説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ゲート電極とプラグとの接続信頼性を向上することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明では、MISFETのゲート電極G1を金属膜MF2とポリシリコン膜PF1の積層膜から構成するMIPS電極を前提とする。そして、このMIPS電極から構成されるゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1の開口径を大きく形成する第1特徴点と、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する第2特徴点により、さらなるゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のゲート電極にプラグを接続する構造を有する半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11−340322号公報(特許文献1)には、SRAM(Static Random Access Memory)のシェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術は、シェアードコンタクトを開孔する時に、シェアードコンタクト内で最初に表出する上層の導電層が削れてコンタクト抵抗が増大することを抑制することを目的としている。
【0003】
特開2007−27348号公報(特許文献2)には、シェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術は、リーク電流の低減を図ることを目的としている。
【0004】
特開平11−145468号公報(特許文献3)には、シェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術は、ゲート電極および拡散層の表面をシリサイド化する技術を使用しており、ゲート電極とドレイン拡散層をつなぐシェアードコンタクトにおいて、ゲート電極に対する位置ずれマージンをバランス良く得ることができることが記載されている。
【0005】
特開平11−150268号公報(特許文献4)には、シェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術は、シェアードコンタクトの製造工程を簡略化し、かつ、リーク電流を低減できることを目的としている。
【0006】
特開2002−33484号公報(特許文献5)には、シェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術では、拡散層とゲート電極の一部をオーバーラップするシェアードコンタクトが記載されており、このシェアードコンタクトがゲート電極の側壁と接触する構造が記載されている。
【0007】
特開2000−58825号公報(特許文献6)には、シェアードコンタクトに関する技術が記載されている。この技術は、一つの素子のゲート電極と他の素子の拡散層とを接続するシェアードコンタクトの抵抗を低くすることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−340322号公報
【特許文献2】特開2007−27348号公報
【特許文献3】特開平11−145468号公報
【特許文献4】特開平11−150268号公報
【特許文献5】特開2002−33484号公報
【特許文献6】特開2000−58825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、MISFETのゲート電極は、MISFETを覆う層間絶縁膜に形成されたプラグと電気的に接続される。そして、プラグと層間絶縁膜上に形成された配線とを接続することにより、MISFETのゲート電極は、プラグを介して配線と接続される。これにより、制御回路から配線を介してMISFETのゲート電極にゲート電圧を印加することができ、制御回路でMISFETのオン/オフを制御することができる。
【0010】
近年、MISFETの微細化が進められている。この場合、MISFETを構成するゲート電極のゲート長は縮小化される。通常、MISFETのゲート電極とプラグとは、ゲート電極の上面で接触するように構成されている。
【0011】
しかし、ゲート電極が微細化されると、ゲート電極のゲート長も短くなり、ゲート電極の上面の面積も小さくなる。したがって、MISFETが微細化されると、ゲート電極とプラグとの接触面積が小さくなる。これは、ゲート電極とプラグとの接触抵抗が大きくなってしまうことを意味する。さらに、ゲート電極の上面の面積が小さくなると、プラグとのゲート電極の位置合わせ精度が要求されることになる。このことから、ゲート電極が微細化されると、ゲート電極とプラグとの合わせ余裕(マージン)が少なくなり、ゲート電極とプラグとの合わせずれが生じやすくなる。この場合、フォトリソグラフィ技術による合わせずれが生じると、ゲート電極とプラグとが電気的に接続されず、接続不良となってしまう。このように、ゲート電極が微細化されるにしたがって、ゲート電極とプラグとを電気的に接続する際の信頼性向上が要求される。
【0012】
本発明の目的は、ゲート電極とプラグとの接続信頼性を向上することができる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
代表的な実施の形態による半導体装置は、(a)半導体基板と、(b)前記半導体基板に形成された素子分離領域と、(c)前記素子分離領域で区画された活性領域に形成されたMISFETと、(d)前記MISFETを覆うように前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、(e)前記第1絶縁膜を貫通するように形成されたプラグとを備える。この場合、前記MISFETは、(f)前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、(g)前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、(h)前記半導体基板内に形成されたソース領域と、(i)前記半導体基板内に形成されたドレイン領域とを有する。そして、前記ゲート電極は、(g1)前記ゲート絶縁膜上に形成された金属または金属化合物からなる第1導体膜と、(g2)前記第1導体膜上に形成されたポリシリコン膜を含む第2導体膜から形成される。このとき、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極は、前記活性領域から前記素子分離領域にわたって延在しており、前記素子分離領域上で前記ゲート電極と前記プラグが電気的に接続されている。ここで、前記素子分離領域上において、前記第1導体膜の一側面には凹部が形成されており、前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、代表的な実施の形態による半導体装置は、(a)半導体基板と、(b)前記半導体基板に形成された素子分離領域と、(c)前記素子分離領域で区画された第1活性領域に形成された第1MISFETと、(d)前記素子分離領域で区画された第2活性領域に形成された第2MISFETとを備える。さらに、(e)前記第1MISFETおよび前記第2MISFETを覆うように前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、(f)前記第1絶縁膜を貫通するように形成されたプラグとを備える。このとき、前記第1MISFETは、(g)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、(h)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、(i)前記半導体基板の前記第1活性領域内に形成された第1ソース領域と、(j)前記半導体基板内の前記第1活性領域内に形成された第1ドレイン領域とを有する。そして、前記第1ゲート電極は、(h1)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された金属または金属化合物からなる第1導体膜と、(h2)前記第1導体膜上に形成されたポリシリコン膜を含む第2導体膜から形成されている。前記第1ゲート絶縁膜および前記第1ゲート電極は、前記第1活性領域から前記素子分離領域にわたって延在している。一方、前記第2MISFETは、(k)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、(l)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、(m)前記半導体基板の前記第2活性領域内に形成された第2ソース領域と、(n)前記半導体基板の前記第2活性領域内に形成された第2ドレイン領域とを有する。このとき、前記プラグは、前記素子分離領域上に形成されている第1ゲート電極と、前記第2活性領域に形成されている第2ドレイン領域との両方に電気的に接続するように配置されている。ここで、前記素子分離領域上において、前記第1導体膜の一側面には凹部が形成されており、前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0017】
代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板に活性領域を区画する素子分離領域を形成する工程と、(b)前記半導体基板の前記活性領域上から前記素子分離領域上にわたってゲート絶縁膜を形成する工程と、(c)前記ゲート絶縁膜上に金属あるいは金属化合物からなる第1導体膜を形成する工程とを備える。そして、(d)前記第1導体膜上にポリシリコン膜を含む第2導体膜を形成する工程と、(e)前記第2導体膜と前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記活性領域から前記素子分離領域に延在するゲート電極を形成する工程とを備える。さらに、(f)前記半導体基板の前記活性領域内にソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、(g)前記ゲート電極を覆うように前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程とを備える。次に、(h)前記第1絶縁膜を貫通して、前記ゲート電極の上面の一部と、前記ゲート電極の一側面と、前記素子分離領域の表面の一部を露出するコンタクトホールを形成する工程とを備える。続いて、(i)前記コンタクトホールの内面に露出する前記第1導体膜の一側面から前記第1導体膜の一部をウェットエッチングすることにより、前記第1導体膜の一側面に凹部を形成する工程とを備える。その後、(j)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込むことにより、プラグを形成する工程とを備える。ここで、前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で接触していることを特徴とするものである。
【0018】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板に素子分離領域を形成することにより、第1MISFET形成領域と第2MISFET形成領域とを区画する工程と、(b)前記第1MISFET形成領域に第1ゲート絶縁膜を形成し、前記第2MISFET形成領域に第2ゲート絶縁膜を形成する工程とを備える。そして、(c)前記第1MISFET形成領域の前記第1ゲート絶縁膜上、および、前記第2MISFET形成領域の前記第2ゲート絶縁膜上に、金属あるいは金属化合物からなる第1導体膜を形成する工程と、(d)前記第1導体膜上に、ポリシリコン膜を含む第2導体膜を形成する工程とを備える。さらに、(e)前記第2導体膜および前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記第1MISFET形成領域から前記素子分離領域に延在する第1ゲート電極を形成し、前記第2MISFET形成領域から前記素子分離領域に延在する第2ゲート電極を形成する工程とを備える。次に、(f)前記半導体基板の前記第1MISFET形成領域に第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成する工程と、(g)前記半導体基板の前記第2MISFET形成領域に第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備える。続いて、(h)前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程とを備える。その後、(i)前記第1絶縁膜を貫通して、前記素子分離領域上に形成されている前記第1ゲート電極の上面の一部と、前記素子分離領域上に形成されている前記第1ゲート電極の一側面と、前記第2MISFET形成領域に形成されている前記第2ドレイン領域を露出するコンタクトホールを形成する工程とを備える。さらに、(j)前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜であって前記コンタクトホールの内面に露出する前記第1導体膜の一側面から前記第1導体膜の一部をウェットエッチングすることにより、前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜の一側面に凹部を形成する工程とを備える。最後に、(k)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込むことにより、プラグを形成する工程とを備える。ここで、前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜の上面の一部と、前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜の一側面と、前記第1ゲート電極を構成し、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で接触していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
ゲート電極とプラグとの接続信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図2】実施の形態1におけるSRAMのメモリセルを示す等価回路図である。
【図3】SRAMのレイアウト構成を示す模式的な平面図である。
【図4】左図は、図3のA−A線で切断した断面図であり、右図は、図3のB−B線で切断した断面図である。
【図5】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】実施の形態1における半導体装置の変形例1を示す断面図である。
【図23】実施の形態1における半導体装置の変形例2を示す断面図である。
【図24】図3のC−C線で切断した断面図である。
【図25】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図42】実施の形態2における半導体装置の変形例1を示す断面図である。
【図43】実施の形態2における半導体装置の変形例2を示す断面図である。
【図44】実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図48】図47に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図49】図48に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図50】図49に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図51】実施の形態4における半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0023】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0024】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0025】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0026】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置について図面を参照しながら説明する。まず、マイクロコンピュータを含むシステムが形成された半導体チップのレイアウト構成について説明する。図1は、本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウト構成を示す図である。図1において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)4、フラッシュメモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有している。
【0028】
CPU(回路)1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものである。
【0029】
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。本実施の形態1では、RAM2をSRAMから構成することとする。
【0030】
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
【0031】
EEPROM4およびフラッシュメモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM4およびフラッシュメモリ5のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタやMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタから構成される。EEPROM4およびフラッシュメモリ5の書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム型トンネル現象を利用する。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。EEPROM4とフラッシュメモリ5の相違点は、EEPROM4が、例えば、バイト単位で消去のできる不揮発性メモリであるのに対し、フラッシュメモリ5が、例えば、ワード線単位で消去できる不揮発性メモリである点である。一般に、フラッシュメモリ5には、CPU1で種々の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。これに対し、EEPROM4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。
【0032】
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力を行なうための回路である。
【0033】
本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウトは上記のように構成されており、以下に、RAM2を構成するSRAMについて説明する。まず、SRAMを構成するメモリセルMCの等価回路について説明する。図2は、本実施の形態1におけるSRAMのメモリセルMCを示す等価回路図である。図2に示すように、このメモリセルMCは、一対の相補性データ線(データ線DL、データ線/(バー)DL)とワード線WLとの交差部に配置され、一対の駆動用MISFETQd1、Qd2、一対の負荷用MISFETQp1、Qp2および一対の転送用MISFETQt1、Qt2により構成されている。駆動用MISFETQd1、Qd2および転送用MISFETQt1、Qt2はnチャネル型MISFETで構成され、負荷用MISFETQp1、Qp2はpチャネル型MISFETで構成されている。
【0034】
メモリセルMCを構成する上記6個のMISFETのうち、駆動用MISFETQd1および負荷用MISFETQp1は、CMOSインバータINV1を構成し、駆動用MISFETQd2および負荷用MISFETQp2は、CMOSインバータINV2を構成している。これら一対のCMOSインバータINV1、INV2の相互の入出力端子(蓄積ノードA、B)は、交差結合され、1ビットの情報を記憶する情報蓄積部としてのフリップフロップ回路を構成している。また、このフリップフロップ回路の一方の入出力端子(蓄積ノードA)は、転送用MISFETQt1のソース領域、ドレイン領域の一方に接続され、他方の入出力端子(蓄積ノードB)は、転送用MISFETQt2のソース領域、ドレイン領域の一方に接続されている。
【0035】
さらに、転送用MISFETQt1のソース領域、ドレイン領域の他方はデータ線DLに接続され、転送用MISFETQt2のソース領域、ドレイン領域の他方はデータ線/DLに接続されている。また、フリップフロップ回路の一端(負荷用MISFETQp1、Qp2の各ソース領域)は電源電圧(Vcc)に接続され、他端(駆動用MISFETQd1、Qd2の各ソース領域)は基準電圧(Vss)に接続されている。
【0036】
上記回路の動作を説明すると、一方のCMOSインバータINV1の蓄積ノードAが高電位(“H”)であるときには、駆動用MISFETQd2がONになるので、他方のCMOSインバータINV2の蓄積ノードBが低電位(“L”)になる。したがって、駆動用MISFETQd1がOFFになり、蓄積ノードAの高電位(“H”)が保持される。すなわち、一対のCMOSインバータINV1、INV2を交差結合させたラッチ回路によって相互の蓄積ノードA、Bの状態が保持され、電源電圧が印加されている間、情報が保存される。
