説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】製造工程におけるプラズマによる電荷の蓄積に起因するゲート絶縁膜の破壊を防ぐとともに、素子の面積の増大を抑制する。
【解決手段】アクティブ領域22が設定されている半導体基板20の、アクティブ領域に設定されたトランジスタ形成領域24にMOS型電界効果トランジスタが形成されている。MOS型電界効果トランジスタの制御電極40は、第1導電型の電極部42、45及び48と、第2導電型の電極部46と、第1導電型の電極部及び第2導電型の電極部の間にpn接合49とを有している。第1導電型の電極部は、アクティブ領域から素子分離領域にわたって形成されている。第2導電型の電極部は、素子分離領域に形成されていて、アクティブ領域の半導体基板に、電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MOS(Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタを有する半導体装置を製造するにあたり、一般にプラズマ処理が行われる。例えば、多層配線構造を有する半導体装置を製造するには、MOS電界効果トランジスタのゲート電極に接続された1層目のメタル層に対して、プラズマ処理として放電プラズマを用いたプラズマエッチング工程でパターニングを行って、第1層メタル配線を形成する。また、層間絶縁膜の形成にプラズマ処理としてプラズマCVD法が用いられることもある。
【0003】
これらのプラズマ処理で、ゲート電極や、ゲート電極に電気的に接続された第1層メタル配線に電荷が蓄積される場合がある。これらの蓄積された電荷によりゲート電極と半導体基板との間に電位差が生じ、この電位差によりゲート絶縁膜に電界が発生する。このため、ゲート絶縁膜が発生した電界によりダメージを受けて特性が劣化したり、破壊されたりする恐れがある。
【0004】
この課題を解決するために、ゲート電極に接続された第1層メタル配線と、基板との間にpn接合を形成して、第1メタル配線に蓄積された電荷を半導体基板に放電する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−124311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来例の半導体装置では、半導体基板にpn接合を形成するため、アクティブ領域から素子分離領域により分離された領域が必要になる。このため、素子の面積が増大する。
【0006】
また、例えば、SOI基板では、pn接合が形成された領域を素子分離すると、この領域が、BOX層と素子分離領域とで電気的にフローティング状態となってしまう。この場合、pn接合が形成された領域に送られた電荷が、この領域に蓄積されてしまうため、SOI基板には適用が困難である。
【0007】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、製造工程におけるプラズマによる電荷の蓄積に起因するゲート絶縁膜の破壊を防ぐとともに、素子の面積の増大を抑制し、さらに、SOI基板等にも適用可能な半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、この発明の半導体装置では、アクティブ領域と、アクティブ領域を他の領域から素子分離する素子分離領域とが設定されている半導体基板のアクティブ領域にMOS型電界効果トランジスタが形成されている。
【0009】
MOS型電界効果トランジスタの制御電極は、アクティブ領域から素子分離領域にわたって形成されている。制御電極は、第1導電型の電極部と、第2導電型の電極部と、第1導電型の電極部及び第2導電型の電極部の間にpn接合とを有している。第1導電型の電極部は、アクティブ領域と素子分離領域の一部分とに形成されている。第2導電型の電極部は、素子分離領域の他の部分に形成されていて、アクティブ領域の半導体基板に、電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の半導体装置によれば、MOS型電界効果トランジスタの制御電極は、第1導電型の電極部と、第2導電型の電極部と、第1導電型の電極部及び第2導電型の電極部の間にpn接合とを有していて、第2導電型の電極部が、アクティブ領域の半導体基板に電気的に接続されている。
【0011】
このため、例えば、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型の場合、ゲート電極のn型の電極部に蓄積された負の電荷は、ゲート電極のn型の電極部から、p型の電極部へと、pn接合における順方向の電荷の流れにより移動し、半導体基板に達する。この結果、ゲート電極と、ゲート電極下の半導体基板とが同電位になる。
【0012】
一方、ゲート電極のn型の電極部に蓄積された正の電荷は、蓄積された電荷により生じる電位がpn接合における降伏電圧を超えると、逆方向電流により、基板に送られる。この結果、ゲート電極と、ゲート電極下の半導体基板との電位差は、pn接合の降伏電圧以上にはならない。
【0013】
従って、半導体装置の製造時に、ゲート電極やゲート電極に接続されたメタル配線に蓄積された電荷によってゲート絶縁膜が受けるダメージが低減される。
【0014】
同様に、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合も、第1導電型、すなわちp型の電極部に蓄積された電荷が、正負のいずれの電荷であっても、ゲート電極と、ゲート電極下の半導体基板との間の電位差は、pn接合における降伏電圧以上にはならない。
【0015】
