説明

電界効果型半導体装置

【課題】 電界効果型半導体装置に関し、従来の作製方法を大幅に変更することなく、サブスレッショルド電流によるoff時のリーク電流を抑制して、on−off比を高くする。
【解決手段】 ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が金属或いは多結晶半導体からなるとともに、前記金属或いは多結晶半導体と半導体チャネル層との間に形成されたトンネル絶縁膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界効果型半導体装置、金属−絶縁膜−半導体(MISもしくはMOS)電界効果トランジスタ(FET)に関するものであり、例えば、相補型金属−絶縁膜−半導体(CMOS)半導体装置等のMOS−FETにおけるソース領域或いはドレイン領域の少なくとも一方の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の相補型トランジスタを用いた回路の各トランジスタはMIS型トランジスタとなっている。高集積化を進めていくと、前記トランジスタのサイズは当然のことながら微細化され、電源電圧を1V以下などと低くしなければならない、といった要求がある。しかしながらゲート電圧をオフ状態にしていてもソース−ドレイン間のチャネル部には拡散電流が流れてしまうので、閾値電圧を十分低くすることもできないといった問題を抱えている。
【0003】
この閾値電圧以下のサブスレッショルド領域におけるリーク発生によって非動作時の消費電力が多大に発生してしまう。スイッチ素子として使用する場合の消費電力が無視できなくなってきた。それを回避するために電源電圧、閾値電圧ともに高くする必要があり、低電源電圧化、低閾値電圧化の要請に応えることができないのが現状である。
【0004】
図23は、従来のMOSFETのエネルギーバンドダイヤグラムであり、ここでは、ゲート電圧off、ドレインバイアス時の状態を模式的に示している。図に示すように、紙面垂直方向にはゲート誘電膜を介してゲート電極があると考えれば、ゲート電圧を印加することによって反転層チャネルを形成してチャネルを形成することになる。しかし、ゲート電圧off時にチャネル部にも少数キャリアが存在し、その拡散電流がサブスレッショルド電流としてドレインに流れる。
【0005】
ゲート電圧がオフ状態の時にもチャネルは弱反転状態で少数キャリアが表面ポテンシャルに対して指数的に変化して発生している。この状態でドレインがバイアスされているので、ソース−ドレイン間には電界が発生しており、拡散によって電流が流れることがこのサブスレッショルド電流の起源である。
【0006】
この電流Iは、
I=−qAD(dn/dx)
≒(qW/L)np0×exp〔qΨ(0)/kT〕
で与えられる。ここで、Dはキャリアの拡散係数、Aは断面積(チャネル幅Wと実効チャネル厚xとの積)、np0は少数キャリア濃度の定数、Ψは表面ポテンシャル、Lはチャネル長である。また、qは素電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
伝導に寄与するキャリアは温度Tと表面ポテンシャルΨに指数関数的に依存して発生しており、このキャリアがチャネル長を拡散することで流れることで説明される。
【0007】
このように、サブスレッショルド電流Iはドレイン電圧には依存せず、温度Tと表面ポテンシャルΨに依存する。即ち、ゲート電圧Vに対して指数関数的に、q/kTの割合(室温では〜66mV/dec以上)で変化している。したがって、on−off比を6桁とろうとすれば、少なくとも閾値電圧Vthを396mV以上にしなければならないことを示しており、実際、動作電圧を1V以下にすることが困難となっていた。このことから、off時の拡散による電流を抑止してより電界依存の強い効果をもってon時に移行するトランジスタが求められていた。
【0008】
このような要請に応えるために、例えば、p+ −n+ 接合に順方向バイアスを掛けて発生するトンネル電流を利用する方法がBanerjeeらによって報告されている(例えば、非特許文献1参照)。p+ −n+ 接合に順方向バイアスするとn+ 型半導体とp+ 型半導体のフェルミエネルギーが一致する時にトンネル電流が最大となる効果を示し、さらにバイアスを上げていくと電流は低下する。このように、このデバイスでは負性微分抵抗領域をもって動作する。
【0009】
その後、このようなp+ −n+ 接合のトンネルデバイスをVMOS(V−groove MOS)型にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このp+ −n+ 接合のバンド間トンネルの電流密度Jbtは、
bt=A〔E2 /(E1/2 〕V×exp〔−B(E3/2 /E
で与えられる。ここで、A及びBは、
A=(2m*1/23 /〔4π3 (h/2π)2
B=4(2m*1/2 /〔3q(h/2π)〕
の定数であり、Ej が接合の電界となっている。
【0010】
もし、p+ −n+ 接合が階段状の接合であっても、Eは印加電圧Vの平方根には依存するが、結果的にVを大きくしても電流の変化は少なく、前述の特許文献1による報告によっても、このデバイスのon−off比が5程度(室温動作時)と高くなかった。
【0011】
他にも、松村英樹はソース−ドレイン間を近距離にして金属酸化物を挟み、この金属酸化物にゲート電極をさらに設けて、この金属酸化物内の電気ポテンシャルを電界効果で変調することで、金属酸化物内をトンネル電流が流れることで動作させるMITT(Metal Insulator Tunnel Transistor)を提案している(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
この提案においては、金属酸化物を絶縁物として用意しておき、そのソースドレイン端のポテンシャルバリアを、外部ゲート電極で変調してトンネル電流を変化させて動作させている。それ故、便宜上金属酸化物内の伝導部をトンネルチャネルと呼んでいる。ここでは、ソース−ドレインを近距離(16nm)とするためにCu/CuO膜やZn/ZnO膜、Al/AlO膜、Nb/NbO膜を使うことが開示されている。この場合、ソース−ドレインはトンネルチャネルを挟む形で近接させなければならず、作製が困難である。
【0013】
改めてこのデバイスの動作原理を説明すれば、トンネルチャネルにゲート電極を設けて、トンネルバリアの電界を変えるものである。即ち、バリア障壁φoxがある金属/金属酸化物の接合におけるトンネル電流をゲート電圧で調整しようというものである。ここで発生するトンネル電流には大別して、Fowler−Nordheim(FN)トンネル電流や直接トンネル電流があるが、ここではFN電流を制御する手法である。
【0014】
FNトンネル電流密度JFN
FN=A′Eox2 ×exp〔−B′φox3/2 /Eox
で与えられる。ここで、A′及びB′は、
A′=q2 /〔16π2 (h/2π)φox
B′=A(2m* q)1/2 /〔2(h/2π)〕
であり、Eoxは絶縁膜(トンネルチャネル)の電界である。
【0015】
このデバイスで、ソース・ドレイン間に電荷キャリアをトンネルさせる場合に、Eoxをソース・ ドレイン間に与えた電圧から決定するのみならず、このトンネルチャネルに設けられたゲート電極へ印加するゲート電圧によって実効的なEoxを変調して、よりトンネル電流の流れる状態を実現しようとしている。FN電流ではEoxとφoxに強く依存するため、on−off比を大きくとれると期待される。
【0016】
また、シリコンMOSトランジスタのソース・ドレイン拡散層電極周囲を絶縁膜層で囲み、電極とチャネル(基板)の間にリークに対するバリアを設ける方法が提案されている。この原型には、SchwchunらがTETRAN(Tunnel emitter transistor)と名付けたデバイスでの報告がある(例えば、非特許文献2参照)。また、RuzylloはSurface oxide transitorと名付けた同様のデバイスについて報告している(例えば、非特許文献3参照)。
【0017】
