説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】金属シリサイド層と窒化シリコン膜の界面に自然酸化膜が残存していると、窒化シリコン膜の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板の加熱を伴う工程)において、金属シリサイド層表面にある自然酸化膜の酸素に起因して、金属シリサイド層が部分的に異常成長してしまう。
【解決手段】本願発明においては、集積回路を構成する電界効果トランジスタのソース・ドレイン上のニッケル・シリサイド等の金属シリサイド膜の上面に対して、不活性ガスを主要な成分とするガス雰囲気中において、実質的にノン・バイアス(低バイアスを含む)のプラズマ処理を施した後、コンタクト・プロセスのエッチング・ストップ膜となる窒化シリコン膜を成膜することにより、金属シリサイド膜の不所望な削れを生じることなく、金属シリサイド膜の上面の自然酸化膜を除去することができる。
を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法における金属シリサイド関連技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2003−86569号公報(特許文献1)または米国特許第7122477号公報(特許文献2)には、CoSi膜表面の自然酸化膜を除去するプラズマ処理方法に関する技術が記載されている。
【0003】
日本特開平10−112446号公報(特許文献3)には、Tiシリサイド層上のTiO層を除去してからTiN層を形成する技術が記載されている。
【0004】
日本特開2001−284284号公報(特許文献4)には、CoSi層表面の自然酸化膜を除去してからTiN層を成長させる技術が記載されている。
【0005】
国際公開WO2007/020684号パンフレット(特許文献5)には、ダマシン法を用いて形成したCu配線上にCuの拡散を防止する窒化シリコン膜を形成する技術が記載されている。
【0006】
日本特開号公報(特許文献6)には、ニッケル・シリサイド表面に対して、アンモニアを含むガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、窒化シリコン膜を形成する技術が開示されている。
【0007】
日本特開号公報(特許文献7)または米国特許第号公報(特許文献8)にも、同様にニッケル・シリサイド表面に対して、アンモニアを含むガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、窒化シリコン膜を形成する技術が開示されている。
【0008】
日本特開号公報(特許文献9)または米国特許公開号公報(特許文献10)にも、同様にニッケル・シリサイド表面に対して、アンモニアを含むガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、窒化シリコン膜を形成する技術が開示されている。
【0009】
日本特開号公報(特許文献11)には、コバルト・シリサイドまたはニッケル・シリサイド表面に対して、水素プラズマ還元処理を施した後に、層間絶縁膜を形成する技術が開示されている。
【0010】
国際公開第2006/100765号パンフレット(特許文献12)または米国特許公開号公報(特許文献13)には、コンタクト・ホール底部のニッケル・シリサイド表面に対して、窒素ガス及び水素ガスを含むガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、バリア・メタルを形成する技術が開示されている。
【0011】
日本特開号公報(特許文献14)または米国特許第号公報(特許文献15)には、コンタクト・ホール底部のニッケル・シリサイド表面に対して、水素ガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、バリア・メタルを形成する技術が開示されている。
【0012】
日本特開号公報(特許文献16)または米国特許公開号公報(特許文献17)には、コンタクト・ホール底部のニッケル・シリサイド表面に対して、アンモニア・ガス及び水素ガスを含むガス雰囲気中でプラズマ処理を施した後に、バリア・メタルを形成する技術が開示されている。
【0013】
【特許文献1】特開2003−86569号公報
【特許文献2】米国特許第7122477号公報
【特許文献3】特開平10−112446号公報
【特許文献4】特開2001−284284号公報
【特許文献5】国際公開WO2007/020684号パンフレット
【特許文献6】特開2007−19330号公報
【特許文献7】特開2004−128501号公報
【特許文献8】米国特許第6831008号公報
【特許文献9】特開2008−135635号公報
【特許文献10】米国特許公開2008−0124922号公報
【特許文献11】特開2000−31092号公報
【特許文献12】国際公開WO2005/098913号パンフレット
【特許文献13】米国特許公開2007−0257372号公報
【特許文献14】特開2007−27680号公報
【特許文献15】米国特許第7407888号公報
【特許文献16】特開2007−214538号公報
【特許文献17】米国特許公開2007−0161218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
半導体集積回路装置の高集積化が進むにつれて、電界効果トランジスタ(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)はスケーリング則に従い微細化されるが、ゲートやソース・ドレインの抵抗が増大して電界効果トランジスタを微細化しても高速動作が得られないという問題が生ずる。そこで、ゲートを構成する導電膜およびソース・ドレインを構成する半導体領域の表面に自己整合により低抵抗の金属シリサイド層、例えばニッケル・シリサイド層またはコバルト・シリサイド層などを形成することにより、ゲートやソース・ドレインを低抵抗化するサリサイド技術が検討されている。
【0015】
これに関して、本発明者等の検討によって、以下のことが明らかとなった。ゲートを構成する導電膜およびソース・ドレインを構成する半導体領域の表面にサリサイド・プロセスにより金属シリサイド層を形成した後、その金属シリサイド層の表面を含む半導体基板上に窒化シリコン膜を形成する。続いて、その窒化シリコン膜上に厚い酸化シリコンの層間絶縁膜を形成し、この層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する。コンタクト・ホールを開口する際には、まず窒化シリコン膜をエッチング・ストッパとして機能させて層間絶縁膜をドライ・エッチングしてから、コンタクト・ホールの底部で窒化シリコン膜をドライ・エッチングする。コンタクト・ホール形成後、コンタクト・ホール内にプラグを埋め込む。
【0016】
しかしながら、金属シリサイド層の表面に自然酸化膜が形成されている状態で窒化シリコン膜を形成すると、金属シリサイド層と窒化シリコン膜の界面に自然酸化膜が残存した状態となる。金属シリサイド層と窒化シリコン膜の界面に自然酸化膜が残存していると、窒化シリコン膜の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板の加熱を伴う工程)において、金属シリサイド層表面にある自然酸化膜の酸素に起因して、金属シリサイド層が部分的に異常成長してしまう。そのような金属シリサイド層の異常成長は、金属シリサイド層の抵抗の増加を招き、また、金属シリサイド層がチャネル部に異常成長していると、電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流の増大を招く可能性がある。これは、半導体集積回路装置の性能を著しく低下させる。
【0017】
また、金属シリサイド層の表面の自然酸化膜を、通常のプラズマ処理、すなわち、バイアス・プラズマ処理によって除去すると、スパッタ作用が強すぎるため、金属シリサイド層が削られ、接合リークの増大を招く等の問題がある。
【0018】
更に、水素を含む還元性ガスのプラズマ処理によって、金属シリサイド層の表面の自然酸化膜を除去すると、水素起因のトランジスタ特性の劣化が見られる場合がある。
【0019】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0020】
本発明の目的は、半導体集積回路装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0021】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0023】
すなわち、本願発明は集積回路を構成する電界効果トランジスタのソース・ドレイン上のニッケル・シリサイド等の金属シリサイド膜の上面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気中において、実質的にノン・バイアス(低バイアスを含む)のプラズマ処理を施した後、コンタクト・プロセスのエッチング・ストップ膜となる窒化シリコン膜を成膜するものである。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0025】
すなわち、本願発明においては、集積回路を構成する電界効果トランジスタのソース・ドレイン上のニッケル・シリサイド等の金属シリサイド膜の上面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気中において、実質的にノン・バイアス(低バイアスを含む)のプラズマ処理を施す。その後、コンタクト・プロセスのエッチング・ストップ膜となる窒化シリコン膜を成膜することにより、金属シリサイド膜の不所望な削れを生じることなく、金属シリサイド膜の上面の自然酸化膜を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0027】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、接地された前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【0028】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【0029】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【0030】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【0031】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、窒素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0032】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(h)前記工程(g)の後、前記半導体ウエハを第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(i)前記工程(h)の後、接地された前記第2の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第2のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(j)前記工程(i)の後、接地された前記第2の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0033】
7.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(j)前記工程(g)の後、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0034】
8.前記6項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(i)の前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【0035】
9.前記6または8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【0036】
10.前記6、8または9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【0037】