また、ゲート電極にpn接合を形成することにより、従来の基板にpn接合を形成するのに必要であった、pn接合が形成されるpn接合基板領域と、pn接合基板領域を他の領域から素子分離する素子分離領域とが不要となる。このため、素子面積の縮小が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成の組成(材質)及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0017】
(第1実施形態の半導体装置)
図1及び図2を参照して、第1実施形態の半導体装置について説明する。図1(A)及び図1(B)は、半導体装置の一構成例を示す概略的平面図である。第1実施形態の半導体装置は、アクティブ領域が設定されている半導体基板の、アクティブ領域に形成されたMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)を備えている。
【0018】
図1(A)は、MOSFETが形成された半導体基板上に、層間絶縁膜と、この層間絶縁膜上にメタル配線とが形成された状態を示している。また、図1(B)は、ゲート電極の構成について説明する図であって、層間絶縁膜など構成要素の一部を省略して示している。図2(A)、(B)及び(C)は、それぞれ図1(A)に示したA−A線、B−B線及びC−C線に沿って取った切断端面を示している。
【0019】
半導体基板として、例えば、バルクシリコン基板、SOI(Silicon On Insulator)基板又はSOS(Silicon On Sapphire)基板を用いることができる。以下では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とした例について説明する。また、ここでは、半導体基板として、p型のバルクシリコン基板(以下、単にシリコン基板と称する。)を用いる例について説明する。なお、例えばn型のシリコン基板にp型のウェル構造を有する基板を用いることも可能である。
【0020】
シリコン基板20には、アクティブ領域22と、素子分離領域29とが設定されている。アクティブ領域22は、MOSFETなどの素子が形成される領域である。アクティブ領域22は、素子分離領域29によって、他の領域(図示を省略する。)から分離されている。素子分離領域29のシリコン基板20には、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、素子分離シリコン酸化膜32が形成されている。
【0021】
アクティブ領域22のシリコン基板20の主表面20a上には、ゲート絶縁膜34として、シリコン酸化膜が形成されている。ゲート絶縁膜34は、例えば従来周知の熱酸化法により形成される。
【0022】
ゲート絶縁膜34上には、MOSFETの制御電極としてゲート電極40が形成されている。ゲート電極40は、例えば、従来周知の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により、アクティブ領域22及び素子分離領域29にわたって形成されたポリシリコン膜を、パターニングすることにより得られる。ゲート電極40のパターニングは、従来周知のホトリソグラフィ及びドライエッチングにより行われる。なお、ゲート電極40はアクティブ領域22から、素子分離領域29にわたって、すなわち素子分離シリコン酸化膜32上にも延在して形成されている。
【0023】
この実施形態では、ゲート電極40は、第1部分42、第2部分44及び第3部分48の3つの部分から構成される。第1部分42は、第1方向(図1(B)の図示の紙面内を縦方向)にアクティブ領域22から素子分離領域29にわたって設けられている部分である。第2部分44は、第1部分42の素子分離領域29上の部分から、第1方向に直交する第2方向(図1(B)の図示の紙面内を横方向)に延在して設けられている部分である。第3部分48は、第1部分42のアクティブ領域22側の端部から、第2方向に延在して設けられている部分である。第1部分42と第3部分48は、主表面側を平面的に見たときT字状に一体的に構成されている。ここで、第3部分48は、T字形の横バーに相当し、第1部分42は、T字形の縦バーに相当する。
【0024】
アクティブ領域22は、主表面側を平面的に見たとき、ゲート電極40の第1部分42と第3部分48とにより3分されている。ゲート電極40の第3部分48により、アクティブ領域22はボディ領域28と、MOSFET形成領域24とに2分されている。MOSFET形成領域24は、さらに、ゲート電極40の第1部分42により、一対の主電極領域、すなわちドレイン領域25とソース領域27とに2分されている。
【0025】
ドレイン領域25とソース領域27とに挟まれる、ゲート電極40の直下の領域は、MOSFETの動作時にチャネルが形成されるチャネル領域26である。また、ボディ領域28には、ゲート電極40の第3部分42の直下のアクティブ領域が含まれるものとする。すなわち、アクティブ領域22の中で、MOSFET形成領域24に含まれない領域がボディ領域28である。
【0026】
シリコン基板20のドレイン領域25及びソース領域27には、ゲート電極40を挟む位置にそれぞれ不純物高濃度拡散層(以下、単に高濃度拡散層と称することもある。)55a及び55bが形成されている。この高濃度拡散層55a及び55bは、例えばヒ素(As)などのn型の不純物が高濃度に拡散されて、すなわちn層として形成されている。この高濃度拡散層55a及び55bは、MOSFETの動作時にソース又はドレインとして機能する領域である。
【0027】
不純物低濃度拡散層(以下、単に低濃度拡散層と称することもある。)57a及び57bは、高濃度拡散層55a及び55bと、チャネル領域26とによって挟まれる部分に設けられる領域である。低濃度拡散層57a及び57bは、高濃度拡散層55a及び55bと同じ導電型、ここではn型の不純物が拡散する領域である。