図24は、このようなトンネルバリアMOSFETのエネルギーバンドダイヤグラムであり、図24(a)は、ゲート電圧off、ドレインバイアス時の模式的エネルギーバンドダイヤグラムであり、また、図24(b)はゲート電圧on、ドレインバイアス時の模式的エネルギーバンドダイヤグラムである。
【0018】
図24(a)に示すように、チャネル−ドレイン間にトンネル絶縁膜が挟まれているので、ドレインに電流は流れない。また、ゲート電圧offでもドレインバイアス電圧Vdsによって、ドレイン・トンネル膜側にはキャリアが存在する。この電圧Vdsが小さな場合にはキャリアが少数なためトンネル電流は流れないが、大きなVdsを印加した場合には、Vdsの値に応じてトンネル電流が流れる。
【0019】
図24(b)に示すように、チャネル部にゲート電圧を印加して、反転層を形成する。
ソース−チャネル間とチャネル−ドレイン間にはトンネル絶縁膜が挟まれているが、ソース・ドレイン間バイアスVdsによって、トンネル膜には酸化膜電界を生じて実効的膜厚が薄くなって、トンネル電流が流れ、スイッチがon状態になる。
【0020】
また、久本らは、拡散層電極のチャネル部をショットキー接合として、ポリシリコンチャネルを使った縦型MOSの作製方法を挙げ、その一例の中でチタンオキサイド(TiO)からなるトンネル絶縁膜を設けて導電領域―チャネル領域―トンネル絶縁膜―金属導電領域の(MeSIS)積層構造を提案している(例えば、特許文献3参照)。また、他にも、馬場等は表面トンネルトランジスタを提案しており(例えば、特許文献4参照)、田村は誘電体ベーストランジスタを提案している(例えば、特許文献5参照)。
【0021】
上述のように、MOSFETのサブスレッショルド電流によるoff時のリーク電流を抑制して、on−off比を高くしたトランジスタが、ソース・ドレイン部にショットキー接合バリヤやトンネル膜バリヤを用いてこれまでにも作製されていた。この方法により半導体のp−n接合よりも急峻な接合が形成され、微細化に適していた。
【0022】
また、数10nmのチャネル長のデバイスでは、チャネルのキャリア輸送がバリステック(無衝突)伝導に近くなってきており、キャリア単体の輸送速度に着目し、チャネルへのキャリア注入の速度を変調させたりして伝導させることに注目が集まっていた。
【0023】
また、数10nmのチャネル長をもつデバイスを浅い接合技術によってソースドレインを設けて表面に作製するのが困難となっており、チャネル領域を絶縁物で囲う、シリコンオンインシュレータ(SOI)やFin型FET、ナノワイヤなどに注目が集まっていた。
【特許文献1】特開昭54−058378号公報
【特許文献2】特開平08−264794号公報
【特許文献3】特開2001−028443号公報
【特許文献4】特開平05−175514号公報
【特許文献5】特開平04−361534号公報
【非特許文献1】EDL,Vol.8,p.347,1987
【非特許文献2】SSE,Vol.16,p.213,1973
【非特許文献3】EDL,Vol.1,p.197,1980
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかし、上述したMeSISなどのように、ソース・ドレイン部にトンネル膜バリアを用いて作製されるトランジスタは提案されているが、
(1)十分低いoff電流をもって高いon−off比による低電圧動作を実現する構造(2)相補型スイッチの実現方法、並びに、その相補型スイッチを用いたCMOS等の回路の作製方法については開示されていなかった。
【0025】
なお、上述の特許文献3にはシリコンチャネル部の導電型を変えることでCMOSの作製方法が開示されているが、耐熱金属を用いたソース・ドレイン導電領域の作製としてシリコンチャネル部の導電型を変えた相補型のゲインセル回路(CMOSインバーター様)の構成を開示するに留まっている。
【0026】
また、上述のトンネルバリア膜トランジスタでは、ソース配線から順に、配線(導電)領域−トンネル絶縁膜―チャネル領域―トンネル絶縁膜―配線(導電)領域のドレインという材料の組み合わせになっている。この既往文献では、耐熱金属の導電領域と、耐熱金属の酸化物もしくは窒化物のトンネル絶縁膜とあり、チタン、タングステン、白金、コバルト、ニッケルといった材料を使う点についてのみ開示されていた。
【0027】
また注記するならば、低いoff電流に関しては取り組みがなされていないこともあり、既往文献においてはソースとドレインの導電領域は同じ材料が使われていた。
【0028】
しかし、本発明者が鋭意研究した結果、開示されている構成・材料の選択では、十分低いoff電流をもって高いon−off比で低電圧動作するために最適な選択とはなっておらず、またソースとドレインの材料は異種のものが良いことが示されていなかった。
【0029】
また、相補型スイッチの作製方法については、チャネルの導電型を変える方法しか開示されておらず、作製方法に大きな制約があるという問題がある。さらに、off時の電流を抑制するための作製手法についても開示されていないという問題がある。
【0030】
したがって、本発明は、従来の作製方法を大幅に変更することなく、サブスレッショルド電流によるoff時のリーク電流を抑制して、on−off比を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の一観点からは、第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有することを特徴とする電界効果型半導体装置が提供される。
【0032】
また、本発明の別の観点からは、第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有するnチャネル型電界効果トランジスタと、第2ソース領域及び第2ドレイン領域の少なくとも一方が第2金属或いは第2多結晶半導体からなるとともに、前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体と第2半導体チャネル層との間に形成された第2トンネル絶縁膜を有するpチャネル型電界効果トランジスタとを直列接続した相補型トランジスタを備えた電界効果型半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
開示の電界効果型半導体装置によれば、ソース・ドレインの少なくも一方に、トンネル絶縁膜を設けたので低いoff電流をもって、高いon−off比を得ることができ、低電圧動作する大規模な半導体集積回路装置の実現が可能となった。
【0034】
また、相補型電界効果型半導体装置を構成する場合、pチャネル型トランジスタとnチャネル型トランジスタで異なる二種類以上の金属からなるソース或いはドレインと、二種類以上のトンネル絶縁膜を用いることによって、より低いoff電流をもって、高いon−off比を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
ここで、図1乃至図7を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のトンネルバリア絶縁ゲート電界効果型半導体装置のエネルギーバンドダイヤグラムであり、図1(a)は、ゲート電圧off、ドレインバイアス時の模式的エネルギーバンドダイヤグラムであり、また、図1(b)はゲート電圧on、ドレインバイアス時の模式的エネルギーバンドダイヤグラムである。
【0036】
図1(a)に示すように、ソースとドレインの間にバイアス電圧Vdsが印加されている。ゲート電圧offでは、チャネル部は空乏しており、チャネル部のキャリアが少数であるためもトンネル電流は極めて少ない。また、チャネル部の多数キャリアに対してのバリアも大きくなっている。すなわち、このソースドレイン間のバイアス電圧Vdsが小さな場合にはトンネル電流は流れないが、大きなVdsを印加した場合には、Vdsの値に応じてトンネル電流を指数関数的に大きく流すことができる。これは、チャネル−ドレイン間にトンネル絶縁膜が挟まれていることで、オフ時に大きなVdsを印加されていてもドレイン電流を極めて低い状態にできる。
【0037】