11.前記6、8,9、または10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に窒素ガスを含まない。
【0038】
12.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、前記第1の下部電極の自己バイアスが10ボルト以下である低バイアス・プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【0039】
13.前記12項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【0040】
14.前記12または13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【0041】
15.前記12から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【0042】
16.前記12から15項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、窒素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0043】
17.前記12から16項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(h)前記工程(g)の後、前記半導体ウエハを第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(i)前記工程(h)の後、前記第2の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第2のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、前記第2の下部電極の自己バイアスが10ボルト以下である低バイアス・プラズマ処理を実行する工程;
(j)前記工程(i)の後、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0044】
18.前記12から16項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(j)前記工程(g)の後、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0045】
19.前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(i)の前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【0046】
20.前記17または19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【0047】
21.前記17、19または20項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【0048】
22.前記17、19,20、または21項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に窒素ガスを含まない。
【0049】
23.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(c)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記半導体ウエハを気相処理チャンバ内の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(f)前記工程(e)の後、接地された前記下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(h)前記工程(g)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0050】
24.前記23項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【0051】
25.前記23または24項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【0052】
26.前記23から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【0053】
27.前記23から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ガス雰囲気は、実質的に窒素ガスを含まない。
【0054】
28.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、接地された前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極または第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【0055】
29.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、前記第1の下部電極の自己バイアスが20ボルト以下である低バイアス・プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極または第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【0056】
30.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたシリコンを主要な成分とするゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(c)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記半導体ウエハを気相処理チャンバ内の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(f)前記工程(e)の後、接地された前記下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極または第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(h)前記工程(g)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【0057】
31.前記1から30項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記MISFETのサイド・ウォール絶縁膜の下端幅は、前記MISFETのエクステンション領域の深さよりも小さい。
【0058】
32.前記1から31項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記シリサイド膜はニッケル・シリサイドを主要な成分とする膜である。
【0059】
33.前記1から32項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記MISFETは、
(x5)前記ゲート電極の側壁に設けられたサイド・ウォール絶縁膜、
(x6)前記サイド・ウォール絶縁膜の下方領域に設けられた半導体領域であるエクステンション領域、
を更に有し、前記サイド・ウォール絶縁膜の下端幅は、前記エクステンション領域の深さよりも小さい。
【0060】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0061】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0062】
同様に、「ニッケル・シリサイド」というときは、通常、ニッケル・モノ・シリサイドを指すが、比較的純粋なものばかりではなく、ニッケル・モノ・シリサイドを主要な構成要素とする合金、混晶等を含む。
【0063】
また、「窒化シリコン」といっても、実際には比較的多量の水素等を含有する。従って、現実に半導体分野で使用されている範囲の窒化シリコンを主要な構成要素とする窒化シリコン系(すなわち、非酸化シリコン系無機絶縁膜の代表例)の材料を指す。なお、非酸化シリコン系といっても、エッチング・ストップ膜としての作用を阻害しない程度の微量の酸素の含有は許容される。
【0064】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0065】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0066】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0067】
6.「ノン・バイアス・プラズマ」または「低バイアス・プラズマ」とは、下部電極(ウエハ・ステージに対応する電極)を接地し(すなわち、下部電極のVdc=0ボルト)、上部電極(RF,マイクロ波等のアンテナを含む)によりプラズマを励起するプラズマ処理装置又はそれと等価な下部電極のセルフ・バイアス(Vdc)を伴うプラズマ処理装置による処理に対応するプラズマ処理を指す。通常、セルフ・バイアスは負値であるが、上下が煩雑であり、本願では特に明示した場合を除き絶対値で示す。なお、下部電極のセルフ・バイアスとウエハのセルフ・バイアスは、一般に同一ではない。
【0068】
一方、通常の「バイアス・プラズマ」は、スパッタリング・エッチや異方性ドライエッチで利用されており、通常、その下部電極のセルフ・バイアス値は50ボルトから300ボルト程度の高い値を示す。
【0069】
従って、「ノン・バイアス・プラズマ」または「低バイアス・プラズマ」というときは、下部電極が実質的に接地されているか、または、下部電極のセルフ・バイアス(Vdc)が、実質的に0ボルトから10ボルト程度であることを示す。
【0070】
〔実施の形態の詳細〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0071】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0072】
なお、ニッケル・シリサイド等の金属シリサイド膜の上面の自然酸化膜の除去等については、本願発明者等による先行出願、すなわち、日本特許出願第2007−259355号(2007年10月3日出願)に詳しく説明されている。
【0073】
1.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハ処理フローの概略説明(主に図1から図10)
本発明の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造工程の図面を参照して説明する。図1〜図10は、本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置、例えばCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【0074】
まず、図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。それから、半導体基板1のデバイス面1a(第1の主面)に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)2aに埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0075】
次に、図2に示されるように、半導体基板1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエル3およびn型ウエル4を形成する。p型ウエル3は、pチャネル型MISFET形成予定領域を覆うフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして、nチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板1に例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。また、n型ウエル4は、nチャネル型MISFET形成予定領域を覆う他のフォトレジスト膜(図示せず)をイオン注入阻止マスクとして、pチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板1に例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。
