説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】縦型のトランジスタにおいてゲートからシリサイドの位置を精度よく制御できるようにする。
【解決手段】柱状半導体14の中央部には、その周囲を囲むように、ゲート絶縁膜9が形成され、さらに、ゲート絶縁膜9の周囲を囲むように、ゲート層6が形成されている。この柱状半導体14の中央部、ゲート絶縁膜9、ゲート層6により、MIS構造が形成されている。ゲート層6の上下には、第1絶縁膜4が形成されている。第1絶縁膜4は、柱状半導体14にも接している。柱状半導体14の側面には、シリサイド18及びn型拡散層(不純物領域)19が形成されている。シリサイド18は、第1絶縁膜4によってセルフ・アラインされた位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型トランジスタを有する半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィの短波長化による集積度向上に限界が見え、平面において集積度をあげるときの難易度が飛躍的に増している。このような状況の中で、従来のプレーナー型MIS(Metal Insulator Semiconductor)FET(Field Effect Transistor)を、基板に対して略垂直に電流が流れる、いわゆる縦型MISFETに置き換えようとする試みがある。
【0003】
縦型MISFETは、プレーナー型のMISFETでは得られない多くの利点を有する。例えば、微細なゲート長のFETを高価なリソグラフィ装置を用いることなく作製できることがある。また、ダブルゲート構造やゲート・オール・アラウンド構造を用いることで、ゲートの制御性を高め、短チャネル特性を改善できる。また、立体化して(積層して)高集積化が可能である。また、製造方法によってはゲート長を膜厚で規定でき、ゲート長ばらつきを小さくできる。
【0004】
また、平面の占有面積に比較して、ゲート長を長くとれる。これは、集積度を可能な限り向上させながらも、ゲート長を長くしてリーク電流をさげたいDRAM(Dynamic Ramdam Access Memory)のセルトランジスタや、同様に、集積度を可能な限り向上させながらも、ゲート長を長くしてばらつきを低減したいSRAM(Static Randam Access Memory)のトランジスタに適する。
【0005】
しかし、縦型トランジスタは、SD(Source Drain)の寄生抵抗が大きい、という問題がある。一般に、SDの寄生抵抗を低減するには、プレーナー型MISFETのように、SDにシリサイドを形成することが行われる。
【0006】
例えば、特許文献1の図30から図32に製造工程の途中段階が開示されている半導体装置では、縦型MISFETの下部SD電極にシリサイドが形成されている。また下部SD電極に形成されるシリサイドの、チャネル領域からの相対的な位置は、シリサイド上に形成される絶縁膜の膜厚によって、正確に制御されている。
【0007】
また、特許文献2の図6に開示されている半導体装置では、柱状半導体の下部SD電極の上にシリサイド層が形成されている。
【0008】
特許文献3の図1に開示されている半導体装置では、縦型MISFETの上部SD電極、下部SD電極の双方にシリサイドが形成されている。また、上部SD電極のシリサイドと、下部SD電極のシリサイドは同時に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−41513号公報
【特許文献2】特開2001−298097号公報
【特許文献3】特開2009−283772号公報
【特許文献4】特開2008−205440号公報
【特許文献5】特開2005−101588号公報
【特許文献6】特開2009−246383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
縦型トランジスタのSDの寄生抵抗を十分に下げるためには、上部SD電極と下部SD電極のシリサイドの位置を、プレーナー型MISFETと同じくらい、チャネル領域に近づけることが重要である。このためには、上部SD電極と下部SD電極それぞれにおいて、シリサイドの位置を精度よく制御できるようにする必要がある。このため、シリサイドの位置を精度よく制御できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、柱状半導体と、
前記柱状半導体の側面の一部に接するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜のうち前記柱状半導体とは逆側の面に接するゲートと、
前記ゲートの上及び下それぞれに形成され、前記ゲート及び前記ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、
前記柱状半導体の前記側面のうち、前記ゲートに面する領域より上側の領域及び下側の領域それぞれに形成されており、前記柱状半導体の前記側面のうち前記第1絶縁膜に対向する領域に接しているシリサイドと、
を備える半導体装置が提供される。
【0012】
本発明によれば、第1絶縁膜の厚さによって、ゲートからシリサイドまでの距離を制御することができる。絶縁膜の厚さは一般的に高精度に制御できる。従って、ゲートからシリサイドまでの位置を精度よく制御できる。
【0013】
本発明によれば、柱状半導体と、前記柱状半導体の側面のうち上端及び下端から離れた領域に面していて第1の第1絶縁膜、ゲート層、及び第2の第1絶縁膜からなる第1の積層構造とを形成する第1工程と、
前記柱状半導体の側面のうち前記第1の第1絶縁膜、前記ゲート層、及び前記第2の第1絶縁膜に面していない領域に金属層を形成する第2工程と、
熱処理を行うことにより、前記金属層と前記柱状半導体とを反応させてシリサイドを形成する第3工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、縦型のトランジスタにおいてゲートからシリサイドまでの位置を精度よく制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は第1の実施形態である半導体装置の上面図であり、(b)は(a)のA−A´線に沿った断面図であり、(c)は(a)のC−C´線に沿った断面図である。
【図2】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図3】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図4】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図5】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図6】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図7】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図8】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図9】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図10】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図11】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図12】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図13】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図14】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図15】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図16】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図17】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図18】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図19】図1に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図20】(a)は第2の実施形態である半導体装置の上面図であり、(b)は(a)のA−A´線に沿った断面図であり、(c)は(a)のC−C´線に沿った断面図である。
【図21】(a)は第3の実施形態である半導体装置の上面図であり、(b)は(a)のA−A´線に沿った断面図であり、(c)は(a)のC−C´線に沿った断面図である。
【図22】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図23】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図24】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図25】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図26】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図27】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図28】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図29】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図30】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図31】図21に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図32】(a)は第4の実施形態である半導体装置の上面図であり、(b)は(a)のA−A´線に沿った断面図であり、(c)は(a)のC−C´線に沿った断面図である。