図1(b)に示すように、チャネル部にゲート電圧を印加して、チャネル部は反転状態になって反転層を形成する。反転状態のチャネル部の多数キャリアに対するトンネルバリアは低くなるため、トンネル電流が流れやすくなっている。そのことで、ソース−チャネル間とチャネル−ドレイン間にはトンネル絶縁膜が挟まれているが、ソース・ドレイン間バイアスVdsによって、トンネル膜には電界を生じるので、ソース−チャネル、ならびにチャネル−ドレインの間には少なくともトンネル電流成分で電流が流れることで、ゲート電圧によりソース−ドレイン間が導通状態となるスイッチとしてのon状態の働きになる。
【0038】
本発明においては、トンネル絶縁膜の種類と、ソース領域及びドレイン領域に用いる金属の種類に特徴があるので、その事情を説明する。図2は、トンネルバリア近傍の模式的エネルギーバンドダイヤグラムである。図2(a)に示すように、電子をキャリアとしてトンネル電流を流す場合には、ソース或いはドレインの領域に設けられる材料のもつ実効的な仕事関数の低い材料を用いる方がトンネルバリア障壁が低くなるため適している。逆に、図2(b)に示すように、ホールをキャリアとしてトンネル電流を流す場合には、ソース或いはドレインの領域に設けられる材料のもつ実効的な仕事関数の高い材料の方がトンネルバリア障壁が低くなるため適していることは自明である。
【0039】
したがって、本発明においては、ソース側とチャネル側のトンネルバリア障壁をゲート電圧でon状態の時に低くできるように、nチャネル型MOSFETの場合には、ソース側には仕事関数が低い材料を用いて、ドレイン側には仕事関数が高い材料を用いる。一方、pチャネル型MOSFETの場合には、ソース側には仕事関数が高い材料を用いて、ドレイン側には仕事関数が低い材料を用いる。このような構成により、材料の種類を選択しない場合に比べて、低スタンバイリークで高いon電流を得て、on−off比を高くすることが可能になる。
【0040】
即ち、従来のMOSFETでは、ソースあるいはドレインとoff時のチャネルは、pn接合を構成している。もしくはショットキー接合であっても、ソース側の接合は整流作用をもった接合になっており、その接合に逆方向にバイアスしてスイッチオフ状態を実現している。したがって、チャネルからドレイン部へキャリアの流れは順方向であって障壁はない。したがって、上述のようにサブスレッショルド電流が流れてしまう。
【0041】
しかし、本発明においては、チャネルからドレインへのサブスレッショルド電流は、チャネル−ドレイン部に設けたトンネル絶縁膜によって流れなくなって、off時の電流は下げることができる。このトンネル電流はチャネル−ドレインに発生するトンネルバリア障壁を含めた、このトンネル絶縁膜両端に発生する電界に強く依存するので、on時には障壁が下がり、電界の効果をもってトンネル電流が大きく流れることとなる。また、トンネル電流は電界に依存するので、トンネル膜を薄く設けることで、低い電圧でも高い電界を発生することで、高いon−off比をもって動作させることができるようになった。
【0042】
また、相補型スイッチの組み合わせ論理回路では、トランスファーゲートを除き、ほとんどの素子でソースからドレインへの電流の向きが決まっているために、ソースとドレインの材料の仕事関数はトンネルバリアを調整するためには変える方が、リーク抑止と電流駆動の性能が良いことが見出された。
【0043】
即ち、この相補型スイッチにおいては、電流スイッチはドレイン部でのトンネル電流で制御するために、nチャネル型FETでは電子のトンネリングを、pチャネル型FETではホールのトンネリングを考慮する。障壁高さを高くすると、off時の電流を下げられるものの、on時の電流をとるために電圧が高くすることが必要となる。そのため、各トランジスタのソース・ドレインには、即ち、ソースからドレインへの電流の向きに合わせて、ソースとドレインに別々のバリア障壁となる金属/絶縁膜の組み合わせを採用することが望ましい。
【0044】
そこで、別々のバリア障壁となる金属/絶縁膜の組み合わせとなるように、仕事関数の異なる金属を二つ以上用意することが望ましい。また、バンドギャップが異なる絶縁膜を用意してバリア高さを変えることで、トンネル電流による低電圧でオン電流を大きくとれるようにする。
【0045】
また、相補型FETにおいては、ノードを構成する一方のFETのソースと他方のFETのドレインとして共通の金属材料を使うことが製造を簡素化するために望ましい。すなわち、NFETとPFETの組み合わせにおいて、NFETのソースとPFETのドレイン、NFETのドレインとPFETのソースで材料を変えるようにする。
【0046】
また、チャネル部には、キャリア輸送の効率が変えられるものなら使用できる。前述の半導体チャネルを用いた構造は、言い換えるとMISIM(Metal−Insulator−Semiconductor−Insular−Metal)構造もしくはMOSOM(Metal−Oxide−Semiconductor−Oxide−Metal)構造となっているが、他の構造であっても良い。例えば、導体チャネルを用いずにトンネルさせるMIMやMOM構造、そのほか、誘電体ベース、絶縁物チャネルとなるMIIIM構造やMOOOM構造でも良い。さらに、チャネル部を金属としてMIMIMでも良い。
【0047】
なお、チャネル領域をSi等の半導体で構成する場合には、従来の集積回路装置の作製方法を大幅に変更することなく作製することが可能になる。即ち、通常のMOSFETの作製では、ソース,ドレイン,チャネル部には、シリコンに不純物をドーピングして導電型を変えることで行ってきた。しかしながら、微細な構造では濃度の高いドーピングを行いながら、急峻な接合を作製するのが困難といった問題を抱えていたが、本発明では高濃度のドーピングを必要としないため、微細化が容易になる。
【0048】
また、図3に示すように、トンネルバリアは、ソースもしくはドレインのどちらか片側だけであっても良い。なお、図3は、ドレイン側だけにトンネルバリアを設けたトンネルバリアMOSFETのオフ状態の模式的エネルギーバンドダイヤグラムである。
【0049】
なお、トンネルバリアに用いるトンネル絶縁膜としても好適なものを選択する必要がある。例えば、nチャネル型FETのソース側及びpチャネル型FETのドレイン側のトンネル絶縁膜には、チタン酸化膜もしくは、タンタル酸化膜を使用しても良い。これらの酸化膜は伝導帯のシリコンに対するバリア障壁が0.3eV〜0.5eV程度と比較的低いため、n型シリコンからFowler−Nordheim(FN)トンネル電流を流しやすいためである。
【0050】
ここで、チタン酸化膜(約0.3eV)とタンタル酸化膜(約0.5eV)を比較すると、バリア障壁が0.2eV程度違うため、トンネル電流にも違いが見られる。図4はトンネル絶縁膜を4nmの厚さのチタン酸化膜から4nmの厚さのタンタル酸化膜に変えた場合のトンネル電流(縦軸)の電界(横軸)依存性を示している。特に、チタン酸化膜では、室温以上の動作を考えると、バリア障壁が0.3eVしかなく、熱電子放出による電流が顕著となってしまうために、低いoff電流とならずに、高いon−off比を取りづらい。このように、バリア障壁の高さが0.3eV以下ではoff電流が高くなりやすく望ましくない。
【0051】
そのため、室温から高温での動作を考えると、これら酸化膜のバリア障壁よりも高い1eV〜2eV程度のバリア障壁をもち、熱電子放出電流を抑制することができるものとしてハフニウム酸化膜(約1.5eV)が挙げられる。そのほかにも、SrSiO、ZrSiO、HfSiO、ZrO、SrTiO、BiTiO,La、T,LaAlO,LaScO、Al、Gd,(La1−x、(Sm1−x、(Ce1−x、(Gd1−xなどが挙げられる。
【0052】
反面、バリア障壁が3eV以上と高くなると、低電圧では高い電界を得にくく、トンネル電流が流せなくなるため望ましくない。したがって、0.3eVから3eV以下のバリア障壁となる材料でもってトンネル膜を構成することが望ましい。
【0053】