【0037】
転送用MISFETQt1、Qt2のそれぞれのゲート電極にはワード線WLが接続され、このワード線WLによって転送用MISFETQt1、Qt2の導通、非導通が制御される。すなわち、ワード線WLが高電位(“H”)であるときには、転送用MISFETQt1、Qt2がONになり、ラッチ回路と相補性データ線(データ線DL,バーDL)とが電気的に接続されるので、蓄積ノードA、Bの電位状態(“H”または“L”)がデータ線DL、/DLに現れ、メモリセルMCの情報として読み出される。
【0038】
メモリセルMCに情報を書き込むには、ワード線WLを“H”電位レベル、転送用MISFETQt1、Qt2をON状態にしてデータ線DL、/DLの情報を蓄積ノードA、Bに伝達する。以上のようにして、SRAMを動作させることができる。
【0039】
次に、上述したSRAMのレイアウト構成の一例について図3を参照しながら説明する。図3は、SRAMのレイアウト構成を示す模式的な平面図である。SRAMのメモリセルMCは、例えば、図3に示すように、半導体基板に形成された一対の駆動用MISFETQd1、Qd2、一対の負荷用MISFETQp1、Qp2および一対の転送用MISFETQt1、Qt2の6つの電界効果トランジスタから構成されている。このとき、一対の駆動用MISFETQd1、Qd2および一対の転送用MISFETQt1、Qt2は、nチャネル型MISFETから構成され、一対の負荷用MISFETQp1、Qp2はpチャネル型MISFETから構成されている。
【0040】
図3に示すように、半導体基板には素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIでアクティブ領域An1、Ap1、Ap2、An2が区画されている。具体的に、素子分離領域STIで区画されたアクティブ領域An1は、Y方向に延在するように形成されており、このアクティブ領域An1の隣りに素子分離領域STIを介してアクティブ領域Ap1がY方向に延在するように形成されている。そして、アクティブ領域Ap1の隣りに素子分離領域STIを介してアクティブ領域Ap2がY方向に延在するように形成されている。さらに、アクティブ領域Ap2の隣りに素子分離領域STIを介してアクティブ領域An2がY方向に延在するように形成されている。このように、SRAMにおいては、図3に示すように、アクティブ領域An1、Ap1、Ap2、An2が素子分離領域STIを介してX方向に並んで形成されており、それぞれのアクティブ領域An1、Ap1、Ap2、An2はY方向に延在するように形成されている。
【0041】
アクティブ領域An1、An2は、半導体基板内にリンや砒素などのn型不純物が導入された半導体領域であり、アクティブ領域Ap1、Ap2は、半導体基板内にボロンなどのp型不純物が導入された半導体領域となっている。
【0042】
まず、アクティブ領域An1に着目すると、Y方向に延在するアクティブ領域An1と立体交差するようにゲート電極G1とゲート電極G2が形成されている。つまり、ゲート電極G1とゲート電極G2は、互いに並行し、かつ、X方向に延在するように配置されている。このとき、ゲート電極G1と、ゲート電極G1の両側に形成されたアクティブ領域An1によって、転送用MISFETQt1が形成されている。この転送用MISFETQt1においては、ゲート電極G1の両側に形成されているアクティブ領域An1がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域An1にプラグPLG1とプラグPLG2が接続されている。一方、転送用MISFETQt1のゲート電極G1は、アクティブ領域An1上から素子分離領域STI上にまで延在しており、素子分離領域STI上において、ゲート電極G1にはゲートプラグGPLG1が電気的に接続されている。なお、ゲート電極G1と並行するように、メモリセルMCと隣接するメモリセルに含まれるゲート電極G3が配置されている。このゲート電極G3もアクティブ領域An1上から素子分離領域STI上に延在するように形成されており、素子分離領域STI上でゲート電極G3は、ゲートプラグGPLG2と電気的に接続されている。
【0043】
さらに、メモリセルMC内のアクティブ領域An1に着目すると、ゲート電極G2と、ゲート電極G2の両側に形成されたアクティブ領域An1によって、駆動用MISFETQd1が形成されている。この駆動用MISFETQd1においては、ゲート電極G2の両側に形成されているアクティブ領域An1がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域An1にプラグPLG2とプラグPLG3が接続されている。このようにアクティブ領域An1には、転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1が形成されており、プラグPLG2で接続されているアクティブ領域An1を転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1で共用している。
【0044】
続いて、アクティブ領域Ap1に着目すると、Y方向に延在するアクティブ領域Ap1と立体交差するようにゲート電極G2が形成されている。つまり、アクティブ領域An1上に配置されているゲート電極G2は、さらに、X方向に延在して、アクティブ領域Ap1上にまで形成されている。ゲート電極G2と、ゲート電極G2の両側に形成されたアクティブ領域Ap1によって、負荷用MISFETQp1が形成されている。したがって、ゲート電極G2は、アクティブ領域An1との関係で駆動用MISFETQd1のゲート電極として機能するとともに、アクティブ領域Ap1との関係で負荷用MISFETQp1のゲート電極として機能することがわかる。
【0045】
負荷用MISFETQp1においては、ゲート電極G2の両側に形成されているアクティブ領域Ap1がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域Ap1にシェアードプラグSPLG1とプラグPLG4が接続されている。シェアードプラグSPLG1とは、アクティブ領域Ap1とゲート電極G4との両方に接続するプラグである。すなわち、メモリセルMC内においては、アクティブ領域Ap1の上端部に近接する位置にゲート電極G4の端部が配置されており、この近接するゲート電極G4とアクティブ領域Ap1の両方に接続するようにシェアードプラグSPLG1が形成されているのである。なお、ゲート電極G2と並行するように、メモリセルMCと隣接するメモリセルに含まれるゲート電極G5が配置されている。
【0046】
次に、アクティブ領域Ap2に着目すると、Y方向に延在するアクティブ領域Ap2と立体交差するようにゲート電極G4が形成されている。このゲート電極G4は、アクティブ領域Ap1の上端部と近接するように配置されているとともに、X方向に延在して、アクティブ領域Ap2と立体交差するように形成されている。このゲート電極G4と、ゲート電極G4の両側に形成されたアクティブ領域Ap2によって、負荷用MISFETQp2が形成されている。
【0047】
負荷用MISFETQp2においては、ゲート電極G4を挟む両側に形成されているアクティブ領域Ap2がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域Ap2にシェアードプラグやプラグが接続されている。このシェアードプラグとは、アクティブ領域Ap2とゲート電極G2との両方に接続するプラグである。すなわち、メモリセルMC内においては、アクティブ領域Ap2の下端部に近接する位置にゲート電極G2の端部が配置されており、この近接するゲート電極G2とアクティブ領域Ap2の両方に接続するようにシェアードプラグが形成されているのである。
【0048】
さらに、アクティブ領域An2に着目すると、Y方向に延在するアクティブ領域An2と立体交差するように、ゲート電極G4とゲート電極G6が形成されている。つまり、ゲート電極G4とゲート電極G6は、互いに並行し、かつ、X方向に延在するように配置されている。このとき、ゲート電極G4と、ゲート電極G4を挟む両側に形成されたアクティブ領域An2によって、駆動用MISFETQd2が形成されている。この駆動用MISFETQd2においては、ゲート電極G4の両側に形成されているアクティブ領域An2がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域An2にプラグが接続されている。このとき、ゲート電極G4は、一端部がアクティブ領域Ap1の上端部と近接する位置に配置されながら、X方向に延在し、アクティブ領域Ap2とアクティブ領域An2の両方と立体交差するように延在している。したがって、ゲート電極G4は、一端部において、アクティブ領域Ap1とシェアードプラグSPLG1で電気的に接続されている。そして、ゲート電極G4は、アクティブ領域Ap2との関係で負荷用MISFETQp2のゲート電極として機能するとともに、アクティブ領域An2との関係で駆動用MISFETQd2のゲート電極として機能していることがわかる。
【0049】
一方、ゲート電極G6と、ゲート電極G6を挟む両側に形成されたアクティブ領域An2によって、転送用MISFETQt2が形成されている。この転送用MISFETQt2においては、ゲート電極G6の両側に形成されているアクティブ領域An2がソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域An2にプラグが接続されている。また、転送用MISFETQt2のゲート電極G6は、アクティブ領域An2上から素子分離領域STI上にまで延在しており、素子分離領域STI上において、ゲート電極G6にはゲートプラグが電気的に接続されている。
【0050】
このようにアクティブ領域An2には、転送用MISFETQt2と駆動用MISFETQd2が形成されており、アクティブ領域An2のうちゲート電極G4とゲート電極G6で挟まれる領域を転送用MISFETQt2と駆動用MISFETQd2で共用している。
【0051】
以上のようにして、SRAMのレイアウトが構成されている。次に、SRAMのメモリセルを構成するMISFETの断面構造について説明する。本実施の形態1では、SRAMのメモリセルを構成するMISFETのうち、nチャネル型MISFETの構成を説明し、さらに、nチャネル型MISFETのゲート電極とゲートプラグとの特徴的な接続構造について説明する。この構造を説明するため、本実施の形態1では、図3のA−A線による断面図と、B−B線による断面図を使用することにする。
【0052】
図4は、図3のA−A線で切断した断面図と、図3のB−B線で切断した断面図とを並べて示す図である。図4のうち、左側の図が図3のA−A線で切断した断面図に相当し、右側の図が図3のB−B線で切断した断面図に相当している。まず、図4の左側の図を参照しながら、転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1のそれぞれの構成について説明する。転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1は、ともに、nチャネル型MISFETであり、同様の構成をしている。
【0053】
転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1の構成について説明する。半導体基板1Sにはp型ウェルPWLが形成されている。このp型ウェルPWLは、ボロンなどのp型不純物を導入した半導体領域となっており、このp型ウェルPWL上に、転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1が形成されている。具体的に、p型ウェルPWL上にゲート絶縁膜GOX1が形成されており、このゲート絶縁膜GOX1上にゲート電極G1(ゲート電極G2)が形成されている。
【0054】
ゲート絶縁膜GOX1は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されており、例えば、酸化ハフニウムに酸化ランタンを導入したハフニウム系絶縁膜から構成されている。ゲート電極G1(ゲート電極G2)は、ゲート絶縁膜GOX1上に直接接触するように形成された金属膜MF2と、この金属膜MF2上に形成されたポリシリコン膜PF1と、ポリシリコン膜PF1の表面に形成されたニッケルプラチナシリサイド膜CSから形成されている。金属膜MF2は、例えば、窒化チタン膜から形成されている。また、本実施の形態1では、ポリシリコン膜PF1の表面に、ゲート電極G1の低抵抗化を図るため、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。
【0055】
続いて、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0056】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX1が形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX1の外側に深いn型不純物拡散領域NR1が形成され、この深いn型不純物拡散領域NR1の表面にニッケルプラチナシリサイド膜CSが形成されている。
【0057】
サイドウォールSWは、転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型不純物拡散領域EX1と深いn型不純物拡散領域NR1とニッケルプラチナシリサイド膜CSより形成されている。このとき、浅いn型不純物拡散領域EX1の不純物濃度は、深いn型不純物拡散領域NR1の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型不純物拡散領域EX1とすることにより、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の端部下における電界集中を抑制できる。以上のようにして、半導体基板1S上に転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1が形成されている。
【0058】
続いて、転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1を形成した半導体基板1Sの上方には多層配線が形成されている。以下に、多層配線の構成について説明する。図4(左図)に示すように、転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1を形成した半導体基板1S上には、転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1を覆うように窒化シリコン膜SN1が形成されており、この窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(tetra ethyl ortho silicate)とを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。そして、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1のソース領域やドレイン領域に達するプラグPLG1〜プラグPLG3が形成されている。このプラグPLG1〜プラグPLG3は、例えば、チタン膜TIと、チタン膜TI上に形成された窒化チタン膜TINと、窒化チタン膜TIN上に形成されたタングステン膜WFとをコンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3に埋め込むことにより形成されている。チタン膜TIおよび窒化チタン膜TINは、タングステン膜WFを構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。なお、コンタクト層間絶縁膜CILは、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜のいずれかの膜から形成されていてもよい。
【0059】
続いて、コンタクト層間絶縁膜CIL上に第1配線層として配線L1が形成されている。具体的に、配線L1は、プラグPLG1〜プラグPLG3を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されたバリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように形成されている。つまり、バリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1を貫通して底部でプラグPLG1〜プラグPLG3が露出する配線溝に、バリア導体膜BCFと、銅を主体とする膜(以下、銅膜CFと記載する)を埋め込むことにより、配線L1が形成されている。つまり、配線L1は、配線溝の側面と底面を覆うように形成されたバリア導体膜BCFと、バリア導体膜BCF上で配線溝を埋め込むように形成された銅膜CFから形成されている。さらに、配線L1上に多層配線が形成されるが、本実施の形態1では、その説明を省略する。以上のようにして、半導体基板1S上に転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1が形成され、この転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1上に配線L1が形成されている。
【0060】
本実施の形態1では、転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1のゲート絶縁膜GOX1を酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から形成しているが、この理由について説明する。
【0061】
従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜GOX1として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜GOX1の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜GOX1として使用すると、転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1のチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0062】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電率膜が使用されるようになってきている。高誘電率膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。このような理由から、本実施の形態1では、転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1のゲート絶縁膜GOX1に酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を使用しているのである。
【0063】
なお、この高誘電率膜の材料としては、例えば酸化ハフニウム、酸化ハフニウムシリケート若しくは酸窒化ハフニウムシリケート等が用いられる。
【0064】
続いて、転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1のゲート電極G1(ゲート電極G2)に、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1との積層膜を使用している理由について説明する。
【0065】
例えば、ゲート絶縁膜GOX1として酸化シリコン膜を使用する場合には、通常、ゲート絶縁膜GOX1上に形成されるゲート電極G1(ゲート電極G2)をポリシリコン膜から形成している。そして、nチャネル型MISFET(転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1)では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を構成するポリシリコン膜にn型不純物(リンや砒素など)を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数(フェルミレベル)をシリコンの伝導帯近傍(4.05eV近傍)に設定することで、nチャネル型MISFETのしきい値電圧の低下を図ることができる。一方、本実施の形態1では説明しないが、pチャネル型MISFET(負荷用MISFET)では、ゲート電極を構成するポリシリコン膜にp型不純物(ホウ素など)を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数をシリコンの価電子帯近傍(5.17eV近傍)に設定することで、pチャネル型MISFETのしきい値電圧の低下を図ることができる。すなわち、ゲート絶縁膜GOX1として酸化シリコン膜を使用している場合では、ゲート電極にn型不純物あるいはp型不純物を導入することにより、ゲート電極の仕事関数を伝導帯近傍あるいは価電子帯近傍にすることができる。
【0066】