【0028】
なお、低濃度拡散層57a及び57bは、高濃度拡散層55a及び55bよりも不純物の濃度が低い、n層として形成される。これら低濃度拡散層57a及び57bの構造は、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)と実質的に同様な構造である。
【0029】
また、ボディ領域28には、メタル配線70と電気的に導通させるときの接触抵抗を減らすために、p型又はn型の不純物が注入されるのが良い。ここでは、ボディ領域28にp型の不純物が注入された例について説明する。
【0030】
ゲート電極40の側面に、サイドウォール52が形成されている。サイドウォール52は、LDD構造を形成するために用いられる。
【0031】
ゲート電極40の第1部分42及び第3部分48は、ゲート電極を構成するポリシリコン膜にn型の不純物が注入された領域である。
【0032】
ゲート電極40の第2部分44は、n型部分45とp型部分46とに2分されている。n型部分45は、ゲート電極40の第1部分42及び第3部分48と同様に、ポリシリコン膜にn型の不純物が注入された領域である。また、p型部分46は、ゲート電極40を構成するポリシリコン膜にp型の不純物が注入された領域である。n型部分45は、第1部分42と連続して設けられており、一方、p型部分46は、第1部分42と離間して設けられている。
【0033】
また、ゲート電極40の第3部分48は、第2部分44と同様にn型部分48aとp型部分48bとに2分されている。
【0034】
すなわち、ゲート電極40は、n型の不純物が注入されたn型の電極部と、p型の不純物が注入されたp型の電極部とを備えている。
【0035】
n型の電極部は、アクティブ領域22と、素子分離領域29の一部分とに形成されたゲート電極40の部分であって、n型の不純物が注入されている。n型の電極部は、第1部分42、第2部分44のn型部分45、及び第3部分48のn型部分48aを備えている。
【0036】
また、p型の電極部は、素子分離領域29の他の部分に形成されたゲート電極40の部分であって、p型の不純物が注入されている。p型の電極部は、第2部分44のp型部分46を備えている。
【0037】
さらに、ゲート電極40は、n型の電極部(図1中、42、45及び48aで示す部分)と、p型の電極部(図1中、46で示す部分)の間に、pn接合ダイオード(以下、単にpn接合と称することもある。)49を備えている。
【0038】
MOSFETが形成されたシリコン基板20の、一方の主表面20a上には、層間絶縁膜60が形成されている。層間絶縁膜60は、例えば、CVD法によりシリコン酸化膜34を堆積した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化することにより得られる。
【0039】
層間絶縁膜60には、ゲート電極40、シリコン基板20の高濃度拡散層55a及び55b並びにシリコン基板のボディ領域28とメタル配線70との電気的な導通を得るためのコンタクトプラグ64(64a、64b、64c、64d及び64e)が形成されている。コンタクトプラグ64は、層間絶縁膜60に開口したコンタクトホール62をTi/TiN/Wで埋め込むことにより形成されている。
【0040】
層間絶縁膜60上には、メタル配線70が形成されている。メタル配線70は、層間絶縁膜60上に例えば、アルミニウム(Al)をスパッタ法で堆積させた後、任意好適な公知のホトリソグラフィ及びプラズマエッチングを行うことで、形成される。
【0041】
このメタル配線70の配線パターンは、設計に応じて任意好適に形成される。
【0042】
メタル配線70の1つが、ゲート電極40のp型の電極部、すなわちp型部分46と、コンタクトプラグ64aを介して電気的に接続されるとともに、他のコンタクトプラグ64bを介して、ボディ領域28のシリコン基板20と電気的に導通している。従って、ゲート電極40のp型の電極部46と、シリコン基板20のボディ領域28とは電気的に導通している。
【0043】
なお、図1(A)では、ゲート電極40のp型部分46と、ボディ領域28とを電気的に接続するメタル配線70のみを示し、他のメタル配線の図示を省略している。
【0044】
図3は、第1実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【0045】
一般に、層間絶縁膜の形成をプラズマCVD法で行った場合や、メタル配線のパターニングをプラズマエッチングで行った場合には、メタル配線に電荷が蓄積される場合がある。ゲート電極40の第1部分42に電気的に接続されたメタル配線70に電荷が蓄積されると、この蓄積された電荷により、ゲート絶縁膜に電界が生じ、ゲート絶縁膜にダメージを与える恐れがある。
【0046】
第1実施形態の半導体装置によれば、ゲート電極40のn型の電極部42、45及び48aにコンタクトプラグ64dを経て接続されたメタル配線に負の電荷が蓄積された場合は、この電荷は、ゲート電極40のn型の電極部42、45及び48aから、p型の電極部46へと、pn接合49における順方向の電荷の流れにより移動する。
【0047】
p型の電極部46は、コンタクトプラグ64a及び64bとメタル配線70とを経て、ボディ領域28と電気的に導通している。また、ボディ領域28とチャネル領域26とは注入されている不純物の導電型が同じため、ボディ領域28とチャネル領域26とは電気的に導通されているのと同様の状態になる。従って、チャネル領域26上のゲート電極40、すなわち、ゲート電極40のn型の電極部42と、チャネル領域26とが電気的に導通され同電位となる。この結果、ゲート絶縁膜34には、メタル配線に蓄積された電荷による電界が生じない。
【0048】
