力を印加する第2の絶縁膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程では、前記素子領域の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が前記第1の絶縁膜によって平坦化されるように、前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の後、前記第1の絶縁膜を形成する工程の前に、前記ソース/ドレイン領域の表面に金属シリサイド膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程では、前記金属シリサイド膜の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が前記第1の絶縁膜によって平坦化されるように、前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜は、前記半導体基板の表面に平行な方向に応力を印加する応力を有する膜であり、
前記第1の絶縁膜は、前記半導体基板に対して前記第2の絶縁膜と同じ方向に応力を印加する応力を有する膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ゲート電極を形成する工程の後、前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の前に、前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォールスペーサを形成する工程を更に有し、
前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程は、前記サイドウォールスペーサを露出するマスク膜を形成する工程と、前記マスク膜をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程と、前記マスク膜を除去した後に前記第1の絶縁膜をエッチバックする工程とを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ソース/ドレイン領域を形成する工程の後、前記第1の絶縁膜を形成する工程の前に、前記ソース/ドレイン領域内にSiGe層を埋め込む工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板に形成され、素子領域を画定する素子分離絶縁膜と、
前記素子領域上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板内に形成されたソース/ドレイン領域と、
前記素子分離絶縁膜の端部に形成された窪み内に選択的に埋め込まれた前記第1の絶縁膜と、
前記素子分離絶縁膜上から前記ゲート電極上に渡って形成され、前記半導体基板に応力を印加する第2の絶縁膜と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記ソース/ドレイン領域上に形成された金属シリサイド膜を更に有し、
前記金属シリサイド膜の表面と前記素子分離絶縁膜の表面との間の段差が、前記第1の絶縁膜によって平坦化されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜の真性応力は、前記第2の絶縁膜の真性応力よりも小さい
ことを特徴とする半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−39034(P2012−39034A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180353(P2010−180353)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】