【0076】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、半導体基板1の表面(すなわちp型ウエル3およびn型ウエル4の表面)上にゲート絶縁膜5を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
【0077】
次に、半導体基板1上(すなわちp型ウエル3およびn型ウエル4のゲート絶縁膜5上)に、ゲート電極形成用の導体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜(導体膜)6を形成する。シリコン膜6のうちのnチャネル型MISFET形成予定領域(後述するゲート電極6aとなる領域)は、フォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6のうちのpチャネル型MISFET形成予定領域(後述するゲート電極6bとなる領域)は、他のフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして用いてホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のp型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、シリコン膜6は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0078】
次に、図3に示されるように、シリコン膜6をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極6a,6bを形成する。
【0079】
nチャネル型MISFETのゲート電極となるゲート電極6aは、n型の不純物を導入した多結晶シリコン(n型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、p型ウエル3上にゲート絶縁膜5を介して形成される。すなわち、ゲート電極6aは、p型ウエル3のゲート絶縁膜5上に形成される。また、pチャネル型MISFETのゲート電極となるゲート電極6bは、p型の不純物を導入した多結晶シリコン(p型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、n型ウエル4上にゲート絶縁膜5を介して形成される。すなわち、ゲート電極6bは、n型ウエル4のゲート絶縁膜5上に形成される。ゲート電極6a,6bのゲート長は、必要に応じて変更できるが、例えば40nm程度とすることができる。
【0080】
次に、図4に示されるように、p型ウエル3のゲート電極6aの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)n型半導体領域7aを形成し、n型ウエル4のゲート電極6bの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、(一対の)p型半導体領域8aを形成する。n型半導体領域7aおよびp型半導体領域8aの深さ(接合深さ)は、例えば40nm程度とすることができる。
【0081】
次に、ゲート電極6a,6bの側壁上に、絶縁膜として、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれら絶縁膜の積層膜などからなる側壁スペーサまたはサイド・ウォール(側壁絶縁膜)9を形成する。サイド・ウォール9は、例えば、半導体基板1上に酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を堆積し、この酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などにより異方性エッチングすることによって形成することができる。
【0082】
サイド・ウォール9の形成後、(一対の)n型半導体領域7b(ソース、ドレイン)を、例えば、p型ウエル3のゲート電極6aおよびサイド・ウォール9の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより形成する。また、(一対の)p型半導体領域8b(ソース、ドレイン)を、例えば、n型ウエル4のゲート電極6bおよびサイド・ウォール9の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより形成する。n型半導体領域7bを先に形成しても、あるいはp型半導体領域8bを先に形成してもよい。イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理を行うこともできる。n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの深さ(接合深さ)は、例えば80nm程度とすることができる。
【0083】
型半導体領域7bは、n型半導体領域7aよりも不純物濃度が高く、p型半導体領域8bは、p型半導体領域8aよりも不純物濃度が高い。これにより、nチャネル型MISFETのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n型半導体領域(不純物拡散層)7bおよびn型半導体領域7aにより形成され、pチャネル型MISFETのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p型半導体領域(不純物拡散層)8bおよびp型半導体領域8aにより形成される。従って、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。n型半導体領域7aは、ゲート電極6aに対して自己整合的に形成され、n型半導体領域7bは、ゲート電極6aの側壁上に形成されたサイド・ウォール9に対して自己整合的に形成され、p型半導体領域8aは、ゲート電極6bに対して自己整合的に形成され、p型半導体領域8bは、ゲート電極6bの側壁上に形成されたサイド・ウォール9に対して自己整合的に形成される。
【0084】
このようにして、p型ウエル3にnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成され、n型ウエル4にpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qpが形成され、図4の構造が得られる。なお、n型半導体領域7b(第1半導体領域)は、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができ、p型半導体領域8b(第1半導体領域)は、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができる。
【0085】
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、nチャネル型MISFETQnのゲート電極6aおよびソース・ドレイン領域(ここではn型半導体領域7b)の表面と、pチャネル型MISFETQpのゲート電極6bおよびソース・ドレイン領域(ここではp型半導体領域8b)の表面とに、低抵抗の金属シリサイド層(後述の金属シリサイド層13に対応)を形成する。以下に、この金属シリサイド層の形成工程について説明する。
【0086】
上記のようにして図4の構造が得られた後、図5に示されるように、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面を露出させてから、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8b上を含む半導体基板1の主面(全面)上に、ゲート電極6a,6bを覆うように、金属膜11を例えばスパッタリング法を用いて形成(堆積)する。それから、金属膜11上にバリア膜12を形成(堆積)する。
【0087】
また、半導体基板1上に金属膜11を堆積する前に、HFガス、NFガス、NHガスまたはHガスのうち少なくともいずれか一つを用いたドライクリーニング処理を行って、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7b及びp型半導体領域8bの表面の自然酸化膜を除去した後、半導体基板1を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、金属膜11の形成工程およびバリア膜12の形成工程を行えば、より好ましい。
【0088】
金属膜11は、例えばニッケル(Ni)膜からなり、その厚さ(堆積膜厚)は、例えば10nm程度とすることができる。Ni(ニッケル)膜以外にも、例えばNi−Pt合金膜(NiとPtの合金膜)、Ni−V合金膜(NiとVの合金膜)、Ni−Pd合金膜(NiとPdの合金膜)、Ni−Yb合金膜(NiとYbの合金膜)またはNi−Er合金膜(NiとErの合金膜)のようなニッケル合金膜などを金属膜11として用いることができる。サイド・ウォール絶縁膜の下端幅がエクステンション領域の深さよりも小さい場合においては、金属膜11はニッケル合金膜がより好ましい。バリア膜12は、例えば窒化チタン(TiN)膜またはチタン(Ti)膜からなり、その厚さ(堆積膜厚)は、例えば15nm程度とすることができる。バリア膜12は、金属膜11の酸化防止や半導体基板1に働く応力の制御などのために金属膜11上に設けられる。
【0089】
金属膜11およびバリア膜12を形成した後、半導体基板1に第1の熱処理(アニール処理)を施すことで、ゲート電極6a,6bを構成する多結晶シリコン膜と金属膜11、およびn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bを構成する単結晶シリコンと金属膜11を選択的に反応させて、金属・半導体反応層である金属シリサイド層13を形成する。ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの各上部(上層部)と金属膜11とが反応することにより金属シリサイド層13が形成されるので、金属シリサイド層13は、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの各表面(上層部)に形成される。金属シリサイド層13を形成するための第1の熱処理は、不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスまたは窒素(N)ガス)雰囲気で満たされた常圧下で行うことが好ましい。
【0090】
次に、ウエハ1のデバイス面1aに対して、ウェット洗浄処理を行うことにより、バリア膜12と、未反応の金属膜11(すなわちゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8bと反応しなかった金属膜11)とを除去する。この際、ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面上に金属シリサイド層13を残存させる。このウェット洗浄処理は、硫酸を用いたウェット洗浄、または硫酸と過酸化水素水とを用いたウェット洗浄などにより行うことができる。このようにして、図6の構造が得られる。
【0091】
次に、半導体基板1に第2の熱処理(アニール処理)を施す。この第2の熱処理は、上記第1の熱処理の熱処理温度よりも高い熱処理温度で行う。第2の熱処理は、不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスまたは窒素(N)ガス)雰囲気で満たされた、常圧下で行うことが好ましい。
【0092】
上記のように、第1の熱処理によってゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bおよびp型半導体領域8b(を構成するシリコン)と金属膜11を選択的に反応させて、金属シリサイド層13を形成するが、第1の熱処理を行った段階で金属シリサイド層13をMSi(メタルモノシリサイド)相とし、MSi(ダイメタルシリサイド)相やMSi(メタルダイシリサイド)相とはしないことが好ましい。そして、上記第2の熱処理を行うことで、MSi相の金属シリサイド層13を安定化することができる。
【0093】
すなわち、第1の熱処理でMSi相の金属シリサイド層13が形成され、この金属シリサイド層13は、第2の熱処理を行っても、変わらずMSi相のままであるが、第2の熱処理を行うことで、金属シリサイド層13内の組成がより均一化され、金属シリサイド層13内の金属元素MとSiとの組成比が1:1の化学量論比により近くなり、金属シリサイド層13を安定化できる。また、第1の熱処理でMSi相の部分が金属シリサイド層13中に形成されていた場合は、第2の熱処理によって、MSi相の部分をMSi相にすることができる。なお、MSi相は、MSi相およびMSi相よりも低抵抗率であり、第2の熱処理以降も(半導体集積回路装置の製造終了まで)金属シリサイド層13は低抵抗のMSi相のまま維持され、製造された半導体集積回路装置では(例えば半導体基板1を個片化して半導体チップとなった状態でも)、金属シリサイド層13は低抵抗のMSi相となっている。