ところが、本実施の形態1のように、ゲート絶縁膜GOX1として、高誘電率膜を使用すると、ポリシリコン膜よりなるゲート電極G1(ゲート電極G2)にn型不純物あるいはp型不純物を導入しても、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の仕事関数が、伝導帯近傍あるいは価電子帯近傍にならない現象が生じる。すなわち、ゲート絶縁膜GOX1として高誘電率膜を使用した場合、nチャネル型MISFET(転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1)では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の仕事関数が大きくなって伝導帯近傍から離れる。このため、nチャネル型MISFET(転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1)のしきい値電圧が上昇する。一方、pチャネル型MISFET(負荷用MISFET)では、ゲート電極の仕事関数が小さくなって価電子帯から離れるので、nチャネル型MISFET(転送用MISFETQt1や駆動用MISFETQd1)と同様にしきい値電圧が上昇する。このように、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の仕事関数がしきい値電圧の上昇する方向にシフトする現象はフェルミレベルピニングとして解釈されている。したがって、ゲート絶縁膜GOX1として高誘電率膜を使用する場合、ゲート電極G1(ゲート電極G2)をポリシリコン膜から構成すると、しきい値電圧の調整がうまくできないことがわかる。
【0067】
そこで、ゲート絶縁膜GOX1に酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を使用する場合、本実施の形態1では、ゲート絶縁膜GOX1上に配置されるゲート電極G1(ゲート電極G2)を、ポリシリコン膜の単体膜ではなく、ゲート絶縁膜GOX1に直接接触するように金属膜MF2を形成し、この金属膜MF2上にポリシリコン膜PF1を形成している。つまり、本実施の形態1では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)として、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1の積層膜から形成している。このような構造をしているゲート電極G1(ゲート電極G2)は、MIPS(Metal Inserted Poly Silicon)電極と呼ばれている。
【0068】
このように、ゲート電極G1(ゲート電極G2)をMIPS電極から形成される場合、ゲート絶縁膜GOX1に直接接触するのは金属膜MF2となる。このことから、MIPS電極によれば、ポリシリコン膜のように不純物を導入することでしきい値を調整することなく、金属膜MF2の種類を選択することでしきい値電圧を調整することができる。このため、ゲート電極G1(ゲート電極G2)としてMIPS電極を使用することで、上述したフェルミレベルピニングの問題を回避することができる。
【0069】
さらに、ゲート電極G1(ゲート電極G2)にMIPS電極を使用するもう1つの理由について説明する。例えば、ゲート絶縁膜GOX1上にポリシリコン膜を直接形成すると、ポリシリコン膜のゲート絶縁膜GOX1側の界面に空乏化領域が形成される。この空乏化領域は絶縁領域として機能することから、空乏化領域が容量絶縁膜となり、ゲート絶縁膜GOX1が見かけ上厚くなる現象が生じる。この結果、ゲート容量が設計値よりも小さくなるため、MISFETのオン電流の確保が難しくなり、MISFETの動作速度が低下する問題点が発生する。このポリシリコン膜の空乏化の問題は、MISFETを微細化するにしたがって顕在化してきている。
【0070】
そこで、本実施の形態1では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)としてMIPS電極を使用している。このMIPS電極によれば、ゲート絶縁膜GOX1と直接接触する膜は金属膜MF2となるので、空乏化の問題は生じない。つまり、金属膜MF2は金属であり半導体のように空乏化しないため、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の空乏化の問題が生じない。このため、ゲート容量が設計値よりも小さくなることを防止でき、MISFETを微細化しても、オン電流を確保することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態1では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)としてMIPS電極を使用することにより、ゲート電極G1(ゲート電極G2)をポリシリコン膜の単体膜から形成する場合に生じるフェルミレベルピニングの問題や空乏化の問題を回避することができる。
【0072】
ここで、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜から形成すると、フェルミレベルピニングの問題や空乏化の問題を解決することができることから、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜の単体膜から形成することも考えられる。しかし、本実施の形態1では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜の単体膜から構成せずに、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜MF2とポリシリコン膜PF1の積層膜であるMIPS電極としている。この理由について説明する。
【0073】
MISFETの微細化に伴って、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の加工精度も高くすることが要求される。ところが、一般的に金属膜の加工は難しくなっている。したがって、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜の単体膜から形成する場合、金属膜の膜厚が厚くなりゲート電極G1(ゲート電極G2)の加工精度を向上することが困難になる。つまり、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜の単体膜から形成する場合、加工精度を向上することが難しく、設計値通りのゲート長を有するゲート電極G1(ゲート電極G2)を形成することが難しくなっている。この場合、規定の電気的特性を得ることが困難になる上に、複数のMISFETで、ゲート長のばらつきが大きくなってしまう。
【0074】
そこで、本実施の形態1では、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を金属膜の単体膜から形成するのではなく、金属膜とポリシリコン膜の積層膜から形成している。このようにゲート電極G1(ゲート電極G2)を形成することにより、金属膜自体の膜厚を薄くすることができるので、金属膜の加工困難性を緩和することができる。そして、ポリシリコン膜は加工が容易であるので、ゲート電極G1(ゲート電極G2)をMIPS電極とすることにより、ゲート電極G1(ゲート電極G2)を微細化しても、ゲート電極G1(ゲート電極G2)の加工精度を良好に保つことができ、所望の電気的特性を得やすいという利点を有することになる。
【0075】
したがって、本実施の形態1では、フェルミレベルピニングや空乏化の問題を解決するためにゲート絶縁膜GOX1に直接接触するように金属膜を使用するとともに、金属膜の加工困難性を緩和するために、ゲート電極G1(ゲート電極G2)として、金属膜とポリシリコン膜との積層膜を使用しているのである。すなわち、本実施の形態1のように、ゲート電極G1(ゲート電極G2)をMIPS電極とすることにより、フェルミレベルピニングや空乏化の抑制と加工困難性の緩和とを両立することができる。
【0076】
次に、本実施の形態1の特徴的構成であるゲートプラグの構造について、図面を参照しながら説明する。図4の右図は、図3のB−B線で切断した断面図である。図4の右図において、半導体基板1S上には、素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STI上にゲート絶縁膜GOX1を介してゲート電極G1およびゲート電極G3が形成されている。ここで、ゲート電極G1に接続するゲートプラグGPLG1の構成と、ゲート電極G3に接続するゲートプラグGPLG2の構成は同様なので、以下では、代表して、ゲート電極G1に接続するゲートプラグGPLG1の構成について説明する。
【0077】
ゲート電極G1は、ゲート絶縁膜GOX1上に直接形成された金属膜MF2と、この金属膜MF2上に形成されたポリシリコン膜PF1と、ポリシリコン膜PF1の表面に形成されているニッケルプラチナシリサイド膜CSから形成されている。このように構成されているゲート電極G1の両側の側壁には、オフセットスペーサOSが形成されており、このオフセットスペーサOSの外側にサイドウォールSWが形成されている。
【0078】
そして、ゲート電極G1を覆うように素子分離領域STI上に窒化シリコン膜SN1が形成されており、窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILと窒化シリコン膜SN1を貫通するようにゲートプラグGPLG1が形成されている。ゲートプラグGPLG1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上には、バリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1が形成されている。このバリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1には配線溝が形成されており、配線溝の底部にゲートプラグGPLG1が配置されている。配線溝の底面および側面にはバリア導体膜BCFが形成されており、このバリア導体膜BCF上で配線溝を埋め込むように銅膜CFが形成されている。配線溝にバリア導体膜BCFと銅膜CFを埋め込むことにより、配線L1が形成されている。以上のことから、配線L1とゲート電極G1は、ゲートプラグGPLG1を介して電気的に接続されていることになる。つまり、例えば、制御回路が多層配線と接続されており、この多層配線の最下層に形成されている配線L1と、配線L1と接続されているゲートプラグGPLG1を介して、ゲート電極G1に、制御回路からのゲート電圧(ゲート信号)が印加されるようになっている。
【0079】
ゲートプラグGPLG1は、窒化シリコン膜SN1とコンタクト層間絶縁膜CILを貫通するように形成されたゲートコンタクトホールGCNT1に、チタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを埋め込むことにより形成されている。つまり、ゲートプラグGPLG1は、ゲートコンタクトホールGCNT1の内壁に形成されたチタン膜TIと、チタン膜TI上に形成された窒化チタン膜TINと、窒化チタン膜TIN上に形成されたタングステン膜WFから構成されている。
【0080】
ここで、本実施の形態1における第1特徴点は、ゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1の開口径を大きく形成している点にある。つまり、ゲートコンタクトホールGCNT1は、ゲート電極G1の上面だけでなく、素子分離領域STI上にも達しているのである。これにより、ゲートコンタクトホールGCNT1からは、ゲート電極G1の上面だけでなく、ゲート電極G1の片側の側面も露出することになる。したがって、ゲートコンタクトホールGCNT1から露出するゲート電極G1の面積を大きくすることができる。このことは、ゲートコンタクトホールGCNT1を埋め込むように形成されたゲートプラグGPLG1とゲート電極G1の接触面積を大きくできることを意味している。この結果、ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1との接触抵抗を小さくすることができる。つまり、ゲートプラグGPLG1の径がゲート電極G1のゲート長よりも大きくなることにより、ゲートプラグGPLG1がゲート電極G1の上面だけでなく、ゲート電極G1の片側の側面でも接触するようになる。ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1との間の接触抵抗は、接触面積の大きさに比例することから、ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1との接触面積を大きくすることにより、ゲート抵抗(寄生抵抗)を低減することができる。ゲート抵抗を低減することができるということは、抵抗による損失を低減できるので、半導体装置の電気的特性の向上を図ることができることに繋がるのである。
【0081】
例えば、ゲートプラグGPLG1の底面がゲート電極G1の上面だけで接続する場合を考える。ゲート電極G1の微細化が進むと、ゲート電極G1のゲート長が短くなる。このことは、ゲート電極G1の上面の面積が小さくなることを意味している。したがって、ゲートプラグGPLG1がゲート電極G1の上面だけで接続する場合は、半導体素子の微細化に伴って(ゲート電極G1のゲート長の縮小化に伴って)、ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1の接触面積が小さくなり、ゲート抵抗(寄生抵抗)が増大することになる。この場合、寄生抵抗による損失が大きくなり、半導体素子の電気的特性が劣化することになる。
【0082】
これに対し、本実施の形態1では、ゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートプラグGPLG1の径を大きく形成しているので、ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1との接触を、ゲート電極G1の上面だけでなく、ゲート電極G1の片側の側面で行なうことになる。このため、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接触面積を大きくすることができるのである。
【0083】
さらに、ゲート電極G1は、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナシリサイド膜CSからなる積層構造をしている。このとき、ゲート電極G1の上面だけでゲートプラグGPLG1と接続する場合、ゲートプラグGPLG1は、ニッケルプラチナシリサイド膜CSだけと接続されることになる。これに対し、本実施の形態1では、ゲート電極G1の側面とも接続するので、ゲート電極G1を構成するポリシリコン膜PF1や金属膜MF2とも直接接触することになる。特に、金属膜MF2は抵抗が小さいので、この金属膜MF2とゲートプラグGPLG1とを直接接触する本実施の形態1の構成によれば、さらなる寄生抵抗の低減を図ることができるのである。
【0084】
そして、本実施の形態1によれば、例えば、ゲート電極G1の上面における異物の付着などの理由により、ゲート電極G1の上面とゲートプラグGPLG1との接続不良が発生しても、ゲート電極G1の側面とゲートプラグGPLG1が接続しているので、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続不良のポテンシャルを低減することができる。つまり、本実施の形態1によれば、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性も向上することができる。
【0085】
また、ゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1の開口径を大きく形成するという本実施の形態1における第1特徴点によれば、以下に示す効果も得られる。すなわち、ゲート電極G1の上面だけでゲートプラグGPLG1と接続する構成では、ゲート電極G1の微細化に伴って、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との合わせずれが大きな問題となる。例えば、ゲート電極G1が微細化されると、わずかな合わせずれでも、ゲート電極G1の上面とゲートプラグGPLG1の底面が重ならなくなる。この場合、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1が電気的に接続されなくなり、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続不良が発生する。つまり、ゲート電極G1の上面だけでゲートプラグGPLG1と接続する構成では、微細化が進むにつれて、合わせずれによる接続不良が発生するポテンシャルが大きくなるのである。
【0086】
これに対し、本実施の形態1では、ゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1の開口径を大きく形成している。すなわち、本実施の形態1によれば、ゲートプラグGPLG1の底面をゲート電極G1の上面に正確に位置合わせする必要は少なくなる。そもそも、本実施の形態1では、ゲートプラグGPLG1の径がゲート電極G1よりも大きく形成されているので、ゲートプラグGPLG1の底面は、ゲート電極G1の上面だけでなく、素子分離領域STI上にも達する。このことから、本実施の形態1では、もともと、ゲート電極G1の上面にゲートプラグGPLG1の底面を正確に位置合わせする必要が小さくなるのである。例えば、合わせずれによって、ゲートプラグGPLG1の形成位置が多少ずれたとしても、ゲート電極G1の上面と側面でゲートプラグGPLG1が接触していれば、接続不良は生じないのである。言い換えれば、本実施の形態1における第1特徴点によれば、合わせずれによるゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続不良の発生を小さくすることができるのである。本実施の形態1によれば、合わせずれに対するマージンを大きくとることができ、ゲート電極G1を微細化した場合であっても、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続不良を回避できるのである。したがって、本実施の形態1によれば、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0087】
続いて、本実施の形態1における第2特徴点について説明する。本実施の形態1における第2特徴点は、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1が形成されており、この凹部CP1にも導電材料が埋め込まれて、ゲートプラグGPLG1の一部となっている点である。このように、金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成することにより、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接触面積をさらに大きくすることができるのである。例えば、上述した第1特徴点によれば、ゲート電極G1の上面と、ゲート電極G1の側面でゲートプラグGPLG1と接続される。このとき、ゲート電極G1の側面との関係では、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの側面、ポリシリコン膜PF1の側面および金属膜MF2の側面によって、ゲートプラグGPLG1と接続することになる。
【0088】
これに対し、第1特徴点だけでなく第2特徴点を有する半導体装置の場合、ゲートプラグGPLG1と接続するゲート電極G1の側面の面積をさらに大きくすることができるのである。具体的には、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの側面、ポリシリコン膜PF1の側面および金属膜MF2の側面に加えて、凹部CP1から露出するポリシリコン膜PF1の底面の一部もゲートプラグGPLG1と接続することになる。すなわち、金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成することより、この凹部CP1からポリシリコン膜PF1の底面の一部を露出することができるのである。この結果、金属膜MF2の側面に形成した凹部CP1に導電材料を埋め込むことにより、ゲートプラグGPLG1との接触面積が大きくなるのである。なお、金属膜MF2の側面に形成される凹部CP1には、例えば、ゲートプラグGPLG1を構成するチタン膜TIおよび窒化チタン膜TINを埋め込むことができる。
【0089】
本実施の形態1では、第1特徴点と第2特徴点を両方備えることにより、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接触面積を大きくすることができ、ゲート抵抗(寄生抵抗)をさらに低減することができる。また、ゲート電極G1の側面に凹部CP1を形成することにより、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性も向上する。以上のように、本実施の形態1によれば、ゲート電極G1のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1の開口径を大きく形成する第1特徴点と、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する第2特徴点により、さらなるゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0090】
ここで、本実施の形態1では、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成することにあるが、この凹部CP1を形成しても、例えば、転送用MISFETQt1などの電気的特性に悪影響を与えないことを説明する。