【図33】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図34】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図35】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図36】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図37】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図38】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図39】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図40】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図41】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図42】図32に示した半導体装置の製造方法を示す図である。
【図43】図1に示した半導体装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態である半導体装置の上面図である。また、図1(b)は、図1(a)のA−A´線に沿った断面図、図1(c)は、図1(a)のC−C´線に沿った断面図である。本実施形態の半導体装置は、n型MISFETであっても、p型MISFETであってもかまわない。ここでは、n型MISFETを一例として説明する。また本図に示す半導体装置は、MISFETを同一層に複数有する。
【0018】
本実施形態の半導体装置では、半導体基板1または半導体層にn型拡散層(不純物領域)3が形成されている。n型拡散層(不純物領域)3は、その周囲を素子分離絶縁膜2に囲まれている。また、n型拡散層(不純物領域)3の上には、柱状半導体14が形成されている。1つの柱状半導体14は、1つの縦型MISFETを構成している。詳細には、柱状半導体14の上部と下部には、それぞれSD電極となるn型拡散層19が形成されている。また柱状半導体14の中央部はチャネル領域となっている。
【0019】
柱状半導体14の中央部には、その周囲を囲むように、ゲート絶縁膜9が熱酸化法により形成され、さらに、ゲート絶縁膜9の周囲を囲むように、ゲート層6が形成されている。この柱状半導体14の中央部、ゲート絶縁膜9、ゲート層6により、MIS構造が形成されている。ゲート層6の上下には、第1絶縁膜4が形成されている。第1絶縁膜4は、柱状半導体14にも接している。第1絶縁膜4は、ゲート層6の上及び下それぞれに形成されており、かつゲート層6及びゲート絶縁膜9に接している。柱状半導体14の側面には、シリサイド18及びn型拡散層(不純物領域)19が形成されている。n型拡散層19は、シリサイド18の周囲に形成されている。シリサイド18は、第1絶縁膜4によってセルフ・アラインされた位置に形成されている。上側の第1絶縁膜4によってセルフ・アラインされた位置に形成されたシリサイド18は、柱状半導体14の天面まで連続して形成されている。また、下側の第1絶縁膜4によってセルフ・アラインされた位置に形成されたシリサイド18は、半導体基板1のn型拡散層3まで連続して形成されている。なおシリサイド18は、柱状半導体14の側面のうち、第1絶縁膜4に対向している領域に接している。
【0020】
また、シリサイド18は、ゲート層6の上面および側面にも形成されている。上部SD電極となるn型拡散層19への接続は、柱状半導体14の天面に形成されたシリサイド18に対してコンタクト22を接続することで、行われる。下部SD電極となるn型拡散層19への接続は、半導体基板1のn型拡散層(不純物領域)3に形成されたシリサイド18に対してコンタクト22を接続することで行われる。ゲート層6への接続は、ゲート層6に形成されたシリサイド18に対してコンタクト22を接続することで、行われる。コンタクト22は、いずれも、層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を貫く形で、各部のシリサイド18に接続する。
【0021】
なお、図1には柱状半導体14が2つ存在している。それぞれの柱状半導体は、1つの縦型MISFETを構成し、2つの縦型MISFETのゲート同士、下部電極同士が接続された形となっている。本発明の半導体装置は、図1の左半分、右半分の縦型MISFETで必要十分であるが、後で説明するように、作製途中でゲート層6が梁構造となるため、付着現象がおきにくくなる構造が好ましい。この意味で、図1に示すように2つの縦型MISFETのゲート層6同士を接続した構造を示している。なお、後述するように、付着現象がおきないようにプロセスに配慮すれば、もしくは、ゲート層6が片持ち梁構造になっても付着しない構造であれば、電気的な接続が必要な場合を除いて、特にゲート同士を接続する必要はない。
【0022】
以下に、各部の詳細について、説明する。
【0023】
半導体基板1は、単結晶半導体のバルク基板、又は表面に単結晶半導体層が形成された基板、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板とするのが好ましい。半導体基板1は、バルクSi(100)基板のほか、(110)、(111)などの面方位をもつバルクSi基板、または、任意の材料で形成された基板の表面に(100)、(110)、(111)などの面方位をもつSiが形成された基板とすることができる。基板のドーピング型、濃度、ノッチ(オリフラ)方向については、特に限定されない。また、必ずしも表面に単結晶半導体層が形成されていなくてもよい。多結晶半導体層、非晶質半導体層であってもよい。すなわち、トランジスタが形成された上に絶縁膜を介して、多結晶半導体層ないしは非晶質半導体層を形成したような基板も、本実施形態の半導体基板1として用いることが可能である。
【0024】
柱状半導体14は、単結晶半導体、多結晶半導体、及び非晶質半導体のいずれでも構わない。ただし、半導体基板1の表面が単結晶半導体層でない場合、柱状半導体14は、単結晶半導体にならず、多結晶半導体ないしは非晶質半導体になる。柱状半導体14の材料は、半導体基板1と同じにするのが一般的である。すなわち、半導体基板1がバルクSi(100)基板ならば、柱状半導体14の材料もSiとするのが一般的である。ただし、半導体基板1と柱状半導体14とは別の材料で形成してもかまわない。この場合は、半導体基板1の材料から、組成を一部変更したような材料とするのがよい。すなわち、半導体基板1がバルクSi(100)基板ならば、柱状半導体14の材料をSiGeやSiCとしてもよい。また柱状半導体14は、縦型MISFETのチャネル領域を構成するので、通常、しきい値電圧調整用のドーピングが行われている。
【0025】
シリサイド18は、柱状半導体14の天面、側面、ゲート層6の上面、側面、半導体基板1のn型拡散層(不純物領域)3の各所に形成されている。このうち、柱状半導体14の側面に形成されたシリサイド18は、ゲート層6の上下それぞれに形成された第1絶縁膜4に対して、セルフ・アラインされた位置に形成されている。このため、第1絶縁膜4の膜厚を変化させることで、シリサイド18の、チャネル領域からの相対的な位置を任意に設定できる。このため、これまでの縦型MISFETと比較して、チャネル領域により近い位置に、シリサイドを形成できる。このため、SDの寄生抵抗を低減できる。シリサイド18は、Niシリサイド、Ptシリサイド、Coシリサイド、Tiシリサイド、Wシリサイド、Pdシリサイド、Erシリサイド、などであるが、これらに限定されない。また、これらの合金のシリサイドでもよい。合金のシリサイドの例として、NiPtシリサイドがあげられる。なお後で説明するように、CVD(Chemical Vapor Deposition)で柱状半導体14の側面に、シリサイド金属を成膜するので、シリサイド金属を含んだCVD原料が存在していることが前提になる。
【0026】
第1絶縁膜4は、柱状半導体14の側面に形成されるシリサイド18の、チャネル領域からの相対的な位置を調整する役割を果たす。その厚みが、プレーナー型MISFETのSW(サイドウォール)幅に相当する。プレーナー型MISFETのSWとの違いは、以下の2点が挙げられる。第1に、プレーナー型MISFETのSWの場合、成膜とエッチバックの2工程でSW幅が決まるのに対して、本発明の半導体装置では、成膜のみで決まっているので精度がよくばらつきが少ない。第2にプレーナー型MISFETのSWの場合、ゲートをはさんだ2つのSWの幅は常に同じになるのに対して、本発明の半導体装置では、ゲート層6の上下の第1絶縁膜4の膜厚を必ずしも同じにしなくてもよい。後者の違いから、本発明の半導体装置の場合、設計の自由度が広がる。例えば、SDを形成する、あるドーパントが柱状半導体14の上部方向に拡散しやすい特性を持っていたとする。この場合、下側の第1絶縁膜4の膜厚を上側の第1絶縁膜4の膜厚より厚くすることで、SDとゲート層6の重なりが上下で同じになるように調整できる。