【0094】
なお、本実施の形態では、金属膜11を構成する金属元素を化学式ではM、カタカナ表記では「メタル」と表記している。例えば、金属膜11がニッケル(Ni)膜である場合は、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNiであり、上記MSi(メタル・モノシリサイド)はNiSi(ニッケル・モノシリサイド)であり、上記MSi(ダイ・メタル・シリサイド)はNiSi(ダイ・ニッケル・シリサイド)であり、上記MSi(メタル・ダイ・シリサイド)はNiSi(ニッケル・ダイ・シリサイド)である。金属膜11が、Niが98原子%でPtが5原子%のNi−Pt合金膜(Ni0.95Pt0.05合金膜)の場合、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNi及びPt(但しNiとPtの組成比を勘案すると上記MはNi0.95Pt0.05)であり、上記MSiはNi0.95Pt0.05Siであり、上記MSiは(Ni0.95Pt0.05Siであり、上記MSiはNi0.95Pt0.05Siである。金属膜11が、Niが99原子%でPdが1原子%のNi−Pd合金膜(Ni0.99Pt0.01合金膜)の場合、上記M(金属膜11を構成する金属元素M)はNi及びPd(但しNiとPdの組成比を勘案すると上記MはNi0.99Pd0.01)であり、上記MSiはNi0.99Pd0.01Siであり、上記MSiは(Ni0.99Pd0.01Siであり、上記MSiはNi0.99Pd0.01Siである。金属膜11が他の組成の合金膜の場合も、同様に考えることができる。
【0095】
このようにして、nチャネル型MISFETQnのゲート電極6aおよびソース・ドレイン領域(n型半導体領域7b)の表面(上層部)と、pチャネル型MISFETQpのゲート電極6bおよびソース・ドレイン領域(p型半導体領域8b)の表面(上層部)とに、MSi(メタルモノシリサイド)からなる金属シリサイド層13が形成される。また、金属膜11の膜厚によるが、金属膜11の膜厚が例えば10nm程度の場合、金属シリサイド層13の膜厚は、例えば20nm程度である。
【0096】
次に、図7に示されるように、半導体基板1の主面上に絶縁膜21(第1絶縁膜)を形成する。すなわち、ゲート電極6a,6bを覆うように、金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成する。絶縁膜21は窒化シリコン膜からなり、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。この絶縁膜21の形成工程については、後でより詳細に説明する。
【0097】
次に、図8に示されるように、絶縁膜21上に絶縁膜21よりも厚い絶縁膜22を形成する。絶縁膜22は例えば酸化シリコン膜などからなり、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、またはTetra Ethyl Ortho Silicateとも言う)を用いてプラズマCVD法などにより形成することができる。これにより、絶縁膜21,22からなる層間絶縁膜が形成される。その後、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨するなどして、絶縁膜22の上面を平坦化する。下地段差に起因して絶縁膜21の表面に凹凸形状が形成されていても、絶縁膜22の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0098】
次に、図9に示されるように、絶縁膜22上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜22,21をドライ・エッチングすることにより、絶縁膜21,22にコンタクト・ホール(貫通孔、孔)23を形成する。
【0099】
この際、まず絶縁膜21に比較して絶縁膜22がエッチングされやすい条件(すなわち絶縁膜22のエッチング速度が絶縁膜21のエッチング速度よりも大きくなるエッチング条件)で絶縁膜22のドライ・エッチングを行い、絶縁膜21をエッチングストッパ膜として機能させることで、絶縁膜22にコンタクト・ホール23を形成する。このときのガス雰囲気としては、たとえば、比較的多量の希釈ガス(アルゴン、ヘリウム)、パー・フルオロ・カーボン系のエッチング・ガス(C,C,C10,C,C等)、および、その他の添加ガス(酸素、窒素等)等を含む混合ガス雰囲気を例示することができる。
【0100】
この段階では、コンタクト・ホール23は、絶縁膜22を貫通するが絶縁膜21は貫通せず、絶縁膜21でエッチングを停止させ、コンタクト・ホール23の底部で、絶縁膜21の少なくとも一部が残存するようにする。それから、絶縁膜22に比較して絶縁膜21がエッチングされやすい条件(すなわち絶縁膜21のエッチング速度が絶縁膜22のエッチング速度よりも大きくなるエッチング条件)でコンタクト・ホール23の底部の絶縁膜21をドライ・エッチングして除去する(通常、CF,CHF,CH,NF等の弗素含有エッチング・ガスとその他酸素等の添加ガス等からなる混合ガス雰囲気が用いられる)。これにより、コンタクト・ホール23の底部で絶縁膜21が完全に除去され、コンタクト・ホール23は絶縁膜22,21を貫通し、コンタクト・ホール23の底部で半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面上の金属シリサイド層13の一部や、ゲート電極6a,6bの表面上の金属シリサイド層13の一部などが露出される。
【0101】
次に、コンタクト・ホール23内に、タングステン(W)などからなるプラグ(接続用導体部、埋め込みプラグ、埋め込み導体部)24を形成する。プラグ24を形成するには、例えば、コンタクト・ホール23の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜22上に、プラズマCVD法などによりバリア導体膜24a(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜24bをCVD法などによってバリア導体膜24a上にコンタクト・ホール23を埋めるように形成し、絶縁膜22上の不要な主導体膜24bおよびバリア導体膜24aをCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、コンタクト・ホール23内に残存する主導体膜24bおよびバリア導体膜24aからなるプラグ24を形成することができる。ゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8b上に形成されたプラグ24は、その底部でゲート電極6a,6b、n型半導体領域7bまたはp型半導体領域8bの表面上の金属シリサイド層13と接して、電気的に接続される。
【0102】
次に、図10に示されるように、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、ストッパ絶縁膜31および配線形成用の絶縁膜32を順次形成する。ストッパ絶縁膜31は絶縁膜32への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜32に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜31は、例えばプラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とし、絶縁膜32は、例えばプラズマCVD法により形成される酸化シリコン膜とすることができる。なお、ストッパ絶縁膜31と絶縁膜32には次に説明する第1層目の配線が形成される。
【0103】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、レジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライ・エッチングによって絶縁膜32およびストッパ絶縁膜31の所定の領域に配線溝33を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝33の底部および側壁上を含む絶縁膜32上)にバリア導体膜(バリア・メタル膜)34を形成する。バリア導体膜34は、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜34上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝33の内部を埋め込む。それから、配線溝33以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリア・メタル膜34をCMP法により除去して、配線溝33に埋め込まれ銅を主導電材料とする第1層目の配線35を形成する。配線35は、プラグ24を介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bやゲート電極6a,6bなどと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法により2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0104】
2.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるシリサイド表面に対する不活性ガス・プラズマ処理等に使用する気相処理装置の説明(主に図11から図13)
次に、絶縁膜21の形成工程について、より詳細に説明する。
【0105】
図11は絶縁膜21の形成に用いることができる成膜装置41の一例を示す概略平面図である。絶縁膜21の成膜には、図11のマルチ・チャンバ型枚葉成膜装置41(マルチ・チャンバ型枚葉気相処理装置)を用いることができる。各チャンバの構成は、必要に応じて、成膜チャンバ(プラズマCVDチャンバ、熱CVDチャンバ、スパッタ成膜チャンバ)および、その他の気相処理チャンバ(プラズマ気相処理チャンバ、非プラズマ気相処理チャンバ)等とすることができる。
【0106】
図11に示されるように、成膜装置41は、搬送室42と、搬送室42の周囲に開閉手段であるゲートバルブ43を介して配置されたロードロック室44a,44bおよびチャンバ(処理室、反応室)46a,46b,47a,47b,48a,48bとを有している。また、成膜装置41においては、ロードロック室44a,44bの搬送室42と反対側にはウエハ搬入出室51が設けられており、ウエハ搬入出室51のロードロック室44a,44bと反対側には半導体ウエハSWを収納するフープ(Front Open Unified Pod)52a,52bを取り付けるポート53が設けられている。
【0107】
搬送室42は排気機構等により所定の真空度に保持され、その中央部には半導体ウエハSWを搬送するための搬送用ロボット42aが設けられている。搬送室42に備わるチャンバ46a,46bは、プラズマCVD法により絶縁膜21を成膜する成膜用チャンバとなる。
【0108】
成膜装置41は、複数のチャンバ46a,46b,47a,47b,48a,48bを備えたマルチチャンバタイプの装置であるが、成膜装置41が備えるチャンバの数は種々変更可能であり、一つのチャンバのみを備えたタイプの装置とすることもできるが、チャンバ46a,46bの少なくとも一方は必要である。
【0109】
また、成膜装置41では、チャンバ46aとチャンバ46bとを同じ構成のチャンバとしてツイン・チャンバとし、チャンバ47aとチャンバ47bとを同じ構成のチャンバとしてツイン・チャンバとし、チャンバ48aとチャンバ48bとを同じ構成のチャンバとしてツイン・チャンバとし、一度に2枚の半導体ウエハに対して同じ処理を行えるようにしている。他の形態として、チャンバ46a,46bの一方とチャンバ47a,47bの一方とチャンバ48a,48bの一方を省略することもできる。
【0110】
次に、成膜装置41のチャンバ46a,46bの構成について説明する。なお、チャンバ46aとチャンバ46bとは同様の構成を有しているので、ここではチャンバ46a,46bをチャンバ46として説明する。図12は成膜装置41に備わる成膜用のチャンバ46(すなわちチャンバ46a,46b)の概略断面図である。