【0091】
例えば、図4の左図において、転送用MISFETQt1の金属膜MF2は、ゲート絶縁膜GOX1上に直接形成されている。この金属膜MF2の仕事関数により、ゲート電極G1のしきい値電圧が決定されるため、金属膜MF2の役割は重大である。ここで、本実施の形態1では、図4の右図に示すように、金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成している。したがって、仕事関数を決定する金属膜MF2の一部に凹部CP1を形成すると、ゲート電極G1のしきい値電圧が変化してしまうのではないかということが懸念される。
【0092】
しかし、以下に示すように、金属膜MF2に凹部CP1を形成しても、ゲート電極G1のしきい値が変動することはないのである。この理由について説明する。
【0093】
例えば、図3に示すように、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1とを接続する位置と、実際にゲート電極G1を有する転送用MISFETQt1が形成されている位置は異なっているのである。つまり、図3に示すように、ゲート電極G1は、アクティブ領域An1から素子分離領域STI上に延在している。このため、ゲート電極G1とアクティブ領域An1が立体交差している領域に転送用MISFETQt1が形成されており、ゲート電極G1が素子分離領域STI上に延在している領域で、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1が接続している。したがって、ゲートプラグGPLG1の形成位置は、アクティブ領域An1上ではなく、素子分離領域STI上であるので、ゲートプラグGPLG1と転送用MISFETQt1とは形成位置が離れているのである。このことから、図4の右図に示すような構造は、ゲートプラグGPLG1が形成されている素子分離領域STI上に形成されていることになる。つまり、素子分離領域STI上に形成されているゲート電極G1とゲートプラグGPLG1の接続領域においてのみ、金属膜MF2の側面に凹部CP1が形成されているのである。言い換えれば、図4の左図に示すように、アクティブ領域An1上に形成されているゲート電極G1については、ゲート絶縁膜GOX1上に形成されている金属膜MF2に凹部CP1は形成されていないのである。したがって、転送用MISFETQt1などでは、何の問題もなく、金属膜MF2による仕事関数によってしきい値を調整することができるのである。
【0094】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。以下の図では、左側に図3のA−A線で切断した領域(nチャネル型MISFET形成領域)を示し、右側に図3のB−B線で切断したゲートコンタクト領域を示すものとする。
【0095】
まず、図5に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1Sを用意する。このとき、半導体基板1Sは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1Sに素子間を分離する素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域STIは、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域を形成している。すなわち、半導体基板1Sにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0096】
次に、素子分離領域STIで分離された活性領域(アクティブ領域)に不純物を導入してp型ウェルPWLを形成する。p型ウェルPWLは、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。
【0097】
続いて、p型ウェルPWLの表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0098】
続いて、図6に示すように、半導体基板1S(p型ウェルPWLおよび素子分離領域STI)上に酸化ハフニウム膜HFを形成する。酸化ハフニウム膜HFは、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使用して形成することができる。
【0099】
そして、図7に示すように、酸化ハフニウム膜HF上に金属膜MF1を形成する。つまり、半導体基板1Sの全面に金属膜MF1を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、金属膜MF1をパターニングする。金属膜MF1のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域(図示せず)に金属膜MF1が残存し、その他の領域で金属膜MF1が除去するように行なわれる。したがって、nチャネル型MISFET形成領域と、このゲートコンタクト領域を示している図8では、金属膜MF1が除去されている。
【0100】
次に、図8に示すように、金属膜MF1が除去されて露出している酸化ハフニウム膜HF上に酸化ランタン膜LFを形成する。酸化ランタン膜LFは、例えば、CVD法やALD法を使用することにより形成することができる。
【0101】
そして、図9に示すように、熱処理を施すことにより、酸化ハフニウム膜HF中に酸化ランタンを導入して、酸化ランタンを含む酸化ハフニウム膜からなるゲート絶縁膜GOX1を形成する。このゲート絶縁膜GOX1は、酸化ランタンを導入した酸化ハフニウム膜から構成されているので、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜である。
【0102】
続いて、図10に示すように、ゲート絶縁膜GOX1上に金属膜MF2を形成し、この金属膜MF2上にポリシリコン膜PF1を形成する。金属膜MF2は、金属や金属化合物から形成され、例えば、窒化チタン膜から形成されている。窒化チタン膜は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。また、ポリシリコン膜PF1も、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0103】
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2をパターニングする。ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2のパターニングは、ゲート電極形成領域にだけ、ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2が残存するように行なわれる。これにより、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1の積層膜からなるゲート電極G1〜ゲート電極G3が形成される。このゲート電極G1〜ゲート電極G3を加工する際、まず、加工容易なポリシリコン膜PF1を加工し、その後、加工が比較的難しい金属膜MF2を加工している。まず、ポリシリコン膜PF1を加工することにより、ゲート電極G1〜ゲート電極G3の外形(概略)が決定され、その後、金属膜MF2を加工して、ゲート電極G1〜ゲート電極G3が完成するので、ゲート電極G1〜ゲート電極G3が微細化されても、ゲート電極G1〜ゲート電極G3の形状を良好にすることができる。つまり、本実施の形態1によれば、加工が難しい金属膜MF2の単体膜を加工してゲート電極G1〜ゲート電極G3を形成する場合よりも、ゲート電極G1〜ゲート電極G3の加工精度を向上することができる。
【0104】
続いて、図12に示すように、ゲート電極G1〜ゲート電極G3を形成した半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜に対して、異方性エッチングを施す。これにより、ゲート電極G1〜ゲート電極G3の両側の側壁にオフセットスペーサOSを形成する。このオフセットスペーサOSは、後述するように、ゲート電極G1〜ゲート電極G2に整合した浅いn型不純物拡散領域EX1を形成する際、ゲート電極G1〜ゲート電極G2の端部からチャネル領域の端部に至る領域への不純物の注入を調整するために形成されるものである。
【0105】
オフセットスペーサOSを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極G1〜ゲート電極G2に整合した浅いn型不純物拡散領域EX1を形成する。浅いn型不純物拡散領域EX1は、半導体領域であり、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。
【0106】
次に、図13に示すように、半導体基板1S上に酸化シリコン膜および窒化シリコン膜からなる積層膜を形成する。酸化シリコン膜および窒化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールSWをゲート電極G1〜ゲート電極G3の側壁に形成する。サイドウォールSWは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜の単層膜や酸化シリコン膜の単層膜からなるサイドウォールSWを形成してもよい。
【0107】
その後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、サイドウォールSWに整合した深いn型不純物拡散領域NR1を形成する。深いn型不純物拡散領域NR1は、リンや砒素などのn型不純物を導入した半導体領域である。この深いn型不純物拡散領域NR1と浅いn型不純物拡散領域EX1によってソース領域が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域NR1と浅いn型不純物拡散領域EX1によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅いn型不純物拡散領域EX1と深いn型不純物拡散領域NR1で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
【0108】
このようにして、深いn型不純物拡散領域NR1を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0109】
その後、図14に示すように、半導体基板1S上にニッケルプラチナ膜を形成する。このとき、ゲート電極G1〜ゲート電極G3に直接接するようにニッケルプラチナ膜が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域NR1にもニッケルプラチナ膜が直接接する。
【0110】
ニッケルプラチナ膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、ニッケルプラチナ膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極G1〜ゲート電極G3を構成するポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナ膜を反応させて、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成する。これにより、ゲート電極G1〜ゲート電極G3は、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナシリサイド膜CSの積層構造となる。ニッケルプラチナシリサイド膜CSは、ゲート電極G1〜ゲート電極G3の低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いn型不純物拡散領域NR1の表面においてもシリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜CSが形成される。このため、深いn型不純物拡散領域NR1においても低抵抗化を図ることができる。
【0111】
そして、未反応のニッケルプラチナ膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態1では、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成するように構成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして、例えば、半導体基板1S上に転送用MISFETQt1および駆動用MISFETQd1を形成することができる。また、ゲート電極G1およびゲート電極G3を素子分離領域STI上にまで延在させて、ゲートコンタクト領域を形成することができる。
【0112】
続いて、図15に示すように、ゲート電極G1〜ゲート電極G3を形成した半導体基板1S上に窒化シリコン膜SN1を形成する。この窒化シリコン膜SN1は、その後の工程で形成されるコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパとなる膜である。この窒化シリコン膜SN1は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0113】
そして、窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、窒化シリコン膜SN1を介して、ゲート電極G1〜ゲート電極G3を覆うように形成される。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOSとを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、TEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。
【0114】
コンタクト層間絶縁膜CILをTEOS膜から形成する理由は、TEOS膜が下地段差に対する被覆性のよい膜であるからである。コンタクト層間絶縁膜CILを形成する下地は、半導体基板1Sにゲート電極G1〜ゲート電極G3が形成された凹凸のある状態である。つまり、半導体基板1Sにゲート電極G1〜ゲート電極G3が形成されているので、半導体基板1Sの表面は、凹凸のある下地となっている。したがって、凹凸のある段差に対して被覆性のよい膜でないと、微細な凹凸を埋め込むことができず、ボイドなどの発生原因となる。そこで、コンタクト層間絶縁膜CILには、TEOS膜が使用される。なぜなら、TEOSを原料とするTEOS膜では、原料であるTEOSが酸化シリコン膜となる前に中間体を作り、成膜表面で移動しやすくなるため、下地段差に対する被覆性が向上するからである。
【0115】
次に、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、コンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3およびゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2を形成する。具体的には、図16の左側のnチャネル型MISFET形成領域にコンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3を形成し、図16の右側のゲートコンタクト領域に、ゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2を形成する。このコンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3と、ゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2は、同工程で形成される。
【0116】
このとき、ゲートコンタクトホールGCNT1の径は、ゲート電極G1のゲート長よりも大きくなっている。したがって、ゲートコンタクトホールGCNT1を形成することにより、ゲート電極G1の上面と片側の側面が露出し、さらに、素子分離領域STIの表面の一部も露出することになる。同様に、ゲートコンタクトホールGCNT2の径は、ゲート電極G3のゲート長よりも大きくなっている。したがって、ゲートコンタクトホールGCNT2を形成することにより、ゲート電極G3の上面と片側の側面が露出し、さらに、素子分離領域STIの表面の一部も露出することになる。
【0117】
続いて、図17に示すように、ゲートコンタクトホールGCNT1を形成することにより露出した金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する。同様に、ゲートコンタクトホールGCNT2を形成することにより露出した金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する。このように金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成するには、以下に示す処理を行なう。すなわち、ゲートコンタクトホールGCNT1の内面とゲートコンタクトホールGCNT2の内面に露出する金属膜MF2の一側面から、金属膜MF2の一部をウェットエッチングすることにより、金属膜MF2の一側面に凹部CP1を形成する。具体的に、このウェットエッチングは、ゲートコンタクトホールGCNT1の内面とゲートコンタクトホールGCNT2の内面に対して、硫酸による硫酸処理を実施した後、過酸化水素水による過水処理を実施することにより行われる。このとき、ウェットエッチングを実施する処理時間を調整することにより、金属膜MF2の側面に形成される凹部CP1の深さを調整することができる。その後、洗浄処理としてAPM洗浄を行なう。APM洗浄とは、アンモニアと過酸化水素水の混合液による洗浄処理である。
【0118】
この硫酸処理と過水処理を行なう場合、ゲートコンタクトホールGCNT1とゲートコンタクトホールGCNT2の内面に露出している金属膜MF2だけがウェットエッチングされ、ポリシリコン膜PF1はエッチングされない。このため、図17に示すように、露出している金属膜MF2の側面にだけエッチングによる凹部CP1が形成される。なお、硫酸処理および過水処理は、半導体基板1Sの全面について行なわれるが、nチャネル型MISFET形成領域に形成されているコンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3からは、金属膜MF2は露出されていないので、nチャネル型MISFET形成領域では、金属膜MF2はウェットエッチングされないことになる。
【0119】
その後、図18に示すように、コンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3およびゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2の内部を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にチタン膜TIを形成する。このとき、本実施の形態1では、チタン膜TIをCVD法により形成する。通常、チタン膜TIは、スパッタリング法を使用して形成される。しかし、本実施の形態1では、ゲートコンタクトホールGCNT1やゲートコンタクトホールGCNT2の内部に形成されている凹部CP1の表面にもチタン膜TIを形成する必要がある。このとき、チタン膜TIをスパッタリング法で形成する場合、凹部CP1の幾何学的配置から、凹部CP1の内部にまでチタン原子を到達させることは困難となる。そこで、本実施の形態1では、CVD法を使用することにより、チタン膜TIを形成している。なぜなら、CVD法によれば、凹部CP1の内部まで原料ガスを導入することができるので、凹部CP1の内部で化学反応によりチタン膜TIが生成され、凹部CP1の表面にコンフォーマルなチタン膜TIを生成することが可能となるからである。
【0120】
次に、図19に示すように、チタン膜TI上に窒化チタン膜TINを形成する。窒化チタン膜TINは、例えば、チタン膜TIの表面に対して、アンモニアガスによるプラズマ窒化処理により形成することができる。これにより、ゲートコンタクトホールGCNT1やゲートコンタクトホールGCNT2から露出する凹部CP1は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填される。このチタン膜TIと窒化チタン膜TINは、後述するタングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。
【0121】
続いて、図20に示すように、窒化チタン膜TIN上にタングステン膜WFを形成する。これにより、コンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3の内部およびゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2の内部は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFにより埋め込まれる。タングステン膜WFは、例えば、CVD法を使用して形成することができる。通常、タングステン膜WFを形成するCVD法では、原料ガスとしてシランガスを使用するが、本実施の形態1では、シランガスを使用せず、ジボラン(B)ガスを使用している。なぜなら、ジボランガスを使用することにより、コンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3の内壁やゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2の内壁に与えるダメージを低減することができるからである。特に、本実施の形態1では、ゲートコンタクトホールGCNT1やゲートコンタクトホールGCNT2の内部に凹部CP1を形成しているが、ジボランを原料ガスとするCVD法を使用することにより、凹部CP1に対するダメージも低減することが可能となる。
