説明

半導体集積回路装置およびその製造方法

ポリメタルゲートを構成する高融点金属膜の洗浄工程における欠けを防止し、装置の特性を向上させ、また、洗浄効率を向上させるため、基板1上の低抵抗多結晶シリコン膜9a、WN膜9bおよびW膜9cを、窒化シリコン膜10をマスクにドライエッチングし、これらの膜よりなるゲート電極9を形成し、ウエットハイドロゲン酸化により薄い酸化膜9dを形成した後、RPN法を用いて窒化処理を行い、ゲート電極の側壁から露出したW膜9cをWN膜9eとする。その結果、その後の洗浄工程、例えば、n型半導体領域11やp型半導体領域12の形成時に行われる、1)レジスト膜のホトリソグラフィー工程、2)不純物の注入工程、3)レジスト膜の除去工程および4)基板表面の洗浄工程が繰り返し行われても、W膜9cの欠けを防止でき、また、洗浄液としてU洗浄液やフッ酸系の洗浄液のような強い洗浄液を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置およびその製造技術に関し、特に、ゲート電極として高融点金属膜や高融点金属のシリサイド膜を用いたMISFETを有する半導体集積回路装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
MISFETのゲート電極の低抵抗化を図るため、ゲート電極を多結晶シリコン膜とタングステン等の高融点金属との積層膜(いわゆるポリメタルゲート)とする、もしくはゲート電極を多結晶シリコン膜と高融点金属のシリサイド膜との積層膜(いわゆるポリサイドゲート)とする技術がある。
例えば、特開平9−321239号公報には、多結晶シリコン膜、TiN膜およびW膜よりなるゲート電極を有するDRAM(Dynamic Random Access Memory)が開示されている。
また、窒化シリコン膜17とサイドウォールスペーサ(窒化シリコン膜)18とを500℃以下の低温で堆積することにより、ゲート電極(ビット線BL)を構成するW膜の表面の酸化を防止する技術が開示されている。
本発明者らは、DRAMとロジックLSIとを同一半導体基板上に形成する半導体集積回路装置の研究・開発を行っている。
このDRAMは、情報転送用MISFETとこれに直列に接続された情報蓄積用容量素子からなるメモリセルを有している。また、ロジックLSIは、nチャネル型MISFETやpチャネル型MISFETを適宜組み合わせた論理回路を有している。
また、MISFETのゲート電極には、前述したように、ゲート電極の低抵抗化を図るため、ポリメタルゲートやポリサイドゲートが用いられている。
しかしながら、本発明者らがポリメタルゲートを採用した半導体集積回路装置について検討した結果、ポリメタルゲートにおいては、タングステン(W)等の消失に留意し、洗浄等の処理を行う必要があることが判明した。
追って詳細に説明するように、例えば、ポリメタルゲートの加工直後からゲート電極の側壁にサイドウォール膜を形成するまでの期間は、ゲート電極の側壁からW膜等の高融点金属がむきだしの状態となる。
このため前述の期間には、W膜等の高融点金属を溶解させる過酸化水素水(H)やフッ酸(HF)等の強い洗浄液を用いた洗浄を行うことができず、水(HO)や温水を用いた洗浄ができるにすぎなかった。
その結果、異物の除去率が低下する等、洗浄効率が低下し、以降のプロセスや歩留まり等に悪影響を与えていた。
また、水洗を採用しても、熱処理後にフォトリソグラフィーおよび水洗処理が行われた場合にはW膜が欠けることが判明した。
さらに、サイドウォール膜形成後は、過酸化水素水(H)等の強い洗浄液を用いた洗浄が可能であると考えられているが、一部にW膜が欠けたパターンが確認されるウエハが存在した。
これは、追って詳細に説明するように、異物がW膜の上部や側壁に付着し、サイドウォール膜の形成までの処理によってW膜の上部や側壁が露出した状態となり、この露出部が洗浄液等により侵食されたものと考えられる。
このようなW膜の欠けが生じると、MISFETの特性が劣化し、また、不良となる。
本発明の目的は、半導体集積回路装置の特性を向上させることにある。特に、ゲート電極中に高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有するMISFETの洗浄効率を向上させ、また、ゲート電極の欠けを防止することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【発明の開示】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の半導体集積回路装置の製造方法は、(a)半導体基板上に絶縁膜を介し高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有する導電性膜を形成する工程と、(b)前記導電性膜を選択的にエッチングすることにより導体片を形成する工程と、(c)前記(b)工程の後、前記導体片の側壁から露出した前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜の側面を窒化する工程と、(d)前記(c)工程の後、前記半導体基板を洗浄する工程と、を有するものである。
本発明の半導体集積回路装置の製造方法は、(a)半導体基板上に絶縁膜を介し高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有する導電性膜を形成する工程と、(b)前記導電性膜を選択的にエッチングすることにより導体片を形成する工程と、(c)前記(b)工程の後、前記半導体基板上に他の絶縁膜を堆積し、異方的にエッチングすることによって、前記導体片の側壁に側壁膜を形成する工程と、(d)前記(c)工程の後、前記導体片および前記側壁膜の露出表面を窒化する工程と、(e)前記(d)工程の後、前記半導体基板を洗浄する工程と、を有するものである。