一方、ゲート電極40にコンタクトプラグ64dを経て接続されたメタル配線に正の電荷が蓄積された場合は、pn接合49により、ゲート電極40のn型の電極部42、45及び48aとp型の電極部46とは電気的に絶縁された状態となる。この場合、正の電荷がゲート電極のn型の電極部42、45及び48aに蓄積された状態となる。このとき、正の電荷の蓄積量が多くなり、pn接合49の降伏電圧を超えると、n型の電極部42、45及び48aとp型の電極部46の間のpn接合49に、降伏電流が流れる。この場合、ゲート電極40のn型の電極部42、45及び48aと、チャネル領域26との間の電位差は、ゲート電極40のpn接合49における降伏電圧以上にはならない。
【0049】
なお、p型の電極部46と、n型の電極部42、45及び48aのそれぞれに注入される不純物の濃度を、好適な値に設定することにより、pn接合49の降伏電圧を、MOSFETの使用時にゲート電極40に印加される制御電圧(使用電圧)よりも大きく設定するのが良い。
【0050】
この場合、ゲート電極40のn型の電極部42、45及び48aに、使用電圧が印加されている状態では、pn接合49に印加される電界が降伏電圧以下であるので、n型の電極部42、45及び48aとp型の電極部46とは絶縁された状態である。このため、p型の電極部46とボディ領域28とを電気的に接続するメタル配線70が存在していても、所望の動作がなされる。すなわち、プラズマ処理においてゲート電極40に蓄積する電荷を放電するための配線を、プラズマ処理後の工程で切断する必要がない。
【0051】
なお、ゲート電極40とゲート電極40下のシリコン基板20との間のゲート絶縁膜34に印加される、チャージアップにより生ずる最大の電界は、降伏電圧と接地電圧との電位差で与えられる。従って、ゲート絶縁膜34に印加される電界を小さくするためには、降伏電圧を、動作保証電圧を下回らない範囲で、使用電圧よりも僅かに大きく設定するのが好適である。
【0052】
MOSFETの動作電圧を3Vと設定した例について説明する。このとき、動作保証の範囲を、例えば2.5〜3.5Vとする。pn接合の降伏電圧Vbrは、様々な要因によりばらつく。ここで、降伏電圧Vbrは、動作保証電圧を下回らないことが必要である。このため、降伏電圧Vbrは、動作保証範囲の最大電圧Vmaxに対して、例えば、Vbr=Vmax+6×σと設定される。
【0053】
上述の例では、Vmax=3.5Vであるので、ばらつきの程度が、標準偏差σで0.1Vの場合、Vbr=3.5+6×0.1=4.1Vとなる。
【0054】
この場合、チャージアップによりゲート絶縁膜に印加される電界は、4.1V程度であり、動作電圧の3Vよりも僅かに大きいだけである。このため、チャージアップによるダメージは、使用時にゲート絶縁膜が受けるダメージよりも僅かに大きいだけである。
【0055】
上述したように、第1実施形態の半導体装置によれば、ゲート電極にpn接合を形成することにより、基板にpn接合を形成する場合に必要であった、pn接合が形成されるpn接合基板領域と、pn接合基板領域を他のアクティブ領域から素子分離する素子分離領域の形成が不要となるため、素子面積の縮小が可能になる。
【0056】
さらに、アクティブ領域中のボディ領域とp型の電極部とを電気的に接続して、ゲート絶縁膜を挟むゲート電極と半導体基板との間の電位差を、pn接合49の降伏電圧よりも小さくすることで、ゲート絶縁膜に与えるダメージを低減させることができる。
【0057】
また、この構成によればアクティブ領域に対して素子分離された基板の領域にpn接合を形成しない。このため、半導体基板として、SOI基板やSOS基板を用いたとしても、基板の素子分離された領域に電荷を蓄積させることがない。
【0058】
また、本発明は、ゲート絶縁膜を挟む位置のシリコン基板と、ゲート電極との電位を等しくすることで、ゲート絶縁膜に与えるダメージを低減している。このため、不純物高濃度拡散領域がMOSFET形成領域の下の絶縁層との境界面に達するような、SOI基板やSOS基板を用いた完全空乏型の半導体装置にも適用可能である。
【0059】
ここでは、ボディ領域にp型の不純物を注入した例について説明したが、n型の不純物を注入しても良い。この場合、シリコン基板のボディ領域とチャネル領域の間にpn接合が生じる。
【0060】
ここで、ゲート電極40に接続されたメタル配線に負の電荷が蓄積された場合は、この電荷は、ボディ領域からチャネル領域へとpn接合における順方向の電荷の流れにより移動する。
【0061】
一方、ゲート電極40に接続されたメタル配線に正の電荷が蓄積された場合は、pn接合により、ゲート電極40のn型の電極部とp型の電極部とは電気的に絶縁された状態となる。このとき、n型の電極42、45及び48aに動作電圧を超える電圧が印加されると、第3部分48下のシリコン基板20に反転領域が形成される。この結果、ボディ領域28とチャネル領域26とが同電位になる。このように、ボディ領域28にn型の不純物を注入しても、ボディ領域28にp型の不純物を注入したのと同じ効果が得られる。
【0062】
ここでは、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として、MOSFETとしてn型のMOSFET(NMOS)について説明したが、導電型は反転していても良い。すなわち、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型として、p型のMOSFET(PMOS)にも適用することができる。PMOSの場合、NMOSに対して、導電型を反転させて形成すれば良いので、ここでは説明を省略する。
【0063】
また、イオン注入の際に形成するレジストマスクのパターンを好適に設定することにより、同一の基板に、PMOSとNMOSと両者を形成できることはもちろんである。
【0064】