【0122】
なお、本実施の形態1では、凹部CP1をチタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填している。これは、タングステン膜WFを形成する際のCVD法によるカバレッジ特性よりも、プラズマ窒化処理による窒化チタン膜TINの形成の方が凹部CP1を埋め込む埋め込み特性が良好となるからである。つまり、埋め込み特性の良好なプラズマ窒化処理で形成される窒化チタン膜TINで凹部CP1を充填すれば、ボイドの発生を抑制できるからである。言い換えれば、タングステン膜WFで凹部CP1を埋め込む場合には、埋め込み特性の劣化からボイドが発生しやすくなり、凹部CP1を設けたことによる寄生抵抗の低減および接続信頼性の向上を充分に発揮できなくなるおそれがあるからである。
【0123】
その後、図21に示すように、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なチタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去する。これにより、コンタクトホールCNT1〜コンタクトホールCNT3およびゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2内にだけ、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFを埋め込んだプラグPLG1〜プラグPLG3およびゲートプラグGPLG1〜ゲートプラグGPLG2を形成することができる。
【0124】
次に、図4に示すように、プラグPLG1〜プラグPLG3およびゲートプラグGPLG1〜ゲートプラグGPLG2を形成したコンタクト層間絶縁膜CILの表面に対してプラズマ処理を実施する。具体的には、半導体基板1Sをチャンバ内に搬入し、アンモニアガス、あるいは、アンモニアガスと窒素ガスを含む混合ガスをチャンバ内に導入する。その後、チャンバ内の温度を約400℃とし、チャンバ内に導入したアンモニアガス、あるいは、混合ガスをプラズマ化する。これにより、プラズマ化されたアンモニアガスや窒素ガスによって、コンタクト層間絶縁膜CILの表面にプラズマ処理を施す。
【0125】
その後、コンタクト層間絶縁膜CIL上に、例えば、CVD法を使用することにより、バリア絶縁膜BIFを形成し、このバリア絶縁膜BIF上に層間絶縁膜IL1を形成する。このバリア絶縁膜BIFは、例えば、SiN膜(窒化シリコン膜)、SiON膜(酸窒化シリコン膜)、SiC膜(炭化シリコン膜)、SiCN膜(炭窒化シリコン膜)、SiCO膜のいずれかを含む膜から形成されている。また、層間絶縁膜IL1は、酸化シリコン膜や酸化シリコン膜よりも低誘電率である低誘電率膜から形成されている。具体的に層間絶縁膜IL1は、例えば、SiOC膜、HSQ(ハイドロジェンシルセスキオキサン、塗布工程により形成され、Si−H結合を持つ酸化シリコン膜、又は、水素含有シルセスキオキサン)膜、あるいは、MSQ(メチルシルセスキオキサン、塗布工程により形成され、Si−C結合を持つ酸化シリコン膜、又は、炭素含有シルセスキオキサン)膜、TEOS膜、酸化シリコン膜、あるいは、SiOF膜から構成されている。このとき、コンタクト層間絶縁膜CILの表面に対して、アンモニアガスによるプラズマ処理が実施されているので、コンタクト層間絶縁膜CILとバリア絶縁膜BIFの密着性が向上する。
【0126】
そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1およびバリア絶縁膜BIFを貫通する配線溝(トレンチ)を形成する。この配線溝は、層間絶縁膜IL1とバリア絶縁膜BIFを貫通して底面がコンタクト層間絶縁膜CILに達するように形成される。これにより、配線溝の底部でプラグPLG1〜プラグPLG3およびゲートプラグGPLG1〜ゲートプラグGPLG2の表面が露出することになる。
【0127】
その後、配線溝を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア導体膜BCFを形成する。具体的に、バリア導体膜BCFは、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0128】
続いて、配線溝の内部および層間絶縁膜IL1上に形成されたバリア導体膜BCF上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解めっき法により銅膜CFを形成する。この銅膜CFは、配線溝に埋め込まれるように形成される。この銅膜CFは、例えば、銅を主体とする膜から形成される。具体的には、銅(Cu)または銅合金(銅(Cu)とアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、In(インジウム)、ランタノイド系金属、アクチノイド系金属などの合金)から形成される。
【0129】
次に、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なバリア導体膜BCFおよび銅膜CFをCMP法で除去する。これにより、配線溝にバリア導体膜BCFと銅膜CFを埋め込んだ配線L1を形成することができる。さらに、配線L1上に多層配線を形成するが、これらの説明は省略する。以上のようにして、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。なお、本実施の形態1では、SRAMのメモリセルを構成するMISFETを例に挙げて、ゲート電極とゲートプラグとの接続構造を説明したが、本実施の形態1におけるゲート電極とゲートプラグとの接続構造は、例えば、CPUのロジック回路を構成するMISFETなどにも適用することができる。
【0130】
以下に、本実施の形態1における半導体装置の変形例を説明する。図22は、本実施の形態1における変形例1を示す図である。図22では、ゲート電極とゲートプラグとを接続するゲートコンタクト領域が図示されている。図22は、図4のゲートコンタクト領域を示す右図とほぼ同様の構成をしている。つまり、図22に示す変形例1でも、ゲート電極G1(ゲート電極G3)のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1(ゲートコンタクトホールGCNT2)の開口径を大きく形成する第1特徴点と、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する第2特徴点とを備えている。したがって、ゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0131】
図22と図4の異なる点は、図22では、ゲート電極G1(ゲート電極G3)の側壁にオフセットスペーサOSが形成されていない点である。このようにゲート電極G1(ゲート電極G3)の側壁にオフセットスペーサOSを形成しなくてもよい。
【0132】
図23は、本実施の形態1における変形例2を示す図である。図23では、ゲート電極とゲートプラグとを接続するゲートコンタクト領域が図示されている。図23は、図4のゲートコンタクト領域を示す右図とほぼ同様の構成をしている。つまり、図23に示す変形例2でも、ゲート電極G1(ゲート電極G3)のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1(ゲートコンタクトホールGCNT2)の開口径を大きく形成する第1特徴点と、ゲート電極G1を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成する第2特徴点とを備えている。したがって、ゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0133】
図23と図4の異なる点は、ゲート電極G1(ゲート電極G3)の側壁に形成されているサイドウォールSWの構成である。すなわち、図4では、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成されているが、図23では、窒化シリコン膜が、例えば、熱リン酸で除去されて、酸化シリコン膜だけのサイドウォールSWとなっている。このようなサイドウォールSWは、ディスポーザルサイドウォールと呼ばれる。このようにサイドウォールSWをディスポーザルサイドウォールとしてもよい。
【0134】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、SRAMのメモリセルを構成するMISFETのうち、nチャネル型MISFETの構成を説明し、さらに、nチャネル型MISFETのゲート電極とゲートプラグとの特徴的な接続構造について説明した。本実施の形態2では、SRAMのメモリセルを構成するMISFETのうち、pチャネル型MISFETの構成を説明し、さらに、シェアードプラグの特徴的な構成について説明する。本実施の形態2では、図3のC−C線による断面図を使用することにする。
【0135】
図24は、図3のC−C線による断面図である。この図24では、pチャネル型MISFETである負荷用MISFETQp1と、シェアードプラグSPLG1〜シェアードプラグSPLG2が図示されている。
【0136】
まず、負荷用MISFETQp1の構成について説明する。図24に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域(アクティブ領域)にn型ウェルNWLが形成されている。このn型ウェルNWLは、リンや砒素などのn型不純物を導入した半導体領域となっており、このn型ウェルNWL上に、負荷用MISFETQp1が形成されている。具体的に、n型ウェルNWL上にゲート絶縁膜GOX2が形成されており、このゲート絶縁膜GOX2上にゲート電極G2(ゲート電極G5)が形成されている。
【0137】
ゲート絶縁膜GOX2は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されており、例えば、酸化ハフニウムに酸化アルミニウムを導入したハフニウム系絶縁膜から構成されている。ゲート電極G2(ゲート電極G5)は、ゲート絶縁膜GOX2上に直接接触するように形成された金属膜MF2と、この金属膜MF2上に形成されたポリシリコン膜PF1と、ポリシリコン膜PF1の表面に形成されたニッケルプラチナシリサイド膜CSから形成されている。金属膜MF2は、例えば、窒化チタン膜から形成されている。また、本実施の形態2では、ポリシリコン膜PF1の表面に、ゲート電極G2(ゲート電極G5)の低抵抗化を図るため、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。
【0138】
続いて、ゲート電極G2(ゲート電極G5)の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0139】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いp型不純物拡散領域EX2が形成されている。そして、浅いp型不純物拡散領域EX2の外側に深いp型不純物拡散領域PR1が形成され、この深いp型不純物拡散領域PR1の表面にニッケルプラチナシリサイド膜CSが形成されている。
【0140】
サイドウォールSWは、負荷用MISFETQp1の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、負荷用MISFETQp1のソース領域およびドレイン領域は、浅いp型不純物拡散領域EX2と深いp型不純物拡散領域PR1とニッケルプラチナシリサイド膜CSより形成されている。このとき、浅いp型不純物拡散領域EX2の不純物濃度は、深いp型不純物拡散領域PR1の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いp型不純物拡散領域EX2とすることにより、ゲート電極G2(ゲート電極G5)の端部下における電界集中を抑制できる。以上のようにして、半導体基板1S上に負荷用MISFETQp1が形成されている。
【0141】
続いて、負荷用MISFETQp1を形成した半導体基板1Sの上方には多層配線が形成されている。以下に、多層配線の構成について説明する。図24に示すように、負荷用MISFETQp1を形成した半導体基板1S上には、負荷用MISFETQp1を覆うように窒化シリコン膜SN1が形成されており、この窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(tetra ethyl ortho silicate)とを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。そして、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、負荷用MISFETQp1のソース領域に達するプラグPLG4が形成されている。このプラグPLG4は、例えば、チタン膜TIと、チタン膜TI上に形成された窒化チタン膜TINと、窒化チタン膜TIN上に形成されたタングステン膜WFとをコンタクトホールCNT4に埋め込むことにより形成されている。チタン膜TIおよび窒化チタン膜TINは、タングステン膜WFを構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。なお、コンタクト層間絶縁膜CILは、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜のいずれかの膜から形成されていてもよい。
【0142】
続いて、コンタクト層間絶縁膜CIL上に第1配線層として配線L1が形成されている。具体的に、配線L1は、プラグPLG4を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されたバリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように形成されている。つまり、バリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1を貫通して底部でプラグPLG4が露出する配線溝に、バリア導体膜BCFと、銅を主体とする膜(以下、銅膜CFと記載する)を埋め込むことにより、配線L1が形成されている。つまり、配線L1は、配線溝の側面と底面を覆うように形成されたバリア導体膜BCFと、バリア導体膜BCF上で配線溝を埋め込むように形成された銅膜CFから形成されている。さらに、配線L1上に多層配線が形成されるが、本実施の形態1では、その説明を省略する。以上のようにして、半導体基板1S上に負荷用MISFETQp1が形成され、この負荷用MISFETQp1上に配線L1が形成されている。
【0143】
ここで、前記実施の形態1において、ゲート絶縁膜GOX1は、酸化ランタンを添加した酸化ハフニウム膜から形成されているのに対し、本実施の形態2において、ゲート絶縁膜GOX2は、酸化アルミニウムを添加した酸化ハフニウム膜から形成されている。このように、前記実施の形態1で説明したnチャネル型MISFETと、本実施の形態2で説明しているpチャネル型MISFETで、ゲート絶縁膜に異なる種類の膜を使用している。この理由について説明する。
【0144】
ゲート電極を金属膜(金属化合物膜を含む)から構成する場合、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETでしきい値電圧を低下させるための仕事関数値が異なる。このため、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用することが考えられる。しかし、異なる種類の金属膜に対して、同時にゲート電極の垂直加工性を確保する必要がある。すなわち、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETで異なる金属膜を使用する場合、異なる両方の金属膜について垂直加工性を確保しなければならなくなる。そこで、前記実施の形態1で説明したnチャネル型MISFETのゲート電極と本実施の形態2で説明しているpチャネル型MISFETのゲート電極とを同一組成の積層膜(窒化チタン膜とポリシリコン膜)から構成している。この場合、nチャネル型MISFETのしきい値電圧とpチャネル型MISFETのしきい値電圧とを同時に最適に調整することはできなくなる。このため、前記実施の形態1で説明したnチャネル型MISFETのゲート電極と、本実施の形態2で説明しているpチャネル型MISFETのゲート電極を同一の組成とする一方、ゲート絶縁膜GOX1とゲート絶縁膜GOX2とを異なる組成にしているのである。つまり、nチャネル型MISFETのゲート絶縁膜GOX1と、pチャネル型MISFETのゲート絶縁膜GOX2とを異なる組成の膜とすることにより、nチャネル型MISFETのしきい値電圧とpチャネル型MISFETのしきい値電圧とをともに低下させることができるのである。このような理由から、ゲート絶縁膜GOX1とゲート絶縁膜GOX2とを酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜とし、かつ、ゲート絶縁膜GOX1とゲート絶縁膜GOX2の組成を変えているのである。
【0145】
続いて、本実施の形態2における特徴的構成であるシェアードコンタクトの構成について説明する。図24では、シェアードコンタクトSPLG1とシェアードコンタクトSPLG2が図示されているが、同様の構成をしているので、シェアードコンタクトSPLG1を例に挙げて説明することにする。
【0146】
まず、図2に示すように、SRAMのメモリセルMCにおいて、負荷用MISFETQp1のドレイン領域は、負荷用MISFETQp2および駆動用MISFETQd2のゲート電極と接続されている。負荷用MISFETQp1のドレイン領域と、負荷用MISFETQp2および駆動用MISFETQd2のゲート電極との接続を配線で行なうこともできるが、本実施の形態1のSRAMでは、この接続をシェアードプラグで行なっている。つまり、シェアードプラグとは、例えば、負荷用MISFETQp1のドレイン領域と、負荷用MISFETQp2および駆動用MISFETQd2のゲート電極との両方に接続するように形成されたプラグである。
【0147】
具体的に、図3に示すように、負荷用MISFETQp1のアクティブ領域Ap1と、負荷用MISFETQp2および駆動用MISFETQd2のゲート電極G4がシェアードプラグSPLG1で接続されている。以下に、このシェアードプラグSPLG1の構造について説明する。
【0148】
図24は、図3のC−C線で切断した断面図である。図24において、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、素子分離領域STIで区画された活性領域にn型ウェルNWLが形成されている。このn型ウェルNWL上に負荷用MISFETQp1が形成されている。一方、素子分離領域STI上にゲート絶縁膜GOX2を介してゲート電極G4が形成されている。
【0149】
ゲート電極G4は、ゲート絶縁膜GOX2上に直接形成された金属膜MF2と、この金属膜MF2上に形成されたポリシリコン膜PF1と、ポリシリコン膜PF1の表面に形成されているニッケルプラチナシリサイド膜CSから形成されている。このように構成されているゲート電極G4の左側の側壁には、オフセットスペーサOSが形成されており、このオフセットスペーサOSの外側にサイドウォールSWが形成されている。
【0150】
そして、ゲート電極G4および負荷用MISFETQp1を覆うように窒化シリコン膜SN1が形成されており、窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILと窒化シリコン膜SN1を貫通するようにシェアードプラグSPLG1およびプラグPLG4が形成されている。シェアードプラグSPLG1およびプラグPLG4を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上には、バリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1が形成されている。このバリア絶縁膜BIFと層間絶縁膜IL1には配線溝が形成されており、配線溝の底部にシェアードプラグSPLG1やプラグPLG4が配置されている。配線溝の底面および側面にはバリア導体膜BCFが形成されており、このバリア導体膜BCF上で配線溝を埋め込むように銅膜CFが形成されている。配線溝にバリア導体膜BCFと銅膜CFを埋め込むことにより、配線L1が形成されている。
【0151】
プラグPLG4は、窒化シリコン膜SN1とコンタクト層間絶縁膜CILを貫通するように形成されたコンタクトホールCNT4に、チタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを埋め込むことにより形成されている。つまり、プラグPLG4は、コンタクトホールCNT4の内壁に形成されたチタン膜TIと、チタン膜TI上に形成された窒化チタン膜TINと、窒化チタン膜TIN上に形成されたタングステン膜WFから構成されている。このプラグPLG4は、底面で負荷用MISFETQp1のソース領域(浅いp型不純物拡散領域EX2および深いp型不純物拡散領域PR1)と電気的に接続されている。
【0152】