また、同じトンネル絶縁膜を用いても、上述のようにソース或いはドレインを構成する金属として、アルミニウムやマグネシウムなどの仕事関数が4.0eV付近の金属を使用することでバリア障壁が変えられる。この場合のソース或いはドレインを構成する金属としては仕事関数の低いタンタルやチタンを用いることもできる。他にもタンタルやチタンの金属を含む窒化物あるいは前記金属を含む炭化物を使うことができる。
【0054】
仕事関数が高い金などを使う場合には、トンネル絶縁膜はSTO(SrTiO)膜などを使うことができる。そのほかにも、SrSiO、ZrSiO、HfSiO、ZrO、BiTiO,La、T,LaAlO,LaScO、Al、Gd,(La1−x、(Sm1−x、(Ce1−x、(Gd1−xなどが挙げられる。
【0055】
一方、pチャネル型FETのソース側及びnチャネル型FETのドレイン側のトンネル絶縁膜には、シリコン窒化膜を使うことができる。トンネルのバリア障壁が高めとなり、それによって、トンネル電流も低めとなるため、トンネル絶縁膜の厚さを薄めにすることで調整できる。この場合のソース或いはドレインを構成する金属としては仕事関数の高いモリブデンや白金を用いることができる。他にもモリブデンやハフニウム、タングステンなどの金属を含む窒化物を使うことができる。
【0056】
なお、オフ時のトンネル電流を1pA/μm2 以下程度に低くしようとすれば、バリア障壁に下限が設定される。熱放出による電流が無視できなくなるからである。熱放出電流は、バリア障壁高さに指数関数的に減少する。概ね、室温近傍で1pA/1μm2 以下となる条件では、バリア障壁高さは0.9eV程度は必要となる。動作温度を150℃ぐらいまで考慮すると、1.3eV程度が必要となる。
【0057】
一方、トンネル電流はトンネル膜の実効的厚さを変えることによって、すなわち、トンネル絶縁膜の電界によって変化するので、バリア障壁高さが3.1eVとなる接合では、8MV/cmの電界でも5×10-15 A/μm2 しか流れない。しかし、バリアの障壁高さを変えて、1eV程度に下げると1MV/cmの電界が印加された時に1pA/1μm2 程度の電流であり、電界を強くしていくと指数関数的に電流が増加する。このように、低電界では絶縁膜として働くように絶縁劣化を引き起こさずにしておけば、off時でもトンネル電流が流れないようにトンネル電流を制御できる。
【0058】
なお、トンネル電流を大きくするためには、絶縁膜に高電界を印加するようにすればよく、トランジスタ(スイッチ)の大きさを数10nmと微細にしたりすることで、電位発生させている領域の間隙を狭めることで達成できる。
【0059】
以上の電極とトンネル絶縁膜の組み合わせについての指針は、文献値からも得ることができる。図5は報告されている種々の絶縁物のバンドギャップを纏めたものである(必要ならば、Robertson,J.Vac.Sci.Technol.,Vol.B18,p.1785,2000及び Afanas’ev, J.Appl.Phys.,Vol.102,p.081301,2007参照)。
【0060】
図におけるGapは、価電子帯と伝導帯の間のエネルギーギャップを示しており、また、EAは電気陰性度(Electron affinity)を示しており、価電子帯から真空準位へのエネルギー差を示している。そのため、Siの伝導帯からのオフセット(CB offset)が得られ、これがシリコンに対する電子のバリア障壁となる。また、ギャップエネルギーに基づいて、シリコンの正孔側の価電子帯からのオフセット(VB offset)も得られるので、これが正孔のバリア障壁となる。
【0061】
図6は、左端に示すSiとGeのバンドギャップに対して、各種絶縁膜の価電子帯と伝導帯に対するバリア障壁が分かるように棒状のグラフで示している。なお、図においてはSiの価電子帯のエネルギーを0として表しており、仕事関数では5.1eVに相当する。また、図7は、各種金属とSiの界面におけるVB offsetを示している。
【0062】
このように、本発明は、ドレイン側とソース側において、使用するトンネル絶縁膜及び金属材料をnチャネル型MOSFET及びpチャネル型MOSFETに応じて、材料を適宜選択することによって、低スタンバイリークで高いon電流を得て、on−off比を高くすることが可能になる。
【0063】
以上を前提として、次に、図8乃至図10を参照して、本発明の実施例1のトンネルバリアFETを説明する。なお、各図における上図は平面図であり、下図は上図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。まず、図8(a)に示すようにシリコン基板11にSTI素子分離領域12を形成したのち、Bを導入してp型ウエル領域13を形成する。次いで、ゲート絶縁膜14及びゲート電極15を順次形成したのち、全面に堆積させた絶縁膜を異方性エッチングすることによってサイドウォール16を形成する。
【0064】
次いで、図8(b)に示すように、レジストパターン17及びサイドウォール16、STI素子分離領域12をマスクとしてp型ウエル領域13の露出部をエッチングして、深さが例えば、10nmの凹部18を形成する。
【0065】
次いで、図9(c)に示すように、レジストパターン17を除去したのち、ソース領域を露出する新たなレジストパターン19を形成し、このレジストパターン19をマスクとして、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜20を堆積させる。引き続いて、厚さが例えば10nmのAlを堆積させる。その後、レジストパターン19を除去する工程でレジスト上に堆積したAlは剥離されることによって、金属ソース21を形成する。
【0066】
次いで、図9(d)に示すように、レジストパターン19を除去したのち、ドレイン領域を露出する新たなレジストパターン22を形成し、このレジストパターン22をマスクとして、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜23を堆積させる。引き続いて、厚さが例えば10nmのPtを堆積させる。その後、レジストパターン22を除去する工程でレジスト上に堆積したAlは剥離されることによって、金属ドレイン24を形成する。
【0067】
次いで、図10(e)に示すように、全面に絶縁膜25を形成し、次いで、この絶縁膜25にコンタクトホール26〜28を形成する。次いで、図10(f)に示すように、コンタクトホール26〜28をタングステンで埋め込んで、化学機械研磨(CMP)によってコンタクトプラグ部分以外のタングステンを除去することで、ソース電極29、ドレイン電極30、及び、ゲート引出電極31のプラグとなる。これら電極に配線することによって、本発明の実施例1のトンネルバリアFETの基本構成が完成する。
【0068】
このように、本発明の実施例1においては、トンネルバリアnチャネル型FETにおいて、金属ソース21を仕事関数が4eV程度のAlで形成し、金属ドレイン24を仕事関数が5eV程度のPtで形成しているので、ゲート−ソース間バイアスによって電子がトンネルで流れやすく、ゲート−ドレイン間バイアスではリーク電流が流れにくい。
【0069】
したがって、低スタンバイリークで高いon電流を得て、on−off比を高くすることが可能になる。また、ソース・ドレイン領域やエクステンション領域をイオン注入により形成する必要がないので、不純物濃度の制御が必要なく微細化に適した構成となる。
【0070】
また、この実施例1においてはトンネル絶縁膜20,23をバリア障壁が約1.5eVのHfOで形成しているので、熱電子放出電流を抑制することができる。なお、トンネル絶縁膜20,23は純粋なHfOに限られるものではなく、Hf含有酸化膜であれば良く、他にSiやAlが含まれていても良い。また、Alからなる金属ソースはHfSiやTaSi等のシリサイドや、これらの窒化物を用いても良い。また、Ptからなる金属ドレインはHfN、TiN,RuNを用いても良い。
【0071】
次に、図11及び図12を参照して、本発明の実施例2のトンネルバリアMOSFETを説明する。まず、図11(a)に示すようにシリコン基板11にSTI素子分離領域12を形成したのち、Bを導入してp型ウエル領域13を形成する。次いで、ゲート絶縁膜14及びゲート電極15を順次形成する。
【0072】