本発明の半導体集積回路装置は、(a)半導体基板上に絶縁膜を介して形成された導体片と、(b)前記導体片の両側の前記半導体基板中に不純物領域を有する半導体集積回路装置であって、(c)前記導体片は、少なくともその一部が高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜で構成され、前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜の側壁には前記高融点金属の窒化膜が形成されているものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図3は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図4は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図5は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図6は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図7は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図8は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図9は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図10は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図11は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図12は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図13は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図14は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図15は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図16は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図17は、本発明の実施の形態1である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図18は、本発明の実施の形態2である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図19は、本発明の実施の形態2である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図20は、本発明の実施の形態2である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図21は、本発明の実施の形態2の効果を説明するための半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図22は、本発明の実施の形態2の効果を説明するための半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図23は、本発明の実施の形態2の効果を説明するための半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図24は、本発明の実施の形態2の効果を説明するための半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図25は、本発明の実施の形態2である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図26は、本発明の実施の形態2である他の半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
図27は、本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法を図1〜図17を用いて工程順に説明する。なお、図1〜図17は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図であり、各図の左部はDRAMのメモリセルが形成される領域(メモリセル形成領域)MAを示し、右部は論理回路等が形成される周辺回路形成領域PAを示している。また、必要に応じてゲート電極部の拡大図を記載してある。
まず、図1に示すように、例えばp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(以下単に「基板」という)1中に、素子分離2を形成する。この素子分離2は、例えば基板1の素子分離領域をエッチングすることにより溝を形成し、熱酸化することによって、溝の内壁に薄い酸化シリコン膜6を形成した後、溝の内部に絶縁膜として酸化シリコン膜7を埋め込むことにより形成する。
次に、基板1にp型不純物(例えばホウ素)およびn型不純物(例えばリン)をイオン打ち込みした後、約1000℃の熱処理を施すことにより、メモリセル形成領域MAの基板1にp型ウエル3および深いn型ウエル5を形成し、周辺回路形成領域PAの基板1にp型ウエル3およびn型ウエル4を形成する。この熱処理は、不純物イオンの活性化、基板1に生じた結晶欠陥等の修復のために行われる。
また、この際、p型ウエル3およびn型ウエル4の表面に、MISFETの閾値調整用の不純物をイオン打ち込みする(チャネルインプラ領域)。
次に、図2に示すように、フッ酸系の洗浄液を用いて基板1の表面をウェット洗浄した後、ゲート絶縁膜8として例えば酸化シリコン膜を約800℃の熱酸化により形成する。
次に、ゲート絶縁膜8上に例えばリン(P)をドープした膜厚70nm程度の低抵抗多結晶シリコン膜9aをCVD(Chemical Vapor Deposition)法で堆積し、続いてその上部にスパッタリング法で膜厚50nm程度の窒化タングステン(WN)膜9bおよび膜厚100nm程度のタングステン(W)膜9cを堆積し、さらにその上部にCVD法で窒化シリコン膜10を堆積する。
W膜9cは、ゲート電極の抵抗を下げるために用いられ、他の高融点金属を用いてもよい。また、タングステンシリサイド(WSi)膜等、高融点金属のシリサイド膜を用いてもよい。
また、WN膜9bは、W膜9cと多結晶シリコン膜9aが接触することにより不所望の反応層が形成されることを防ぐためのバリア膜であり、窒化チタン(TiN)膜等の他のバリア膜を用いてもよい。
高融点金属膜や高融点金属のシリサイド膜をゲート電極として直接ゲート絶縁膜の上部に形成しないのは、膜応力によりゲート絶縁膜の耐圧が劣化する、また、ゲート絶縁膜が金属により汚染されその特性が劣化する等の理由による。