(第1実施形態の半導体装置の製造方法)
図4〜9を参照して、第1実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。図4〜9は、図1及び2を参照して説明した第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図であって、各工程で形成された主要部を示している。図4、図5(A)、図6(A)、図7(A)、図8(A)及び図9(A)は、各工程で形成された構造体の概略的平面図である。図5(B)、図6(B)、図7(B)、図8(B)及び図9(B)は、それぞれ、図5(A)、図6(A)、図7(A)、図8(A)及び図9(A)のA−A線に沿って取った切断端面を示している。図5(C)、図6(C)、図7(C)、図8(C)及び図9(C)は、それぞれ、図5(A)、図6(A)、図7(A)、図8(A)及び図9(A)のB−B線に沿って取った切断端面を示している。又、図9(D)は、図9(A)のC−C線に沿って取った切断端面を示している。
【0065】
ここでは、半導体装置として、n型のMOS電界効果トランジスタ(以下、NMOSと称する。)を製造する例について説明する。
【0066】
先ず、半導体基板としてp型のシリコン基板20を用意する。なお、半導体基板は、p型のウェルを有するn型のシリコン基板を用いても良い。また、絶縁層上にp型のシリコン層を有するSOI基板又はSOS基板を用いても良い。
【0067】
シリコン基板20に、MOSFETが形成されるアクティブ領域22と、アクティブ領域22を他の領域から分離する素子分離領域29を設定する(図4参照)。
【0068】
続いて、例えばLOCOS法など任意好適な従来周知の方法により、素子分離領域29に素子分離シリコン酸化膜32を形成する。
【0069】
その後、アクティブ領域22のシリコン基板20の主表面20a上に、例えば従来周知の熱酸化法によりシリコン酸化膜を形成する。このシリコン酸化膜は、MOSFETのゲート絶縁膜34として用いられる。
【0070】
次に、ゲート絶縁膜34及び素子分離シリコン酸化膜32上に、例えば、CVD法によりポリシリコンを堆積させ、ポリシリコン膜を形成する。このポリシリコン膜を、任意好適な公知のホトリソグラフィ及びドライエッチングにより加工して、ゲート電極40を形成する。
【0071】
ここで、ゲート電極40は、第1部分42、第2部分44及び第3部分48の3つの部分から構成される。第1部分42は、第1方向にアクティブ領域22から素子分離領域29にわたって設けられている部分である。第2部分44は、第1部分42の素子分離領域29上の部分から第2方向に延在して設けられている部分である。第3部分48は、第1部分42のアクティブ領域22側の端部から、第2方向に延在して設けられている部分である。
【0072】
アクティブ領域22は、ゲート電極40の第1部分42と第3部分48とにより3分される。アクティブ領域22は、ゲート電極40の第3部分48により、ボディ領域28とMOSFET形成領域24とに2分される。MOSFET形成領域24は、さらに、ゲート電極40の第1部分42によりドレイン領域25とソース領域27とに2分される。
【0073】
ドレイン領域25とソース領域27とに挟まれる領域は、MOSFETの動作時にチャネルが形成されるチャネル領域26である。また、ボディ領域28には、ゲート電極40の第3部分48の直下の領域が含まれるものとする(図5(A)、(B)及び(C)参照)。
【0074】
次に、ゲート電極40のアクティブ領域22と、素子分離領域29の一部分と、シリコン基板20のMOSFET形成領域24のゲート電極40を挟む領域にp型の不純物を注入して、一対の主電極領域を形成する。
【0075】
この工程では、先ず、ボディ領域28と、ゲート電極40の一部であるp型の電極部を覆うレジストマスク80を形成する。レジストマスク80は、従来周知の任意好適なホトリソグラフィ工程によって形成される。ここで、ゲート電極40の第2部分44にn型部分45とp型部分46を設定し、レジストマスク80はp型部分46を覆うように形成される。n型部分45は、第2部分44のうち第1部分42に接続される側に設定され、他方がp型部分46となる。
【0076】
次に、上記のレジストマスク80を用いた従来周知のイオン注入により、n型不純物として例えばリンを、10keVのエネルギーで、5×1013cm−2の濃度で打ち込む。この結果、アクティブ領域22のドレイン領域25とソース領域27にn型の不純物拡散層54が形成される。また、ゲート電極の第1部分42と、第2部分44のうちのn型の部分45と、第3部分48のうちのn型の部分とにイオンが注入される(図6(A)、(B)及び(C)参照)。
【0077】
次に、レジストマスク80を除去した後、例えば、減圧CVD法により、シリコン基板20の主表面20aの全面上にシリコン酸化膜を成膜する。その後、シリコン酸化膜に対する全面エッチバックを行う。この全面エッチバックは、シリコン基板20の主表面20aに対して鉛直方向からの異方性エッチングで行われて、シリコン酸化膜がゲート電極の側面に、サイドウォール52として残存する(図7(A)、(B)及び(C)参照)。
【0078】
次に、再び、ボディ領域28と、ゲート電極40の一部を覆うレジストマスク81を形成する。レジストマスク81の形成は、図5を参照して説明した上記のn型の不純物拡散層の形成の際に用いたレジストマスク80と同様に形成することができ、同じフォトマスクを用いて形成することができる。
【0079】
次に、上記のレジストマスク81を用いた従来周知のイオン注入により、n型不純物として例えば砒素を、35keVのエネルギーで、3×1015cm−2の濃度で打ち込む。この結果、アクティブ領域22のドレイン領域25とソース領域27に高濃度のn型不純物が注入された高濃度拡散層55a及び55bが形成される。このとき、サイドウォール52直下の、n型の不純物拡散層54にはイオン注入がなされず、低濃度拡散層57a及び57bとして残存する。ここで形成された高濃度拡散層55a及び55bが、主電極領域に対応する。