次いで、図11(b)に示すように、レジストパターン17及びSTI素子分離領域12をマスクとしてp型ウエル領域13の露出部をエッチングして、深さが例えば、10nmの凹部32を形成したのち、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜33を堆積させる。
【0073】
次いで、図11(c)に示すように、レジストパターン17を除去したのち、傾斜イオンビーム照射によって、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのAl膜34を堆積させる。次いで、図12(d)に示すように、逆方向からの傾斜イオンビーム照射によって厚さが10〜100nm、例えば、10nmのPt膜35を堆積させる。
【0074】
次いで、図12(e)に示すように、不所望部分に堆積したAl膜34及びPt膜35を除去することによって、残ったAl膜34を主要部とする部分を金属ソース36とし、残ったPt膜を主要部とする部分を金属ドレイン37とする。
【0075】
次いで、図12(f)に示すように、全面に絶縁膜25を形成したのち、この絶縁膜25にコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールをタングステンで埋め込んでソース電極29、ドレイン電極30、及び、ゲート引出電極31を形成することによって、本発明の実施例2のトンネルバリアMOSFETの基本構成が完成する。
【0076】
このように、本発明の実施例2においても、トンネルバリアnチャネル型MOSFETにおいて、金属ソース36を仕事関数が4eV程度のAlで形成し、金属ドレイン37を仕事関数が5eV程度のPtで形成しているので、ゲート−ソース間バイアスによって電子がトンネルで流れやすく、ゲート−ドレイン間バイアスではリーク電流が流れにくい
【0077】
また、この実施例2においてもトンネル絶縁膜33をバリア障壁が約1.5eVのHfOで形成しているので、熱電子放出電流を抑制することができる。なお、トンネル絶縁膜33は純粋なHfOに限られるものではなく、Hf含有酸化膜であれば良く、他にSiやAlが含まれていても良い。さらに、このトンネル絶縁膜も傾斜イオンビーム堆積法を用いることによって、ソース側のトンネル絶縁膜をバリア障壁の低いTiO等で構成し、ドレイン側のトンネル絶縁膜をバリア障壁の高いHfO等で構成して互いに異なった絶縁膜でトンネル絶縁膜を形成しても良い。
【0078】
また、本発明の実施例2においては、金属ソース及び金属ドレインを傾斜イオンビーム堆積法で形成しているので、金属ソース及び金属ドレインを異なった金属で形成する際の2度のレジストパターンの形成工程が不要になるので、工程が簡素化される。但し、この場合、レイアウトにおいてゲートに対してソースとドレイン向きが統一されている必要がある。
【0079】
次に、図13及び図14を参照して、本発明の実施例3のトンネルバリアMOSFETを説明する。まず、図13(a)に示すようにシリコン基板11にSTI素子分離領域12を形成したのち、Bを導入してp型ウエル領域13を形成する。次いで、ゲート絶縁膜14及びゲート電極15を順次形成する。次いで、図13(b)に示すように、レジストパターン38をマスクとしてp型ウエル領域13の露出部及びSTI素子分離領域12をエッチングする。
【0080】
次いで、図13(c)に示すようにレジストパターン38を除去したのち、一方向からの傾斜イオンビーム堆積法を用いて厚さが2〜5nm、例えば、2nmのTiOからなるトンネル絶縁膜39を堆積させる。次いで、図13(d)に示すように、逆方向からの傾斜イオンビーム照射によって、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜40を堆積させる。
【0081】
次いで、図14(e)に示すように、再び、一方向からの傾斜イオンビーム堆積法を用いて厚さが10〜100nm、例えば、10nmのAl膜41を堆積させる。次いで、図14(f)に示すように、逆方向からの傾斜イオンビーム照射によって厚さが10〜100nm、例えば、10nmのPt膜42を堆積させる。
【0082】
次いで、図14(g)に示すように、不要部分に堆積したAl膜41及びPt膜42を除去することによって、残ったAl膜41を主要部とする部分を金属ソース43とし、残ったPt膜42を主要部とする部分を金属ドレイン44とする。
【0083】
次いで、図14(h)に示すように、全面に絶縁膜25を形成したのち、この絶縁膜25にコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールをタングステンで埋め込んでソース電極29、ドレイン電極30、及び、ゲート引出電極31を形成することによって、本発明の実施例3のトンネルバリアFETの基本構成が完成する。
【0084】
この本発明の実施例3においては、金属ソース及び金属ドレイン形成部をSTI素子分離領域12を含めて平坦化しているので、STI素子分離領域12近傍は表面がトンネル絶縁膜で完全に且つ二重に覆われて露出することはなく、当該領域に金属膜が堆積しても半導体基板と短絡することがなく、且つ、リーク電流が流れることもない。
【0085】
次に、図15を参照して、本発明の実施例4のトンネルバリアFETをもちいたインバーターを説明するが、基本的な製造工程は上記の実施例1と同じであるので最終構造のみを示す。図15(a)は、本発明の実施例4のトンネルバリアFETインバーターの平面図であり、図15(b)は、図15(a)のA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0086】
図に示すように、シリコン基板51上に絶縁膜52を介してシリコン層を形成したSOI基板に絶縁膜52に達するSTI素子分離領域53を形成したのち、Bを導入してp型フィールド領域55、Pを導入してn型フィールド領域54を形成する。次いで、ゲート絶縁膜56及びゲート電極57,58を順次形成したのち、サイドウォール59,60を形成する。
【0087】
次いで、レジストパターン(図示せず)をマスクとしてp型フィールド領域55及びn型フィールド領域54の露出部をエッチングして凹部を形成する。次いで、レジストパターンを除去したのち、p型フィールド領域55のSTI素子分離領域53寄りに形成した凹部のみを露出する開口部を有するレジストパターン(図示せず)をマスクとして厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜61を堆積させる。引き続いて、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのAl膜を堆積させて金属ソース62を形成する。
【0088】
次いで、新たに、両方のゲート電極57,58の間に設けた凹部のみを露出する開口部を有するレジストパターン(図示せず)をマスクとして、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜63を堆積させる。引き続いて、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのTi膜を堆積させて金属ノード64を形成する。
【0089】
次いで、新たに、n型フィールド領域54のSTI素子分離領域53寄りに形成した凹部のみを露出する開口部を有するレジストパターン(図示せず)をマスクとして、マスクを用いて厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜65を堆積させる。引き続いて、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのPt膜を堆積させて金属ドレイン66を形成する。
【0090】
次いで、全面に絶縁膜67を形成したのち、この絶縁膜67にコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールをタングステンで埋め込んでソース電極68、ドレイン電極69、ゲート引出電極70,71、及び、出力電極72を形成することによって、本発明の実施例4のトンネルバリアFETインバーターの基本構成が完成する。