次に、図3に示すように、フォトレジスト膜(以下単に「レジスト膜」という、図示せず)をマスクに窒化シリコン膜10をドライエッチングし、レジスト膜を除去する。さらに、窒化シリコン膜10をマスクに多結晶シリコン膜9a、WN膜9bおよびW膜9cをドライエッチングし、これらの膜よりなるゲート電極(導体片)9を、メモリセル形成領域MAおよび周辺回路形成領域PAに形成する。なお、メモリセル形成領域MAに形成されたゲート電極9は、ワード線WLとして機能する。
次いで、図4に示すように、ウエットハイドロゲン(Wet.Hydrogen)酸化により多結晶シリコン膜9aの側壁に4nm程度の薄い酸化膜9dを形成する。この酸化は、多結晶シリコン膜9a等のドライエッチングの際に生じたゲート絶縁膜8のダメージを回復させるために行う。W膜等の高融点金属は非常に酸化されやすいが、例えば、水蒸気/水素混合ガス中でのライト酸化(ウエットハイドロゲン酸化)を行った場合には、W膜を酸化することなく、シリコン(多結晶シリコン、シリコン基板)のみを選択的に酸化することができる。なお、図4においては、ゲート電極部の拡大図を図の上部に記載してある(図5〜図11について同じ)。
次いで、図5に示すように、基板(ゲート電極の側壁)を窒化する。この窒化は、例えばRPN(リモートプラズマナイトライゼイション:Remote Plasma Nitrization)法を用いて行うことができる。
RPN装置の処理室(チャンバ)には、例えばマイクロ波を用いた遠隔式のプラズマ発生部が設けられている。
このマイクロ波が導入されるプラズマ発生部に窒素や窒素化合物ガス等の原料ガスが供給されると、マイクロ波により窒素ラジカルや窒素イオンラジカル等の活性種が生じる。この活性種がチャンバ内に収容された基板上に供給され、ゲート電極の側壁から露出したW膜9cと反応して窒化タングステン(WN)膜9eが形成される。WN膜の膜厚は、例えば1nm程度である。なお、図中のWN膜9eは、見やすくするため厚く記載してある。即ち、ゲート電極9の側壁から露出したW膜9cが窒化される。この際、酸化膜9dの表面も窒化され、例えば酸窒化膜と酸化膜の積層膜となる。同様に基板表面のゲート絶縁膜8の表面も窒化され、例えば、その上部が酸窒化膜となる。なお、図5以外の断面図においてこの酸窒化膜の表記を省略する。
なお、本実施の形態においては、RPN法を用いた窒化を行ったが、少なくともW膜を窒化できる方法であれば他の方法を用いてもよい。但し、前述したようにRPN法では、プラズマ雰囲気下で窒化が行われるため、プラズマにより窒化反応を促進させることができる。従って、窒化膜の成膜性が良くなる。また、処理温度を高くすることにより反応の促進する熱窒化の場合等と比べ、他の部位に対するダメージを低減できる等の利点がある。
このように、本実施の形態によれば、ゲート電極の側壁から露出したW膜を窒化したので、W膜9cの側壁がWN膜で覆われることとなり、その後の洗浄工程におけるW膜の侵食(溶解)を防止することができる。
なお、例えば窒化シリコン膜等の窒化膜を基板上に堆積することによりゲート電極を構成するW膜の側壁を窒化膜で覆うことも可能であるが、この場合、薄い酸化膜9dの側壁にも窒化膜が形成され、後述するn型半導体領域11やp型半導体領域12がゲート電極に対しオフセット構造となる。また、基板表面にも窒化膜が形成され、これがn型半導体領域11やp型半導体領域12の形成時のイオン打ち込みの障害となる等の問題がある。また、窒化膜を薄膜化し、前記問題を低減することも可能ではあるが、薄い膜では洗浄に対する耐性の確保が困難となる。また、CVD膜等の堆積膜を薄く形成することは困難である。
これに対し、本実施の形態においては、窒化処理によりゲート電極を構成するW膜の側壁に窒化膜を形成したので、ゲート電極9の側壁から内側にWN膜が形成され、オフセットの問題を回避することができる。また、基板表面に残存する絶縁膜の厚膜化を防止でき、イオン打ち込みの際の障害を低減できる。また、窒化処理の時間や条件を調整することによりWN膜の膜厚を容易に制御することができる。なお、WN膜は導電性である。
この窒化処理工程は、ウエットハイドロゲン酸化工程の後に行うことが好ましい。多結晶シリコン膜9aの側壁が窒化され、窒化シリコン膜が形成された後においては、ゲート絶縁膜8のダメージを回復させる程度の酸化が困難となる恐れがあるからである。
また、この窒化処理工程は、その後の洗浄工程の前に行うことが望ましい。その後の洗浄工程の代表的なものとしては、ホトリソ工程後の洗浄処理、具体的には、1)レジスト膜のホトリソグラフィー工程、2)不純物の注入工程、3)レジスト膜の除去工程および4)基板表面の洗浄工程が挙げられる。この1)〜4)の工程は、打ち込む不純物の種類や領域に応じて複数回繰り返される。このうち、最初の洗浄工程の前に窒化処理を行うことが望ましい。
次いで、図6に示すように、基板1上にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィー工程により周辺回路形成領域PAのn型ウエル4上にのみレジスト膜R1を残存させる。
次いで、レジスト膜R1をマスクに、n型不純物を注入することによって、メモリセル形成領域MAのゲート電極9の両側のp型ウエル3中にn型半導体領域11を形成し、また、周辺回路形成領域PAのゲート電極9の両側のp型ウエル3にn型不純物を注入することによってn型半導体領域11を形成する。
次いで、レジスト膜R1をアッシングにより除去した後、基板1を洗浄する。
例えば、以下に示すU洗浄やフッ酸洗浄を行う。
U洗浄とは、硫酸/過酸化水素溶液、アンモニア/過酸化水素溶液、もしくは硝酸等の酸化性溶液を用いた洗浄をいう。かかる洗浄は、異物、特に有機化合物を酸化分解して除去するもので、レジスト残渣等の除去に有効である。
また、フッ酸洗浄とは、フッ酸を含有する溶液(例えば、希フッ酸もしくは希フッ酸/過酸化水素混合液)を用いた洗浄をいう。かかる洗浄は、酸化シリコン膜を僅かにエッチングし、例えば酸化シリコン膜上の異物をリフトオフ的に除去するものである。
このように、本実施の形態によれば、ゲート電極の側壁から露出したW膜を窒化したので、洗浄液としてU洗浄液やフッ酸系の洗浄液のような強い洗浄液を用いることができる。その結果、洗浄効率が向上し、異物による特性の劣化や歩留まり低下を低減することができる。
これに対して、上記窒化工程を行わない場合には、後述するサイドウォール膜の形成工程までは、W膜9cがゲート電極9の側壁から露出した状態となり、洗浄液としてU洗浄液やフッ酸系の洗浄液のような強い洗浄液が使えないばかりか、水洗や温水洗を行う場合にもW膜の侵食(溶解)による消失が見られる。