シェアードプラグSPLG1は、窒化シリコン膜SN1とコンタクト層間絶縁膜CILを貫通するように形成されたシェアードコンタクトホールSCNT1に、チタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを埋め込むことにより形成されている。つまり、シェアードプラグSPLG1は、シェアードコンタクトホールSCNT1の内壁に形成されたチタン膜TIと、チタン膜TI上に形成された窒化チタン膜TINと、窒化チタン膜TIN上に形成されたタングステン膜WFから構成されている。このシェアードプラグSPLG1は、素子分離領域STI上に延在しているゲート電極G4と、負荷用MISFETQp1のドレイン領域(浅いp型不純物拡散領域EX2および深いp型不純物拡散領域PR1)の両方と電気的に接続されている。これにより、ゲート電極G4と負荷用MISFETQp1のドレイン領域とは、シェアードプラグSPLG1で接続されることになる。
【0153】
ここで、本実施の形態2における特徴点は、ゲート電極G4を構成する金属膜MF2の右側面に凹部CP2が形成されており、この凹部CP2にも導電材料が埋め込まれて、シェアードプラグSPLG1の一部となっている点である。このように、金属膜MF2の右側面に凹部CP2を形成することにより、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との接触面積を大きくすることができるのである。例えば、凹部CP2が形成されていないシェアードプラグを考えると、このシェアードプラグは、ゲート電極G4の上面と、ゲート電極G4の側面で接続される。このとき、ゲート電極G4の側面との関係では、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの側面、ポリシリコン膜PF1の側面および金属膜MF2の側面によって、シェアードプラグと接続することになる。
【0154】
これに対し、本実施の形態2の場合、シェアードプラグSPLG1と接続するゲート電極G4の側面の面積をさらに大きくすることができるのである。具体的には、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの側面、ポリシリコン膜PF1の側面および金属膜MF2の側面に加えて、凹部CP2から露出するポリシリコン膜PF1の底面の一部もシェアードプラグSPLG1と接続することになる。すなわち、金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成することより、この凹部CP2からポリシリコン膜PF1の底面の一部を露出することができるのである。この結果、金属膜MF2の側面に形成した凹部CP2に導電材料を埋め込むことにより、シェアードプラグSPLG1との接触面積が大きくなるのである。なお、金属膜MF2の側面に形成される凹部CP2には、例えば、シェアードプラグSPLG1を構成するチタン膜TIおよび窒化チタン膜TINを埋め込むことができる。
【0155】
このように、本実施の形態2では、ゲート電極G4の側面に凹部CP2を形成するという特徴により、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との接触面積を大きくすることができ、ゲート抵抗(寄生抵抗)を低減することができる。また、本実施の形態2によれば、上述した特徴により、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との接続信頼性も向上する。
【0156】
さらに、本実施の形態2によれば、ゲート電極G4の一部を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成する特徴点を有することで、シェアードプラグSPLG1と、負荷用MISFETQp1のドレイン領域との接続信頼性も向上することについて説明する。
【0157】
まず、シェアードプラグSPLG1を形成するには、窒化シリコン膜SN1およびコンタクト層間絶縁膜CILを貫通するシェアードコンタクトホールSCNT1を形成する。そして、シェアードコンタクトホールSCNT1を形成した後に、このシェアードコンタクトホールSCNT1の底部から露出するニッケルプラチナシリサイド膜CS(負荷用MISFETQp1のドレイン領域)の表面を洗浄することが行なわれる。このとき、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面を十分に洗浄するためには、金属膜に対してエッチングレートが大きい薬液を使用することが望ましい。これにより、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面が充分に洗浄されて、負荷用MISFETQp1のドレイン領域の一部を構成するニッケルプラチナシリサイド膜CSと、シェアードプラグSPLG1との接続信頼性を向上させることができる。
【0158】
ところが、シェアードプラグSPLG1は、ニッケルプラチナシリサイド膜CSだけでなく、素子分離領域STI上に形成されているゲート電極G4とも接続する。すなわち、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面には、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面だけでなく、ゲート電極G4の側面も露出することになる。具体的に、ゲート電極G4の一部を構成する金属膜MF2の側面も露出することになる。
【0159】
したがって、このシェアードコンタクトホールSCNT1の底部から露出するニッケルプラチナシリサイド膜CS(負荷用MISFETQp1のドレイン領域)の表面を洗浄する場合、金属膜に対してエッチングレートの大きな薬液を使用すると、シェアードコンタクトホールSCNT1から露出するゲート電極G4の金属膜MF2も側面からエッチングされてしまう。このことを防止するため、従来、シェアードコンタクトホールSCNT1から露出するニッケルプラチナシリサイド膜CSの洗浄は、金属膜に対してエッチングレートの小さい薬液を使用することが行なわれている。しかし、金属膜に対してエッチングレートの小さい薬液では、充分にニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面を洗浄することができないことが多く、結果として、シェアードプラグSPLG1と負荷用MISFETQp1のドレイン領域との接続信頼性が低下する問題点が生じている。
【0160】
そこで、本実施の形態1では、シェアードコンタクトホールSCNT1から露出するニッケルプラチナシリサイド膜CSの洗浄を充分に行なうため、金属膜に対してエッチングレートの高い薬液を使用することとしている。この場合、ゲート電極G4の側面から露出する金属膜MF2もエッチングされてしまうが、本実施の形態2では、この金属膜MF2がエッチングされてしまうことを積極的に利用しているのである。つまり、シェアードコンタクトホールSCNT1の内部の洗浄によって金属膜MF2の側面に凹部CP2が形成されるが、本実施の形態2では、この凹部CP2にも導電材料を埋め込んで、シェアードプラグSPLG1の一部として利用しているのである。この結果、凹部CP2から露出するポリシリコン膜PF1の底部もゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1の接続部として利用できるので、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1の接触面積を大きくすることができ、ゲート抵抗(寄生抵抗)を低減することができるのである。
【0161】
以上のことから、ゲート電極G4を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成するという構成をシェアードプラグSPLG1に適用する場合、直接の効果としては、ゲート抵抗(寄生抵抗)を低減することができることに表れる。さらに、本実施の形態2では、シェアードコンタクトホールSCNT1の洗浄に、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面に対する洗浄効果の高い薬液を使用することができるので、シェアードプラグSPLG1と負荷用MISFETQp1のドレイン領域(ニッケルプラチナシリサイド膜CS)との接続信頼性も向上させることができる顕著な効果を有するのである。
【0162】
本実施の形態2における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。以下の図面では、pチャネル型MISFET形成領域を図示している。
【0163】
まず、図25に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1Sを用意する。このとき、半導体基板1Sは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1Sに素子間を分離する素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域STIは、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域を形成している。すなわち、半導体基板1Sにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0164】
次に、素子分離領域STIで分離された活性領域(アクティブ領域)に不純物を導入してn型ウェルNWLを形成する。n型ウェルNWLは、例えばリンや砒素などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。
【0165】
続いて、n型ウェルNWLの表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0166】
続いて、図26に示すように、半導体基板1S(n型ウェルNWLおよび素子分離領域STI)上に酸化ハフニウム膜HFを形成する。酸化ハフニウム膜HFは、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使用して形成することができる。なお、pチャネル型MISFET形成領域に形成されている酸化ハフニウム膜HFに酸化アルミニウムを添加する。
【0167】
そして、図27に示すように、酸化ハフニウム膜HF上に金属膜MF1を形成する。つまり、半導体基板1Sの全面に金属膜MF1を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、金属膜MF1をパターニングする。金属膜MF1のパターニングは、pチャネル型MISFET形成領域(図27に示す領域)に金属膜MF1が残存し、その他の領域(図示せず)で金属膜MF1が除去するように行なわれる。したがって、nチャネル型MISFET形成領域(図示せず)では、金属膜MF1が除去されている。
【0168】
次に、図28に示すように、pチャネル型MISFET形成領域では、金属膜MF1上に酸化ランタン膜LFを形成する。酸化ランタン膜LFは、例えば、CVD法やALD法を使用することにより形成することができる。なお、図示しないnチャネル型MISFET形成領域では、酸化ハフニウム膜HF上に酸化ランタン膜LFが形成される。
【0169】
そして、熱処理を施すことにより、nチャネル型MISFET形成領域(図示せず)では、酸化ハフニウム膜HF中に酸化ランタンを導入して、酸化ランタンを含む酸化ハフニウム膜からなるゲート絶縁膜を形成する。一方、pチャネル型MISFET形成領域では、図29に示すように、酸化ランタン膜LFと金属膜MF1を除去することにより、酸化アルミニウムを添加した酸化ハフニウム膜HFを露出する。pチャネル型MISFET形成領域では、この酸化アルミニウムを添加した酸化ハフニウム膜HFがゲート絶縁膜GOX2となる。このゲート絶縁膜GOX2は、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜である。
【0170】
続いて、図30に示すように、ゲート絶縁膜GOX2上に金属膜MF2を形成し、この金属膜MF2上にポリシリコン膜PF1を形成する。金属膜MF2は、金属や金属化合物から形成され、例えば、窒化チタン膜から形成されている。窒化チタン膜は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。また、ポリシリコン膜PF1も、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0171】
次に、図31に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2をパターニングする。ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2のパターニングは、ゲート電極形成領域にだけ、ポリシリコン膜PF1および金属膜MF2が残存するように行なわれる。これにより、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1の積層膜からなるゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5が形成される。このゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を加工する際、まず、加工容易なポリシリコン膜PF1を加工し、その後、加工が比較的難しい金属膜MF2を加工している。まず、ポリシリコン膜PF1を加工することにより、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の外形(概略)が決定され、その後、金属膜MF2を加工して、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5が完成するので、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5が微細化されても、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の形状を良好にすることができる。つまり、本実施の形態2によれば、加工が難しい金属膜MF2の単体膜を加工してゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を形成する場合よりも、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の加工精度を向上することができる。
【0172】
続いて、図32に示すように、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を形成した半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜に対して、異方性エッチングを施す。これにより、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の両側の側壁にオフセットスペーサOSを形成する。このオフセットスペーサOSは、後述するように、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5に整合した浅いp型不純物拡散領域EX2を形成する際、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の端部からチャネル領域の端部に至る領域への不純物の注入を調整するために形成されるものである。
【0173】
オフセットスペーサOSを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5に整合した浅いp型不純物拡散領域EX2を形成する。浅いp型不純物拡散領域EX2は、半導体領域であり、ボロンなどのp型不純物が導入されている。
【0174】
次に、図33に示すように、半導体基板1S上に酸化シリコン膜および窒化シリコン膜からなる積層膜を形成する。酸化シリコン膜および窒化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールSWをゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の側壁に形成する。サイドウォールSWは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜の単層膜や酸化シリコン膜の単層膜からなるサイドウォールSWを形成してもよい。
【0175】
その後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、サイドウォールSWに整合した深いp型不純物拡散領域PR1を形成する。深いp型不純物拡散領域PR1は、ボロンなどのp型不純物を導入した半導体領域である。この深いp型不純物拡散領域PR1と浅いp型不純物拡散領域EX2によってソース領域が形成される。同様に、深いp型不純物拡散領域PR1と浅いp型不純物拡散領域EX2によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅いp型不純物拡散領域EX2と深いp型不純物拡散領域PR1で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
【0176】
このようにして、深いp型不純物拡散領域PR1を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0177】
その後、図34に示すように、半導体基板1S上にニッケルプラチナ膜を形成する。このとき、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5に直接接するようにニッケルプラチナ膜が形成される。同様に、深いp型不純物拡散領域PR1にもニッケルプラチナ膜が直接接する。
【0178】
ニッケルプラチナ膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、ニッケルプラチナ膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を構成するポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナ膜を反応させて、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成する。これにより、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5は、金属膜MF2とポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナシリサイド膜CSの積層構造となる。ニッケルプラチナシリサイド膜CSは、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5の低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いp型不純物拡散領域PR1の表面においてもシリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜CSが形成される。このため、深いp型不純物拡散領域PR1においても低抵抗化を図ることができる。
【0179】
そして、未反応のニッケルプラチナ膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態2では、ニッケルプラチナシリサイド膜CSを形成するように構成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜CSに代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして、例えば、半導体基板1S上に負荷用MISFETQp1を形成することができる。また、ゲート電極G4を素子分離領域STI上にまで延在させることができる。
【0180】
続いて、図35に示すように、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を形成した半導体基板1S上に窒化シリコン膜SN1を形成する。この窒化シリコン膜SN1は、その後の工程で形成されるコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパとなる膜である。この窒化シリコン膜SN1は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0181】
そして、窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、窒化シリコン膜SN1を介して、ゲート電極G2、ゲート電極G4およびゲート電極G5を覆うように形成される。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOSとを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、TEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。
【0182】
次に、図36に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2およびコンタクトホールCNT4を形成する。このシェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2と、コンタクトホールCNT4は、同工程で形成される。シェアードコンタクトホールSCNT1は、ゲート電極G4の上面の一部、右側面を露出するとともに、負荷用MISFETQp1のドレイン領域(ニッケルプラチナシリサイド膜CS)の表面も露出するように形成される。一方、コンタクトホールCNT4は、負荷用MISFETQp1のソース領域(ニッケルプラチナシリサイド膜CS)の表面を露出するように形成される。