【0091】
Pt等の仕事関数の大きな金属は、nチャネル型FETのドレインとして用いた場合にはリーク電流を低減することができ、pチャネル型FETのソースとして用いた場合には、正孔の注入が容易になる。本発明の実施例4においてはこのような特性を生かして、nチャネル型FETのドレイン及びpチャネル型FETのソースには、Tiを金属ノードとして用いて共用しているので、製造工程が簡素化される。
【0092】
次に、図16を参照して、本発明の実施例5のトンネルバリアFETインバーターを説明する。基本的な製造工程は上記の実施例1と同じであるので最終構造のみを示す。図16(a)は、本発明の実施例5のトンネルバリアFETインバーターの平面図であり、図16(b)は、図16(a)のA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0093】
図に示すように、シリコン基板51上に絶縁膜52を介してシリコン層を形成したSOI基板に絶縁膜52に達するSTI素子分離領域53を形成したのち、Bを導入してp型フィールド領域55、Pを導入してn型フィールド領域54を形成する。次いで、ゲート絶縁膜56及びゲート電極57,58を順次形成したのち、サイドウォール59,60を形成する。
【0094】
次いで、レジストパターン(図示せず)をマスクとして両方のゲート電極57,58の間の露出部のみを、絶縁膜52に到達するようにエッチングして凹部を形成する。次いで、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfOからなるトンネル絶縁膜63を堆積させる。引き続いて、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのTi膜を堆積させてインバータの出力用の金属ノード64を形成する。
【0095】
次いで、新たなレジストパターンを用いてp型フィールド領域55のSTI素子分離領域53寄りの領域に厚さが10〜100nm、例えば、10nmのAl膜を堆積させて回路電源に接続する電極73とする。
【0096】
次いで、新たなレジストパターンを用いてn型フィールド領域54のSTI素子分離領域53寄りの領域に厚さが10〜100nm、例えば、10nmのPt膜を堆積させて回路接地に接続する電極74とする。
【0097】
次いで、全面に絶縁膜67を形成したのち、この絶縁膜67にコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールをタングステンで埋め込んでソース電極68、ドレイン電極69、ゲート引出電極70,71、及び、出力電極72を形成することによって、本発明の実施例5のトンネルバリアFETインバーターの基本構成が完成する。
【0098】
本発明の実施例5においても実施例4と同様に仕事関数による特性を生かしてAlあるいはPtを金属ノードとして用いて、nチャネル型FETのドレイン及びpチャネル型FETのソースとしてTiを共用しているので、製造工程が簡素化される。また、この実施例5においては、Vss側のソース及びVdd側のドレインにトンネル絶縁膜を設けていないので、この点からも工程が簡素化される。
【0099】
次に、図17を参照して、本発明の実施例6のトンネルバリアFETインバーターを説明する。図17(a)は、本発明の実施例6のトンネルバリアFETインバーターの平面図であり、図17(b)は、図17(a)のA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、また、図17(c)は、図17(a)のB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0100】
図に示すように、シリコン基板81上に絶縁膜82を介して厚さが例えば50nmのシリコン層を形成したのち、幅が50nm、長さが200nmで間隔が200nmの2本の帯状のシリコン領域83,84を形成する。一方のシリコン領域83にはPをドープし、他方のシリコン領域84にはBをドープする。
【0101】
この帯状のシリコンを熱酸化することにより、帯状のシリコンの端部の酸化が進行し、酸化膜に囲まれたシリコンのナノワイヤが形成される。シリコン酸化膜はHFにより選択的に除去できる。または、ドライのHプラズマ/NF、NH/NF、NH/HFなどの表面にアンモニアフッ化物を形成する酸化膜除去工程によって、SOIや素子分離溝の酸化膜を過度に侵食せずに除去される。
【0102】
次いで、全面に厚さが2〜5nm、例えば、4nmのHfO膜を堆積させたのち、ゲート電極材料を堆積させて所定の形状にエッチングすることによって、ゲート絶縁膜85及びゲート電極86とする。この場合、シリコン領域83,84からなるシリコンナノワイヤの長さ方向の端面に残ったHfO膜がトンネル絶縁膜87となる。端面のトンネル絶縁膜87の方が薄く2nm以下になっている。
【0103】
次いで、レジストパターンをマスクとして2つのシリコンナノワイヤの一方の側の端面にPt膜を選択的に堆積させることによって、金属ノード88を形成する。次いで、新たなレジストパターンをマスクとして一方のシリコンナノワイヤ(83)の他方の側の端面にAl膜を選択的に堆積させることによって、金属ソース89を形成する。次いで、新たなレジストパターンをマスクとして他方のシリコンナノワイヤ(84)の他方の側の端面にPt膜あるいはAl膜を選択的に堆積させることによって、金属ドレイン90を形成する。
【0104】
次いで、全面に絶縁膜(図示せず)を形成したのち、この絶縁膜にコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールをタングステンで埋め込んでソース電極91、ドレイン電極92、ゲート引出電極93、及び、出力電極94を形成することによって、本発明の実施例6のトンネルバリアFETインバーターの基本構成が完成する。
【0105】
本発明の実施例6においては、シリコンナノワイヤを用いているので超微細構造のインバーターを構成することができる。また、この場合、平行に配置した2本のシリコンナノワイヤを用いているので、金属ノードを形成する際の加工精度を要するエッチング工程が不要になる。なお、この実施例6においてもVss側のトンネル絶縁膜及びVdd側のトンネル絶縁膜は省いても良い。
【0106】
次に、図18を参照して、本発明の実施例7のトンネルバリアFETインバータを用いたスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)を説明する。図18は、本発明の実施例7のトンネルバリアCMOSを用いたSRAMの平面図であり、図17に示したトンネルバリアFETインバーターを2つ用いて、互いのINとOUTとを襷掛けに接続したものである。
【0107】
なお、この場合の金属ノード88へのアクセスには、ビット線Bとワード線Wを用いるが、そのトランスファーには通常のFET95,96を用い、金属ノード88にローカル配線層97,98により接続する。なお、この実施例7においてもVss側のトンネル絶縁膜及びVdd側のトンネル絶縁膜は省いても良い。
【0108】
次に、図19乃至図22を参照して、本発明の実施例8の縦型トンネルバリアFETインバーターを説明する。なお、各図において左図は平面図であり、右図は左図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。まず、図19(a)に示すようにn型シリコン基板101にSTI素子分離領域102を形成したのち、As導入してn+ 型ドレイン領域103を形成するとともに、Bを導入してp+ 型ソース領域104を形成する。
【0109】
次いで、図19(b)に示すように、SiO膜を堆積させたのち、直径が例えば、20nmの2つの開口部105,106を形成して選択成長マスク107とする。選択成長マスクの開口部には、例えばAuのようなナノワイヤ成長を進行するシリコン溶融する金属を形成しておく。次いで、図19(c)に示すように、この選択成長マスク107をマスクとして、開口部105,106内に高さが例えば、100nmの単結晶シリコンからなるシリコンナノワイヤ108,109を選択成長させる。