【0111】
チャンバ46は、半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)上に絶縁膜21をCVD法によって形成するために使用されるチャンバ(処理室、反応室)であり、例えば平行平板型プラズマCVD装置のチャンバである。
【0112】
図12に示されるように、チャンバ46は、真空気密が可能な処理室であり、チャンバ46内には、互いに対向する下部電極(基板電極)61および上部電極(高周波電極)62が配置されている。下部電極61は、その上に半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)が配置可能に構成され、内部に図示しないヒータなどの加熱機構を内蔵している。また、上部電極62には、チャンバ46の外部に設けられた高周波電源63などにより高周波電力または高周波電圧を供給(印加)可能に構成されている。一方、高周波電源63の他端(上部電極62に接続されていない側)、下部電極61およびチャンバ46の内壁は、接地されている。
【0113】
また、チャンバ46は、上部電極62に設けられたガス導入口62aから所望のガスが所望の流量でチャンバ46内に導入できるように構成されている。例えば、ガス導入口62aは、後述するステップS2,S3で必要となるガス(ここではSiHガス、NHガス、Hガス、NガスおよびArガス)の導入経路にマスフローコントローラ(ガス流量制御装置)64を介して連結されており、それによって、所望の種類のガス(SiH、NH、H、NおよびArから選択されたガス)が所望の流量でガス導入口62aからチャンバ46内に導入できるようになっている。
【0114】
また、チャンバ46はガス排気口65を介して図示しないガス排気手段(例えば真空ポンプ)に接続され、ガス排気口65からチャンバ46内を所望の排気速度で排気することができるように構成されている。また、図示しない圧力制御部が、圧力センサなどが検出したチャンバ46内の圧力に応じて、ガス排気口65からの排気速度などを調節し、チャンバ46内を所望の圧力に維持することができるように構成されている。
【0115】
なお、下部電極61は適正なスパッタ作用の観点から、接地することが望ましいが、図13に示すように、下部電極用高周波電源66およびブロッキング・コンデンサ67等からなるセルフ・バイアス回路を連結することで、10ボルト以下、望ましくは5ボルト以下程度の微弱な直流バイアスを発生させるようにしてもよい。
【0116】
3.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるシリサイド表面に対する不活性ガス・プラズマ処理(窒化シリコン膜CVD前処理)等の詳細説明(主に図14から図18)
図14は、絶縁膜21の形成工程を示す製造プロセスフロー図である。絶縁膜21の形成工程は、成膜装置41を用いて次のように行われる。
【0117】
まず、フープ52aまたはフープ52bから半導体ウエハSWを、ウエハ搬入出室51内に設置された搬送用ロボット51aまたは搬送用ロボット51bによって取り出し、ロードロック室44a,44bへ搬入する。この際、搬送用ロボット51a,51b間の半導体ウエハSWの受け渡しは、ウエハ受け渡しステーション54を介して行われる。この半導体ウエハSWは、上記半導体基板1に対応するものである。フープ52a,52bは半導体ウエハSWのバッチ搬送用の密閉収納容器であり、通常25枚、12枚、6枚等のバッチ単位で半導体ウエハSWを収納する。フープ52a,52bの容器外壁は微細な通気フィルタ部を除いて機密構造になっており、塵埃はほぼ完全に排除される。従って、クラス1000の雰囲気で搬送しても、内部はクラス1の清浄度が保てるようになっている。成膜装置41とのドッキングは、フープ52a,52bの扉をポート53に取り付けて、ウエハ搬入出室51の内部に引き込むことによって清浄さを保持した状態で行われる。続いてロードロック室44a,44b内を真空引きした後、搬送用ロボット42aによって半導体ウエハSWをロードロック室44a,44bから搬送室42を介して成膜用のチャンバ46a,46bへ真空搬送する。このようにして、半導体ウエハSW、すなわち半導体基板1をチャンバ46(すなわちチャンバ46a,46b)へ搬送し、チャンバ46内に配置する(ステップS1)。この際、半導体基板1(半導体ウエハSW)は、絶縁膜21を形成する側の主面(上面、表面)を上部電極62に向けて、チャンバ46内の下部電極61上に配置される。下部電極61上に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)は、下部電極61に内蔵されたヒータで加熱される。既に加熱された下部電極61上に半導体基板1(半導体ウエハSW)を配置することもできる。
【0118】
次に、チャンバ46内に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)を不活性ガスを主要な成分の一つとするガスのノン・バイアス・プラズマ(以下では「不活性ガスのプラズマ」という)で処理する(ステップS2)。半導体基板1には、金属シリサイド層13が形成されているので、ステップS2では、半導体基板1に形成された金属シリサイド層13の表面が不活性ガスのプラズマで処理される。このステップS2の不活性ガスのプラズマ処理により、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜がスパッタ除去される。
【0119】
ステップS2の不活性ガスのプラズマは、アルゴン・ガスのプラズマ(アルゴン・プラズマ)、あるいはアルゴン・ガスと窒素ガスとの混合ガスのプラズマが好ましい。これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を的確に除去することができる。
【0120】
すなわち、ステップS2では、ガス導入口62aからチャンバ46内に不活性ガス(好ましくはアルゴン・ガスまたはアルゴン・ガスと窒素ガスの混合ガス)を導入し、ガス排気口65からの排気速度を調節してチャンバ46内の圧力を所定の圧力に制御し、高周波電源63により上部電極62に高周波電力(高周波電圧)を供給(印加)する。これにより、下部電極61と上部電極62との間に高周波グロー放電によりプラズマを発生させる。このようにして、ガス導入口62aから導入した不活性ガスのプラズマがチャンバ46内(下部電極61および上部電極62間)に発生(生成)し、このプラズマにより、金属シリサイド層13の表面が処理(プラズマ処理)され、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜が除去される。ステップS2で行う不活性ガスのプラズマ処理は、10〜60秒程度行うことが好ましく、これにより、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜を除去できるとともに、製造時間が長くなってスループットが低下するのを防止できる。
【0121】
また、ステップS2では、前記の不活性ガス等以外に、希釈ガスまたはキャリアガスなどとして窒素ガス、およびヘリウム(He)ガスから選択された単一または複数のガスをガス導入口62aからチャンバ46内に導入することもできる。
【0122】
また、ステップS2は、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜の除去が目的であるので、ステップS2では、シラン(SiH)ガスのようなシリコンソースガス(Siを構成元素として含むガス)はチャンバ46内に導入しない。
【0123】
ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(すなわち半導体ウエハSW)上に、窒化シリコンからなる絶縁膜21をプラズマCVD法で堆積させる(ステップS3)。ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(半導体ウエハSW)を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、ステップS3の絶縁膜21の堆積工程を行うことが重要である。これにより、金属シリサイド層13の表面に自然酸化膜が再形成されることなく、金属シリサイド層13の表面を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成することができる。このため、ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理工程とステップS3の絶縁膜21の堆積工程とは、同じチャンバ46内で連続的に行うことが好ましい。また、チャンバ46内でステップS2の不活性ガスのプラズマ処理工程を行ってから、半導体基板1をそのチャンバ46から取り出さず、同じチャンバ46内でステップS3の堆積工程を開始することが好ましいが、ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理を行ってからステップS3で絶縁膜21(窒化シリコン膜)を堆積するまでの間、酸素含有ガスをチャンバ46内に導入しないようにする。これにより、ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理の後、半導体基板1(半導体ウエハSW)を酸素含有雰囲気中にさらすことなく、ステップS3の絶縁膜21の堆積工程を行うことができ、金属シリサイド層13の表面の再酸化を防止できる。
【0124】
すなわち、ステップS2の後、上部電極62に供給(印加)される高周波電力(高周波電圧)を一旦停止する。それから、ステップS3で、ガス導入口62aからチャンバ46内に反応ガス(ソースガス、原料ガス、成膜用ガス)、例えばシラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガスと窒素(N)ガスとを導入し、ガス排気口65からの排気速度を調節してチャンバ46内の圧力を所定の圧力に制御し、高周波電源63により上部電極62に高周波電力(高周波電圧)を供給(印加)する。これにより、下部電極61と上部電極62との間に高周波グロー放電によりプラズマが発生し、反応ガスが分解され、下部電極61上に配置された半導体基板1(半導体ウエハSW)上に窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)からなる絶縁膜21が堆積される。以下では、プラズマCVD法で形成された窒化シリコン膜をプラズマ窒化シリコン膜と呼ぶ場合もある。
【0125】
ステップS3では、ガス導入口62aからチャンバ46内に、窒化シリコンのシリコンソースガスとして、シリコン(Si)元素を構成元素として含む第1のガス、好ましくはシラン(SiH)ガスのようなシラン系ガスと、窒化シリコンの窒素ソースガスとして、窒素元素を構成元素として含む第2のガス、好ましくはアンモニア(NH)ガスとを導入し、これらのガスのプラズマを生成して絶縁膜21を堆積させる。ステップS3では、それ以外に、希釈ガスまたはキャリアガスなどとして不活性ガス、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガスおよびヘリウム(He)ガスから選択された単一または複数のガス、をガス導入口62aからチャンバ46内に導入することもできる。
【0126】
本実施の形態では、ステップS3の絶縁膜21(窒化シリコン膜)の堆積工程の前に、In−situ処理にて金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜をステップS2の不活性ガスのプラズマ処理により除去して清浄化しているので、表面の酸化膜が除去された金属シリサイド層13上に絶縁膜21が堆積される。
【0127】
ステップS3の絶縁膜21の成膜工程後、半導体基板1(半導体ウエハSW)はチャンバ46から取り出され(ステップS4)、次の工程(絶縁膜22の成膜工程)に送られる。例えば、搬送用ロボット42aによって半導体ウエハSWを成膜用のチャンバ46a,46b(すなわちチャンバ46)から搬送室42を介してロードロック室44a,44bへ真空搬送し、それから、搬送用ロボット51a,51bによって半導体ウエハSWをロードロック室44a,44bからウエハ搬入出室51を介して元のフープ52aまたはフープ52bへ戻す。この際、搬送用ロボット51a,51b間の半導体ウエハSWの受け渡しは、ウエハ受け渡しステーション54を介して行われる。
【0128】