【0027】
ゲート層6は、その膜厚が縦型MISFETのゲート長となる。ゲート層6は、一般に、多結晶半導体もしくは非晶質半導体であり、その材料は、半導体基板1と同じである。すなわち、通常、多結晶Si、もしくは、非晶質Siである。しかし、これらに限定されず、例えば、多結晶SiGe、もしくは、非晶質SiGeのように、半導体基板1と異なる材料であってもよい。また、図1では、ゲート層6の上部と側面にシリサイド18が形成されているが、ゲート層6のすべての部分をシリサイド化して、メタルゲートとしてもかまわない。例えば、Niシリサイドからなるメタルゲートとしてもよい。
【0028】
ゲート絶縁膜9は、その膜の種類として、Si酸化膜、Si酸窒化膜、Si窒化膜、Ta、Al、HfO、ZrO、ZrON、HfON、HfAlON、HfSiON、HfAlSiONなどのHigh−k膜があげられるが、これらに限定されない。またゲート絶縁膜9は単層膜である必要はなく、任意の絶縁膜の積層膜でもよい。ゲート絶縁膜9を酸化、もしくは酸窒化で形成する場合は、図1のように、ゲート層6の端面に形成される。ゲート絶縁膜9をCVDで形成する場合は、図43を用いて後述するように、ゲート絶縁膜9が、ゲート層6の端面だけでなく、ゲート層6の上下の第1絶縁膜4の端面にも形成される形となる。なお、ゲート絶縁膜9として、Si酸化膜とSi窒化膜の積層膜(ONO膜)を用いると、本発明の縦型MISFETを記憶素子とすることができる。
【0029】
n型拡散層(不純物領域)19は、後述するように、シリサイド形成時の雪かき効果で形成される。したがって、柱状半導体14のしきい値電圧調整用のp型ドーピングが施されている領域とは、急峻な接合界面を形成する。そのため、微細なゲート長を持つFETの浅接合としても適用可能である。
【0030】
図43(a)は、図1に示した半導体装置の変形例の上面図である。また、図43(b)は、図43(a)のA−A´線に沿った断面図、図43(c)は、図43(a)のC−C´線に沿った断面図である。本図に示す半導体装置は、ゲート絶縁膜9と第1絶縁膜4の位置関係を除いて、図1に示した半導体装置と同胞の構造を有している。
【0031】
詳細には、図43においてゲート絶縁膜9は、気相成長法、例えばCVD法により形成されている。そしてゲート6及び第1絶縁膜4は、いずれもゲート絶縁膜9を介して柱状半導体14の側面に面している。シリサイド18は、柱状半導体14の側面のうちゲート絶縁膜9に覆われていない領域に形成されている。
【0032】
以下、図2から図19を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図2から図19は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図である。各図の(a)が上面図、各図の(b)が各図の(a)のA−A´線に沿った断面図、各図の(c)が各図の(a)のC−C´線に沿った断面図である。本実施形態の製造方法は、n型MISFETにも、p型MISFETにも適用可能である。ここでは、n型MISFETの製造方法を一例として説明する。
【0033】
まず、図2に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。以下では、半導体基板1を、最も一般的なp型単結晶Si(100)基板として説明する。素子分離絶縁膜2の形成は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法、または、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いる。
【0034】
次いで図3に示すように、n型拡散層(不純物領域)3を形成する。具体的には、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、イオン注入後、熱処理により、これらのドーパントを活性化する。例えば、1価のAsイオンを注入し、窒素雰囲気もしくは、窒素雰囲気に微量の酸素が混入された雰囲気で、1050℃のスパイクアニールを行う。スパイクアニールは、例えば、目的の温度まで、装置の最大もしくは最大に近い昇温レートで昇温して、目的の温度での維持時間を0秒とし、装置の最大もしくは最大に近い降温レートで降温する熱処理である。
【0035】
次いで図4に示すように、n型拡散層(不純物領域)3の上に、ゲート層6を第1絶縁膜4で挟み、これを第2絶縁膜5で挟んだ積層体を形成する。具体的には、下側の第2絶縁膜5、下側の第1絶縁膜4、ゲート層6、上側の第1絶縁膜4、及び上側の第2絶縁膜5をこの順に積層する。上記したように、2つの第1絶縁膜4それぞれの膜厚を調整することにより、シリサイドとチャネル領域の相対的な位置を調整できる。2つの第2絶縁膜5は、その膜厚で、縦型MISFETのSDに形成されるシリサイドの長さを決定する。後工程において、ゲート層6を第1絶縁膜4で保護した状態で、第2絶縁膜5を除去する。したがって、第2絶縁膜5は、第1絶縁膜4に対して、選択エッチングが可能な材料でなければならない。なお、第1絶縁膜4の厚みは、ゲート層6の上下で必ずしも同じである必要はない。また同様に、第2絶縁膜5の厚みも、上下で必ずしも同じである必要はない。
【0036】
ゲート層6の例としては、多結晶Siもしくは非晶質Siがあげられる。第1絶縁膜4と第2絶縁膜5の組み合わせの例としては、第1絶縁膜4をSi酸化膜、第2絶縁膜5をSi窒化膜とする例があげられる。また、この逆でもかまわない。ただし、逆の場合は、後工程で、第2絶縁膜5として、Si酸化膜を除去することになり、素子分離絶縁膜2の膜減りを考慮して、素子分離絶縁膜2を作製する必要がある。以後、第1絶縁膜4をSi酸化膜、第2絶縁膜5をSi窒化膜、ゲート層6を多結晶Siとして、説明を続ける。この場合、減圧CVDを用いて、第2絶縁膜5としてSi窒化膜、第1絶縁膜4としてSi酸化膜、ゲート層6として多結晶Si膜、第1絶縁膜4としてSi酸化膜、第2絶縁膜5としてSi窒化膜を、この順に成膜していく。
【0037】
次いで図5に示すように、第2絶縁膜5の成膜後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、所望の開口部分のレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を、上側の第2絶縁膜5の上に作製する。その後、このレジストパターンをマスクとして、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5を順にドライエッチングし、n型拡散層(不純物領域)3にいたる開口7、8を形成する。エッチング後、レジストパターンを剥離する。なお、開口7、8の断面形状に特に制限はない。図5(a)に示すように、円形でもよい。また、楕円形、四角形、三角形、その他の多角形であってもよい。また、半導体基板1内に、開口を複数形成する場合は、すべてが同じ断面形状である必要はない。すなわち、その形状が異なってもよいし、その大きさ(断面積)が異なっていてもよい。
【0038】
次いで図6に示すように、例えば熱酸化を行うことにより、ゲート絶縁膜9を形成する。熱酸化を行う場合、開口7、8の側面に露出したゲート層6の端面に、ゲート絶縁膜9としてのSi酸化膜が形成される。なお、熱酸化の代わりに酸窒化を行って、ゲート絶縁膜9として、Si酸窒化膜を作製してもよい。Si酸窒化膜の場合、移動度の観点から、窒素濃度のプロファイルは、開口部中心側が低くなるようにする。なお、熱酸化、もしくは酸窒化によりゲート絶縁膜9を形成する場合、開口7、8の底面であるn型拡散層(不純物領域)3にも、ゲート絶縁膜9と同じ膜種の絶縁膜10が形成される。なお、この絶縁膜10は後工程で除去される。
【0039】
ゲート絶縁膜の製造方法としては、熱酸化や酸窒化だけでなく、CVDであってもよい。またCVDを複数回行い、種類の異なる膜を複数、積層してもよい。また熱酸化や酸窒化で形成する膜とCVDで形成する膜の組み合わせであってもよい。ゲート絶縁膜をCVDで形成し、かつ、ゲート絶縁膜が単膜である場合は、図7のように、CVDゲート絶縁膜11が形成される。なお、この場合も、ゲート層6の開口7、8に面した端面だけでなく、開口7、8の底面であるn型拡散層(不純物領域)3にも、ゲート層6の端面から連なったCVDゲート絶縁膜11が形成される。なお、開口7、8の底面のCVDゲート絶縁膜11は、後工程で除去される。
【0040】
次いで図8に示すように、開口7、8の内側側面に、非晶質Siの側壁12を形成する。具体的には、まず、非晶質SiをCVDでコンフォーマルに成膜する。その後、ドライエッチングを行い、ゲート層6の上側の第2絶縁膜5上の非晶質Siと、開口7、8の底面の絶縁膜10上の非晶質Siを除去する。
【0041】
次いで図9に示すように、開口7、8の底面に存在する絶縁膜10を、例えばウェットエッチング法を用いて除去する。具体的には、絶縁膜10がSi酸化膜もしくは、Si酸窒化膜である場合、希フッ酸処理を行う。この際、ゲート絶縁膜9は非晶質Siの側壁12に保護されて、エッチングされない。なお、図7のように、CVDゲート絶縁膜11が形成されている場合も、ゲート層6に接している部分のCVDゲート絶縁膜11は、非晶質Siの側壁12で保護された状態になり、開口7、8の底面に存在するCVDゲート絶縁膜11と、ゲート層6の上側の第2絶縁膜5上のCVDゲート絶縁膜11が除去される。
【0042】