なお、レジスト膜の除去の後に、U洗浄およびフッ酸洗浄を行う必要はなく、どちらか一方の洗浄でも良い。また、上記洗浄液は一例であり他の洗浄液を用いた洗浄を行ってもよい。さらに、レジスト膜の除去と洗浄とを必ずしもセットで行う必要はなく、基板のクリーン度に応じて2回のレジスト膜の除去毎に行う等、洗浄工程のタイミングは適宜変更可能である。
次いで、図7に示すように、基板1上にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィー工程により、メモリセル形成領域MAおよび周辺回路形成領域PAのp型ウエル3上に、レジスト膜R2を形成する。言い換えれば、周辺回路形成領域PAのn型ウエル4上に開口を有するレジスト膜R2を形成する。
次いで、レジスト膜R2をマスクに、p型不純物を注入することによって、メモリセル形成領域MAのゲート電極9の両側のn型ウエル4中にp型半導体領域12を形成する。
なお、本実施の形態においては、n型半導体領域11を同一の工程で形成したが、MISFETの特性に応じてこれらの領域の不純物濃度やその深さが異なる場合には、これらを別々の工程で形成する必要があり、さらに、ホトリソ工程が増えることとなる。
また、周辺回路形成領域PAには、種々の特性のMISFETが形成される場合には、同じ導電型のMISFETであっても、不純物を打ち分ける必要があり、ホトリソ工程が増えることとなる。なお、装置の具体的構成によっても異なるが、後述するサイドウォール膜形成工程までに、通常5もしくは6回程度の上記1)〜4)の工程(ホトリソ〜洗浄工程)が行われる。なお、サイドウォール膜形成工程後にも5回程度のホトリソ〜洗浄工程が行われる。このホトリソ〜洗浄工程は、装置の高性能化の要求から同一基板上に形成される素子が多種となるに伴い、多くなる傾向にある。
また、図8に示すように、周辺回路形成領域PAのp型ウエル3のn型半導体領域11の周囲にp型半導体領域PKp、n型ウエル4のp型半導体領域12の周囲にn型半導体領域PKnを形成してもよいこれらの領域は、n型半導体領域11もしくはp型半導体領域12からの空乏層の広がりを抑え、短チャネル効果を抑制する役割を果たす。なお、p型半導体領域PKpは、周辺回路形成領域PAのp型ウエル3上に開口を有するレジスト膜をマスクに、n型半導体領域PKnは、周辺回路形成領域PAのn型ウエル4上に開口を有するレジスト膜をマスクに、不純物を打ち込むことにより形成することができる。
次に、900℃、1分のRTP(ラビッド・サーマル・プロセス、熱処理)により、不純物の活性化を行う。
さらに、この後、必要に応じて周辺回路形成領域PAに不純物を注入し、拡散抵抗(図示せず)を形成してもよい。この不純物の注入の際にも、前述の1)〜4)の工程が行われる。特に、不純物の活性化のための熱処理を加えた後に洗浄を行うと、W膜の侵食(溶解)が起こりやすい。しかしながら、本実施の形態においては、ゲート電極の側壁から露出したW膜を窒化したので、熱処理後の洗浄工程においてもW膜の侵食(溶解)を防止することができる。
次いで、図9に示すように、基板1の上部にCVD法で膜厚50nm程度の窒化シリコン膜13を堆積し、メモリセル形成領域MA上をレジスト膜で覆う。この窒化シリコン膜13は、メモリセル形成領域MAにおいては、後述するシリサイド膜形成工程のマスクとして、周辺回路形成領においては、サイドウォール膜形成用の膜として用いられる。
次いで、周辺回路形成領域PA上の窒化シリコン膜13を異方的にエッチングすることによって、周辺回路形成領域PAのゲート電極9の側壁にサイドウォール膜13sを形成する。
次に、図10に示すように、周辺回路形成領域PAのp型ウエル3にn型不純物(リンまたはヒ素)をイオン打ち込みすることによってn型半導体領域14(ソース、ドレイン)を形成し、n型ウエル4にp型不純物(ホウ素)をイオン打ち込みすることによってp型半導体領域15(ソース、ドレイン)を形成する。次に、900℃、1分のRTPにより、不純物の活性化を行う。
ここまでの工程で、周辺回路形成領域PAにLDD(Lightly Doped Drain)構造のソース、ドレインを備えたnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpが形成される。
次に、図11に示すように、基板1の上部に、高融点金属膜としてコバルト(Co)膜を、スパッタ法により堆積する。次いで、Co膜と周辺回路形成領域PAのn型半導体領域14およびp型半導体領域15との接触部において、シリサイド化反応を生じさせることにより、コバルトシリサイド層16を形成する。このコバルトシリサイド層16は、例えば500℃〜600℃で、1分間の熱処理により形成する。次いで、未反応のCo膜を除去する。さらに、700℃〜800℃で、1分間の熱処理を施すことにより、コバルトシリサイド層16の低抵抗化を図る。
続いて、図12に示すように、基板1の上部にCVD法で膜厚20nm〜50nm程度の窒化シリコン膜17を堆積する。この窒化シリコン膜17は、後述するコンタクトホール19、23および24形成時のストッパ膜として使用される。
次いで、窒化シリコン膜17の上部に、絶縁膜として例えばCVD法で膜厚700nm〜800nm程度の酸化シリコン膜18を堆積した後、酸化シリコン膜18をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法で研磨してその表面を平坦化することによって層間絶縁膜を形成する。
次に、図13に示すように、メモリセル形成領域MAのn型半導体領域11の上部の酸化シリコン膜18および窒化シリコン膜17、13をエッチングにより除去することにより、コンタクトホール19を形成し、基板1(n型半導体領域11)の表面を露出させる。この後、コンタクトホール19の側壁に窒化シリコン膜等の絶縁膜よりなるサイドウォール膜(図示せず)を形成してもよい。
次に、コンタクトホール19を通じてメモリセル形成領域MAのp型ウエル3(n型半導体領域11)にn型不純物(リンまたはヒ素)をイオン打ち込みすることによって、n型半導体領域20を形成する。ここまでの工程で、メモリセル形成領域MAにnチャネル型で構成される情報転送用MISFETQtが形成される。
次に、図14に示すように、コンタクトホール19の内部にプラグ21を形成する。プラグ21は、コンタクトホール19の内部を含む酸化シリコン膜18の上部にリン(P)などのn型不純物をドープした低抵抗多結晶シリコン膜をCVD法で堆積し、続いてこの多結晶シリコン膜をエッチバック(またはCMP法で研磨)してコンタクトホール19の内部のみに残すことによって形成する。