【0183】
続いて、図37に示すように、シェアードコンタクトホールSCNT1を形成することにより露出した金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成する。このように金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成するには、以下に示す処理を行なう。すなわち、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面に露出する金属膜MF2の一側面から、金属膜MF2の一部をウェットエッチングすることにより、金属膜MF2の一側面に凹部CP2を形成する。具体的に、このウェットエッチングは、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面に対して、硫酸による硫酸処理を実施した後、過酸化水素水による過水処理を実施することにより行われる。このとき、ウェットエッチングを実施する処理時間を調整することにより、金属膜MF2の側面に形成される凹部CP2の深さを調整することができる。その後、洗浄処理としてAPM洗浄を行なう。APM洗浄とは、アンモニアと過酸化水素水の混合液による洗浄処理である。
【0184】
この硫酸処理と過水処理を行なう場合、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面に露出している金属膜MF2だけがウェットエッチングされ、ポリシリコン膜PF1はエッチングされない。このため、図37に示すように、露出している金属膜MF2の側面にだけエッチングによる凹部CP2が形成される。なお、硫酸処理および過水処理は、半導体基板1Sの全面について行なわれるが、コンタクトホールCNT4からは、金属膜MF2は露出されていないので、ゲート電極G2やゲート電極G5を構成する金属膜MF2はウェットエッチングされないことになる。
【0185】
ここで、本実施の形態2では、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面に対して硫酸処理と過水処理を実施しているので、シェアードコンタクトホールSCNT1の底面に露出するニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面を充分に洗浄することができる。つまり、本実施の形態2では、シェアードコンタクトホールSCNT1の洗浄に、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面に対する洗浄効果の高い薬液を使用することができる。
【0186】
その後、図38に示すように、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2およびコンタクトホールCNT4の内部を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にチタン膜TIを形成する。このとき、本実施の形態2では、チタン膜TIをCVD法により形成する。通常、チタン膜TIは、スパッタリング法を使用して形成される。しかし、本実施の形態2では、シェアードコンタクトホールSCNT1やシェアードコンタクトホールSCNT2の内部に形成されている凹部CP2の表面にもチタン膜TIを形成する必要がある。このとき、チタン膜TIをスパッタリング法で形成する場合、凹部CP2の幾何学的配置から、凹部CP2の内部にまでチタン原子を到達させることは困難となる。そこで、本実施の形態2では、CVD法を使用することにより、チタン膜TIを形成している。なぜなら、CVD法によれば、凹部CP2の内部まで原料ガスを導入することができるので、凹部CP2の内部で化学反応によりチタン膜TIが生成され、凹部CP2の表面にコンフォーマルなチタン膜TIを生成することが可能となるからである。
【0187】
次に、図39に示すように、チタン膜TI上に窒化チタン膜TINを形成する。窒化チタン膜TINは、例えば、チタン膜TIの表面に対して、アンモニアガスによるプラズマ窒化処理により形成することができる。これにより、シェアードコンタクトホールSCNT1やシェアードコンタクトホールSCNT2から露出する凹部CP2は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填される。このチタン膜TIと窒化チタン膜TINは、後述するタングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。
【0188】
続いて、図40に示すように、窒化チタン膜TIN上にタングステン膜WFを形成する。これにより、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2の内部およびコンタクトホールCNT4の内部は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFにより埋め込まれる。タングステン膜WFは、例えば、CVD法を使用して形成することができる。通常、タングステン膜WFを形成するCVD法では、原料ガスとしてシランガスを使用するが、本実施の形態2では、シランガスを使用せず、ジボラン(B)ガスを使用している。なぜなら、ジボランガスを使用することにより、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2の内壁やコンタクトホールCNT4の内壁に与えるダメージを低減することができるからである。特に、本実施の形態2では、シェアードコンタクトホールSCNT1やシェアードコンタクトホールSCNT2の内部に凹部CP2を形成しているが、ジボランを原料ガスとするCVD法を使用することにより、凹部CP2に対するダメージも低減することが可能となる。
【0189】
なお、本実施の形態2では、凹部CP2をチタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填している。これは、タングステン膜WFを形成する際のCVD法によるカバレッジ特性よりも、プラズマ窒化処理による窒化チタン膜TINの形成の方が凹部CP2を埋め込む埋め込み特性が良好となるからである。つまり、埋め込み特性の良好なプラズマ窒化処理で形成される窒化チタン膜TINで凹部CP2を充填すれば、ボイドの発生を抑制できるからである。言い換えれば、タングステン膜WFで凹部CP2を埋め込む場合には、埋め込み特性の劣化からボイドが発生しやすくなり、凹部CP2を設けたことによる寄生抵抗の低減および接続信頼性の向上を充分に発揮できなくなるおそれがあるからである。
【0190】
その後、図41に示すように、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なチタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去する。これにより、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2およびコンタクトホールCNT4内にだけ、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFを埋め込んだシェアードプラグSPLG1〜シェアードプラグSPLG2およびプラグPLG4を形成することができる。その後は前記実施の形態1と同様にして、例えば、ダマシン法により、配線L1(図24参照)を形成する。以上のようにして、本実施の形態2における半導体装置を製造することができる。
【0191】
以下に、本実施の形態2における半導体装置の変形例を説明する。図42は、本実施の形態2における変形例1を示す図である。図42では、pチャネル型MISFETである負荷用MISFETQp1と、シェアードプラグSPLG1〜シェアードプラグSPLG2が図示されている。図42に示す変形例1も、ゲート電極G4を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成する特徴点を備えている。したがって、ゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、例えば、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0192】
図42と図24の異なる点は、図42では、ゲート電極G2(ゲート電極G4、ゲート電極G5)の側壁にオフセットスペーサOSが形成されていない点である。このようにゲート電極G2(ゲート電極G4、ゲート電極G5)の側壁にオフセットスペーサOSを形成しなくてもよい。
【0193】
図43は、本実施の形態2における変形例2を示す図である。図43では、pチャネル型MISFETである負荷用MISFETQp1と、シェアードプラグSPLG1〜シェアードプラグSPLG2が図示されている。図43に示す変形例2も、ゲート電極G4を構成する金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成する特徴点を備えている。したがって、ゲート抵抗(寄生抵抗)の低減と、例えば、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0194】
図43と図24の異なる点は、ゲート電極G2(ゲート電極G4、ゲート電極G5)の側壁に形成されているサイドウォールSWの構成である。すなわち、図24では、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成されているが、図43では、窒化シリコン膜が、例えば、熱リン酸で除去されて、酸化シリコン膜だけのサイドウォールSWとなっている。このようなサイドウォールSWは、ディスポーザルサイドウォールと呼ばれる。このようにサイドウォールSWをディスポーザルサイドウォールとしてもよい。
【0195】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、図4に示すように、例えば、素子分離領域STI上でゲートプラグGPLG1と接続するゲート電極G1において、ゲート電極G1の一部を構成する金属膜MF2の一側面に凹部CP1を形成することにより、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との間の寄生抵抗の低減および接続信頼性の向上を図っている。一方、前記実施の形態2では、図24に示すように、負荷用MISFETQp1のドレイン領域と、素子分離領域STI上に形成されているゲート電極G4とを同時に接続するシェアードプラグSPLG1において、このシェアードプラグSPLG1と接続するゲート電極G4の一部を構成する金属膜MF2の一側面に凹部CP2を形成している。これにより、前記実施の形態2においても、ゲート電極G4とシェアードプラグSPLG1との間の寄生抵抗の低減および接続信頼性の向上を図ることができるとしている。
【0196】
このように前記実施の形態1では、ゲートプラグGPLG1と接続するゲート電極G1に特徴がある一方、前記実施の形態2では、シェアードプラグSPLG1と接続するゲート電極G4に特徴がある。したがって、ゲートプラグGPLG1と接続する金属膜MF2の一側面にだけ凹部CP1を形成してもよいし、シェアードプラグSPLG1と接続するゲート電極G4の一部を構成する金属膜MF2の一側面にだけ凹部CP2を形成してもよい。さらに、ゲートプラグGPLG1と接続する金属膜MF2の一側面に凹部CP2を形成するとともに、シェアードプラグSPLG1と接続する金属膜MF2の一側面にも凹部CP2を形成してもよい。本実施の形態3では、ゲートプラグGPLG1と接続する金属膜MF2と、シェアードプラグSPLG1と接続する金属膜MF2の両方に凹部CP1(凹部CP2)を形成する製造工程について説明する。
【0197】
図44の左図は、前記実施の形態1で説明した図5から図15までの工程を経た断面図であり、図44の右図は、前記実施の形態2で説明した図25から図35までの工程を経た断面図である。前記実施の形態1の図5〜図15の工程と、前記実施の形態2の図25〜図35の工程を同時進行させることにより、図44に示す構造が形成される。
【0198】
次に、図45に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ゲートコンタクトホールGCNT1〜ゲートコンタクトホールGCNT2、シェアードコンタクトホールSCNT1〜シェアードコンタクトホールSCNT2およびコンタクトホールCNT4を形成する。以下では、ゲートコンタクトホールGCNT1とゲートコンタクトホールGCNT2の構成は同様であるので、ゲートコンタクトホールGCNT1を使用した製造工程だけを説明する。また、シェアードコンタクトホールSCNT1とシェアードコンタクトホールSCNT2の構成も同様であるので、シェアードコンタクトSCNT1を使用した製造工程だけを説明する。
【0199】
ゲートコンタクトホールGCNT1の径は、ゲート電極G1のゲート長よりも大きくなっている。したがって、ゲートコンタクトホールGCNT1を形成することにより、ゲート電極G1の上面と片側の側面が露出し、さらに、素子分離領域STIの表面の一部も露出することになる。
【0200】
また、シェアードコンタクトホールSCNT1は、ゲート電極G4の上面の一部、右側面を露出するとともに、負荷用MISFETQp1のドレイン領域(ニッケルプラチナシリサイド膜CS)の表面も露出するように形成される。一方、コンタクトホールCNT4は、負荷用MISFETQp1のソース領域(ニッケルプラチナシリサイド膜CS)の表面を露出するように形成される。
【0201】
続いて、図46に示すように、ゲートコンタクトホールGCNT1を形成することにより露出した金属膜MF2の側面に凹部CP1を形成し、シェアードコンタクトホールSCNT1を形成することにより露出した金属膜MF2の側面に凹部CP2を形成する。このように金属膜MF2の側面に凹部CP1や凹部CP2を形成するには、以下に示す処理を行なう。すなわち、ゲートコンタクトホールGCNT1やシェアードコンタクトホールSCNT1の内面に露出する金属膜MF2の一側面から、金属膜MF2の一部をウェットエッチングすることにより、金属膜MF2の一側面に凹部CP1や凹部CP2を形成する。具体的に、このウェットエッチングは、ゲートコンタクトホールGCNT1の内面やシェアードコンタクトホールSCNT1の内面に対して、硫酸による硫酸処理を実施した後、過酸化水素水による過水処理を実施することにより行われる。このとき、ウェットエッチングを実施する処理時間を調整することにより、金属膜MF2の側面に形成される凹部CP1や凹部CP2の深さを調整することができる。その後、洗浄処理としてAPM洗浄を行なう。APM洗浄とは、アンモニアと過酸化水素水の混合液による洗浄処理である。
【0202】
この硫酸処理と過水処理を行なう場合、ゲートコンタクトホールGCNT1の内面やシェアードコンタクトホールSCNT1の内面に露出している金属膜MF2だけがウェットエッチングされ、ポリシリコン膜PF1はエッチングされない。このため、図46に示すように、露出している金属膜MF2の側面にだけエッチングによる凹部CP1と凹部CP2が形成される。なお、硫酸処理および過水処理は、半導体基板1Sの全面について行なわれるが、コンタクトホールCNT4からは、金属膜MF2は露出されていないので、ゲート電極G2やゲート電極G5を構成する金属膜MF2はウェットエッチングされないことになる。
【0203】
ここで、本実施の形態3では、シェアードコンタクトホールSCNT1の内面に対して硫酸処理と過水処理を実施しているので、シェアードコンタクトホールSCNT1の底面に露出するニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面を充分に洗浄することができる。つまり、本実施の形態3では、シェアードコンタクトホールSCNT1の洗浄に、ニッケルプラチナシリサイド膜CSの表面に対する洗浄効果の高い薬液を使用することができる。
【0204】
その後、図47に示すように、ゲートコンタクトホールGCNT1、シェアードコンタクトホールSCNT1およびコンタクトホールCNT4の内部を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にチタン膜TIを形成する。このとき、本実施の形態3では、チタン膜TIをCVD法により形成する。通常、チタン膜TIは、スパッタリング法を使用して形成される。しかし、本実施の形態3では、ゲートコンタクトホールGCNT1の内部に形成されている凹部CP1や、シェアードコンタクトホールSCNT1の内部に形成されている凹部CP2の表面にもチタン膜TIを形成する必要がある。このとき、チタン膜TIをスパッタリング法で形成する場合、凹部CP1や凹部CP2の幾何学的配置から、凹部CP1や凹部CP2の内部にまでチタン原子を到達させることは困難となる。そこで、本実施の形態3では、CVD法を使用することにより、チタン膜TIを形成している。なぜなら、CVD法によれば、凹部CP1や凹部CP2の内部まで原料ガスを導入することができるので、凹部CP1と凹部CP2の内部で化学反応によりチタン膜TIが生成され、凹部CP1や凹部CP2の表面にコンフォーマルなチタン膜TIを生成することが可能となるからである。
【0205】
次に、図48に示すように、チタン膜TI上に窒化チタン膜TINを形成する。窒化チタン膜TINは、例えば、チタン膜TIの表面に対して、アンモニアガスによるプラズマ窒化処理により形成することができる。これにより、ゲートコンタクトホールGCNT1から露出する凹部CP1や、シェアードコンタクトホールSCNT1から露出する凹部CP2は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填される。このチタン膜TIと窒化チタン膜TINは、後述するタングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。
【0206】
続いて、図49に示すように、窒化チタン膜TIN上にタングステン膜WFを形成する。これにより、ゲートコンタクトホールGCNT1、シェアードコンタクトホールSCNT1およびコンタクトホールCNT4の内部は、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFにより埋め込まれる。タングステン膜WFは、例えば、CVD法を使用して形成することができる。通常、タングステン膜WFを形成するCVD法では、原料ガスとしてシランガスを使用するが、本実施の形態3では、シランガスを使用せず、ジボラン(B)ガスを使用している。なぜなら、ジボランガスを使用することにより、ゲートコンタクトホールGCNT1とシェアードコンタクトホールSCNT1の内壁やコンタクトホールCNT4の内壁に与えるダメージを低減することができるからである。特に、本実施の形態3では、ゲートコンタクトホールGCNT1の内部に凹部CP1を形成し、シェアードコンタクトホールSCNT1の内部に凹部CP2を形成しているが、ジボランを原料ガスとするCVD法を使用することにより、凹部CP1や凹部CP2に対するダメージも低減することが可能となる。
【0207】
なお、本実施の形態3では、凹部CP1や凹部CP2をチタン膜TIと窒化チタン膜TINで充填している。これは、タングステン膜WFを形成する際のCVD法によるカバレッジ特性よりも、プラズマ窒化処理による窒化チタン膜TINの形成の方が凹部CP1や凹部CP2を埋め込む埋め込み特性が良好となるからである。つまり、埋め込み特性の良好なプラズマ窒化処理で形成される窒化チタン膜TINで凹部CP1や凹部CP2を充填すれば、ボイドの発生を抑制できるからである。言い換えれば、タングステン膜WFで凹部CP2を埋め込む場合には、埋め込み特性の劣化からボイドが発生しやすくなり、凹部CP1や凹部CP2を設けたことによる寄生抵抗の低減および接続信頼性の向上を充分に発揮できなくなるおそれがあるからである。
【0208】
その後、図50に示すように、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なチタン膜TI、窒化チタン膜TINおよびタングステン膜WFを、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去する。これにより、ゲートコンタクトホールGCNT1、シェアードコンタクトホールSCNT1およびコンタクトホールCNT4内に、チタン膜TIと窒化チタン膜TINとタングステン膜WFを埋め込んだゲートプラグGPLG1、シェアードプラグSPLG1およびプラグPLG4を形成することができる。その後は前記実施の形態1や前記実施の形態2と同様にして、例えば、ダマシン法により、配線L1(図4や図24参照)を形成する。以上のようにして、本実施の形態3における半導体装置を製造することができる。
【0209】
(実施の形態4)
前記実施の形態1では、例えば、図4に示すように、ゲート電極G1の一部を構成する金属膜MF2の一側面に凹部CP1を形成する例を説明しているが、本実施の形態4では、金属膜MF2の両側の側面から金属膜MF2を完全に除去する例について説明する。
【0210】
図51は、本実施の形態4におけるゲートコンタクト領域を示す断面図である。図51に示すゲートコンタクト領域は、図3のB−B線で切断した断面に相当する。図51において、本実施の形態4の特徴は、ゲート電極G1(ゲート電極G3)のゲート長に比べて、ゲートコンタクトホールGCNT1(ゲートコンタクトホールGCNT2)の径が大きくなっており、かつ、ゲートコンタクトホールGCNT1(ゲートコンタクトホールGCNT2)からゲート電極G1(ゲート電極G3)の上面と、両側の側面が露出している点にある。そして、ゲートコンタクト領域では、ゲート電極G1(ゲート電極G3)を構成するポリシリコン膜PF1の下層にある金属膜MF2が除去されており、金属膜MF2が除去された領域に導電材料であるチタン膜TIおよび窒化チタン膜TINが充填されている。