このように、本実施の形態では、ステップS2で金属シリサイド層13の表面を不活性ガスのプラズマで処理した後、半導体基板1を大気中にさらすことなく、ステップS3で金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21(窒化シリコン膜)をプラズマCVD法で形成する。より好ましくは、ステップS2で金属シリサイド層13の表面を不活性ガスのプラズマで処理した後、半導体基板1を酸素含有雰囲気にさらすことなく、ステップS3で金属シリサイド層13上を含む半導体基板1上に絶縁膜21を形成する。ステップS2の不活性ガスのプラズマ処理により、金属シリサイド層13の表面の自然酸化膜が除去され、その後、半導体基板1を大気中(酸素含有雰囲気中)にさらすことなく、ステップS3で絶縁膜21を堆積するので、形成された絶縁膜21と金属シリサイド層13との間の界面に酸化膜は形成されていない。このため、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程(例えば種々の絶縁膜や導体膜の成膜工程のように半導体基板1の加熱を伴う工程)が行われても、金属シリサイド層13と絶縁膜21との間の界面の酸化膜の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長してしまうのを防止できる。これにより、異常成長による金属シリサイド層13の抵抗の増加を防止できる。また、ソース・ドレイン領域上に形成した金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる。従って、半導体集積回路装置の性能を向上させることができる。また、半導体集積回路装置の信頼性を向上させることができる。
【0129】
絶縁膜21は、コンタクト・ホール23を形成するために絶縁膜22をエッチングする際のエッチングストッパ膜として機能するので、SAC(Self Align Contact)用の絶縁膜とみなすこともできる。半導体基板1の主面上に形成された絶縁膜21を半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にすると、nチャネル型MISFETQnは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性が向上する。また、半導体基板1の主面上に形成された絶縁膜21を半導体基板1に圧縮応力を生じさせる膜にすると、pチャネル型MISFETQpは、移動度が向上して駆動電流が増加するので、スイッチング特性が向上する。このため、半導体基板1の主面上に形成する絶縁膜21を、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にする場合と、圧縮応力を生じさせる膜にする場合とがあり、必要に応じて選択される。ここでは、一例として、半導体基板1に引張応力を生じさせる膜にする場合を中心に説明する。
【0130】
また、図4から図7に渡り説明したように、金属シリサイド層13は低抵抗率であることが好ましいため、金属シリサイド層13は、MSi(ダイメタルシリサイド)相、MSi(メタルモノシリサイド)相およびMSi(メタルダイシリサイド)相のうち、抵抗率が最も低い相にする必要があるが、金属シリサイド層13を構成する金属元素の種類によって、MSi相が最も低抵抗率の場合と、MSi相が最も低抵抗率の場合とがある。一方、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面に自然酸化膜が形成(残存)されていると、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程において、自然酸化膜の酸素に起因して金属シリサイド層13が部分的に異常成長するが、この異常成長は、金属シリサイド層13がMSi相である場合に特に顕著になる。これは、MSi相はSi(シリコン)とこれ以上反応しづらい相であるのに対して、MSi相およびMSi相は更にSi(シリコン)と反応しやすい相であるためである。金属シリサイド層13がMSi相である場合、自然酸化膜中の酸素(O)が拡散して酸素に起因した欠陥が増え、生じた欠陥を通してMSi相の金属シリサイド層13の金属元素が拡散して、
MSi+Si→MSi
の反応が生じ、MSiの部分が異常成長する。
【0131】
このため、MSi相およびMSi相よりもMSi相の方が低抵抗率の場合には、MSiの部分が異常成長しやすいMSi相を金属シリサイド層13に適用するために、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面の自然酸化膜に起因した金属シリサイド層13の異常成長を防止することが、極めて重要となる。
【0132】
本実施の形態では、ステップS2で自然酸化膜をスパッタ除去してからステップS3で絶縁膜21を形成しているので、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面に酸化膜が形成されず、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程において、金属シリサイド層13が部分的に異常成長するのを防止できる。このため、MSiの部分が異常成長しやすいMSi相を金属シリサイド層13に適用しても、MSiの部分が異常成長するのを防止できる。このため、本実施の形態は、第1の条件として、MSi(メタルダイシリサイド)相およびMSi(ダイメタルシリサイド)相よりも、MSi(メタルモノシリサイド)相の方が低抵抗率であるような金属シリサイドにより、金属シリサイド層13を形成する場合に適用すれば、効果が大きい。また、この場合、半導体集積回路装置の製造終了(例えば半導体基板1をダイシングなどにより個片化して半導体チップを形成した段階)まで、金属シリサイド層13は、MSi相のままとする。これは、製造された半導体集積回路装置において、金属シリサイド層13を、MSi相およびMSi相よりも低抵抗率のMSi相とすることで、金属シリサイド層13を低抵抗とし、コンタクト抵抗や、ソース・ドレインの拡散抵抗を低減でき、MISFETが形成された半導体集積回路装置の性能を向上できるためである。
【0133】
また、本実施の形態は、MSi相の金属シリサイド層13を形成しても、MSiの異常成長を防止できるので、MSi(メタルダイシリサイド)相が存在可能なシリサイドにより、金属シリサイド層13を形成する場合に適用すれば、効果が大きい。
【0134】
また、本実施の形態は、絶縁膜21の成膜後の種々の加熱工程で、金属シリサイド層13と絶縁膜21の界面の自然酸化膜に起因して金属シリサイド層13の金属元素Mが拡散してMSiの部分が異常成長するのを防止できるので、Si(シリコン)ではなく金属元素Mが拡散種となる場合に、本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。
【0135】
これらを勘案すると、上記金属膜11が、Ni(ニッケル)膜またはNi(ニッケル)合金膜である場合に本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。すなわち、金属シリサイド層13が、ニッケルのシリサイド層(ニッケルシリサイド層)またはニッケル合金のシリサイド層(ニッケル合金シリサイド層)である場合に本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。金属膜11に用いることができるNi(ニッケル)合金膜には、Ni−Pt(ニッケル−白金)合金膜(白金族元素との合金)、Ni−V(ニッケル−バナジウム)合金膜、Ni−Pd(ニッケル−パラジウム)合金膜(白金族元素との合金)、Ni−Yb(ニッケル−イッテルビウム)合金膜(希土類元素との合金)、またはNi−Er(ニッケル−エルビウム)合金膜(希土類元素との合金)がある。金属膜11が、Ni膜、Ni−Pt合金膜、Ni−V合金膜、Ni−Pd合金膜、Ni−Yb合金膜、またはNi−Er合金膜であれば、Si(シリコン)ではなく金属元素Mが拡散種となり、MSi相が存在し、MSi相およびMSi相よりもMSi相の方が低抵抗率となる。但し、金属シリサイド層13からチャネル部へのMSiの異常成長の問題や、金属シリサイド層中のMSi部分の形成による抵抗ばらつき増大の問題は、金属膜11がNi膜、Ni−Pt合金膜、Ni−V合金膜、Ni−Pd合金膜、Ni−Yb合金膜またはNi−Er合金膜のいずれの場合にも生じるが、特に金属膜11がNi(ニッケル)膜の場合に最も顕著に現れる。このため、金属膜11がNi(ニッケル)膜である場合に本実施の形態を適用すれば、最も効果が大きい。
【0136】
また、本実施の形態では、ソースまたはドレイン用の半導体領域(7b,8b)上とゲート電極(6a,6b)上とに金属シリサイド層13を形成する場合について説明したが、他の形態として、ゲート電極6a,6b上には金属シリサイド層13を形成せずに、ソースまたはドレイン用の半導体領域(ここではn型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成することもできる。
【0137】
また、本実施の形態では、最良の形態として、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用の半導体領域(ここではn型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成する場合について説明したが、他の形態として、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用以外の半導体領域上に、金属シリサイド層13を形成することもできる。その場合にも、本実施の形態のような絶縁膜21形成法を用いたことにより、金属シリサイド層13の異常成長を防止して、金属シリサイド層13の抵抗のばらつきを低減できる。但し、本実施の形態のように、半導体基板1に形成したソースまたはドレイン用の半導体領域(n型半導体領域7b、p型半導体領域8b)上に金属シリサイド層13を形成する場合であれば、金属シリサイド層13の抵抗のばらつきを低減する効果に加えて、金属シリサイド層13がチャネル部に異常成長して電界効果トランジスタのソース・ドレイン間のリーク電流が増大するのを防止できる効果を得られるので、効果が極めて大きい。
【0138】
次に、図14のプラズマ処理・成膜プロセス101の詳細を図15(デバイス断面フローに関して図6または図7を参照し、処理装置に関して図11から図13を参照)に基づいて説明する。図15に示すように、先ず、ウエハ処理装置41の気相処理チャンバ46のウエハ・ステージ61(接地された下部電極)上に、デバイス面1a(第1の主面)を上に向けてウエハ1を設置し、その状態で不活性ガスによるプラズマ処理S2を実行する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間30秒、ステージ温度摂氏400度、チャンバ内気圧1100パスカル、窒素ガス流量3000sccm、アルゴン・ガス(不活性ガス)流量3000sccmである。気相処理装置41としては、たとえばアプライド・マテリアル(Applied Materials)社の平行平板型(容量結合型)絶縁膜成膜装置(ここでは主に窒化シリコン膜CVD装置)を例示することができる。プラズマ発生(アルゴン・プラズマ発生のため)のため、下部電極61を接地した状態で、上部電極62に高周波電力100ワット(13.56MHz)を供給した。
【0139】
次に、ウエハ1がそのままの状態(すなわち、気相処理チャンバ46のウエハ・ステージ61上に、デバイス面1aを上に向けて設置された状態、以下同じ)で、ガス置換のための窒素パージS31を実行する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間5秒、ステージ温度摂氏400度、チャンバ内気圧1100パスカル、窒素ガス流量3000sccm、下部電極61は接地、上部電極62への高周波電力はオフ状態である。
【0140】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、プラズマCVDにより、窒化シリコン膜21(エッチング・ストップ膜)の成膜を実行する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間15秒、ステージ温度摂氏400度、チャンバ内気圧1100パスカル、モノシラン・ガス流量60sccm、アンモニア・ガス流量900sccm、窒素ガス流量1000sccm、下部電極61は接地、上部電極62への高周波電力100ワット(13.56MHz)はオン状態である。
【0141】