次に、基板1上に絶縁膜として例えばCVD法で酸化シリコン膜22を堆積した後、周辺回路形成領域PAの酸化シリコン膜22、18およびその下層の窒化シリコン膜17をドライエッチングすることによって、nチャネル型MISFETQnのソース、ドレイン(n型半導体領域14)の上部にコンタクトホール23を形成し、pチャネル型MISFETQpのソース、ドレイン(p型半導体領域15)の上部にコンタクトホール24を形成する。また、2個の情報転送用MISFETQtによって共有されたn型半導体領域20上のプラグ21上にコンタクトホール25を形成する。
次いで、図15に示すように、コンタクトホール23、24、25の内部を含む酸化シリコン膜22上にバリア膜として例えばCVD法で薄いTi(チタン)膜およびTiN膜を順次堆積した後、TiN膜上に、導電性膜として例えば膜厚300nm程度のW膜を堆積する。次いで、酸化シリコン膜18の上部のW膜等をCMP法で研磨し、コンタクトホールの内部のみに残すことによってプラグ27を形成する。
次に、プラグ27の上部にビット線BLおよび第1層配線30〜32を形成する。これらの配線は、例えばプラグ27上を含む酸化シリコン膜18の上部に導電性膜として例えばCVD法で膜厚100nm程度のW膜を堆積した後、レジスト膜をマスクにしてこのW膜をドライエッチングすることによって形成する。なお、W膜の下層にCVD法により薄いWN膜を形成し、WN膜およびW膜の2層で配線を構成してもよい。
次に、図16に示すように、ビット線BLおよび第1層配線30〜32の上部に絶縁膜として例えば膜厚300nm程度の酸化シリコン膜34を形成する。
次に、酸化シリコン膜34およびその下層の酸化シリコン膜22をドライエッチングすることによって、プラグ21の上部にスルーホール38を形成する。
次に、スルーホール38の内部を含む酸化シリコン膜34の上部に導電性膜として例えばn型不純物(リン)をドープした低抵抗多結晶シリコン膜をCVD法で堆積した後、この多結晶シリコン膜をエッチバックしてスルーホール38の内部のみに残すことによって、プラグ39を形成する。
次に、酸化シリコン膜34の上部に絶縁膜として例えばCVD法で膜厚100nm程度の窒化シリコン膜40を堆積し、続いて窒化シリコン膜40の上部にCVD法で酸化シリコン膜41を堆積する。次いで、レジスト膜(図示せず)をマスクにしてメモリセル形成領域MAの酸化シリコン膜41をドライエッチングし、続いてこの酸化シリコン膜41の下層の窒化シリコン膜40をドライエッチングすることにより、スルーホール38の上部に溝42を形成する。
次に、溝42の内部を含む酸化シリコン膜41の上部に、n型不純物(リン)をドープした膜厚50nm程度のアモルファスシリコン膜をCVD法で堆積した後、酸化シリコン膜41の上部のアモルファスシリコン膜をエッチバックすることにより、溝42の内壁に沿ってアモルファスシリコン膜を残す。
次に、溝42の内部に残った上記アモルファスシリコン膜の表面をフッ酸系の洗浄液でウェット洗浄した後、減圧雰囲気中でアモルファスシリコン膜の表面にモノシラン(SiH)を供給し、続いて基板1を熱処理してアモルファスシリコン膜を多結晶化すると共に、その表面にシリコン粒を成長させる。これにより、表面が粗面化された多結晶シリコン膜43が溝42の内壁に沿って形成される。この多結晶シリコン膜43は、キャパシタの下部電極として使用される。
次に、溝42の内部を含む酸化シリコン膜41の上部にCVD法で膜厚15nm程度の酸化タンタル(Ta)膜44を堆積した後、酸素雰囲気中、約800℃、3分の熱処理を施すことによって、酸化タンタル膜44を結晶化すると共に、膜に酸素を供給することによって欠陥を修復する。この酸化タンタル膜44は、キャパシタの容量絶縁膜として使用される。
次に、溝42の内部を含む酸化タンタル膜44の上部に導電性膜としてTiN膜45を例えばCVD法とスパッタリング法とを併用して150nm程度、堆積した後、レジスト膜(図示せず)をマスクにしてTiN膜45と酸化タンタル膜44とをドライエッチングすることにより、TiN膜45からなる上部電極、酸化タンタル膜44からなる容量絶縁膜および多結晶シリコン膜43からなる下部電極で構成されるキャパシタCを形成する。ここまでの工程により、情報転送用MISFETQtとこれに直列に接続されたキャパシタCとからなるDRAMのメモリセルが完成する。
次に、図17に示すように、キャパシタCの上部に、絶縁膜として例えばCVD法で膜厚100nm程度の酸化シリコン膜50を堆積する。次に、レジスト膜(図示せず)をマスクにして周辺回路形成領域PAの第1層配線30の上部の酸化シリコン膜50、41、窒化シリコン膜40および酸化シリコン膜34をドライエッチングすることによってスルーホール51を形成した後、スルーホール51の内部にプラグ53を形成する。プラグ53は、プラグ27と同様に形成する。次に、酸化シリコン膜50の上部に導電性膜を堆積し、エッチングすることにより第2層配線54〜56を形成する。
次いで、第2層配線54〜56の上部に絶縁膜を介して第3層配線が形成され、第3層配線の上部に酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とで構成されたパッシベーション膜を堆積するが、その図示は省略する。以上の工程により、本実施の形態のDRAMが略完成する。
なお、本実施の形態においては、ポリメタルゲートを例に説明したが、ポリサイドゲートに本実施の形態の窒化処理を行っても同様の効果を奏する。この場合、例えばゲート電極を構成するタングステンシリサイドが窒化され、その側面にWNを主成分とする膜が形成される。但し、高融点金属膜は、そのシリサイド膜より洗浄液により侵食されやすいので、本発明はポリメタルゲートに用いてより効果的である。
また、本実施の形態においては、レジスト膜の除去後の洗浄工程について詳細に説明したが、窒化処理後の洗浄工程において効果があるのは言うまでもない。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、ゲート電極の形成後、即ち、多結晶シリコン膜9a、WN膜9bおよびW膜9cよりなる積層膜の加工後に、窒化処理を行ったが、以下に説明するように、ゲート電極を構成するW膜が露出する可能性のある工程の後に窒化処理を行っても良い。