次いで図10に示すように、開口7、8の部分に、非晶質Siからなる柱状半導体13を形成する。具体的には、自然酸化膜除去を含む成膜前処理を行った後、UHV(Ultra High Vacuum)−CVDにより非晶質Siを成膜し、開口7、8を十分埋める(断面積が異なる開口が半導体基板1上に存在する場合、断面積最大の開口が埋まるように厚く成膜する)。この後、非晶質SiをCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する。さらに、非晶質Siをドライエッチングし、ゲート層6の上の第2絶縁膜5でエッチングを停止させる。
【0043】
成膜前処理としては、具体的には、以下のような処理を行う。まず、硫酸:過酸化水素の混合液で、図9に示す状態の基板を洗浄する。その後、アンモニア:過酸化水素:水の混合液で、n型拡散層3の表面部分に存在する開口7、8形成時の損傷層を除去する。さらに、n型拡散層3の表面の自然酸化膜を、希フッ酸で除去する。この後、ただちに非晶質Siの成膜を行う。なお、成膜前の自然酸化膜除去は、必ずしもこのような溶液による前処理でなくてもよく、例えば、特許文献4(段落[0033]〜[0046])に記載されたドライ前処理や気相HF処理を用いてもよい。
【0044】
次いで図11に示すように、固相エピタキシャル成長を行って、非晶質Siからなる柱状半導体13を、単結晶Siからなる柱状半導体14に変化させる。固相エピタキシャル成長の熱処理条件としては、例えば、窒素雰囲気、600℃の条件で行う。
【0045】
なお、縦型MISFETのチャネルを非晶質Siチャネルとするときは、図11に示す工程を省略する。
【0046】
また縦型MISFETのチャネルを多結晶Siチャネルとするときは、図8に示す工程で、非晶質Siの側壁12を形成する代わりに、多結晶Siの側壁を形成し、図10に示す工程で、非晶質Siで開口7、8埋め込む代わりに、多結晶Siで開口7、8を埋め込む。さらに、図11の固相エピタキシャル成長を生じさせる熱処理工程を省略する。
【0047】
また縦型MISFETのチャネルを単結晶SiGeチャネルとするときは、図8に示す工程で、非晶質Siの側壁12を形成する代わりに、非晶質SiGeの側壁を形成し、図10に示す工程で、非晶質Siで開口7、8埋め込む代わりに、非晶質SiGeで開口7、8を埋め込む。
【0048】
このようにして開口7、8に柱状半導体14が形成されたら、次に、しきい値電圧調整用のドーパントすなわちチャネル不純物を柱状半導体14内にイオン注入し、活性化する。例えば、1価のBをイオン注入し、1050℃のスパイクアニールで活性化させる。なお、しきい値電圧調整用のドーパントを柱状半導体14内へ導入するには、図8で非晶質Siの側壁12を形成する際の、非晶質Siの成膜時にin−situでドーピングするか、図10で開口7、8を非晶質Siで埋め込む際の、非晶質Siの成膜時にin−situでドーピングするか、のどちらか、あるいはその両方でもよい。
【0049】
次いで図12に示すように、ゲート層6の上の第2絶縁膜5を除去する。例えば、熱りん酸で、第2絶縁膜5のSi窒化膜をエッチングする。この処理により、柱状半導体14の上部がつきでた形状になり、第1絶縁膜4が露出する。
【0050】
次いで図13に示すように、柱状半導体14のうち露出している部分に接するように、SW15を形成する。具体的には、SW15となる絶縁膜をCVDによりコンフォーマルに成膜する。次に、この絶縁膜をエッチバックすることにより、SW15を形成する。SW15となる絶縁膜としては、次工程で、SW15をマスクに第1絶縁膜4をエッチングするので、第1絶縁膜4と選択エッチングが可能な材料が選択される。一般には、第2絶縁膜5と同じ膜種の絶縁膜でよい。例えば、第1絶縁膜4がSi酸化膜であれば、SW15となる絶縁膜として、第2絶縁膜5と同じSi窒化膜を用いればよい。
【0051】
次いで図14に示すように、柱状半導体14とSW15をマスクとして、ゲート層6の上の第1絶縁膜4をエッチングし、ゲート層6の上面を露出させる。例えば、ドライエッチングでエッチングを行い、ゲート層6でエッチングを停止させる。これにより、後工程でゲート層6の上部にシリサイドが形成し、ここにコンタクトを作製すれば、ゲート層6と電気的に接続できるようになる。
【0052】
次いで図15に示すように、ゲート層6のパターンニングを行う。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、所望のゲート層6部分にレジストが残るようなレジストパターン(未図示)を作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5を順にドライエッチングし、半導体基板1上のn型拡散層(不純物領域)3でエッチングを停止させる。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離する。
【0053】
次いで図16に示すように、第2絶縁膜5とSW15を除去する。例えば、第2絶縁膜5とSW15であるSi窒化膜を熱りん酸でエッチングする。そうすると、柱状半導体14の側面で、ゲート絶縁膜9に接している部分と第1絶縁膜4に接している部分を除いて、柱状半導体14の側面が露出される。なお、図7のようにCVDゲート絶縁膜11を作製した場合は、第2絶縁膜4を除去しても、柱状半導体14の側面には、まだCVDゲート絶縁膜11が残存している。したがって、ゲート層6と第1絶縁膜4に覆われている部分のCVDゲート絶縁膜11を除いて、CVDゲート絶縁膜11をさらにウェットエッチングし、柱状半導体14の側面を露出させる。
【0054】
図16では、第2絶縁膜5を除去した結果、空隙16が生じる。空隙16の高さが低い場合、図16において、2つの柱状半導体14間を結ぶゲート層6および下側の第1絶縁膜4の部分がたわみ、基板1上のn型拡散層(不純物領域)3に付着することがある。このような付着現象は、最悪、柱状半導体14が倒壊することになり、好ましくない。したがって、付着現象が生じないように、空隙16の高さを十分高くする。すなわち、ゲート層6の下側の第2絶縁膜5の膜厚は十分に厚くしておく。ただし、膜厚を厚くすると、シリサイドで寄生抵抗が低減する効果を損なう。そのため、第2絶縁膜5を厚くするよりも、2つの柱状半導体14間の距離を短くして、2つの柱状半導体14間を結ぶゲート層6および下側の第1絶縁膜4で構成される梁の長さを短くする。もしくは、第2絶縁膜5を除去する際のプロセスを以下のようにする。
【0055】
上記した例では、第2絶縁膜5とSW15の除去は、ウエットプロセスで行われる。これは、ドライエッチングであると、ゲート層6の下側の第2絶縁膜5の除去が難しいからである。一般に、ウエットエッチングの後は、水リンスして乾燥させるが、この際、水(もしくは液体)の表面張力が働くような乾燥を行うと、付着現象がおこりうる。したがって、物質の状態図において気液平衡曲線を通過しないような乾燥、すなわち超臨界乾燥か、凍結乾燥を行い、乾燥させる。こうすると、付着現象を避けられる。
【0056】
次いで図17に示すように、シリサイド金属17をコンフォーマルに成膜する。シリサイド金属17は、単一種類の金属に限らず、複数種類の金属の合金であってもよい。また、複数種類の金属の積層膜であってもよい。本実施形態においてシリサイド金属17には、柱状半導体14中でドーパントとなる不純物原子(n型MISFETであれば、柱状半導体14中でn型となるようなドーパント、すなわちPやAsなど)を含ませておく。成膜手法は、コンフォーマルに成膜できれば、特に制限はないが、CVDが一般的である。CVDは、熱CVDでも、光CVDでもプラズマCVDでもかまわない。また減圧CVDでも、常圧CVDでもかまわない。
【0057】
成膜するシリサイド金属としては、Ni、Pt、Co、Pd、Ti、Wなどがあげられるが、これらに限定されない。Niを成膜する場合、使用するCVD原料としては、Ni(PF、Ni(C、Ni(CCH、Ni(C、Ni(C、Ni(C1119、Ni(CHO、Ni(C)(C)、Ni(CO)があげられるが、これらに限定されない。Ptを成膜する場合、使用するCVD原料としては、Pt(PF、Pt(CO)Cl、(CH(CH)Pt、(CH(C)Pt、(CH)(CO)(C)Pt、Pt(CFCOCHCOCF、O[Si(CHCH=CHPt、Cis-[Pt(CH(CHCN)]、[Pt(CH(C12)]、(CH=CHCHPt、(C)(CH=CHCH)Ptがあげられるが、これらに限定されない。Coを成膜する場合、使用するCVD原料としては、CoH(PF、Co(C、Co(C1119、(CCo、(CHCo、(CCo、CCo(CO)、Co(CO)NO、Co(CO)、C1210Coあげられるが、これらに限定されない。Pdを成膜する場合、使用するCVD原料としては、Pd(PF、(CH=CHCHPd、[CH=C(CH)CH]Pd、(C)(CH=CHCH)Pdがあげられるが、これらに限定されない。Tiを成膜する場合、使用するCVD原料としては、TiClがあげられるが、これに限定されない。Wを成膜する場合、使用するCVD原料としては、W(PF、WF、WCl、WBr、W(CO)、W(C、(CH=CHCHW、(CWH、(CCHWH、(C)W(CO)(CH)、(CWH(CO)、(CW(CO)があげられるが、これらに限定されない。
【0058】