【0080】
このように、ゲート電極40をマスクとして利用したイオン注入を行った後、ゲート電極40及びサイドウォール52をマスクとして利用したイオン注入を行うことで、いわゆるLDD構造が形成される。また、ゲート電極40の第1部分42と、第2部分44のうちのn型部分45と、第3部分48のうちのn型の部分とにイオンが注入される(図8(A)、(B)及び(C)参照)。
【0081】
次に、レジストマスク81を除去した後に、このレジストマスクに対する反転レジストマスク(図示を省略する。)を形成する。反転レジストマスクは、ボディ領域28と、ゲート電極40のp型の電極部46を露出させ、他の部分を覆うレジストマスクである。
【0082】
次に、この反転レジストマスクを用いて、p型の不純物をボディ領域28とゲート電極40のp型の電極部46とにイオン注入する。この結果、ゲート電極のp型の電極部46とn型の電極部45との間にpn接合49が形成される。
【0083】
p型不純物の濃度は、MOSFETの動作電圧よりも僅かに高い電圧で、逆方向電流が流れるように、任意好適に設定される。
【0084】
次に、例えば、CVD法によりシリコン酸化膜を堆積した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化して、層間絶縁膜60を得る。その後、任意好適な従来周知のホトリソグラフィ及びドライエッチングを行い、層間絶縁膜60にコンタクトホール62を開口する。
【0085】
その後、コンタクトホール62内にチタンと窒化チタンをスパッタリング法により積層した後、コンタクトホール62をCVD法によりタングステンで埋め込んで、その後のCMP工程により、層間絶縁膜60上のTi/TiN/Wを除去してコンタクトプラグ64を形成する(図9(A)、(B)及び(C)参照)。
【0086】
次に、層間絶縁膜60上にメタル層(図示を省略する。)を例えば、アルミニウム(Al)をスパッタ法で堆積させることにより、形成する。その後、メタル層に対して任意好適な公知のホトリソグラフィ及びプラズマエッチングを行うことで、メタル配線を形成する。この結果、図1(A)及び(B)と、図2(A)、(B)及び(C)を参照して説明した半導体装置が得られる。ここでは、メタル配線70の1つが、ゲート電極40のp型の電極部、すなわちp型部分46と、コンタクトプラグ64aを介して電気的に接続されるとともに、他のコンタクトプラグ64bを介して、ボディ領域28のシリコン基板20と電気的に導通している。従って、ゲート電極40のp型の電極部46と、シリコン基板20のボディ領域28とは電気的に導通している。
【0087】
ここで、図1(A)の平面図では、ゲート電極40のp型部分46と、ボディ領域28とを電気的に接続するメタル配線70のみを示し、他のメタル配線の図示を省略している。
【0088】
その後、層間絶縁膜及びメタル配線上に保護膜を形成しても良いし、さらに、層間絶縁膜及びメタル配線の形成を繰り返し行って、多層配線構造を形成しても良い。これらの工程は、従来周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0089】
ここでは、MOSFETとしてn型のMOSFET(NMOS)について説明したが、p型のMOSFET(PMOS)にも適用することができる。PMOSの場合、NMOSに対して、導電型を反転させて形成すれば良いので、ここでは説明を省略する。
【0090】
(第2実施形態の半導体装置及びその製造方法)
図10を参照して、第2実施形態の半導体装置について説明する。図10(A)及び図10(B)は、半導体装置の一構成例を示す概略的平面図である。第2実施形態の半導体装置は、アクティブ領域にボディ領域を備えない点が第1実施形態の半導体装置と異なっている。アクティブ領域にボディ領域を備えない点と、ゲート電極の構造を除いては、第1実施形態の半導体装置と同様なので、重複する説明を省略する。
【0091】
第2実施形態の半導体装置では、ゲート電極140は、第1部分142及び第2部分144の2つの部分から構成される。第1部分142は、第1方向にアクティブ領域122から素子分離領域129にわたって設けられている部分である。第2部分144は、第1部分142の素子分離領域129上の部分から第2方向に延在して設けられている部分である。
【0092】
第2実施形態の半導体装置では、アクティブ領域122はMOSFET形成領域に一致し、ゲート電極140の第1部分142によりドレイン領域125とソース領域127とに2分される。
【0093】
ゲート電極140の第1部分142は、ゲート電極140を構成するポリシリコン膜にn型の不純物が注入された領域である。ゲート電極140の第2部分144は、p型部分146とn型部分145とに2分されている。
【0094】
n型部分145は、ゲート電極140の第1部分142と同様に、ポリシリコン膜にn型の不純物が注入された領域である。また、p型部分146は、ゲート電極140を構成するポリシリコン膜にp型の不純物が注入された領域である。n型部分145は、第1部分142と連続して設けられており、一方、p型部分146は、第1部分142と離間して設けられている。
【0095】
すなわち、ゲート電極140は、n型の不純物が注入されたn型の電極部と、p型の不純物が注入されたp型の電極部とを備えている。
【0096】
n型の電極部は、アクティブ領域122と、素子分離領域129の一部分とに形成されたゲート電極140の部分であって、n型の不純物が注入されている。n型の電極部は、第1部分142、及び第2部分144のn型部分145を備えている。