本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法を図18〜図25を用いて工程順に説明する。なお、図18〜図20および図25は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法を示す基板の要部断面図であり、各図の左部はDRAMのメモリセルが形成される領域(メモリセル形成領域)MAを示し、右部は論理回路等が形成される周辺回路形成領域PAを示している。また、必要に応じてゲート電極部の拡大図を記載してある(図18〜図20等)。なお、本実施の形態においては、窒化処理のタイミングが実施の形態1の場合と異なる他は、実施の形態1と同様である。
まず、実施の形態1と同様に、素子分離2、p型ウエル3およびn型ウエル4等を形成し、チャネルインプラを行った後、低抵抗多結晶シリコン膜9a、WN膜9b、W膜9cおよび窒化シリコン膜10を順次堆積する(図2参照)。
その後、実施の形態1と同様に、多結晶シリコン膜9a、WN膜9b、W膜9cおよび窒化シリコン膜10をドライエッチングし、ゲート電極9を形成し、さらに、ウエットハイドロゲン酸化により多結晶シリコン膜9aの側壁に4nm程度の薄い酸化膜9dを形成する(図4参照)。
次いで、図18に示すように、n型半導体領域11およびp型半導体領域12を形成する。この際、n型半導体領域11の周囲にp型半導体領域PKp、p型半導体領域12の周囲にn型半導体領域PKnを形成してもよい。次いで、900℃、1分のRTPにより、不純物の活性化を行う。さらに、この後、必要に応じて周辺回路形成領域PAに不純物を注入し、拡散抵抗(図示せず)を形成してもよい。
次いで、図19に示すように、基板1の上部にCVD法で膜厚50nm程度の窒化シリコン膜13を堆積し、メモリセル形成領域上をレジスト膜で覆う。次いで、周辺回路形成領域PA上の窒化シリコン膜13を異方的にエッチングすることによって、周辺回路形成領域PAのゲート電極9の側壁にサイドウォール膜13sを形成する。
この後、図20に示すように、基板(ゲート電極の側壁)を実施の形態1で説明したRPN法等を用いて窒化する。この際、基板表面のゲート絶縁膜8の表面が窒化され、例えば、その上部が酸窒化膜となる。
このように、本実施の形態によれば、サイドウォール膜13s形成後に、窒化処理を行ったので、例えば、図21や図22に示すように、異物の影響によりゲート電極を構成するW膜9cが露出していても、その露出面が窒化され、WN膜となり、その後の洗浄工程におけるW膜の侵食(溶解)を防止することができる。
例えば、図21は、サイドウォール膜13sを構成する窒化シリコン膜中の異物Paにより、ゲート電極9の側壁がサイドウォール膜13sで完全に覆われなかった場合を示す。
また、図22は、異物等の影響によりゲート電極9上の窒化シリコン膜10が除去され、W膜9c表面が露出した場合を示す。
図21および図22に示す場合においても、窒化処理を行うことにより、W膜9cの露出部が窒化され、それぞれ図23および図24に示すように、WN膜9eが形成される。なお、図21〜図24は、本実施の形態の効果を説明するための半導体集積回路装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
従って、この後のn型半導体領域14(ソース、ドレイン)およびp型半導体領域15(ソース、ドレイン)形成時に、ホトリソ〜洗浄工程が繰り返し行われても、W膜の侵食(溶解)を防止することができる。
即ち、周辺回路形成領域PAのn型ウエル4上に開口を有するレジスト膜を形成し、p型不純物を注入し、レジスト膜を除去した後、基板表面を洗浄する。
次いで、周辺回路形成領域PAのp型ウエル3上に開口を有するレジスト膜を形成し、n型不純物を注入し、レジスト膜を除去した後、基板表面を洗浄する
このように、サイドウォール膜形成後にも、実施の形態1で説明した1)〜4)の工程が繰り返し行われる。次に、900℃、1分のRTPにより、不純物の活性化を行い、n型半導体領域14(ソース、ドレイン)およびp型半導体領域15(ソース、ドレイン)が形成される。なお、装置の高性能化の要求から同一基板上に形成される素子が多種となるに伴い、ホトリソ〜洗浄工程が多くなる傾向にあるのは、サイドウォール膜形成後においても同様である。
このように、本実施の形態によれば、ゲート電極を構成するW膜が露出する可能性のあるサイドウォール膜の形成後に窒化処理を行ったので、洗浄液によるW膜の侵食(溶解)を防止することができる。また、実施の形態1で詳細に説明したU洗浄液やフッ酸系の洗浄液のような強い洗浄液を用いることができる。その結果、洗浄効率が向上し、異物による特性の劣化や歩留まり低下を低減することができる。
その後、実施の形態1と同様に、コバルトシリサイド層16を形成した後、層間絶縁膜、プラグ、配線およびキャパシタ等を形成し、DRAMのメモリセルが略完成する(図25)。
なお、実施の形態1で説明したゲート電極の加工後および本実施の形態で説明したサイドウォール膜形成後にそれぞれ窒化処理を行ってもよい。ゲート電極の加工後に窒化処理を行っていれば、その後の洗浄に対して効果が認められるが、例えば、ゲート電極加工時に既にゲート電極の側壁に異物が付着し、ゲート電極の側壁にWN膜が形成されず、その後の工程でW膜が露出する場合が考えられ、そのような場合に、2回の窒化処理が有効となる。また、窒化の回数は、2回に限られず、ゲート電極を構成するW膜が露出する可能性のある工程毎に行ってもよい。
また、本実施の形態においては、ゲート電極を構成するW膜が露出する可能性のある工程としてサイドウォール膜の形成後を例に説明したが、例えば、コンタクトホール19等の形成後にもW膜が露出する可能性がある。
従って、コンタクトホール形成後に窒化処理を行ってもよい。なお、この際、基板(p型ウエル3)1表面が露出した状態で窒化処理を行うと基板(Si)が窒化し、接続抵抗の上昇が予想されるため、コンタクトホール形成の際、エッチングストッパとなる膜(例えば窒化シリコン膜13や17)が露出した段階でエッチングを止め、窒化処理をしてからさらにエッチングストッパ膜を除去する等の工夫が必要である。図26に、露出したW膜9cを窒化処理した後のコンタクトホール19部近傍の要部断面図を示す。このように、窒化処理を行うことにより、その後の洗浄(例えば導電性膜を埋め込む前の洗浄)が行われてもW膜の消失を防止することができる。なお、WN膜9eは導電性膜であるが、この後コンタクトホールの側壁に形成されるサイドウォール膜によってプラグとWN膜9eの絶縁を図ることができる。