以上、列挙したCVD原料のうち、分子内に柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子を有しているもの(PFの側鎖を有するもの)を使用する際には、シリサイド金属17を成膜した際に、柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子(P)がシリサイド金属17内に自動的に含まれる。一方、分子内に柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子を含まないものを使用する際には、n型ならPH、p型ならBを用いて気相ドーピングを行いながら、シリサイド金属17を成膜する。このようにして成膜することで、シリサイド金属17内に、柱状半導体14中でドーパントとなる不純物原子を含ませておくことができる。なお、分子内に柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子を有しているもの(PFの側鎖を有するもの)を使用する際にも、気相ドーピングを行いながら成膜することで、シリサイド金属17内の、柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子の濃度を増やすことができる。
【0059】
次いで図18に示すように、熱処理してシリサイドを形成する。さらにシリサイド化していないシリサイド金属17を余剰エッチングにより除去し、必要ならば、さらに熱処理を行う。これにより、シリサイド18が形成される。このとき、シリサイド金属17内の、柱状半導体14でドーパントとなる不純物原子は、雪かき効果で、シリサイド18の界面付近におしだされる。柱状半導体14では、n型拡散層(不純物領域)19となり、浅いpn接合を形成する。またゲート層6では、多結晶Si内の粒界を拡散していき、ゲート層6内に広く分布する。基板1上のn型拡散層(不純物領域)3の表面から柱状半導体14の下側SD電極まで連続してつながったシリサイド18が形成される。また、柱状半導体14の天面から上側SD電極まで連続してつながったシリサイドが形成される。すなわちシリサイド18は、柱状半導体14のうちゲート絶縁膜9及び第1絶縁膜4によって覆われていない領域に形成される。さらに、ゲート層6にも、シリサイド18が同時に形成される。さらに、柱状半導体14の上側SD電極と下側SD電極に形成されたシリサイド18は、ゲート層6の上下に形成された第1絶縁膜4によって、チャネル領域からの相対的な位置が正確に制御された位置に、セルフ・アラインで形成される。
【0060】
次いで図19に示すように、例えば窒化シリコン膜からなるストッパー絶縁膜20と層間絶縁膜21をこの順にCVDで形成し、層間絶縁膜21の表面をCMPで平坦化する。
【0061】
この後、従来からの技術を用いて、コンタクト22を形成する。例えば、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、コンタクトを形成する部分にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を順にドライエッチングし、基板1上のシリサイド18でエッチングを停止させる。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離する。さらにTiとTiNをスパッタして熱処理し、その後、CVDによりWを埋め込んで、CMPを行う。このようにして、図1のような半導体装置が完成する。その後、必要に応じて、従来からの方法で配線層や電極パッドがさらに形成される。
【0062】
以上の説明では、n型MISFETの製造方法を説明した。本実施形態の製造方法では、同様にp型MISFETを製造することも可能である。その際には、半導体基板1が例えばp型のバルクSi(100)基板であるとすると、まず、図2において、n型拡散層3の代わりに、nウェルとp型拡散層を形成する。さらに図11で、しきい値電圧調整用にp型のドーパントをイオン注入するかわりに、n型のドーパントをイオン注入する。もしくは、図8で非晶質Siの側壁12を形成する際の、非晶質Siの成膜時、図10で開口7、8を非晶質Siで埋め込む際の、非晶質Siの成膜時のどちらか、あるいはその両方で、p型のドーパントを導入するかわりに、n型のドーパントを導入する。さらに、図17に示す工程で、シリサイド金属17を成膜する際に、シリサイド金属17に、柱状半導体14でn型になるドーパントを含ませる代わりに、柱状半導体14でp型になるドーパントを含ませる。以上のように工程を変更することで、p型MISFETの製造が可能である。
【0063】
また、上記の説明では、第1絶縁膜をSi酸化膜、第2絶縁膜をSi窒化膜として、n型の縦型MISFETのSD形成は、シリサイド18を形成する際の雪かき効果を利用して行った。これを、第1絶縁膜をSi窒化膜、第2絶縁膜をPSG(Phosphorous Silicate Glass)に変更すると、SD形成はシリサイド金属17成膜前に実施しておくことができ、シリサイド金属17への不純物原子の導入は必ずしも必要なくなる。この場合、図11において、柱状半導体14を形成後、しきい電圧調整用のイオン注入を行い活性化するが、この活性化の際に、PSGからPが柱状半導体14へ拡散し活性化され、SDが形成される。なお、p型MISFETの場合は、PSGではなく、BSG(Boron Silicate Glass)を用いる。
【0064】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態の半導体装置のSDを変更したものである。本発明の第2の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図20(a)(b)(c)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態である半導体装置の断面図である。図20(a)(b)(c)は、それぞれ、図1の(c)に対応する断面図であり、これらの図により、第1の実施形態の半導体装置との違いを示す。図20(a)(b)(c)、いずれの場合でも、各半導体装置の上面図は、図1(a)と同じである。図1(b)に対応する断面図は、SDのみ、図20(a)(b)(c)に示すように変更される。なお、本実施形態の半導体装置は、n型MISFETであっても、p型MISFETであってもかまわない。ここでは、n型MISFETを一例として説明する。
【0065】
図20(a)は、柱状半導体14の半径が、n型拡散層(不純物領域)19の深さよりも小さく、シリサイド18の厚みより大きい場合である。この場合、n型拡散層19は、柱状半導体14の横断面でみたときに柱状半導体の中心まで分布している。すなわち縦型MISFETのSD部において、pn接合界面が、チャネル領域と接する部分だけになる。このため、第1の実施形態の半導体装置に比べて、接合リーク電流が減少する。
【0066】
図20(b)は、柱状半導体14の半径が、n型拡散層(不純物領域)19の深さよりも小さく、かつ、シリサイド18の厚みよりも小さい場合である。この場合、縦型MISFETのSD部において、半導体部分が減少し、チャネル領域に接する部分を除いて、すべてシリサイド18となる。すなわち柱状半導体14の横断面で見たときに、シリサイド18は柱状半導体14の中心まで形成されている。したがって、第1の実施形態の半導体装置に比べて、接合リーク電流が減少することに加え、さらにSD部の寄生抵抗が減少する。
【0067】
図20(c)は、シリサイド18に接するn型拡散層(不純物領域)19が、すべて空乏化したn型拡散層(不純物領域)23になっている場合である。この場合、縦型MISFETのチャネル領域とSD部の境界がpn接合ではなく、ショットキー接合となり、縦型MISFETはショットキーSDトランジスタとなる。また、図20(a)(b)において、n型拡散層(不純物領域)19をすべて空乏化させて、ショットキーSDトランジスタとすることもできる。
【0068】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。本実施形態の半導体装置の製造方法は、図20(a)(b)(c)のいずれも、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同じである。図20(a)(b)に示す半導体装置の条件を満たすためには、柱状半導体14の半径(もしくは断面積)を高解像度なリソグラフィ(例えば電子線リソグラフィ)を用いて小さくするか、もしくは、シリサイド18の厚みを厚くすればよい。シリサイド18の厚みを厚くするには、シリサイド18を全量反応で形成する場合、シリサイド金属17の成膜時の膜厚を厚くすればよい。図20(c)に示す半導体装置の条件を満たすためには、特許文献5(段落[0023]〜[0027])に記載されているような条件を満たすように、ドーピング濃度を調整する。
【0069】
なお、図20(a)(b)(c)の各装置をp型MISFETにする場合の変更については、第1の実施形態と同様である。
【0070】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態の半導体装置をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)にしたものである。本発明の第3の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図21(a)は、本発明の第1の実施形態である半導体装置の上面図である。また、図21(b)は、図21(a)のA−A´線に沿った断面図、図21(c)は、図21(a)のC−C´線に沿った断面図である。
【0071】
本実施形態の半導体装置では、図21(b)の左側の柱状半導体14がn型の縦型MISFET、右側の柱状半導体14がp型の縦型MISFETである。図21(b)は、n型とp型の縦型MISFETをそれぞれ1個ずつ用いて、インバータを形成した例を示している。双方のゲート電極は、シリサイド18同士、もしくは、コンタクト22を介した接触により、電気的に短絡されている。図21(b)左側、n型の縦型MISFETについては、第1の実施形態の半導体装置と同じである。図21(b)右側のp型の縦型MISFETは、図21(b)左側のn型の縦型MISFETのドーピングを変更したものである。以下にドーピングの変更箇所を説明する。
【0072】