【0211】
このことから、ゲートプラグGPLG1とゲート電極G1との接続は、ゲート電極G1の上面と、ゲート電極G1の両側面と、ポリシリコン膜PF1の底面で行なわれることになる。同様に、ゲートプラグGPLG2とゲート電極G3との接続は、ゲート電極G3の上面と、ゲート電極G3の両側面と、ポリシリコン膜PF1の底面で行なわれることになる。このため、本実施の形態4によれば、例えば、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接触面積を大きくすることができ、ゲート抵抗(寄生抵抗)をさらに低減することができる。また、ゲート電極G1の両側の側面とポリシリコン膜PF1の底面でもゲート電極G1とゲートプラグGPLG1とを電気的に接続するので、ゲート電極G1とゲートプラグGPLG1との接続信頼性を向上することができる。
【0212】
なお、本実施の形態4における半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1における半導体装置の製造方法とほぼ同様である。異なる点は、本実施の形態4では、図16の右図において、ゲート電極G1の両側の側面を露出するようにゲートコンタクトホールGCNT1を形成する点であり、さらに、図17の右図において、ポリシリコン膜PF1の下層にある金属膜MF2をウェットエッチング(硫酸処理および過水処理)によって除去する点である。それ以外の工程は、前記実施の形態1と同様である。以上のようにして、本実施の形態4における半導体装置を製造することができる。
【0213】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0215】
1 CPU
1S 半導体基板
2 RAM
3 アナログ回路
4 EEPROM
5 フラッシュメモリ
6 I/O回路
A 蓄積ノード
An1 アクティブ領域
An2 アクティブ領域
Ap1 アクティブ領域
Ap2 アクティブ領域
B 蓄積ノード
BCF バリア導体膜
BIF バリア絶縁膜
CF 銅膜
CIL コンタクト層間絶縁膜
CNT1 コンタクトホール
CNT2 コンタクトホール
CNT3 コンタクトホール
CNT4 コンタクトホール
CP1 凹部
CP2 凹部
CS ニッケルプラチナシリサイド膜
DL データ線
(バー)DL データ線
EX1 浅いn型不純物拡散領域
EX2 浅いp型不純物拡散領域
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
G3 ゲート電極
G4 ゲート電極
G5 ゲート電極
G6 ゲート電極
GCNT1 ゲートコンタクトホール
GCNT2 ゲートコンタクトホール
GOX1 ゲート絶縁膜
GOX2 ゲート絶縁膜
GPLG1 ゲートプラグ
GPLG2 ゲートプラグ
HF 酸化ハフニウム膜
IL1 層間絶縁膜
INV1 CMOSインバータ
INV2 CMOSインバータ
L1 配線
LF 酸化ランタン膜
MC メモリセル
MF1 金属膜
MF2 金属膜
NR1 深いn型不純物拡散領域
NWL n型ウェル
OS オフセットスペーサ
PF1 ポリシリコン膜
PLG1 プラグ
PLG2 プラグ
PLG3 プラグ
PLG4 プラグ
PR1 深いp型不純物拡散領域
PWL p型ウェル
Qd1 駆動用MISFET
Qd2 駆動用MISFET
Qp1 負荷用MISFET
Qp2 負荷用MISFET
Qt1 転送用MISFET
Qt2 転送用MISFET
SCNT1 シェアードコンタクトホール
SCNT2 シェアードコンタクトホール
SN1 窒化シリコン膜
SPLG1 シェアードプラグ
SPLG2 シェアードプラグ
STI 素子分離領域
SW サイドウォール
TI チタン膜
TIN 窒化チタン膜
Vcc 電源電圧
Vss 基準電圧
WF タングステン膜
WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板に形成された素子分離領域と、
(c)前記素子分離領域で区画された活性領域に形成されたMISFETと、
(d)前記MISFETを覆うように前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
(e)前記第1絶縁膜を貫通するように形成されたプラグとを備え、
前記MISFETは、
(f)前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
(g)前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
(h)前記半導体基板内に形成されたソース領域と、
(i)前記半導体基板内に形成されたドレイン領域とを有し、
前記ゲート電極は、
(g1)前記ゲート絶縁膜上に形成された金属または金属化合物からなる第1導体膜と、
(g2)前記第1導体膜上に形成されたポリシリコン膜を含む第2導体膜から形成され、
前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極は、前記活性領域から前記素子分離領域にわたって延在しており、前記素子分離領域上で前記ゲート電極と前記プラグが電気的に接続されている半導体装置であって、
前記素子分離領域上において、前記第1導体膜の一側面には凹部が形成されており、
前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記プラグの径は、前記ゲート電極のゲート長よりも大きく形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記プラグの底面の一部は、前記ゲート電極の上面と接触しており、
前記プラグの底面の他の一部は、前記素子分離領域と接触していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置であって、
前記プラグは、前記第1絶縁膜に形成されたコンタクトホールに導電材料を埋め込むことにより形成されており、
前記第1導体膜の一側面に形成されている前記凹部内にも前記導電材料が埋め込まれていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置であって、
前記プラグは、
(e1)前記コンタクトホールの内部に形成されたバリア導体膜と、
(e2)前記バリア導体膜上で前記コンタクトホールを埋め込むように形成されたタングステン膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜の一側面に形成されている前記凹部は、前記バリア導体膜で充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置であって、
前記バリア導体膜は、チタン膜と前記チタン膜上に形成された窒化チタン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記ゲート絶縁膜は、酸化シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、窒化チタン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記第2導体膜は、前記ポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に形成されたシリサイド膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板に形成された素子分離領域と、
(c)前記素子分離領域で区画された第1活性領域に形成された第1MISFETと、
(d)前記素子分離領域で区画された第2活性領域に形成された第2MISFETと、
(e)前記第1MISFETおよび前記第2MISFETを覆うように前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
(f)前記第1絶縁膜を貫通するように形成されたプラグとを備え、
前記第1MISFETは、
(g)前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
(h)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
(i)前記半導体基板の前記第1活性領域内に形成された第1ソース領域と、
(j)前記半導体基板内の前記第1活性領域内に形成された第1ドレイン領域とを有し、
前記第1ゲート電極は、
(h1)前記第1ゲート絶縁膜上に形成された金属または金属化合物からなる第1導体膜と、
(h2)前記第1導体膜上に形成されたポリシリコン膜を含む第2導体膜から形成され、
前記第1ゲート絶縁膜および前記第1ゲート電極は、前記第1活性領域から前記素子分離領域にわたって延在しており、
前記第2MISFETは、
(k)前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
(l)前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
(m)前記半導体基板の前記第2活性領域内に形成された第2ソース領域と、
(n)前記半導体基板の前記第2活性領域内に形成された第2ドレイン領域とを有し、
前記プラグは、前記素子分離領域上に形成されている第1ゲート電極と、前記第2活性領域に形成されている第2ドレイン領域との両方に電気的に接続するように配置されている半導体装置であって、
前記素子分離領域上において、前記第1導体膜の一側面には凹部が形成されており、
前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記プラグの底面の一部は、前記第1ゲート電極の上面と接触しており、
前記プラグの底面の他の一部は、前記第2ドレイン領域と接触していることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置であって、
前記プラグは、前記第1絶縁膜に形成されたコンタクトホールに導電材料を埋め込むことにより形成されており、
前記第1導体膜の一側面に形成されている前記凹部内にも前記導電材料が埋め込まれていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置であって、
前記プラグは、
(f1)前記コンタクトホールの内部に形成されたバリア導体膜と、
(f2)前記バリア導体膜上で前記コンタクトホールを埋め込むように形成されたタングステン膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜の一側面に形成されている前記凹部は、前記バリア導体膜で充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置であって、
前記バリア導体膜は、チタン膜と前記チタン膜上に形成された窒化チタン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート絶縁膜および前記第2ゲート絶縁膜は、酸化シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、窒化チタン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置であって、
前記第2導体膜は、前記ポリシリコン膜と、前記ポリシリコン膜上に形成されたシリサイド膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項11記載の半導体装置であって、
前記第1MISFETおよび前記第2MISFETは、SRAMを構成する半導体素子であることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
(a)半導体基板に活性領域を区画する素子分離領域を形成する工程と、
(b)前記半導体基板の前記活性領域上から前記素子分離領域上にわたってゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記ゲート絶縁膜上に金属あるいは金属化合物からなる第1導体膜を形成する工程と、
(d)前記第1導体膜上にポリシリコン膜を含む第2導体膜を形成する工程と、
(e)前記第2導体膜と前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記活性領域から前記素子分離領域に延在するゲート電極を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の前記活性領域内にソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、
(g)前記ゲート電極を覆うように前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記第1絶縁膜を貫通して、前記ゲート電極の上面の一部と、前記ゲート電極の一側面と、前記素子分離領域の表面の一部を露出するコンタクトホールを形成する工程と、
(i)前記コンタクトホールの内面に露出する前記第1導体膜の一側面から前記第1導体膜の一部をウェットエッチングすることにより、前記第1導体膜の一側面に凹部を形成する工程と、
(j)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込むことにより、プラグを形成する工程とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第2導体膜の上面の一部と、前記第2導体膜の一側面と、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で接触していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(i)工程によるウェットエッチングは、前記コンタクトホールの内面に対して、硫酸による硫酸処理を実施した後、過酸化水素水による過水処理を実施する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(j)工程は、
(j1)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内面にバリア導体膜を形成する工程と、
(j2)前記バリア導体膜上にタングステン膜を形成して前記コンタクトホールを前記バリア導体膜と前記タングステン膜で埋め込む工程と、
(j3)前記第1絶縁膜上に形成された不要な前記バリア導体膜と前記タングステン膜を除去する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(j1)工程は、前記凹部を含む前記コンタクトホールの内面にCVD法を使用することによりチタン膜を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項24記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(j1)工程は、さらに、前記チタン膜の表面に対して、アンモニアガスを使用したプラズマ窒化処理を施すことにより、前記チタン膜の表面に窒化チタン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項25記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(j2)工程は、ジボランを原料とするCVD法により前記タングステン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項26記載の半導体装置の製造方法であって、
前記凹部は、前記チタン膜と前記チタン膜の表面に形成された窒化チタン膜で充填されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
(a)半導体基板に素子分離領域を形成することにより、第1MISFET形成領域と第2MISFET形成領域とを区画する工程と、
(b)前記第1MISFET形成領域に第1ゲート絶縁膜を形成し、前記第2MISFET形成領域に第2ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記第1MISFET形成領域の前記第1ゲート絶縁膜上、および、前記第2MISFET形成領域の前記第2ゲート絶縁膜上に、金属あるいは金属化合物からなる第1導体膜を形成する工程と、
(d)前記第1導体膜上に、ポリシリコン膜を含む第2導体膜を形成する工程と、
(e)前記第2導体膜および前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記第1MISFET形成領域から前記素子分離領域に延在する第1ゲート電極を形成し、前記第2MISFET形成領域から前記素子分離領域に延在する第2ゲート電極を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の前記第1MISFET形成領域に第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成する工程と、
(g)前記半導体基板の前記第2MISFET形成領域に第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程と、
(h)前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(i)前記第1絶縁膜を貫通して、前記素子分離領域上に形成されている前記第1ゲート電極の上面の一部と、前記素子分離領域上に形成されている前記第1ゲート電極の一側面と、前記第2MISFET形成領域に形成されている前記第2ドレイン領域を露出するコンタクトホールを形成する工程と、
(j)前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜であって前記コンタクトホールの内面に露出する前記第1導体膜の一側面から前記第1導体膜の一部をウェットエッチングすることにより、前記第1ゲート電極を構成する前記第1導体膜の一側面に凹部を形成する工程と、
(k)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内部に導電材料を埋め込むことにより、プラグを形成する工程とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜と前記プラグとは、前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜の上面の一部と、前記第1ゲート電極を構成する前記第2導体膜の一側面と、前記第1ゲート電極を構成し、前記凹部から露出する前記第2導体膜の底部の一部で接触していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項29】
請求項28記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(j)工程によるウェットエッチングは、前記コンタクトホールの内面に対して、硫酸による硫酸処理を実施した後、過酸化水素水による過水処理を実施する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項30】
請求項29記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(k)工程は、
(k1)前記凹部を含む前記コンタクトホールの内面にバリア導体膜を形成する工程と、
(k2)前記バリア導体膜上にタングステン膜を形成して前記コンタクトホールを前記バリア導体膜と前記タングステン膜で埋め込む工程と、
(k3)前記第1絶縁膜上に形成された不要な前記バリア導体膜と前記タングステン膜を除去する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項30記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(k1)工程は、前記凹部を含む前記コンタクトホールの内面にCVD法を使用することによりチタン膜を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項31記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(k1)工程は、さらに、前記チタン膜の表面に対して、アンモニアガスを使用したプラズマ窒化処理を施すことにより、前記チタン膜の表面に窒化チタン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項33】
請求項32記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(k2)工程は、ジボランを原料とするCVD法により前記タングステン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項34】
請求項33記載の半導体装置の製造方法であって、
前記凹部は、前記チタン膜と前記チタン膜の表面に形成された窒化チタン膜で充填されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2011−96904(P2011−96904A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250569(P2009−250569)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】