次に、ウエハ1は、NチャネルMISFETの特性を改善するための引っ張り応力(Tensile Stress)を窒化シリコン膜21に付与するためのUVキュア処理S34のために、たとえばマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置41の別のチャンバ(アルゴン・プラズマ処理および窒化シリコン膜形成とは別のチャンバ)に移送される。そこで、ウエハ1は、先のアルゴン・プラズマ処理等と同様の状態で、ウエハ・ステージ上に設置される。この場合は、ウエハの上方には、紫外線ランプが設けられており、このランプがオンして、UVキュア処理S34が実行される。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間180秒、ステージ温度摂氏443度、チャンバ内気圧800パスカル、窒素ガス流量16000sccm、下部電極61は接地、紫外線ランプ・パワー95%である。
【0142】
なお、この窒化シリコン膜成膜S3からUVキュア処理S34までのステップは、ここでは処理時間短縮のため1回のみの場合を示したが、数回繰り返す(繰り返し処理S33)と、より確実に、必要なストレスを付与することができる。
【0143】
4.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるシリサイド表面に対する不活性ガス・プラズマ処理(タングステン・プラグ埋め込み前処理)等の詳細説明(主に図19)
セクション3に詳述した不活性ガス雰囲気下のシリサイド膜13上面への低バイアス・プラズマ処理(窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理)は、図9のタングステン・プラグ工程中のチタン成膜前(チタン成膜前の低バイアス・プラズマ処理)にも適用して、有効である。これらの低バイアス・プラズマ処理は、本実施の形態のように両方実行してもよいが、必要に応じて、いずれか一方のみ実行してもよい。
【0144】
以下、図19に基づいて(デバイス断面フローに関して図8または図9を参照し、処理装置に関して図11から図13を参照)、チタン成膜前低バイアス・プラズマ処理&チタンCVDの詳細プロセス101を説明する。気相処理装置としては、先に説明したマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置41またはそれに類似した装置を使用することができる。ここでは、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置41を例にとり説明する。
【0145】
先に説明したように、図9において、コンタクト・ホール23の底部で絶縁膜21が完全に除去され、コンタクト・ホール23は絶縁膜22,21を貫通し、コンタクト・ホール23の底部で半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域7bおよびp型半導体領域8bの表面上の金属シリサイド層13の一部や、ゲート電極6a,6bの表面上の金属シリサイド層13の一部などが露出される。
【0146】
次に、図19に示すように、セクション3で説明したのと同様に、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置41のチタンCVDチャンバ46のウエハ・ステージ61(接地された下部電極)上に、デバイス面1a(第1の主面)を上に向けてウエハ1を設置し、その状態で不活性ガスによるプラズマ処理S2を実行する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間15秒、ステージ温度摂氏450度、チャンバ内気圧650パスカル、アルゴン・ガス(不活性ガス)流量800sccm、下部電極61は接地、上部電極62への高周波電力100ワット(450kHz)はオン状態である。
【0147】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、ガス置換のための真空引き201を実行する。所要時間は15秒程度である。
【0148】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、チタンCVD処理202を実行して、コンタクト・ホール23の内面および厚い絶縁膜22(酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜)上に、たとえば5nm程度の厚さのチタンを主要な成分とするメタル膜(接着促進層)を形成する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間25秒、ステージ温度摂氏450度、チャンバ内気圧650パスカル、アルゴン・ガス(不活性ガス)流量800sccm、水素ガス(還元性ガス)流量4000sccm、TiCl(メタル・ソース・ガス)流量7sccm、下部電極61は接地、上部電極62への高周波電力800ワット(450kHz)はオン状態である。
【0149】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、TiCl(メタル・ソース・ガス)を止めることにより(その他の条件はそのままで)、残留塩素等を除去するための水素プラズマ処理203を実行する。
【0150】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、高周波電力の印加をオフ状態にすることで(その他の条件はそのままで)、ガス・パージ204を実施する。所要時間は15秒程度である。
【0151】
次に、ウエハ1がそのままの状態で、アンモニア・ガスを供給しながら高周波電力の印加をオン状態にすることで(その他の条件はそのままで)、チタン膜の表面部分を窒素リッチなTiN膜に変えるためのアンモニア・プラズマ処理205を実行する。この際の諸条件の好適な一例は、たとえば、処理時間25秒、ステージ温度摂氏450度、チャンバ内気圧650パスカル、アルゴン・ガス(不活性ガス)流量800sccm、水素ガス(還元性ガス)流量4000sccm、アンモニア・ガス流量500sccm、下部電極61は接地、上部電極62への高周波電力800ワット(450kMHz)はオン状態である。このチタン膜とTiN膜とでバリア導体膜24aを構成する。チタン膜とTiN膜の厚さの比は、たとえば2:3程度が最適と考えられる。
【0152】
この後、ウエハ1はコンタクト・ホール23をタングステンで埋め込むためのタングステン熱CVD工程(図9)に移送される(このタングステンCVD工程は一般に同一の装置の別チャンバまたは別の装置で実行される)。
【0153】
5.窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理等についての考察(主に図16から図18)
これまでに説明した窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理およびチタン成膜前の低バイアス・プラズマ処理において、アルゴン・プラズマ雰囲気下の低バイアス・プラズマ処理が好適な理由について説明する。
【0154】
まず、45nmテクノロジ・ノードのpチャネル型MISFET(図10のQp)を例にとり、デバイスの構造・寸法とその特性の関係を説明する。なお、各部の寸法は、対応するnチャネル型MISFET(Qn)についても、ほぼ同等である。図16は、pチャネル型MISFET(Qp)に対応する拡大模式断面図である(図示の都合上、縦横の寸法比は同一ではない)。図16に示すように、pチャネル型MISFET(Qp)はn型ウエル4の表面近傍領域に形成されている。n型ウエル4の表面には、p型半導体領域(P型エクステンション領域)8aおよびp型半導体領域(P型高濃度ソース・ドレイン領域)8bが形成されている。P型エクステンション領域8aの深さdは、たとえば40nm程度であり、P型高濃度ソース・ドレイン領域8bの深さDは、たとえば80nm程度である。P型高濃度ソース・ドレイン領域8bの表面上にはニッケル・シリサイド膜13が形成されており、その厚さtは、たとえば20nm程度である。チャネル領域上には、ゲート絶縁膜5があり、その厚さgは、たとえば2.5nm程度である。その上にゲート電極6b(ポリシリコン電極)があり、その厚さhは、たとえば80nm程度であり、その幅L(ゲート長)は、たとえば40nm程度である。更にその上にゲート電極6b上のニッケル・シリサイド膜13が形成されており、その厚さmは、たとえば20nm程度である。ゲート電極6bの両側にはサイド・ウォール・スペーサ9があり、その最大部分の幅w(P型エクステンション領域8aの突出長さにほぼ等しい)は、たとえば33nm程度である。従って、w<dの関係(65nmテクノロジ・ノードでは、一般にw>dの関係が成り立つ)にある。
【0155】
従って、窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理等におけるスパッタ作用が強いと、サイド・ウォール・スペーサ9が過剰に侵食され、その結果、チャネル部への接合リーク・パスcが、短くなり、デバイス特性を劣化させる恐れがある。従って、下部電極のセルフ・バイアス電圧を実質的にゼロ(下部電極を接地することに等価)とするか、または10ボルト程度以下(望ましくは5ボルト以下)に抑えることが、好適である。これは、ニッケル・シリサイド膜の表面にできる自然酸化膜(酸化シリコン膜)の最大厚さが3nm程度(平均厚さ1nm程度)と考えられるからである。
【0156】
図17は、シェアード・コンタクト(Shared Contact)部分の図16に対応する拡大模式断面図である。STI(Shallow Trench Isolation)用のフィールド絶縁膜2上にあるのは、ポリシリコン配線6w等である。なお、ここで述べるシェアード・コンタクト構造とは、ポリシリコン配線6wと半導体領域8bとを一つの接続孔で接続する構造である。シェアード・コンタクト構造では、窒化シリコン膜21(エッチングストッパ膜)のオーバエッチの関係で、サイド・ウォール絶縁膜の下端幅wが比較的小さい場合が多く、窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理等におけるスパッタ作用を抑制する必要性が特に高い。
【0157】
図18は、窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理における雰囲気中の水素の影響を評価するために、それに続いて水素プラズマ処理を追加実施したものである。この例からわかるように、水素プラズマ処理時間が長くなると、急速にpチャネル型MISFETのVthシフト量が増大する。これは、主に水素によるゲート絶縁膜の劣化が原因である。従って、窒化シリコン成膜前低バイアス・プラズマ処理の雰囲気は、アルゴンを主要な成分の一つとして含み、水素ガスや水素を含むガス(アンモニア・ガスなどの水素含有ガス)を実質的に含まないことが好適である。ただし、他の目的による微量の添加を排除するものではない。なお、希釈ガス(気圧調整用等)として、窒素等の非酸化性ガスをもう一つの主要な成分として含むことは好適である。ただし、希釈ガスは必須ではない。
【0158】
なお、チタン成膜前の低バイアス・プラズマ処理においては、窒素等の非酸化性ガスの大量添加は、ニッケル・シリサイド表面の窒化による抵抗増大を招く恐れがあり、窒化シリコン成膜前の低バイアス・プラズマ処理のときほど好適ではない。しかし、そのような問題が致命的でない状況では、プラズマの安定化等の観点からなお有効である。
【0159】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を前記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0160】
例えば、前記実施の形態では、容量結合型のCVD装置を中心に具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、誘導結合型装置、ヘリコン波型装置、マイクロ波励起型装置等を使用したものにも適用できることは、言うまでもない。また、前記実施の形態では、金属シリサイド層13がニッケルを主成分とするシリサイド層の場合について説明したが、コバルト等を主成分とするシリサイド層の場合においても適用可能であることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体集積回路装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程で用いる窒化シリコン膜の成膜装置を示す概略平面図である。
【図12】図11の成膜装置に備わる成膜用のチャンバの概略断面図である。