【0097】
また、p型の電極部は、素子分離領域129の他の部分に形成されたゲート電極140の部分であって、p型の不純物が注入されている。p型の電極部は、第2部分144のp型電極部146を備えている。
【0098】
さらに、ゲート電極140は、n型の電極部(図10(B)中、142及び145で示す部分)と、p型の電極部(図10(B)中、146で示す部分)の間に、pn接合149を備えている。
【0099】
アクティブ領域122は、ゲート電極140の第1部分142によりドレイン領域125とソース領域127とに2分される。第2実施形態の半導体装置では、ボディ領域を備えていない。すなわち、第2実施形態の半導体装置ではアクティブ領域122とMOSFET形成領域とが一致している。
【0100】
ドレイン領域125とソース領域127とに挟まれる領域は、チャネル領域126である。
【0101】
メタル配線170の1つが、ゲート電極140のp型の電極部、すなわちp型部分146と、コンタクトプラグ164aを介して電気的に接続されるとともに、他のコンタクトプラグ164bを介して、ソース領域127のシリコン基板と電気的に導通している。従って、ゲート電極140のp型の電極部146と、シリコン基板のソース領域127とは電気的に導通している。
【0102】
ここで、平面図では、ゲート電極のp型の電極部と、ソース領域とを電気的に接続するメタル配線のみを示し、他のメタル配線の図示を省略している。
【0103】
第2実施形態の半導体装置によれば、ゲート電極140に接続されたメタル配線に負の電荷が蓄積された場合は、この電荷は、ゲート電極140のn型の電極部から、p型の電極部へと、pn接合149における順方向の電荷の流れにより移動する。
【0104】
p型の電極部は、コンタクトプラグ164及びメタル配線170を経て、ソース領域127と電気的に導通している。電荷は、ソース領域127からチャネル領域126へとpn接合における順方向の電荷の流れにより移動する。
【0105】
一方、ゲート電極140に接続されたメタル配線に正の電荷が蓄積された場合は、pn接合149により、ゲート電極140のn型の電極部とp型の電極部とは電気的に絶縁された状態となり、正の電荷がゲート電極のn型の電極部分に蓄積された状態となる。このとき、正の電荷の蓄積量が多くなり、pn接合の降伏電圧を超えると、n型の電極部とp型の電極部のpn接合149に、降伏電流が流れる。
【0106】
このとき、ゲート電極140のn型の電極部142及び145にMOSFETの動作電圧以上の電圧が印加されるので、MOSFETはオン状態、すなわちチャネル領域126とソース領域127とが短絡した状態になる。この結果、チャネル領域126とソース領域127とが同電位になる。この場合、ゲート電極140のn型の電極部142及び145と、チャネル領域126との間の電位差は、ゲート電極140のpn接合149における降伏電圧以上にはならない。
【0107】
ここでは、MOSFETとしてn型のMOSFET(NMOS)について説明したが、p型のMOSFET(PMOS)にも適用することができる。PMOSの場合、NMOSに対して、導電型を反転させて形成されれば良いので、ここでは説明を省略する。
【0108】
第2実施形態の半導体装置の製造方法については、ゲート電極のパターニングと、不純物注入の際のレジストマスクのパターンが異なるだけであり、他の工程は第1実施形態と同様なので、ここでは重複する説明を省略する。
【0109】
第2実施形態の半導体装置の製造方法では、ゲート電極140のp型の電極部は、一対の主電極領域のいずれか一方、ここではソース領域127に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1実施形態の半導体装置の一構成例を示す概略図(その1)である。
【図2】第1実施形態の半導体装置の一構成例を示す概略図(その2)である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その4)である。
【図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その5)である。
【図9】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その6)である。
【図10】第2実施形態の半導体装置の一構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0111】
20 シリコン基板
20a 主表面
22、122 アクティブ領域
24 MOSFET形成領域
25、125 ドレイン領域
26、126 チャネル領域
27、127 ソース領域
28 ボディ領域
29、129 素子分離領域
32 素子分離シリコン酸化膜
34 ゲート絶縁膜(シリコン酸化膜)
40、140 ゲート電極
42、142 第1部分
44、144 第2部分
45、145 n型部分
46、146 p型部分
48 第3部分
49、149 pn接合
52 サイドウォール
54 不純物拡散層
55a、55b 高濃度拡散層
57a、57b 低濃度拡散層
60 層間絶縁膜
62 コンタクトホール
64、64a、64b、64c、64d、64e コンタクトプラグ
70 メタル配線
80、81 レジストマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ領域と、該アクティブ領域を他の領域から素子分離する素子分離領域とが設定されている半導体基板の、前記アクティブ領域にMOS型電界効果トランジスタが形成された半導体装置であって、
前記MOS型電界効果トランジスタの制御電極は、前記アクティブ領域から前記素子分離領域にわたって形成されていて、