まず、右側のp型の縦型MISFETは、半導体基板1上のp型拡散層(不純物領域)24に形成された柱状半導体14の側面に形成されている。柱状半導体14の上部、下部がSDとなっており、中央部がチャネル領域となっている。p型の縦型MISFETであるので、チャネル領域はn型にドーピングされている。また上部SDと下部SDは、シリサイド18に接して形成されたp型拡散層(不純物領域)25となっている。またゲート層6は、図21(b)の左半分がn型の縦型MISFET用にn型にドーピングされており、右半分がp型の縦型MISFET用にp型にドーピングされている。なお、本実施形態の半導体装置では、n型の縦型MISFETに形成されるシリサイドと、p型の縦型MISFETに形成されるシリサイドの種類は、同じであっても、異なっていてもよい。図21では、シリサイド18として同じ場合を示している。また、柱状半導体14の断面積や断面形状が、n型の縦型MISFETとp型の縦型MISFETとで同じであってもよいし、異なっていてもよい、図21では、これらの断面積及び断面形状が同じ場合を例示している。
【0073】
以下、図22から図31を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図22から図31は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図である。各図の(a)が上面図、各図の(b)が各図の(a)のA−A´線に沿った断面図、各図の(c)が各図の(a)のC−C´線に沿った断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法をもとに、デュアルシリサイドを形成できるように変更したものである。
【0074】
まず、図22に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。以下では、半導体基板1を、最も一般的なp型単結晶Si(100)基板として説明する。素子分離絶縁膜2の形成は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法、または、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いる。
【0075】
次いで図23に示すように、半導体基板1にn型拡散層(不純物領域)3とp型拡散層(不純物領域)24を形成する。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、n型の縦型MISFET部分(図中左側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を半導体基板1の上に作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、pウェル形成のため、p型のドーパント(Bなど)をイオン注入し、さらに、下部SD電極形成のため、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、レジストを剥離する。それから、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、p型の縦型MISFET部分(図中右側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を半導体基板1の上に作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、nウェル形成のため、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、さらに、下部SD電極形成のため、p型のドーパント(Bなど)をイオン注入し、レジストを剥離する。この後、スパイクアニールを行い、注入したドーパントを活性化させ、n型MISFETを作製する領域(図中左側)に、pウェル(未図示)およびn型拡散層(不純物領域)3を形成し、p型MISFETを作製する領域(図中右側)に、nウェル(未図示)およびp型拡散層(不純物領域)24を形成する。
【0076】
この後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、図4から図15に示した工程を行う。
【0077】
次いで図24に示すように、マスク絶縁膜26を成膜する。マスク絶縁膜26は、シリサイドを形成したくない領域を覆うためのものである。一般には、SW15と同じ種類の絶縁膜でよく、例えば、Si窒化膜とし、減圧CVDで成膜する。
【0078】
次いで図25に示すように、n型の縦型MISFET部分(図中左側)の、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5を除去して、n型の縦型MISFETを形成する柱状半導体14の天面と側面、ゲート層6、半導体基板1上のn型拡散層(不純物領域)3を露出させる。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、n型の縦型MISFET部分(図中左側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、熱りん酸で、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5をウエットエッチングして除去する。その後、レジストを剥離する。レジストのウエットエッチング耐性が十分でない場合は、マスク絶縁膜26の成膜後、ハードマスクとして、マスク絶縁膜26とは種類が異なる絶縁膜を成膜する。成膜後、同様にリソグラフィを行い、得られたレジストパターンをマスクに、ハードマスクをエッチングする。そして、レジストを除去した後、ハードマスクをマスクにして、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5をウエットエッチングして除去する。その後、ハードマスクを除去する。
【0079】
次いで図26に示すように、第1の実施形態の図17、図18に示す工程を行って、シリサイド18を形成する。これにより、n型の縦型MISFETとなる柱状半導体14の天面と側面、ゲート層6、半導体基板1上のn型拡散層(不純物領域)3に、シリサイド18が形成される。また、n型の縦型MISFETのSDとなる、n型拡散層(不純物領域)19が、柱状半導体14に形成されたシリサイド18に接して形成される。
【0080】
次いで図27に示すように、p型の縦型MISFET部分(図中右側)の、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5を除去する。例えば、熱りん酸でウエットエッチングする。この後、図28に示すように、再度、マスク絶縁膜26を成膜する。例えば、Si窒化膜とし、減圧CVDで成膜する。
【0081】
次いで図29に示すように、p型の縦型MISFET部分(図中右側)の、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5を除去して、p型の縦型MISFETを形成する柱状半導体14の天面と側面、ゲート層6、半導体基板1上のp型拡散層(不純物領域)24を露出させる。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、p型の縦型MISFET部分(図中右側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、熱りん酸で、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5をウエットエッチングして除去する。その後、レジストを剥離する。レジストのウエットエッチング耐性が十分でない場合は、マスク絶縁膜26の成膜後、ハードマスクとして、マスク絶縁膜26とは種類が異なる絶縁膜を成膜する。成膜後、同様にリソグラフィを行い、得られたレジストパターンをマスクに、ハードマスクをエッチングする。そして、レジストを除去した後、ハードマスクをマスクにして、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5をウエットエッチングして除去する。その後、ハードマスクを除去する。
【0082】
次いで図30に示すように、第1の実施形態の図17、図18に示す工程を行って、シリサイド18を形成する。ただし、図17に示す工程において、気相ドーピングは、Bを使用して行う。これにより、p型の縦型MISFETとなる柱状半導体14の天面と側面、ゲート層6、半導体基板1上のp型拡散層(不純物領域)24に、シリサイド18が形成される。また、p型の縦型MISFETのSDとなる、p型拡散層(不純物領域)25が、柱状半導体14に形成されたシリサイド18に接して形成される。
【0083】
次いで図31に示すように、n型の縦型MISFET部分(図中左側)の、マスク絶縁膜26を除去する。例えば、熱りん酸でウエットエッチングする。
【0084】
この後、第1の実施形態の図19に示す工程から後の工程を同様に行うと、図21に示す半導体装置が完成する。なお上記の例では、n型の縦型MISFET、p型の縦型MISFETの順にシリサイドを形成したが、順番に制限はなく、逆でもよい。
【0085】
またn型の縦型MISFETとp型の縦型MISFETで、シリサイドの種類を変えるときは、図30に示す工程で、n型の縦型MISFETに形成したシリサイドと異なる種類のシリサイドを形成する。シリサイドの種類が異なる場合は、耐熱性の高いシリサイドを先に形成し、耐熱性の劣るシリサイドを後に形成するのがよい。
【0086】