【図13】図12に説明した成膜用のチャンバの変形例に対応する概略断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程における窒化シリコン膜の形成工程を示す製造プロセスフロー図である。
【図15】図14のプラズマ処理・成膜プロセスに関する詳細ブロック・フロー図(NチャネルMISFETに引っ張り応力を与える場合)である。
【図16】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法によって製造されるデバイスの主要寸法と不純物リーク・パスの関係を説明するためのデバイス断面図(P型MISFETに対応)である。
【図17】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法によって製造されるデバイスのシェアード・コンタクト部のデバイス断面図(P型MISFETに対応)である。
【図18】金属シリサイド膜上の自然酸化膜を除去するために水素含有プラズマ処理をした場合のP型MISFETの特性変動を示すプロット図である。
【図19】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造工程におけるタングステン・プラグ埋め込み前のバリア・メタル形成工程等の詳細を示す製造プロセスフロー図である。
【符号の説明】
【0162】
1 半導体基板(半導体ウエハ)
1a 半導体ウエハのデバイス面(第1の主面)
2 素子分離領域
2a 溝(素子分離溝)
3 p型ウエル
4 n型ウエル
5 ゲート絶縁膜
6 多結晶シリコン膜(またはシリコン膜)
6a、6b ゲート電極
6w ポリシリコン配線
7a n型半導体領域(N型エクステンション領域)
7b n型半導体領域(N型高濃度ソース・ドレイン領域)
8a p型半導体領域(P型エクステンション領域)
8b p型半導体領域(P型高濃度ソース・ドレイン領域)
9 側壁スペーサまたはサイド・ウォール・スペーサ(側壁絶縁膜)
11 金属膜
12 バリア膜
13 金属シリサイド層
21 絶縁膜(窒化シリコン膜)
22 厚い絶縁膜(酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜)
23 コンタクト・ホール(貫通孔、孔)
24 プラグ
24a バリア導体膜(下層チタン膜、上層窒化チタン膜)
24b 主導体膜(タングステン・プラグ本体)
31 ストッパ絶縁膜
32 配線形成用の絶縁膜
33 配線溝
34 バリア導体膜(バリア・メタル膜)
35 配線
41 マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置
42 搬送室
42a 搬送用ロボット
43 ゲートバルブ
44a,44b ロードロック室
46、46a,46b,47a,47b,48a,48b チャンバ(処理室、反応室)
51,51a,51b ウエハ搬入出室
52a,52b フープ
53 ポート
54 ウエハ受け渡しステーション
61 下部電極(基板電極)
62 上部電極(高周波電極)
62a ガス導入口
63 上部電極用高周波電源
64 マスフローコントローラ(ガス流量制御装置)
65 ガス排気口
66 下部電極用高周波電源
67 ブロッキング・コンデンサ
101 プラズマ処理・成膜プロセス
201 真空引き工程
202 チタンCVD工程
203 水素プラズマ処理工程
204 ガス・パージ工程
205 アンモニア・プラズマ処理(窒化処理)
c リーク・パス
d エクステンション領域の深さ
D 高濃度ソース・ドレイン領域の深さ
g ゲート絶縁膜の厚さ
h ポリシリコン・ゲート電極の厚さ
L ゲート電極のチャネル方向の幅(チャネル長)
m ゲート電極上のシリサイド層の厚さ
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET
SW 半導体ウエハ
S1 ウエハのロード
S2 不活性ガス中でのプラズマ処理(不活性ガスを主要な成分の一つとするガス中でのノン・バイアス・プラズマ処理)
S3 窒化シリコン膜の成膜
S4 ウエハのアンロード
S31 窒素パージ
S32 ウエハ移送
S33 成膜キュア繰り返し処理
S34 UVキュア
t ソース・ドレイン領域上のシリサイド層の厚さ
w サイド・ウォール絶縁膜の下端幅(最大部の幅)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、接地された前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【請求項4】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【請求項5】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、窒素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項6】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記MISFETは、
(x5)前記ゲート電極の側壁に設けられたサイド・ウォール絶縁膜、
(x6)前記サイド・ウォール絶縁膜の下方領域に設けられた半導体領域であるエクステンション領域、
を更に有し、前記サイド・ウォール絶縁膜の下端幅は、前記エクステンション領域の深さよりも小さい。
【請求項7】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(h)前記工程(g)の後、前記半導体ウエハを第2の気相処理チャンバ内の第2の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(i)前記工程(h)の後、接地された前記第2の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第2のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(j)前記工程(i)の後、接地された前記第2の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【請求項8】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(e)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(f)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(j)前記工程(g)の後、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(k)前記工程(j)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【請求項9】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(i)の前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【請求項10】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【請求項11】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【請求項12】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のガス雰囲気は、実質的に窒素ガスを含まない。
【請求項13】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記工程(a)の後、前記半導体ウエハを第1の気相処理チャンバ内の第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1の下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとする第1のガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、前記第1の下部電極の自己バイアスが10ボルト以下である低バイアス・プラズマ処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記第1の主面上に、CVD処理により窒化シリコン膜を形成する工程。
【請求項14】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【請求項15】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【請求項16】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、実質的に水素ガスおよびアンモニア・ガスを含まない。
【請求項17】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のガス雰囲気は、窒素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項18】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記MISFETは、
(x5)前記ゲート電極の側壁に設けられたサイド・ウォール絶縁膜、
(x6)前記サイド・ウォール絶縁膜の下方領域に設けられた半導体領域であるエクステンション領域、
を更に有し、前記サイド・ウォール絶縁膜の下端幅は、前記エクステンション領域の深さよりも小さい。
【請求項19】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面の近傍領域にMISFETを形成する工程、
ここで、前記MISFETは
(x1)前記第1の主面の表面領域に設けられたソース・ドレイン領域、
(x2)前記第1の主面上に設けられたゲート絶縁膜、
(x3)前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極、および
(x4)前記ソース・ドレイン領域上に設けられたシリサイド膜を有する;
(b)前記窒化シリコン膜上に、酸化シリコン膜系のプリ・メタル層間絶縁膜を形成する工程;
(c)前記窒化シリコン膜をエッチング・ストップ膜として、前記プリ・メタル層間絶縁膜にコンタクト・ホールを開口する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記窒化シリコン膜をエッチングすることによって、前記コンタクト・ホールを前記ソース・ドレイン領域上に設けられた前記シリサイド膜上面まで延長する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記半導体ウエハを気相処理チャンバ内の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置する工程;
(f)前記工程(e)の後、接地された前記下部電極上に、前記半導体ウエハが前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気下で、前記第1の主面に対して、プラズマ処理を実行する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記半導体ウエハが前記第1の下部電極上に、前記第1の主面を上に向けて設置されている状態で、前記コンタクト・ホールの内部表面にバリア・メタル膜を形成する工程;
(h)前記工程(g)の後、タングステンを主要な成分とする金属で前記コンタクト・ホールを埋め込む工程。
【請求項20】
前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記不活性ガスはアルゴン・ガスである。
【請求項21】
前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ガス雰囲気は、実質的に水素を含まない。
【請求項22】
前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ガス雰囲気は、実質的に窒素ガスを含まない。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−129626(P2010−129626A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300439(P2008−300439)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】