また、本実施の形態においては、ポリメタルゲートとしてW膜を用いたが、その他の高融点金属を用いてもよい。その他の高融点金属膜には、例えば、モリブデン(Mo)が挙げられる。
また、本実施の形態においては、ポリメタルゲートを例に説明したが、ポリサイドゲートに本実施の形態の窒化処理を行っても同様の効果を奏する。例えばゲート電極にタングステンシリサイド膜を用いた場合、その側面が窒化され、WNを主成分とする膜が形成される。但し、高融点金属膜は、そのシリサイド膜より洗浄液により侵食されやすいので、本発明はポリメタルゲートに用いてより効果的である。
また、本実施の形態においては、レジスト膜の除去後の洗浄工程について詳細に説明したが、窒化処理後の洗浄工程において効果があるのは言うまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
特に、上記実施の形態においては、DRAMを例に説明したが、ポリメタルゲートやポリサイドゲートを用いる半導体集積回路装置に広く適用可能である。例えばロジックLSIやSRAM(Static Random Access Memory)にも適用可能である。
また、不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)にも適用可能である。図27は、不揮発性メモリに本発明の窒化処理を施した場合の要部断面図であり、左部は、右部のA−A断面図である。
図示するように、基板(p型ウエル3)1上に、ゲート絶縁膜8を介して浮遊ゲート電極FGが形成されている。この浮遊ゲート電極FGは、例えば多結晶シリコン膜で構成される。浮遊ゲート電極FGの上部には、例えば、薄い酸化シリコン膜、薄い窒化シリコン膜および薄い酸化シリコン膜の積層膜よりなるONO膜60を介して制御ゲート電極CGが形成される。この制御ゲート電極CGは、例えば多結晶シリコン膜61とタングステンシリサイド膜62との積層膜よりなる。このタングステンシリサイド膜62の側壁を窒化処理し、WN膜66とする。なお、このタングステンシリサイドの部分をタングステンとしても良い。即ち、ゲート電極(FG、CG)の間にONO膜等の絶縁膜が介在しているような場合にも本発明を適用可能である。
例えば、ゲート電極を構成する高融点金属もしくは高融点金属のシリサイド膜の加工後にその側壁を窒化することにより、以降の洗浄工程における高融点金属膜等の侵食(溶解)を低減することができる。また、ゲート電極を構成する高融点金属が露出する可能性のある加工の後に窒化処理を行うことにより、以降の洗浄工程における高融点金属膜等の侵食(溶解)を低減することができる。なお、63は、n型半導体領域(ソース、ドレイン)、64および65は、絶縁膜である。
本願によって開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有する導体片を形成した後、前記導体片の側壁から露出した前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜の側面を窒化したので、その後の洗浄工程により装置の特性が劣化することを防止できる。また、洗浄効率を向上させることができる。また、装置の特性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明は、パソコン等の電子機器に広く用いられるDRAMやロジックLSI等の半導体集積回路装置に適用して特に有効な技術である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板上に絶縁膜を介し高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有する導電性膜を形成する工程と、
(b)前記導電性膜を選択的にエッチングすることにより導体片を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記導体片の側壁から露出した前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜の側面を窒化する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記半導体基板を洗浄する工程と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項2】
前記導電性膜は、シリコン膜とその上部の前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜との積層膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項3】
前記(c)工程は、プラズマ雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項4】
前記(d)工程は、酸化性溶液もしくはフッ酸を含有する溶液を用いた洗浄であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項5】
前記酸化性溶液は、硫酸/過酸化水素溶液、アンモニア/過酸化水素溶液、もしくは硝酸であることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項6】
前記フッ酸を含有する溶液は、希フッ酸もしくは希フッ酸/過酸化水素混合液であることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項7】
前記(b)工程は、第1および第2導体片を形成する工程であり、
前記(c)工程と(d)工程の間に、
(e1)前記第1導体片およびその両側の前記半導体基板を覆うマスク膜を形成する工程と、
(e2)前記マスク膜をマスクに前記第2導体片の両側の前記半導体基板中に不純物を注入する工程と、
(e3)前記マスク膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項8】
前記(b)工程は、前記導体片を複数形成する工程であり、
前記(c)工程と(d)工程の間に、
(e1)前記複数の導体片の内、特定の導体片およびその両側に開口を有するマスク膜を形成する工程と、
(e2)前記マスク膜をマスクに前記特定の導体片の両側の前記半導体基板中に不純物を注入する工程と、
(e3)前記マスク膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】