また、上記の例では、図27に示す工程で、p型の縦型MISFET部分(図中右側)の、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5を除去したが、これを行わず、図28に示す工程に進み、マスク絶縁膜26を成膜してもよい。この場合、図29に示す工程で、マスク絶縁膜26、SW15、第2絶縁膜5を除去する。さらに、上記の例では、図31に示す工程で、n型の縦型MISFET部分(図中左側)の、マスク絶縁膜26を除去したが、これを行わず、次工程に進んでも良い。この場合、コンタクトホールを形成するドライエッチング時に、n型の縦型MISFET部分(図中左側)では、層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20に加えて、マスク絶縁膜26をエッチングすることになる。
【0087】
<第4の実施形態>
第4の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態の半導体装置を積層したものである。本発明の第4の実施形態の半導体装置を、図面を参照して以下に説明する。
【0088】
図32(a)は、本発明の第4の実施形態である半導体装置の上面図である。また、図32(b)は、図32(a)のA−A´線に沿った断面図、図32(c)は、図32(a)のC−C´線に沿った断面図である。本実施形態の半導体装置は、n型MISFETであっても、p型MISFETであってもかまわない。ここでは、n型MISFETを一例として説明する。
【0089】
図32に示す半導体装置は、図1に示す半導体装置を積層したものである。ただし、図1では、柱状半導体14を2個図示していたのに対し、図32では1個図示している。本実施形態の半導体装置では、半導体基板1または半導体層にn型拡散層(不純物領域)3が形成され、n型拡散層(不純物領域)3は、その周囲を素子分離絶縁膜2に囲まれている。また、n型拡散層(不純物領域)3の上には、柱状半導体14が形成されている。柱状半導体14には、複数個、例えば3つの縦型MISFETが形成され、それらが直列に接続した形となっている。柱状半導体14には、その周囲を囲むように、ゲート絶縁膜9が高さ方向に例えば3箇所形成され、さらに、各ゲート絶縁膜9の周囲を囲むように、ゲート層6が例えば3つ形成されている。それぞれのゲート層6の上下には、第1絶縁膜4が形成され、第1絶縁膜4は、柱状半導体14にも接している。なお図32では、第1の実施形態における図1のように、第1絶縁膜4は柱状半導体14に接しているが、第1の実施形態における図43のように、ゲート絶縁膜9の製造方法によっては、第1絶縁膜4は柱状半導体14に接していない場合もある。また各ゲート層6は、そのゲート層6より上に位置するゲート層6から平面視ではみ出した部分を有しており、このはみ出した部分でコンタクト22に接続している。
【0090】
柱状半導体14の側面には、第1絶縁膜4によって、セルフ・アラインされた位置に、シリサイド18が形成され、シリサイド18に接して、n型拡散層(不純物領域)19が形成されている。このn型拡散層(不純物領域)19は、それぞれの縦型MISFETの上部SD電極、および下部SD電極となる。一番上の縦型MISFETの上側の第1絶縁膜4によって、セルフ・アラインされた位置に形成されたシリサイド18は、柱状半導体14の天面まで連続してつながっている。柱状半導体14の天面に形成されたシリサイド18には、コンタクト22が層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を貫く形で接続している。また一番下の縦型MISFETの下側の第1絶縁膜4によって、セルフ・アラインされた位置に形成されたシリサイド18は、半導体基板1上のn型拡散層(不純物領域)3まで連続してつながっている。n型拡散層(不純物領域)3に形成されたシリサイド18には、コンタクト22が層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を貫く形で接続している。シリサイド18は、3つのゲート層6の上面、および側面にも形成されている。ゲート層6の上面に形成されたシリサイド18には、コンタクト22が層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を貫く形で接続している。
【0091】
なお図32に示す半導体装置は、1つの柱状半導体に縦型MIEFETが3個直列接続されているが、これはあくまで例であり、縦型MISFETの積層数は任意である。
【0092】
半導体基板1、柱状半導体14、ゲート絶縁膜9、シリサイド18、n型拡散層(不純物領域)19については、第1の実施形態の半導体装置と同様である。第1絶縁膜4とゲート層6の膜厚は、積層する各縦型MISFETで異なっていてよい。特に、プレーナー型MISFETのSWでは、各MISFETでSW幅を容易に変えられないのに対し、本発明の半導体装置では、各縦型MISFETで第1絶縁膜4の膜厚を変更できる点が大きな特徴である。また各縦型MISFETのシリサイド18の長さも任意に変更できる。
【0093】
以下、図33から図42を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図33から図42は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図である。各図の(a)が上面図、各図の(b)が各図の(a)のA−A´線に沿った断面図、各図の(c)が各図の(a)のC−C´線に沿った断面図である。本実施形態の製造方法は、n型MISFETにも、p型MISFETにも適用可能である。ここでは、n型MISFETの製造方法を一例として説明する。
【0094】
まず、第1の実施形態の半導体装置の製造方法において図2から図3に示した工程と同様な工程を行う。
【0095】
次いで図33に示すように、半導体基板1のn型拡散層(不純物領域)3上に、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5を、この順に成膜する。例えば、第2絶縁膜5をSi窒化膜、第1絶縁膜4をSi酸化膜、ゲート層6を多結晶Siとして、いずれも減圧CVDで成膜する。
【0096】
次いで図34に示すように、これらの積層膜を貫き、半導体基板1のn型拡散層(不純物領域)3にいたる開口7を形成する。具体的には、最上層の第2絶縁膜5の成膜後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、所望の開口部分のレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を第2絶縁膜5の上に作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5を順にドライエッチングし、n型拡散層(不純物領域)3にいたる開口7を形成する。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、図33に示す形状が得られる。なお、開口7の断面形状や断面積については、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同じである。
【0097】
その後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、図6から図11に示す工程と同様な工程を行う。そうすると、図35のような形状が得られる。すなわち、開口7に単結晶からなる柱状半導体14が形成され、各ゲート層6と柱状半導体14の間には、ゲート絶縁膜9が形成される。
【0098】
次いで、第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、図12から図14に示す工程と同様な工程を行う。そうすると、図36のような形状が得られる。すなわち、柱状半導体14の上部にSW15が形成され、ゲート層6のうち、最も上にあるゲート層6が露出される。
【0099】
次いで図37に示すように、ゲート層6のうち、最も上にあるゲート層6のパターンニングを行う。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、最も上にあるゲート層6のパターンが残るようなレジストパターン(未図示)を作製する。次いで、このレジストパターンをマスクに、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4を順にドライエッチングし、真ん中のゲート層6でエッチングを停止させる。エッチング後、レジストパターン(未図示)を剥離する。
【0100】
次いで図38に示すように、ゲート層6のうち、真ん中のゲート層6のパターンニングを行う。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、真ん中のゲート層6のパターンが残るようなレジストパターン(未図示)を作製する。それから、このレジストパターンをマスクに、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5、第1絶縁膜4を順にドライエッチングし、最も下にあるゲート層6でエッチングを停止させる。エッチング後、レジストパターン(未図示)を剥離する。なお、このとき、リソグラフィは、理想的に位置ずれ0で行えると仮定して、図38を図示している。
【0101】
次いで図39に示すように、ゲート層6のうち、最も下にあるゲート層6のパターンニングを行う。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、最も下のゲート層6のパターンが残るようなレジストパターン(未図示)を作製する。それから、このレジストパターンをマスクに、ゲート層6、第1絶縁膜4、第2絶縁膜5を順にドライエッチングし、半導体基板1上のn型拡散層(不純物領域)3で停止させる。エッチング後、レジストパターン(未図示)を剥離する。なお、このときも、リソグラフィは、理想的に位置ずれ0で行えると仮定して、図39を図示している。