前記制御電極は、前記アクティブ領域と、前記素子分離領域の一部分とに形成された第1導電型の電極部、前記素子分離領域の他の部分に形成された、前記第1導電型と導電型が異なる第2導電型の電極部、及び、前記第1導電型の電極部と前記第2導電型の電極部との間にpn接合を有しており、
前記第2導電型の電極部が、前記アクティブ領域の前記半導体基板に、電気的に接続されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記pn接合における降伏電圧が、前記MOS型電界効果トランジスタの使用時に前記制御電極に印加される制御電圧よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記MOS型電界効果トランジスタが、前記アクティブ領域に設定されたトランジスタ形成領域に形成されていて、
前記第2導電型の電極部が、前記アクティブ領域であって、前記トランジスタ形成領域外のボディ領域に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記MOS型電界効果トランジスタが、前記アクティブ領域に設定されたトランジスタ形成領域に形成されていて、
前記第2導電型の電極部が、前記MOS型電界効果トランジスタが備える一対の主電極領域のいずれか一方に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板が、SOI(Silicon On Insulator)基板又はSOS(Silicon On Sapphire)基板である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記MOS型電界効果トランジスタが、完全空乏型トランジスタである
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記MOS型電界効果トランジスタが、
主電極領域として前記制御電極を挟む位置に形成された、第1導電型の一対の高濃度拡散層と、
前記制御電極の直下のチャネル領域と、前記高濃度拡散層とによって挟まれる部分に、前記高濃度拡散層よりも不純物濃度が低い、前記第1導電型の低濃度拡散層と
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板の一方の主表面上に、MOS型電界効果トランジスタが形成されるトランジスタ形成領域を含むアクティブ領域と、該アクティブ領域を他の領域から分離する素子分離領域を設定する工程と、
前記素子分離領域に素子分離シリコン酸化膜を形成する工程と、
前記アクティブ領域の半導体基板の主表面上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜及び前記素子分離シリコン酸化膜上に、ポリシリコン膜を形成した後、該ポリシリコン膜をパターニングすることにより、制御電極を形成する工程と、
前記制御電極の前記アクティブ領域、及び前記素子分離領域の一部分に第1導電型の不純物を注入して、第1導電型の電極部を形成するとともに、前記半導体基板の前記トランジスタ形成領域の前記制御電極を挟む領域に第1導電型の不純物を注入して、一対の主電極領域を形成する工程と、
前記制御電極の、第1導電型の不純物の非注入領域に、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を注入する工程と、
層間絶縁膜の形成、該層間絶縁膜に開口部の形成、該開口部に対する導電材料の埋め込み、及びメタル配線の形成を順に行うことにより、前記第2導電型の不純物が注入された第2導電型の電極部を、前記アクティブ領域の半導体基板に、電気的に接続する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1導電型の電極部及び一対の主電極領域を形成する工程は、
前記制御電極をマスクとして用いて、前記トランジスタ形成領域の前記制御電極を挟む領域に第1導電型の不純物を注入して、不純物拡散層を形成するとともに、前記制御電極の前記アクティブ領域と、前記素子分離領域の一部分とに第1導電型の不純物を注入する工程と、
前記制御電極の側面に、側壁絶縁膜を形成する工程と、
前記制御電極及び前記側壁絶縁膜をマスクとして用いて、前記トランジスタ形成領域の前記制御電極を挟む領域に第1導電型の不純物を注入して、不純物拡散層の一部分に不純物高濃度拡散層を形成して、前記不純物拡散層の他の部分を不純物低濃度拡散層とするとともに、前記制御電極の前記アクティブ領域と、前記素子分離領域の一部分に第1導電型の不純物を注入する工程と
を備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2導電型の電極部を、前記アクティブ領域であって、トランジスタ形成領域外のボディ領域に電気的に接続する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2導電型の電極部を、前記アクティブ領域のトランジスタ形成領域に形成された、一対の主電極領域のいずれか一方に電気的に接続する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板として、SOI(Silicon On Insulator)基板又はSOS(Silicon On Sapphire)基板を用意する
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−227340(P2008−227340A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66228(P2007−66228)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】