【0110】
金微粒子などにシランガスを供給すると、溶融状態のシリサイドが形成され、固溶限に達し結晶シリコンが析出して金微粒子を押し上げる。このようなLiquid−Vapor−Solid(LVS)の3相界面を用いた成長機構でナノワイヤは成長する。
【0111】
また、シリコンナノワイヤ108にはAsをドープしてn型とし、シリコンナノワイヤ109にはBをドープしてp型とする。また、ナノワイヤの基板側は高ドープしてオーミック接触になるようにしてある。
【0112】
次いで、図20(d)に示すように、全面にゲート絶縁膜110とゲート電極となるシリサイド膜、ポリサイド膜、或いは、メタル材料からなる導電膜111を堆積する。次いで、図20(e)に示すように、導電膜111を所定の高さまでエッチング除去してゲート電極112とする。
【0113】
次いで、図20(f)に示すように、異方性エッチングによってシリコンナノワイヤ108,109の頂面に堆積されていたゲート絶縁膜110を選択的に除去する。この時、周辺領域に堆積していたゲート絶縁膜110及び選択成長マスク107の露出部も除去される。
【0114】
次いで、図21(g)に示すように、シリコンナノワイヤ108,109を頂部を露出するように埋め込むレジストマスク113を形成する。次いで、厚さが2〜5nm、例えば、2nmのHfO膜、厚さが10〜100nm、例えば、10nmのAl膜を順次堆積させてトンネル絶縁膜114,115と、金属ソース116及び金属ドレイン117をシリコンナノワイヤ108,109の頂面に形成する。
【0115】
次いで、図21(h)に示すように、上方より指向性の高い堆積法を用いて、例えば、Coを全面に堆積させたのち、熱処理によりシリサイド化することによってノード電極118を形成する。次いで、未反応のCoを除去することによって、各電極とノード電極118との短絡を防止する。
【0116】
次いで、図21(i)に示すように、レジストマスク113を除去したのち、コリメートしたスパッタリング法、蒸着法、或いはプラズマCVD法等の指向性の高い成膜法を用いて例えば厚さが30nmのシリコン酸化膜119を堆積する。次いで、シリコン酸化膜119を微量に等方性エッチングして、ナノワイヤ周囲(ゲート電極112の表面)に付着した薄いシリコン酸化膜を除去する。これにより、ゲート電極112の表面を露出するとともに、埋込み絶縁膜120とナノワイヤ上面のシリコン酸化膜119との分離を確実にすることができる。
【0117】
次いで、図22(j)に示すように、上方からの指向性の高い堆積方法を用いて導電膜、例えば厚さが26nmのAl膜121を全面に堆積する。このとき、ナノワイヤの外側とナノワイヤの上端にそれぞれ分離されたAl膜121が形成される。次いで、このAl膜121をフォトリソグラフィを用いてパターニングしてゲート電極配線122を形成する。このゲート電極配線122は、シリコンナノワイヤ108,109の周囲を囲み、且つ、セル右端のSTI素子分離領域102上に延在するようにパターニングされる。
【0118】
次いで、図22(k)に示すように、ナノワイヤ上端に堆積するシリコン酸化膜119をエッチング除去し、同時にその上のAl膜121をリフトオフして除去する。次いで、金属ソース116及び金属ドレイン117を埋め込むように絶縁膜123を堆積させたのち、CMP研磨により平坦化して金属ソース116及び金属ドレイン117の表面を露出させる。
【0119】
次いで、図22(l)に示すように、絶縁膜123上に層間絶縁膜124を堆積させたのち、ノード電極118、金属ソース116、金属ドレイン117、及び、ゲート電極配線122に達するビアホールを形成したのち、このビアホールをAlで埋め込んでソース電極125、ドレイン電極126、ノード引出電極127、及び、ゲート引出電極128を形成することによって、本発明の実施例8の縦型トンネルバリアFETインバーターの基本構成が完成する。
【0120】
このように、本発明の実施例8においては、シリコンナノワイヤによるインバータを縦型に形成しているので、全体構成が立体的になり、集積度をさらに向上することができる。
【0121】
なお、この実施例8においては、ナノワイヤをシリコンで形成しているが、シリコンに限られるものではなく、化合物半導体からなるナノワイヤ、さらにはカーボンナノチューブを用いることもできる。これらのナノワイヤ及びナノチューブは、良く知られているように選択成長の他、触媒を用いて形成することができる。
【0122】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は、各実施例に示した条件に限られるものではなく、例えば、単体のpチャネル型FETに適用されるものである。さらに、pチャネル型FETとnチャネル型FETの接続状態はインバーター接続に限られるものではなく、伝達ゲートを構成しても良いものである。
【0123】
また、上記の実施例8においては、一般的な選択成長を用いているためノード電極をn+ 型ドレイン域とp+ 型ソース領域の跨がるシリサイド電極として形成しているが、ノード電極としてPt等からなる仕事関数の大きな金属ノードを用いても良い。
【0124】
この場合には、シリコン基板や金属ノードを所定形状で設けたのち、その上にHfO等のトンネル絶縁膜を設け、次いで、上記の図19(b)に示すような成長マスクを設け、イオンプレーティングによるSi薄膜の堆積とレーザアニールによる結晶化の工程を繰り返すことによってシリコンナノワイヤを形成すれば良い。
【0125】
ここで、実施例1乃至実施例8を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有することを特徴とする電界効果型半導体装置。
(付記2) 第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有するnチャネル型電界効果トランジスタと、第2ソース領域及び第2ドレイン領域の少なくとも一方が第2金属或いは第2多結晶半導体からなるとともに、前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体と第2半導体チャネル層との間に形成された第2トンネル絶縁膜を有するpチャネル型電界効果トランジスタとを直列接続した相補型トランジスタを備えた電界効果型半導体装置。
(付記3) 2つの前記相補型トランジスタを一方のゲート電極が他方のノードに接続するように襷掛けで配置するとともに、両方のゲート電極に別個のアクセス用の電界効果型トランジスタを接続してスタティック・ランダムアクセスメモリを構成した付記2記載の電界効果型半導体装置。
(付記4) 前記トンネル絶縁膜を前記相補型トランジスタのノードを構成するソース領域及びドレイン領域のみに設けた付記2または3に記載の電界効果型半導体装置。
(付記5) 前記第1半導体チャネル層を幅が100nm以下の第1の半導体ナノワイヤで構成することを特徴とする付記1に記載の電界効果型半導体装置。
(付記6) 前記第1の半導体ナノワイヤが、円筒状ナノワイヤからなる付記5記載の電界効果型半導体装置。
(付記7) 前記第1ソース領域及び前記第1ドレイン領域の両方が前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体からなり、前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体と前記第1半導体チャネル層との間に形成された介在させる前記第1トンネル絶縁膜の電子に対するトンネルバリアの高さが0.3eV〜3.0eVである付記1または2に記載の電界効果型半導体装置。
(付記8) 前記第2ソース領域及び前記第2ドレイン領域の両方が前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体からなり、前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体と前記第2半導体チャネル層との間に形成された前記第2トンネル絶縁膜の正孔に対するトンネルバリアの高さが0.3eV〜3.0eVである付記2に記載の電界効果型半導体装置。