前記(c)工程の後に、前記(e1)〜(e3)および(d)工程が複数回繰り返されることを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項10】
前記(a)工程の導電性膜は、シリコン膜とその上部の前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜との積層膜であり、
前記(b)工程と(c)工程の間に、
(e)前記導体片の側壁から露出した前記シリコン膜の側面を酸化する工程を有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項11】
前記高融点金属膜はタングステン膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項12】
前記高融点金属のシリサイド膜はタングステンシリサイド膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項13】
前記導体片は、不揮発性メモリのゲート電極を構成し、前記導体片中には他の絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項14】
前記(d)工程の後、
(e)前記半導体基板上に他の絶縁膜を堆積し、異方的にエッチングすることによって、前記導体片の側壁に側壁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記導体片および前記側壁膜の露出表面を窒化する工程と、
(g)前記(f)工程の後、前記半導体基板を洗浄する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項15】
(a)半導体基板上に絶縁膜を介し高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜を有する導電性膜を形成する工程と、
(b)前記導電性膜を選択的にエッチングすることにより導体片を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記半導体基板上に他の絶縁膜を堆積し、異方的にエッチングすることによって、前記導体片の側壁に側壁膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記導体片および前記側壁膜の露出表面を窒化する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記半導体基板を洗浄する工程と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項16】
前記導電性膜は、シリコン膜とその上部の前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜との積層膜であることを特徴とする請求項15記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項17】
前記(d)工程は、プラズマ雰囲気下で行われることを特徴とする請求項15記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項18】
前記(e)工程は、硫酸/過酸化水素溶液、アンモニア/過酸化水素溶液、もしくは硝酸を用いた洗浄、または希フッ酸もしくは希フッ酸/過酸化水素混合液を用いた洗浄であることを特徴とする請求項15記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項19】
前記(b)工程は、前記導体片を複数形成する工程であり、
前記(c)工程は、前記複数の導体片のそれぞれの側壁に前記側壁膜を形成する工程であり、
前記(d)工程と(e)工程の間に、
(f1)前記複数の導体片の内、所望の導体片およびその両側に開口を有するマスク膜を形成する工程と、
(f2)前記マスク膜をマスクに前記所望の導体片の両側の前記半導体基板中に不純物を注入する工程と、
(f3)前記マスク膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする請求項15記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項20】
前記(d)工程の後に、前記(f1)〜(f3)および(e)工程が複数回繰り返されることを特徴とする請求項19記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項21】
(a)半導体基板上に絶縁膜を介して形成された導体片と、
(b)前記導体片の両側の前記半導体基板中に不純物領域を有する半導体集積回路装置であって、
(c)前記導体片は、少なくともその一部が高融点金属膜もしくは高融点金属のシリサイド膜で構成され、前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜の側壁には前記高融点金属の窒化膜が形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項22】
前記導体片は、シリコン膜とその上部の前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜との積層膜であることを特徴とする請求項21記載の半導体集積回路装置。
【請求項23】
前記高融点金属の窒化膜は、前記導体片の側壁より内側に位置することを特徴とする請求項21記載の半導体集積回路装置。
【請求項24】
前記導体片は、シリコン膜とその上部の前記高融点金属膜もしくは前記高融点金属のシリサイド膜との積層膜であり、
前記シリコン膜の側壁には酸化シリコン膜が形成され、
前記高融点金属の窒化膜は、前記導体片の側壁より内側に位置することを特徴とする請求項21記載の半導体集積回路装置。
【請求項25】
前記高融点金属膜はタングステン膜であることを特徴とする請求項21記載の半導体集積回路装置。
【請求項26】
前記高融点金属のシリサイド膜はタングステンシリサイド膜であることを特徴とする請求項21記載の半導体集積回路装置。

【国際公開番号】WO2004/073071
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568170(P2004−568170)
【国際出願番号】PCT/JP2003/001428
【国際出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】