【0102】
この後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の図16に示す工程と同様にして、SW15、第2絶縁膜5を除去すると、図40に示すように、柱状半導体14の側面が露出される。
【0103】
柱状半導体14の側面を露出させた後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、図17から図18に示す工程と同様な工程を行う。そうすると、図41に示すように、柱状半導体14の天面、側面、各ゲート層の上面、側面、半導体基板1のn型拡散層(不純物領域)3に、シリサイド18が形成される。また、柱状半導体14の側面に形成されたシリサイド18に接して、n型拡散層(不純物領域)19が形成される。
【0104】
次いで図42に示すように、ストッパー絶縁膜20と層間絶縁膜21をこの順にCVDで形成し、層間絶縁膜21の表面をCMPで平坦化する。
【0105】
この後、従来からの技術を用いて、コンタクト22を形成する。例えば、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィ工程を行って、コンタクトを形成する部分にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製する。その後、このレジストパターンをマスクに、層間絶縁膜21、ストッパー絶縁膜20を順にドライエッチングする。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離する。さらにTiとTiNをスパッタして熱処理し、その後、CVDによりWを埋め込んで、CMPを行う。このようにして、図32のような半導体装置が完成する。その後、必要に応じて、従来からの方法で配線層や電極パッドがさらに形成される。
【0106】
なお、上記の例では、n型MISFETを例に説明したが、p型MISFETへの変更は、第1の実施形態の場合と同様である。また、PSG、BSGを用いて、シリサイド金属17の成膜前にSDを形成しておくことも、第1の実施形態の場合と同様に可能である。
【0107】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0108】
1 半導体基板
2 素子分離絶縁膜
3 n型拡散層
4 絶縁膜
5 絶縁膜
6 ゲート層
7 開口
8 開口
9 ゲート絶縁膜
10 絶縁膜
11 CVDゲート絶縁膜
12 側壁
13 柱状半導体
14 柱状半導体
15 SW
16 空隙
17 シリサイド金属
18 シリサイド
19 n型拡散層
20 ストッパー絶縁膜
21 層間絶縁膜
22 コンタクト
23 n型拡散層
24 p型拡散層
25 p型拡散層
26 マスク絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状半導体と、
前記柱状半導体の側面の一部に接するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜のうち前記柱状半導体とは逆側の面に接するゲートと、
前記ゲートの上及び下それぞれに形成され、前記ゲート及び前記ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、
前記柱状半導体の前記側面のうち、前記ゲートに面する領域より上側の領域及び下側の領域それぞれに形成されており、前記柱状半導体の前記側面のうち前記第1絶縁膜に対向する領域に接しているシリサイドと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁膜は、前記柱状半導体の前記側面のうち前記ゲート絶縁膜に接する領域の上及び下それぞれに形成され、
前記シリサイドは、前記柱状半導体の前記側面のうち前記第1絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜に覆われていない領域に形成されている半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ゲート及び2つの前記第1絶縁膜は、いずれも前記ゲート絶縁膜を介して前記柱状半導体の前記側面に面しており、
前記シリサイドは、前記柱状半導体の前記側面のうち前記ゲート絶縁膜に覆われていない領域に形成されている半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜より上に位置する前記シリサイドは、前記柱状半導体の前記側面及び天面に連続的に形成されている半導体装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体は半導体層または半導体基板の上に形成されており、
前記ゲート絶縁膜より下に位置する前記シリサイドは、前記柱状半導体の前記側面及び前記半導体層または半導体基板の表面のうち前記柱状半導体の周囲に位置する領域に連続的に形成されている半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体のうち前記ゲート絶縁膜に接する領域にはチャネル不純物が導入されており、
前記柱状半導体のうち前記シリサイドが形成されている部分に形成され、前記柱状半導体の横断面でみたときに前記柱状半導体の中心まで分布している、前記チャネル不純物とは異なる導電型の不純物領域を備える半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体の横断面でみたときに、前記シリサイドは前記柱状半導体の中心まで形成されている半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置において、
上側に位置する前記第1絶縁膜と、下側に位置する前記第1絶縁膜の厚さは、互いに異なる半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体のうち前記ゲート絶縁膜に接するチャネル領域にはチャネル不純物が導入されており、
前記柱状半導体のうち前記シリサイドと接する領域に形成されている、前記チャネル不純物とは異なる導電型の不純物領域を備え、
前記不純物領域は完全に空乏化しており、前記チャネル領域の間でショットキー接合を形成している半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート、前記第1絶縁膜、及び前記シリサイドを有するトランジスタを、前記柱状半導体が互いに重なるように複数重ねて有する半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記柱状半導体、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート、前記第1絶縁膜、及び前記シリサイドを有するトランジスタを、同一層に複数有する半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
p型の前記トランジスタと、n型の前記トランジスタとを有する半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜である半導体装置。
【請求項14】
柱状半導体と、前記柱状半導体の側面のうち上端及び下端から離れた領域に面していて第1の第1絶縁膜、ゲート層、及び第2の第1絶縁膜からなる第1の積層構造とを形成する第1工程と、
前記柱状半導体の側面のうち前記第1の第1絶縁膜、前記ゲート層、及び前記第2の第1絶縁膜に面していない領域に金属層を形成する第2工程と、
熱処理を行うことにより、前記金属層と前記柱状半導体とを反応させてシリサイドを形成する第3工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程は、
半導体基板または半導体層上に第1の第2絶縁膜を形成する工程と、
第1の前記第2絶縁膜上に、前記第1の積層構造の上に第2の第2絶縁膜を積層した第2の積層構造を一つ、または繰り返し形成することにより、第3の積層構造を形成する工程と、
前記第3の積層構造に前記柱状半導体を埋め込む工程と、
前記第1の第2絶縁膜及び前記第2の第2絶縁膜を除去する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程において、前記金属層に不純物を含ませておき、
前記第3工程において、前記不純物を前記柱状半導体に拡散させる半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属層を、不純物ガスを用いたCVD法により形成する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項14又は15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属層をCVD法により形成する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
第1の前記柱状半導体を用いてn型トランジスタを形成すると共に、第2の前記柱状半導体を用いてp型トランジスタを形成する半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−4473(P2012−4473A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140330(P2010−140330)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】