(付記9) 前記ソース領域を構成する前記第1金属と前記ドレイン領域を構成する前記第1金属とが互いに仕事関数の異なる金属からなる付記7に記載の電界効果型半導体装置。
(付記10) 前記第1ソース領域側に設ける前記第1トンネル絶縁膜と、前記第1ドレイン領域側に設ける前記第1トンネル絶縁膜が互いに異なる絶縁膜からなる付記7に記載の絶縁ゲート電界効果型半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明のトンネルバリア電界効果型半導体装置のエネルギーバンドダイヤグラムである。
【図2】トンネルバリア近傍の模式的エネルギーバンドダイヤグラムである。
【図3】本発明の変形例のトンネルバリア電界効果型半導体装置のエネルギーバンドダイヤグラムである。
【図4】トンネル電流−電界特性のトンネル絶縁膜の仕事関数依存性の説明図である。
【図5】報告されている種々の絶縁物のバンドギャップの説明図である。
【図6】SiとGeに対する各種絶縁膜の価電子帯と伝導帯に対するバリア障壁の説明図である。
【図7】各種金属とSiの界面におけるVB offsetの説明図である。
【図8】本発明の実施例1のトンネルバリアFETの途中までの製造工程の説明図である。
【図9】本発明の実施例1のトンネルバリアFETの図8以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図10】本発明の実施例1のトンネルバリアFETの図9以降の製造工程の説明図である。
【図11】本発明の実施例2のトンネルバリアFETの途中までの製造工程の説明図である。
【図12】本発明の実施例2のトンネルバリアFETの図11以降の製造工程の説明図である。
【図13】本発明の実施例3のトンネルバリアFETの途中までの製造工程の説明図である。
【図14】本発明の実施例3のトンネルバリアFETの図13以降の製造工程の説明図である。
【図15】本発明の実施例4のトンネルバリアFETインバーターの説明図である。
【図16】本発明の実施例5のトンネルバリアFETインバーターの説明図である。
【図17】本発明の実施例6のトンネルバリアFETインバーターの説明図である。
【図18】本発明の実施例7のトンネルバリアFETを用いたSRAMの平面図である。
【図19】本発明の実施例8の縦型トンネルバリアFETの途中までの製造工程の説明図である。
【図20】本発明の実施例8の縦型トンネルバリアFETの図19以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図21】本発明の実施例8の縦型のトンネルバリアFETの図20以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図22】本発明の実施例8の縦型トンネルバリアFETの図21以降の製造工程の説明図である。
【図23】従来のMOSFETのエネルギーバンドダイヤグラムである。
【図24】トンネルバリアFETのエネルギーバンドダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0127】
11 シリコン基板
12 STI素子分離領域
13 p型ウエル領域
14 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
16 サイドウォール
17,19,22,38 レジストパターン
18,32 凹部
20,23,33,40 トンネル絶縁膜
21,36,43 金属ソース
24,37,44 金属ドレイン
25 絶縁膜
26〜28 コンタクトホール
29 ソース電極
30 ドレイン電極
31 ゲート引出電極
34,41 Al膜
35,42 Pt膜
39 トンネル絶縁膜
51 シリコン基板
52 絶縁膜
53 STI素子分離領域
54 n型フィールド領域
55 p型フィールド領域
56 ゲート絶縁膜
57,58 ゲート電極
59,60 サイドウォール
61,63,65 トンネル絶縁膜
62 金属ソース
64 金属ノード
66 金属ドレイン
67 絶縁膜
68 ソース電極
69 ドレイン電極
70,71 ゲート引出電極
72 出力電極
73,74 電極
81 シリコン基板
82 絶縁膜
83,84 シリコン領域
85 ゲート絶縁膜
86 ゲート電極
87 トンネル絶縁膜
88 金属ノード
89 金属ソース
90 金属ドレイン
91 ソース電極
92 ドレイン電極
93 ゲート引出電極
94 出力電極
95,96 FET
97,98 ローカル配線層
101 n型シリコン基板
102 STI素子分離領域
103 n+ 型ドレイン領域
104 p+ 型ソース領域
105,106 開口部
107 選択成長マスク
108,109 シリコンナノワイヤ
110 ゲート絶縁膜
111 導電膜
112 ゲート電極
113 レジストマスク
114,115 トンネル絶縁膜
116 金属ソース
117 金属ドレイン
118 ノード電極
119 シリコン酸化膜
120 埋込み絶縁膜
121 Al膜
122 ゲート電極配線
123 絶縁膜
124 層間絶縁膜
125 ソース電極
126 ドレイン電極
127 ノード引出電極
128 ゲート引出電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有することを特徴とする電界効果型半導体装置。
【請求項2】
第1ソース領域及び第1ドレイン領域の少なくとも一方が第1金属或いは第1多結晶半導体からなるとともに、前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体と第1半導体チャネル層との間に形成された第1トンネル絶縁膜を有するnチャネル型電界効果トランジスタと、第2ソース領域及び第2ドレイン領域の少なくとも一方が第2金属或いは第2多結晶半導体からなるとともに、前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体と第2半導体チャネル層との間に形成された第2トンネル絶縁膜を有するpチャネル型電界効果トランジスタとを直列接続した相補型トランジスタを備えた電界効果型半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体チャネル層を幅が100nm以下の第1の半導体ナノワイヤで構成することを特徴とする請求項1に記載の電界効果型半導体装置。
【請求項4】
前記第1ソース領域及び前記第1ドレイン領域の両方が前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体からなり、前記第1金属或いは前記第1多結晶半導体と前記第1半導体チャネル層との間に形成された介在させる前記第1トンネル絶縁膜の電子に対するトンネルバリアの高さが0.3eV〜3.0eVである請求項1または2に記載の電界効果型半導体装置。
【請求項5】
前記第2ソース領域及び前記第2ドレイン領域の両方が前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体からなり、前記第2金属或いは前記第2多結晶半導体と前記第2半導体チャネル層との間に形成された前記第2トンネル絶縁膜の正孔に対するトンネルバリアの高さが0.3eV〜3.0eVである請求項2に記載の電界効果型半導体装置。
【請求項6】
前記ソース領域を構成する前記第1金属と前記ドレイン領域を構成する前記第1金属とが互いに仕事関数の異なる金属からなる請求項4に記載の電界効果型半導体装置。
【請求項7】
前記第1ソース領域側に設ける前記第1トンネル絶縁膜と、前記第1ドレイン領域側に設ける前記第1トンネル絶縁膜が互いに異なる絶縁膜からなる請求項4に記載の絶縁ゲート電界効果型半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−93051(P2010−93051A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261431(P2008−261431)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】